ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプに対するシリア軍の爆撃・砲撃、ダーイシュ(イスラーム国)とジハード主義武装集団の戦闘続く;PFLP-GC報道官「シリア国家との調整のもと、ダーイシュに対して軍事力をもって対抗すべき」(2015年4月7日)

PFLP-GC(パレスチナ解放人民戦線総司令部派)のアンワル・ラジャー報道官はAFP(4月7日付)に対して、シリア国内で活動するパレスチナ諸派14組織が7日か8日に会合を開き、ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプの情勢やダーイシュ(イスラーム国)への対抗策について協議することを明らかにした。

ラジャー報道官は、「軍事力をもってダーイシュに対抗するために、統合的な姿勢をパレスチナ諸派がとることが求められている」としたうえで、ダーイシュによるキャンプ占拠によって「状況が変わり、キャンプからテロリストを放逐するために力を行使する(ことが必要とされている)」との認識を示した。

そのうえで「会合でこの点に関して、合意がなされれば、シリア国家との調整のもとに(ダーイシュ掃討軍事作戦が)行われるだろう…。そうしたことは当然のことだ。なぜなら(キャンプは)シリア領であり、パレスチナ人によるいかなる決定もシリア国家の庇護のもとでなされるからだ」と強調した。

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ラーマッラー(ヨルダン川西岸)を発っていたPLO(パレスチナ解放機構)執行委員会のアフマド・マジュダラーニー氏を団長とする使節団がダマスカスに到着し、シリア政府高官、パレスチナ諸派代表らと会談し、ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプの住民の保護の方途などについて協議した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)とシャームの民のヌスラ戦線が占拠するヤルムーク・パレスチナ難民キャンプを、シリア軍が「樽爆弾」を投下する一方、地対地ミサイルなどで攻撃を加えた。

同監視団によると、シリア軍ヘリコプターが投下した「樽爆弾」のうち6発がウルーバ通り、殉教者墓地、ヌーフ通り、マンスーラ通り一帯に着弾し、過去3日間で投下された「樽爆弾」の数は25発に上っているという。

またキャンプ内では、ダーイシュ、ヌスラ戦線とアクナーフ・バイト・マクディス大隊などからなるジハード主義武装集団の戦闘が続き、アクナーフ・バイト・マクディス大隊とともに戦闘に参加していたパレスチナ解放軍の大佐1人が死亡した。

シリア人権監視団によると、ダーイシュとの戦闘による死者は、この大佐、アクナーフ・バイト・マクディス大隊戦闘員ら4人、ダーイシュ戦闘員3人の合わせて8人に達したという。

AFP, April 7, 2015、AP, April 7, 2015、ARA News, April 7, 2015、Champress, April 7, 2015、al-Hayat, April 8, 2015、Iraqi News, April 7, 2015、Kull-na Shuraka’, April 7, 2015、al-Mada Press, April 7, 2015、Naharnet, April 7, 2015、NNA, April 7, 2015、Reuters, April 7, 2015、SANA, April 7, 2015、UPI, April 7, 2015などをもとに作成。

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