レバノン日刊紙『ムドゥン』:当局は帰国を予定しているシリア難民に実現不可能(?)な条件を課す(2019年4月8日)

レバノン日刊紙『ムドゥン』(4月8日付)は、当局がヒムス県クサイル市および同市周辺からレバノンに避難していたシリア難民の帰国に際して、実現不可能な条件を課していると批判的に報じた。

同紙によると、レバノンで避難生活を送っていたシリア難民約400人(そのほとんどが地方公務員とその家族)が近くクサイル市および同市に帰還する予定だが、バアス党員、退役士官、そして地元名士からなるヒムス市の受け入れ委員会は、彼らに、被害を受けている住居、所有権が確認できない住居で居住することを認めず、また被害を受けた住宅を修復するための資材を持ち込むことも禁止しているという。

ただし、こうした条件が実際に出されているかどうか、また条件が課されていた場合、居住が認められない住居の被害の度合い、その意図などは不明。

AFP, April 8, 2019、ANHA, April 8, 2019、AP, April 8, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 8, 2019、al-Hayat, April 9, 2019、al-Mudun, April 8, 2019、Reuters, April 8, 2019、SANA, April 8, 2019、UPI, April 8, 2019などをもとに作成。

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シリア対応調整者:2月以降のシリア・ロシア軍によるイドリブ県への攻撃で244人が死亡、16万人がトルコ占領地域に避難(2019年4月8日)

シリア対応調整者はイドリブ県を中心とする反体制派支配地域(緊張緩和地帯第1ゾーン)に対するシリア・ロシア両軍の攻撃に伴う住民の避難状況についての統計を発表した。

それによると、2月2日から4月8日までの約2ヶ月間で、ハマー県北部、アレッポ県西部、イドリブ県で2万5776世帯、16万0583人が攻撃を避けて、トルコの占領下にあるアレッポ県北部のいわゆる「ユーフラテスの盾」地域と「オリーブの枝」地域内の35カ所以上に避難しているという。

また、この2ヶ月の間に同地では民間人244人で死亡(うち195人がイドリブ県で、40人がハマー県で、7人がアレッポ県で、2人がラタキア県で死亡)したという。

なお、先週1週間の攻撃での民間人死者数は45人(うち子供14人)だという。

AFP, April 8, 2019、ANHA, April 8, 2019、AP, April 8, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 8, 2019、al-Hayat, April 9, 2019、Reuters, April 8, 2019、SANA, April 8, 2019、UPI, April 8, 2019などをもとに作成。

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ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領が首脳会談でイドリブ県の処遇について意見を交わす(2019年4月8日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はロシアを訪問し、モスクワでヴラジミール・プーチン大統領と会談、イドリブ県を中心とする反体制派支配地域(緊張緩和地帯第1ゾーン)の処遇や北・東シリア自治局の支配下にある北東部情勢などについて意見を交わした。

モスクワに到着したエルドアン大統領は、人口400万人を擁するとされるイドリブ県の処遇が「トルコにとって機微な問題」だとしたうえで、「トルコとロシアはイドリブ県で引き続き必要な措置を講じる」と述べた。

また、北・東シリア自治局については、「トルコの国家安全保障を脅かすテロの温床を根絶する…。PKK(クルディスタン労働者党)/PYD(民主統一党)はダーイシュ(イスラーム国)と同じくこの地域の脅威だ」と警鐘を鳴らした。

一方、プーチン大統領は会談後の共同記者会見で「イドリブ県の問題は茨の道だ。我々はまだソチで合意した基準を提供できていない。だが、この問題の解決は可能だと考えている」と述べた。

プーチン大統領はまた「ロシアとトルコはイドリブ県の緊張緩和地帯で独自のパトロールを同時に始めた。だが、両国の協力プロセスが期待されたペースで進んでいないことは認める…。イドリブ県の問題解決は、シリアでの政治プロセスに向けた環境を整えるという不可欠な条件が必要であり、問題解決は、モスクワとアンカラの合同の取り組みを通じてのみ可能となる」と付言した。

RT(4月8日付)などが伝えた。

AFP, April 8, 2019、ANHA, April 8, 2019、AP, April 8, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 8, 2019、al-Hayat, April 9, 2019、Reuters, April 8, 2019、RT, April 8, 2019、SANA, April 8, 2019、UPI, April 8, 2019などをもとに作成。

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ダイル・ザウル県南東部でダーイシュの女性メンバーが投降を装って自爆、YPJの女性戦闘員2人が巻き添えとなって死亡(2019年4月8日)

ダイル・ザウル県では、ユーフラテス・ポスト(4月8日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)最後の拠点だった県南東部のユーフラテス川以東地域のバーグーズ村で、ダーイシュの女性メンバーが投降すると装って自爆し、女性防衛隊(YPJ)の戦闘員2人が巻き添えとなって死亡した。

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ラッカ県では、ANHA(4月8日付)によると、タブカ市でダーイシュ(イスラーム国)が残していった地雷が爆発し、1人が死亡、4人が負傷した。

AFP, April 8, 2019、ANHA, April 8, 2019、AP, April 8, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 8, 2019、Euphrates Post, April 8, 2019、al-Hayat, April 9, 2019、Reuters, April 8, 2019、SANA, April 8, 2019、UPI, April 8, 2019などをもとに作成。

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YPG主体のシリア民主軍総司令官「トルコ政府との条件付きで交渉を行う用意がある」(2019年4月8日)

人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍のマズルーム・アブディー総司令官は、トルコ政府との条件付きで交渉を行う用意があると表明した。

アブディー総司令官は「北・東シリアの民政・軍事自治局(北・東シリア民政自治局とシリア民主軍のこと)は、シリア北部のアフリーン郡からトルコが撤退することを条件に、今後トルコと交渉を行う用意がある…。もう一つの条件はトルコがシリア北部および東部を脅迫するのを断念することだ…。これにより、シリアの愛国的な諸勢力は、ダーイシュ(イシュラーム国)殲滅に続く段階において和平を実現するために活動できる」と述べた。

ANHA(4月8日付)が伝えた。

AFP, April 8, 2019、ANHA, April 8, 2019、AP, April 8, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 8, 2019、al-Hayat, April 9, 2019、Reuters, April 8, 2019、SANA, April 8, 2019、UPI, April 8, 2019などをもとに作成。

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アレッポ県北部でトルコの支援を受ける反体制派とYPG主体のシリア民主軍所属組織が交戦(2019年4月8日)

アレッポ県では、ANHA(4月8日付)によると、トルコの支援を受ける反体制武装集団(いわゆる「ユーフラテスの盾」作戦司令室)が、バーブ市近郊のハーリディーヤ村、ブーガーズ村、ブワイジュ村にあるバーブ軍事評議会(人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍所属)の拠点を攻撃し、バーブ軍事評議会が応戦した。

AFP, April 8, 2019、ANHA, April 8, 2019、AP, April 8, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 8, 2019、al-Hayat, April 9, 2019、Reuters, April 8, 2019、SANA, April 8, 2019、UPI, April 8, 2019などをもとに作成。

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ダーイシュは、シリア東部で捕捉したロシア軍士官2人の映像をSNSなどを通じて拡散(2019年4月8日)

ANHA(4月8日付)、ドゥラル・シャーミーヤ(4月8日付)などは、複数の情報筋の話として、ダーイシュ(イスラーム国)が、シリア東部の砂漠地帯で、ロシア軍とシリア軍からなる部隊を要撃し、ロシア軍士官2人を含む複数人を捕捉、ダーイシュに近いアアマーク通信が、重傷を負って瀕死の状態の2人の映像をSNSなどを通じて拡散したと伝えた。

映像には、またムンズィル・アサスを名のるシリア軍士官が尋問を受ける様子も撮影されており、そのなかで、この士官は2人の身元を訊かれて、「ロシア人だ」と答えている。

その後、尋問をしているダーイシュ戦闘員の1人が「ロシア軍士官はまだ生きているが、死ぬだろう」と述べている。

ロシア軍士官が捕捉された時期は明らかではないが、ロシア国防省は3月26日に、ダイル・ザウル県東部で士官3人が死亡したと発表している。

AFP, April 8, 2019、ANHA, April 8, 2019、AP, April 8, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 8, 2019、al-Hayat, April 9, 2019、Reuters, April 8, 2019、SANA, April 8, 2019、UPI, April 8, 2019などをもとに作成。

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シリア外務省はトランプ米政権によるイラン・イスラーム革命防衛隊の外国テロ組織への指定を「イスラエル占領政体と中東地域における覇権を確立しようとする西側植民地主義の計略に資する」と指弾(2019年4月8日)

シリアの外務在外居住者省の公式筋は声明を出し、ドナルド・トランプ米政権が8日にイラン・イスラーム革命防衛隊を外国テロ組織(FTO)に指定したことに関して、「イランの主権へのあからさまな侵害」で、「イスラエル占領政体と中東地域における覇権を確立しようとする西側植民地主義の計略に資する」ものと厳しく非難した。

SANA(4月8日付)が伝えた。

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シリア軍はハマー県、イドリブ県でシャーム解放機構、トルキスタン・イスラーム党と交戦(2019年4月8日)

ハマー県では、SANA(4月8日付)によると、シリア軍がカフルズィーター市、サイヤード村、ムーリク市東部一帯、ムハーリジーン村にあるシャーム解放機構の拠点を砲撃した。

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イドリブ県では、SANA(4月8日付)によると、シリア軍がジスル・シュグール市で特殊作戦を行い、トルキスタン・イスラーム党の幹部5人を殺害した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を18件(ラタキア県11件、イドリブ県4件、アレッポ県2件、ハマー県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を12件(イドリブ県6件、アレッポ県5件、ハマー県1件)確認した。

AFP, April 8, 2019、ANHA, April 8, 2019、AP, April 8, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 8, 2019、al-Hayat, April 9, 2019、Reuters, April 8, 2019、SANA, April 8, 2019、UPI, April 8, 2019などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから314人、ヨルダンから657人の難民が帰国、避難民501人が帰宅(2019年4月8日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(4月8日付)を公開し、4月7日に難民971人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは314人(うち女性94人、子供160人)、ヨルダンから帰国したのは657人(うち女性197人、子供335人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は181,670人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者64,662人(うち女性19,542人、子ども32,898人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者117,008人(うち女性35,129人、子ども59,662人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 410,950人(うち女性123,329人、子供209,482人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,696,131人(うち女性2,000,839人、子供3,415,027人)。

一方、国内避難民501人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは26人(うち女性9人、子供12人)、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは16人(うち女性4人、子供10人)、ヒムス県南東グラーブ山の通行所を経由して帰還したのは458人(うち女性140人、子供214人)、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は16,996人(うち女性5,671人、子供7,281人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,285,592人(うち女性388,230人、子供651,047人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, April 8, 2019をもとに作成。

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