国連安保理でトランプ米大統領がシリア領ゴラン高原に対するイスラエルの主権を承認する大統領令に署名したことへの対応を協議するための緊急会合が開催、常任・非常任理事国14カ国はこれに反対(2019年3月27日)

国連安保理では、ドナルド・トランプ米大統領がシリア領ゴラン高原に対するイスラエルの主権を承認する大統領令に署名したことへの対応を協議するための緊急会合が開催された。

緊急会合はシリアの要請で開催されたもの。

米国はトランプ大統領の姿勢を擁護したが、それ以外の常任・非常任理事国14カ国はこれに反対、非難した。

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ロシアのヴラジミール・サフロンコフ国連次席大使は「国際法を無視したもの」「国連憲章違反」「この決議は無効だ」としたうえで、トランプ大統領の決定の不安定を助長すると非難した。

中国も、国際社会の総意に反する一方的な決定だとして、トランプ大統領の決定を非難、ベルギー、ドイツ、クウェート、インドネシア、ペルー、南アフリカ、ドミニカ共和国もこれに同調した。

一方、英国は1981年の国連安保理決議第429号への違反だと指摘、フランスも、イスラエルの主権を承認しないとするEUの姿勢を改めて確認するとともに、安保理決議を覆すいかなる試みも「失敗する運命にある」と述べた。

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ロドニー・ハンター米国連代表大使は、トランプ大統領の決定は「1974年の兵力引き離し合意に何ら影響を与えない。UNDOF(国連兵力引き離し監視軍)の任務を危険に曝すこともない」と反論、ゴラン高原の兵力引き離し地域(AOS)でシリア軍とヒズブッラーが活動をしていると指摘、ロシアに対してこれらを撤退させるよう求めた。

AFP, March 28, 2019、ANHA, March 28, 2019、AP, March 28, 2019、al-Durar al-Shamiya, March 28, 2019、al-Hayat, March 29, 2019、Reuters, March 28, 2019、SANA, March 28, 2019、UPI, March 28, 2019などをもとに作成。

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イスラエル軍戦闘機がアレッポ市郊外をミサイル攻撃、シリア軍防空部隊が応戦(2019年3月27日)

シリア軍消息筋は、27日午後23時、イスラエルがアレッポ市北東のシャイフ・ナッジャール市(工業団地地区)内の複数カ所に対してミサイル攻撃を行ったのを受け、シリア軍防空部隊がこれを迎撃、ミサイル多数を撃破したと発表した。

SANA(3月27日付)が伝えた。

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ドゥラル・シャーミーヤ(3月27日付)が複数の地元筋の話として伝えたところによると、ミサイル攻撃は、イスラエル軍戦闘機複数機から発射され、アレッポ国際空港一帯とシャイフ・ナッジャール市に着弾、巨大な爆発が何度も起きたという。

活動家らによると、狙われたのはシリア軍と「イランの民兵」の拠点。

シリア軍は迎撃に際して、S-300防空システムは使用しなかったという。

なお、シリア人権監視団によると、この攻撃で、イランおよびイランの支援を受ける戦闘員7人が死亡したという。

AFP, March 27, 2019、ANHA, March 27, 2019、AP, March 27, 2019、al-Durar al-Shamiya, March 27, 2019、al-Hayat, March 28, 2019、Reuters, March 27, 2019、SANA, March 27, 2019、UPI, March 27, 2019などをもとに作成。

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諜報機関の車に乗った武装集団がナスィーブ国境通行所(ダルアー県)に掲げられていたバッシャール・アサド大統領、ハーフィズ・アサド前大統領の写真を破る(2019年3月27日)

ダルアー県では、ドゥラル・シャーミーヤ(3月27日付)が複数の地元筋の話として伝えたところによると、武装した一団が複数の車に分乗して、ヨルダンとの国境に面するナスィーブ国境通行所を進入し、メイン・ゲートからヨルダンとの国境までの区間に掲げられているバッシャール・アサド大統領とハーフィズ・アサド前大統領の写真複数枚を破った。

武装した一団のなかには軍服を着た者もおり、同消息筋によると、彼らが乗っていた車は諜報機関のものだという。

なぜ写真が破られたのかは不明だという。

AFP, March 27, 2019、ANHA, March 27, 2019、AP, March 27, 2019、al-Durar al-Shamiya, March 27, 2019、al-Hayat, March 28, 2019、Reuters, March 27, 2019、SANA, March 27, 2019、UPI, March 27, 2019などをもとに作成。

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YPG報道官「誰も、武力を行使すると脅迫して、我々に何かを押しつけることはできない」(2019年3月27日)

人民防衛部隊(YPG)総司令部のライドゥール・ハリール報道官は「脅迫の時は終わった。誰も、武力を行使すると脅迫して、我々に何かを押しつけることはできない」と述べた。

ハリール報道官はまた「政治的解決、そして対話はシリア民主軍の当初からの選択肢で、それは撤回しない…。それがすべての当事者にとって最善の道だ」と強調した。

クルディスタン24(3月27日付)が伝えた。

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アフリーン解放軍団は声明を出し、トルコの占領下にあるアフリーン市アシュラフィーヤ地区で、「アフリーン憲兵隊」を名のる反対武装集団の車輌を攻撃し、その司令官を殺害したと発表した。

ANHA(3月27日付)が伝えた。

AFP, March 27, 2019、ANHA, March 27, 2019、AP, March 27, 2019、al-Durar al-Shamiya, March 27, 2019、al-Hayat, March 28, 2019、Kurdistan 24, March 27, 2019、Reuters, March 27, 2019、SANA, March 27, 2019、UPI, March 27, 2019などをもとに作成。

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アアザーズ市近郊の国内避難民キャンプ閉鎖、バッル村に移転(2019年3月27日)

アレッポ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(3月27日付)によると、アアザーズ市地元評議会は、同市東部のフール市場地区に設置されていたタダームン避難民キャンプを閉鎖し、収容されていた避難民をバッル村のキャンプに移動させると発表した。

AFP, March 27, 2019、ANHA, March 27, 2019、AP, March 27, 2019、al-Durar al-Shamiya, March 27, 2019、al-Hayat, March 28, 2019、Reuters, March 27, 2019、SANA, March 27, 2019、UPI, March 27, 2019などをもとに作成。

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第5軍団がダルアー県サフワ村の住民らへの嫌がらせを戒めるため、空軍情報部の検問所を襲撃、将兵を殴打(2019年3月27日)

ダルアー県では、ハウラーン自由人連合のフェイスブックのアカウント(3月27日付)によると、第5軍団のアフマド・アフダ司令官が同軍団の兵士複数と、サフワ村にある空軍情報部の検問所を襲撃し、ジハード・アブー・ルーワード准将を叱責、検問所にいた兵士らを殴打した。

襲撃は、空軍情報部の住民らに対する嫌がらせなどを戒めるためだという。

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カタール外務省報道官「カタールはシリア復興の取り組みの一部を担う」(2019年3月27日)

カタール外務省のルールワ・ラーシド・ハティーブ報道官はアル・モニター(3月27日付)とのインタビューに応じ、そのなかで「カタールはシリア復興の取り組みの一部を担うだろう。しかし、これには、(復興による)受益者が真にこの取り組みによって確実に利益を得られるような規制とバランスが必要となる…。そしてそれは、カタール、国連、そしてそのほかの国際機関だけでなく、当事者全体が取り組むプロセスとなるだろう」と述べた。

AFP, March 27, 2019、ANHA, March 27, 2019、AP, March 27, 2019、al-Durar al-Shamiya, March 27, 2019、al-Hayat, March 28, 2019、al-Monitor, March 27, 2019、Reuters, March 27, 2019、SANA, March 27, 2019、UPI, March 27, 2019などをもとに作成。

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シリア各地で前日に続き、ゴラン高原へのイスラエルの主権を承認したトランプ米大統領の決定を抗議するデモ(2019年3月27日)

シリア各地で前日に続き、バアス党、人民諸組織、組合諸組合の呼びかけで、ドナルド・トランプ米大統領が25日にシリア領ゴラン高原に対するイスラエルの主権を認める大統領令に署名したことに抗議するデモが行われ、多くの住民が参加した。

抗議デモが行われたのは、ハサカ市、カーミシュリー市(ハサカ県)、タルトゥース市、ダマスカス大学クナイトラ分校(クナイトラ県バアス市)、アレッポ市、ユーフラテス大学(ダイル・ザウル市)。

SANA(3月27日付)が伝えた。

カーミシュリー市
タルトゥース市
ダマスカス大学クナイトラ分校(バアス市)
アレッポ市

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シリア軍はハマー県で反体制武装集団の無人航空機1機を撃墜(2019年3月27日)

ハマー県では、SANA(3月27日付)によると、シリア軍がカフルズィーター市、ラターミナ町上空から飛来してきた無人航空機1機を撃破、また同地一帯の反体制武装集団の拠点を砲撃した。

この無人航空機は爆弾を搭載していたという。

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アレッポ県では、SANA(3月27日付)によると、シリア政府支配下のタッル・ジャニーン村に反体制武装集団が残した地雷に住民が触れて爆発、9人が死亡、3人が負傷した。

ANHA(3月27日付)によると、バーブ市近郊のカッバースィーン村からの国内避難民の子供が、タッル・リフアト市近郊のファーフィーン村(シリア政府、北・東シリア自治局共同統治下)でダーイシュ(イスラーム国)が残した地雷に触れて大怪我を負い、トルコ占領下のアフリーン市内の病院に搬送された。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を11件(ラタキア県6件、イドリブ県2件、アレッポ県3件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を19件(アレッポ県8件、ラタキア県2件、ハマー県3件、イドリブ県6件)確認した。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから164人、ヨルダンから882人の難民が帰国、避難民164人が帰宅(2019年3月27日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(3月27日付)を公開し、3月26日に難民1,046人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは164人(うち女性49人、子供84人)、ヨルダンから帰国したのは882人(うち女性265人、子供450人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は169,838人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者61,699人(うち女性18,651人、子ども31,387人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者108,139人(うち女性32,467人、子ども55,139人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 399,118人(うち女性119,776人、子供203,448人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,673,308人(うち女性2,002,592人、子供3,404,407人)。

一方、国内避難民72人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは38人(うち女性10人、子供15人)、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは34人(うち女性17人、子供6人)、ヒムス県南東グラーブ山の通行所を経由して帰還したのは0人、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は14,595人(うち女性4,950人、子供6,313人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,283,191人(うち女性387,509人、子供650,079人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, March 27, 2019をもとに作成。

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