プライス米国務省報道官はOPCWのIIT第2報告書発表を受け「アサド体制が新たな化学兵器を開発するのに十分な化学物質を保有していると見ている」と断じる(2021年4月14日)

米国務省のネッド・プライス報道官は、化学兵器禁止機関(OPCW)が4月12日に発表したシリアでの化学兵器使用疑惑事件にかかる調査識別チーム(IIT)の第2回報告書(技術事務局覚書S/1943/2021)に関して、その内容に同意し、「誰にとっても驚くべき結果ではない」「アサド体制には無数の残虐行為の責任があり、その一部は戦争犯罪、人道に対する罪のレベルに達している」と非難する一方、「アサド体制がサリンを使用し、塩素系兵器を製造・配備し、新たな化学兵器を開発するのに十分な化学物質を保有していると見ている」と断じた。

AFP, April 15, 2021、ANHA, April 15, 2021、al-Durar al-Shamiya, April 15, 2021、Reuters, April 15, 2021、SANA, April 15, 2021、SOHR, April 15, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ外務省はOPCWのIIT第2報告書発表を受け、アサド政権の処罰に向けた取り組みへの支援を継続すると表明(2021年4月14日)

トルコ外務省は声明を出し、化学兵器禁止機関(OPCW)が4月12日に発表したシリアでの化学兵器使用疑惑事件にかかる調査識別チーム(IIT)の第2回報告書(技術事務局覚書S/1943/2021)に関して、アサド政権の関与が改めて示されたとしたうえで、攻撃を人道に対する罪、戦争犯罪、化学兵器禁止条約(CWC)へのあからさまな違反と非難、責任者処罰に向けた取り組みをトルコ政府として支援し続けると強調した。

AFP, April 14, 2021、ANHA, April 14, 2021、al-Durar al-Shamiya, April 14, 2021、Reuters, April 14, 2021、SANA, April 14, 2021、SOHR, April 14, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ドゥルーズ派の有力指導者がアサド大統領の再選に反対の意思を表明(2021年4月14日)

サウジアラビアのアラビーヤ系の衛星テレビ局ハドス(4月14日付)は、複数の消息筋の話として、ドゥルーズ派の有力指導者の1人ヒクマト・ヒジュリー氏が、ロシアによって呼びかけられた極秘の会合に出席し、アサド大統領の留任がシリアの安定化につながらず、分断を助長すると主張し、大統領選挙での再選に反対の意思を示したと伝えた。

AFP, April 14, 2021、ANHA, April 14, 2021、al-Durar al-Shamiya, April 14, 2021、al-Hadath, April 14, 2021、Reuters, April 14, 2021、SANA, April 14, 2021、SOHR, April 14, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア軍はラッカ県マアダーン・アティーク村にヘリポート基地、拠点を新たに設置(2021年4月14日)

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるマアダーン・アティーク村とその一帯に新たな基地や拠点の設置を開始した。

基地や拠点が設置されているのは、シリア政府の影響力が強い地域で、マアダーン・アティーク村にはヘリポートも建設されたという。

AFP, April 14, 2021、ANHA, April 14, 2021、al-Durar al-Shamiya, April 14, 2021、Reuters, April 14, 2021、SANA, April 14, 2021、SOHR, April 14, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアレッポ県タッル・リフアト市に「イランの民兵」とロシア軍が展開、トルコはビラを散布し住民を威嚇(2021年4月14日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・リフアト市とカシュタアール村にロシア軍部隊が再展開した。

ロシア軍は前日に、同地の拠点複数カ所から撤退し、これに合わせて「イランの民兵」の車列が14日早朝に展開していた。

「イランの民兵」の展開とロシア軍の再展開は、シーア派(12イマーム派)住民が暮らすヌッブル市、ザフラー町の防衛を強化するのが目的。

こうした動きを受けて、これに対してトルコ軍は、偵察機からタッル・リフアト市一帯にビラを散布し、同地で避難生活を送っているアフリーン市一帯地域からの国内避難民(IDPs)や住民に対して、シリア民主軍を排斥するよう呼びかけ、威嚇した。

一方、SANA(4月14日付)、ANHA(4月14日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・リフアト市近郊のシャワーリガ村、シャワーリガ砦、アイン・ダクナ村を砲撃した。


ANHAによると、トルコ軍とシリア国民軍はまた、マンナグ村を砲撃した。

また、バイナ村には、前日に続いて、トルコ軍の無人航空機(ドローン)が墜落した。

このほか、トルコの占領下にあるブルブル町では、シリア国民軍に所属するムハンマド・ファーティフ旅団の本部に何者かが手榴弾を投げ込み、戦闘員2人が死亡、2人が負傷した。

また、トルコの占領下にあるアフリーン市近郊のマイダーニカ村でシリア国民軍に所属するシャーム軍団のメンバーどうしが交戦し、戦闘員1人が死亡した。

AFP, April 14, 2021、ANHA, April 14, 2021、al-Durar al-Shamiya, April 14, 2021、Reuters, April 14, 2021、SANA, April 14, 2021、SOHR, April 14, 2021、April 15, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダーイシュ・メンバーを収容するシャッダーディー市近郊のクバイバ油田の刑務所が襲撃を受け、シリア民主軍兵士2人負傷(2021年4月14日)

ハサカ県では、SANA(4月14日付)によると、米軍が違法に駐留を続けるシャッダーディー市近郊のクバイバ油田にある、ダーイシュ(イスラーム国)メンバーを収容している刑務所が武装集団の襲撃を受け、刑務所の警備にあたっていたシリア民主軍の兵士2人が負傷した。

**

ダイル・ザウル県では、ANHA(4月14日付)によると、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の特殊部隊が、米主導の有志連合の地上部隊と航空部隊の支援を受け、北・東シリア自治局の支配下にある県北東部のワーディー・アジージュ渓谷でダーイシュ(イスラーム国)に対する掃討活動を行った。

AFP, April 14, 2021、ANHA, April 14, 2021、al-Durar al-Shamiya, April 14, 2021、Reuters, April 14, 2021、SANA, April 14, 2021、SOHR, April 14, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

外務在外居住者省はOPCWのIIT第2回報告書の内容を否定(2021年4月14日)

外務在外居住者省は声明を出し、化学兵器禁止機関(OPCW)が4月12日に発表したシリアでの化学兵器使用疑惑事件にかかる調査識別チーム(IIT)の第2回報告書(技術事務局覚書S/1943/2021)に関して、「米国とその西側同盟国が化学兵器禁止条約(CWC)の規定を改ざんして設置し、シリアおよび多くのCWC加盟国が違法で非公認だと主張するチーム」による「虚偽報告」と断じた。

声明は、報告書が、テロ組織「ホワイト・ヘルメット」、シリアに敵対する一部諸外国の諜報機関が提出した偽の証拠に基づいて、捏造された結論を導出し、シリア政府に有毒ガスを使用した嫌疑をかけるものだと批判した。

また、調査チームは現地で実地調査を行わないまま、客観的な手順を踏まずに調査を行ったと非難した。

そのうえで、報告の内容をその詳細にいたるまで全面的に否定、シリア軍がサラーキブ市を含むいかなる場所においても化学兵器を使用したことはないと改めて主張した。

https://www.facebook.com/Mofaexsy/posts/2971534723133635

SANA(4月14日付)が伝えた。

ファイサル・ミクダード外務在外居住者大臣もイフバーリーヤ(4月14日付)に出演し、報告書の内容を否定した。

AFP, April 14, 2021、ANHA, April 14, 2021、al-Durar al-Shamiya, April 14, 2021、al-Ikhbariya, April 14, 2021、Reuters, April 14, 2021、SANA, April 14, 2021、SOHR, April 14, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で120人、北・東シリア自治局支配地域で248人、シャーム解放機構主体の反体制派とトルコの支配下にあるイドリブ・アレッポ県で22人(2021年4月14日)

保健省は政府支配地域で新たに120人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者105人が完治し、10人が死亡したと発表した。

これにより、4月14日現在の同地での感染者数は計20,555人、うち死亡したのは1,402人、回復したのは14,335人となった。

SANA(4月14日付)が伝えた。

**

北・東シリア自治局の保健委員会(保健省に相当)は、支配地域で新たに248人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者5人が完治し、17人が死亡したと発表した。

これにより、4月14日現在の同地での感染者数は計13,004人、うち死亡したのは437人、回復したのは1,399人となった。

新規感染者の性別の内訳は、男性147人、女性101人。

また地域の内訳は、ハサカ県のハサカ市57人、カーミシュリー市130人、マーリキーヤ(ダイリーク)市36人、ダルバースィーヤ市6人、フール・キャンプ1人、ラッカ県のラッカ市18人。

ANHA(4月14日付)が伝えた。

**

反体制派系NGOの支援連携ユニットは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」とトルコ占領下の「オリーブの枝」地域と「ユーフラテスの盾」地域で4月14日に新たに22人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、14人が完治したと発表した。

新規感染者の内訳は、イドリブ県ジスル・シュグール郡1人、イドリブ郡2人、ハーリム郡1人、アリーハー郡2人、アレッポ県スィムアーン山郡0人、ジャラーブルス郡8人、バーブ郡1人、アフリーン郡5人、アアザーズ郡2人。

これにより、同地での感染者数は計21,592人、うち回復したのは19,608人、死亡したのは638人となった。

https://www.facebook.com/ACUSyria/photos/1555943971277155/

AFP, April 14, 2021、ACU, April 14, 2021、ANHA, April 14, 2021、al-Durar al-Shamiya, April 14, 2021、Reuters, April 14, 2021、SANA, April 14, 2021、SOHR, April 14, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

「決戦」作戦司令室がクルド山一帯でシリア軍部隊を攻撃し、兵士2人殺害(2021年4月14日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のバイニーン村、フライフィル村、バーラ村一帯、カンスフラ村、スフーフン村を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

**

ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原のクライディーン村、アンカーウィー村を砲撃した。

**

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室がクルド山一帯でシリア軍部隊を攻撃し、兵士2人を殺害した。

**

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア政府の支配下にあるダルアー市の難民キャンプ地区でシリア政府との和解に応じ第4師団に従軍している元反体制武装集団戦闘員が何者かの襲撃を受けて死亡した。

**

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を22件(イドリブ県12件、ラタキア県8件、アレッポ県1件、ハマー県1件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は21件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を14件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, April 14, 2021、ANHA, April 14, 2021、al-Durar al-Shamiya, April 14, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, April 14, 2021、Reuters, April 14, 2021、SANA, April 14, 2021、SOHR, April 14, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア難民受入移送居住センター:難民254人が新たに帰還、2018年半ば以降帰還した難民は656,704人に(2021年4月14日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(4月14日付)を公開し、4月13日に難民254人(うち女性77人、子供130人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民254人(うち女性77人、子供130人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は656,704人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者261,456人(うち女性78,595人、子ども133,067人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,753,010人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は885,984人(うち女性265,871人、子供451,558人)となった。

**

一方、国内避難民の新たな帰宅はなかった。

2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は85,172人(うち女性31,533人、子供31,297人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,353,768人(うち女性414,092人、子供675,063人)。

Ministry of Defence of the Russian Federation, April 14, 2021をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.