米軍主導の有志連合がシリア領内で20回の空爆を実施(2016年2月9日)
米中央軍(CENTCOM)は、2月9日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して20回の空爆を行ったと発表した。
このうちシリア領内での空爆は2回で、マーリア市近郊(1回)、ラッカ市近郊(1回)のダーイシュの施設に対して攻撃が行われた。
CENTCOM, February 10, 2016などをもとに作成。
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Detail Report on the Arab Spring in Syria: Latest Situation in Syria / アラビア語の新聞、通信社、ウェブサイトなどを通じて収集した情報をもとに、シリア情勢をより網羅的に把握・紹介することをめざします。
アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がアレッポ市バニー・ザイド地区、シャッアール地区、マシュハド地区、サーリヒーン地区を砲撃、またロシア軍と思われる戦闘機がカフルハムラ村、バヤーヌーン町、ハイヤーン町、アナダーン市を21回以上にわたり空爆した。
ロシア軍と思われる戦闘機はまた、タッル・リフアト市一帯を空爆した。
さらに、ハーン・トゥーマーン村郊外の森林地帯では、シリア軍、国防隊、アラブ系・アジア系外国人戦闘員が、シャームの民のヌスラ戦線、ジュンド・アクサー機構、トルキスターン・イスラーム党などからなるジハード主義武装集団と交戦した。
一方、ARA News(2月9日付)によると、シリア軍が、西クルディスタン移行期民政局の実効支配下にあるアフリーン市郊外のジャトル・サーリタ村を「樽爆弾」で空爆した。
同村は最近になって、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊によって制圧されたばかりだという。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、東グータ地方のタッル・サワーン町一帯で、シリア軍、国防隊がジハード主義武装集団と交戦、シリア軍がウーターヤー町、ナシャービーヤ町一帯を砲撃した。
一方、SANA(2月11日付)、赤十字国際委員会によると、マダーヤー町に籠城する反体制武装集団が、赤十字国際委員会とシリア赤新月社による人道支援チームの車輌に対して発砲し、3人が負傷した。
これに対して、マダーヤー町地元革命評議会広報局は11日に声明を出し、車列に発砲したとの報道を否定した。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍と思われる戦闘機がタルビーサ市、ティールマアッラ村、イッズッディーン村、ガントゥー市・ティールマアッラ村間の街道を14回以上にわたり空爆し、女性1人が死亡した。
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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、クルド山、トルクメン山一帯でシリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員、アラブ系・アジア系外国人戦闘員が、ロシア軍士官の指揮のもと、第1沿岸師団、シャーム自由人イスラーム運動、アンサール・シャーム、第2沿岸師団、トルキスターン・イスラーム党、シャームの民のヌスラ戦線などジハード主義武装集団と交戦した。
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ダルアー県では、SANA(2月9日付)によると、シリア軍がヌアイマ村北東部、タファス市でシャームの民のヌスラ戦線、ムウタスィム・ビッラー旅団などからなるジハード主義武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
AFP, February 9, 2016、AP, February 9, 2016、ARA News, February 9, 2016、Champress, February 9, 2016、al-Hayat, February 10, 2016、Iraqi News, February 9, 2016、Kull-na Shuraka’, February 9, 2016、February 10, 2016、al-Mada Press, February 9, 2016、Naharnet, February 9, 2016、NNA, February 9, 2016、Reuters, February 9, 2016、SANA, February 9, 2016、February 10, 2016、UPI, February 9, 2016などをもとに作成。
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ダマスカス県では、SANA(2月9日付)によると、マサーキン・バルザ地区の警察クラブ駐車場で爆弾が仕掛けられた車1台が爆発し、3人が死亡、14人が負傷した。
シリア人権監視団によると、爆発は自爆によるもので、死亡者数は9人、負傷者数は20人にのぼり、死傷者のほとんどは警察官だという。
事件発生現場を訪れたムハンマド・シャッアール内務大臣は記者団に対し、この自爆テロが同地区の警察クラブの住民を狙ったものだとの見方を示した。
事件後、ダーイシュ(イスラーム国)を名乗る集団がインターネットを通じて声明を出し、「兄弟にして殉教戦士のアブー・アブドゥッラフマーン・シャーミーが…爆弾を仕掛けた車で、ヌサイリー派の犯罪者警部どもの拠点に特攻し…、彼らの安全を脅かし、その暮らしに災難を与えた」と発表、犯行を認めた。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が下ムハッラム村でダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がアレッポ市東部の火力発電所一帯でダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。
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ダイル・ザウル県では、SANA(2月9日付)によると、シリア軍がタービヤ村でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を攻撃し、戦闘員33人を殺傷した。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥマイル市一帯で未明に、シャーム解放軍とダーイシュ(イスラーム国)支持者が交戦し、住民4人が巻き添えとなり死亡、また戦闘員7人も死亡した。
また、ARA News(2月9日付)によると、タッル市を支配する反体制武装集団がダーイシュ(イスラーム国)を名乗る戦闘員を市外に完全放逐することに成功した。
AFP, February 9, 2016、AP, February 9, 2016、ARA News, February 9, 2016、Champress, February 9, 2016、al-Hayat, February 10, 2016、Iraqi News, February 9, 2016、Kull-na Shuraka’, February 9, 2016、al-Mada Press, February 9, 2016、Naharnet, February 9, 2016、NNA, February 9, 2016、Reuters, February 9, 2016、SANA, February 9, 2016、UPI, February 9, 2016などをもとに作成。
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ARA News(2月9日付)は、アサド大統領のいとこでシリア有数のビジネスマンのラーミー・マフルーフ氏がダマスカス県内の自宅で何者か撃たれ死亡したと複数の活動家が主張している、と伝えた。
活動家らによると、マフルーフ氏は8日に自宅で撃たれて重傷を負い、ティシュリーン病院、その後シャーミー病院に搬送されたが、9日に死亡したという。
治安当局はマフルーフ氏を撃った犯人をすでに拘束しているという。
なお、シリア政府、国営メディアなどは死亡報道は行っていない。

AFP, February 9, 2016、AP, February 9, 2016、ARA News, February 9, 2016、Champress, February 9, 2016、al-Hayat, February 10, 2016、Iraqi News, February 9, 2016、Kull-na Shuraka’, February 9, 2016、al-Mada Press, February 9, 2016、Naharnet, February 9, 2016、NNA, February 9, 2016、Reuters, February 9, 2016、SANA, February 9, 2016、UPI, February 9, 2016などをもとに作成。
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米国訪問中の日程を終えたサウジアラビアのアーディル・ジュバイル外務大臣は、ワシントンDCで記者団に対して、シリア領内へのダーイシュ(イスラーム国)との戦いを目的とする地上部隊の派遣の是非に関して、有志連合がこれを指揮するとしたうえで、ジョン・ケリー米国務長官との会談では、その「規模、任務、進路などの詳細」について検討を加えたことを明らかにした。
ジュバイル外務大臣は、サウジアラビア軍地上部隊の派遣に関して「有志連合の指揮下でなされる」としたうえで、「作戦において、サウジアラビアが主導的な役割を果たす場合においても、米軍の指揮の下に行われねばならない」と述べた。
また「米国政府は、サウジアラビアが特殊部隊を派遣する用意があることに関して、有志連合が派遣を決定した場合、強く支持」する姿勢を示したと付言、「サウジアラビアは地上部隊の一部を構成することになろう」と強調した。
『ハヤート』(2月10日付)などが伝えた。
AFP, February 9, 2016、AP, February 9, 2016、ARA News, February 9, 2016、Champress, February 9, 2016、al-Hayat, February 10, 2016、Iraqi News, February 9, 2016、Kull-na Shuraka’, February 9, 2016、al-Mada Press, February 9, 2016、Naharnet, February 9, 2016、NNA, February 9, 2016、Reuters, February 9, 2016、SANA, February 9, 2016、UPI, February 9, 2016などをもとに作成。
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トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣は訪問先のハンガリーの首都ブタペストでの記者会見で、トルコ当局が、トルコ国境近くに押し寄せているシリア人避難民約5万人(推計)のうちの1万人の領内への入国をこれまで認めたことを明らかにした。
一方、 国連人道問題調整室(OCHA)は、アレッポ県北部でのシリア軍の攻勢によって、反体制武装集団の支配下にあるアレッポ市東部が完全包囲されれば、同地にとどまる約300万人(推計)が孤立すると警鐘を鳴らした。
『ハヤート』(2月10日付)が伝えた。
AFP, February 9, 2016、AP, February 9, 2016、ARA News, February 9, 2016、Champress, February 9, 2016、al-Hayat, February 10, 2016、Iraqi News, February 9, 2016、Kull-na Shuraka’, February 9, 2016、al-Mada Press, February 9, 2016、Naharnet, February 9, 2016、NNA, February 9, 2016、Reuters, February 9, 2016、SANA, February 9, 2016、UPI, February 9, 2016などをもとに作成。
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ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、ロシア軍の空爆によってシリア人避難民が増加しているとするドイツのアンゲラ・メルケル首相の発言に対して、「この手の発言には、だれも今のところ信頼できる証拠を一つも示していない」と反論した。
メルケル首相は8日、ロシア軍のシリア空爆により数万人の民間人が避難を余儀なくされているとしたうえで、空爆がシリアでの紛争終結に向けた政治プロセスとテロとの戦いについて定めた国連安保理決議第2254号に違反していると批判していた。
ペスコフ報道官はまた、トルコ軍によるロシア軍戦闘機撃墜以降悪化したままのトルコとの関係に関して「トルコとの関係改善の手段について話すことはで不可能だ…。我々の関係は過去数十年間で最悪だ。トルコはロシアに対して卑劣な敵対行為をした。トルコは適切にこうした行為を釈明していないし、謝罪もしていない」と述べた。
そのうえで、ペスコフ報道官は「ロシア空軍は正統なシリア政府の要請に従いシリア領内に駐留している」と強調した。
『ハヤート』(2月10日付)が伝えた。
AFP, February 9, 2016、AP, February 9, 2016、ARA News, February 9, 2016、Champress, February 9, 2016、al-Hayat, February 10, 2016、Iraqi News, February 9, 2016、Kull-na Shuraka’, February 9, 2016、al-Mada Press, February 9, 2016、Naharnet, February 9, 2016、NNA, February 9, 2016、Reuters, February 9, 2016、SANA, February 9, 2016、UPI, February 9, 2016などをもとに作成。
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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は『モスコフスキー・コムソモーレツ』紙のインタビューに応じ、そのなかでロシア政府が米国に対して、シリアの危機解決に向けた具体的新提案を行ったことを明らかにした。
提案の内容については明らかにしなかった。
RT(2月9日付)が伝えた。
一方、『ハヤート』(2月10日付)は、ジョン・ケリー米国務長官が「アレッポ市および同地域でのロシアの活動は(反体制派が)交渉のテーブルに着き、真摯な対話を行うことをますます困難にしている」述べ、ロシアの空爆を批判したと伝えた。
AFP, February 9, 2016、AP, February 9, 2016、ARA News, February 9, 2016、Champress, February 9, 2016、al-Hayat, February 10, 2016、Iraqi News, February 9, 2016、Kull-na Shuraka’, February 9, 2016、al-Mada Press, February 9, 2016、Naharnet, February 9, 2016、NNA, February 9, 2016、Reuters, February 9, 2016、SANA, February 9, 2016、UPI, February 9, 2016などをもとに作成。
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