米国主導の有志連合はシリア領内で4回の爆撃を実施(2016年3月13日)

米中央軍(CENTCOM)は、3月13日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して15回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は4回で、マンビジュ市近郊(1回)、マーリア市近郊(3回)に対して攻撃が行われた。

CENTCOM, March 14, 2016などをもとに作成。

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アル=カーイダ系組織のヌスラ戦線はアレッポ市西部郊外の「穏健な反体制派」支配地域に進攻し、第46連隊の拠点を制圧、武器を捕獲(2016年3月13日)

アレッポ県では、ARA News(3月13日付)によると、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線は、敵対行為停止合意に乗じるかたちで「穏健な反体制派」が優勢なアレッポ市西部郊外一帯に侵攻、アターリブ市に隣接するムハンディスィーン地区にある第46連隊などの拠点を制圧、武器・弾薬を捕獲した。

AFP, March 13, 2016、AP, March 13, 2016、ARA News, March 13, 2016、Champress, March 13, 2016、al-Hayat, March 14, 2016、Iraqi News, March 13, 2016、Kull-na Shuraka’, March 13, 2016、al-Mada Press, March 13, 2016、Naharnet, March 13, 2016、NNA, March 13, 2016、Reuters, March 13, 2016、SANA, March 13, 2016、UPI, March 13, 2016などをもとに作成。

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アル=カーイダ系組織のヌスラ戦線がイドリブ県から「穏健な反体制派」の第13師団を放逐し、米国製武器を捕獲(2016年3月13日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)との連携がとりざたされているジュンド・アクサー機構が13日未明までに、ハーン・シャイフ市にある「穏健な反体制派」第13師団の拠点を制圧した。

またアル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線も、マアッラト・ヌウマーン市郊外にあるガドファ村で第13師団の拠点を制圧、師団メンバー40人以上を逮捕した。

ヌスラ戦線は12日、マアッラト・ヌウマーン市にある第13師団のすべての拠点を制圧し、米国が第13師団に供与したとされるTOW対戦車ミサイル、戦車、装甲車、中軽火器、弾薬を捕獲した。

シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市での戦闘では第13師団の戦闘員6人が死亡、またガドファ村では数十人の消息が不明となっているという。

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拠点を奪われた第13師団はツイッターのアカウントを通じて、「ヌスラ戦線は我々の全拠点を襲撃し、武器弾薬を奪った。我々は彼らがこの武器を他の部隊に対して使用しないことを望む」とメッセージを発信、また「我々は(ヌスラ戦線指導者のアブー・ムハンマド・)ジャウラーニー氏によるこの征服を祝福したい」と揶揄した。

その後、第13師団は声明を出し、本拠地のマアッラト・ヌウマーン市とハーミディーヤ村・ガドファ村郊外一帯をヌスラ戦線に奪われたことを認める一方、ハマー県、アレッポ県、ラタキア県における戦線では、シリア政府とダーイシュ(イスラーム国)と対峙していると主張、これらとの戦闘を継続する意思を表明した。

Kull-na Shuraka', March 14, 2016
Kull-na Shuraka’, March 14, 2016

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一方、『ハヤート』(3月14日付)は、ヌスラ戦線とジュンド・アクサー機構による第13師団の制圧に対して、アル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動やシリア・ムスリム同胞団系のシャーム軍団が介入せず、対立を阻止しなかったことを批判する動きがSNS上で展開されていると伝えた。

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ヌスラ戦線は、リヤド最高交渉委員会に参加するアル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動などとともにファトフ軍を率い、イドリブ県の実効支配を主導している。

一方、ジュンド・アクサー機構はファトフ軍に参加していたが、2015年10月末に脱会、その後アレッポ県南東部やハマー県北東部での戦闘でダーイシュと連携する動きを見せている。

AFP, March 13, 2016、AP, March 13, 2016、ARA News, March 13, 2016、Champress, March 13, 2016、al-Durar al-Shamiya, March 13, 2016、al-Hayat, March 14, 2016、Iraqi News, March 13, 2016、Kull-na Shuraka’, March 13, 2016、al-Mada Press, March 13, 2016、Naharnet, March 13, 2016、NNA, March 13, 2016、Reuters, March 13, 2016、SANA, March 13, 2016、UPI, March 13, 2016などをもとに作成。

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ダーイシュの幹部司令官アブー・ウマル・シーシャーニー氏が「臨床死」状態に(2016年3月13日)

シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表はAFP(3月13日付)に、3月4日の米軍主導の有志連合によるハサカ県シャッダーディー市に対する空爆で重傷を負っていたとされるダーイシュ(イスラーム国)の幹部司令官で「戦争大臣」と目されるジョージア人のアブー・ウマル・シーシャーニー氏が、搬送先で「臨床死」状態にあると述べた。

アブドゥッラフマーン代表によると、「シーシャーニー氏は数日前から臨床死の状態に入った。自分ではもはや呼吸できず、人工呼吸器が必要となった」と述べた。

AFP, March 13, 2016、AP, March 13, 2016、ARA News, March 13, 2016、Champress, March 13, 2016、al-Hayat, March 14, 2016、Iraqi News, March 13, 2016、Kull-na Shuraka’, March 13, 2016、al-Mada Press, March 13, 2016、Naharnet, March 13, 2016、NNA, March 13, 2016、Reuters, March 13, 2016、SANA, March 13, 2016、UPI, March 13, 2016などをもとに作成。

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イドリブ県、ダマスカス郊外県などでシリア軍とジハード主義武装集団が交戦(2016年3月13日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)がフバイト村を空爆、またシリア軍が同地を砲撃した。

一方、SANA(3月13日付)によると、シリア政府支配下のフーア市を反体制武装集団が襲撃し、住民1人が死亡した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がドゥーマー市、ドゥーマー市・ミスラーバー市街道一帯を砲撃し、複数人が負傷した。

またマルジュ・スルターン村一帯、アイン・マニーン村では、シリア軍、国防隊が、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動、イスラーム軍などからなる反体制武装集団と交戦し、戦闘機(所属明示せず)が同地を7回にわたり空爆した。

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ダルアー県では、SANA(3月13日付)によると、反体制武装集団がダルアー市スィハーリー地区を砲撃し、1人が負傷した。

AFP, March 13, 2016、AP, March 13, 2016、ARA News, March 13, 2016、Champress, March 13, 2016、al-Hayat, March 14, 2016、Iraqi News, March 13, 2016、Kull-na Shuraka’, March 13, 2016、al-Mada Press, March 13, 2016、Naharnet, March 13, 2016、NNA, March 13, 2016、Reuters, March 13, 2016、SANA, March 13, 2016、UPI, March 13, 2016などをもとに作成。

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「穏健な反体制派」はアレッポ県のトルコ国境地帯でダーイシュとの交戦を続ける(2016年3月13日)

アレッポ県では、ARA News(3月13日付)によると、シリア・ムスリム同胞団系のシャーム軍団、ハムザ旅団、スルターン・ムラード旅団、ムンタスィル・ビッラー旅団が、ダーイシュ(イスラーム国)との交戦の末、トルコ国境に近いガザル村を制圧した。

一方、ダーイシュはこれらの「穏健な反体制派」の拠点都市マーリア市、ドゥーディヤーン村一帯に対して攻撃を行った。

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ダイル・ザウル県では、SANA(3月13日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がダイル・ザウル市ジャウラ地区、クスール地区を砲撃し、女性2人が死亡、13人が負傷した。

AFP, March 13, 2016、AP, March 13, 2016、ARA News, March 13, 2016、Champress, March 13, 2016、al-Hayat, March 14, 2016、Iraqi News, March 13, 2016、Kull-na Shuraka’, March 13, 2016、al-Mada Press, March 13, 2016、Naharnet, March 13, 2016、NNA, March 13, 2016、Reuters, March 13, 2016、SANA, March 13, 2016、UPI, March 13, 2016などをもとに作成。

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「穏健な反体制派」は西クルディスタン移行期民政局支配下のアレッポ市シャイフ・マクスード地区に対して「化学兵器」を使用か?(2016年3月13日)

アレッポ県では、ARA News(3月13日付)が西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の政治母体であるシリア民主評議会のライザーン・ハッドゥー氏の話として、「穏健な反体制派」と目されるスルターン・ムラード旅団、第16師団、ヌールッディーン・ザンキー運動と、アル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動が、西クルディスタン移行期民政局の支配下にあるアレッポ市シャイフ・マクスード地区に対して、「化学兵器」を装填した砲弾で砲撃を行ったと伝えた。

この攻撃により、子供2人と女性1人を含む5人が呼吸困難を訴え、病院に搬送されたという。

ARA News, March 13, 2016
ARA News, March 13, 2016

一方、ARA News(3月15日付)によると、アレッポ市サカン・シャバービー地区での西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊との戦闘でシャーム戦線所属のシャーム革命家大隊司令官のウマル・サンダ氏が死亡した。

また、SANA(3月13日付)によると、反体制武装集団が敵対行為停止合意に違反し、アレッポ市シャイフ・マクスード地区を砲撃し、5人が負傷した。

AFP, March 13, 2016、AP, March 13, 2016、ARA News, March 13, 2016、March 15, 2016、Champress, March 13, 2016、al-Hayat, March 14, 2016、Iraqi News, March 13, 2016、Kull-na Shuraka’, March 13, 2016、al-Mada Press, March 13, 2016、Naharnet, March 13, 2016、NNA, March 13, 2016、Reuters, March 13, 2016、SANA, March 13, 2016、UPI, March 13, 2016などをもとに作成。

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アレッポ県、イドリブ県一帯で活動する反体制武装集団3組織が第1ウマイヤ師団を結成(2016年3月13日)

アレッポ県、イドリブ県一帯で活動する反体制武装集団がビデオ声明を出し、第1ウマイヤ師団を結成すると発表した。

第1ウマイヤ師団に完全統合すると表明したのは、ムンタスィル・ビッラー旅団、第38旅団、第99歩兵旅団。

AFP, March 13, 2016、AP, March 13, 2016、ARA News, March 13, 2016、Champress, March 13, 2016、al-Hayat, March 14, 2016、Iraqi News, March 13, 2016、Kull-na Shuraka’, March 13, 2016、al-Mada Press, March 13, 2016、Naharnet, March 13, 2016、NNA, March 13, 2016、Reuters, March 13, 2016、SANA, March 13, 2016、UPI, March 13, 2016などをもとに作成。

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ロシア国防省は12日の停戦違反件数を29件と発表(2016年3月13日)

ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、3月12日に29件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

停戦違反のうち18件はラタキア県、5件はダマスカス郊外県、2件はイドリブ県、1件はハマー県で発生し、ダマスカス郊外県とイドリブ県ではアル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動による砲撃で10人が死亡、30人あまりが負傷した。

また、アレッポ県シャイフ・マクスード地区では武装集団が西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊の拠点複数カ所を砲撃した。

なお、ロシア軍は、米・ロシアによる敵対行為禁止合意の対象地域内での空爆は実施せず、ダーイシュ(イスラーム国)、シャームの民のヌスラ戦線に対する空爆地点は、米・ロシア両国の当事者和解調整センターに通告済みだという。

AFP, March 13, 2016、AP, March 13, 2016、ARA News, March 13, 2016、Champress, March 13, 2016、al-Hayat, March 14, 2016、Iraqi News, March 13, 2016、Kull-na Shuraka’, March 13, 2016、al-Mada Press, March 13, 2016、Naharnet, March 13, 2016、NNA, March 13, 2016、Reuters, March 13, 2016、SANA, March 13, 2016、UPI, March 13, 2016などをもとに作成。

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シリア政府代表団がジュネーブ3会議出席のためにジュネーブ入り(2016年3月13日)

バッシャール・ジャアファリー国連シリア代表が率いるシリア政府代表団が、14日に再開されるジュネーブ3会議に参加するため、スイスの首都ジュネーブに到着した。

ジャアファリー国連シリア代表は記者団に対して、2月に開催された1回目の会合で露呈した問題に対処するため、間接交渉に向けて充分な準備を行うことが重要だと述べた。

SANA(3月13日付)が伝えた。

SANA, March 13, 2016
SANA, March 13, 2016

AFP, March 13, 2016、AP, March 13, 2016、ARA News, March 13, 2016、Champress, March 13, 2016、al-Hayat, March 14, 2016、Iraqi News, March 13, 2016、Kull-na Shuraka’, March 13, 2016、al-Mada Press, March 13, 2016、Naharnet, March 13, 2016、NNA, March 13, 2016、Reuters, March 13, 2016、SANA, March 13, 2016、UPI, March 13, 2016などをもとに作成。

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ジュネーブ3会議再開に先立って米英仏独伊EU外相会合:ケリー米国務長官「アサド政権こそが停戦に違反していることを皆が知っている」(2016年3月13日)

フランスの首都パリで、米英仏独伊EU外相会合が行われ、14日に再開されるジュネーブ3会議への対応などが協議された。

会合後の共同記者会見で、ジョン・ケリー米国務長官は「我々はシリアの内戦を終わらせねばならないということで合意している。2週間前から現在まで、若干の緊張状態はあるもの、戦闘は静まった。我々は、暴力の80~90%を抑えた…。ISSG(国際シリア支援グループ)が立ち上げた外交方針により、我々はシリア各地に必要な人道物資を搬入できるようになった…。重要なのは、停戦により戦闘が減少し、人々が街頭でデモを行い、カフェで腰を下ろせるようになったことだ」とロシアとの敵対行為停止合意発効後の成果を強調した。

また「皆が何が必要かを知っている。つまり、政権側による空爆停止だ。空爆はすべての当事者が停止せねばならなず、人道支援物資搬入、そしてジュネーブ合意や国連安保理決議第2254号に準じた政治プロセスに向けた交渉を行うために協力し合わねばならない…。アサド政権こそが停戦に違反していることを皆が知っている…。我々は来年も内戦が続いてここにいたくはない」と述べ、シリア政府を批判した。

会合を主催したフランスのジャン=マルク・エロー外務大臣は「来週の火曜日でシリアの紛争は6年目に入り、ジュネーブでは明日、困難な(和平)協議が行われる。しかし、我々はみな、ここで、この交渉に参加するためにジュネーブ入りするという勇敢な決定を下した「穏健な反体制派」への支持を改めて確認したい…。我々は現地での進展を注視している。(停戦)監視の仕組みを強化すべきである…。我々は、国連安保理決議第2254号が定めた行程に従って真の政治移行を行う必要があると述べた。これがジュネーブでの協議の肝になる」と述べた。

AFP, March 13, 2016、AP, March 13, 2016、ARA News, March 13, 2016、Champress, March 13, 2016、al-Hayat, March 14, 2016、Iraqi News, March 13, 2016、Kull-na Shuraka’, March 13, 2016、al-Mada Press, March 13, 2016、Naharnet, March 13, 2016、NNA, March 13, 2016、Reuters, March 13, 2016、SANA, March 13, 2016、UPI, March 13, 2016などをもとに作成。

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