国連人権理事会は、ロシア・シリア両軍によるアレッポ市東部の爆撃を非難、国際人権法違反の調査を定めた決議を採択(2016年10月21日)

国連人権理事会は、シリア軍の包囲を受ける反体制武装集団支配地域のアレッポ市東部の状況にかかる特別会合を開き、ロシア・シリア両軍による同地への空爆を強く非難するとともに、国際人権法違反に当たる疑いがあるとして調査すべきだとする決議(A/HRC/S-25/L.1、http://www.un.org/ga/search/view_doc.asp?symbol=A/HRC/S-25/L.1)を採択した。

決議案は、米国、ドイツ、英国、フランスなど16カ国が共同提出し、24カ国(アルバニア、ベルギー、ボツワナ、コートジボワール、エルサルバドル、フランス、ジョージア、ドイツ、ラトビア、モルジブ、メキシコ、モンゴル、モロッコ、オランダ、ポルトガル、カタール、韓国、サウジアラビア、スロヴェニア、スイス、マケドニア、トーゴー、UAE、英国)が賛成、7カ国(アルジェリア、ボリビア、ブルンジ、中国、キューバ、ロシア、ヴェネズエラ)が反対、16カ国(バングラデシュ、コンゴ、エクアドル、エチオピア、ガーナ、インド、インドネシア、ケニア、キルギスタン、ナミビア、ナイジェリア、パナマ、パラグアイ、フィリピン、南アフリカ、ヴェトナム)が棄権し、採択された。

スイスのジュネーブにある国連欧州本部で47カ国が参加して開かれた特別会合で、ザイド・ラアド・フサイン人権高等弁務官が「アレッポは虐殺の場となってしまった。妊婦たちがいる病院が故意に空爆されている」と述べたうえで、空爆が「戦争犯罪」に当たるおそれがあると指摘した。

会合にはロシアの代表も参加し、20日午前8時からロシア・シリア両軍がアレッポ市東部地区で開始した人道停戦について言及し、「人道支援を可能にしてきた」と改めて主張、決議の内容は偏っているとして5点の修正を求めたが、否決された。

決議採択を受けて、人権理事会は、外部の専門家でつくる委員会に調査を依頼し、2017年3月までに報告をまとめる予定。

AFP, October 21, 2016、AP, October 21, 2016、ARA News, October 21, 2016、Champress, October 21, 2016、al-Hayat, October 22, 2016、Iraqi News, October 21, 2016、Kull-na Shuraka’, October 21, 2016、al-Mada Press, October 21, 2016、Naharnet, October 21, 2016、NNA, October 21, 2016、Reuters, October 21, 2016、SANA, October 21, 2016、UPI, October 21, 2016などをもとに作成。

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