米中央軍(CENTCOM)は、3月15日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して11回の空爆を行ったと発表した。
このうちシリア領内での空爆は2回で、フール町近郊(2回)に対して攻撃が行われた。
CENTCOM, March 16, 2016などをもとに作成。
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Detail Report on the Arab Spring in Syria: Latest Situation in Syria / アラビア語の新聞、通信社、ウェブサイトなどを通じて収集した情報をもとに、シリア情勢をより網羅的に把握・紹介することをめざします。
シリア人権監視団によると、米軍主導の有志連合の空爆によって重要を追っていたダーイシュ(イスラーム国)の幹部司令官のアブー・ウマル・シーシャーニー氏が搬送先のラッカ市内の医療施設で死亡した。
AP(3月15日付)によると、シーシャーニー氏の遺体はダイル・ザウル県内で埋葬されたという。
しかし、ダーイシュの通信部門アアマーク通信は、シーシャーニー氏が元気だと伝えた。
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ヒムス県では、ARA News(3月15日付)によると、ロシア軍の航空支援を受けたシリア軍および外国人戦闘員がダーイシュ(イスラーム国)との戦闘の末、タドムル市西部郊外一帯に支配地域を拡大した。
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アレッポ県では、ARA News(3月15日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)が「穏健な反体制派」によって制圧されたヤニ・ヤバーン村、ドゥーディヤーン村を攻撃したが、シャーム軍団、スルターン・ムラード旅団がこれを撃退した。
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ハサカ県では、ARA News(3月15日付)によると、シャッダーディー市一帯で西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍戦闘員5人がダーイシュ(イスラーム国)の敷設した地雷の爆発に巻き込まれ死亡した。
AFP, March 15, 2016、AP, March 15, 2016、ARA News, March 15, 2016、Champress, March 15, 2016、al-Hayat, March 16, 2016、Iraqi News, March 15, 2016、Kull-na Shuraka’, March 15, 2016、al-Mada Press, March 15, 2016、Naharnet, March 15, 2016、NNA, March 15, 2016、Reuters, March 15, 2016、SANA, March 15, 2016、UPI, March 15, 2016などをもとに作成。
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ハマー県では、クッルナー・シュラカー(3月15日付)などによると、県南部のフナイファ村、ジャリーナ村で反体制武装集団がシリア軍と交戦し、両村を制圧した。
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アレッポ県では、ARA News(3月15日付)によると、西クルディスタン移行期民政局支配下のアレッポ市シャイフ・マクスード地区に対してシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が砲撃を行い、子供4人、女性3人を含む9人が負傷した。
また、県南部のハーディル村一帯で、シリア軍がシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動、山地の鷹旅団などからなるジハード主義武装集団と交戦した。
AFP, March 15, 2016、AP, March 15, 2016、ARA News, March 15, 2016、Champress, March 15, 2016、al-Hayat, March 16, 2016、Iraqi News, March 15, 2016、Kull-na Shuraka’, March 15, 2016、al-Mada Press, March 15, 2016、Naharnet, March 15, 2016、NNA, March 15, 2016、Reuters, March 15, 2016、SANA, March 15, 2016、UPI, March 15, 2016などをもとに作成。
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ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、3月14日に15件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。
停戦違反のうち6件はダマスカス郊外県、2件はアレッポ県、2件はイドリブ県、2件はハマー県、2件はヒムス県、1件はラタキア県。
このうち、アレッポ県での違反は、アレッポ市シャイフ・マクスード地区の西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊に対するスルターン・ムラード旅団、シャーム自由人イスラーム運動の砲撃、ダマスカス郊外県の違反は、マルジュ・スルターン村一帯でのイスラーム軍によるシリア軍拠点への砲撃だという。
なお、ロシア軍は、米・ロシアによる敵対行為禁止合意の対象地域内での空爆は実施せず、ダーイシュ(イスラーム国)、シャームの民のヌスラ戦線に対する空爆地点は、米・ロシア両国の当事者和解調整センターに通告済みだという。
AFP, March 15, 2016、AP, March 15, 2016、ARA News, March 15, 2016、Champress, March 15, 2016、al-Hayat, March 16, 2016、Iraqi News, March 15, 2016、Kull-na Shuraka’, March 15, 2016、al-Mada Press, March 15, 2016、Naharnet, March 15, 2016、NNA, March 15, 2016、Reuters, March 15, 2016、SANA, March 15, 2016、UPI, March 15, 2016などをもとに作成。
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シャームの民のヌスラ戦線の前線司令官の一人はAFP(3月15日付)に対し、シリア駐留ロシア空軍の主要部隊撤退を受け、48時間以内に攻撃を行うとの意思を表明した。
この前線司令官は「ロシアの敗北は明白だ。48時間以内にヌスラ戦線はシリア国内で攻撃を始める」と述べた。
また「ロシア人が撤退した理由はただ一つだ。シリア政府に愛想を尽かしたからだ。シリア政府は自らが支配する地域を維持できない…。ロシア軍戦闘機なければ、我々は今、ラタキアにいたはずだ」などと豪語した。
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イスラエルのモシェ・ヤアロン国防大臣は、シリア情勢に関して「連邦制がシリアにおける解決策」として妥当だと述べた。
ヤアロン国防大臣は「現状、すなわちシリアでの現下の分割状況を踏まえると…連邦制が危機の唯一の解決策だ」と述べた。
ARA News(3月15日付)が伝えた。
AFP, March 15, 2016、AP, March 15, 2016、ARA News, March 15, 2016、Champress, March 15, 2016、al-Hayat, March 16, 2016、Iraqi News, March 15, 2016、Kull-na Shuraka’, March 15, 2016、al-Mada Press, March 15, 2016、Naharnet, March 15, 2016、NNA, March 15, 2016、Reuters, March 15, 2016、SANA, March 15, 2016、UPI, March 15, 2016などをもとに作成。
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スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表は、14日のシリア政府代表団との会合に続いて、リヤド最高交渉委員会の代表団と会談した。
リヤド最高交渉委員会の代表団は会談で、移行期統治機関に関するヴィジョンをまとめた文書を提出したという。
なおデミストゥラ特別代表は今週中に、カイロ宣言グループ(第2回カイロ大会で「シリア国民憲章」採択を主導したジャマール・スライマーン、ハーリド・マハーミードら)、いわゆる「モスクワ・リスト」に名を連ねる変革解放人民戦線
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スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表は、米ニューヨークで開催された国連安保理の非公式会合にテレビ会議システムで参加し、14日に再開されたジュネーブ3会議の進捗などを報告した。
『ハヤート』(3月16日付)によると、この会合で、デミストゥラ特別代表は、「シリアでの和平をすべての当事者にとってより魅力的なものとするための行動が必要だとしたうえで、政治的移行の進展がない限りは敵対行為禁止合意を継続強化できない」との見解を示し、敵対行為禁止合意の履行維持と人道支援物資支援継続のために、政治移行プロセスを進展させることが最優先事項だと説明したという。
またデミストゥラ特別代表は、2月27日の敵対行為禁止合意発効以降、約100の勢力がロシアの当事者和解調整センターに対して合意受諾を通告したことを報告した。
このうち42団体が反体制武装組織、44が自治体で、自治体は地元の名士らを通じて合意受諾を通告してきたという。
なお、アンマンに設置されている米国の当事者和解調整センターへの停戦受諾の通告については言及されなかったものと思われる。
さらに、デミストゥラ特別代表は、シリア政府から「樽爆弾」使用停止の約束をとりつけたとの報告した。
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米ホワイト・ハウスは声明を出し、バラク・オバマ米大統領がロシアのヴラジミール・プーチン大統領と電話会談を行い、シリア駐留ロシア空軍の「部分撤退」宣言や敵対行為停止合意の継続・強化策について意見を交わしたと発表した。
電話会談で、オバマ大統領は、2月27日の停戦発効後、散発的な違反はあるもの、暴力行為は減少したとしたうえで、シリア軍の攻撃継続が敵対行為停止や政治プロセスの進展を脅かしかねないと述べたという。
また人道支援物資搬入に関しても進展があったとしつつ、ダーライヤー市などへの物資搬入をシリア政府に認めさせるべきだと述べたという。
なお、ホワイトハウスは、シリア駐留ロシア軍の「部分撤退」宣言そのものについては、「現段階においてその影響がどの程度のものかを特定するのは時期尚早」だと発表した。
『ハヤート』(3月16日付)によると、米ロシアの電話首脳会談は、プーチン大統領とシリアのアサド大統領の電話会談後に行われた。
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欧州連合(EU)の外務・安全保障政策上級代表付報道官は、ロシア駐留シリア空軍の主要部隊の撤退宣言に関して「シリア国内の暴力減少の実現と敵対行為の長期的停止に資するいかなる措置も和平プロセスにおいて極めて重要なことだ」と高く評価した。
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フランス外務省報道官は、ロシア駐留シリア空軍の主要部隊の撤退宣言に関して「現実に反映されるのであれば、良い進展」と評価した。
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イランのモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外務大臣は、シリア駐留ロシア空軍の主要部隊の撤退に関して「停戦維持のために力を行使する必要がない」との判断に基づいているとして、これを歓迎した。
ザリーフ外務大臣は「シリアで停戦がほぼ維持されているという事実は歓迎すべきことであり、我々は2年半、あるいは3年以上前から求めてきたものだ…。ロシアが駐留部隊の部分撤退を開始すると発表したことは、停戦を維持するのに力に訴える必要がないと見ていることを示すものだ」と述べた。
一方、アリー・アクバル・ヴェラーヤティー最高指導者顧問は、ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣との会談後、イラン、ロシア、シリア、ヒズブッラーなどの諸勢力の協力関係に変化はないと強調した。
『ハヤート』(3月16日付)が伝えた。
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AFP(3月15日付)によると、シリア駐留ロシア空軍の主要部隊の撤退宣言に関して、デミストゥラ特別代表は声明を出し、「重要な進展」だと高く評価した。
なお声明を読み上げたアフマド・ファウズィー報道官によると、デミストゥラ特別代表は14日晩に、安保理の非公式会合直前に、ロシア側とのテレビ会議でこの撤退について知らされていたという。
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西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の政治母体であるシリア民主評議会は声明を出し、シリア駐留ロシア空軍の主要部隊撤退に関して「ロシア軍撤退という突然のニュースは、我々にとってはサプライズではない…。ロシアは国際社会の諸勢力との合意のもと、政治的な計画と交渉を成功させるために覇権を駆使するだろう」と評価した。
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ロシア国防省は、ヴラジミール・プーチン大統領に命令を受け、セルゲイ・ショイグ国防大臣はシリア駐留ロシア空軍の主要部隊の撤退を命令したと発表した。
これを受け、フマイミーム航空基地の技術要員が同地に配備されている航空機のロシア領内への帰還に向けた準備を開始し、Tu-154とSu-34複数機からなる第一陣が同飛行場を離陸した。


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ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、シリア駐留ロシア空軍の主要部隊の撤退宣言が、ジュネーブ3会議への対応をめぐるシリア政府とロシア政府の対立を反映したものだとの一部の見方に反論し、撤退がアサド政権に圧力をかけることを狙ったものでは決してなく、また撤退に先立って関係当事国との協議は一切行わなかったと述べた。
ペスコフ報道官は、国連安保理決議第2254号で定められた移行プロセスに対するアサド大統領の消極的な姿勢へのヴラジミール・プーチン大統領の不快感が撤退の背景にあるのではとの問いに対して「そんなことはない」と否定、「大統領は、ロシア連邦武装部隊最高司令官として、シリアでのロシア軍の成果を踏まえて決定を下した。基本的な任務が遂行されたとの結論に達したうえでの決定だ」と述べた。
また「外国首脳との会談では議論されず、大統領自身が決定した」と強調した。
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アレクサンドル・ボルトニコフ連邦保安庁長官は、シリア駐留ロシア空軍の主要部隊撤退に関して「テロとの戦いを弱めることを意味せず…テロとの戦いそのものは継続し、同時に友好国との協力のもとこの戦いを強めていく」と述べた。
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一方、セルゲイ・イワノフ大統領府長官はシリア駐留ロシア空軍の主要部隊撤退に合わせて、S-400システムも撤収するかとの質問に対して、残留するロシア軍の「安全を保障するため、我々には最新鋭の防空手段が必要だ」と述べた。
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ダマスカス郊外県東グータ地方で活動するアル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動、ウンマの曉旅団は共同声明を出し、「フスタート軍」の結成、完全統合したと宣言していた。

しかし、シャーム自由人イスラーム運動東グータ地区司令部は声明を出し、「フスタート軍」結成の声明が事実無根だとし、同組織への参加を否定した。

なお、シャーム自由人イスラーム運動は、東グータ地方のマルジュ・スルターン村一帯では、ヌスラ戦線、イスラーム軍とともに合同作戦司令室を設置している。
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シャームの民のヌスラ戦線はSNSを通じて、イドリブ県マアッラト・ヌウマーン市で逮捕していた第13師団のメンバー全員を釈放したと発表した。
複数の活動家によると、釈放されたのはアリー・サマーヒー大佐(特殊任務旅団司令官)、ハーリド・カイターズ氏、シャリーフ・ザイン氏ら30人以上。
一方、第13師団の司令官アフマド・スウード中佐はツイッターを通じて、メンバー5人(ザーヒル・アフマド氏ら)が依然として身柄を拘束されていると発表した。
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アレッポ県などで活動する「穏健な反体制派」8組織は14日付で共同声明を出し、イドリブ県マアッラト・ヌウマーン市でのシャームの民のヌスラ戦線と第16師団の対立に関して、ヌスラ戦線に対して対立を解消するため、拘束中の第16師団メンバーの身柄を独立司法裁判所に引き渡し、和解するよう呼びかけた。
共同声明を出したのは、スルターン・ムラード旅団、シャーム戦線、第16師団、イスラーム覚醒大隊、第1連隊、ヌールッディーン・ザンキー運動、ムジャーヒディーン軍、シャーム軍団。

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