イスラエル軍は1982年のレバノンで戦闘で行方不明となっていた兵士の遺体をシリア領内から奪還(2019年4月3日)

イスラエル日刊紙『マアレヴ』紙(4月3日付)などは、イスラエル軍がシリア領内で特殊作戦を実施したとし、その内容を伝えた。

同紙によると、特殊作戦は、1982年のレバノン侵攻時のシリア軍との間で行われた「スルターン・ヤアクーブの戦い」で行方不明となったイスラエル軍兵士ザハリア・バウメル(Zacharia Bawmel)氏の遺体奪還が目的。

イスラエル軍のジョナサン・コンリカス報道官(中佐)によると、バウメル氏は1960年米国生まれ、移民第1世代。

スルターン・ヤアクーブの戦いは、レバノンのベカーア県西ベカーア郡のシリア国境近くにあるスルターン・ヤアクーブ村で1982年6月10日から11日にかけて、シリア軍、パレスチナのサーイカ、レバノン諸派とイスラエル軍が行った戦車戦。

この戦いで、イスラエル軍兵士約20人が死亡、バウメル氏は、ズヴィ・フェルドマン(Zvi Feldman)氏、イェフダ・カッツ(Yehuda Katz)氏とともに行方不明とされていた。

「ほろ苦い歌」と名づけられたこの作戦は、約1ヶ月を要し、実施にあたったイスラエル諜報機関は先週、遺体を奪還、DNA検査により、本人であることを確認したという。

バウメル氏は拘束された後、殺害されたと見られている。

なお、遺体回収場所は明らかにしなかったが、コンリカス報道官によると「第三国がテルアビブに数日前に伝えてきた」という。

これに関して、イスラエルの13チャンネルは、ロシアが遺体の安置場所の特定と奪還を支援したと伝えた。

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イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、作戦の成功に関して「モサド、シャバク、軍情報機関、イスラエル軍に御礼を言いたい…。こうした努力は、広範な外交プロセスによるもので、その将来は将来語られることになろう」と述べた。

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パレスチナ解放人民戦線総司令部派のアンワル・ラジャー報道官は「ヤルムーク・キャンプのテロ集団がイスラエル軍兵士の遺体を引き渡した張本人だ」と批判した。

ラジャー報道官は「おそらく武装集団がヤルムーク・キャンプの墓地を掘り返す作業中に遺体を見つけたのだろう…。遺体発見はテロ集団とイスラエル諜報機関の連携によるもので…。テロリストはイスラエル軍兵士の遺体をトルコに運び、イスラエルに引き渡した」などと述べた。

『ハヤート』(4月4日付)が伝えた。

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レバノンのワリード・ジュンブラート進歩社会主義党党首は、ツイッターのアカウントで、「イスラエル軍兵士の遺体引き渡しは、誰が仲介したか分からないが、無償の贈り物だ…。だが、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の価値は選挙で決まる」などと綴った。

AFP, April 3, 2019、ANHA, April 3, 2019、AP, April 3, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 3, 2019、al-Hayat, April 4, 2019、Maariv, April 3, 2019、Reuters, April 3, 2019、SANA, April 3, 2019、UPI, April 3, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダルアー県でイラン・イスラーム革命防衛隊のイラク人司令官が武装集団に撃たれる(2019年4月3日)

ダルアー県では、ハウラーン自由人連合のフェイスブックのアカウント(4月3日付)によると、ブスル・ハリール市でイラン・イスラーム革命防衛隊の司令官の1人でイラク人のアブー・フサイン・イラーキーが武装集団から発砲を受け、負傷、イズラア市の病院に搬送された。

AFP, April 3, 2019、ANHA, April 3, 2019、AP, April 3, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 3, 2019、al-Hayat, April 4, 2019、Reuters, April 3, 2019、SANA, April 3, 2019、UPI, April 3, 2019などをもとに作成。

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首都ダマスカスで空軍情報部と地元の国防隊メンバーが交戦(2019年4月3日)

ダマスカス県では、レバノン日刊紙『ムドゥン』(4月3日付)によると、アッシュ・ウルール地区で、国防隊と空軍情報部が交戦した。

戦闘は、空軍情報部が刑事事件で指名手配中のアッシュ・ウルール地区の国防隊メンバーを拘束しようとして発生したという。

AFP, April 3, 2019、ANHA, April 3, 2019、AP, April 3, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 3, 2019、al-Hayat, April 4, 2019、al-Mudun, April 3, 2019、Reuters, April 3, 2019、SANA, April 3, 2019、UPI, April 3, 2019などをもとに作成。

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イラクのクルディスタン自治政府:ダーイシュから救出されたサウジアラビアの少年2人はトルコではなくイラクを経由して帰国(2019年4月3日)

イラクのクルディスタン自治政府のテロ撲滅総局は声明を出し、サウジアラビア諜報機関がシリア領内でダーイシュ(イスラーム国)から少年2人を救出した作戦に関して、トルコではなく、イラクのエルビル市を経由して3月26日にサウジアラビアに帰国したと発表した。

ルダウ・チャンネル(4月3日付)が伝えた。

AFP, April 3, 2019、ANHA, April 3, 2019、AP, April 3, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 3, 2019、al-Hayat, April 4, 2019、Reuters, April 3, 2019、Rudaw, April 3, 2019、SANA, April 3, 2019、UPI, April 3, 2019などをもとに作成。

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イラン匿名高官筋「イランはシリア政府とハマースの関係改善を仲介している」(2019年4月3日)

アル・モニター(4月3日付)は、イランの匿名高官筋の話として、イランがシリア政府とハマースの関係改善を仲介していると伝えた。

同高官筋によると、イランは2017年初め以降、シリア政府とハマースを仲介しており、関係改善のためハマース幹部と会談を重ねているという。

これに対して、シリア政府は、ハーリド・ミシュアル政治局長を筆頭とするハマースの幹部が、カタールとトルコを宥めるために、2012年にダマスカスから退去し、「シリア革命」を支持する姿勢を示し、シリア政府と断交したことに理解を示しているという。

AFP, April 3, 2019、ANHA, April 3, 2019、AP, April 3, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 3, 2019、al-Hayat, April 4, 2019、al-Monitor, April 3, 2019、Reuters, April 3, 2019、SANA, April 3, 2019、UPI, April 3, 2019などをもとに作成。

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アレッポ県北部各所でトルコ軍およびその支援を受ける国民軍がYPG主体のシリア民主軍と交戦(2019年4月3日)

アレッポ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(4月3日付)によると、トルコの支援を受ける国民軍がジャラーブルス西のアウン・ダーダート村にあるシリア民主軍の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

攻撃は、シリア民主軍の士官の1人がアウン・ダーダート村で少女に暴行を加えようとしたことへの対抗措置だという。

国民軍はまた、カフルハーシル村、カフル・カルビーン村一帯に潜入しようとしたシリア民主軍を撃退し、多数の戦闘員を殺傷した。

さらにマーリア市一帯でも国民軍はシリア民主軍と砲撃戦を行った。

一方、ANHA(4月3日付)によると、トルコの支援を受ける反体制武装集団が、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍に所属するバーブ軍事評議会のタッル・トゥーリーン村、ブワイヒジュ村にある拠点を攻撃した。

これに対してバーブ軍事評議会は、砲撃を行った武装集団が拠点を構えているクライディーヤ村に向けて反撃した。

また、トルコ軍とその支援を受ける反体制武装集団は、トルコ占領下のシーラーワー町近郊のサグーナーカ村、ウカイバ村を砲撃し、住宅が被害を受けた。


これに対して、アフリーン解放軍団が声明を出し、4月1日にトルコ占領下のアアザーズ市近郊のカフルハーシル村近郊のシャーム軍団拠点を爆破し、戦闘員1人を殺害したと発表した。

AFP, April 3, 2019、ANHA, April 3, 2019、AP, April 3, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 3, 2019、al-Hayat, April 4, 2019、Reuters, April 3, 2019、SANA, April 3, 2019、UPI, April 3, 2019などをもとに作成。

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ヨルダンからのシリア難民の帰国続く(2019年4月3日)

SANA(4月3日付)は、ヨルダンのアズラク・キャンプで避難生活を送っていたシリア難民約150人がダルアー県のナスィーブ国境通行所を経由して新たにシリアに帰国したと伝え、その写真や映像を公開した。

AFP, April 3, 2019、ANHA, April 3, 2019、AP, April 3, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 3, 2019、al-Hayat, April 4, 2019、Reuters, April 3, 2019、SANA, April 3, 2019、UPI, April 3, 2019などをもとに作成。

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シリア国内各地で、ゴラン高原に対するイスラエルの主権を承認したトランプ大統領の決定に抗議するデモ続く(2019年4月3日)

シリア各地で、人民諸組織、組合諸組合、パレスチナ住民委員会などの呼びかけで、ドナルド・トランプ米大統領が3月25日にシリア領ゴラン高原に対するイスラエルの主権を認める大統領令に署名したことに抗議するデモが行われ、多くの住民が参加した。

抗議デモが行われたのは、スワイダー市、首都ダマスカス(ダマスカス郊外県農業局前)、ダマスカス郊外県バービッラー市、ハマー市、クナイトラ県クサイバ村、ハサカ市、ヒムス市、ダイル・ザウル市、タルトゥース市。

スワイダー県
首都ダマスカス
バービッラー市
ハマー市

 

クサイバ村
ハサカ市
ヒムス市
ダイル・ザウル市
タルトゥース市

SANA(4月3日付)が伝えた。

AFP, April 3, 2019、ANHA, April 3, 2019、AP, April 3, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 3, 2019、al-Hayat, April 4, 2019、Reuters, April 3, 2019、SANA, April 3, 2019、UPI, April 3, 2019などをもとに作成。

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ロシア軍がイドリブ県を爆撃、シリア軍がイドリブ県、ハマー県、アレッポ県を砲撃、シリアのアル=カーイダなどがこれに反撃(2019年4月3日)

イドリブ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(4月3日付)によると、ロシア軍戦闘機複数機が、ナビー・アイユーブ丘一帯に対して8回以上にわたってミサイル攻撃を行った。

また、シリア軍がマアッル・シャマーリーン村やマアッラト・ヌウマーン市を砲撃し、マアッル・シャマーリーン村では子供1人が死亡した。

シリア軍の砲撃に対して、イッザ軍が県西部のカリーム村、カブル・フィッダ村にあるシリア軍拠点を砲撃した。

また、シャーム解放機構に近いイバー・ネット(4月3日付)によると、シャーム解放機構はフワイン村近郊のシャンム・ハワー村にあるシリア軍拠点1カ所を砲撃し、兵士多数を殺傷したという。

一方、SANA(4月3日付)によると、シリア軍がハーン・シャイフーン市、タッフ村、フワイン村、ブサンクール村一帯にあるシャーム解放機構の拠点を砲撃した。

シリア軍はまた、タッル・マンス村、マアッル・シャマーリーン村、ナビー・アイユーブ丘、ザーウィヤ山一帯の反体制武装集団の拠点を砲撃した。

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ハマー県では、ドゥラル・シャーミーヤ(4月3日付)によると、シリア軍がハウワーシュ村を砲撃し、女性と子供を含む住民5人が死亡、複数が負傷した。

シリア軍はまた、シャリーア村、サフル丘、ジスル・バイト・ラース村、ムーリク市一帯を砲撃した。

これに対して、シャーム解放機構に近いイバー・ネット(4月3日付)によると、シャーム解放機構が県北部のシリア軍拠点を砲撃した。

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アレッポ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(4月3日付)によると、シリア軍がハーン・アサル村を砲撃し、住民3人が死亡した。

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を6件(アレッポ県3件、ラタキア県2件、イドリブ県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を8件(アレッポ県5件、イドリブ県1件、ラタキア県1件、ハマー県1件)確認した。

AFP, April 3, 2019、ANHA, April 3, 2019、AP, April 3, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 3, 2019、al-Hayat, April 4, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, April 3, 2019、Reuters, April 3, 2019、SANA, April 3, 2019、Shabaka Iba’ al-Ikhbariya, April 3, 2019、UPI, April 3, 2019などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから209人、ヨルダンから719人の難民が帰国、避難民68人が帰宅(2019年4月3日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(4月3日付)を公開し、4月2日に難民928人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは209人(うち女性63人、子供107人)、ヨルダンから帰国したのは719人(うち女性216人、子供367人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は176,202人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者63,302人(うち女性19,113人、子ども32,204人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者112,900人(うち女性33,897人、子ども57,567人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 405,482人(うち女性121,688人、子供206,693人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,696,131人(うち女性2,000,839人、子供3,415,027人)。

一方、国内避難民68人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは32人(うち女性13人、子供11人)、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは36人(うち女性15人、子供7人)、ヒムス県南東グラーブ山の通行所を経由して帰還したのは0人、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は12,210人(うち女性5,172人、子供6,520人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,283,806人(うち女性387,731人、子供650,286人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, April 3, 2019をもとに作成。

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