2013年9月10日のシリア情勢

反体制勢力の動き

自由シリア軍合同司令部中央広報局のファフド・ミスリー氏は、AKI(9月10日付)に、シリアの化学兵器の国際管理・廃棄に関するロシアの提案にワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣が歓迎の意を示したことに関して「シリア政府と米国に取引があったのではなく、強力な軍事攻撃で背骨が折られるのを政権が回避しようとする無駄な試みに過ぎない」と述べた。

またマアルーラー市での攻防に関して、ミスリー氏は、「シャームの民のヌスラ戦線とイラク・シャーム・イスラーム国を駆り立てて、キリスト教の町マアルーラーを襲撃させ…、シリアのマイノリティの恐怖を煽り…、シリア革命に対する西側世論の反感を高め、(シリアには)革命ではなくテロリストがいるとの念を広めようとしている」と主張した。

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シリア革命反体制勢力国民連立はイスタンブールで声明を出し、シリアの化学兵器の国際管理・廃棄に関するロシアの提案を「政治的陰謀…、シリア国民のさらなる死と流血を招くだろう」と非難し、「国際法違反はその規模に応じた真の国際社会の制裁を必要としている」と述べ、米国の軍事攻撃を求めた。

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『ハヤート』(9月11日付)によると、カラムーン解放戦線と自由シリア軍の各部隊はビデオ声明を出し、「流血を避けるため、我々は政権とそのシャッビーハがマアルーラー市に入らないことを条件に、同市の中立化を宣言する」と発表し、撤退の用意があるとの意思を示した。

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離反士官のザーヒル・サーキト准将は、クッルナー・シュラカー(9月10日付)に、アサド政権が米国の軍事攻撃に備えて、化学兵器を都市の住宅地区に隠す一方、一部をヒズブッラーの武器庫に移動させたと主張した。

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反体制組織のアラブ社会民主義バアス党の重鎮、イブラーヒーム・マーフース氏(88歳)が、亡命先のアルジェリアで長い闘病の末死去した。

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反体制サイトのクッルナー・シュラカー(9月10日付)は、SNSでの書き込みの情報として、ダマスカス県のカシオン山で、キャンプを張って米国の軍事攻撃に対する抗議行動を行っていた男女24人が、「集団セックス」に興じたとの理由で、逮捕された、と報じた。

シリア政府の動き

CBSのチャーリー・ローズ記者が8日に行ったアサド大統領とのインタビューの映像が放映された。

インタビューのなかでのアサド大統領の主な発言は以下の通り。

「米政権の高官らから過去2週間にわたって我々が耳にしてきた嘘に対して、我々は最悪の事態を予想しなければならない…我々はあらゆる可能性について準備している。しかし、備えあれば憂いなしという意味ではない。馬鹿げた空爆や馬鹿げた戦争で事態はもっと悪くなろうとしているからだ…。最初の空爆でどのような反響が生じるかなど誰も話すことはできない…。この絡み合う地域…のどこかに空爆すれば、予期していなかった別の場所で、別のかたちで反響が生じる…。反響は時として空爆そのものよりも破壊的なこともある。米国の空爆は、テロリストが破壊したほどにシリアで破壊をもたらさないだろうが、その反響は空爆の倍になるかもしれない」。

「どのような空爆であれ、アル=カーイダの分派であるいわゆるヌスラ戦線とイラク・シャーム・イスラーム国を直接支援することになる」。

(化学兵器の使用に関して)「我々はいかなる大量破壊兵器にも反対だ」。

(化学兵器禁止条約への未加盟に関して)「まだ加盟していない…。なぜならイスラエルが大量破壊兵器を保有しているからだ。イスラエルは(条約に)署名しなければならない。またイスラエルは我々の領土を占領している。我々はシリアでも、イスラエルでもなく中東について話さねばならない。包括的であるべきなのだ」。

(化学兵器の保有に関して)「我々は持っていると言ったことはない。持っていないとも言ったことはない。これはシリアの問題だ。誰かに公に話すことができない軍事的な問題だ…。しかしメディアが言っていることに依拠するのはナンセンスだ。諜報機関の一部報告に依拠することもナンセンスだ。それは10年前に彼らがイラクを侵略したときに証明済みだ」。

「(シリア)政府が化学兵器を使ったと彼ら(西側)が言っている地域では、ビデオ映像があるだけだ。写真、そして(化学兵器が使用されたという)主張があるだけだ。我々の軍、警察は…そこにはいなかった。証拠もないのにどうして起こったと言えるのか?我々は米政府でも、ソーシャル・メディアとは違って…、現実に対処しなければならない政府なのだ。我々は証拠を得れば、それについて発表する」。

「彼(ジョン・ケリー米国務長官)は、自分の確信を示しただけだ…。これに対して、ロシアは(化学兵器を装填した)ミサイルが反体制集団の支配地域から撃たれたというまったく逆の証拠を持っている」。

「何よりもまず、彼ら(反体制武装集団)は、ロケット弾を持っている。彼らはロケット弾を数ヶ月にわたってダマスカスに撃ち込んでいる…。彼らには(化学兵器を装填する)手段がある…。次に、彼らが過去数週間云々しているサリン・ガスは、非常に原始的なガスだ。裏庭でも作れる。複雑なものではない…。第3に、彼らはシリア北部のアレッポ県で化学兵器を使用した。第4に、ユーチューブにはテロリストがウサギを使って実験し…「こうしてシリア人を殺しているんだ」と言っている映像がアップされている。第5に、「彼ら(反体制武装集団)は私たちにどうやって化学兵器を使うかを説明しなかった」と証言する…女性(協力者)の新しいビデオもアップされている…。これが我々の持っている証拠だ。いすれにせよ、人を非難するには、証拠を示さねばならない。米国はシリアを非難しているだけだ…。空爆でどうして(化学兵器使用の)証拠が隠蔽できるのか?技術的には、空爆は何の役にも立たない。はっきり言って馬鹿げている…。自分の軍が100メートルしか離れていないのにどうして大量破壊兵器を使うことができるのか?論理的か?そんなことは行われない。軍事について知らない人でもこのことは知っている。進軍中に化学兵器をどうして使うのか…?」。

(軍の一部ないしは第三者が化学兵器を使用したとの指摘に関して)「こうした兵器は歩兵などが取り扱うことはできない。こうした兵器は特殊部隊が取り扱うべきもので、誰の手にもわたるものではない」。

「オバマが自分でレッドラインを引いただけだ…。我々には我々のレッドラインがある…。もし世界のレッドラインについて語るのなら、米国はイラクで劣化ウランを使い、イスラエルはガザで白リン弾を使ったが、誰も何も言わなかった。どういうレッドラインだ?レッドラインなどではない。政治的なレッドラインだ」。

「我々は地域で狂った戦争が起こるのを阻止するために何でもするだろう。シリアだけではなく、シリアで始まる戦争だからだ」。

「イランはシリア国内に兵を置いていない…。(武器供与は)危機発生以前からの話で、我々はこうした協力を常に行っている…。(ヒズブッラーは)自らが自衛し、我々と協力したいと考えている対レバノン国境にいるが、シリア全土にはいない」。

「シリアのすべての友人が平和的解決を探求している…。まず…テロリストが外国から潜入すること、その資金・兵站支援などを止めることから始められるべきだ…。そのうえで、次にさまざまなシリアの当事者がシリアの未来を議論するための…国民対話を行うことができる。第3に、暫定政府、ないしは移行期政府を作り、そのうえで議会選挙…、さらには大統領選挙を行う」。

(米国がシリアへの軍事攻撃に踏み切った場合)「あらゆることが起きて然るべきだ。この地域には今、様々な党派、さまざまなイデオロギーがある。だからそう予期しなければならない…。もしこの地域の反乱分子やテロリスト、ないしはそれ以外のグループが(化学兵器を)持っていれば、そうしたこと(化学兵器攻撃)は起こり得る。私には分からないが。私は何が起きるかを話せる予言者ではないので」。

「我々は、たとえば(反体制武装集団の)80%、ないしは圧倒的多数が外国人だなどとは言っていない。我々は、大多数がアル=カーイダ、ないしはその分派である組織だと言ったのだ。アル=カーイダだと言うとき、それがシリア人か、アメリカ人か、欧州出身者か、アジア・アフリカ出身者かは問題ではない…。我々は多数派がシリア人でないなどとは言っていないが、少数派がいわゆる「自由シリア軍」だと言ったのだ」。

「(シリアの紛争は)宗教戦争ではない。しかしアル=カーイダはいつも宗教、つまりはイスラームを自分たちの戦争、テロ、殺戮などのための口実として利用している」。

「(紛争長期化は)外国の干渉ゆえだ。米国、西側諸国、サウジアラビア、そしてつい最近まではカタール、そしてトルコなどに支えられた外的アジェンダがあるためだ。だから2年半も続いている」。

「もし米国政府がアル=カーイダを支援したいのなら、そうすればいい。我々が彼らに言うべきは、アル=カーイダを支援しろ、だが、反乱分子や自由シリア軍について云々するな、ということだ。戦闘員の大隊数は今やアル=カーイダだからだ。戦闘員を支援したいということは、つまりはアル=カーイダを支援するということだ。この地域に大惨事をもたらすということだ。この地域が安定しなければ、世界も安定はしない」。

(どのように紛争が終わるかとの問いに対して)「非常に単純だ。西側諸国がテロリストへの支援を止め、操り人形のような国、例えばサウジアラビア、トルコなどに圧力をかければ、シリアには何の問題も生じないだろう。簡単に解決する。なぜなら、あなた方が話題にしているシリア人の戦闘員は、シリア社会にその「培養器」を失っているからだ。だから彼らは外国で「培養」されているのだ。彼らは外国からの資金を必要とし、道徳的、政治的支援を必要としている。彼らにはいかなる草の根もなく、「培養器」もない。潜入を止めれば、問題はなくなる」。

(ロシア、イランの支援に関して)「私が支援を受けているのではない。シリアすべてだ。あなたの国(米国)と世界のそれ以外の国の協力関係と同じだ…。また外国の支援は国内の支援の代わりにはならない…。2年半我々が耐えている唯一の理由は、我々が国内の支持、大衆の支持を得ているからだ」。

「ここ(国内)で(革命を)始めた人々は、反乱分子と戦う政府を支援している。革命を欲していた人々は我々に協力している」。

「テロリストが占拠している地域で我々が最近目にしているものというと、彼らは人々が学校に通うことを禁じ、若者がひげを剃ることを禁じ、女性に頭からつま先まで隠すよう強いている。アフガニスタンのターリバーンとまったく同じスタイルだ…。こうしたテロリスト、過激派、ワッハーブ・スタイルを排除しなければ、次の世代に悪影響を及ぼすだろう」。

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ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣は、モスクワでロシア下院のセルゲイ・ナルイシキン議長と会談し、シリア情勢、両国関係などについて協議した。

ムアッリム外務在外居住者大臣は、9日のセルゲイ・ラヴロフ外務大臣との会談で、米国の攻撃の口実をなくすためにロシアが示したイニシアチブ(化学兵器の国際管理・廃棄)に同意したと述べた。

また会談に先立って、ムアッリム外務在外居住者大臣は、学兵器が配備されている場所をロシアに開示する用意があると述べるとともに、化学兵器禁止条約に加盟したいと述べた。

SANA(9月10日付)が報じた。

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ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣は、モスクワでのイランのホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン国際問題担当国務大臣と会談し、シリア情勢などについて協議した。

会談で、ムアッリム外務在外居住者大臣とアブドゥッラフヤーン国務大臣はともに、シリアの化学兵器の国際管理・廃棄に関するロシアの提案への歓迎の意を改めて示した。

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ワーイル・ハルキー首相は閣議で、シリアの化学兵器の国際管理・廃棄に関するロシアの提案に関連して「戦争回避をめざす国際社会のさまざまな政治的イニシアチブに協力する用意がある」と述べ、歓迎の意を示した。

SANA(9月10日付)が報じた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、軍がムウダミーヤト・シャーム市、ダーライヤー市南部、ナバク市郊外を激しく砲撃し、ムウダミーヤト・シャーム市では反対武装集団と交戦した。

一方、SANA(9月10日付)によると、ザバダーニー市東方の丘陵地帯タッラト・ラーキムで、軍が反体制武装集団の掃討を完了し、同地を制圧した。

また軍はマアルーラー市周辺一帯で、シャームの民のヌスラ戦線の追撃を続け、ラアス・アイン市、サルハ市などで複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

このほか、アルバイン市、カースィミーヤ市、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、ダーライヤー市、ダイル・サルマーン市、ムウダミーヤト・シャーム市郊外で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市の国立病院の検問所周辺で軍と反体制武装集団が交戦し、ヤードゥーダ村、アトマーン村を砲撃した。

一方、SANA(9月10日付)によると、ナワー市で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団がマスウーディーヤ村、ジュッブ・ジャラーフ村、マスカル・ヒサーン村近郊に結集し、村々を迫撃する一方、軍が応戦し、反体制武装集団を砲撃した。また同地一帯で、軍と国防隊が反体制武装集団と交戦した。

一方、SANA(9月10日付)によると、タドムル市で旅客バス5台を使ってガソリンを密輸しようとしていた密輸業者を摘発、ガソリン1,700リットルを押収した。

またヒムス市ワアル地区、ワーディー・サーイフ地区、カラービース地区、サムリール市、ダール・カビーラ村、タルビーサ市および同市郊外、シーハ村、ルワイス村で、軍が反体制武装集団と交戦し、外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、タイバト・イマーム市とハルファーヤー市間の街道にあるジスル検問所で軍と反体制武装集団が交戦し、市民9人が死亡した。

戦闘は隣接するハムラー村でも発生した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、バーブ市で、イラク・シャーム・イスラーム国のバフタリー学校からの退去を求める住民のデモが繰り返されるなか、市民の代表がイラク・シャーム・イスラーム国戦闘員との交渉を行った。

しかし同日午後には、軍がイラク・シャーム・イスラーム国の拠点である同学校を空爆、また夜にはイラク・シャーム・イスラーム国がシリア人の反体制武装集団と交戦し、複数が死傷した。

複数の活動家によると、イラク・シャーム・イスラーム国は、ドゥワイリーヤ村、クワイリス航空基地周辺からのシリア人反体制武装集団の撤退を条件に、バフタリー学校を含むバーブ市内の拠点を明け渡すとの姿勢を示しているという。

このほか、アレッポ市ではサラーフッディーン地区を軍が砲撃した。

またシャイフ・マクスード地区とアシュラフィーヤ地区では、民主連合党人民防衛隊とクルド戦線旅団が交戦し、双方に死傷者が出た。

一方、SANA(9月10日付)によると、キンディー大学病院周辺、ナイラブ・キャンプ北部、バナーン村、バーブ市、アウラム・スグラー・アターリブ街道、アンダーン市・フライターン市街道、ラスム・アッブード村、ターディフ市、カースィールー村、クワイリス村、バヤーヌーン町、アレッポ市ジャンドゥール地区、マサーキン・ハナーヌー地区、ジュダイダ地区などで、軍が反体制武装集団と交戦し、シャーム自由人大隊戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、アルバイーン山各所、サラーキブ市、バザーブール村、カフルラーター市を軍が「樽爆弾」などで空爆・砲撃、反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(9月10日付)によると、ジャフタルク村、ハーッジ・ハンムード村、ウンム・ジャリーン村、ラスム・アーイド村、タッル・サラムー村、タッル・カースィム村、マジャース村、カフルラーター市、バザーブール村、アルバイーン山、サルジャ市、マンタフ市、ラーム・ハムダーン市、イフスィム村、タラブ市、ハーッス村、イブリーン村、カフルルーマー村、マアッラト・ヌウマーン市で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザイル県では、『ハヤート』(9月11日付)が、シャリーア委員会(シャームの民のヌスラ戦線)に属する武装集団とイラク・シャーム・イスラーム国が、アレッポ県への石油の密輸をめぐって緊張を高めていると報じた。

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ダマスカス県では、SANA(9月10日付)によると、バルザ区、ジャウバル区、カーブーン区で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、SANA(9月10日付)によると、アイン・アラブ市、カンダースィーヤ村、ダルーシャーン村、リーハーニーヤ村で、軍が反体制武装集団を追撃し、リビア人、クウェート人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、SANA(9月10日付)によると、バジャーリーヤ村、カーミシュリー・タッル・ブラーク街道で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

レバノンの動き

ジャディード・チャンネル(9月10日付)によると、北部県アッカール郡アッブーディーヤ村郊外の対シリア国境に近い高速道路、ワーディー・ハーリド地方バニー・シャクル村の民家に、シリア領から何者かが発砲した。死傷者はなかった。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外務大臣は、シリアの化学兵器の国際管理・廃棄に関する提案について「シリア側とともに、ロシアのイニシアチブを実施するための具体的な計画を準備するために動いている…。計画実施に向けた行動は国連、安保理メンバー、化学兵器禁止機関の協力のもとに行われるだろう」と述べた。

また「化学兵器を国際管理下に置くイニシアチブを実施しようとする活動は、シリアの化学兵器使用に関するすべての情報を調査する必要を排除するものではない」と付言し、国連調査団による活動継続し、その超過結果を国連安保理で回付・協議すべきだとの見解を示した。

『ハヤート』(9月11日付)が報じた。

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バラク・オバマ米大統領はCBSなど米国のテレビ局6社との個別インタビューに応じ、シリア情勢への対応について説明した。

そのなかでオバマ大統領は、シリアの化学兵器の国際管理・廃棄に関するロシアの提案について「この外交解決策を追求する。非軍事的な方法で解決できることを切に願っている」と述べた。

ただし、ロシアの提案に応じるにあたっては「我々が検証し、実施できる合意」が必要になるとの認識を示し、「向こう数日かけて、真剣な提案かを見極めたい」と付言した。

さらにアサド政権に「圧力をかけ続ける必要がある」と述べ、シリアへの軍事攻撃の準備は続ける考えを示した。

また、ロシアの提案が実現すれば「もっとも中心にある懸案は解決される」として、軍事攻撃が「確実」に回避されると述べた。

オバマ大統領によると、シリアの化学兵器廃棄については、6日にロシアのサンクトペテルブルグでのG20サミットで、ロシアのヴラジミール・プーチン大統領と議論していたという。

なおオバマ大統領はPBSテレビとのインタビューでは、シリアへの軍事攻撃に関して「米国民の過半数の支持が得られるか分からない…。私の家族も、いかなる軍事行動にも慎重で疑わしく思っている」と吐露していた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、シリアの化学兵器の国際管理・廃棄に関するロシアの提案を受けて、国連憲章第7章に基づいた決議案を国連安保理に提出すると発表した。

ファビウス外務大臣によると、決議案は以下5点を骨子とする。

1. 8月21日のダマスカス郊外県での化学兵器攻撃をアサド政権によるものと断じて非難。
2. アサド政権による化学兵器計画の即時開示。化学兵器の国際管理と廃棄。
3. 化学兵器禁止機関によるシリア国内の査察。
4. シリア政府による決議不履行が、「深刻な結果」を招くとの警告。
5. 化学兵器使用の責任者の国際刑事裁判所での訴追。

ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外務大臣は、フランスのローラン・ファビウス外務大臣と電話会談し、シリアの化学兵器の国際管理・廃棄に関するロシアの提案に対して、国連憲章第7章に基づいた国連安保理決議の採択をめざすとしたファビウス外務大臣の姿勢を「受け入れられない」と拒否した。

これに対して、フランス外務省報道官は、ラヴロフ外務大臣が「目を通す前に決議(案)の文言を拒否したことに驚いている」としつつ、「大原則と目的を維持する限りにおいて、決議案を修正する準備がある」と述べた。

シャームプレス(9月11日付)が報じた。

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英国政府報道官は、シリアの化学兵器の国際管理・廃棄に関するロシアの提案に関して「際限のないプロセスであってはならない」と警鐘を鳴らしつつ、「もし真剣な真の提案だとしたら、我々はそれを奨励する。「もし」という言葉を強調するが」と述べた。

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中国外交部報道官は、シリアの化学兵器の国際管理・廃棄に関するロシアの提案について「提案がシリアの緊張状態の改善に資するのであれば、シリアと地域の平和と安定の維持に役立つものであり、政治的解決にも役立つものである。国際社会は建設的にこの提案を検討しなければならない」と述べた。

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安部晋三総理大臣は、ロシアのヴラジミール・プーチン大統領と電話で会談し、シリアの化学兵器の国際管理・廃棄に関するロシアの提案について「前向きなものと評価し、支持する。シリア政権の真摯な対応の有無などを注視していく」と語ったことを明らかにした。

これに対してプーチン大統領は「シリア側に(提案受け入れを)働きかけており、一定の進展があるところだ」と答えたという。

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キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は、シリアの化学兵器の国際管理・廃棄に関するロシアの提案について「歓迎する」と述べた。

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欧州委員会は、レバノンに避難したシリア人避難民に対して5,800万ユーロ相当の人道支援を行うと発表した。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は声明を出し、シリアの化学兵器の国際管理・廃棄に関するロシアの提案に対して「連盟は当初から政治的解決を求めていた」と発表、支持を表明した。

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イランのハサン・ロウハーニー大統領は、シリアの化学兵器の国際管理・廃棄に関するロシアの提案に関連して「イランはシリアに対する戦争回避に集中している…。戦争回避の望みは、過去数日で強まっている」と述べた。

イラン外務省報道官「ロシアの提案は地域の軍国主義を排する枠組みになる」と述べ、シリアの化学兵器の国際管理・廃棄に関するロシアの提案への支持を表明した。

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『ハヤート』(9月11日付)によると、パレスチナのガザ市で、米国が準備するシリアへの軍事攻撃に反対するデモが行われ、数百人が参加した。

デモはPFLP、DFLP、バアス党などが主催、参加した。

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AFP(9月10日付)は、8日に釈放されたイタリア人記者のドメニコ・キリコ氏とベルギー人教師のピエール・ピッチナン氏がイタリアに無事帰国し、反体制武装集団に拘束されていた間の経験をイタリア日刊紙(『ラ・スタンパ』)に語ったと報じた。

それによると、両氏は拘束中、殴打され、十分な食事も与えられず、また「模擬処刑」まで受けたという。

またキリコ氏は、ダマスカス郊外県での8月21日の化学兵器攻撃に関して、「私たちが拘束されていた部屋の半開きのドア越しに、身元不明の3人がスカイプを使って英語で話しているのを聞いた。会話のなかで3人は…(21日の)化学兵器攻撃について、反体制勢力が欧米の軍事介入を誘発するために行った、と話していた…。この会話が事実に基づいたものなのか、単なるうわさなのかは、私には分からないが」と明かした。

一方、ピッチナン氏によると、2人は「自由シリア軍」によって拘束されたのち、「アブー・アンマール旅団」を名乗る組織に引き渡され、同組織は「イスラーム主義者というよりは、盗賊に近い」ものだったという。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチは8月21日のダマスカス郊外県での化学兵器攻撃疑惑に関する報告書を発表し、スカイプでの現地住民・医師らとのインタビュー、衛星画像、GPSデータ、専門家の意見などをもとに、「(シリア)政府軍によって化学兵器攻撃が行われたと強く示唆する(strongly suggest)」との見解を示した。

http://www.hrw.org/reports/2013/09/10/attacks-ghouta

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バラク・オバマ米大統領はホワイト・ハウスで国民向けの演説を行い、ロシアとの協力を通じた外交的解決を模索し、シリアへの軍事攻撃を当面見送るとの方針を示した。

オバマ大統領はシリアへの軍事攻撃の正当性に関して、「米国や国際社会が行動しなければ、アサド政権は化学兵器を使い続け、ほかの独裁者も使用をためらわなくなる。米軍は戦場で危険にさらされ、テロリストの攻撃も容易になる。私は米国の安全保障に関わる問題だと判断し、軍事行動を決め、議会に諮ることにした」と述べた。

また「イラクやアフガニスタンでの戦争後、いかなる軍事攻撃も支持されないことは分かっている。米国が世界の警察であるべきでないという意見にも同意する。地上戦を行う気も、泥沼に陥るつもりもない。アサド政権に打撃を与え、化学兵器を抑止するために標的を絞った攻撃なのだ」と付言した。

しかし「(米国の)軍事行動の脅威とロシアのプーチン大統領との建設的な対話によって、ここ数日、前向きな動きが出た」と主張、「ロシアが化学兵器放棄を促し、アサド政権も化学兵器保有を認め、化学兵器禁止条約に加盟すると言っている…。この提案が成功するか判断するのは時期尚早だ。だが、(この提案には)軍事力を使うことなく化学兵器の脅威を取り除く可能性がある」と述べた。

そのうえで「私は外交的解決を探る間、議会指導部に軍事攻撃承認決議案の採決延期を求めた」ことを明らかにした。

また「露中とも相談しつつ、米英仏は協力して、アサド政権に国際管理下で化学兵器の放棄・破棄を求める決議案を国連安保理に提出する」との方針を示した。

一方、軍事攻撃に関しては「米軍には、アサド政権に圧力をかけるため、現在の体制を維持し、外交(努力)が失敗した際に対応できるよう支持した」と述べた。

AFP, September 10, 2013、AKI, September 10, 2013、CBS, September 10, 2013、Champress, September 10, 2013、al-Hayat, September 11, 2013、al-Jadeed, September 10, 2013、Kull-na Shuraka’, September
10, 2013、Kurdonline, September 10, 2013、Naharnet, September 10, 2013、Reuters,
September 10, 2013、SANA, September 10, 2013、UPI, September 10, 2013などをもとに作成。

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