通信技術省所轄のSY-TRA はアサド大統領のいとこのラーミー・マフルーフ氏が経営する携帯電話会社2社に2,338億シリア・ポンドの追徴課税納付を求める(2020年4月27日)

通信技術省所轄の電気通信電話規制委員会(SY-TRA )は声明を出し、アサド大統領のいとこでビジネスマンのラーミー・マフルーフ氏が取締役会長を務めるシリアテルと、同氏が事実上経営するMTNの携帯電話会社2社に対して、国家に納付されるべき追徴課税2,338億シリア・ポンド(約3億9,000米ドル、日本円で約400億円)の納付期限を5月5日に終えることを決定したと発表した。

声明によると、2019年9月19日の首相決定第1700号に基づいて設置された委員会が追徴課税金額の2,338億シリア・ポンドを確定、これを受けてSY-TRA の検査委員会が5月5日を納付猶予期間の最終日に指定した。

なお、猶予期間中に納付義務が履行されない場合は、公的財産権を確保するために必要な法的措置を講じると付言している。

AFP, May 2, 2020、ANHA, May 2, 2020、AP, May 2, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 2, 2020、Reuters, May 2, 2020、SANA, May 2, 2020、SOHR, May 2, 2020、UPI, May 2, 2020などをもとに作成。

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シリア交渉委員会のハリーリー代表は新代表選出を画策するサウジアラビアを非難(2020年4月27日)

シリアの反体制政治組織の一つでジュネーブ会議、制憲委員会(憲法委員会)に反体制派の代表団を派遣しているシリア交渉委員会のナスル・ハリーリー代表はメンバーに宛てた非公式の書簡のなかで、最大の支援国であるサウジアラビを批判した。

ハリーリー代表はこの書簡のなかで「サウジアラビア外務省アラブ局長のサイード・スワイイド氏は委員会の問題にあからさまに介入している。これはサウジアラビアの歴史、そして同国の外務大臣とシリア問題を担当すサーミル・スブハーンアラビア湾担当国務大臣の政策に反している」としたうえで、「スワイイド局長が(委員会内での)選挙を呼びかけようとしない一連の理由があるが、それは、シリア問題にかかる小グループ(米仏独、サウジアラビア、エジプト、ヨルダン)が委員会とその決定の独立性を尊重するとした同局長の前言の本質を損ねるものである」と非難した。

ハリーリー代表はそのうえで「選挙の呼びかけはリヤド2、会議での合意に基づく基本原則に基づくもので…、サウジアラビアの介入は、投票の実施なくしてメンバーを交代しないとした委員会の内規を無視したものだ…。サウジアラビアは自らの政策に即したかたちでシリアの反体制派をめぐるガードを調整しようとしている」と付言、サウジアラビアに対して、委員会のメンバー改選のための選挙実施を呼びかけるよう求めた。

一方、シリア最高委員会の複数の情報筋によると、スワイイド局長は、ハリーリー局長に代わる新たな局長を選出する内部投票を実施するよう要請する文書を委員会に対して送ったという。

書簡は、今後の政治プロセスの進展に向けて、シリア政府との和解により前向きな指導部への交代を画策しているものと思われる。

ドゥラル・シャーミーヤ(4月27日付)などが伝えた。

AFP, April 27, 2020、ANHA, April 27, 2020、AP, April 27, 2020、al-Durar al-Shamiya, April 27, 2020、Reuters, April 27, 2020、SANA, April 27, 2020、SOHR, April 27, 2020、UPI, April 27, 2020などをもとに作成。

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トルコ軍はシャーム解放機構がシリア政府支配地との境界に通商路を設置する試みを阻止するため部隊を展開(2020年4月27日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、トルコ軍部隊がキトヤーン村の分岐路に展開し、マアーッラト・ナアサーン村に近いシリア政府支配地域に至る街道を封鎖した。

街道の封鎖は、シャーム解放機構がシリア政府支配地とを結ぶ通商用の通行所を設置するのを阻止するため。

シャーム解放機構は27日、マアーッラト・ナアサーン村とアレッポ県西部のミーズナーズ村の間の地域で、土塁や地雷を撤去し、通行所の設置を準備していた。

トルコ軍はまた、マアーッラト・ナアサーン村、シャラフ村にも展開し、大型車輌の通行を禁止した。

現地では、マアーッラト・ナアサーン村の住民らが、新型コロナウイルス感染拡大に繋がるなどとして、通行所の設置に反対するデモを行っていた。

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なお、シャーム解放機構のサイード・アフマド通行所局長は、ドゥラル・シャーミーヤ(4月27日付)の取材に応じ、「解放区に輸入される商品の割合は3年前には、シリア政府支配地域からが65%、トルコからが35%だった…。だが、新たな政治状況、そして解放区の通行所(の運営)が統合されたことで、政府支配地域からが5%、トルコからが95%になった。解放区はその一方で輸入よりも50%も多く余剰の生産物を輸出している。輸出の90%は政府支配地域で、5%がトルコだ」と述べ、通行所の設置がシリア政府支配地域との輸出入のバランスを是正し、輸出に見合った輸入を実現することを目的としていると述べた。

AFP, April 27, 2020、ANHA, April 27, 2020、AP, April 27, 2020、al-Durar al-Shamiya, April 27, 2020、Reuters, April 27, 2020、SANA, April 27, 2020、SOHR, April 27, 2020、UPI, April 27, 2020などをもとに作成。

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トルコ軍無人航空機がイドリブ県住民に安全と平和を確保するために協力を呼びかけるビラを散布(2020年4月27日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、トルコ軍の無人航空機が、住民に対して、安全と平和を確保するためトルコ軍に協力するよう呼びかけるビラを散布した。

ビラには以下のように書かれているという:

「イドリブ県の我らの親愛なる同胞へ。トルコ軍は常にあなた方と共にある。あなた方のために全力を尽くし、イドリブ県の住民の命と財産を守るために多くの犠牲を払ってきた。トルコはあらゆるレベルで、持続的安定を保障し、無垢の人々の犠牲を食い止め、あなた方の安全を守るために努力している。

我々の目標は、M5、M4高速道路を開通させることで、イドリブ県に対する一切の軍事行動や掃討を阻止し、避難を余儀なくされた民間人を帰宅させ、経済生活を再生することにある。

我々は、あなた方が平和と安全のもとに暮らすことを欲しているトルコ軍を支援して欲しいとあなた方に願っている。イドリブ県で我々が充実させようとしている平和と安全を不快に思っている者どものウソを信じないでください。これらの連中は、あなた方をだまし、同胞どうしの不和を助長しようとしている。我々はまた、この地域の平和と安定を作り出すために取り組んでいる。

アッラーの御加護がある限り、アッラーは我々みなをお助け下さいますように」。

AFP, April 27, 2020、ANHA, April 27, 2020、AP, April 27, 2020、al-Durar al-Shamiya, April 27, 2020、Reuters, April 27, 2020、SANA, April 27, 2020、SOHR, April 27, 2020、UPI, April 27, 2020などをもとに作成。

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トルコ軍と国民軍がラッカ県、アレッポ県を砲撃(2020年4月27日)

ラッカ県では、ANHA(4月27日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアイン・イーサー市近郊のフーシャーン村、ディブス村を砲撃した。

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アレッポ県では、ANHA(4月27日付)によると、トルコ軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・リフアト市近郊のハルバル村を砲撃した。

AFP, April 27, 2020、ANHA, April 27, 2020、AP, April 27, 2020、al-Durar al-Shamiya, April 27, 2020、Reuters, April 27, 2020、SANA, April 27, 2020、SOHR, April 27, 2020、UPI, April 27, 2020などをもとに作成。

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トルコ占領下のハサカ県で反体制派どうしが戦闘、アレッポ県でダーイシュのメンバー脱走(2020年4月27日)

ハサカ県では、SANA(4月27日付)によると、トルコ占領下のラアス・アイン市近郊のハルービー村で国民軍に所属する第20師団が東部自由人連合の拠点を接収しようとして戦闘となった。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコ占領下のバーブ市にある国民軍所属部隊のハムザ師団の拘置所からダーイシュ(イスラーム国)のメンバー8人が脱走した。

AFP, April 27, 2020、ANHA, April 27, 2020、AP, April 27, 2020、al-Durar al-Shamiya, April 27, 2020、Reuters, April 27, 2020、SANA, April 27, 2020、SOHR, April 27, 2020、UPI, April 27, 2020などをもとに作成。

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米軍が部隊撤退後初めてシリア北部でパトロールを実施(2020年4月27日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、米軍の装甲車6輌からなる部隊が、タッル・バイダル村に違法に設置している基地から、M4高速道路上のサイカル村の検問所(ダルバースィーヤ市の南約20キロ)に至る地域でパトロールを実施した。

米軍がシリア北部でパトロールを行うのは、2019年10月のトルコ軍による侵攻作戦(「平和の泉」)に先立って同地から部隊撤退を発表して以降初めて。

米軍はまた、貨物車輌など70輌を、ワリード国境通行所からシリア領内に進入させ、タッル・バイダル村、カスラク村に違法に設置されている米軍基地に派遣した。

一方、SANA(4月27日付)が複数の住民の話として伝えたところによると、米軍の車輌6輌の車列がシャッダーディー市に入り、同地でダーイシュ(イスラーム国)のメンバーを乗せて、イラクに向かった。

車列は米軍ヘリコプターの援護を受けてイラクに向かったという。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍とトルコ軍がアイン・アラブ(コバネ)市一帯の国境地帯で合同パトロールを実施した。

AFP, April 27, 2020、ANHA, April 27, 2020、AP, April 27, 2020、al-Durar al-Shamiya, April 27, 2020、Reuters, April 27, 2020、SANA, April 27, 2020、SOHR, April 27, 2020、UPI, April 27, 2020などをもとに作成。

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イスラエル軍が首都ダマスカス近郊を爆撃、住民3人が死亡、3人が負傷(2020年4月27日)

SANA(4月27日付)は、シリア軍防空部隊が午前4時55分、レバノン領空を侵犯し、シリア領内に発射した複数のミサイルを迎撃し、そのほとんどを撃破したと伝えた。

イスラエル軍がシリア領内への爆撃を実施するのは4月に入って3回目。

 

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SANAによると、イスラエル軍による爆撃の被害を受けたのはダマスカス郊外県のフジャイラ村とアーディリーヤ村で、住民3人が死亡、子供1人を含む3人が負傷、住宅が損壊した。

クナイトラ県のハマーム・ディブヤーン知事は報道向けの声明を出し、フジャイラ村の住宅複数棟がイスラエル軍の攻撃を受け、男性1人とその妻が死亡、子供1人を含む3人が負傷したと発表した。

ディブヤーン知事によると、爆撃はイスラエルが占領するゴラン高原からの避難民を狙ったものだという。

ダマスカス郊外県のアラー・イブラーヒーム知事も、フジャイラ村への爆撃で、クナイトラ市からの避難民の一家が被害を受け、夫婦が死亡、息子1人を含む2人、妻の母が負傷し、妻の母が搬送先のムジュタヒド病院で死亡したと発表した。


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一方、シリア人権監視団は、撃破されたミサイルの残骸によってフジャイラ村とアーディリーヤ村で民間人3人が死亡したとしつつ、イスラエル軍が狙ったのは、キスワ市からサフナーヤー市に至る地域に展開する「イランの民兵」やレバノンのヒズブッラーの拠点で、少なくともこれらの民兵4人が死亡したが、身元は不明と発表した。

スプートニク・ニュース(4月26日付)によると、イスラエル軍が発射したミサイルは8発で、うち5発はシリア軍防空部隊が着弾前に撃破した。

サウト・アースィマ(4月28日付)によると、イスラエル軍が狙ったのはナジュハー村とアーディリーヤ村の間に位置するサフヤー山地に展開する第1師団第58旅団の拠点。

イスラエル軍がこの地域を攻撃するのは今回が初めて。

攻撃によって、倉庫複数棟が被弾、イラン・イスラーム革命防衛隊のメンバー少なくとも3人が死亡したという。

AFP, April 27, 2020、ANHA, April 27, 2020、AP, April 27, 2020、al-Durar al-Shamiya, April 27, 2020、Reuters, April 27, 2020、Sawt al-‘Asima, April 28, 2020、SANA, April 27, 2020、SOHR, April 27, 2020、Sputnik News, April 27, 2020、UPI, April 27, 2020などをもとに作成。

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保健省は新型コロナウイルス感染者5人が回復したと発表(2020年4月27日)

保健省は新型コロナウイルス感染者5人が回復したと発表した。

これにより、4月27日現在の同地での感染者数は計43人、うち死亡したのは3人、回復したのは19人となった。

SANA(4月27日付)が伝えた。

AFP, April 27, 2020、ANHA, April 27, 2020、AP, April 27, 2020、al-Durar al-Shamiya, April 27, 2020、Reuters, April 27, 2020、SANA, April 27, 2020、SOHR, April 27, 2020、UPI, April 27, 2020などをもとに作成。

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所属不明のドローンがハマー県北部でトルコの支援を受ける国民解放戦線と新興のアル=カーイダ系組織を爆撃(2020年4月27日)

英国を拠点に活動する反体制派系NGOのシリア人権監視団によると、ロシア・トルコ首脳会談で合意された停戦が発効(3月5日深夜)してから53日目となる4月27日、所属不明の無人航空機(ドローン)がハマー県北部を爆撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を確認しなかったと発表した。

トルコ側の監視チームも停戦違反を確認しなかった。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ガーブ平原のアンカーウィー村近郊で、無人航空機(ドローン)が、トルコの支援を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)に所属するナスル軍の車輌を爆撃し、戦闘員3人が死亡、5人が負傷した。

ドローンはまた、新興のアル=カーイダ系組織の一つのフッラース・ディーン機構の車輌に対しても爆撃を加え、人的被害が出た。

爆撃を行ったドローンの所属は不明だが、ロシア軍、レバノンのヒズブッラー、あるいは「イランの民兵」に所属していると思われる。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるファッティーラ村、カンスフラ村、スフーフン村、フライフィル村を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構と国民解放戦線などからなる武装連合体。

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ダルアー県では、HFL(4月27日付)によると、スワイダー県の武装集団がブスラー・シャーム市を襲撃、シリア軍第5軍団に所属する地元部隊が応戦した。

この戦闘で、スワイダー県の反体制武装集団戦闘員1人が死亡、第5軍団の兵士2人が負傷した。

AFP, April 27, 2020、ANHA, April 27, 2020、AP, April 27, 2020、al-Durar al-Shamiya, April 27, 2020、HFL, April 27, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, April 27, 2020、Reuters, April 27, 2020、SANA, April 27, 2020、SOHR, April 27, 2020、UPI, April 27, 2020などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民・国内避難民(IDPs)の帰還なし(2020年4月27日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(4月27日付)を公開し、4月26日に帰還した難民はいなかったと発表した。

2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は577,853人。

内訳は、レバノンからの帰還者182,605人(うち女性55,179人、子ども93,427人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,715,172人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は807,133人(うち女性242,455人、子供411,918人)。

Ministry of Defence of the Russian Federation, April 27, 2020をもとに作成。

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