アスタナ12会議は制憲委員会メンバー人選で合意に至らないまま閉幕(2019年4月26日)

カザフスタンの首都アスタナ(ヌルスルターン)で25日に開幕したアスタナ12会議は、2日間の日程を終え、閉幕した。

アスタナ会議の保障国であるロシア、イラン、トルコは閉幕声明を発表し、シリアの領土統一、主権尊重、国連憲章の遵守を改めて確認するとともに、ゴラン高原に対するイスラエルの主権を承認したドナルド・トランプ米大統領の決定を非難した。

閉幕声明は、ロシア、トルコ、イランの代表団長(アレクサンドル・ラヴレンティフ・シリア問題担当大統領特使、アリー・アスガル・ハージー外務大臣補、セダト・オナル外務大臣補)、ゲイル・ペデルセン・シリア問題担当国連特別代表らが同席するなかで、カザフスタンのフムタル・ティレウベルディ(Mukhtar Tileuberdi)外務副大臣が読み上げた。

声明は、ゴラン高原に対するイスラエルの主権を承認したトランプ大統領の決定を非難、「テロとの戦い」を口実とした分離の試みを拒否すると強調した。

また、主権と独立を尊重するとの原則のもとにジャズィーラ地方(ユーフラテス川以東地域)の治安と安定を保障すること、イドリブ県を中心とする緊張緩和地帯第1ゾーンに非武装地帯を設置することを定めた2018年9月のソチ(ロシア)での合意の完全履行を強調、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構による同地支配強化の試みに懸念を表明した。

そのうえで、ダーイシュ(イスラーム国)、シャームの民のヌスラ戦線(シャーム解放機構)、アル=カーイダやダーイシュとつながりのあるすべてのテロリストの根絶に向けて協力を継続することを確認した。

政治プロセスに関しては、ペデルセン特別代表の支援のもと、制憲委員会の活動を開始する必要が強調され、同氏に全面協力する用意があることが確認された。

このほか、声明は、シリア領内のすべての場所に対して、前提条件なく人道支援を継続する必要があることを強調、国際社会、とりわけ国連と人道帰還に対してさらなる協力を呼びかけた。

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シリア代表団の代表を務めるバッシャール・ジャアファリー国連シリア代表は会議閉幕後に記者会見を開き、トルコがイドリブ県からのテロ組織の排除を定めた2018年9月のソチ(ロシア)での合意を遵守しておらず、シャーム解放機構への支援を続けていると非難、シリア領内に違法に駐留するすべての外国部隊に即時撤退を求めるとともに、シリアが主権や領土統一を侵害されることを認めないと強調した。

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一方、ロシア代表団を率いるアレクサンドル・ラヴレンティフ・シリア問題担当大統領特使は、記者会見で、今回の会合で制憲委員会のメンバーについて合意に至らなかったことを明らかにした。

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カザフスタン外務省によると、次回の会議(アスタナ13会議)は6月以降に行われる見込み。

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SANA(4月26日付)、ANHA(4月26日付)、ドゥラル・シャーミーヤ(4月26日付)、AFP(4月26日付)などが伝えた。

AFP, April 26, 2019、ANHA, April 26, 2019、AP, April 26, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 26, 2019、al-Hayat, April 27, 2019、Reuters, April 26, 2019、SANA, April 26, 2019、UPI, April 26, 2019などをもとに作成。

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ロシア軍がシリアのアル=カーイダ支配下のハマー県、イドリブ県を爆撃し、住民10人が死亡(2019年4月26日)

ハマー県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機複数機がタッル・フワーシュ村一帯を爆撃した。

ドゥラル・シャーミーヤ(4月26日付)によると、この爆撃で住民7人が死亡、多数が負傷したという。

また、シリア人権監視団によると、新興のアル=カーイダ系組織フッラース・ディーン機構、アンサール・ディーン戦線、アンサール・タウヒード、アンサール・イスラーム集団からなる「信者を煽れ」作戦司令室が、ガーブ平原のマシャーリーウ地区にあるシリア軍拠点を攻撃し、戦、シリア軍兵士少なくとも4人が死亡した。

「信者を煽れ」作戦司令室側にも死者が出たという。

これに対して、シリア軍はカルアト・マディーク町、ジスル・バイト・ラース村、フワイズ村、カルカート村、サフリーヤ村、ラハーヤー村を砲撃、反体制武装集団と交戦した。

一方、SANA(4月26日付)によると、シリア軍がアンカーウィー村、フワイズ村、シャリーア村、カルアト・マディーク町、フワイジャ村、シャフルナーズ村、サハーブ村、タッル・フワーシュ村、ラターミナ町、カフルズィーター市にあるシャーム解放機構、トルキスタン・イスラーム党、イッザ大隊(イッザ軍)の拠点を砲撃した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機複数機がシャイフ・イドリース村、カンスフラ村、マウザラ村を爆撃した。

ドゥラル・シャーミーヤ(4月26日付)によると、ロシア軍はカフルナブル市、ジャバーラー村、ビダーマー町、アービディーン村一帯に対してもミサイル攻撃を行い、カフルナブル市では、住民3人が死亡、多数が負傷、ジャバーラー村では子供1人を含む3人が死亡したという。

また、シリア人権監視団によると、シリア軍がフワイン村、ザルズール村、ウンム・ハラーヒール村、シャフシャブー山一帯を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を8件(アレッポ県2件、ラタキア県6件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を32件(アレッポ県21件、ハマー県1件、イドリブ県7件、ラタキア県3件)確認した。

AFP, April 26, 2019、ANHA, April 26, 2019、AP, April 26, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 26, 2019、al-Hayat, April 27, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, April 26, 2019、Reuters, April 26, 2019、SANA, April 26, 2019、UPI, April 26, 2019などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから305人、ヨルダンから566人の難民が帰国、避難民10人(うちラクバーン・キャンプからの帰還者0人)が帰宅(2019年4月26日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(4月26日付)を公開し、4月25日に難民871人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは305人(うち女性92人、子供155人)、ヨルダンから帰国したのは566人(うち女性170人、子供289人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は202,154人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者71,373人(うち女性21,557人、子ども36,318人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者130,781人(うち女性24,906人、子ども42,281人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 431,434人(うち女性120,047人、子供203,903人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,659,752人(うち女性1,997,926人、子供3,396,474人)。

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一方、国内避難民10人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは7人(うち女性4人、子供2人)、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山の通行所を経由して帰還したのは3人、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は23,696人(うち女性7,554人、子供10,670人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,292,292人(うち女性386,262人、子供648,338人)となった。

なお、グラーブ山通行所を経由して帰還した3人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は0人だった。

これにより、2019年2月23日以降、同キャンプから帰国した難民は7,434人(うち女性2,017人、子供274人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, April 26, 2019をもとに作成。

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アムネスティー・インターナショナルは2017年の米主導の有志連合によるラッカ市攻撃で1,600人以上が死亡していたと発表(2019年4月25日)

アムネスティー・インターナショナルは、インターアクティブ・ウェブサイトRhetoric versus Reality: How the ‘most precise air campaign in history’ left Raqqa the most destroyed city in modern timesを立ち上げ、米主導の有志連合と人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が、2017年6月から10月にかけてダーイシュ(イスラーム国)の首都と目されていたシリアのラッカ市に対して行った爆撃や砲撃で、1,600人以上の市民が死亡していたと発表した。

ウェブサイトでは、2年に及ぶ調査をもとに作成されており、有志連合やシリア民主軍の攻撃で犠牲者が出た事例、そしてそれを否定する有志連合側の発表が多数紹介されている。

AFP, April 25, 2019、ANHA, April 25, 2019、AP, April 25, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 25, 2019、al-Hayat, April 26, 2019、Reuters, April 25, 2019、SANA, April 25, 2019、UPI, April 25, 2019などをもとに作成。

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レバノンから帰国したばかりの難民の誘拐事件相次ぐ(2019年4月25日)

親政府系の「ダマスカス迫撃砲日記」は、レバノンでの避難生活を終えて帰国したばかりの難民の誘拐事件が最近になって多発していると伝えた。

誘拐犯は、国境地帯で誘拐した難民の身柄と引き替えに多額の身代金を要求しているという。

これに関して、反体制派系のドゥラル・シャーミーヤ(4月25日付)は、誘拐、そして人質となった難民が釈放されていないことの責任がシリア政府にあるとしたうえで、事件の背後には、レバノンとシリアを陸路ではなく旅客便で結びつけたいと考えているシャーム・ウィング社がいると揶揄する識者のコメントを紹介した。

AFP, April 25, 2019、ANHA, April 25, 2019、AP, April 25, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 25, 2019、al-Hayat, April 26, 2019、Yawmiyat Qadhifa Hawun fi Dimashq, April 25, 2019、Reuters, April 25, 2019、SANA, April 25, 2019、UPI, April 25, 2019などをもとに作成。

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YPG主体のシリア民主軍がダイル・ザウル県北部でダーイシュ・メンバー5人を殺害(2019年4月25日)

ダイル・ザウル県では、ANHA(4月25日付)によると、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がズィーバーン町、シュハイル村などでダーイシュ(イスラーム国)のスリーパーセルを摘発するための特殊作戦を実施し、ダーイシュ・メンバー5人を殺害した。

AFP, April 25, 2019、ANHA, April 25, 2019、AP, April 25, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 25, 2019、al-Hayat, April 26, 2019、Reuters, April 25, 2019、SANA, April 25, 2019、UPI, April 25, 2019などをもとに作成。

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アスタナ12会議が開幕:イドリブ県情勢、制憲委員会、難民帰還、復興などについて協議(2019年4月25日)

カザフスタンの首都アスタナ(ヌルスルターン)でシリア危機の解決に向けたアスタナ12会議が開幕した。

SANA(4月25日付)によると、バッシャール・ジャアファリー国連シリア代表を団長とするシリア代表団は、アレクサンドル・ラヴレンティフ・シリア問題担当大統領特使を団長とするロシア代表団、アリー・アスガル・ハージー外務大臣補を団長とするイラン代表団と個別に会談した。

会談では、イドリブ県を中心とする緊張緩和地帯第1ゾーンの現況と同地での「テロとの戦い」のありようについて集中的に意見が交わされた。

一方、イスラーム軍のムハンマド・アッルーシュ政治局長を団長とする反体制武装集団の代表団(シリア革命軍事諸勢力代表団)もアスタナ入りした。

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ロシアの代表団はまた、イランの代表団、ゲイル・ペデルセン・シリア問題担当国連特別代表と個別に会談、セダト・オナル外務大臣補を団長とするトルコの使節団もペデルセン氏と会談した。

その後、ロシア、イラン、トルコの代表団は合同会合を開催し、イドリブ県を中心とするシャーム解放機構支配地域の情勢、制憲委員会の設置、難民帰還、復興などについて意見を交わした。

AFP, April 25, 2019、ANHA, April 25, 2019、AP, April 25, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 25, 2019、al-Hayat, April 26, 2019、Reuters, April 25, 2019、SANA, April 25, 2019、UPI, April 25, 2019などをもとに作成。

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クナイトラ県でゴラン高原に対するイスラエルの主権を認めたトランプ大統領の決定に抗議するデモ(2019年4月25日)

クナイトラ県では、SANA(4月25日付)によると、ハーン・アルナバ市で、ドナルド・トランプ米大統領が3月25日にシリア領ゴラン高原に対するイスラエルの主権を認める大統領令に署名したことに抗議するデモが行われ、多くの住民が参加した。

AFP, April 25, 2019、ANHA, April 25, 2019、AP, April 25, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 25, 2019、al-Hayat, April 26, 2019、Reuters, April 25, 2019、SANA, April 25, 2019、UPI, April 25, 2019などをもとに作成。

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ダイル・ザウル県北部でYPG主体のシリア民主軍の退去を求める抗議デモが発生、シリア民主軍の発砲で参加者3人が死亡(2019年4月25日)

ダイル・ザウル県では、SANA(4月25日付)によると、北・東シリア自治局支配下の県北部のダマーン村、アズバ村、ブサイラ市で、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の退去を求める抗議デモが発生し、多くの住民が参加した。

住民は、北・東シリア自治局支配地の混乱、拉致、殺害、石油利権の独占に抗議、道路封鎖やゼネストを敢行し、シリア民主軍の退去を求めた。

だが、シリア民主軍はダマーン村でデモ参加者に発砲、3人が死亡した。

AFP, April 25, 2019、ANHA, April 25, 2019、AP, April 25, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 25, 2019、al-Hayat, April 26, 2019、Reuters, April 25, 2019、SANA, April 25, 2019、UPI, April 25, 2019などをもとに作成。

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反体制派が撃った砲弾がラタキア市に着弾し、4人負傷(2019年4月25日)

ラタキア県では、SANA(4月25日付)によると、トルコ国境近くで活動を続ける反体制武装集団が発射したロケット弾1発がラタキア市グラーフ地区(南ラムル地区)の民家に着弾し、子供1人を含む4人が負傷した。

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ハマー県では、SANA(4月25日付)によると、シリア軍がフワイズ村、フワイジャ村、ジスル・バイト・ラース村にある反体制武装集団の拠点を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を10件(ラタキア県5件、アレッポ県2件、ハマー県3件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を24件(アレッポ県8件、ハマー県9件、イドリブ県5件、ラタキア県2件)確認した。

AFP, April 25, 2019、ANHA, April 25, 2019、AP, April 25, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 25, 2019、al-Hayat, April 26, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, April 25, 2019、Reuters, April 25, 2019、SANA, April 25, 2019、UPI, April 25, 2019などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから362人、ヨルダンから672人の難民が帰国、避難民25人(うちラクバーン・キャンプからの帰還者0人)が帰宅(2019年4月25日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(4月25日付)を公開し、4月24日に難民1,064人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは362人(うち女性109人、子供185人)、ヨルダンから帰国したのは672人(うち女性202人、子供343人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は201,283人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者71,068人(うち女性12,710人、子ども36,163人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者130,215人(うち女性24,725人、子ども39,092人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 430,563人(うち女性129,215人、子供219,483人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,696,131人(うち女性2,000,839人、子供3,415,027人)。

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一方、国内避難民25人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは8人(うち女性3人、子供2人)、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは15人(うち女性4人、子供8人)、ヒムス県南東グラーブ山の通行所を経由して帰還したのは2人(うち子供1人)、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は20,430人(うち女性6,630人、子供9,057人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,292,282人(うち女性390,109人、子供654,434人)となった。

なお、グラーブ山通行所を経由して帰還した2人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は0人だった。

これにより、2019年2月23日以降、同キャンプから帰国した難民は7,434人(うち女性2,017人、子供274人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, April 25, 2019をもとに作成。

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米主導の有志連合はシリア空爆で「意図せず死亡したとされる民間人」は2019年3月末の段階で1,291人(2019年4月25日)

有志連合CJTF-OIR(「生来の決戦作戦」統合任務部隊)は、2014年8月から2019年3月までにシリア、イラク両国領内での航空作戦に伴う民間人犠牲者発生にかかる7件の新たな報告を受け、すでに報告されている146件と併せて調査を行い、31件(うち2件が再調査)の調査を完了した。

調査を完了した31件のうち11件で意図せずに民間人34人が死亡したことが確認された。

121件については調査が継続される。

なお、2014年8月から2019年3月までに有志連合が実施した空爆34,464回によって、意図せず犠牲となったことが確認される民間人の数は1,291人となった。

CENTCOM, April 25, 2019をもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから349人、ヨルダンから665人の難民が帰国、避難民1,999人(うちラクバーン・キャンプからの帰還者1,983人)が帰宅(2019年4月24日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(4月24日付)を公開し、4月23日に難民1,014人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは349人(うち女性105人、子供178人)、ヨルダンから帰国したのは665人(うち女性200人、子供339人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は200,249人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者70,706人(うち女性21,356人、子ども35,978人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者129,543人(うち女性38,890人、子ども66,055人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 429,529人(うち女性128,904人、子供218,955人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,696,131人(うち女性2,000,839人、子供3,415,027人)。

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一方、国内避難民1,999人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは14人(うち女性4人、子供6人)、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山の通行所を経由して帰還したのは1,985人(うち女性579人、子供992人)、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は23,661人(うち女性7,543人、子供10,657人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,292,257人(うち女性390,102人、子供654,423人)となった。

なお、グラーブ山通行所を経由して帰還した1,985人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は1,983人(うち女性579人、女性992人)だった。

これにより、2019年2月23日以降、同キャンプから帰国した難民は7,434人(うち女性2,017人、子供274人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, April 24, 2019をもとに作成。

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オスマン帝国によるアルメニア人虐殺追悼記念日に合わせて、北・東シリア自治局支配下のアルメニア教徒が民兵組織「殉教者ノバル・オザニアン部隊」の結成を宣言(2019年4月24日)

ANHA(4月24日付)は、北・東シリア自治局支配地域のアルメニア教徒が、オスマン帝国による1915年のアルメニア人虐殺の追悼記念日(4月24日)に合わせて、新たな民兵組織「殉教者ノバル・オザニアン部隊」の結成を宣言したと伝え、その写真を公開した。

結成宣言は、アルメニア人虐殺追悼式典の会場となったハサカ県タッル・タムル町近郊のタッル・クーラーン村で行われ、

「殉教者ノバル・オザニアン部隊」はアルメニア教徒のみによって構成され、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の傘下で北・東シリア自治局の防衛にあたるという。

アナトリア通信(4月23日付)が複数の情報筋の話として伝えたところによると、この部隊は戦闘員90人からなり、ハサカ県のハサカ市、ラアス・アイン市、アームーダー市、ラッカ県タッル・アブヤド市、アレッポ県アイン・アラブ(コバネ)市で活動する。

ノバル・オザニヤンは、トルコ・マルクス・レーニン主義共産党(TKP/ML TİKKO)の軍事部門を指導したアルメニア人活動家で、ナゴルノ・カラバフ戦争(1988~1994年)への従軍経験もある。

シリア北東部でのダーイシュ(イスラーム国)との戦闘にYPGの義勇兵として参加していたが、2017年8月に戦死した。

AFP, April 24, 2019、Anadolu Ajansı, April 24, 2019、ANHA, April 24, 2019、AP, April 24, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 24, 2019、al-Hayat, April 25, 2019、Reuters, April 24, 2019、SANA, April 24, 2019、UPI, April 24, 2019などをもとに作成。

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ヨルダンからシリア難民多数が新たに帰国(2019年4月24日)

SANA(4月24日付)は、ヨルダンで避難生活を送ってきたシリア人難民多数が、ダルアー県のナスィーブ国境通行所(ヨルダン側はジャービル国境通行所)を経由して、シリアに帰国したと伝え、その写真を公開した。

AFP, April 24, 2019、ANHA, April 24, 2019、AP, April 24, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 24, 2019、al-Hayat, April 25, 2019、Reuters, April 24, 2019、SANA, April 24, 2019、UPI, April 24, 2019などをもとに作成。

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トルコ軍とその支援を受ける反体制武装集団がタッル・リフアト市近郊を砲撃(2019年4月24日)

アレッポ県では、ANHA(4月24日付)によると、トルコ軍とその支援を受ける反体制武装集団が、タッル・リフアト市近郊のシャイフ・イーサー村を砲撃した。

AFP, April 24, 2019、ANHA, April 24, 2019、AP, April 24, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 24, 2019、al-Hayat, April 25, 2019、Reuters, April 24, 2019、SANA, April 24, 2019、UPI, April 24, 2019などをもとに作成。

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北・東シリア自治局の支配下のダイル・ザウル県北部各所でYPG主体のシリア民主軍の素行や治安悪化に抗議するデモが発生(2019年4月24日)

ダイル・ザウル県では、SANA(4月24日付)によると、北・東シリア自治局の支配下にある県北部のムハイミーダ村、ヒサーン村、下サフィーラ村、上サフィーラ村、ワスィーア村、ムワイリフ村、ハスィ-ン村、ガリーバ村で、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の素行や治安悪化に抗議するデモが行われ、多数の住民が参加した。

SANAが配信した映像には、杖を振り上げて行進する住民や黒煙が写っている。

AFP, April 24, 2019、ANHA, April 24, 2019、AP, April 24, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 24, 2019、al-Hayat, April 25, 2019、Reuters, April 24, 2019、SANA, April 24, 2019、UPI, April 24, 2019などをもとに作成。

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シリア政府支配下の首都ダマスカス、ラタキア市、アル=カーイダ支配下のジスル・シュグール市、トルコ占領下のマーリア市で大きな爆発が相次いで発生(2019年4月24日)

ダマスカス県では、SANA(4月24日付)、シリア人権監視団によると、ナフル・イーシャ地区の南部環状線で車に仕掛けられた爆弾が爆発し、運転していた男性1人が死亡、5人が負傷した。

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ラタキア県では、ドゥラル・シャーミーヤ(4月24日付)によると、ラタキア市アイン・タムラ地区の県知事公邸近くで大きな爆発が発生した。

爆発の原因は不明だという。

だが、ドゥラル・シャーミーヤ(4月25日付)は、この爆発がシリアのムハーバラートによるものだが、理由は明らかではないと伝えた。

https://youtu.be/SrOgRmEJElY

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イドリブ県では、ANHA(4月24日付)によると、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構の支配下にあるジスル・シュグール市で大きな爆発が発生し、住民11人が死亡、27人が負傷した。

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アレッポ県では、ANHA(4月24日付)によると、トルコの占領下にあるマーリア市で反体制武装集団(いわゆる「ユーフラテスの盾」作戦司令室)が乗った車が攻撃を受け、複数の戦闘員が死傷、車は大破した。

AFP, April 24, 2019、ANHA, April 24, 2019、AP, April 24, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 24, 2019、April 25, 2019、al-Hayat, April 25, 2019、Reuters, April 24, 2019、SANA, April 24, 2019、UPI, April 24, 2019などをもとに作成。

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シリア軍はハマー県、イドリブ県でシャーム解放機構の拠点を攻撃(2019年4月24日)

ハマー県では、SANA(4月24日付)によると、シリア軍がカルアト・マディーク町、タッル・フワーシュ村、シャフルナーズ村、フワイズ村にあるシャーム解放機構の拠点を砲撃した。

一方、ドゥラル・シャーミーヤ(4月24日付)によると、スカイラビーヤ市に展開するシリア軍部隊がカルアト・カルアト・マディーク町近郊のシリア軍拠点を誤射し、兵士数十人が死亡したという。

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イドリブ県では、SANA(4月24日付)によると、シリア軍がハーン・スブル村、フワイン村、ブライサ村、ウンム・ハラーヒール村、ムシャイリファ村でシャーム解放機構に対する特殊作戦を実施し、武器弾薬を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(4月24日付)によると、ヒルバト・ガザーラ町・東ガーリヤ町間で反体制派が残していった地雷が爆発し、子供2人が死亡、2人が負傷した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を7件(アレッポ県3件、ラタキア県3件、ハマー県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を16件(アレッポ県5件、イドリブ県5件、ラタキア県2件、ハマー県4件)確認した。

AFP, April 24, 2019、ANHA, April 24, 2019、AP, April 24, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 24, 2019、al-Hayat, April 25, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, April 24, 2019、Reuters, April 24, 2019、SANA, April 24, 2019、UPI, April 24, 2019などをもとに作成。

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米主導の有志連合は4月7日~4月20日までの14日間、シリアでの爆撃を実施せず(2019年4月24日)

米中央軍(CENTCOM)は、4月7日~4月20日の14日間でのシリア、イラク両国における有志連合の爆撃の戦果をHPで発表した。

それによると、両国領内でのダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対する爆撃回数は52回で、うちシリア領内での回数は0回、イラク領内での回数は18回だった。

各日の爆撃回数、標的(場所)の詳細は開示されなかった。

なお、この期間中、有志連合以外の部隊(ロシア・シリア軍)もユーフラテス川河畔で42回の爆撃を実施したという。

CENTCOM, April 24, 2019をもとに作成。

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YPG報道官「ロシアのシリア政策は陳腐…。シリア政府が我々の地域を攻撃したら、ダーイシュを敗北させたように、政府と対決し、これを敗北させる」(2019年4月23日)

人民防衛隊(YPG)のヌーリー・マフムード報道官は、「シリアにおけるロシアの政策は陳腐で、一時の国益を守ろうとしているだけで、シリア、そしてシリア人を犠牲にしてトルコと取引を繰り返している.…。ロシアは(アスタナ会議の)保障国だが、アフリーン、イドリブ、ジャラーブルスなどへのトルコの占領を黙認した」と批判した。
クルディスタン24(4月23日付)が伝えた。

マフムード報道官はまた「シリア政府は我々の支配地域を攻撃する力を持っていると思う…。だが、シリア政府が我々の地域を攻撃したら、我々はダーイシュ(イスラーム国)を敗北させたように、政府と対決し、これを敗北させる」と述べた。

AFP, April 23, 2019、ANHA, April 23, 2019、AP, April 23, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 23, 2019、al-Hayat, April 24, 2019、Kurdistan 24, April 23, 2019、Reuters, April 23, 2019、SANA, April 23, 2019、UPI, April 23, 2019などをもとに作成。

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シャーム解放機構はイドリブ県南部でダーイシュ摘発に向けた大規模捜査を開始(2019年4月23日)

イドリブ県では、シャーム解放機構に近いイバー・ネット(4月23日付)によると、シャーム解放機構が県南部でダーイシュ(イスラーム国)のスリーパーセル摘発に向けた大規模な捜査を開始した。

AFP, April 23, 2019、ANHA, April 23, 2019、AP, April 23, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 23, 2019、al-Hayat, April 24, 2019、Reuters, April 23, 2019、SANA, April 23, 2019、Shabaka Iba’ al-Ikhbariya, April 23, 2019、UPI, April 23, 2019などをもとに作成。

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インスタグラムがシリア大統領府のアカウントを凍結、大統領府は新アカウントを開設(2019年4月23日)

大統領府はフェイスブックのアカウントを通じて、インスタグラムが「事前警告なく、また論理的な理由説明なく」、大統領府アカウント(https://www.instagram.com/syrianpresidency/?hl=ja)を凍結したと発表した。

アカウント凍結の理由に関して、大統領府は「シリアに対する包囲」の一環と非難している。

https://www.facebook.com/SyrianPresidency/photos/a.535716253138878/2368471073196711/?type=3&__xts__%5B0%5D=68.ARBK1rrviol9HIJHSDflE5gtGGej3y4tn3qSWDCsb_ng82pTz59divqBsLdKqgpoVBRveE7cDWcg2ki8XmJGopxFoEOHJkWjjYw_Gsm3j7nMzQFfZ9goM_M2ml0zNXaHa6p5CNMsGNywNgogRPXLXqJzU_AiA7tB6MITgEc7DyfflvaG6eOPY2KI2zAktqOg3RfaFLDJRcm2G6vmk1VtBsvw5oQ3Q4-6hGdyPAAx8jCWRg4LiJdGbK_1pHYBo_GL1nmKq8n7WgbzSEI-rcFMOjVIO23eZCMrUeEhqFTvls5zxEVh22DIfOLIpUr7I-_BcjOeFKJwwNQgI9hlAc6PCmpChQ&__tn__=-R

大統領府はこの措置を受け、新たなアカウント(https://www.instagram.com/syrianpresidency_sy/)を開設した。

AFP, April 23, 2019、ANHA, April 23, 2019、AP, April 23, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 23, 2019、al-Hayat, April 24, 2019、Reuters, April 23, 2019、SANA, April 23, 2019、UPI, April 23, 2019などをもとに作成。

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アフリーン解放軍はアアザーズ市(アレッポ県北部)でトルコの国家諜報機構(MiT)と国民軍の合同本部を攻撃し、MiTメンバー2人を殺害したと発表(2019年4月23日)

アレッポ県では、アフリーン解放軍が声明を出し、22日に県北部のアアザーズ市に設置されているトルコの国家諜報機構(MİT)の事務所の一つが攻撃された事件に関して、MiTと国民軍の合同本部を攻撃し、「アブー・ウマル」を名のるMiTのシリア問題担当者を含む2人を殺害し、7人を負傷させたと発表し、関与を認めた。

ANHA(4月23日付)が伝えた。

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また、ANHAによると、トルコ軍がアフリーン郡シーラーワー町近郊のスーガーニカ村、バイナ村、アキーバ村、シャッラー村近郊のシーワールカー村を砲撃した。

AFP, April 23, 2019、ANHA, April 23, 2019、AP, April 23, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 23, 2019、al-Hayat, April 24, 2019、Reuters, April 23, 2019、SANA, April 23, 2019、UPI, April 23, 2019などをもとに作成。

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トルコはアレッポ県北西のアフリーン市を孤立させるため周辺地域で隔離壁建設進める:反体制派はこの壁が「トルコ軍の基地を防御するためのもの」と説明(2019年4月23日)

SANA(4月23日付)は、トルコ軍が数週間前から、アレッポ県北西部のアフリーン市を取り囲むかたちでセメントの隔離壁を建設し、同地を周辺地域から孤立させようとしていると伝えた。

複数の住民筋そして複数のメディアによると、隔離壁は総延長が約70キロメートルで、アフリーン市北に位置するマリーミーン村、南のキーマール村、南西のジャリール村を通るかたちで建設されており、ジャリール村では住民が強制退去させられ、住宅などが破壊されたという。

トルコ軍は隔離壁と併せて、監視塔も建設しているという。

なお、トルコ軍は既にアフリーン郡の国境地帯に総延長564キロの分離壁を建設している。

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これに関して、トルコの支援を受け、アレッポ県北部で活動する国民軍のユースフ・ハンムード報道官(少佐)は、ドゥラル・シャーミーヤ(4月23日付)に対して、そのような隔離壁は存在しないと否定した。

ハンムード報道官は「セメントのブロックが一部の人が目撃され、隔離壁建設建設用だとの噂が広まったが、ブロックはアフリーン郡のジャリール村一帯にあるトルコ軍の基地を防御するためのものに過ぎない」と述べた。

AFP, April 23, 2019、ANHA, April 23, 2019、AP, April 23, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 23, 2019、al-Hayat, April 24, 2019、Reuters, April 23, 2019、SANA, April 23, 2019、UPI, April 23, 2019などをもとに作成。

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シリア軍はシャーム解放機構支配下のイドリブ県各所を砲撃する一方、シャーム解放機構はホワイト・ヘルメットとともに化学兵器使用を準備か(2019年4月23日)

イドリブ県では、SANA(4月23日付)によると、シリア軍がジャルジャナーズ町、ハーン・シャイフーン市、タフターヤー村、アブー・フッバ村にあるシャーム解放機構の拠点を砲撃した。

ドゥラル・シャーミーヤ(4月23日付)によると、ハーン・シャイフーン市に対するシリア軍の砲撃で、子供5人を含む住民6人が死亡した。

SANAはまた、複数の消息筋の話として、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構とホワイト・ヘルメットが、イドリブ県で新たな化学兵器攻撃を準備していると伝えた。

同消息筋によると、両組織を含む反体制武装集団は、マアッラト・ヌウマーン市近郊のジャルジャナーズ町で、シリア軍による化学兵器攻撃を偽装しようとしているという。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を2件(ラタキア県)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を25件(アレッポ県21件、イドリブ県3件、ハマー県1件)確認した。

AFP, April 23, 2019、ANHA, April 23, 2019、AP, April 23, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 23, 2019、al-Hayat, April 24, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, April 23, 2019、Reuters, April 23, 2019、SANA, April 23, 2019、UPI, April 23, 2019などをもとに作成。

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ロシアとイランはシリアへの輸入販路をめぐって水面下で対立(2019年4月22日)

ロシアの『ニェザヴィーシマヤ・ガゼータ』(4月22日付)は、シリア政府を支援するロシアとイランがシリアへの輸入販路をめぐって水面下で対立を深めていると伝えた。

同記事が複数の西側メディアの情報として伝えたところによると、ドナルド・トランプ米大統領は4月9日にエジプトのアブドゥルファッターフ・スィースィー大統領と会談した際、エジプトが対イラン制裁に同調するかたちで、イラン産の石油を積んだ船舶のスエズ運河の通行を秘密裏に禁止した。

これがきっかけとなり、シリアでガソリン不足が深刻化、ロシアのユーリイ・ボリソフ副首相(兼ロシア・シリア通商経済科学技術協力合同委員会議長)の20日のシリア訪問とアサド大統領との会談は、これに対処することが一義的な目的だったという。

ボリソフ副首相は、アサド大統領との会談で、ロシア・シリア両政府が、運輸および経済利用を目的として、ロシアにタルトゥース港を49年間貸与することで合意することを明らかにしていた。

だが同時に、この合意は、イラン・シリア両政府が2019年2月にラタキア港のイランへの経済目的での貸与に合意していたことへの対抗措置としての性格もあるという。

同紙は「イランによるラタキア港の利用に関する合意は、今年10月1日に発効するが、米国やイスラエルだけでなく、ロシアにとっても懸念材料だった」と伝えており、4月初めのイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相のロシア訪問時にも、ヴラジミール・プーチン大統領との会談で議題に上っていたという。

米国とイスラエルはロシアの動きを黙認、西側諸国が経済制裁を科す2011年まで石油の輸出拠点だったタルトゥース港を輸入拠点とする動きが本格化することになったという。

AFP, April 22, 2019、ANHA, April 22, 2019、AP, April 22, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 22, 2019、al-Hayat, April 23, 2019、Nezavisimaya Gazeta, April 22, 2019、Reuters, April 22, 2019、SANA, April 22, 2019、UPI, April 22, 2019などをもとに作成。

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ルクバーン・キャンプ一帯で活動する革命特殊任務軍は戦闘員を新たに募集、数十人がこれに応える(2019年4月22日)

米主導の有志連合の占領下にあるヒムス県南東部タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)で活動を続ける革命特殊任務軍はツイッターのアカウントを通じて声明を出し、同地の防衛能力の向上を図り、ダーイシュ(イスラーム国)の復活を阻止するため、戦闘員を新たに募集すると発表した。

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ドゥラル・シャーミーヤ(4月21日付)によると、この呼びかけに応じるかたちで、ルクバーン・キャンプの若者数十人が戦闘員となったという。

AFP, April 22, 2019、ANHA, April 22, 2019、AP, April 22, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 21, 2019、April 22, 2019、al-Hayat, April 23, 2019、Reuters, April 22, 2019、SANA, April 22, 2019、UPI, April 22, 2019などをもとに作成。

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ルクバーン・キャンプの難民数千人が新たにシリア政府支配地域に帰還(2019年4月22日)

SANA(4月22日付)は、米主導の有志連合の占領下にあるヒムス県南東部のタンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプに身を寄せていたシリア難民多数が、新たにスフナ市南部のジュライギーム通行所を通過し、シリアに帰国したと伝え、写真と映像を公開した。

反体制派系のドゥラル・シャーミーヤ(4月22日付)によると、この日帰国した難民は数千人に上るという。

ルクバーン・キャンプの難民帰還をめぐっては、2月19日にロシア当事者和解調整センターと国外難民帰還調整委員会がジュライギーム通行所を開設するなど、受け入れ態勢を整えていたが、米国がこれに消極的な姿勢を示していた。

また、ルクバーン・キャンプを拠点とし、米国から支援を受ける反体制武装集団(革命特殊任務軍)やルクバーン・キャンプ総務政治関係委員会を名のる反体制派が、帰国を拒否すると表明、帰国を希望する難民に多額の金銭支払いを要求するなどの嫌がらせを行ってきた。

ルクバーン・キャンプには4万人以上の難民が依然としているとされる。



AFP, April 22, 2019、ANHA, April 22, 2019、AP, April 22, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 22, 2019、al-Hayat, April 23, 2019、Reuters, April 22, 2019、SANA, April 22, 2019、UPI, April 22, 2019などをもとに作成。

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ロシア合同連携センターとシリアの国外難民帰還調整委員会が第3回調整会合を開き、ルクバーン・キャンプの現状、難民の帰還状況について協議、米国の改めて妨害を非難(2019年4月22日)

ロシアの合同連携センター(国外難民と国内避難民の帰還を支援するためのロシア国防省と外務省の合同調整センター)とシリアの国外難民帰還調整委員会が、ヒムス県ジャバル・グラーブ(グラーブ山)村で第3回調整会合を開き、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプの現状および難民の帰国状況について協議した。

会合には、両機関のほか、UNHCR、OCHA、シリア赤新月社の代表が出席、ロシア国防省幹部もテレビ会議システムで参加した。

米国は会合への参加を要請されたが、代表を派遣しなかった。

会議では、米国の占領下にある55キロ地帯で、重武装した反体制武装集団がルクバーン・キャンプの難民の帰国を阻止している実態が改めて批判される一方、シリア政府との協業により、3月23日以降、4,345人がキャンプから帰国したとの成果が発表された。

このうち、2,362人はヒムス県内の一次収容センターに身を寄せているが、それ以外は帰国者自身が選んだ居住地への移動を完了したという。

だが、ルクバーン・キャンプからの難民の帰還は非常に緩やかで、依然として4万人以上(そのうちの80%が女性と子供)が、キャンプで劣悪な環境のもとに置かれ、武装集団の暴力に晒されているという。

会合では、米国に内政干渉を控え、キャンプを支配する武装集団の破壊行為を停止させるよう求めるとともに、国際社会に対しては、シリアに対する西側諸国の経済制裁を解除するよう働きかけることを呼びかけた。


Ministry of Defence of the Russian Federation, April 22, 2019をもとに作成。

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