ロシア軍はマンビジュ市へのシリア軍の車列の進入を認めないシリア民主軍に対して、同市西の拠点を砲撃すると脅迫(2021年11月8日)

シリア人権監視団は複数のメディア筋の話として、ロシア軍が人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍に対して、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるアレッポ県マンビジュ市近郊の拠点に対して砲撃を加えると脅迫していると発表した。

同筋によると、ロシア軍はシリア民主軍に対して、シリア軍の戦車や軍用車輌からなる車列の進入を認めるよう求めているが、シリア民主軍がこれを拒否、ロシア軍士官の1人が、トルコ占領地との境界に位置するターイハト・トゥワイマート村(ターイハ村)・アブー・カフフ町間の通行所(マンビジュ市西)を砲撃すると脅迫したという。

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一方、ロシア軍は数日前にシリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるマンビジュ市西のアリーマ町に新たに設置していた基地から、ウンム・マイヤール村に撤退した。

AFP, November 8, 2021、ANHA, November 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, November 8, 2021、Reuters, November 8, 2021、SANA, November 8, 2021、SOHR, November 8, 2021などをもとに作成。

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イスラエル軍がレバノン北部を領空侵犯、シリア沿岸部、中部をミサイル攻撃、兵士2人負傷(2021年11月8日)

SANA(11月8日付)は、軍筋の話として、イスラエル軍が午後7時16分、レバノンの首都ベイルート北の領空を侵犯し、同上空から、シリア沿岸部および中部に対してミサイル攻撃を発射、シリア軍防空部隊がこれを迎撃し、そのほとんどを撃破するも、兵士2人が負傷、若干の物的被害が出たと伝えた。

https://www.facebook.com/syrianarabnews/posts/639254097457671

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シリア人権監視団によると、このミサイル攻撃によると思われる爆発が、タルトゥース県内のシリア軍基地で発生し、シリア軍兵士多数が負傷、またヒムス県、タルトゥース県の複数カ所で火災が発生した。

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一方、ナシュラ(11月9日付)によると、レバノンのベカーア県ヘルメル郡のサフラート・マー町にシリア軍が発射したミサイルの残骸が落下し、民家複数棟が被害を受け、女性1人が負傷した。

AFP, November 8, 2021、ANHA, November 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, November 8, 2021、Elnashra, November 9, 2021、Reuters, November 8, 2021、SANA, November 8, 2021、SOHR, November 8, 2021などをもとに作成。

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トルコの占領下にあるアレッポ県アフリーン市などで、シリア国民軍ハムザ師団の戦闘員どうしが交戦し、発端はトルコ軍装甲車密売と麻薬密造の容疑がかかる司令官どうしの対立(2021年11月8日)

アレッポ県では、SANA(11月8日付)、ANHA(11月8日付)によると、トルコの占領下にあるジンディールス町近郊のジャウラカーン村、アフリーン市で、シリア国民軍に所属するハムザ師団の戦闘員どうしが交戦し、戦闘員多数が死傷した。

シリア人権監視団によると、アブー・ジャービルを名乗る司令官が、ガーブ旅団のアラー・ジュナイド司令官の兄弟をジャウラカーン村で拘束したのが発端。

拘束された兄弟を奪還するため、ガーラ旅団がジャウラカーン村、カフルシール村、さらにはアフリーン市のハムザ師団の拠点に攻撃を加えたことを受けて、激しい戦闘になった。

ガーブ旅団の攻撃は、ハスナキー・バリール司令官の司令部にも及んだという。

ジュナイド司令官は、リビアでトルコ軍の装甲車1輌をロシアのワグネル・グループ社の傭兵に転売した容疑をかけられている。一方、アブー・ジャービル司令官、バリール司令官は麻薬密造を疑われている。

AFP, November 8, 2021、ANHA, November 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, November 8, 2021、Reuters, November 8, 2021、SANA, November 8, 2021、SOHR, November 8, 2021などをもとに作成。

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ダイル・ザウル県では「人民諸派」がシリア民主軍を襲撃し兵士1人を殺害する一方、ダーイシュもシリア民主軍を襲撃(2021年11月8日)

ダイル・ザウル県では、SANA(11月8日付)によると、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にある県西部のジーア村とジャラーミダ村を結ぶ街道で「人民諸派」が人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の兵士を機関銃で襲撃し、1人を殺害した。

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一方、シリア民主軍は、米主導の有志連合のヘリコプター支援を受けてスブハ村とフナイジーン村に突入し、住民2人を殺害、女性1人を含む多数を連行した。

シリア人権監視団によると、殺害されたのはダーイシュ(イスラーム国)に協力していたとされる男性。

また、連行されたのは元武器商人とその妻ら。

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他方、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にあるブサイラ市で、シリア民主軍第1旅団の司令部に向けてダーイシュ(イスラーム国)がRPG弾を発射し、戦闘となった。

さらに、フナイジーン村では、民家複数棟と葬儀用テント1張を襲撃し、アダス部族の男性1人を殺害した。

ダーイシュが襲撃したのは、シリア民主評議会の農業委員会の委員長を務めるM.A氏、ダイル・ザウル民政評議会総合渉外局の議長を務めるN.A.氏、人民議会議員のM.A.氏の自宅などで、いずれもウバイダート部族に属しているという。

AFP, November 8, 2021、ANHA, November 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, November 8, 2021、Reuters, November 8, 2021、SANA, November 8, 2021、SOHR, November 8, 2021などをもとに作成。

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ダルアー県で地元民兵司令官、住民らが襲撃を受け死亡(2021年11月8日)

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ムサイフラ町とウンム・ワラド村を結ぶ街道で、正体不明の武装集団がシリア軍に協力する地元民兵の司令官が乗った車を襲撃、司令官を含む2人を殺害した。

また、タスィール町でも住民1人が正体不明の武装集団の襲撃を受けて死亡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を4件(イドリブ県2件、ラタキア県0件、アレッポ県2件、ハマー県0件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は0件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を3件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。
https://www.facebook.com/mod.mil.rus/posts/3085556485020420

AFP, November 8, 2021、ANHA, November 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, November 8, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, November 8, 2021、Reuters, November 8, 2021、SANA, November 8, 2021、SOHR, November 8, 2021などをもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で188人、北・東シリア自治局支配地域で126人、アル=カーイダとトルコの支配下にあるイドリブ・アレッポ県で186人(2021年11月8日)

保健省は政府支配地域で新たに188人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者96人が完治し、10人が死亡したと発表した。

これにより、11月8日現在の支配地内での感染者数は計45,284人、うち死亡したのは2,630人、回復したのは27,122人となった。

SANA(11月8日付)が伝えた。

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北・東シリア自治局の保健委員会(保健省に相当)は、支配地域で新たに126人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、3人が完治し、21人が死亡したと発表した。

これにより、11月8日現在の支配地内での感染者数は計36,576人、うち死亡したのは1,453人、回復したのは2,478人となった。

新規感染者の性別の内訳は、男性77人、女性49人。

また地域の内訳は、ハサカ県のハサカ市12人、カーミシュリー市28人、マーリキーヤ(ダイリーク)市14人、ルマイラーン町2人、シャッダーディー市1人、マアバダ(カルキールキー)町1人、ジュワーディーヤ(ジャッル・アーガー)村2人、アレッポ県のマンビジュ市41人、アイン・アラブ(コバネ)市26人。

https://www.facebook.com/smensyria/posts/1722541184602478

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反体制系NGOの支援連携ユニットは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」とトルコ占領下の「オリーブの枝」地域と「ユーフラテスの盾」地域で11月8日に新たに186人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、435人が完治し、2人が死亡したと発表した。

新規感染者の内訳は、イドリブ県ジスル・シュグール郡0人、イドリブ郡78人、ハーリム郡29人、アリーハー郡6人、アレッポ県スィムアーン山郡19人、ジャラーブルス郡5人、バーブ郡4人、アフリーン郡28人、アアザーズ郡17人。

これにより、同地での感染者数は計90,021人、うち死亡したのは1,934人、回復したのは53,610人となった。
https://www.facebook.com/ACUSyria/posts/1705494979655386

AFP, November 8, 2021、ACU, November 8, 2021、ANHA, November 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, November 8, 2021、Reuters, November 8, 2021、SANA, November 8, 2021、SOHR, November 8, 2021などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民304人と国内避難民(IDPs)8人が新たに政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は720,589人、2019年以降帰還したIDPsは104,484人に(2021年11月8日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報を公開し、11月7日に難民304人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民291人(うち女性88人、子供148人)、ヨルダンから帰国したのは13人(うち女性4人、子供7人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は720,589人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者324,194人(うち女性97,430人、子ども165,055人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者396,395人(うち女性118,965人、子ども202,157人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,813,318人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は949,869人(うち女性285,053人、子供484,134人)となった。

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一方、国内避難民8人が新たに帰宅した。

ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由して帰宅したのは8人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは0人、イドリブ県の「緊張緩和地帯」から帰宅したのは8人だった。

グラーブ山通行所経由の帰還者のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は8人だった。

これにより、
2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は104,484人(うち女性40,792人、子供33,883人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,373,080人(うち女性423,351人、子供677,649人)となった。
https://www.facebook.com/mod.mil.rus/posts/3085553811687354

Ministry of Defence of the Russian Federation, November 8, 2021をもとに作成。

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