シャーム解放機構がイドリブ県の自治を委託するシリア救国内閣はラマダーン月の伝統儀式ミスラハーティーを禁止(2021年4月6日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握する地域で自治を委託しているシリア救国内閣が、ラマダーン月のミスハラーティーを禁止すると発表した。

ミスハラーティー(あるいはミスハル)とは、ラマダーン月の日の出前の食事(スフール)をとるよう太鼓を叩きながら呼びかける伝統的な儀式を行う人のこと。

シリア人権監視団が入手したシリア救国内閣の声明には、次のように書かれているという。

イドリブ市地元評議会へ
ファトワー評議会での審議を受け、(シリア救国内閣は)ラマダーン月のミスハルが預言者の言行に何ら基づかないビドア(逸脱)であることを承認した。
これに基づき、イドリブ市でのミスハルの活動に対して行っていたすべての支出を廃し、また新たな支出を行わないよう要請する。

AFP, April 6, 2021、ANHA, April 6, 2021、al-Durar al-Shamiya, April 6, 2021、Reuters, April 6, 2021、SANA, April 6, 2021、SOHR, April 6, 2021などをもとに作成。

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トルコがシリア国民軍にウクライナへの「傭兵」としての戦闘員派遣に向けた準備を指示(2021年4月6日)

レバノン日刊紙『ナハール』(4月6日付)は、トルコの諜報機関が、シリア国民軍の複数の司令部に対して、ロシア・ウクライナ情勢の今後の進展に備えて、戦闘員の教練とウクライナへの派遣をはじめとする準備を行うよう指示したと伝えた。

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トルコ当局は2月に、理由を告げずにシリア国民軍戦闘員への給与支払いを一方的に停止していたが、この指示に先立って、戦闘員への月額550ドルとなる給与の支払いを再開していた。

給与支払い停止は、シリア国民軍に所属する武装集団やそのメンバーによる犯罪行為が後を絶たないことへの制裁と考えられているが、ロシア・ウクライナ情勢の行方を睨んで、こうした措置の継続を猶予したと解釈できるという。

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シリア国民軍所属組織に近い消息筋から得た情報によると、トルコからの指示は、トルコへの忠誠心が強い一部武装組織の司令官らに対して行われ、これを受け、トルコの司令に応えるための準備が加速、ウクライナ行きを希望する戦闘員の氏名を登録する極秘の登録センターが設置されたという。

極秘任務という性格上、登録はシリア国民軍の特殊部隊の隊員に限定されているという。

ウクライナとトルコ当局を仲介しているという複数の人物らの情報によると、ウクライナに派遣される戦闘員には4,000米ドルが支給され、ロシア軍との戦闘の可能性もある国境地帯に展開するという。

有事に備えて、7,000人の戦闘員を派遣するための準備が進められているという。

AFP, April 6, 2021、ANHA, April 6, 2021、al-Durar al-Shamiya, April 6, 2021、al-Nahar, April 6, 2021、Reuters, April 6, 2021、SANA, April 6, 2021、SOHR, April 6, 2021などをもとに作成。

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ハサカ県ラアス・アイン市近郊でトルコ軍の兵士が3度にわたって地雷に触れて多数が死傷(2021年4月6日)

ハサカ県では、ANHA(4月6日付)によると、トルコの占領下にあるラアス・アイン市近郊のライハーニーヤ(ライハーニーヤト・バッカーラ)村と、M4高速道路に近いリヤード農場の間に位置する地域で、トルコ軍の兵士が3度にわたって地雷に触れて、兵士多数が死傷した。

シリア人権監視団によると、死亡したトルコ軍兵士4人で、このほか兵士7人が負傷したという。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアイン・イーサー市東のシャルカラーク村の穀物サイロ近郊を砲撃、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍兵士3人が負傷した。

一方、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるラッカ市で、シリア民主軍の兵士の自宅が何者かの襲撃を受け、この兵士と妻が殺害された。

AFP, April 6, 2021、ANHA, April 6, 2021、al-Durar al-Shamiya, April 6, 2021、Reuters, April 6, 2021、SANA, April 6, 2021、SOHR, April 6, 2021などをもとに作成。

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ハマー県東部でダーイシュがカムア(トリュフの一種)を採取する住民を襲撃、3人を殺害、多数を負傷させ、拉致(2021年4月6日)

ハマー県では、SANA(4月6日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)の残党が、県東部のサラミーヤ市の東にあるトゥワイズィーン・ダム近くでカムア(トリュフの一種)を採取していた住民を襲撃し、2人を殺害、多数を負傷させ、数十人を拉致した。

ダーイシュの残党は、シリア軍の展開地域から離れた遠隔地域に潜伏し、住民を襲撃するなどの活動を続けている。

今回の事件を受け、治安当局は、ダーイシュの残党が潜伏していると考えられる遠隔地域に近づく際は十分警戒するよう呼びかけた。

一方、サアン町でも、ダーイシュの残党が、カムアを採取していた住民を襲撃し、1人を殺害、多数を負傷させ、一部を誘拐した。

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これに関して、シリア人権監視団は、ダーイシュが、ズワイナ地区(サアン区)、ウカイリバート区でシリア軍や親政権民兵と交戦し、兵士多数を殺傷、警官8人と住民11人を拉致したと発表した。

また、ザマーン・ワスル(4月6日付)によると、殺害されたのは、ほとんどがスカイラビーヤ市出身者からなる国防隊の隊員。

誘拐された者のなかにも国防隊隊員が含まれているという。

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シリア人権監視団によると、一方、ロシア軍戦闘機は、アレッポ県、ラッカ県、ハマー県の県境に位置する砂漠地帯、ダイル・ザウル県マヤーディーン市近郊の砂漠地帯を中心に、ダーイシュ(イスラーム国)の拠点や車輌を狙って爆撃を継続した。

過去72時間での爆撃回数は210回以上にのぼり、ダーイシュ・メンバー少なくとも29人が死亡したという。

AFP, April 6, 2021、ANHA, April 6, 2021、al-Durar al-Shamiya, April 6, 2021、Reuters, April 6, 2021、SANA, April 6, 2021、SOHR, April 6, 2021、Zaman al-Wasl, April 6, 2021などをもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で115人、北・東シリア自治局支配地域で279人、シャーム解放機構主体の反体制派とトルコの支配下にあるイドリブ・アレッポ県で25人(2021年4月6日)

保健省は政府支配地域で新たに115人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者118人が完治し、9人が死亡したと発表した。

これにより、4月6日現在の同地での感染者数は計19,641人、うち死亡したのは1,332人、回復したのは13,434人となった。

SANA(4月6日付)が伝えた。

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北・東シリア自治局の保健委員会(保健省に相当)は、支配地域で新たに279人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者6人が完治し、4人が死亡したと発表した。

これにより、4月6日現在の同地での感染者数は計11,092人、うち死亡したのは400人、回復したのは1,340人となった。

新規感染者の性別の内訳は、男性167人、女性112人。

また地域の内訳は、ハサカ県のハサカ市34人、カーミシュリー市87人、マーリキーヤ(ダイリーク)市27人、マアバダ(カルキールキー)町1人、ダルバースィーヤ市13人、ラッカ県のラッカ市17人、アレッポ県のマンビジュ市2人、ダイル・ザウル県57人。

ANHA(4月6日付)が伝えた。

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反体制派系NGOの支援連携ユニットは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」とトルコ占領下の「オリーブの枝」地域と「ユーフラテスの盾」地域で4月6日に新たに25人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、18人が完治したと発表した。

新規感染者の内訳は、イドリブ県ジスル・シュグール郡0人、イドリブ郡1人、ハーリム郡0人、アリーハー郡0人、アレッポ県スィムアーン山郡0人、ジャラーブルス郡0人、バーブ郡2人、アフリーン郡22人、アアザーズ郡0人。

これにより、同地での感染者数は計21,419人、うち回復したのは19,565人、死亡したのは638人となった。

https://www.facebook.com/ACUSyria/photos/1550347138503505/

AFP, April 6, 2021、ACU, April 6, 2021、ANHA, April 6, 2021、al-Durar al-Shamiya, April 6, 2021、Reuters, April 6, 2021、SANA, April 6, 2021、SOHR, April 6, 2021などをもとに作成。

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ロシア軍戦闘機が「決戦」作戦司令室の支配下にあるイドリブ県西部のブサンクール村の森林地帯を空対地ミサイルやクラスター弾で爆撃(2021年4月6日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機が、「決戦」作戦司令室の支配下にある県西部のブサンクール村の森林地帯を空対地ミサイルやクラスター弾で爆撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体で、同地は、同司令室諸派が拠点を設置している地域。

シリア軍も「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のカンスフラ村、ファッティーラ村、フライフィル村、スフーフン村、バイニーン村、バーラ村一帯を砲撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍と「決戦」作戦司令室がガーブ平原のアムキーヤ町、灌漑計画地区で砲撃戦を行った。

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スワイダー県では、シリア人権監視団によると、首都ダマスカスとスワイダー市を結ぶ街道の各所で、住民数十人が、県からの燃料供給の減少に抗議し、デモを行った。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を26件(イドリブ県12件、ラタキア県10件、アレッポ県2件、ハマー県2件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は25件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を14件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, April 6, 2021、ANHA, April 6, 2021、al-Durar al-Shamiya, April 6, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, April 6, 2021、Reuters, April 6, 2021、SANA, April 6, 2021、SOHR, April 6, 2021などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民230人と国内避難民(IDPs)648人が新たに政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は654,640人、2019年以降帰還したIDPsは85,163人に(2021年4月6日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(4月6日付)を公開し、4月5日に難民230人(うち女性69人、子供117人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民230人(うち女性69人、子供117人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は654,640人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者259,392人(うち女性77,973人、子ども132,014人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,753,010人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は883,920人(うち女性265,249人、子供450,505人)となった。

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一方、国内避難民648人が新たに帰宅した。

ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由して帰宅したのは648人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは0人、イドリブ県の「緊張緩和地帯」から帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は85,163人(うち女性31,532人、子供31,295人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,353,759人(うち女性414,091人、子供675,061人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, April 6, 2021をもとに作成。

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