所属不明の戦闘機が、ヌスラ戦線が会合中のイドリブ県アブー・ズフール軍事飛行場を爆撃、幹部16人を殺害(2016年5月12日)

イドリブ県では、『ハヤート』(5月14日付)によると、所属不明の戦闘機が、アブー・ズフール航空基地を空爆し、同飛行場内で会合を行っていたシャームの民のヌスラ戦線幹部ら16人が死亡した。

死亡した幹部のなかには、「砂漠地区」のアミール(司令官)、ヨルダン人の司令官らが死亡したという。

これに関して、クッルナー・シュラカー(5月13日付)は、2015年11月の映像を添付し、ロシア軍戦闘機による空爆だと断じた。

AFP, May 13, 2016、AP, May 13, 2016、ARA News, May 13, 2016、Champress, May 13, 2016、al-Hayat, May 14, 2016、Iraqi News, May 13, 2016、Kull-na Shuraka’, May 13, 2016、al-Mada Press, May 13, 2016、Naharnet, May 13, 2016、NNA, May 13, 2016、Reuters, May 13, 2016、SANA, May 13, 2016、UPI, May 13, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ハマー県で、アル=カーイダ系のヌスラ戦線とシャーム自由人イスラーム運動などからなる反体制派がシリア政府支配下の村を襲撃し、住民を誘拐(2016年5月12日)

ハマー県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線やシャーム自由人イスラーム国からなる反体制武装集団が、シリア政府の支配下にあるザーラ村を襲撃し制圧、住民を誘拐した。

シリア人権監視団によると、ザーラ村はアラウィー派が住む村で、誘拐された住民は数十人に達するという。

またAFP(5月13日付)などによると、ヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などからなる武装集団はザーラ村の襲撃で市民19人(女性、子供を含む)を射殺したという。

同監視団によると、ザーラ村ではまた、ヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動がシリア軍、国防隊と交戦し、シャーム自由人イスラーム運動、ヒムス軍団、アフル・スンナ大隊、アジュナード・ヒムス、ヌスラ戦線の戦闘員7人が死亡、シリア軍側も複数の兵士が死亡したという。

これに関して、SANA(5月12日付)は、反体制武装集団がザーラ村に侵入し、住民多数を殺害、女性、子供ら多数を誘拐したと伝えた。

一方、シリア軍はヒルバト・ナークース村でファトフ軍と交戦した。

AFP, May 12, 2016、May 13, 2016、AP, May 12, 2016、ARA News, May 12, 2016、Champress, May 12, 2016、al-Hayat, May 13, 2016、Iraqi News, May 12, 2016、Kull-na Shuraka’, May 12, 2016、al-Mada Press, May 12, 2016、Naharnet, May 12, 2016、NNA, May 12, 2016、Reuters, May 12, 2016、SANA, May 12, 2016、UPI, May 12, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア軍の「講和規定」終了を受け、アレッポ市北部でシリア軍と反体制派の戦闘再び激化(2016年5月12日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍による「講和規定」適用期間の終了(5月11日24時)を受け、ハンダラート難民キャンプ一帯などアレッポ市北部の反体制武装集団支配地域への攻撃を再開した。

シリア軍は、アレッポ市東部とアレッポ市北部郊外を結ぶ街道一帯に対して集中的に攻撃(空爆、地対地ミサイルと思われる砲弾での砲撃)を加え、無人地帯の一部を制圧したという。

一方、クッルナー・シュラカー(5月12日付)は、シャーム自由人イスラーム運動消息筋やナスル軍広報局や筋の話として、この戦闘でクドス旅団(パレスチナ人)戦闘員やイラン人戦闘員多数が死亡したと伝えた。

シリア軍はまた、カフルナーハー村を空爆し、住民3人が負傷、さらにマンビジュ市近郊のマフドゥーム村に対しても空爆を行い、子供2人が負傷した。

シリア軍はこのほかにも、アナダーン市を砲撃、戦闘ヘリコプターがフライターン市各所に対して「樽爆弾」で空爆を行った。

アレッポ市南部郊外では、戦闘機(所属明示せず)が、ハーン・トゥーマーン市一帯を空爆した。

これに対して、ジハード主義武装集団は、西クルディスタン移行期民政局の支配下にあるアレッポ市シャイフ・マクスード地区などを砲撃した。

このほか、SANA(5月12日付)によると、反体制武装集団がアレッポ市ラームーサ地区、サイフ・ダウラ地区、ハムダーニーヤ地区、マイサルーン地区を砲撃し、女性1人を含む6人が死亡した。

Kull-na Shuraka', May 12, 2016
Kull-na Shuraka’, May 12, 2016

**

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が東グータ地方のダイル・アサーフィール市およびその周辺、リーハーン農場、ドゥーマー市一帯を空爆、砲撃した。

**

イドリブ県では、SANA(5月12日付)によると、ファトフ軍に属す反体制武装集団が、マアッラトミスリーン市の拠点からカファルヤー町を砲撃し、1人が負傷した。

**

ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、5月11日に7件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

停戦違反はアレッポ県(アレッポ市ザフラー地区)、ダマスカス郊外県(マイダアー町、アルバイン市、ザブディーン村、ハラスター市)、ダマスカス県(ジャウバル区)で発生し、シャーム自由人イスラーム運動、イスラーム軍が砲撃を行ったという。

米・ロシアによる敵対行為停止合意が発効した2月27日以降の停戦違反件総数は524件。

AFP, May 12, 2016、AP, May 12, 2016、ARA News, May 12, 2016、Champress, May 12, 2016、al-Hayat, May 13, 2016、Iraqi News, May 12, 2016、Kull-na Shuraka’, May 12, 2016、al-Mada Press, May 12, 2016、Naharnet, May 12, 2016、NNA, May 12, 2016、Reuters, May 12, 2016、SANA, May 12, 2016、UPI, May 12, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア軍がヒムス県、ダイル・ザウル県でダーイシュの拠点を爆撃(2016年5月12日)

ヒムス県では、SANA(5月12日付)によると、シリア軍が西ヒブラ村、ウンム・リーシュ村、ジャズル油田北東部一帯でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆した。

**

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がシュハイル村を空爆し、子供1人を含む住民7人が死亡した。

AFP, May 12, 2016、AP, May 12, 2016、ARA News, May 12, 2016、Champress, May 12, 2016、al-Hayat, May 13, 2016、Iraqi News, May 12, 2016、Kull-na Shuraka’, May 12, 2016、al-Mada Press, May 12, 2016、Naharnet, May 12, 2016、NNA, May 12, 2016、Reuters, May 12, 2016、SANA, May 12, 2016、UPI, May 12, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダルアー県で、ダーイシュに忠誠を誓う武装集団が、アル=カーイダ系のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動、自由シリア軍南部戦線の連合組織と交戦(2016年5月12日)

ダルアー県では、クッルナー・シュラカー(5月12日付)によると、県西部でダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓うヤルムーク殉教者旅団と、自由シリア軍南部戦線と南部ファトフ軍(シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動)からなる武装集団が交戦し、住民5人が巻き添えとなって死亡した。

**

アレッポ県では、クッルナー・シュラカー(5月12日付)によると、ハワール・キリス作戦司令室がダーイシュ(イスラーム国)との交戦の末、ヤフムール村を制圧した。

しかし、ARA News(5月12日付)によると、ダーイシュはハワール・キリス作戦司令室との戦闘の末にヤフムール村、ジャーズィル村を奪還した。

**

ハサカ県では、ARA News(5月12日付)によると、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がシャッダーディー市南部郊外でダーイシュ(イスラーム国)と戦闘し、カシュカシュ村を制圧した。

AFP, May 12, 2016、AP, May 12, 2016、ARA News, May 12, 2016、Champress, May 12, 2016、al-Hayat, May 13, 2016、Iraqi News, May 12, 2016、Kull-na Shuraka’, May 12, 2016、al-Mada Press, May 12, 2016、Naharnet, May 12, 2016、NNA, May 12, 2016、Reuters, May 12, 2016、SANA, May 12, 2016、UPI, May 12, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

国連安保理は報道声明で「ダーイシュ、ヌスラ、そしてその他のアル=カーイダとつながりのある組織」の暴力を非難(2016年5月12日)

国連安保理は報道声明(SC/12360)を出し、シリア国内での戦闘に関して、国連安保理決議第2268号に違反していると非難、米・ロシアによる敵対行為停止合意(2月27日)の遵守、とりわけ民間人への無差別攻撃の停止、人道支援にかかる一連の決議の遵守を求めた。

声明ではまた、ISSG(国際シリア支援グループ)による紛争解決に向けた取り組みを高く評価するとともに、「ダーイシュ(イスラーム国)、シャームの民のヌスラ戦線、そしてその他のアル=カーイダとつながりのある個人、グループ、組織」による暴力を厳しく非難し、加盟国に対して、「テロとの戦い」に向けたあらゆる措置を講じるよう改めて確認した。

そのうえで、シリア人どうしの対話に基づく紛争の政治解決を定めた国連安保理決議第2254号の即時完全履行を求めた。

**

リヤド最高交渉委員会の委員長を務めるリヤード・ヒジャーブ元首相はAFP(5月12日付)の取材に応じ、そのなかで、「反体制派」を支援する欧米諸国に「言葉でなく行動」をもって支援するよう主張、具体的にはシリア軍、ロシア軍の空爆に対抗するための対空兵器を供与するよう求めた。

AFP, May 12, 2016、AP, May 12, 2016、ARA News, May 12, 2016、Champress, May 12, 2016、al-Hayat, May 13, 2016、Iraqi News, May 12, 2016、Kull-na Shuraka’, May 12, 2016、al-Mada Press, May 12, 2016、Naharnet, May 12, 2016、NNA, May 12, 2016、Reuters, May 12, 2016、SANA, May 12, 2016、UPI, May 12, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア軍はジハード主義武装集団の内部抗争に乗じて、東グータ地方(ダマスカス郊外県)の複数カ所を制圧(2016年5月11日)

ダマスカス郊外県では、ドゥラル・シャーミーヤ(5月11日付)、シリア人権監視団などによると、シリア軍が、東グータ地方マルジュ・スルターン村に近いリカービーヤ農場、ダイル・アサーフィール市、フーシュ・アドマル村一帯で攻勢を強め、ジハード主義武装集団と交戦、複数拠点を制圧した。

また、ARA News(5月11日付)によると、シリア軍はザブディーン村内の複数拠点も制圧、シリア人権監視団によると、シリア軍とジハード主義武装集団の戦闘は、タイバ村一帯でも行われた。

イスラーム軍とラフマーン軍は10日、停戦に向けた「善意」を示すため、係争地であるミスラーバーから共に部隊を撤退させているが、シリア軍の進軍は東グータ地域での両者の対立に乗じたかたちで展開されている。

**

アレッポ県では、ARA News(5月11日付)によると、ファトフ軍の支配下に入ったアレッポ市南部郊外のハーン・トゥーマーン市に対して、シリア軍、国防隊、外国人戦闘員が攻撃を継続した。

一方、SANA(5月11日付)によると、シリア軍による「講和規定」適用を無視して、反体制武装集団がアレッポ市サイフ・ダウラ地区、ブスターン・ザフラ地区を迫撃砲で攻撃し、女性1人を含む2人が死亡、3人が負傷した。

**

ハマー県では、SANA(5月11日付)によると、シリア軍がウンム・ハーラタイン村、アトシャーン村、スカイク村、タマーニア町でシャームの民のヌスラ戦線の拠点を空爆し、戦闘員30人を殲滅、車輌などを破壊した。

**

ダルアー県では、SANA(5月11日付)によると、シリア軍がダルアー市アルバイーン地区で、シャームの民のヌスラ戦線、南部タウヒード旅団の拠点を攻撃し、複数の戦闘員を殺害、車輌などを破壊した。

**

ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、5月10日に9件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

停戦違反はアレッポ県(アレッポ市)、ラタキア県(バリーシャ村)、ダマスカス郊外県(ハラスター市郊外)で発生し、シャーム自由人イスラーム運動、スルターン・ムラード旅団、イスラーム軍が砲撃を行ったという。

米・ロシアによる敵対行為停止合意が発効した2月27日以降の停戦違反件総数は517件。


AFP, May 11, 2016、AP, May 11, 2016、ARA News, May 11, 2016、Champress, May 11, 2016、al-Hayat, May 12, 2016、Iraqi News, May 11, 2016、Kull-na Shuraka’, May 11, 2016、al-Mada Press, May 11, 2016、Naharnet, May 11, 2016、NNA, May 11, 2016、Reuters, May 11, 2016、SANA, May 11, 2016、UPI, May 11, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.


ヒムス県油田地帯でシリア軍とダーイシュの攻防戦続く(2016年5月11日)

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がマフル油田、タイフール航空基地一帯でダーイシュ(イスラーム国)と交戦、戦闘機(所属明示せず)がシャーイル油田一帯、スフナ市およびその一帯を空爆した。

またシリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表は、ダーイシュがシリア軍との戦闘の末、ヒムス市とタドムル市を結ぶ街道を遮断したと発表した。

しかし、SANA(5月11日付)は、情報筋の話として、これを否定した。

一方、SANAによると、シリア軍がシャーイル油田一帯、マフル油田一帯、タドムル市東方、ジャズル村一帯でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆した。

**

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がダイル・ザウル市ハミーディーヤ地区、アイヤーシュ村、ハリータ村でダーイシュ(イスラーム国)拠点を空爆した。

また、クッルナー・シュラカー(5月11日付)によると、ロシア軍戦闘機がダーイシュ(イスラーム国)の支配下にあるシュハイル村を空爆し、15人が死亡、20人が負傷した。

**

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属不明)がラッカ市各所を深夜に空爆し、2人が死亡した。

AFP, May 11, 2016、AP, May 11, 2016、ARA News, May 11, 2016、Champress, May 11, 2016、al-Hayat, May 12, 2016、Iraqi News, May 11, 2016、Kull-na Shuraka’, May 11, 2016、al-Mada Press, May 11, 2016、Naharnet, May 11, 2016、NNA, May 11, 2016、Reuters, May 11, 2016、SANA, May 11, 2016、UPI, May 11, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダーイシュはハサカ県シャッダーディー市、アレッポ県アイン・アラブ市近郊でYPGと交戦(2016年5月11日)

ハサカ県では、ダーイシュ(イスラーム国)が広報部門アアマーク通信を通じて、シャッダーディー市内で西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊の拠点に対して特攻自爆戦闘員(インギマースィー)が攻撃を加え、約20人を殺傷したと発表した。

**

アレッポ県では、ARA News(5月11日付)によると、アイン・アラブ市西部のズールマガール村にダーイシュ(イスラーム国)が潜入、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊と交戦した。

AFP, May 11, 2016、AP, May 11, 2016、ARA News, May 11, 2016、Champress, May 11, 2016、al-Hayat, May 12, 2016、Iraqi News, May 11, 2016、Kull-na Shuraka’, May 11, 2016、al-Mada Press, May 11, 2016、Naharnet, May 11, 2016、NNA, May 11, 2016、Reuters, May 11, 2016、SANA, May 11, 2016、UPI, May 11, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

有志連合の爆撃とトルコ軍の越境砲撃による支援を受け、ハワール・キリス作戦司令室がアアザーズ市東部でダーイシュと戦闘を続ける(2016年5月11日)

アレッポ県では、ARA News(5月11日付)によると、有志連合が県北西部アアザーズ市東部のダービク村、タッル・イスタブル村、フール・ナフル村、スーラーン・アアザーズ町一帯のダーイシュ(イスラーム国)拠点複数カ所を空爆、住民2人が死亡した。

またトルコ軍は、ジャカー村、ラーイー村、シャアバーニーヤ村、ドゥーディヤーン村を越境砲撃し、ダーイシュもこれに対して反撃、キリス市方面に越境砲撃を行った。

有志連合の航空支援とトルコ軍の越境砲撃支援と並行して、ドゥーディヤーン村、ジャーリズ村一帯ではハワール・キリス作戦司令室がダーイシュと交戦、ヤフムール村とジャーリズ村を制圧した。

**

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、県西部のアイン・ズィクル村一帯でダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓うヤルムーク殉教者旅団、イスラーム・ムサンナー運動がシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動、南部戦線と交戦し、シャーム自由人イスラーム運動の司令官1人を含む4人を殺害した。

AFP, May 11, 2016、AP, May 11, 2016、ARA News, May 11, 2016、Champress, May 11, 2016、al-Hayat, May 12, 2016、Iraqi News, May 11, 2016、Kull-na Shuraka’, May 11, 2016、al-Mada Press, May 11, 2016、Naharnet, May 11, 2016、NNA, May 11, 2016、Reuters, May 11, 2016、SANA, May 11, 2016、UPI, May 11, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア人権監視団:アレッポ市南部ハーン・トゥーマーン市での戦闘での死者数はシリア軍、ファトフ軍双方側合わせて170人以上に(2016年5月11日)

シリア人権監視団は、5月5日から11日にかけてアレッポ市郊外のハーン・トゥーマーン市一帯でのシリア軍とファトフ軍の戦闘で、シリア軍側の民兵(シリア人、イラク人、レバノン人、イラン人)79人が死亡したことを確認したと発表した。

このうち20人はイラン人(うち13人が軍事顧問)、レバノンのヒズブッラー戦闘員は6人、アフガン人戦闘員21人、イラク人民兵のヌジャバー旅団戦闘員は14人、シリア軍兵士および国防隊隊員は18人だったという。

一方、シャームの民のヌスラ戦線、トルキスターン・イスラーム党などファトフ軍戦闘員やジュンド・アクサー機構の戦闘員は94人が死亡し、その多くが空爆、砲撃によるものだという。

AFP, May 11, 2016、AP, May 11, 2016、ARA News, May 11, 2016、Champress, May 11, 2016、al-Hayat, May 12, 2016、Iraqi News, May 11, 2016、Kull-na Shuraka’, May 11, 2016、al-Mada Press, May 11, 2016、Naharnet, May 11, 2016、NNA, May 11, 2016、Reuters, May 11, 2016、SANA, May 11, 2016、UPI, May 11, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米軍主導の有志連合はシリア領内で5回の爆撃を実施(2016年5月10日)

米中央軍(CENTCOM)は、5月10日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して14回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は5回で、シャッダーディー市近郊(2回)、マンビジュ市近郊(1回)、ワリード村近郊(2回)に対して攻撃が行われた。

CENTCOM, May 11, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米英仏は、ヌスラ戦線と共闘して停戦を無視するシャーム自由人イスラーム運動とイスラーム軍を国連安保理のテロ制裁リストに追加記載するよう求めるロシアの要請を却下(2016年5月10日)

複数の外交筋によると、ロシアが、国連安保理のアル=カーイダおよびターリバーン制裁委員会が定める制裁対象リストにシャーム自由人イスラーム運動とイスラーム軍を追加記載することを要請したが、米国、イギリス、フランス、ウクライナの4カ国がこれを却下した。

シャーム自由人イスラーム運動は、アル=カーイダのメンバーらが結成した武装集団だが、アル=カーイダとの関係を否定している。しかし、イドリブ県、アレッポ県、ダマスカス郊外県など各地でシリアのアル=カーイダと目されるシャームの民のヌスラ戦線と共闘しており、最近では、アレッポ市南部郊外でヌスラ戦線などとともに新生ファトフ軍を指導し、シリア政府支配地域への攻勢を続けている。

一方、イスラーム軍は、アル=カーイダ系の組織ではないが、シャーム自由人イスラーム運動とともに、シリアのアル=カーイダと目されるシャームの民のヌスラ戦線と共闘している。

両者は、リヤド最高交渉委員会に参加していたが、ジュネーブ3会議第3ラウンドにおいて、委員会を脱会し、米国・ロシアによる敵対行為停止合意(2月27日)を破棄、その後のシリア軍による「講和規定」適用や米国・ロシアによる停戦合意を無視して、戦闘を続けている。

ロシアによる提案を拒否した米国は、国連代表部報道官を通じて、停戦を無視するシャーム自由人イスラーム運動とイスラーム軍が、「停戦に参加している…。両者をブラックリストに記載すると停戦に悪影響を及ぼす」と述べた。

また英国の国連代表部報道官は、シャーム自由人イスラーム運動とイスラーム軍が「イスラーム過激派だが、アル=カーイダやダーイシュ(イスラーム国)との関係を拒否している…。両組織の役割は、政治的解決を拒否するヌスラ戦線、ダーイシュとは違う…。両組織を孤立させれば、その過激派をもたらし、政治的解決が遠のく」と述べ、ロシアの提案を拒否した理由を正当化した。

AFP(5月11日付)などが伝えた。

**

一方、SANA(5月11日付)によると、バッシャール・ジャアファリー国連シリア代表は、ロシアの要請が却下されたことに対して「国連憲章や国際法の判断への暗殺」と批判、「危機を長引かせようとする当事者たちに…薄っぺらな名目によって内政干渉をすることを止めるよう言いたい」と表明した。

AFP, May 11, 2016、AP, May 11, 2016、ARA News, May 11, 2016、Champress, May 11, 2016、al-Hayat, May 12, 2016、Iraqi News, May 11, 2016、Kull-na Shuraka’, May 11, 2016、al-Mada Press, May 11, 2016、Naharnet, May 11, 2016、NNA, May 11, 2016、Reuters, May 11, 2016、SANA, May 11, 2016、UPI, May 11, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イドリブ県ビンシュ市での爆撃でシャーム自由人イスラーム運動の司令官を含む「民間人」10人が死亡(2016年5月10日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)がビンニシュ市、ナイラブ村各所を空爆し、シャーム自由人イスラーム運動の司令官を含む10人が死亡、数十人が負傷した。

これに関して、ARA News(5月10日付)は、地元の活動家の一人の話として、シリア軍の空爆は市内のシャーム自由人イスラーム運動の拠点の一つを標的とし、これにより司令官1人が死亡、多数のメンバーが死傷したと伝えた。

しかし、クッルナー・シュラカー(5月10日付)は、シリア軍がビンニシュ市を空爆し、民間人10人が死亡、25人が負傷した、と伝えた。

シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)はまた、アリーハー市一帯、マストゥーマ軍事基地一帯、カフルシャラーヤー村、アウラム・ジャウズ村一帯を空爆した。

シリア軍ヘリコプターはまた、ジスル・シュグール市一帯にビラを散布し、武装集団戦闘員に投降を呼びかけた。

一方、SANA(5月10日付)によると、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などからなるファトフ軍がマアッラトミスリーン市、ビンニシュ市からフーア市、カファルヤー町を砲撃し、住民5人が負傷した。

**

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)がダイル・アサーフィール市一帯を8回、またドゥーマー市各所を3回にわたり空爆した。

また、クッルナー・シュラカー(5月10日付)によると、シリア軍とヒズブッラー戦闘員はザバダーニー市一帯を激しく砲撃したという。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市郊外のアナダーン市に近いタームーラ村でシリア軍、国防隊、外国人戦闘員がシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などからなるファトフ軍と交戦した。

シリア軍はまた、アンジャーラ村各所を地対地ミサイルと思われる砲弾で攻撃した。

一方、SANA(5月10日付)によると、反体制武装集団が、シリア軍による「講和規定」適用を無視してアレッポ市ラームーサ交差点一帯、スライマーン・ハラビー地区を砲撃・狙撃し、住民1人が死亡した。

**

ハマー県では、シリア人権監視団によると、ジハード主義武装集団がズラーキーヤート村のシリア軍拠点を砲撃した。

これに対してシリア軍は、サルマーニーヤ村一帯を砲撃した。

**

ダルアー県では、SANA(5月10日付)によると、シリア軍がダルアー市旧税関地区、ナスィーブ村間の街道、ヤードゥーダ村でシャームの民のヌスラ戦線を攻撃した。

一方、クッルナー・シュラカー(5月11日付)によると、ウマリー旅団連合、部族軍、部族師団が、シリア軍とダーイシュ(イスラーム国)に対抗するためのラジャー統合作戦司令室を設置した。

**

ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、5月9日に2件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

停戦違反はアレッポ県とラタキア県で発生し、シャーム自由人イスラーム運動、イスラーム軍が砲撃を行ったという。

米・ロシアによる敵対行為停止合意が発効した2月27日以降の停戦違反件総数は508件。


AFP, May 10, 2016、AP, May 10, 2016、ARA News, May 10, 2016、Champress, May 10, 2016、al-Hayat, May 11, 2016、Iraqi News, May 10, 2016、Kull-na Shuraka’, May 10, 2016、May 11, 2016、al-Mada Press, May 10, 2016、Naharnet, May 10, 2016、NNA, May 10, 2016、Reuters, May 10, 2016、SANA, May 10, 2016、UPI, May 10, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダーイシュはヒムス県東部で侵攻を続け、タイフール軍事飛行場一帯でシリア軍と交戦(2016年5月10日)

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が県東部のタイフール航空基地(T4)一帯に侵攻、シリア軍と交戦した。

クッルナー・シュラカー(5月10日付)などによると、ダーイシュはこれにより、タイフール航空基地一帯に近い放棄された大隊基地を制圧した。

両者はまた、シャーイル油田一帯、マクサル・ヒサーン村一帯でも交戦する一方、ジュッブ・ジャッラーフ村近郊では、爆弾が仕掛けられた車とオートバイが爆発し、13人が死亡した。

一方、SANA(5月10日付)によると、シリア軍がジャズル油田、マフル油田一帯、フワイスィース村でダーイシュ(イスラーム国)拠点、車輌を空爆、またウンク・ハワー村、バーディラ村一帯でダーイシュ戦闘員に対して攻撃を行った。

他方、ダーイシュ(イスラーム国)は通信部門のアアマーク通信を通じて、フワイスィース村での戦闘で、シリア軍ヘリコプターを撃墜したと発表した。

**

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、シャッダーディー市郊外のカシュカシュ村一帯でダーイシュ(イスラーム国)と西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が交戦した。

**

スワイダー県では、SANA(5月10日付)によると、シリア軍がサアド村でダーイシュ(イスラーム国)に対して攻撃を加えた。

AFP, May 10, 2016、AP, May 10, 2016、ARA News, May 10, 2016、Champress, May 10, 2016、al-Hayat, May 11, 2016、Iraqi News, May 10, 2016、Kull-na Shuraka’, May 10, 2016、al-Mada Press, May 10, 2016、Naharnet, May 10, 2016、NNA, May 10, 2016、Reuters, May 10, 2016、SANA, May 10, 2016、UPI, May 10, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アレッポ県北西部の反体制派の拠点アアザーズ市東部にダーイシュが侵攻(2016年5月10日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、北西部のトルコ国境に近いアアザーズ市郊外で、ダーイシュ(イスラーム国)がジハード主義武装集団を含む反体制武装集団と交戦した。

ARA News(5月10日付)によると、ダーイシュの攻撃はジャーリズ村とスーラーン・アアザーズ町を結ぶ回廊一帯に対して行われ、シャーム軍団、ハムザ旅団が応戦したという。

AFP, May 10, 2016、AP, May 10, 2016、ARA News, May 10, 2016、Champress, May 10, 2016、al-Hayat, May 11, 2016、Iraqi News, May 10, 2016、Kull-na Shuraka’, May 10, 2016、al-Mada Press, May 10, 2016、Naharnet, May 10, 2016、NNA, May 10, 2016、Reuters, May 10, 2016、SANA, May 10, 2016、UPI, May 10, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラエル軍がシリア領内を越境爆撃し、ヒズブッラーの車列を攻撃(2016年5月10日)

イスラエルの民間テレビ局チャンネル2(5月10日付)などは、イスラエル空軍がレバノン国境に近いシリア領内を移動中のヒズブッラーの車列を空爆したと伝えた。

チャンネル2によると、空爆は、シリアの反体制武装集団の「安全な避難所」(safe haven)に近いヒズブッラーの拠点があるとされる場所に対して行われ、武器を搬送する車列が標的となったという。

ナハールネット(5月10日付)などが伝えた。

AFP, May 10, 2016、AP, May 10, 2016、ARA News, May 10, 2016、Champress, May 10, 2016、al-Hayat, May 11, 2016、Iraqi News, May 10, 2016、Kull-na Shuraka’, May 10, 2016、al-Mada Press, May 10, 2016、Naharnet, May 10, 2016、NNA, May 10, 2016、Reuters, May 10, 2016、SANA, May 10, 2016、UPI, May 10, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

USAIDはトルコでのシリア支援事業をめぐる不正に対処するため、14団体・個人を活動停止処分に(2016年5月10日)

USAID(米国際開発庁)は声明を出し、トルコでシリアへの支援事業に参加している14の団体・個人の活動に対して活動停止処分を下したと発表した。

声明は、「談合、幾多の贈収賄に共謀してきた業者、NGO職員などのネットワークがシリアでの人道支援配給にかかる契約に関与してきた」としたうえで、トルコでの物資調達に際して、NGOから業者への多額の代金支払いが組織的に行われてきたことを明らかにした。

また、声明による、トルコの民間業者は、低品質の毛布や資材などの商品をNGOに法外な価格で販売し、その差額を着服していたという。

AFP(5月10日付)によると、こうした不正取引には、米国の国際医療隊(IMC)、アイルランドのGoal、英デヴィッド・ミリバンド元外相が代表を務める国際救済委員会(IRC)といった団体が関与していたとされ、シリアに対する最大規模の医療支援を行うIMCは、すでに多数の職員を解雇したという。

またIRC、GOALも事件発覚を受け、多数のプロジェクトを中止したという。

AFP, May 10, 2016、AP, May 10, 2016、ARA News, May 10, 2016、Champress, May 10, 2016、al-Hayat, May 11, 2016、Iraqi News, May 10, 2016、Kull-na Shuraka’, May 10, 2016、al-Mada Press, May 10, 2016、Naharnet, May 10, 2016、NNA, May 10, 2016、Reuters, May 10, 2016、SANA, May 10, 2016、UPI, May 10, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イラン革命防衛隊報道官「イラン人12人の遺体がファトフ軍の手にある」(2016年5月10日)

イランのISNA通信(8月10日付)は、イラン・イスラーム革命防衛隊のホセイン・アリー・レダーイー報道官(マーザンダラーン州)の話として、アレッポ市南部郊外ハーン・トゥーマーン市一帯での戦闘の殺害されたイラン軍「顧問」13人のうち、「12人の遺体がタクフィール主義集団の手にある」と伝えた。

AFP, May 10, 2016、AP, May 10, 2016、ARA News, May 10, 2016、Champress, May 10, 2016、al-Hayat, May 11, 2016、Iraqi News, May 10, 2016、Kull-na Shuraka’, May 10, 2016、al-Mada Press, May 10, 2016、Naharnet, May 10, 2016、NNA, May 10, 2016、Reuters, May 10, 2016、SANA, May 10, 2016、UPI, May 10, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシアがエジプト大統領、イラン外相と電話会談:ラヴロフ外務大臣は外国からのテロ支援遮断の必要を強調(2016年5月10日)

エジプトのアブドゥルファッターフ・スィースィー大統領はロシアのヴラジミール・プーチン大統領と電話会談を行い、シリア情勢、リビア情勢などについて意見を交わした。

エジプトのアラー・ユースフ大統領付報道官によると、会談において、スィースィー大統領は、ISSG(国際シリア支援グループ)の共同議長国であるロシアと米国がシリア情勢への対応をめぐって合意に達することが重要だとしたうえで、エジプトが両国の合意と、シリアでの紛争解決に向けた取り組みを支援する旨伝えたという。

『ハヤート』(5月11日付)が伝えた。

**

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、イランのモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外務大臣と電話会談を行い、シリア情勢への対応について協議した。

ロシア外務省が発表した声明によると、会談では、ISSG(国際シリア支援グループ)による一連の合意(ウィーン合意)、国連安保理決議第2254号、第2268号に基づき、ジュネーブ3会議でのシリア政府と反体制派の代表団の和平協議を通じ、紛争解決に向けた政治プロセスの実現をめざすことを確認するとともに、シリア国内の「テロとの戦い」については、外国からのテロ支援のチャンネルを遮断する必要を強調した。

SANA(5月10日付)が伝えた。

AFP, May 10, 2016、AP, May 10, 2016、ARA News, May 10, 2016、Champress, May 10, 2016、al-Hayat, May 11, 2016、Iraqi News, May 10, 2016、Kull-na Shuraka’, May 10, 2016、al-Mada Press, May 10, 2016、Naharnet, May 10, 2016、NNA, May 10, 2016、Reuters, May 10, 2016、SANA, May 10, 2016、UPI, May 10, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

反体制派系サイト「クッルナー・シュラカー」と政府寄り日刊紙『ワタン』が東京外国語大学を拠点とする調査チームとSOCPSによるシリアでの世論調査結果を紹介:シリア国民の87.4%が貧困線以下(2016年5月9日)

反体制派系サイトのクッルナー・シュラカー(5月9日付)は、東京外国語大学を拠点とする「アラブの春」後の中東における非国家主体と政治構造」(科学研究費補助金基盤研究B、http://www.ac.auone-net.jp/~alsham/project03.html)が実施した研究プロジェクト「中東世論調査(シリア2016)」により、シリア国内のインフラの60%以上が戦争で破壊され、また世界銀行が定める貧困線以下の状態にある国民の割合が87.4%に達している実態が明らかになったと伝えた。

Kull-na Shuraka', May 9, 2016
Kull-na Shuraka’, May 9, 2016

**

「シリア世論調査研究センター」(SOCPS)が作成した研究報告書によると、工業、農業部門の就業者は17%に減少する一方、サービス部門就業者の割合は83%に達した。

この研究では、テロと危機によってシリア国内の経済資源、石油・ガス資源、工業生産、農業生産のほとんどが疲弊したことが分かるとともに、危機発生から5年を経て2,000億米ドル以上とされる甚大な損害がもたらされたことも確認できるという。

またシリア・ポンドの購買力が2010年との比較において大きく低下し、各世帯に必要な収入が現在の平均賃金収入の6倍に達していることも分かった。

工業部門に関しては、テロ活動による工場破壊や、テロリストによる工場解体と部品のトルコなどでの密売によって甚大な被害を被っており、その被害はシリア最大の工業都市であるアレッポ市において顕著だという。

研究報告書は、シリアに対する国際的な経済政策の解除が必要だと強調し、そのことがシリア経済の改善に資するとしている。また、多くのシリア人避難民が、生活水準の低下を理由に国外に逃れ、治安上の理由で戻れないなか、制裁解除が避難民の帰国にも資するとも指摘している。

研究報告書はまた、紛争による死者、行方不明者が25万人を越え、今後少なくとも10年間は約100万人に対して支援を行う必要があると提言している。

**

シリアで実施された「中東世論調査(シリア2016)」は、シリア政府の支配下にとどまる地域に在住する18歳から65歳までのシリア国民男女1,500人(回答を拒否した125人を含めると1,625人)を対象とし、アラビア語による個別訪問面接聴取法によって、2015年12月29日から2016年1月29日までの1ヶ月間にわたり調査が行われた。

調査対象者は、①内閣府中央統計局が2004年版人口センサス、同統計局による2011年の人口動態推計値、そしてSOCPSの調査チームによる2015年の人口動態推計値に依拠し、以下の層化二段階抽出法によりサンプルを確定した。

第1段階:シリアを構成する5つの地理区分のなかから以下の6県を選択し、各地理区分に300サンプルを配分。

南部・ジャズィーラ地方(ハサカ県、ダイル・ザウル県、ラッカ県から構成):ハサカ県
北部地方(アレッポ県、イドリブ県から構成):アレッポ県
海岸地方(ラタキア県、タルトゥース県から構成):ラタキア県
中部地方(ヒムス県、ハマー県から構成):ヒムス県
南部地方(ダマスカス県、ダマスカス郊外県、クナイトラ県、ダルアー県、スワイダー県から構成):ダマスカス県、ダマスカス郊外県

第2段階(クラスタ・サンプリング、各クラスタから系統抽出):各県において、エスニシティ(宗教・宗派、母語)、社会的属性、経済的属性、居住地(都市・農村)といった人口動態的多様性を代表する30クラスタ(各クラスタは100~200世帯から構成)を選択、その後、各クラスタから10世帯を無作為に選定し、世帯のなかの1人を面接対象者に確定。

**

なお同様の報道はシリア政府に近い立場をとる日刊紙『ワタン』(5月8日付)も伝えている(日本語訳は「日本語で読む世界のメディア」に「シリア:東京外国語大学を拠点とする科研プロジェクトとSOCPSの共同研究により国内の貧困状態が改めて明らかに」として掲載)。

また、SOCPSによる報告書(アラビア語)はhttp://soc.sy/ar/Subjects12763/で公開されている。またその日本語及び英語縮刷版は「現代中東政治研究ネットワーク(CMEPS-J.net)」から「中東世論調査(シリア2016)単純集計報告書(CMEPS-J Report No.3)」「Report of Simple Tally of “Middle East Public Opinion Survey (Syria 2016)(CMEPS-J Report No.4)」として公開されている。

AFP, May 9, 2016、AP, May 9, 2016、ARA News, May 9, 2016、Champress, May 9, 2016、al-Hayat, May 10, 2016、Iraqi News, May 9, 2016、Kull-na Shuraka’, May 9, 2016、al-Mada Press, May 9, 2016、Naharnet, May 9, 2016、NNA, May 9, 2016、Reuters, May 9, 2016、SANA, May 9, 2016、UPI, May 9, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

 

シリア軍の爆撃でイドリブ県マアッラト・ヌウマーン市の遺跡ハーン・ムラード・バーシャーの一部が損壊、複数人が死亡(2016年5月9日)

イドリブ県では、クッルナー・シュラカー(5月9日付)によると、シリア軍はハフサルジャ村を空爆し、子供3人、女性1人を含む10人が死亡した。

またシリア軍は、マアッラト・ヌウマーン市に対しても空爆を行い、市内中心部にある遺跡ハーン・ムラード・バーシャーの一部が損壊、子供1人を含む3人が死亡した。

Kull-na Shuraka', May 9, 2016
Kull-na Shuraka’, May 9, 2016

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍戦闘機およびヘリコプターが、ファトフ軍によって制圧されたハーン・トゥーマーン市(アレッポ市南部郊外)一帯を90回以上にわたり空爆した。

同監視団によると、シリア軍はまた、アレッポ市各所を空爆、これに対して反対し得武装集団もシリア政府の支配下にとどまるアレッポ市一帯を砲撃した。

ドゥラル・シャーミーヤ(5月9日付)によると、シリア軍はさらにカフルナーハー村の医療施設(ARA News(5月9日付)によると、カフルナーハー村内にあるブユーティー病院)を空爆し、医療スタッフ1人(ヤースィル・ダルウィーシュ氏)が負傷した。

このほか、ARA News(5月9日付)によると、シリア軍はアナダーン市、ハイヤーン町を空爆したという。

一方、SANA(5月9日付)によると、シャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団が、シリア軍が実施中の「講和規定」を無視してアレッポ市スライマーン・ハラビー地区を砲撃した。死傷者は出なかった。

**

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍、国防隊がアルバイン市一帯ドゥーマー市一帯を激しく砲撃、1人が死亡、20人が負傷した。

一方、SANA(5月9日付)によると、シリア軍がバーラー村一帯で反体制武装集団が掘削した全長700メートルの地下トンネルを発見し、これを破壊した。

**

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市グータ地区にある県知事公邸近くに反体制武装集団が撃ったと思われる迫撃砲弾1発が着弾した。

一方、SANA(5月9日付)によると、シリア軍がダイル・フール村でシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団の拠点を攻撃した。

AFP, May 9, 2016、AP, May 9, 2016、ARA News, May 9, 2016、Champress, May 9, 2016、al-Durar al-Shamiya, May 9, 2016、al-Hayat, May 10, 2016、Iraqi News, May 9, 2016、Kull-na Shuraka’, May 9, 2016、al-Mada Press, May 9, 2016、Naharnet, May 9, 2016、NNA, May 9, 2016、Reuters, May 9, 2016、SANA, May 9, 2016、UPI, May 9, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア軍はヒムス県、ハマー県でダーイシュ拠点を爆撃(2016年5月9日)

ヒムス県では、SANA(5月9日付)によると、シリア軍がマフル油田一帯、シャーイル石油ガス採掘所一帯、ジャズル油田一帯、タドムル市東方、ウンム・タバービール村一帯、ワーディー・マサク一帯でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆した。

**

ハマー県では、SANA(5月9日付)によると、シリア軍がジャニー・アルバーウィー村、イスリヤー村東部、ウカイリバート町、ウカイリバート交差点北東部でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を攻撃した。

**

ダイル・ザウル県では、クッルナー・シュラカー(5月10日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)の広報部門アアマーク通信がダイル・ザウル市労働者住宅地区(タフトゥーフ地区)のシリア軍拠点2カ所をダーイシュが制圧したと発表した。

AFP, May 9, 2016、AP, May 9, 2016、ARA News, May 9, 2016、Champress, May 9, 2016、al-Hayat, May 10, 2016、Iraqi News, May 9, 2016、Kull-na Shuraka’, May 9, 2016、May 10, 2016、al-Mada Press, May 9, 2016、Naharnet, May 9, 2016、NNA, May 9, 2016、Reuters, May 9, 2016、SANA, May 9, 2016、UPI, May 9, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア軍はアレッポ市などの「講和規定」適用を48時間延長(2016年5月9日)

シリア軍総司令部は声明を出し、5月10日午前1時に失効するアレッポ市および同市郊外とラタキア県での「講和規定」適用を48時間(5月11日午後24時まで)延長すると発表した。

**

ラタキア県では、SANA(5月9日付)によると、シリア駐留ロシア空軍の本拠地であるフマイミーム航空基地(バースィル・アサド国際空港)で、第2次世界大戦でのソ連の対独勝利を祝う祝典が催され、シリア軍のアリー・アブドゥッラー・アイユービー参謀長がアサド大統領の名代として出席、祝辞を述べた。


AFP, May 9, 2016、AP, May 9, 2016、ARA News, May 9, 2016、Champress, May 9, 2016、al-Hayat, May 10, 2016、Iraqi News, May 9, 2016、Kull-na Shuraka’, May 9, 2016、al-Mada Press, May 9, 2016、Naharnet, May 9, 2016、NNA, May 9, 2016、Reuters, May 9, 2016、SANA, May 9, 2016、UPI, May 9, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ジュネーブ3会議に出席した国内の反体制派「シリア国民行動委員会」が分裂(2016年5月9日)

シリア民族社会党インティファーダ派代表のアリー・ハイダル国民和解担当国務大臣は声明を出し、自らが座長を務めるシリア国民行動委員会に関して、ジュネーブ3会議第3ラウンドに国内の反体制派代表として参加していた委員会メンバーの欠席により、予定されていた会合が開催できなかったとして、引責辞任し、委員会から脱会すると発表した。

またハイダル国民和解担当国務大臣の脱会に続き、以下のメンバー・組織もジュネーブ3会議に出席したメンバーの欠席に不満を表明、共同声明で脱会を表明した。

シリア民族社会党(反体制派)(アブドゥルカーディル・ウバイド中央理事)
シリア変革復興党(ムスタファー・カルアジー書記長)
シリアのための第三潮流(ウクバ・ナーイム代表)
シリア・マジュド潮流(マイサー・ラジュミー(ハッサーン・ムニール氏代理)
クルディスタン刷新運動(リーズカール・カースィム代表)
統一民主改革党(ムハンマド・サウワーン書記長)
シリア人マラダ党(サーバー・クーバー氏)
シリア救済国民潮流(ハッサーン・アルヌーク氏)
マーズィン・ビラール(作家)

AFP, May 9, 2016、AP, May 9, 2016、ARA News, May 9, 2016、Champress, May 9, 2016、al-Hayat, May 10, 2016、Iraqi News, May 9, 2016、Kull-na Shuraka’, May 9, 2016、al-Mada Press, May 9, 2016、Naharnet, May 9, 2016、NNA, May 9, 2016、Reuters, May 9, 2016、SANA, May 9, 2016、UPI, May 9, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ISSGに参加する「シリアの友連絡グループ」諸国がパリで外相級会合し、シリア軍の爆撃を停止させるようロシアを求める(2016年5月9日)

ISSG(国際シリア支援グループ)に参加する「シリアの友連絡グループ」諸国がフランスの首都パリで外相級会合を開き、シリア情勢への対応について協議した。

会合に参加したのは、米英仏、サウジアラビア、トルコ、カタール、UAEの外相らで、リヤド最高交渉委員会委員長のリヤード・ヒジャーブ元首相も出席した。

外相級会合を主催したフランスのジャン=マルク・エロー外務大臣は会合に先立ってRTL(5月9日付)に対して「ジュネーブでの交渉はシリア政府が停戦違反を続ける限り再開できない…。アサド政権は病院や避難民キャンプを空爆し続けている…。アレッポ市で彼らが攻撃しているのはダーイシュ(イスラーム国)ではなく、「穏健な反体制派」が標的となっている。こうした反体制派を我々はこの会合に招聘している」と述べた。

またサウジアラビアとカタールがこの「穏健な反体制派」を支援しているのかとの質問に対して、「もちろんだ…。両国だけでなく、フランス、ドイツ、イタリア、米国など…も支援している」と述べた。

そのうえで「我々はこの会合で、ダマスカスの政権に圧力をかけ、空爆を停止させるようモスクワに求めるつもりだ」と付言した。

一方、サウジアラビアのアーディル・ジュバイル外務大臣は、外相級会合に先立って行われたエロー外務大臣との会談後、シリア情勢に関して「我々はシリアの兄弟たちを支援し続ける。なぜなら、彼らにはバッシャール・アサドを排除したかたちで、平等の原則に基づく新生国家を樹立する権利があるからだ」と述べた。

『ハヤート』(5月10日付)などが伝えた。

アレッポ市および同市一帯での戦闘は、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線、アル=カーイダとの関係を否定するアル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動、ダーイシュとの関係がとりざたされるジュンド・アクサー機構、トルコが積極支援するトルキスターン・イスラーム党やシャーム軍団(シリア・ムスリム同胞団系)が反体制派を主導し、シリア軍、国防隊、外国人(イラン人、イラク人、アフガン人)民兵と交戦している。

このうち、シャーム自由人イスラーム運動は、イスラーム軍とともにリヤド最高交渉委員会に所属していたが、ジュネーブ3会議第3ラウンド中に脱会、最近になってヌスラ戦線などとともにファトフ軍を再編し、アレッポ市南部郊外で攻勢を強めていた。

AFP, May 9, 2016、AP, May 9, 2016、ARA News, May 9, 2016、Champress, May 9, 2016、al-Hayat, May 10, 2016、Iraqi News, May 9, 2016、Kull-na Shuraka’, May 9, 2016、al-Mada Press, May 9, 2016、Naharnet, May 9, 2016、NNA, May 9, 2016、Reuters, May 9, 2016、SANA, May 9, 2016、UPI, May 9, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米・ロシア共同声明:ロシアは航空作戦の極小化を、米国は同盟国経由でのテロ支援抑止を約束(2016年5月9日)

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は米国のジョン・ケリー米国務長官と電話会談を行い、シリア情勢への対応について協議した。

ロシア外務省の声明によると、電話会談で米国側の要請によるもので、ラブロフ外務大臣は、ケリー国務長官に対して、トルコ領を経由したシリアの「過激派」への兵站支援を阻止するよう要請した。

ロシア外務省の声明ではまた、ラブロフ外務大臣とケリー国務長官がシリアの紛争を政治的に解決するための努力を増幅させることを計画していると付言した。

**

この電話会談を受け、米・ロシアは共同声明を出し、シリア国内での戦闘停止への取り組みを再確認し、全国規模でのその実施に向けた努力を集中させることを決定したと発表した。

そのうえで「ロシアはシリア当局とともに、民間人や停戦に応じた当事者が主に居住する地域での航空作戦を極小化する」、「米国は地域の同盟国に対して集中的な支援を行い、これらの国の国境を経由してテロ組織に対して行われる戦闘員、武器、資金援助を阻止させる」と明言した。

AFP, May 9, 2016、AP, May 9, 2016、ARA News, May 9, 2016、Champress, May 9, 2016、al-Hayat, May 10, 2016、Iraqi News, May 9, 2016、Kull-na Shuraka’, May 9, 2016、al-Mada Press, May 9, 2016、Naharnet, May 9, 2016、NNA, May 9, 2016、Reuters, May 9, 2016、SANA, May 9, 2016、UPI, May 9, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコのエルドアン大統領が「ダーイシュと戦っているのはトルコ軍だけだ」と主張するなか、有志連合はアレッポ県北西部のダーイシュの攻勢に対して爆撃で対抗(2016年5月9日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はイスタンブールで演説を行い、そのなかでトルコ軍がアレッポ県北西部のダーイシュ(イスラーム国)拠点に対して行う越境砲撃とダーイシュによるキリス市への砲撃に関して、「米国主導の有志連合はトルコだけをこの組織(ダーイシュ)に対峙させている…。シリアでは、ダーイシュと戦っていると言う者のなかで我々ほどダーイシュに損害を与えているものはいない。我々ほどの代償を払っている者もいない」と不満を述べた。

**

アレッポ県では、ARA News(5月9日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)が県北西部の撮る国境に近いヤフムール村、カッラ・マズラア町、ニヤーラ村、カフルシューシュ村一帯などを激しく攻撃し、シャーム軍団などからなるハワール・キリス作戦司令室と交戦した。

戦闘を受け、ハワール・キリス作戦司令室を支援するため、有志連合がジャカー村、ラーイー村一帯のダーイシュ拠点を空爆した。

AFP, May 9, 2016、AP, May 9, 2016、ARA News, May 9, 2016、Champress, May 9, 2016、al-Hayat, May 10, 2016、Iraqi News, May 9, 2016、Kull-na Shuraka’, May 9, 2016、al-Mada Press, May 9, 2016、Naharnet, May 9, 2016、NNA, May 9, 2016、Reuters, May 9, 2016、SANA, May 9, 2016、UPI, May 9, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ハマー中央刑務所で収監者がシリア政府代表とデモ終了などで合意するなか、ハマー県サムラー村で「国民和解」(2016年5月8日)

ハマー県では、ARA News(5月9日付)によると、ハマー中央刑務所の収監者約800人が続けてきた抗議の座り込みに関して、シリア政府(内務大臣、法務大臣)の代表者と収監者の代表者は交渉の末、座り込みの終了、食糧・医薬品の搬入、電気、水道の再開、サイドナーヤー刑務所に収監中の政治犯らの釈放などを合意した。

一方、SANA(5月8日付)によると、サムラー村(ハマー郡スーラーン区)でシリア政府の支配を逃れてきた地元住民がハマー県当局者と「国民和解」に合意した。

この合意は、サムラー村内で活動してきた武装集団が関係当局に武器を引き渡すこと、シリア政府の支配のもとに村の防衛と「テロとの戦い」を行うこと、そしてシリア政府当局は村に食糧などの支援物資を配給することが定められているという。

調印式には、ハマー県のガッサーン・ハラフ県知事、バアス党ハマー支部指導部のムスタファー・スッカリー書記長らが出席した。

**

ヒムス県では、SANA(5月8日付)によると、地元和解プロセスの一環として、ハスヤー町で反体制活動を行っていたとされる民間セクター就業者210人が当局に投降、殺人罪などの重犯罪を犯していないことが確認され、放免された。

AFP, May 8, 2016、AP, May 8, 2016、ARA News, May 8, 2016、Champress, May 8, 2016、al-Hayat, May 9, 2016、Iraqi News, May 8, 2016、Kull-na Shuraka’, May 8, 2016、al-Mada Press, May 8, 2016、Naharnet, May 8, 2016、NNA, May 8, 2016、Reuters, May 8, 2016、SANA, May 8, 2016、UPI, May 8, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アル=カーイダの指導者ザワーヒリー氏はヌスラ戦線のアル=カーイダからの離反に疑義を呈しつつ、シリアの反体制派との統合を主唱(2016年5月8日)

アル=カーイダの指導者アイマン・ザワーヒリー氏によると思われる音声声明(http://www.dailymotion.com/video/x496xuo_infirw-mp4_news)がインターネット上で公開された。

音声声明は「シャームのために駆けつけよ」と題され、ザワーヒリー氏と思われる男性が約9分にわたり演説行っている。

演説のなかでザワーヒリー氏と思われる男性は、「アラブの春」に伴う各国の政治変動のなかで革命としてのイメージを唯一持っているのがシャームにおける革命だとしたうえで、それが「正しい方法、すなわちシャリーアとその裁定を確立するための布教とジハードを行うという道をとった」と高く評価した。

また声明のなかで、男性はダーイシュ(イスラーム国)とその指導者のアブー・バクル・バグダーディー氏を厳しく非難、シャームで戦うムジャーヒディーンを支援するためにシャームに駆けつけるよう、イスラーム教徒たちに呼びかけた。

一方、シャームの民のヌスラ戦線については、シャームにおけるイスラーム教徒の直接支配ではなく、現地の人々が自身の指導者(イマーム)を選出することを望んでいると指摘、「我々はヌスラ戦線に何度も繰り返し言ってきた。シャームの民、そしてその中心にいる勇敢のムジャーフディーンたちがイスラーム教徒の政府を樹立するのなら、彼らにイマームを選出させよ、と。彼らが選ぶことこそが我々の選択だ」と述べた。

またカタールなどが試みているヌスラ戦線のアル=カーイダからの脱退については次のように述べた。

「ヌスラ戦線がアル=カーイダから分離すれば、大罪を犯す者どもは満足するだろうか? 彼らはヌスラ戦線に殺戮を続ける犯罪者どもと同席することを強いるだろうか? ヌスラ戦線に屈辱と侮蔑の合意を受け入れるよう強いるだろうか? 腐敗と従属の政府に服するよう強いるだろうか? 腐りきった民主主義のゲームに参加するよう強いるだろうか? そして最後には、アルジェリアのFIS、エジプトのムスリム同胞団がそうだったように、ヌスラ戦線を投獄するだろうか…? 今日の我々の義務とは…救済のために駆けつけることであり、シャームのムジャーヒディーン統合に努め、世俗的ヌサイリー体制とサファヴィー朝のラワーフィドどもの支援者、ロシアと西洋十字軍の同盟者どもから、全世界のムジャーヒディーン同胞を解放することだ。統合という問題は死活問題なのだ」と述べた。

AFP, May 8, 2016、AP, May 8, 2016、ARA News, May 8, 2016、Champress, May 8, 2016、al-Hayat, May 9, 2016、Iraqi News, May 8, 2016、Kull-na Shuraka’, May 8, 2016、al-Mada Press, May 8, 2016、Naharnet, May 8, 2016、NNA, May 8, 2016、Reuters, May 8, 2016、SANA, May 8, 2016、UPI, May 8, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.