米軍はカーミシュリー市に向かうロシア軍の車列の通行を初めて黙認(2020年4月6日)

シリア人権監視団によると、ラッカ県タッル・タムル市に駐留するロシア軍の車列がM4高速道路を通ってハサカ県カーミシュリー市のカーミシュリー国際空港に設置されている司令部に向かった。

車列は、米軍部隊が展開するタッル・タムル町近郊を通過したが、米軍は妨害することなく、これを黙認した。

米軍がロシア軍の進行を許したのはこれが初めてだという。

AFP, April 6, 2020、ANHA, April 6, 2020、AP, April 6, 2020、al-Durar al-Shamiya, April 6, 2020、Reuters, April 6, 2020、SANA, April 6, 2020、SOHR, April 6, 2020、UPI, April 6, 2020などをもとに作成。

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ダイル・ザウル県で米軍士官1人とシリア民主軍兵士2人が何者かの要撃を受けて死亡(2020年4月6日)

ダイル・ザウル県では、SANA(4月6日付)によると、有志連合を主導する米軍と人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の合同パトロール部隊が、スワル町近郊のワスィーア村付近で何者かの要撃を受けて、米軍士官1人とシリア民主軍兵士2人が死亡した。

死亡した米軍士官の遺体は、ハサカ県シャッダーディー市に違法に設置されている米軍基地に搬送された。

一方、シリア人権監視団によると、ウマル油田に至る街道で、シリア民主軍の戦闘員が乗った救急車輌がダーイシュ(イスラーム国)と思われる武装集団の要撃を受け、運転手1人が負傷した。

このほか、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が、ブーカマール市近郊のジャラー町、スィヤール村、アッバース村にあるシリア軍と「イランの民兵」の拠点を襲撃し、戦闘で双方に複数の死傷者が出た。

また、アイン・フラート(4月6日付)が複数の地元筋の話として伝えたところによると、5日に県南東部のブーカマール市に近いイラク国境地帯を所属不明の航空機が爆撃、「イランの民兵」数十人が死亡した。

爆撃を受けたのは、マイーズィーラ村、サーリヒーヤ村近郊の砂漠地帯、マヤーディーン市近郊の砂漠地帯。

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ハサカ県では、SANA(4月6日付)によると、米軍の貨物車輌35輌からなる車列が違法に設置されているワリード国境通行所から兵站支援のためにシリア領内に新たに進入し、マーリキーヤ(ダイリーク)市近郊のハッラーブ・ジール村にある米軍基地に向かった。

AFP, April 6, 2020、ANHA, April 6, 2020、AP, April 6, 2020、‘Ayn al-Furat, April 6, 2020、al-Durar al-Shamiya, April 6, 2020、Reuters, April 6, 2020、SANA, April 6, 2020、SOHR, April 6, 2020、UPI, April 6, 2020などをもとに作成。

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アレッポ県とハサカ県で反体制武装集団どうしが戦闘(2020年4月6日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコ占領下のジャラーブルス市近郊で国内避難民(IDPs)キャンプで、地元の若者グループがダイル・ザウル県からのIDPsの若者グループを銃やナイフで襲撃、戦闘となった。

この戦闘で双方に複数の負傷者が出た。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、トルコ占領下のラアス・アイン市で盗んだ洗濯機をめぐって国民軍に所属するスルターン・ムラード師団の戦闘員どうしが撃ち合いとなり、4人が負傷した。

AFP, April 6, 2020、ANHA, April 6, 2020、AP, April 6, 2020、al-Durar al-Shamiya, April 6, 2020、Reuters, April 6, 2020、SANA, April 6, 2020、SOHR, April 6, 2020、UPI, April 6, 2020などをもとに作成。

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ダマスカス県は新型コロナウイルス対策としてラブワ地区とジャーヒズ公園を閉鎖(2020年4月6日)

ダマスカス県では、SANA(4月6日付)によると、6日午後2時から追って通知があるまでの期間、バラダー川沿いのラブワ地区とジャーヒズ公園(マーリキー地区)での散歩とピクニックを禁止すると発表した。

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外務在外居住者省は、新型コロナウイルス対策として閉鎖していたアレッポ市の領事局を2020年4月8日から再開すると発表した。

業務取扱時間は午前9時から12時までの3時間。

AFP, April 6, 2020、ANHA, April 6, 2020、AP, April 6, 2020、al-Durar al-Shamiya, April 6, 2020、Reuters, April 6, 2020、SANA, April 6, 2020、SOHR, April 6, 2020、UPI, April 6, 2020などをもとに作成。

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シリア各地で新型コロナウイルス対策に伴う外出・移動制限、物不足に対処するため、住民らが生活必需品の確保や医療チームへの支援(2020年4月6日)

SANA(4月6日付)は、新型コロナウイルス対策に伴う外出・移動制限、物不足に対処するため、シリア各地で住民らが率先して生活必需品の確保や医療チームへの支援を行っていると伝えた。

ダマスカス郊外県では、ハルジャラ村議会が、さまざまな団体と連携して、生活必需品を確保し、住民の支援に奔走している。

ハルジャラ村議会のアブドゥッラフマーン・ハティーブ議長は、SANAの取材に対して、農民総同盟を通じてタルトゥース県やラタキア県の農業経営者に連絡をとり、野菜の購入と住民への安価での提供を行っていることを明らかにした。

またサイイダ・ザイナブ町近郊のゴラン高原難民キャンプでは、「白血球チーム」(白血病患者を支援する慈善団体)がUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)のクリニックや住民と連携して、高齢者の自宅への医薬品の配達を行っている。

ダマスカス県では、慈善団体の「ウムルハー」が食糧パック1,000個を新型コロナウイルス対策で困窮する世帯に配給するキャンペーンを行っている。

また県内の新ザーヒラ地区では、若者が中心となって「消毒しよう」と銘打ったキャンペーンを行い、地区内の清掃、商店やビルの消毒を行っている。

アレッポ県ではアレッポ工業会議に所属する女性実業家たちが、アレッポ市議会の清掃業者に掃除用具や消毒用品を提供している。

ヒムス県、ラタキア県、ダルアー県では、技師、医師、住民らがマスクや消毒用品などの製造を支援するキャンペーンを立ち上げた。

クナイトラ県では、ブスターン慈善境界がジャッバー村で、ヌール救済開発協会がジュバーター・ハシャブ村、ハーン・アルナバ市、バアス市でそれぞれ消毒作業を行った。

ハマー県では、「手から手へ」をスローガンに、ボランティア・チームが公共機関を訪問し、職員にマスクや消毒用品を配っている。

ハサカ県では、シリア・ヤマーマ(鳩)慈善協会が、ハサカ市の中心街で消毒用品の入ったバッグ3,000個を配給した。

AFP, April 6, 2020、ANHA, April 6, 2020、AP, April 6, 2020、al-Durar al-Shamiya, April 6, 2020、Reuters, April 6, 2020、SANA, April 6, 2020、SOHR, April 6, 2020、UPI, April 6, 2020などをもとに作成。

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ヤーズジー保健大臣は新型コロナウイルス感染者看護用のベッド25,000床を確保したと発表(2020年4月6日)

ニザール・ヤーズジー保健大臣は保健省で記者会見を行い、各地の病院や医療施設に新型コロナウイルス感染者看護用のベッド25,000床を確保したと発表する一方、9年に及ぶ欧米諸国、アラブ湾岸諸国、トルコの制裁によって、感染拡大への対応が困難を極めており、医療現場でのニーズに対応するため、中国側と連絡を取り続けていることを明らかにした。

感染確認のための検査所については、ヒムス県、アレッポ県、ラタキア県にそれぞれ1カ所を新設、1日約100件の検査を行っていたダマスカス県の検査所と合わせて、1日200~300件の検査が可能となったことを明らかにした。

ヤーズジー保健大臣はまた「シリアで感染者が少ないというだけで安心することはできない」としたうえで、シリアへの違法な帰国が続いており、そのことが感染者拡大に繋がりかねないと警鐘を鳴らすとともに、帰国者に対しては自宅で自主隔離を行うよう呼びかけた。

一方、世界保健機構(WHO)がシリアへの巡礼観光に伴う感染拡大を懸念していることに関して、ヤーズジー保健大臣は、この懸念に理解を示したうえで、3週間前から観光を中止することで対策を講じていると付言した。

各県の隔離施設については、ホテル、大学寮、慈善団体施設などに450部屋を確保しているほか、宗教関係省が必要に応じて施設を提供する態勢をとることを明らかにした。

治療法に関して、ヤーズディー保健大臣は今のところ特効薬はないとしつつ、各国での取り組みを踏まえて、シリア国内で生産されているクロロキン、アジスロマイシン、インターフェロンなどによる投薬治療を試みていることを明らかにした。

AFP, April 6, 2020、ANHA, April 6, 2020、AP, April 6, 2020、al-Durar al-Shamiya, April 6, 2020、Reuters, April 6, 2020、SANA, April 6, 2020、SOHR, April 6, 2020、UPI, April 6, 2020などをもとに作成。

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トルコ軍はイドリブ県に56カ所目となる新たな拠点を設置(2020年4月6日)

英国を拠点に活動する反体制派系NGOのシリア人権監視団によると、ロシア・トルコ首脳会談で合意された停戦が発効(3月5日深夜)してから32日目となる4月6日、シリア・ロシア軍、トルコ軍の爆撃は確認されなかった。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を5件(イドリブ県5件、ラタキア県0件、アレッポ県0件、ハマー県0件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を1件(イドリブ県0件、ラタキア県1件、アレッポ県0件、ハマー県0件)確認した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるスフーフン村、ファッティーラ村を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

砲撃と前後して、ロシア軍の無人偵察機(ドローン)が上空に飛来、旋回を繰り返した。

一方、トルコ軍は県西部のバルナース村に新たな拠点を設置した。

これにより、シリア領内のトルコ軍監視所・拠点は57カ所となった。

トルコ軍の監視所・拠点が設置されている場所は以下の通り:

監視所

イドリブ県:サルワ村、タッル・トゥーカーン村、サルマーン村、ジスル・シュグール市(イシュタブリク村)
アレッポ県:登塔者聖シメオン教会跡、シャイフ・アキール山、アナダーン山、アレッポ市ラーシディーン地区(南)、アイス村(アイス丘)
ハマー県:ムーリク市、シール・マガール村
ラタキア県:ザイトゥーナ村

拠点

イドリブ県:マアッル・ハッタート村、サラーキブ市(3カ所)、タルナバ村、ナイラブ村、クマイナース村、サルミーン市、タフタナーズ航空基地、マアーッラト・ナアサーン村、マアッラトミスリーン市、マストゥーマ軍事キャンプ、タルマーニーン村、バルダクリー村、ナフラヤー村、ムウタリム村、ブサンクール村(2カ所)、ナビー・アイユーブ丘、バザーブール村、ラーム・ハムダーン村、アブザムー町、ムシャイリファ村、タッル・ハッターブ村、ビダーマー町、ナージヤ村、ズアイニーヤ村(2カ所)、ガッサーニーヤ村、クファイル村、バクサルヤー村、フライカ村、バルナース村
アレッポ県:アナダーン市、アレッポ市ラーシディーン地区、ジーナ村(2カ所)、カフル・カルミーン村、タワーマ村、第111中隊基地、アターリブ市、ダーラト・イッザ市、カフル・ヌーラーン村、バータブー村
ハマー県:ムガイル村

なおこのほかにも、トルコ軍はM4高速道路沿線に監視ポスト14カ所を設置している。

AFP, April 6, 2020、ANHA, April 6, 2020、AP, April 6, 2020、al-Durar al-Shamiya, April 6, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, April 6, 2020、Reuters, April 6, 2020、SANA, April 6, 2020、SOHR, April 6, 2020、UPI, April 6, 2020などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民・国内避難民(IDPs)の帰還なし(2020年4月6日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(4月6日付)を公開し、4月5日に帰還した難民はいなかったと発表した。

2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は577,853人。

内訳は、レバノンからの帰還者182,605人(うち女性55,179人、子ども93,427人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,715,172人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は807,133人(うち女性242,455人、子供411,918人)。

Ministry of Defence of the Russian Federation, April 6, 2020をもとに作成。

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