国連OCHAシリア事務所代表「イドリブ県に対するシリア軍の総攻撃が開始されたら、80万人が避難を余儀なくされる」(2018年8月29日)

国連OCHA(人道問題調整事務所)のシリア事務所代表を務めるリンダ・トム氏はAFP(8月29日付)の取材に対して、イドリブ県に対するシリア軍の総攻撃が開始されたら、80万人が避難を余儀なくされ、人道支援を必要とするようになると警鐘を鳴らした。

イドリブ県には現在300万人が暮らしていると推計される。

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国連のアントニオ・グテーレス事務総長は声明を出し、イドリブ県での大規模な軍事作戦が行われることで人道的危機が発生する危険が増しているとしたうえで、「いかなる化学兵器の使用も完全に拒否される」と警鐘を鳴らした。

AFP, August 29, 2018、ANHA, August 29, 2018、AP, August 29, 2018、al-Durar al-Shamiya, August 29, 2018、al-Hayat, August 29, 2018、Reuters, August 29, 2018、SANA, August 29, 2018、UPI, August 29, 2018などをもとに作成。

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米・ロシアは、米諜報機関使節団がシリアを極秘訪問したとのイランの報道を否定(2018年8月29日)

ロシアのミハエル・ボグダノフ外務副大臣は、米諜報機関使節団がシリアを極秘訪問し、シリア政府側と協議したとのファルス通信(8月28日付)の報道に関して、「捏造されたニュースだと思う」と述べた。

RT(8月29日付)が伝えた。

また、米国務省のヘザー・ナウアート報道官も「6月に米高官がダマスカスを訪問し、シリアの高官と会談したとの報道は正しくない…。報道は我々が知っている真実を何ら伝えていない…。私はこのような会談が行われたなどと承知していない」と述べた。

AFP, August 29, 2018、ANHA, August 29, 2018、AP, August 29, 2018、al-Durar al-Shamiya, August 29, 2018、al-Hayat, August 29, 2018、Reuters, August 29, 2018、SANA, August 29, 2018、UPI, August 29, 2018などをもとに作成。

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反体制派系サイトのザマーン・ワスル:共和国護衛隊は首都ダマスカス近郊の人民宮殿近くの地下に化学兵器製造・貯蔵施設を建設(2018年8月29日)

反体制派系サイトのザマーン・ワスル(8月29日付)は、共和国護衛隊の元隊員からの情報として、首都ダマスカスの郊外にある人民宮殿の近くの秘密刑務所の地下部分に化学兵器を製造・貯蔵する施設が建設されている、と伝えた。

元隊員は、共和国護衛隊第289施設大隊のマルワーン・マフムード大佐の監督のもとに進められたこの秘密刑務所の建設(2002年から使用開始)に参加したとしたうえで、共和国護衛隊化学兵器大隊の地下トンネルがこの刑務所に併設されていたと証言した。

地下トンネルは4カ所の出入り口があり、その中にはそれぞれ幅3.5メートル、高さ4メートル、厚さ25センチの扉が三重に設置され、全長約500メートルのトンネル内部では北朝鮮の専門家たちが空気清浄機の設置を監督していたという。

AFP, August 29, 2018、ANHA, August 29, 2018、AP, August 29, 2018、al-Durar al-Shamiya, August 29, 2018、al-Hayat, August 29, 2018、Reuters, August 29, 2018、SANA, August 29, 2018、UPI, August 29, 2018、Zaman al-Wasl, August 29, 2018などをもとに作成。

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ロシアのラヴロフ外務大臣はサウジアラビアのジュバイル外務大臣と会談「イドリブ県での攻撃開始は間近。反体制派は「腐った膿」で殲滅する必要がある」(2018年8月29日)

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、モスクワでサウジアラビアのアーディル・ジュバイル外務大臣との会談、二国間関係、シリア情勢、イエメン情勢、イランへの対応などについて意見を交わした。

ラブロフ外務大臣は会談後の共同記者会見でシリア情勢に言及、イドリブ県に対するシリア軍の攻撃開始が間近に迫っていると述べた。

ラブロフ外務大臣は「イドリブ県は緊張緩和地帯を悪用しようとしているテロリストにとっての最後の温床だ…。「革命家」は民間人を人間の盾にする一方で、シリア政府との交渉の準備をしている武装集団に身を置こうとしている…。トルコとロシアは、シリアの反体制派とテロリストとみなされる人々を分ける必要があるという点で、政治的に相互理解に達している」と述べた。

そのうえでイドリブ県で抵抗を続ける反体制武装集団を「腐った膿」と非難、殲滅する必要があるとしつつ、「テロリストに対する作戦に向けた準備をするにあたっては、民間人の犠牲を最小限にするため、できるすべてを行わねばならない」と付言した。

一方、国連安保理決議第2254号に基づく政治的解決の必要を改めて強調し、和平協議に向け、サウジアラビアが行ってきた反体制派糾合の試みに謝意を示すとともに、西側諸国による挑発や「テロとの戦い」への妨害を促さないよう求めた。

これに対して、ジュバイル外務大臣も、国連安保理決議第2254号に基づく政治的解決の必要を確認した。

Reuters, August 30, 2018

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イランのモハンメド・ジャヴァード・ザリーフ外務大臣は、トルコの首都アンカラを電撃訪問し、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と会談した。

『ハヤート』(8月30日付)などが伝えた。

AFP, August 29, 2018、ANHA, August 29, 2018、AP, August 29, 2018、al-Durar al-Shamiya, August 29, 2018、al-Hayat, August 29, 2018、Reuters, August 29, 2018、RT, August 29, 2018、SANA, August 29, 2018、UPI, August 29, 2018などをもとに作成。

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国民解放戦線はイドリブ県内でシリア政府との和解を主唱する30人以上を粛清(2018年8月29日)

国民解放戦線は声明を出し、イドリブ県東部のブライサー村、タッル・シーフ村、ハルバ村、ダイル・シャルキー村、タッル・シャイフ村、ムアイサルーナ村で、シリア政府との和解を主唱する活動家・住民30人以上を拘束したと発表した。

ドゥラル・シャーミーヤ(8月29日付)が伝えた。

AFP, August 29, 2018、ANHA, August 29, 2018、AP, August 29, 2018、al-Durar al-Shamiya, August 29, 2018、al-Hayat, August 29, 2018、Reuters, August 29, 2018、SANA, August 29, 2018、UPI, August 29, 2018などをもとに作成。

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イスラエルのカッツ諜報大臣「我々はイスラエルを脅かし得るイランのいかなる標的に対しても全力で報復する」(2018年8月29日)

イスラエルのイスラエル・カッツ諜報大臣は、イランのエミール・ハータミー国防大臣のシリア訪問時に締結された「軍事技術合意」に関して「バッシャール・アサドとイランが交わした合意はイスラエルにとって試練になる。我々の対応は明白なものとなろう。我々はイランがシリアを軍事拠点化することを許さない…。我々はイスラエルを脅かし得るイランのいかなる標的に対しても全力で報復する。シリア軍防空部隊が介入し、我々に対抗しようものなら、代償を支払うことになるだろう」と述べた。

AFP(8月28日付)が伝えた。

AFP, August 29, 2018、ANHA, August 29, 2018、AP, August 29, 2018、al-Durar al-Shamiya, August 29, 2018、al-Hayat, August 29, 2018、Reuters, August 29, 2018、SANA, August 29, 2018、UPI, August 29, 2018などをもとに作成。

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トルコ軍増援部隊がイドリブ県内の反体制派支配地域に設置された監視所に配備(2018年8月29日)

イドリブ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(8月29日付)によると、カフルルースィーン村に設置された国境通行所を経由して、15輌の車輌からなるトルコ軍部隊がシリア領内に進入、反体制派支配地域に設置された監視所に向かった。

AFP, August 29, 2018、ANHA, August 29, 2018、AP, August 29, 2018、al-Durar al-Shamiya, August 29, 2018、al-Hayat, August 29, 2018、Reuters, August 29, 2018、SANA, August 29, 2018、UPI, August 29, 2018などをもとに作成。

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トルコの実質占領下にあるアフリーン郡(アレッポ県)で武装集団どうしの戦闘、爆発事件、YPGによるトルコ軍部隊への攻撃、トルコ軍の砲撃(2018年8月29日)

アレッポ県では、ANHA(8月29日付)によると、トルコの実質占領下にあるアフリーン市でスルターン・ムハンマド・ファーティフ旅団と第7師団が交戦し、双方に死傷者が出た。

こうしたなか、市内のノウルーズ広場に仕掛けられた爆弾が爆発し、トルコ軍兵士3人、武装集団戦闘員1人、ダマスカス郊外県東グータ地方から退去してきた住民4人が死亡、20人以上が負傷した。

ANHA, August 29, 2018

このほかにも、市内で車に仕掛けられた爆弾が爆発し、4人が負傷した。

一方、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)がシーラーワー町各所でトルコ軍とその支援を受ける反体制武装集団に対して特殊作戦を敢行し、複数の兵士、戦闘員を殺傷、車輌などを破壊した。

これに対して、トルコ軍はシーラーワー町近郊のバーシャムリー村、クワンダト・マザン村を重火器で砲撃した。

トルコ軍はまた、ハムザ師団、シャーム軍団とともにアンダーラ村、ブルジュ・ハイダル村(シーラーワー町近郊)で強制捜査を行い、住民22人を拉致、連行した。

AFP, August 29, 2018、ANHA, August 29, 2018、AP, August 29, 2018、al-Durar al-Shamiya, August 29, 2018、al-Hayat, August 29, 2018、Reuters, August 29, 2018、SANA, August 29, 2018、UPI, August 29, 2018などをもとに作成。

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シリア軍はダマスカス郊外県サファー丘でダーイシュ追撃を続ける(2018年8月29日)

ダマスカス郊外県では、SANA(8月29日付)によると、シリア軍が予備部隊とともにスワイダー県東部に面するサファー丘でダーイシュ(イスラーム国)に対する掃討戦を継続し、カブル・イード・フナイシュ地区、ハウィー・アワド池一帯を制圧した。

AFP, August 29, 2018、ANHA, August 29, 2018、AP, August 29, 2018、al-Durar al-Shamiya, August 29, 2018、al-Hayat, August 29, 2018、Reuters, August 29, 2018、SANA, August 29, 2018、UPI, August 29, 2018などをもとに作成。

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シリア軍はハマー県でシャーム解放機構、トルキスタン・イスラーム党の拠点を砲撃(2018年8月29日)

ハマー県では、SANA(8月29日付)によると、シリア軍が県北部のラターミナ町西方、ジャイサート村、ジャナービラ丘、ハスラーヤー村、カフルズィーター市でシャーム解放機構の拠点、車輌を、ズィヤーラ町、マシーク村でトルキスタン・イスラーム党の拠点を砲撃した。

シリア軍はまた、スカイラビーヤ市近郊で反体制武装集団の無人航空機を補則、これを撃墜した。

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アレッポ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(8月29日付)によると、国民解放戦線がアレッポ市ラーシディーン地区西方に進攻を試みたシリア軍を要撃した。

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ロシア難民受入移送居住センター:28日に難民152人が新たに帰国、7月18日以降に帰国したシリア難民は9,359人に(2018年8月29日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(8月29日付)を公開し、28日に難民152人が新たに帰国したと発表した。

 

これにより、7月18日以降に帰国したシリア難民の数は9,359人となった。

 

内訳は、レバノンからの帰国者9,041人(ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者318人(ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は698万5,282人(うち女性209万5585人、子供356万2494人)。

 

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間(8月29日)で、「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を26件(ラタキア県13件、アレッポ県12件、ハマー県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームも1件(ハマー県)の停戦違反を確認した。

Ministry of Defence of the Russian Federation, August 29, 2018をもとに作成。

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