米軍主導の有志連合はシリア領内で3回の爆撃を実施(2016年3月14日)

米中央軍(CENTCOM)は、3月14日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して17回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は3回で、フール町近郊(3回)に対して攻撃が行われた。

CENTCOM, March 15, 2016などをもとに作成。

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YPGはハサカ県アームーダー市近郊でトルコ軍からの越境攻撃を受けたと発表(2016年3月14日)

西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊の総司令部は、トルコ軍がハサカ県アームーダー市近郊の人民防衛隊の拠点に対して越境攻撃を行ったと発表した。

ARA News(3月15日付)が伝えた。

AFP, March 15, 2016、AP, March 15, 2016、ARA News, March 15, 2016、Champress, March 15, 2016、al-Hayat, March 16, 2016、Iraqi News, March 15, 2016、Kull-na Shuraka’, March 15, 2016、al-Mada Press, March 15, 2016、Naharnet, March 15, 2016、NNA, March 15, 2016、Reuters, March 15, 2016、SANA, March 15, 2016、UPI, March 15, 2016などをもとに作成。

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プーチン大統領とアサド大統領はシリア駐留ロシア空軍の主要部隊の撤退に合意(2016年3月14日)

シリア大統領府は声明を出し、アサド大統領とロシアのヴラジミール・プーチン大統領が電話会談を行い、シリア駐留ロシア軍の兵力を削減することに合意したと発表した。

声明は「シリア・アラブ軍がロシア空軍との協力により「テロとの戦い」において成功を達成し、シリア各地で治安と安定を回復したことを受け…、シリア・ロシア両国は、アサド、プーチン両大統領の電話会談で、現下の戦況に応じるかたちでシリア駐留ロシア軍の兵力を削減するとともに、敵対行為停止を継続、さらに「テロとの戦い」におけるロシアのシリア支援を継続することに合意した」という。

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ロシア大統領府(クレムリン)も同様の声明を発表、「両国首脳は、ロシア空軍の活動によってテロとの戦いの戦況に劇的な変化がもたらされ、テロリストのインフラを解体、彼らに甚大な損害を与えたことに注目した…。これを鑑み、ロシア大統領は、シリア駐留ロシア空軍に与えられていた主な任務は完了したと言明した。ロシア空軍の主要部隊を撤退させることが合意された」と表明した。

また「アサド大統領は、作戦に参加したロシア空軍士官らのプロフェッショナリズム、勇気、英雄的姿勢に言及し、ロシアに深い謝意を示した…。シリアの指導部は、シリアにおける政治プロセスの早急な構築の用意があると強調した。

プーチン大統領は、セルゲイ・ショイグ外務大臣、セルゲイ・ラブロフ外務大臣との会談で、駐留ロシア空軍の撤退を15日から開始すると述べた。

なお、ショイグ国防大臣がプーチン大統領に提出した戦果報告によると、9月末以降のロシア軍による空爆は、出撃回数が約9,000回に達し、戦闘員2,000人(うち前線司令官17人)を殲滅、石油関連施設209棟、車輌約3,000輌などを破壊、シリア政府が400の市町村・住宅地、1万平方キロを奪還するのに寄与したほか、トルコからの主要な兵站路の遮断に成功したという。

AFP, March 14, 2016、AP, March 14, 2016、ARA News, March 14, 2016、Champress, March 14, 2016、al-Hayat, March 15, 2016、Iraqi News, March 14, 2016、Kull-na Shuraka’, March 14, 2016、al-Mada Press, March 14, 2016、Naharnet, March 14, 2016、NNA, March 14, 2016、Reuters, March 14, 2016、SANA, March 14, 2016、UPI, March 14, 2016などをもとに作成。

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ジュネーブ3会議再開:シリア代表団「この対話により多くの反体制派が参加することを願っている」、デミストゥラ国連共同特別代表「すべての問題の起点は政治移行だ」(2016年3月14日)

バッシャール・ジャアファリー国連シリア代表を団長とするシリア政府代表団は、スイスのジュネーブでスタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表と会談、ジュネーブ3会議における反体制派との間接協議を開始した。

ジャアファリー国連シリア代表は会談後、記者団に対して、デミストゥラ国連特別代表との会談が「前向き、建設的」だと高く評価、「我々と共同特別代表との間で、交渉の枠組みの形式に関してどのような相互理解、合意、コンセンサスを行うかについて充分な準備とヴィジョンの確立が重要だという点で相互理解に達した」ことを明らかにした。

ジャアファリー国連シリア代表は「形式的側面という場合、我々が意図しているのは、ジュネーブに参加、ないしは招聘される代表団が誰からなっているか…、(反体制派の)合同名簿とはどのようなものか、すべての代表団が平等に扱われているか、とうことだ…。我々は他のすべての代表団が、国連安保理決議、ウィーンでの諸合意、ミュンヘンでの宣言に従って参集し、この対話により多くの反体制派が参加することを願っている」と述べた。

また「我々はシリア人として、シリア指導部として、外国の干渉や前提条件なしに協議を行いたい」と強調した。

SANA, March 14, 2016
SANA, March 14, 2016

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一方、デミストゥラ共同特別代表も「会合は有益で実り多いものだった」とシリア政府代表団との交渉を高く評価、「多くの論点を明確にすることができた」と述べた。

また「Bプランは戦争への逆戻りを意味する。おそらく今よりももっと悪い戦争へとだ…」と警鐘を鳴らした。

なお、デミストゥラ共同特別代表は会談に先立って記者会見を開き、「政治移行こそがすべての問題の起点だ」と述べていた。

AFP, March 14, 2016、AP, March 14, 2016、ARA News, March 14, 2016、Champress, March 14, 2016、al-Hayat, March 15, 2016、Iraqi News, March 14, 2016、Kull-na Shuraka’, March 14, 2016、al-Mada Press, March 14, 2016、Naharnet, March 14, 2016、NNA, March 14, 2016、Reuters, March 14, 2016、SANA, March 14, 2016、UPI, March 14, 2016などをもとに作成。

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ヌスラ戦線と第13師団は和解に向けて独立司法裁判所の設置で合意するも、マアッラト・ヌウマーン市住民はヌスラ戦線本部を焼き討ちに(2016年3月14日)

イドリブ県では、SNN(3月15日付)によると、マアッラト・ヌウマーン市では日中、シャームの民のヌスラ戦線による第13師団の全拠点制圧、メンバー逮捕への住民の不満が高まり、市内各所で抗議デモが発生した。

Youtube, March 14, 2016
Youtube, March 14, 2016

Youtube, March 14, 2016
Youtube, March 14, 2016
Youtube, March 14, 2016
Youtube, March 14, 2016

デモ参加者は「シリア革命期」(委任統治領シリアの国旗)、第13師団の旗を掲げ、メンバーの逮捕停止や逮捕者釈放が要求された。

クッルナー・シュラカー(3月14日付)によると、デモ参加者の一部はマアッラト・ヌウマーン市内にあるヌスラ戦線の本部に突入し、拘束されていた4人を解放したのち、本部を焼き討ちにした。

デモ参加者が突入した際、ヌスラ戦線のメンバーは一人もいなかったという。

なおSNNによると、ヌスラ戦線は市内に検問所を設置せず、拠点を市外に移転し衝突を回避しようとしたが、夜になると、第13師団メンバーの追跡捜査を再開し、複数のメンバーを逮捕したという。

ドゥラル・シャーミーヤ(3月15日付)によると、ヌスラ戦線の追跡捜査はメンバーの自宅などが対象となり、第13師団特殊部隊司令官のアリー・サマーフ離反大佐も逮捕されたという。

 

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一方、ヌスラ戦線は13日深夜に声明を出し、第13師団との対立解消と和解に向けて独立司法裁判所の設置を呼びかけた。

ヌスラ戦線はまたこの裁判所のメンバーとして、アブドゥッラッザーク・マフディー氏、アブー・ハーリス・ミスリー氏(エジプト人)、アブドゥッラー・ムハイスィニー氏(ファトフ軍を指導するサウジアラビア人説教師)の3人を推薦した。

これに対して、第13師団も13日付で声明を出し、「善意のもとに(ヌスラ戦線が制圧した第13師団の)すべての本部、物資が、(法的)判断が下されるまで、法務委員会によって管理され、事態が回復し、逮捕者が帰宅、検問所が撤去されることを提案する」と発表し、独立司法裁判所に審理を求め、ヌスラ戦線の提案に応じる姿勢を示した。

Kull-na Shuraka', March 14, 2016
Kull-na Shuraka’, March 14, 2016

クッルナー・シュラカー(3月14日付)によると、これを受け、ムスリフ・ウルヤーニー氏、アブー・ナースィル・クワイティー氏、アブー・アースィム氏、アブー・カターダ氏の4人が独立司法委員会のメンバーに任命されたという。

AFP, March 14, 2016、AP, March 14, 2016、ARA News, March 14, 2016、Champress, March 14, 2016、al-Durar al-Shamiya, March 15, 2016、al-Hayat, March 15, 2016、Iraqi News, March 14, 2016、Kull-na Shuraka’, March 14, 2016、al-Mada Press, March 14, 2016、Naharnet, March 14, 2016、NNA, March 14, 2016、Reuters, March 14, 2016、SANA, March 14, 2016、SNN, March 14, 2016、UPI, March 14, 2016などをもとに作成。

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イドリブ県での戦闘を受け、同県およびダマスカス郊外県の包囲下の都市への人道支援物資搬入作業が中断(2016年3月14日)

AFP(3月15日付)は、赤十字国際委員会のパウエル・クリジシエク(Pawel Krzysiek)報道官の話として、ダマスカス郊外県のマダーヤー町、ザバダーニー市、イドリブ県フーア市、カファルヤー町で予定されていた人道支援物資搬入作業が現地での戦闘、とりわけヒムス県カルアト・マディーク町でのシリア軍と反体制武装集団の戦闘によって延期となったと伝えた。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が、ハッダーダ村・ジュッブ・アフマル村・カッバーナ村回廊など県北西部一帯で、第1沿岸師団、シャーム自由人イスラーム運動、アンサール・シャーム、第2沿岸師団、トルキスターン・イスラーム党、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がマルジュ・スルターン村一帯でシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動、イスラーム軍などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

シリア軍はまた、アイン・マニーン村内で強制捜査を実施した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市アシュラフィーヤ地区、サカン・シャバービー地区で西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とジハード主義武装集団が交戦し、後者の戦闘員1人が死亡した。

ジハード主義武装集団はまた、県北西部のタッル・リフアト市、アイン・ダクナ村のシリア民主軍拠点を砲撃した。

一方、ARA News(3月14日付)によると、シリア・ムスリム同胞団系のシャーム軍団、アル=カーイダ系のシャーム自由人イスラーム運動、「穏健な反体制派」と目されるヌールッディーン・ザンキー運動がヌブル市近郊のバーシャムラ村(西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍制圧下)を砲撃した。

また、アレッポ市ラーシディーン地区一帯、ハイヤーン町一帯では、シリア軍は外国人戦闘員(イラク人、アフガン人民兵)らとともにアレッポ・ファトフ軍作戦司令室、「命じられるがまま進め」連合などからなる反体制武装集団と交戦した。

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ハマー県では、ARA News(3月14日付)によると、シリア軍は外国人戦闘員(イラク人、アフガン人民兵)とともに、反体制武装集団に占拠されていた県北部のカフルヌブーダ穀物サイロ一帯、サフル村、カフルヌブーダ町周辺の検問所を奪還した。

一方、SANA(3月14日付)によると、イーマーン旅団を名乗る武装集団が、ウンム・ハーラタイン村・ザアタル丘・マアーン村回廊一帯で停戦に違反し、シリア軍拠点に対して攻撃を行った。

シリア軍はこれに応戦し、戦闘員6人を殲滅した。

AFP, March 14, 2016、AP, March 14, 2016、ARA News, March 14, 2016、Champress, March 14, 2016、al-Hayat, March 15, 2016、Iraqi News, March 14, 2016、Kull-na Shuraka’, March 14, 2016、al-Mada Press, March 14, 2016、Naharnet, March 14, 2016、NNA, March 14, 2016、Reuters, March 14, 2016、SANA, March 14, 2016、UPI, March 14, 2016などをもとに作成。

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シリア軍がヒムス県タドムル市一帯でダーイシュと交戦(2016年3月14日)

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がタドムル市一帯、ヒヤーン山一帯でダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、シリア軍が同地一帯を激しく空爆・砲撃した。

一方、SANA(3月14日付)によると、シリア軍が人民防衛諸集団とともに、ダーイシュ(イスラーム国)支配下のヒヤール山およびタール山近郊の第853地点、第600地点を制圧した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、県北西部でムウタスィム・ビッラー旅団、ハムザ旅団、スルターン・ムラード旅団、山地の鷹旅団、シャーム軍団などからなる反体制武装集団がガズル村一帯などで、ダーイシュ(イスラーム国)との戦闘を続け、ARA
News(3月14日付)によると、ジャカー村(トルクメン人の村)を制圧した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)がダイル・ザウル航空基地一帯のダーイシュ(イスラーム国)を空爆した。

AFP, March 14, 2016、AP, March 14, 2016、ARA News, March 14, 2016、Champress, March 14, 2016、al-Hayat, March 15, 2016、Iraqi News, March 14, 2016、Kull-na Shuraka’, March 14, 2016、al-Mada Press, March 14, 2016、Naharnet, March 14, 2016、NNA, March 14, 2016、Reuters, March 14, 2016、SANA, March 14, 2016、UPI, March 14, 2016などをもとに作成。

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ロシア国防省は13日の停戦違反件数を14件と発表(2016年3月14日)

ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、3月13日に14件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

停戦違反のうち5件はラタキア県、5件はダルアー県、2件はアレッポ県、1件はダマスカス郊外県、1件はハマー県。

なお、ロシア軍は、米・ロシアによる敵対行為禁止合意の対象地域内での空爆は実施せず、ダーイシュ(イスラーム国)、シャームの民のヌスラ戦線に対する空爆地点は、米・ロシア両国の当事者和解調整センターに通告済みだという。

AFP, March 14, 2016、AP, March 14, 2016、ARA News, March 14, 2016、Champress, March 14, 2016、al-Hayat, March 15, 2016、Iraqi News, March 14, 2016、Kull-na Shuraka’, March 14, 2016、al-Mada Press, March 14, 2016、Naharnet, March 14, 2016、NNA, March 14, 2016、Reuters, March 14, 2016、SANA, March 14, 2016、UPI, March 14, 2016などをもとに作成。

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