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反体制勢力の動き
イスラーム旅団のムハンマド・ザフラーン・アブドゥッラー・アッルーシュ司令官は声明を出し、東グータ地方の若者にジハードへの参加を呼びかけた19日の声明(20日付声明)に関して、「我々はこの文書を承認しない。文書は我々(の姿勢)を代表しない」と関与を否定した。
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ダマスカス郊外県革命評議会指導部報道官を名乗るムハンマド・サイード氏はクッルナー・シュラカー(9月20日付)に、イスラーム旅団の司令官であるアブー・マアルーフがマアルーラー市での政府との「停戦」を反故にするだろうと述べた。
サイード氏によると、アブー・マアルーフは「政権が捕虜釈放の見返りに、マアルーラー市での停戦(攻撃停止)をめざしているが、それは同市一帯地域での弱さゆえであり、いずれ軍を動員して、再び停戦を破り、メディアでの勝利を収めようとしている。我々はアッラーの許しのもと、こうしたことを決して許さない」と述べたという。
シリア政府の動き
カドリー・ジャミール経済問題担当副首相は、ロシア・トゥデイ(9月20日付)に、ジュネーブ2会議の開催中に停戦を求めるだろうと自身が述べたとする『ガーディアン』(9月19日付)の報道内容を否定した。
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『ハヤート』(9月21日付)は、複数の反体制筋の話として、ダマスカス郊外県マアルーラー市一帯の完全制圧作戦を指揮していた第3師団のサリーム・バラカート少将が当局によって逮捕されたと報じた。
同報道は、制圧作戦の「失敗」を受けて、バラカート少将が逮捕されたと報じている。
国内の暴力
ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、バルザ区で、軍と反体制武装集団が交戦、またヤルムーク区に迫撃砲弾が着弾した。
一方、SANA(9月20日付)によると、バルザ区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備・地下トンネルを破壊した。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムウダミーヤト・シャーム市周辺を軍が空爆した。
一方、SANA(9月20日付)によると、シャブアー町、ダイル・アサーフィール市、ザマルカー町、アーリヤ農場、ダイル・サルマーン市、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、ヤブルード市、ザバダーニー市郊外の山間部で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ヒムス県では、SANA(9月20日付)によると、スルターニーヤ村、西サラーム村、東サラーム村で、軍が反体制武装集団の掃討を完了、同地の治安を回復した。
またヒムス市バーブ・フード地区、クスール地区、ジャウラト・シヤーフ地区、ラスタン市、ダール・カビーラ村、ハーリディーヤ村、ガントゥー市、ガジャル村、キースィーン市、タルビーサ市、ダイル・フール村、ドゥワイル村、マスラビーヤ村、マクラミーヤ村、カフルラーハー市、タッルドゥー市、カフルナーン村、ザアフラーナ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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アレッポ県では、SANA(9月20日付)によると、フライターン市、ダイル・ハーフィル市、フマイマ村などで、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
アレッポ市サラーフッディーン地区、旧市街、サーフール地区で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダルアー県では、SANA(9月20日付)によると、アトマーン村、シャイフ・サアド村、アドワーン村、ナワー市、タイバ町、ムザイリーブ町、ヤードゥーダ村、ジーザ町、フラーク市、ヌアイマ村、ジャースィム市、ラジャート市、アブー・ガーラ市、ライード市、アイン・フライジャ市、サイダー町、バサーラ市、ナダー村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、ヨルダン人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、アルバイーン山各所、タマーニア町、マルイヤーン村などを軍が空爆・砲撃した。
一方、SANA(9月20日付)によると、ビンニシュ市、ムスィービーン市、ファイルーン市、イドリブ中央刑務所周辺、ナフリヤー市、カフルラーター市、タッル・サラムー村、ブワイティー村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
レバノンの動き
レバノンの声ラジオ(9月20日付)などによると、ベカーア県西ベカーア郡で、RPG、手榴弾、爆発物80キロを所持していたパレスチナ人1人とシリア人2人を当局が逮捕した。
諸外国の動き
チュニジアの女性家族問題省は声明を出し、サラフィー主義者がシリアでの戦闘に慰安婦を派遣しているいわゆる「結婚ジハード」問題に関して、「宗教道徳的価値に明らかに反する…忌まわしい行為」と非難、当局に然るべき法的措置を行うよう求めた。
UPI(9月20日付)が報じた。
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欧州、アジア、アフリカ、オセアニア、ラテンアメリカの28カ国外相が、シリアにおけるすべての紛争当事者に対して暴力停止を呼びかける共同声明を発表した。
共同声明に署名したのは、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、コートジボワール、クロアチア、キプロス、チェコ、デンマーク、エジプト、エストニア、EU、フィンランド、ギリシャ、ハンガリー、インドネシア、アイルランド、カザフスタン、ラトビア、ルクセンブルグ、オランダ、ポーランド、スロバキア、スロベニア、スペイン、スイス、タイの外相。
日本の外相は署名していない。
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イランのホセイン・ロウハーニー大統領は『ワシントン・ポスト』(9月20日付)に「なぜイランは建設的関与をめざすのか」と題したコラムを寄稿した。
同コラムのなかで、ロウハーニー大統領はシリアとバーレーンの情勢に触れ、両国に「国民対話」を行うよう呼びかけるとともに、イランがシリアの紛争当事者を仲介すると述べた。
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イタリアの沿岸警備隊は、シチリア島近くでシリアの紛争から逃れてきたというシリア人400人以上が乗った船2隻を発見し、シラクーザ港に曳航した。
避難途中で22歳の女性1人が死亡したという。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、8月に入って、3,300人のシリア人が同様のルートでイタリアに避難したという。
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国際原子力機関(IAEA)は総会で、イスラエルに核拡散防止条約(NPT)への加盟と査察の受け入れを求める決議案を賛成43、反対51、棄権32で、否決した。
決議案はアラブ諸国が提出、ロシア、中国が賛成したが、米国、西欧諸国、日本は反対した。
AFP, September 20, 2013、al-Hayat, September 21, 2013, September 22, 2013、Kull-na Shuraka’, September 20,
2013、Kurdonline, September 20, 2013、Naharnet, September 20, 2013、Reuters,
September 20, 2013、Rihab News, September 20, 2013、SANA, September 20, 2013、UPI,
September 20, 2013、The Washington Post, September 20, 2013などをもとに作成。
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