アカイダート部族長が声明を出し、「米主導の有志連合に与えている猶予期間終了後、いかなるシナリオ、影響、そして進展に対応する用意がある」と表明(2020年9月11日)

ダイル・ザウル県のアカイダート部族の族長の1人で8月2日に殺害されたマトシャル・ハンムード・ジャドアーン・ハフル氏の甥のイブラーヒーム・ハリール・ジャドアーン・ハフル氏は声明を出し、「ユーフラテス川以東のアラブ人諸部族は、(米主導の)有志連合に与えている猶予期間終了後、いかなるシナリオ、影響、そして進展に対応する用意がある」と表明した。

ハフル氏は、考え得るシナリオとして、イドリブ県東部全域での平和的なデモや座り込み、武装蜂起、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍からの離反などがあるという。

ハフル氏はまた、ウマル油田の米軍基地に駐留するとされるサウジアラビア軍がアカイダート部族といかなる会談も行っていないと付言した。

ハフル氏は、米軍が有事に際して、サウジアラビア軍をシリア民主軍とアカイダート部族の仲介役とする意向を持っているが、こうした仲介によって住民の要求に変化がもたらされることはない、と述べた。

そのうえで、8月11日にズィーバーン町での「ダイル・ザウル・ズバイド諸部族子息会合」において発表された「アカイダート部族のための声明」での要求を改めて求めると強調した。

「アカイダート部族のための声明」での要求は以下の通り:

1. マトシャル・ハンムード・ジャドアーン・ハフル殺害事件を調査するための独立専門家調査委員会の設置。
2. いかなる当事者の指導も受けない住民へのダイル・ザウル県の自治の移譲。
3. 無垢の逮捕者の釈放、国内避難民(IDPs)キャンプからの女性と子供の開放。
4. 有志連合およびすべての関係勢力によるシリアでの政治解決プロセス推進。

声明は、これらの要求が実施されるため、1ヶ月という猶予期間を設けると締めくくられていた。

スプートニク・ニュース(9月11日付)が伝えた。

AFP, September 11, 2020、ANHA, September 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, September 11, 2020、Reuters, September 11, 2020、SANA, September 11, 2020、SOHR, September 11, 2020、Sputnik News, September 11, 2020などをもとに作成。

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イドリブ県各所で「革命は死なず」と銘打った抗議デモが行われる(2020年9月11日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構が軍事・治安権限を握るイドリブ市で、「革命は死なず」と銘打った抗議デモが行われ、体制打倒、逮捕者釈放などが訴えられた。

ドゥラル・シャーミーヤ(9月11日付)によると、デモは、イドリブ市のほか、サルマダー市でも行われた。

https://youtu.be/kfTD2AYeOok

また、マストゥーマ村に設置されているトルコ軍拠点の前では、住民が抗議デモを行い、2月末から3月初めにかけての戦闘でシリア軍によって制圧された地域を奪還し、国内避難民(IDPs)を帰還させるよう要求した。

AFP, September 11, 2020、ANHA, September 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, September 11, 2020、Reuters, September 11, 2020、SANA, September 11, 2020、SOHR, September 11, 2020などをもとに作成。

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北・東シリア自治局の支配下にあるフール・キャンプでイラク難民3人殺害(2020年9月11日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、北・東シリア自治局の支配下にあるフール・キャンプのイラク人難民セクションに、3人組の武装集団が浸入し、イラク人女性2人と男性1人を銃で撃って殺害した。

銃を撃つ際、3人組はダーイシュ(イスラーム国)のスローガンを連呼したという。

AFP, September 11, 2020、ANHA, September 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, September 11, 2020、Reuters, September 11, 2020、SANA, September 11, 2020、SOHR, September 11, 2020などをもとに作成。

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イスラエル軍戦闘機がアレッポ市近郊の防衛工場機構をミサイル攻撃(2020年9月11日)

SANA(9月11日付)は、イスラエル軍戦闘機複数機が午前1時半、アレッポ市一帯に対してミサイル攻撃を行ったが、シリア軍防空部隊がこれを迎撃し、ミサイルのほとんどを撃破したと伝えた。

シリア人権監視団によると、イスラエル軍戦闘機が攻撃したのは、サフィーラ市近郊の防衛工場機構。

また、ドゥラル・シャーミーヤ(9月11日付)がSNS上の複数の活動家の情報として伝えたところによると、攻撃は「アサドの民兵とイランの民兵」の拠点複数カ所に対して行われた。

AFP, September 11, 2020、ANHA, September 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, September 11, 2020、Reuters, September 11, 2020、SANA, September 11, 2020、SOHR, September 11, 2020などをもとに作成。

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トルコ軍と国民軍がアレッポ県北部を砲撃(2020年9月11日)

アレッポ県では、ANHA(9月11日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、北・東シリア自治局とシリア政府の共同統治下にあるタッル・リフアト市近郊マーリキーヤ村、マルアナーズ村、シャワーリガ村、シャワーリガ砦、アイン・ダクナ村、マンナグ村、マンナグ航空基地を砲撃した。

AFP, September 11, 2020、ANHA, September 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, September 11, 2020、Reuters, September 11, 2020、SANA, September 11, 2020、SOHR, September 11, 2020などをもとに作成。

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ロシア当事者和解調整センターは、シャーム解放機構がイドリブ県で化学兵器攻撃を偽装する準備を進めていると発表(2020年9月11日)

ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置されている当事者和解調整センターのアレクサンドル・グリンキェヴィチ(Alexander Grynkiewicz)副センター長(海軍少将)は声明を出し、イドリブ県内の緊張緩和地帯南部で、シャーム解放機構(旧シャームの民のヌスラ戦線)が、化学兵器を使用し、シリア軍による攻撃を偽装する準備をしているとの情報を得た、と発表した。

グリンキェヴィチ副センター長によると、シャーム解放機構が化学兵器の使用を偽装しようとしているのはザーウィヤ山地方で、外国人が派遣され、撮影やSNSを通じた偽情報の拡散を準備しているという。

AFP, September 11, 2020、ANHA, September 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, September 11, 2020、Reuters, September 11, 2020、SANA, September 11, 2020、SOHR, September 11, 2020などをもとに作成。

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ハサカ県、ダイル・ザウル県でシリア民主軍への襲撃が続く一方、住民が抗議デモ(2020年9月11日)

ハサカ県では、SANA(9月11日付)によると、北・東シリア自治局の支配下にあるタッル・タムル町近郊で、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の兵士1人が、何者かによって仕掛けられた地雷に触れて、爆死した。

一方、米軍の大型トレーラーなど約40輌が、違法に設置されているワリード国境通行所からシリア領内に進入し、県内の米軍基地に向かった。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、北・東シリア自治局の支配下にあるバーグーズ村で、住民がシリア民主軍による恣意的逮捕や粗暴な振る舞いに抗議するデモを行った。

一方、アズバ村とマイーズィーラ村では、シリア軍、「イランの民兵」、ロシア軍の退去を求めるデモが行われた。

他方、北・東シリア自治局の支配下にあるキバル村の「人民庁舎」(村長舎)で勤務する住民1人が正体不明の武装集団の襲撃を受けて、死亡した。

また、SANA(9月11日付)によると、北・東シリア自治局の支配下にあるマーシフ村でシリア民主軍の車輌が路上に仕掛けられていた爆弾の爆発に巻き込まれた。

さらに、ズィーバーン町近郊でもシリア民主軍が同様の爆発に巻き込まれた。

AFP, September 11, 2020、ANHA, September 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, September 11, 2020、Reuters, September 11, 2020、SANA, September 11, 2020、SOHR, September 11, 2020などをもとに作成。

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内務省はタルトゥース県での火災を引き起こした6人を逮捕、ホワイト・ヘルメットは反体制派支配地に広がった火災の80%を鎮火したと発表(2020年9月11日)

内務省は声明を出し、内務治安部隊が市民6人を、森林火災を引き起こしたとして、タルトゥース県で逮捕した発表した。

6人は、ムジャイディル村、ハマーム・ワースィル町、フスン・スライマーン遺跡、ジャニーン村の住民。

自らの農地で野焼きした火が、森林に燃え移り、大規模な火災が引き起こされたという。

6人はすでに起訴されている。

SANA(9月11日付)が伝えた。

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ホワイト・ヘルメットは、フェイスブック(https://www.facebook.com/SyriaCivilDef/)やツイッター(https://twitter.com/SyriaCivilDef/)の公式アカウントを通じて、シャーム解放機構によって軍事・治安権限が掌握されているイドリブ県西部に広がった火災に対して、ボランティア150人を含むマンパワーや機器を投入し、80%鎮火したと発表した。

https://twitter.com/SyriaCivilDef/status/1304424482078109696

AFP, September 11, 2020、ANHA, September 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, September 11, 2020、Reuters, September 11, 2020、SANA, September 11, 2020、SOHR, September 11, 2020などをもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で60人、シャーム解放機構主体の反体制派とトルコの支配下にあるイドリブ・アレッポ県で20人(2020年9月11日)

保健省は政府支配地域で新たに60人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者15人が完治し、3人が死亡したと発表した。

これにより、9月11日現在の同地での感染者数は計3,476人、うち死亡したのは150人、回復したのは812人となった。

SANA(9月11日付)が伝えた。

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北・東シリア自治局の保健委員会(保健省に相当)は、支配地域で新たに新型コロナウイルス感染者3人が死亡したと発表した。

これにより、9月11日現在の同地での感染者数は計783人、うち死亡したのは45人、回復したのは238人となった。

ANHA(9月11日付)が伝えた。

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反体制系NGOの支援連携ユニットは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」とトルコ占領下の「オリーブの枝」地域と「ユーフラテスの盾」地域で9月11日に新たに20人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、5人が完治したと発表した。

これにより、同地での感染者数は計190人、うち回復したのは86人、死亡したのは3人となった。

https://www.facebook.com/ACUSyria/photos/1383077885230432/

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一方、シリア人権監視団は、シャーム解放機構が軍事・治安権限を握るイドリブ県の「解放区」とトルコ占領下のアレッポ県北部で、新型コロナウイルス感染者20人が確認されたと発表した。

新規感染者の内訳は、アレッポ県バーブ市7人、ジャラーブルス市7人、アアザーズ市2人、イドリブ県4人。

これにより、6月9日以降、「解放区」と占領地で確認された感染者数は計190人(うち67人は「解放区」、123人はトルコ占領地)、うち死亡したのは1人となった。

AFP, September 11, 2020、ACU, September 11, 2020、ANHA, September 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, September 11, 2020、Reuters, September 11, 2020、SANA, September 11, 2020、SOHR, September 11, 2020などをもとに作成。

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ロシア軍戦闘機、「イランの民兵」所属と思われるドローンがイドリブ県各所を爆撃(2020年9月11日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから189日目を迎えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機1機が、シャーム解放機構によって軍事・治安権限が掌握されているイドリブ市とシャイフ・ユースフ村の間に位置する地域に対して2度にわたる爆撃を実施した。

ドゥラル・シャーミーヤ(9月11日付)によると、ロシア軍戦闘機が爆撃したのは、シャイフ・ユースフ村近郊と、アラブ・サイード村近郊。

また、シリア人権監視団によると、「イランの民兵」所属と思われる所属不明の無人航空機(ドローン)1機が、「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のバーラ村一帯に爆弾10発以上を投下した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

さらに、シリア軍がザーウィヤ山地方のスフーフン村、カンスフラ村、ファッティーラ村、フライフィル村、ルワイハ村一帯を砲撃した。

このほか、所属不明の無人航空機(ドローン)1機がトルコのハタイ県に近い国境地帯上空に飛来した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室が県西部のバーラー村近郊で士官と思われるシリア軍兵士1人を殺害した。

これに対して、シリア軍はカフル・ハラブ村を砲撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、新興のアル=カーイダ系組織の一つアンサール・イスラームがシリア政府支配下のガーブ平原の灌漑計画地区を砲撃した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ムサイフラ町とキヒール村を結ぶ街道で総合治安、の支援者が正体不明の武装集団の発砲を受けて、死亡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を3件(イドリブ県0件、ラタキア県1件、アレッポ県2件、ハマー県0件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を確認しなかった。

AFP, September 11, 2020、ANHA, September 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, September 11, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, September 11, 2020、Reuters, September 11, 2020、SANA, September 11, 2020、SOHR, September 11, 2020などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民453人と国内避難民(IDPs)7人が新たにシリア政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は598,657人、2019年以降帰還したIDPsは66,378人に(2020年9月11日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(9月11日付)を公開し、9月10日に難民453人(うち女性136人、子供231人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民453人(うち女性136人、子供231人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は598,657人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者203,409人(うち女性61,164人、子ども103,466人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,706,136人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は827,937人(うち女性248,440人、子供421,957人)となった。

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一方、国内避難民7人が新たに帰宅した。

うちダマスカス郊外県東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは7人、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所およびハマー県スーラーン町の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

グラーブ山通行所経由の帰還者のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は7人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は66,378人(うち女性23,135人、子供27,316人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,334,974人(うち女性405,694人、子供671,082人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, September 11, 2020をもとに作成。

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