ロシア外務省報道官はイドリブ県での戦闘を間近に控えてツイッター上に登場した新たなアイコンを「ハラー」ちゃんを非難(2018年8月30日)

ロシアのマリア・ザハロワ外務省報道官は、会見で「ハラー」を名のる女の子のツイッターのアカウントが話題になり始めていると指摘、「こうした女の子のアカウントを利用することは、西側がシリアへのプロパガンダにおいて行ってきた傍若無人にして慎重な伝統的手法の一例」と非難し、「世界はイドリブ県に関心を示し、こうした子供の殺戮や戦闘停止を回避すべき」と呼びかけた。

ザハロワ報道官は、「ハラー」ちゃんのアカウントは、BBC、ハフィングトン・ポスト、バズフィード、フッラ・チャンネルなど欧米諸国のメディアがフォローしているとしたうえで、「このアカウントは、世界に対して、シリア政府が民間人に対して化学兵器を使用したと断じることを目的とした映像を配信することになるだろう…。まったく同じ事を前にも目にしてきた」と述べた。

なお、ザハロワ報道官が指摘したのは、ハラーを名のる6歳の女の子によるとされる「حلا_hala」(https://twitter.com/hala_syri)のアカウントで、7月29日にから書き込みが始まっている。

Twitter

アカウントには、「#イドリブに目を向けて」(Please keep your #EyeOnIdlib)といった書き込み、映像、画像、「私の名前はハーラ、イドリブ市出身の6歳です」という英語での書き込みと映像、「私は話したい。世界は私の声を聞いて下さい」という正則アラビア語の映像などがアップされている。

https://twitter.com/hala_syri/status/1023151701564502017

8月30日現在のツイート数は18、フォロワー数は518。

AFP, August 30, 2018、ANHA, August 30, 2018、AP, August 30, 2018、al-Durar al-Shamiya, August 30, 2018、al-Hayat, August 31, 2018、Reuters, August 30, 2018、SANA, August 30, 2018、UPI, August 30, 2018などをもとに作成。

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トルコのアカル国防大臣「民間人を保護するため、イドリブ県での攻撃を回避したい」(2018年8月30日)

トルコのフルシ・アカル国防大臣は、首都アンカラでの参謀本部での会議で、シリア情勢について言及し、民間人を保護するため、イドリブ県をはじめとするシリア北部での攻撃を回避に向け努力していると述べた。

アカル国防大臣は「イドリブ県での停戦が反故になる前に、トルコは約400万人の安全を保証し、滞りなく人道支援を行いたいと考えている…。シリア政府は…最近になっても、無垢な人々が暮らすイドリブ県内の各所を陸空から攻撃し続けている…。だが、我々はこの事態に対処するため、外交、軍事の両レベルで必要な協議を続ける」と述べた。

ドゥラル・シャーミーヤ(8月30日付)が伝えた。

AFP, August 30, 2018、ANHA, August 30, 2018、AP, August 30, 2018、al-Durar al-Shamiya, August 30, 2018、al-Hayat, August 31, 2018、Reuters, August 30, 2018、SANA, August 30, 2018、UPI, August 30, 2018などをもとに作成。

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国民解放戦線はシリア軍が化学兵器攻撃を準備しているとの声明を発表(2018年8月30日)

国民解放戦線のナージー・アブー・フザイファ報道官は声明を出し、シリア軍が民間人に対して化学兵器を使用するため、化学物質の入ったタル複数本をハマー県郊外に持ち込んだと主張した。

アブー・フザイファ報道官は声明で「戦線はシリア政府支配地域を正確に監視することにより、政権が貨物車輌10台が化学物質の入った樽複数本を運び込んだとの情報を得た」と発表した。

国民解放戦線は2018年6月に結成された連合体で、シャーム軍団、自由イドリブ軍、第1沿岸師団、第2沿岸師団、第1歩兵師団、第2軍、精鋭軍、ナスル軍、ダーライヤー・イスラーム殉教者旅団、自由旅団、第23師団、シリア解放戦線(シャーム自由人イスラーム運動、ヌールッディーン・ザンキー運動)、シャームの鷹旅団、自由人軍、ダマスカス連合などからなる。

al-Durar al-Shamiya, August 30, 2018

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デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表はシリア軍によるイドリブ県制圧を事実上容認:「私は戦闘が終わり次第、人々が自分達のいた場所に戻れるよう保証したい」(2018年8月30日)

スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表は、スイスのジュネーブでの記者会見で、「米国はヌスラ戦線(シャーム解放機構)とダーイシュ(イスラーム国)のテロリスト約1万人がイドリブ県におり、彼らを敗北させる必要があると考えている」と述べた。

al-Durar al-Shamiya, August 30, 2018

デミストゥラ特使は「イドリブ県は緊張緩和地帯の枠組みのなかで合意・維持されている最後の地域となった。その他の地域から退去させられてきた民間人数百人にとって最後の避難場所であり、ここ以外にもう避難場所はない…。軍事攻撃は真の悲劇をもたらすだろう」としたうえで、「ヌスラ戦線は化学兵器を持っている可能性はあるし、シリア政府も同じだ…。予想される戦闘で化学兵器の使用が回避されねばならない」と強調した。

デミストゥラ特使はそのうえで「私は今一度用意ができている…個人として、そして私自身が身をもって、シリア政府と協力し…、臨時の(人道回廊)を確保し、戦闘が終わり次第、人々が自分達のいた場所に戻れるよう保証したい」と付言した。

『ハヤート』(8月31日付)などが伝えた。

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トルコの実質占領下にあるアフリーン郡(アレッポ県)でトルコ軍とシャーム軍団が住民数十人を拉致(2018年8月30日)

アレッポ県では、ANHA(8月30日付)によると、トルコの実質占領下にあるアフリーン郡のカブシーン村でトルコ軍とシャーム軍団が住民数十人を拉致、連行した。

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西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)に近い「オリーブの怒り」作戦司令室は声明を出し、28日にトルコの実質占領下にあるアレッポ県北東部のサンダラ村とタッル・シャイール村を結ぶ街道(ラーイー村近郊)でスルターン・ムラード師団のアブー・ムハンマド・ドゥーマーニー司令官を殺害したと発表した。

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ロイター通信:イドリブ県に対するシリア軍の攻撃はまずは同県南部および西部に対して行われ、イドリブ市そのものが標的とはならない(2018年8月30日)

ロイター通信(8月30日付)は、シリア政府を支援する民兵の司令官の話として、イドリブ県に対するシリア軍の攻撃がまずは同県南部および西部に対して行われ、イドリブ市そのものが標的とはならない、と伝えた。

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こうしたなか、ドゥラル・シャーミーヤ(8月30日付)によると、シャーム解放機構とトルキスタン・イスラーム党の増援部隊がシリア軍に対峙するため、ラタキア県山岳地域(クルド山、トルコマン山)やハマー県北部に到着した。

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一方、ANHA(8月30日付)によると、イドリブ市中心街で、シャーム解放機構の車輌に仕掛けられていた爆弾が爆発し、メンバー2人が負傷した。

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ロジャヴァ支配下のマンビジュ市(アレッポ県)で爆弾が爆発(2018年8月30日)

アレッポ県では、ANHA(8月30日付)によると、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)の支配下にあるマンビジュ市で車に仕掛けられていた爆弾が爆発し、1人が負傷した。

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シリア軍はダマスカス郊外県でダーイシュ掃討戦を継続(2018年8月30日)

ダマスカス郊外県では、SANA(8月30日付)によると、シリア軍が予備部隊とともにスワイダー県東部に隣接するサファー丘でダーイシュ(イスラーム国)に対する掃討戦を続け、ウンム・マルザフ方面の広範囲を新たに制圧した。

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スワイダー県では、スカイ・ニュース・アラビック(8月30日付)によると、ヒズブッラーの戦闘員が乗った車が爆弾の爆発に巻き込まれ、戦闘員3人が死亡した。Sky

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ムアッリム外務在外居住者大臣兼副首相がラヴロフ外務大臣と会談:「米英仏が攻撃しようがしまいが、シリア全土を解放するという我々の決意に影響はない」(2018年8月30日)

ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣兼副首相はロシアを訪問、モスクワでセルゲイ・ラブロフ外務大臣と会談した。

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会談後の共同記者会見で、ムアッリム外務在外居住者大臣は、イドリブ県で、シャーム解放機構と戦う決意を示しつつ、優先されるべきは、米英仏のシリアに対する愚かな攻撃を警戒しつつ、地元和解を推し進めることにあると強調した。

ムアッリム外務在外居住者大臣は、「我々とロシアはテロとの戦いのパートナーであり、戦地で偉大なる戦果を実現できた。我々は今、このテロの終わりの間近にいる。シリアで復興プロジェクトについて検討するのは当然だ。また、ロシアがこのプロジェクトに貢献することを優先課題とすることも当然だ」と述べた。

また「この7年から今まで、我々に対して陰謀を繰り返してきたックにの行為を忘れることなどできない…。シリアの指導部は、イドリブ県でどれだけの犠牲を払おうと、テロ組織であるヌスラ戦線(シャーム解放機構)と戦う決意をした。だが、我々は言いたい。優先事項は地元でも和解にある」と強調した。

ムアッリム外務在外居住者大臣は、米国がシリアでの化学兵器使用があった場合に再び対抗措置にでるとの姿勢を示しているやシリア国内に基地を建設し駐留していることに関して、「米国の駐留は敵対的なもので、違法だ」と非難、「米国の問題とは世界を欺いていることだ。その証拠に、テロ組織であるホワイト・ヘルメットのメンバーをシリア南部から、占領下ゴラン高原の兵力引き離し地域を経由して、イスラエル、そしてヨルダンに密出国させた。彼らがどこにいるのか我々は分からないが、そのほとんどがイドリブ県に戻ったのだろう」と述べた。

ムアッリム外務在外居住者大臣はまた、「ホワイト・ヘルメットを作った英国諜報機関は…今、ホワイト・メルメットと協力して、イドリブ県郊外で化学兵器使用の劇場をでっちあげようとしている。最近、イドリブ県で子供44人を彼らは拉致したが、これは子供たちをこの劇場で訳者として利用するためだ。これは、西側が国連安保理の諸決議でテロリストに指定されているヌスラ戦線(シャーム解放機構)を救出するため、米英仏の攻撃を望んでいることを示している。だが、三カ国の攻撃があろうとなかろうと、シリア全土を解放するという我々の決意には影響はない」と強調した。さらに「米英仏が攻撃しようがしまいが、シリア全土を解放するという我々の決意に影響はない」と表明した。

そのうえで「我々は彼らの国(西側諸国)にいるシリア難民の帰還について共同の取り組みを行うべく検討を行った。我々は西側諸国に言いたい…。もし難民帰還で実質的な支援をしたいのなら、彼らが暮らすための復興を保証し、シリアへの一方的制裁を撤廃する努力をすべきだ」と述べた。

https://youtu.be/nm1kdOWBRyM

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一方、ラブロフ外務大臣は、ロシアがシリア問題をめぐる地域の通信拠点になったと自負、各国との連絡を通じて建設的な意見交換を行ってきたと述べた。

ラブロフ外務大臣は「テロリストはイドリブ県の緊張緩和地帯に乗じて…、シリア軍への攻撃を行い、ラタキア県のフマイミームにあるロシア軍の航空基地に対して無人航空機で攻撃を行っている…。イドリブ県の武装勢力とテロリストを峻別する問題については意見交換がなされてきた。また地元和解や民間人の安全確保も試みられてきた。さらに我々は国連安保理決議第2254号や措置での国民対話大会での成果を遵守することを確認してきた」と述べた。

そのうえで「テロとの戦い、難民の帰還、安定回復は、シリア軍を挑発し、危機の政治的解決を妨害するテロリストなど一部の勢力のためになされるのではない」と強調した。

さらに、「ホワイト・ヘルメットが、西側諸国(による攻撃)のための口実を作り出そうとして、化学兵器使用捏造のための劇場を準備している」と警鐘を鳴らした。

SANA, August 30, 2018

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日本政府が保健省と高等教育省所轄の公立病院のために供与したハイテク医療機器がWHOを通じて引き渡される(2018年8月30日)

SANA(8月30日付)は、日本政府が保健省と高等教育省所轄の公立病院のために供与したハイテク医療機器が、世界保健機関(WHO)を通じて引き渡されたと伝えた。

医療機器は総額1200万ドル相当で、機器には日本の国旗のシールが貼られている。

WHOのエリザベス・ホフ駐シリア代表によると、今回支援には、これらの機器のメンテナンスを行う技師の養成、病院・医療センターの復旧、救急車輌や移動式診療所の供与を通じた救急医療システムの確保、ダマスカス大学小児病院建設(200万ドル規模)も含まれているという。

SANA, August 30, 2018
SANA, August 30, 2018
SANA, August 30, 2018

AFP, August 30, 2018、ANHA, August 30, 2018、AP, August 30, 2018、al-Durar al-Shamiya, August 30, 2018、al-Hayat, August 31, 2018、Reuters, August 30, 2018、SANA, August 30, 2018、UPI, August 30, 2018などをもとに作成。

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ロシア合同調整センターが会合を開き、シリア難民・避難民の帰還の状況を報告(2018年8月30日)

ロシア国防省は、ロシア合同調整センターがモスクワで会合を開き、シリア難民・避難民の帰還の進捗状況報告を行ったと発表した。

ロシア国防省発表の骨子は以下の通り:

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アサド大統領がレバノンのミシェル・アウン大統領で電話会談を行い、レバノンからの難民の帰還や支援について協議した。

ヨルダン政府はシリア政府との集中協議を行い、陸路交通の改善、難民帰還を促進するためにあたってシリア政府への信頼の増進の方途などについて意見を交わした。

中国通商省は、シリア経済復興に向けて国営企業にシリア側企業との関係深化を奨励している。

これまでにシリアに帰国した難民は23万8,000人にのぼる。

このうち過去2ヶ月で帰国したのは9,500人で、うち9,000人強がレバノンから帰還した。

避難先から帰宅した国内避難民の数は122万人にのぼる。

このうち2018年1月以降に帰宅した国内避難民は14万人にのぼる。

Ministry of Defense of Russia, August 30, 2018
Ministry of Defense of Russia, August 30, 2018

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一方、SANA(8月30日付)によると、国外難民帰還調整委員会の委員長を務めるフサイン・マフルーフ地方自治環境大臣、ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣らシリア政府関係者がテレビ会議システムで会合に参加した。

マフルーフ地方自治環境大臣、ミクダード外務在外居住者副大臣は、シリア政府が難民帰還に必要なあらゆる措置を行っていると強調した。

SANA, August 30, 2018

Ministry of Defence of the Russian Federation, August 30, 2018をもとに作成。

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ロシア国防省:ロシア・トルコ停戦監視委員会のロシア側監督チームは27件の停戦違反を、トルコ側は2件の違反を確認(2018年8月30日)

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間(8月30日)で、「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を27件(ラタキア県10件、アレッポ県15件、ハマー県2件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームも2件(アレッポ県1件、ハマー県1件)の停戦違反を確認した。

Ministry of Defence of the Russian Federation, August 30, 2018をもとに作成。

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