ダーイシュのバグダーディー指導者の映像が4年ぶりに公開される:「バーグーズでの戦いは終わったが…8カ国で92の作戦を実行した」(2019年4月29日)

ダーイシュ(イスラーム国)の広報部門の一つフルカーン広報制作機構は、アブー・バクル・バグダーディー指導者(47歳)の映像をテレグラムを通じて公開した。

**

バグダーディー氏の映像が公開されたのは、2014年7月末、イラクのモスル市内にあるヌーリー大モスクでラマダーン月に合わせて行った説教の映像以来で、今回で2度目。

4月に撮影されたと見られる。

**

「信徒たちの司令官のもてなしで」と題された約18分のビデオ映像のなかで、バグダーディー指導者は、室内で黒いターバンを巻いて、機関銃を脇に置いて座り、顔にはぼかしが入ったメンバーないしは支持者と思われる複数の男性に語りかけている(映像)。

**

バグダーディー氏は、シリア国内におけるダーイシュ最後の支配地だったダイル・ザウル県南東部ユーフラテス川東岸の「バーグーズの戦いは終わった」としつつ、「だが、敵に対する消耗戦は長く続く」、「十字軍、そしてその民どもに対するイスラームおよびその民の戦いは長い。今回の戦い、そしてその後も続く」などと再三にわたって戦闘継続への意思を強調した。

そのうえで、「シリアで我々の戦闘員の身に起きたことの報復として、我々は8カ国で92の作戦を実行した」と述べ、そのなかには4月21日のスリランカでの連続自爆テロも含まれると主張した。

また、ビデオの後半部分で、バグダーディー指導者は同席した男たちから『トルコ州』というタイトルの冊子を手にしている。

AFP, April 29, 2019、ANHA, April 29, 2019、AP, April 29, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 29, 2019、al-Hayat, April 30, 2019、Reuters, April 29, 2019、SANA, April 29, 2019、UPI, April 29, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

YPG主体のシリア民主軍がダイル・ザウル県で爆破や暗殺に関与していたとされるダーイシュ・メンバー6人を逮捕(2019年4月29日)

ダイル・ザウル県では、ANHA(4月29日付)が人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍筋の話として伝えたところによると、シリア民主軍が25日、ジャルズィー村でダーイシュ(イスラーム国)のメンバー6人を拘束した。

6人は、同地での爆破や暗殺に関与していたという。

**

アレッポ県では、アフリーン解放軍団が声明を出し、26日と28日に、アアザーズ市近郊のカルジャブリーン村とカフルハーシル村で、トルコの支援を受ける国民軍などの反体制武装集団を攻撃し、戦闘員2人を殺害したと発表した。

ANHA(4月29日付)と伝えた。

AFP, April 29, 2019、ANHA, April 29, 2019、AP, April 29, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 29, 2019、al-Hayat, April 30, 2019、Reuters, April 29, 2019、SANA, April 29, 2019、UPI, April 29, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構はハマー県で拘束中のシリア軍士官2人を処刑(2019年4月29日)

ハマー県では、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構に近いイバー・ネット(4月29日付)によると、シャーム解放機構が、イドリブ県を中心とする反体制派支配地域(緊張緩和地帯第1ゾーン)でのシリア軍の攻撃激化への報復として、拘束中のシリア軍士官2人を処刑した。

シャーム解放機構が処刑したのは、アフマド・イブラーヒーム・ユースフ大佐、ルワイユ・ガリーブー氏(階級不明)で、2人は4月にファルワーン村で逮捕されていた。

AFP, April 29, 2019、ANHA, April 29, 2019、AP, April 29, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 29, 2019、al-Hayat, April 30, 2019、Reuters, April 29, 2019、SANA, April 29, 2019、UPI, April 29, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア軍がシャーム解放機構支配下のハマー県北部にある病院を爆撃、シリア軍もハマー県、イドリブ県のシャーム解放機構支配地域への砲撃を激化(2019年4月29日)

ハマー県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がラターミナ町にある病院を爆撃、住民3人が死亡、10人が負傷した。

この爆撃で、病院の施設も被害を受け、入院患者はイドリブ県カフルナブル市の病院に移送された。

ロシア軍戦闘機は、このほかシャフシャブー山(イドリブ県)に近いクーラ村を爆撃した。

また、シリア軍も、カルアト・マディーク町、シャフシャブー山のトルコ軍監視所に近いシール・マガール村にある避難民キャンプ、サフリーヤ村を砲撃した。

さらに、カルアト・マディーク町一帯では、シリア軍とシャーム解放機構が交戦、シリア軍兵士8人、シャーム解放機構の戦闘員3人が死亡した。

一方、SANA(4月29日付)によると、シリア軍はカルカート村とカルアト・マディーク町を結ぶ街道を移動するシャーム解放機構の車輌を攻撃した。

シリア軍はまた、ラターミナ町、ハスラーヤー村からシリア政府支配地域に潜入しようとした反体制武装集団を撃退した。

これに対し、反体制武装集団はシリア政府支配下のスカイラビーヤ市を砲撃し、民間などに被害が出たという。

こうしたなか、ドゥラル・シャーミーヤ(4月29日付)が複数の活動家の情報として伝えたところによると、シリア政府は県北部のブライディージュ村の住民に退去を要請した。

退去要請の理由は不明だが、ロシア政府がシリア政府にこれを指示したという。

**

イドリブ県では、SANA(4月29日付)によると、シリア軍がバシーリーヤ村、フバイト村一帯にあるシャーム解放機構の拠点を砲撃した。

こうしたなか、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握るイドリブ県、アレッポ県西部、ハマー県北部で活動を続ける複数の地元評議会が相次いで声明を出し、同地でのロシア軍によるパトロール活動を拒否する意思を示した。

声明を出したのは、イドリブ県サラーキブ市、アレッポ県、ハマー県カフルズィーター市、ラトミーン村の地元評議会。

**

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を3件(アレッポ県1件、ラタキア県1件、ハマー県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を23件(ハマー県11件、イドリブ県7件、アレッポ県4件、ラタキア県1件)確認した。

AFP, April 29, 2019、ANHA, April 29, 2019、AP, April 29, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 29, 2019、al-Hayat, April 30, 2019、Reuters, April 29, 2019、SANA, April 29, 2019、UPI, April 29, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米占領下のタンフ国境通行所に近いルクバーン・キャンプから数百人がシリア政府支配地域に帰国(2019年4月29日)

SANA(4月29日付)は、米主導の有志連合の占領下にあるヒムス県南東部のタンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプに身を寄せていたシリア難民数百人が、新たにスフナ市南部のジュライギーム通行所を通過し、シリアに帰国したと伝え、写真と映像を公開した。

AFP, April 29, 2019、ANHA, April 29, 2019、AP, April 29, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 29, 2019、al-Hayat, April 30, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, April 29, 2019、Reuters, April 29, 2019、SANA, April 29, 2019、UPI, April 29, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから310人、ヨルダンから727人の難民が帰国、避難民26人(うちラクバーン・キャンプからの帰還者0人)が帰宅(2019年4月29日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(4月29日付)を公開し、4月28日に難民1,037人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは310人(うち女性93人、子供158人)、ヨルダンから帰国したのは727人(うち女性225人、子供383人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は205,390人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者72,422人(うち女性21,873人、子ども36,854人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者132,968人(うち女性39,918人、子ども67,803人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 434,670人(うち女性130,449人、子供221,579人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,659,752人(うち女性1,997,926人、子供3,396,474人)。

**

一方、国内避難民26人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは14人(うち女性7人、子供3人)、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山の通行所を経由して帰還したのは12人(うち子供3人)、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は23,754人(うち女性7,556人、子供10,672人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,292,350人(うち女性390,115人、子供654,438人)となった。

なお、グラーブ山通行所を経由して帰還した12人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は0人だった。

これにより、2019年2月23日以降、同キャンプから帰国した難民は7,434人(うち女性2,017人、子供274人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, April 29, 2019をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.