米オバマ政権は過去数年間にわたり、アサド政権内の人間と接触し「個別の問題をめぐって意思疎通」を続ける(2015年12月23日)

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(12月23日付、http://www.wsj.com/articles/u-s-pursued-secret-contacts-with-assad-regime-for-years-1450917657)は、複数の米・アラブ諸国高官の話として、米国が過去数年間にわたり、シリア政府内の人間とひそかに接触し、シリアの紛争を鎮静化させ、アサド大統領を退陣させようと企図してきたと伝えた。

同誌によると、バラク・バラク米政権は、「アラブの春」がシリアに波及し、同国が混乱を始めた当初、アサド政権内の亀裂を探し、アサド大統領の帰属するイスラーム教アラウィー派宗徒内で、体制転換を主導できる高官を特定、軍事クーデタを促そうとしたが、そうした亀裂はほとんど見当たらなかったという。

その後、オバマ政権は2011年8月に、アサド大統領の退陣を明確に要求するようになったが、
その後もシリア政府との連絡を継続し、「個別の問題にをめぐって意思疎通」があったという。
米国高官は、シリア政府(ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣、ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣など)に対して直接、あるいはロシアやイランを通じてメッセージを送ったのに対して、アサド大統領は、テロとの戦いで米国が自身と連携するようオバマ政権に働きかけてきたという。

また、米政府とシリア政府の意思疎通は、アサド大統領の「親友」のシリア人ビジネスマンハーリド・アフマド氏の仲介努力によるところが大きいという。

The Wall Street Journal, December 23, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米主導の有志連合はシリア領内で6回の爆撃を実施(2015年12月23日)

米中央軍(CENTCOM)は、12月23日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して24回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は6回で、アイン・イーサー市近郊(1回)、マーリア市近郊(1回)、マンビジュ市近郊(4回)のダーイシュに対して攻撃が行われた。

CENTCOM, December 24, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ軍部隊がシリア領内のハサカ県マアバダ町近郊に侵入し進駐する一方、アレッポ県アフリーン市近郊で住民を殺害(2015年12月23日)

ARA News(12月23日付)は、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊の複数の消息筋の話として、トルコ軍部隊がハサカ県マアバダ町(カルキールキー)近郊に侵入し、国境から100メートルの位置するカリー・アフリートキー丘に進駐したと伝えた。

**

アレッポ県では、ARA News(12月23日付)によると、トルコ軍が深夜、西クルディスタン移行期民政局の実効支配下にあるアフリーン市近郊の国境地帯で、トルコ領内に不法入国しようとした住民(トルコ人)に発砲、殺害した。

AFP, December 23, 2015、AP, December 23, 2015、ARA News, December 23, 2015、Champress, December 23, 2015、al-Hayat, December 24, 2015、Iraqi News, December 23, 2015、Kull-na Shuraka’, December 23, 2015、al-Mada Press, December 23, 2015、Naharnet, December 23, 2015、NNA, December 23, 2015、Reuters, December 23, 2015、SANA, December 23, 2015、UPI, December 23, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア軍とダーイシュ(イスラーム国)がダイル・ザウル市内各所で交戦(2015年12月23日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シリア軍とダーイシュ(イスラーム国)がダイル・ザウル市内複数カ所で交戦した。

一方、SANA(12月23日付)によると、シリア軍がダイル・ザウル市工業地区でダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍たタドムル市西部でダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

一方、SANA(12月23日付)によると、シリア軍がウンム・カッドゥーム丘、ハドス村、ダフラト・ドゥッカーン村、フーシュ・アブー・ファラジュ村、ハズム・ウンム・アイヤーシュ村、ハズム村、タイバ村・スフナ市街道、ウンク・ハワー村一帯でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

アレッポ県では、SANA(12月23日付)によると、シリア軍がタッル・ハッターブ村、バーブ市アイン・バイダー村でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、ARA News(12月23日付)によると、シリア民主軍は23日晩、アレッポ県アイン・アラブ市南部のスィッリーン町一帯でダーイシュ(イスラーム国)に対する第2次掃討作戦を開始したと発表した。

これを受け、シリア民主軍はスィッリーン町南部のサフリージュ村をダーイシュ(イスラーム国)との戦闘の末に制圧した。

AFP, December 23, 2015、AP, December 23, 2015、ARA News, December 23, 2015、Champress, December 23, 2015、al-Hayat, December 24, 2015、Iraqi News, December 23, 2015、Kull-na Shuraka’, December 23, 2015、al-Mada Press, December 23, 2015、Naharnet, December 23, 2015、NNA, December 23, 2015、Reuters, December 23, 2015、SANA, December 23, 2015、UPI, December 23, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア軍がラタキア県のトルコ国境地帯の要衝ヌーバ山を再び制圧(2015年12月23日)

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員、アラブ系・アジア系外国人戦闘員が、シャームの民のヌスラ戦線、トルキスターン・イスラーム党などからなるジハード主義武装集団との戦闘の末に、県北部山岳地帯の要衝ヌーバ山を再び奪還、制圧した。

一方、SANA(12月23日付)によると、シリア軍が人民防衛諸集団とともに、県北部アスワド・カビール山に近い458.5地点を制圧した。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市南部郊外一帯で、シリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員、アラブ系・アジア系外国人戦闘員が、シャームの民のヌスラ戦線、トルキスターン・イスラーム党などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

**

ダマスカス郊外県では、AFP(12月23日付)によると、ドゥーマー市郊外のダマスカス・ヒムス国際幹線道路一帯、マルジュ・スルターン村一帯で、シリア軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(12月23日付)によると、シリア軍がナシャービーヤ町一帯およびマルジュ・スルターン村一帯、ハラスター市郊外農場地帯で進軍を続け、イスラーム軍、首都の盾旅団、アジュナード・シャーム・イスラーム連合などとの交戦の末、通信大隊基地およびその周辺を制圧した。

シリア軍また、フーシュ・ダワーヒラ村、ザマルカー町でラフマーン軍団、イスラーム軍などの拠点を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がハウラ地方を空爆した。

一方、SANA(12月23日付)によると、シリア軍がタッルドゥー市、タルビーサ市、ラスタン市、ティールマアッラ村でシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団の拠点を空爆し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ハマー県では、SANA(12月23日付)によると、シリア軍がマンスーラ村、ラハーヤー村でシャーム自由人イスラーム運動などファトフ軍と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

イドリブ県では、SANA(12月23日付)によると、シリア軍がビダーマー町でシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, December 23, 2015、AP, December 23, 2015、ARA News, December 23, 2015、Champress, December 23, 2015、al-Hayat, December 24, 2015、Iraqi News, December 23, 2015、Kull-na Shuraka’, December 23, 2015、al-Mada Press, December 23, 2015、Naharnet, December 23, 2015、NNA, December 23, 2015、Reuters, December 23, 2015、SANA, December 23, 2015、UPI, December 23, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア国内で活動する反体制組織の民主的変革諸勢力国民調整委員会は、YPGをテロ組織とみなすリヤドでの反体制派合同会合と同会合で設置された最高交渉委員会を批判(2015年12月23日)

民主的変革諸勢力国民調整委員会(広報局)は声明を出し、サウジアラビアの首都リヤドでの最高交渉委員会(シリア政府との交渉にあたる反体制派の統一代表団人選のための委員会)の会合(17~18日)に関して、「調整委員会の方針に明らかに反し…シリアの危機の政治的解決の実現に資さない」と批判した。

声明のなかで、調整委員会は、「最高交渉委員会は…(リヤドでのシリア反体制派の合同会合に)主要な反体制派が参加しなかった…ことを受けた調整委員会の留保の姿勢を考慮していない」としたうえで、最高交渉委員会が「調整委員会と同盟関係にある(西クルディスタン移行期民政局の)人民防衛隊をテロ組織に分類した」と批判し、人民防衛隊に関して「自由シリア軍の諸派とともに、ダーイシュ(イスラーム国)などともっとも厳しく、そして真摯に戦う組織」と反論した。

そのうえで、「合同会合の声明の精神は、シリアの危機の政治的解決を望む者の意思を表現していない」として、それを拒否すると表明した。

AFP, December 23, 2015、AP, December 23, 2015、ARA News, December 23, 2015、Champress, December 23, 2015、al-Hayat, December 24, 2015、Iraqi News, December 23, 2015、Kull-na Shuraka’, December 23, 2015、al-Mada Press, December 23, 2015、Naharnet, December 23, 2015、NNA, December 23, 2015、Reuters, December 23, 2015、SANA, December 23, 2015、UPI, December 23, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア人権監視団「米主導の有志連合のシリア爆撃で民間人299人を含む3,712人が死亡」(2015年12月23日)

シリア人権監視団は、米軍主導の有志連合がシリア空爆を開始した2014年9月23日から2015年12月23日までの15ヶ月間で、有志連合の攻撃による死者数が4,166人を記録したと発表した。

このうち民間人は299人(子供81人、女性53人を含む)、ダーイシュ(イスラーム国)メンバーは3,712人、シャームの民のヌスラ戦線メンバーは136人、スンナ軍メンバーは10人だという。

AFP, December 23, 2015、AP, December 23, 2015、ARA News, December 23, 2015、Champress, December 23, 2015、al-Hayat, December 24, 2015、Iraqi News, December 23, 2015、Kull-na Shuraka’, December 23, 2015、al-Mada Press, December 23, 2015、Naharnet, December 23, 2015、NNA, December 23, 2015、Reuters, December 23, 2015、SANA, December 23, 2015、UPI, December 23, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア軍は18~23日の6日間で302回の出撃を行いシリア各地を爆撃、1,093の標的を攻撃:爆撃により民間人が犠牲となっているとのアムネスティ・インターナショナルの報告内容を否定(2015年12月23日)

ロシア国防省は、12月18日から23日までの6日間で、ロシア空軍のSu-24戦闘爆撃機、Su-34戦闘爆撃機などが、ラタキア県フマイミーム航空基地から302回の出撃を行い、アレッポ県、イドリブ県、ラタキア県、ヒムス県、ダイル・ザウル県で1,093の標的を攻撃した、と発表した。

ヒムス県での空爆では、Su-24戦闘爆撃機が、ダーイシュ(イスラーム国)の拠点、車輌を破壊した。

アレッポ県での空爆では、Su-34戦闘爆撃機が、シャーム自由人イスラーム運動の指令拠点を破壊した。

ダイル・ザウル県での空爆では、Su-34戦闘爆撃機が、ダーイシュの石油精製施設を破壊した。

イドリブ県での空爆では、Su-34戦闘機が反体制武装集団の教練キャンプを破壊した。

この教練キャンプは、CIS諸国出身者からなる「テロリスト」がトルコから潜入して、1週間前に設置したものだったという。

なお、このキャンプへの攻撃の数時間後、トルコの外務省はロシア軍が子供150人を含む民間人650人を殺害したとの喧伝を行ったという。

ロシア国防省はさらに、シリアでのロシア軍の空爆に民間人200人が巻き込まれ死亡しているとするアムネスティ・インターナショナルのレポート(https://www.amnesty.org/en/documents/mde24/3113/2015/en/)の内容を否定した。

AFP, December 23, 2015、AP, December 23, 2015、ARA News, December 23, 2015、Champress, December 23, 2015、al-Hayat, December 24, 2015、Iraqi News, December 23, 2015、Kull-na Shuraka’, December 23, 2015、al-Mada Press, December 23, 2015、Naharnet, December 23, 2015、NNA, December 23, 2015、Reuters, December 23, 2015、SANA, December 23, 2015、UPI, December 23, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.