ロシア軍の爆撃でアル=カーイダ系のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などからなるファトフ軍の事実上の統括者と目されるサウジアラビア人説教師のムハイスィニー氏が再び負傷(2015年12月20日)

アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などからなるファトフ軍の事実上の統括者と目されるサウジアラビア人説教師のアブドゥッラー・ムハイスィニー氏(ジハード布教者センター代表)は、アレッポ市南部郊外の前線に滞在中にロシア軍の攻撃を3度にわたって受けて負傷した。

ムハイスィニー氏が負傷するのは、今回が4度目で、最近では12月4日にラタキア県北部のトルコ国境地帯で負傷していた。

ムハイスィニー氏は搬送中の車内で撮影されたビデオ・メッセージ(https://youtu.be/WHshfEQSYqk)で、アル=カーイダ系組織のジュンド・アクサー機構、トルクメン人戦闘員の活動を賞賛するとともに、ヌスラ戦線の最高指導者のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー氏、シャーム自由人イスラーム運動指導者のムハンナド・ミスリー氏(アブー・ヤフヤー・ハマウィー、アブー・ヤフヤー・ガーブ)らを讃えた。

Youtube, December 20, 2015
Youtube, December 20, 2015

 

AFP, December 21, 2015、AP, December 21, 2015、ARA News, December 21, 2015、Champress, December 21, 2015、al-Hayat, December 22, 2015、Iraqi News, December 21, 2015、Kull-na Shuraka’, December 21, 2015、al-Mada Press, December 21, 2015、Naharnet, December 21, 2015、NNA, December 21, 2015、Reuters, December 21, 2015、SANA, December 21, 2015、UPI, December 21, 2015などをもとに作成。

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アル=カーイダ系組織のジュンド・アクサー機構は音声声明でリヤドでのシリア反体制派の合同会合に参加した武装集団を「意志のない奴隷」と厳しく非難(2015年12月20日)

イドリブ県やアレッポ県で活動するアル=カーイダ系組織のジュンド・アクサー機構は音声声明(https://youtu.be/dngyS-JOBY0)を出し、サウジアラビアの首都リヤドでのシリア反体制派の合同会合に参加した武装集団に関して「反逆、愚行、裏切りであり、意志のない奴隷」と非難した。

AFP, December 21, 2015、AP, December 21, 2015、ARA News, December 21, 2015、Champress, December 21, 2015、al-Hayat, December 22, 2015、Iraqi News, December 21, 2015、Kull-na Shuraka’, December 21, 2015、al-Mada Press, December 21, 2015、Naharnet, December 21, 2015、NNA, December 21, 2015、Reuters, December 21, 2015、SANA, December 21, 2015、UPI, December 21, 2015などをもとに作成。

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米主導の有志連合はシリア領内で3回の爆撃を実施(2015年12月20日)

米中央軍(CENTCOM)は、12月20日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して15回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は3回で、マーリア市近郊(2回)、アイン・イーサー市近郊(1回)のダーイシュに対して攻撃が行われた。

CENTCOM, December 21, 2015などをもとに作成。

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トルコ外務省は声明で国連安保理決議第2254号への支持を表明、アサド大統領らシリア政府の完全排除を主唱(2015年12月20日)

トルコ外務省は声明を出し、ウィーンでのISSGの二つの合意(10月30日、11月14日)に従ってシリア紛争の停戦プロセスおよび政治移行プロセスの行程を定めた国連安保理決議第2254号に関して、「対話を通じた権力移譲を定めた2012年6月30日のジュネーブ合意に基づく政治移行プロセスを期限付きで規定する安保理決議を支持する」と表明した。

声明はまた、シリア政府との交渉にあたる反体制派の統一代表に関して「リヤドで先週招集されたリヤド大会から代表団がもたらされる必要がある」とする一方、「(シリアの)治安と安定は、公正な選挙を通じて、シリア国民が正当な権利を得て、バッシャール・アサドを筆頭とする現政権メンバー全員を排除することでのみ実現する」と強調した。

AFP, December 20, 2015、AP, December 20, 2015、ARA News, December 20, 2015、Champress, December 20, 2015、al-Hayat, December 21, 2015、Iraqi News, December 20, 2015、Kull-na Shuraka’, December 20, 2015、al-Mada Press, December 20, 2015、Naharnet, December 20, 2015、NNA, December 20, 2015、Reuters, December 20, 2015、SANA, December 20, 2015、UPI, December 20, 2015などをもとに作成。

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シリア軍がアレッポ県東部、ヒムス県中部でダーイシュ(イスラーム国)との戦闘を続ける(2015年12月20日)

アレッポ県では、SANA(12月20日付)によると、シリア軍が、バーブ市、シャワーヤー丘、ビージャーン村、ラスム・サフリージュ村、シャルバア村、ナッジャーラ村、ジュルーフ村でダーイシュ(イスラーム国)の拠点に空爆などで攻撃を行い、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(12月20日付)によると、シリア軍が、タール山西部、ワーディー・ザカーラ、ウンク・ハワー村、マヒーン町西部一帯でダーイシュ(イスラーム国)拠点を空爆などで攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, December 20, 2015、AP, December 20, 2015、ARA News, December 20, 2015、Champress, December 20, 2015、al-Hayat, December 21, 2015、Iraqi News, December 20, 2015、Kull-na Shuraka’, December 20, 2015、al-Mada Press, December 20, 2015、Naharnet, December 20, 2015、NNA, December 20, 2015、Reuters, December 20, 2015、SANA, December 20, 2015、UPI, December 20, 2015などをもとに作成。

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シリア軍がヌスラ戦線など反体制武装集団の拠点の一つハーン・トゥーマーン市(アレッポ市南部)を制圧(2015年12月20日)

アレッポ県では、SANA(12月20日付)によると、シリア軍が人民防衛諸集団とともに、アレッポ市南部郊外におけるシャームの民のヌスラ戦線などジハード主義武装集団の最大拠点と目されるハーン・トゥーマーン村とその周辺一帯を完全制圧した。

シリア軍はまた、ズィルバ村、アレッポ市バニー・ザイド地区、ラームーサ地区、ライラムーン地区、カルム・タッラーブ地区、ハーン・アサル村、ジュッブ・ガブシャ村などでヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団との交戦を続けた。

一方、シャーム軍団は声明を出し、アレッポ市南部郊外のハーン・トゥーマーン市でイラン人戦闘員2人を捕捉したと発表した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍、国防隊、バアス大隊、ヒズブッラー戦闘員、外国人戦闘員が、クルド山、トルクメン山一帯でシャームの民のヌスラ戦線、トルキスターン・イスラーム党などからなるジハード主義武装集団と交戦、ロシア軍が同地を空爆した。

一方、SANA(12月20日付)によると、シリア軍が人民防衛諸集団とともに、カビーラ村および同村周辺の山岳地帯(453.5地点、535.5地点、538.5地点)でジハード主義武装集団戦闘員数十人を殲滅し、同地を制圧した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍と思われる戦闘機が、ファトフ軍によって占拠されているイドリブ市内のシリア政府施設(バアス党イドリブ支部など)を空爆し、民間人15人を含む36人が死亡、50人以上が負傷した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がラスタン市各所を「樽爆弾」で空爆、またタルビーサ市・ガントゥー市間の街道を攻撃した。

一方、SANA(12月20日付)によると、シリア軍がウンム・シャルシューフ村、南マシュジャル村、ティールマアッラ村、ラスタン市でシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団の拠点を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団がラハーヤー村で米国製のTOW対戦車ミサイルでシリア軍戦車を破壊した。

一方、SANA(12月20日付)によると、シリア軍がアトシャーン村でジュンド・アクサー機構の拠点を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がマルジュ・スルターン村一帯でシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

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ダルアー県では、SANA(12月20日付)によると、シリア軍がダルアー市マンシヤ地区でシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、SANA(12月20日付)によると、オートストラード・マッザ区に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾1発が着弾し、9人が負傷した。

AFP, December 20, 2015、AP, December 20, 2015、ARA News, December 20, 2015、Champress, December 20, 2015、al-Hayat, December 21, 2015、Iraqi News, December 20, 2015、Kull-na Shuraka’, December 20, 2015、al-Mada Press, December 20, 2015、Naharnet, December 20, 2015、NNA, December 20, 2015、Reuters, December 20, 2015、SANA, December 20, 2015、UPI, December 20, 2015などをもとに作成。

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YPGとアレッポ・ファトフ軍作戦司令室がアレッポ市シャイフ・マクスード地区、アフリーン市一帯での戦闘停止で合意(2015年12月20日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とアレッポ・ファトフ軍作戦司令室が、アレッポ市シャイフ・マクスード地区およびアフリーン市一帯(米トルコが設置合意した「安全保証地帯」西端)での停戦に合意した。

停戦合意は、①人民防衛隊主体のシリア民主軍に所属する革命家軍をマーリア作戦司令室に指揮下に置く、②マーリア作戦司令室は革命家軍メンバーをその拠点にとどめ、シリア軍やダーイシュ(イスラーム国)との戦闘にあたらせる、③アフリーン市郊外のアナーブ村、マリーミーン村、シャワーリガト・ジャウズ村からすべての武装集団を撤退させ、「自由警察」のみが駐留する、といった点を骨子とするという。

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しかし、シリア自由人旅団は声明(声明は19日付)を出し、アレッポ・ファトフ軍作戦司令室と人民防衛隊の停戦合意を受け入れないと発表した。

AFP, December 20, 2015、AP, December 20, 2015、ARA News, December 20, 2015、Champress, December 20, 2015、al-Hayat, December 21, 2015、Iraqi News, December 20, 2015、Kull-na Shuraka’, December 20, 2015、al-Mada Press, December 20, 2015、Naharnet, December 20, 2015、NNA, December 20, 2015、Reuters, December 20, 2015、SANA, December 20, 2015、UPI, December 20, 2015などをもとに作成。

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アラブ連盟のアラビー事務総長は国連安保理決議2245号を支持(2015年12月20日)

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、ウィーンでのISSGの二つの合意(10月30日、11月14日)に従ってシリア紛争の停戦プロセスおよび政治移行プロセスの行程を定めた国連安保理決議第2254号に関して、「シリア危機への真摯に対応する機会を初めて与えた」と高く評価した。

AFP(12月20日付)が伝えた。

AFP, December 20, 2015、AP, December 20, 2015、ARA News, December 20, 2015、Champress, December 20, 2015、al-Hayat, December 21, 2015、Iraqi News, December 20, 2015、Kull-na Shuraka’, December 20, 2015、al-Mada Press, December 20, 2015、Naharnet, December 20, 2015、NNA, December 20, 2015、Reuters, December 20, 2015、SANA, December 20, 2015、UPI, December 20, 2015などをもとに作成。

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ヒズブッラーの幹部サミール・クンタール氏がイスラエル軍によると思われる攻撃によりダマスカス郊外県ジャルマーナー市で死亡(2015年12月20日)

SANA(12月20日付)は、ヒズブッラーのメンバーで、約30年間(1979年に捕捉)のイスラエルでの投獄生活の末に2008年の捕虜交換で解放されたサミール・クンタール氏が19日晩、ダマスカス郊外県ジャルマーナー市南部にある住宅街に対する「テロ砲撃」で死亡した、と伝えた。

ARA News, December 20, 2015
ARA News, December 20, 2015
SANA, December 20, 2015
SANA, December 20, 2015

この砲撃では、クンタール氏のほかにも複数人が死亡したという。

これに関して、人民議会は声明を出し、クンタール氏殺害について「シリアと地域が曝されているテロは、イスラエル占領政体を筆頭とする欧米および中東地域諸国が指導するシオニスト・タクフィール主義という一つのテロだ」と非難し、イスラエルの関与を断じた。

一方、ヒズブッラーはマナール・チャンネルを通じて声明を出し、クンタール氏がイスラエル軍の空爆で殺害されたと断じた。

声明において、ヒズブッラーは「19日午後10時15分、シオニストの敵機がダマスカス郊外県のジャルマーナー氏の住居ビルを空爆し、イスラエルの刑務所での投獄後に釈放されたレバノン人捕虜の中心人物であるレジスタント、ジハード戦死のサミール・クンタール氏と多くのシリア人住民が殉教した」と発表した。

また、ウムラーン・ズウビー情報大臣、バアス党シリア地域指導部、そしてレバノンのエミール・ラッフード元大統領、シリア民族社会党アスアド・ハルダーン党首、レバノン民主党タラール・アルスラーン党首、アマル運動政治局、シーア派イスラーム評議会アブドゥルアミール・カバラーン副議長、ドゥルーズ派のナスルッディーン・ガリーブ師(シャイフ・ムワッハディーン)、PFLP-GC、ファトフ・インティファーダ派、バアス党イエメン地域指導部、イラン外務省が、イスラエルの越境空爆を非難するとともに、クンタール氏の死に哀悼の意を表明した。

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『ハヤート』(12月21日付)によると、ダマスカス郊外県への空爆に関して公式声明を発表していないが、対レバノン国境地帯での厳戒態勢を強化したという。

また、クンタール氏の死亡が報じられた数時間後、レバノン南部(カリーラ村)からカチューシャ・ロケット弾3発がイスラエルに向けて撃ち込まれたが、イスラエルのメディアによると死傷者、物的被害はなかったという。

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なお、9月30日にロシア軍がシリア領内での空爆を開始した直後の10月15日、ラタキア県フマイミーム航空基地に本営を構えるシリア駐留ロシア空軍とイスラエル軍は、ホットラインを開設し、シリア領空での飛行に関する情報交換をしており、以降、イスラエル軍は、10月30日、11月12日、11月24日、12月4日にシリア領空のヒズブッラー拠点やシリア軍拠点を攻撃するなど、越境空爆を頻発化させている。

また、クンタール氏が攻撃を受けた同市内の建物に滞在していた情報をイスラエル軍(ないしは反体制武装集団)がどのように入手したかは不明。

ジャルマーナー市はダマスカス県とダマスカス国際空港の間に位置する都市で、シリア政府支持者が多く暮らしている。

jaramana

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