英国の人権派弁護士が国際刑事裁判所にアサド大統領の提訴を求める告訴状を提出(2019年3月7日)

BBC(3月7日付)は、英国の人権派弁護士のグループが、バッシャール・アサド大統領の訴追を求める告訴状を国際刑事裁判所(ICC)に提出した。

告訴状を提出したのは、ヨルダンで暮らすシリア人難民28人の代理人を務めるというテンプル・ガーデン・チェンバーズなるグループ。

弁護士グループは、28人が国外に逃げることを余儀なくされたと証言しており、アサド大統領の人道に対する罪を追及するよう求めている。

ICCに対してアサド大統領の告訴状が提出されたのはこれが初めて。

シリアはICCの設置にかかるローマ規程の締結国ではないため、ICCがシリアで起きた犯罪に訴追するには、国連安保理決議がこれを委託する必要がある。

AFP, March 7, 2019、ANHA, March 7, 2019、AP, March 7, 2019、al-Durar al-Shamiya, March 7, 2019、al-Hayat, March 8, 2019、Reuters, March 7, 2019、SANA, March 7, 2019、UPI, March 7, 2019などをもとに作成。

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トルコ占領下のバーブ市近郊でトルコのトラックによる物資搬送に反対するデモが発生、反体制派がこれを強制排除(2019年3月7日)

アレッポ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(3月7日付)によると、トルコの占領下にある県北部のバーブ市とラーイー村を結ぶ街道での抗議デモ参加者に、国民軍傘下の警察・治安部隊が、実弾や催涙弾を発射し、強制排除した。

デモは、3月5日に、バーブ・サラーマ国境通行所管理局のカースィム・カースィム所長(准将)が、同通行所に面するオンジュプナル国境通行所(キリス県)をトルコ当局が開放し、トルコ側からの貨物車輌の通過が近く許可されると明らかにし、トルコの貨物車輌が県北部に直接物資や商品を搬入できるようになったことを受けたもの。

同様のデモは、5日にアアザーズ市でも行われ、シリア人ドライバー数十人が抗議を行っていた。

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同じくアレッポ県では、ANHA(3月7日付)によると、トルコの占領下にあるアフリーン郡のタルナダ村にある反体制武装集団の検問所で爆発が発生し、トルコ軍兵士1人が死亡、2人が負傷した。

AFP, March 7, 2019、ANHA, March 7, 2019、AP, March 7, 2019、al-Durar al-Shamiya, March 7, 2019、al-Hayat, March 8, 2019、Reuters, March 7, 2019、SANA, March 7, 2019、UPI, March 7, 2019などをもとに作成。

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米占領下のタンフ国境通行所近くで、革命特殊任務軍がダーイシュと交戦、最高司令官が負傷(2019年3月7日)

ヒムス県では、ダイル・ザウル24(3月7日付)によると、タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)やヨルダン北東部のルクバーン・キャンプで米国の支援を受け活動を続ける革命特殊任務軍が、タンフ国境通行所基地でダーイシュ(イスラーム国)と交戦、革命特殊任務軍のムハンナド・タラーア総司令官(大佐)が負傷した。

ダーイシュは戦闘で、革命特殊任務軍の車輌を9M113コンクールス対戦車ミサイルで撃破、タラーア総司令官はこの車輌の近くの別の車輌内におり、軽傷を負ったという。

AFP, March 7, 2019、ANHA, March 7, 2019、AP, March 7, 2019、Dayr al-Zawr 24, March 7, 2019、al-Durar al-Shamiya, March 7, 2019、al-Hayat, March 8, 2019、Reuters, March 7, 2019、SANA, March 7, 2019、UPI, March 7, 2019などをもとに作成。

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シリア外務省は、昨年4月の東グータ地方での化学兵器使用疑惑事件にかかるOPCWの最終報告書を「捏造」と非難、拒否すると表明(2019年3月7日)

シリアの外務在外居住者省は公式報道官を通じて声明を出し、2018年4月7日にダマスカス郊外県東グータ地方で発生した化学兵器使用疑惑事件に関する化学兵器禁止機関(OPCW)の最終報告書(S/1731/2019、2019年3月1日発表)が「事実をあからさまに歪めたこれまでの報告書を踏襲している」と批判した。

声明は「今回着目すべきは、事件に居合わせた証言者が、武装テロ集団による劇場だったと述べたことを無視したことで、彼らのなかには敵国メディアで流されたビデオに登場し、救急治療を受けている人たちもいた。彼らはハーグ(OPCW本部)での会見のために招聘されていた」と指摘、「米国、フランス、英国が、シリアの治安、安定、国土統一を揺るがそうとする政策の失敗を受け、国連安保理でテロ組織に指定されているヌスラ戦線の主たる道具であるいわゆる「ホワイト・ヘルメット」を動員し、化学兵器攻撃疑惑を捏造した」と指弾した。

声明はまた、報告書が「プロフェッショナリズムを欠き…、テロ集団が化学物質を保有していたという客観的事実を退けている」と非難、OPCW加盟国に対して、「信頼性を欠くこうした捏造された報告書を取り合わない」よう要請、シリア・アラブ共和国が最終報告書の結果の一切を拒否する、と表明した。

AFP, March 7, 2019、ANHA, March 7, 2019、AP, March 7, 2019、al-Durar al-Shamiya, March 7, 2019、al-Hayat, March 8, 2019、Reuters, March 7, 2019、SANA, March 7, 2019、UPI, March 7, 2019などをもとに作成。

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米国務省は、昨年4月の東グータ地方での化学兵器使用疑惑事件にかかるOPCWの最終報告書の結果を支持、アサド政権による使用を非難(2019年3月7日)

米国務省は声明を出し、2018年4月7日にダマスカス郊外県東グータ地方で発生した化学兵器使用疑惑事件に関する化学兵器禁止機関(OPCW)の最終報告書(S/1731/2019、2019年3月1日発表)に関して、その結果を支持すると表明、「アサド政権が塩素を化学兵器として使用することは、シリアが加盟する化学兵器禁止条約(CWC)、そして国連安保理決議第2118号に基づく義務の違反である」と非難した。

また「我々は、シリアでの化学兵器攻撃の加害者を特定するというOPCWの権限が完全に行使されることを歓迎する。この野蛮な攻撃の犠牲者とその家族は正義に値し、責任者を追及するうえでの重要なステップとなる」と表明した。

AFP, March 7, 2019、ANHA, March 7, 2019、AP, March 7, 2019、al-Durar al-Shamiya, March 7, 2019、al-Hayat, March 8, 2019、Reuters, March 7, 2019、SANA, March 7, 2019、UPI, March 7, 2019などをもとに作成。

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米主導の有志連合はダーイシュ最後の支配地バーグーズ村一帯を白リン弾で爆撃(2019年3月7日)

ダイル・ザウル県では、SANA(3月7日付)が複数の地元筋の話として伝えたところによると、米主導の有志連合がダーイシュ(イスラーム国)最後の支配地であるバーグーズ村一帯を白リン弾で爆撃し、多数の住民が死亡した。

死者のほとんどは女性と子供だという。

AFP, March 7, 2019、ANHA, March 7, 2019、AP, March 7, 2019、al-Durar al-Shamiya, March 7, 2019、al-Hayat, March 8, 2019、Reuters, March 7, 2019、SANA, March 7, 2019、UPI, March 7, 2019などをもとに作成。

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シリア軍はハマー県、イドリブ県でシャーム解放機構などと交戦、反体制派はアレッポ市南東部を砲撃(2019年3月7日)

ハマー県では、SANA(3月7日付)によると、フワイズ村一帯からシリア政府支配地域に潜入しようとした反体制武装集団をシリア軍が迎撃した。

また、タイバト・イマーム市では反体制武装集団によって敷設された地雷に住民が触れて爆発、一家5人(母親と子供4人)が死亡した。

一方、ドゥラル・シャーミーヤ(3月8日付)によると、シリア軍がカフルズィーター市、ラターミナ町、サフル丘、ズィヤーラ町、シャリーア村、カルアト・マディーク町、フワイジャ村、タッル・ワースィト村、ジスル・バイト・ラース村を砲撃した。

またタイバト・イマーム市では、シリア軍が敷設した地雷が爆発し、子供4人が死亡、両親が負傷した。

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イドリブ県では、SANA(3月7日付)によると、シリア軍がシャーム解放機構などからなる反体制武装集団の停戦を確認し、アラブ・サイード村にある彼らの拠点を砲撃した。

一方、ドゥラル・シャーミーヤ(3月8日付)によると、シリア軍ばビダーマー町、マアッラト・ヌウマーン市、アラブ・サイード村などを砲撃した。

この砲撃により、ビダーマー町では女性1人が死亡し、子供2人が負傷、マアッラト・ヌウマーン市では住民2人が死亡し、多数が負傷、アラブ・サイード村では女児1人が死亡、住民2にが負傷した。

シリア軍はまた、サラーキブ市、マアッル・シャマーリーン村、ハーン・シャイフーン市、ハーン・スブル村、ザンマール町、ジャズラーヤー村を砲撃し、多数が負傷した。

このほか、シュグル村では、クラスター弾の不発弾が爆発し、住民市民が死亡、カンスフラ村では自由イドリブ軍の司令官の乗った車が地雷に触れて爆発が起こり、この司令官が死亡した。

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アレッポ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(3月7日付)によると、反体制武装集団がアレッポ市南東のナイラブ航空基地一帯を砲撃した。

また、ドゥラル・シャーミーヤ(3月8日付)によると、シリア軍がフライターン市、フワイル・フッス村、タッル・バージル村などを砲撃した。

https://twitter.com/rahhal89/status/1103728826423672839

これに関して、SANA(3月7日付)は、反体制武装集団が県南部のマーリキーヤ村を砲撃、住民2人が死亡、8人が負傷したと伝えた。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を12件(ラタキア県4件、イドリブ県3件、ハマー県3件、アレッポ県2件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を43件(ラタキア県1件、イドリブ県20件、ハマー県12件、アレッポ県10件)を確認した。

AFP, March 7, 2019、ANHA, March 7, 2019、AP, March 7, 2019、al-Durar al-Shamiya, March 7, 2019、March 8, 2019、al-Hayat, March 8, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, March 7, 2019、Reuters, March 7, 2019、SANA, March 7, 2019、UPI, March 7, 2019などをもとに作成。

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ロシア外務省報道官「主要なテロの温床はイドリブ県に残ったままだ。モスクワは同地で抜本的な変化が起きることを期待する」(2019年3月7日)

ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、定例記者会見で「シリアの現状は総じて安定してはいるが、主要なテロの温床はイドリブ県に残ったままだ。モスクワは同地で抜本的な変化が起きることを期待する」と述べた。

ザハロワ報道官はまた、2018年9月にロシア・トルコ両首脳がソチで交わした非武装地帯設置合意の実施の必要を改めて強調、「それによって事態が安定し、テロ組織の脅威も中和される」と付言した。

AFP, March 7, 2019、ANHA, March 7, 2019、AP, March 7, 2019、al-Durar al-Shamiya, March 7, 2019、al-Hayat, March 8, 2019、Reuters, March 7, 2019、SANA, March 7, 2019、UPI, March 7, 2019などをもとに作成。

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ロシア外務省は米国の支援を受ける「武装ギャング」がルクバーン・キャンプの難民に多額の金銭を要求し帰国を阻止していると非難(2019年3月7日)

ロシア外務省は、5日に続いてロシア連邦シリア・アラブ共和国合同調整本部の名で声明を出し、米国がヒムス県南西部のタンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)を2014年春以降違法に占領し、その南側に位置するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプで暮らすシリア難民の帰国が、米国の支援を受ける武装ギャングの存在によって阻止されていると批判した。

ルクバーン・キャンプのシリア難民は深刻な人道危機に見舞われているが、武装ギャング(革命特殊任務軍)は、キャンプを立ち去るにあたって多額な金銭を要求しているという。

ヨルダン政府は、治安状況や困難な経済状況を鑑み、キャンプに身を寄せるシリア難民の入国を認めていない。

一方、シリア政府はロシア政府とともに、「人道移送団」を設置し、シリア難民の帰還を試みているが、米国は55キロ地帯の通過を認めていない。

なお、5日の声明によると、キャンプには現在約4万人が暮らしており、そのうちの3万5000人以上がシリア政府支配地域に帰還する意思を示している。

こうした事態を鑑み、ロシア・シリア両政府は、ヒムス県、アレッポ県、ダマスカス郊外県に難民で受け入れる準備を整えるとともに、3月1日に「人道移送団」を発足させ、55キロ地帯を経由して難民の移送を行おうとしている。

しかし、米国、そしてその支援を受ける反体制武装集団(革命特殊任務軍)がこれを阻止しているという。

Ministry of Defence of the Russian Federation, March 7, 2019をもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから112人、ヨルダンから711人の難民が帰国、避難民113人が帰宅(2019年3月7日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(3月7日付)を公開し、3月6日に難民823人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは112人(うち女性32人、子供53人)、ヨルダンから帰国したのは711人(うち女性194人、子供330人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は152,157人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者58,475人(うち女性17,676人、子ども29,741人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者93,682人(うち女性28,130人、子ども47,763人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 381,437人(うち女性114,464人、子供194,426人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,673,308人(うち女性2,002,592人、子供3,404,407人)。

一方、国内避難民113人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは37人(うち女性12人、子供16人)、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは24人(うち女性9人、子ども7人)、ヒムス県南東グラーブ山の通行所を経由して帰還したのは52人(うち女性11人、子ども18人)、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は11,938人(うち女性4,124人、子供5,157人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,280,534人(うち女性386,683人、子供648,923人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, March 7, 2019をもとに作成。

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