2012年6月9日のシリア情勢

国内の暴力

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊がヒムス市のハーリディーヤ地区、ジャウラト・シヤーフ地区、カラービース地区、クスール地区の制圧を試み、7人が死亡した。

SANA, June 9, 2012

SANA, June 9, 2012

同地域は、数ヶ月前から反体制勢力の支配下にあるという。

またタルビーヤ市でも、軍・治安部隊が砲撃を行った。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、トルコ国境に近いハッファ地方で軍・治安部隊が奪還作戦を継続し、2人が死亡した。

SANA(6月9日付)によると、武装テロ集団がハッファ地方で破壊、焼き討ち、殺戮を継続、住民が避難を余儀なくされていると報じた。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊がダルアー市の住宅地に対して未明から砲撃を加え、女性7人を含む17人が死亡した。

また同監視団によると、ダーイル町近くで、政権支持者の遺体が発見された。遺体には拷問の跡が見られたという。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ハイヤーン町、バヤーヌーン町に対して、軍・治安部隊が砲撃を加え、市民1人が死亡、またハイヤーン町での反体制武装集団との交戦で兵士3人が死亡した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(6月9日付)によると、ドゥーマー市郊外で治安維持部隊が武装テロ集団の襲撃を受け応戦、テロリスト2人を殺害した。

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シリア・アラブ・テレビ(6月9日付)は、「シャームの民のヌスラ(救済)戦線」のメンバーがアル=カーイダと関係があり、シリア国内での爆破テロを計画・実行したことを示す文書や証言映像を放映した。

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AFP(6月9日付)によると、CPJ (Committee to Protest Journalists)は、5月にシリア人ジャーナリスト5人がシリア軍の砲撃に巻き込まれて死亡した、と発表した。

反体制勢力の動き

AFP(6月9日付)によると、国内で反体制武装活動を行っているシリア革命最高指導評議会のハサン・サイイド議長は、ワシントンで開かれたレシンク・インスティチュート(Rethink Institute)主催の国際会議で電話で参加し、国内の反体制勢力に武器を供与するよう求めた。

レバノンの動き

ジャズィーラ(6月9日付)は、アレッポで誘拐されたレバノン人巡礼者のビデオ映像を公開、そのなかで巡礼者たちは「我々はシリアの革命家らの客人であり、シリア国民を支持する」と表明した。

Naharnet.com, June 9, 2012

Naharnet.com, June 9, 2012

映像は6月5日か6日に録画されたもので、彼らはレバノン国民に向けて、「シリア国民と同様、抑圧に反抗して立ち上がれ」と呼びかけた。

一方、ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長への謝罪を求めた声明については、自分たちのものではないと否定した。

誘拐犯らは「客人はシリアの文民国家に引き渡されるだろう」と述べ、アサド政権を打倒するまで釈放しないとの意思を示した。

http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=Qh5shraUWSI

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北部県トリポリ市のバーブ・タッバーナ地区、ジャバル・ムフスィン地区で、何者かの発砲により、子供が軽傷を負った。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はモスクワで記者会見を開き、アナン特使の停戦案に代わるオルターナティブはないと述べ、イランを含む関係各国による国際会議を提唱し、停戦案の履行をめざすべきだとの立場を示した。

ラブロフ外務大臣は「(アナン特使の)停戦案は危機的なかたちでつまずき始めているが、我々はこの案の実施に代わるオルターナティブはないと思う」と述べた。

また「国際的なテロネットワークがシリア領内に広がっている」と指摘、その原因は「シリア政府だけにあるのでなく」、多くの場合、「違法な武装民兵への資金援助、越境潜入」にあると指摘、シリアに滞在するロシア人専門家がその標的になっていることを明らかにした。

そのうえで「諸外国、とりわけ湾岸諸国は、シリアに武器を輸出し、それが民間人に対して用いられている…。また反体制勢力の莫大な武器が供給されている」と非難した。

国際会議に関して、「シリアをめぐる国際会議を組織し、アナン特使の和平案を実行すべき」と主張するとともに、「イランに参加の余地はない…。なぜなら同国は問題の一部であって解決策でない、という主張は少なくとも外交的評価のもとでは論理的でない」と述べた。

シリアへの軍事介入の是非については、「我々は安保理で力の行使を求めることに同意しないだろう…。中東全体に危機的結果をもたらすだろう」と述べた。

アサド政権退任については、「シリア人が互いに(アサド大統領退陣で)合意すれば、そうした解決策を喜んで支援する…。しかしこの手の対話を外国が条件として押しつけることは受け入れられないと考える」と事実上拒否した。

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『ダマス・ポスト』(6月9日付)は、複数の消息筋の話として、イスラエルの航空機がカタールの資金援助のもと、イラクのクルディスタン自治区に大量の武器と、西側諸国が教練したアル=カーイダの戦闘員400人を派遣、シリアに潜入させようとしている、と報じた。

この報道に関して、『クッルナー・シュラカー』(6月9日付)は、「ハーフィズ・マフルーフの最新のウソ」と報じた。

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AKI(6月9日付)によると、イタリアのジュリオ・テルツィ・ディ・サンタガタ外務大臣は、テレビ番組で、「アラブ連盟諸国がシリアに関する対話にイランが参加することを拒否している…。イランはシリアの戦略的パートナーであり…、シリア政府に大きく肩入れする」と述べた。

AFP, June 9, 2012、Akhbar al-Sharq, June 9, 2012、AKI, June 9, 2012、Aljazeera.net, June 9, 2012、Damas Post, June 9, 2012、al-Hayat, June 10, 2012、Kull-na Shurakāʼ, June 9, 2012、Naharnet.com, June 9, 2012、NNA, June 9, 2012、Reuters, , June 9, 2012、SANA, June 9, 2012、Youtube, June 9, 2012などをもとに作成。

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