米軍はシリア民主軍に対してイラクのカンディール山地地方からの撤退を要請、PKKとの関係を解消しなければトルコの攻撃は続くと警告(2021年9月3日)

トルコのイスタンブールを拠点とする反体制系サイトのシリア・テレビ(9月4日付)は複数の消息筋の話として、ラッカ県ラッカ市北の第17師団基地に設置されている人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の本部で、同軍と有志連合を主導する米軍の代表が会合を開き、米国川がイラクのカンディール山地地方から部隊を撤退させるよう要請したと伝えた。

同消息筋によると、会合は4時間におよび、北・東シリア自治局の支配下にあるハサカ県北部やアレッポ県北部に対するトルコ軍の攻撃、とりわけ無人航空機(ドローン)による爆撃への対応について協議がなされた。

米軍側はその際、イラクのカンディール山地地方に展開しているシリア民主軍の兵士、すなわちクルディスタン労働者党(PKK)の民兵を北・東シリア自治局支配地に撤退させるよう要請、同地への駐留がトルコ軍の攻撃の口実になっていると伝えた。

また、トルコ軍による大規模侵攻の可能性については排除しつつ、シリア民主軍が北・東シリア自治局の支配地からPKKの幹部を完全に排除し、PKKとの連携やつながりを解消することを世界の世論に示さない限り、トルコ軍の攻撃は続くと警告したという。

これに対して、シリア民主軍側は、カンディール山地地方における部隊駐留の事実はないと反論したという。

AFP, September 4, 2021、ANHA, September 4, 2021、al-Durar al-Shamiya, September 4, 2021、Reuters, September 4, 2021、SANA, September 4, 2021、SOHR, September 4, 2021、Syria TV, September 3, 2021などをもとに作成。

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ダルアー市ダルアー・バラド地区に立て籠もりを続ける元反体制武装集団メンバーらが退去を拒否するなか、彼らを代表する中央委員会はトルコ占領地ではなく、トルコ、ないしはヨルダン行きを提案(2021年9月3日)

ダルアー県では、シリア人権監視団、SANA(9月3日付)によると、武装解除を拒否し、ダルアー市ダルアー・バラド地区で籠城を続けている元反体制武装集団メンバーらが、ロシアの仲介により8月31日に彼らを代表する中央委員会とシリア政府側の治安委員会が停戦合意を交わしたにもかかわらず、合意内容を拒否し、その履行を妨害する一方、中央委員会側が武装解除拒否者をトルコ占領下のシリア北部ではなく、トルコ、ないしはヨルダンに出国させることを新たに要求した。

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一方、タッル・サマン村では、シリア軍部隊が住民1人を銃で撃ち、殺害した。

AFP, September 3, 2021、ANHA, September 3, 2021、al-Durar al-Shamiya, September 3, 2021、Reuters, September 3, 2021、SANA, September 3, 2021、SOHR, September 3, 2021などをもとに作成。

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シャーム解放機構が住民の不満を受けるかたちで、自らの宗教警察が結成したファラーフ・センターを解体し、風紀警察機構を新設する一方、IDPsキャンプでメディア関係者複数人を拘束(2021年9月3日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が、自らの宗教警察が結成したファラーフ・センターを解体し、風紀警察機構を新設した。

ファラーフ・センターは、イドリブ市、サルマダー市、アルマナーズ市を中心に活動していたが、イスラーム教に基づいて風紀を取り締まるとした彼らの横暴な振る舞いに住民の不満が募っていたという。

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シリア人権監視団によると、シャーム解放機構はまた、カフルルースィーン村にある国内避難民(IDPs)キャンプ内の通称アタテュルク・キャンプで、メディア活動家複数人を拘束した。

拘束されたのは、ハマー県カフルヌブーダ町出身のIDPsの家族だという。

AFP, September 3, 2021、ANHA, September 3, 2021、al-Durar al-Shamiya, September 3, 2021、Reuters, September 3, 2021、SANA, September 3, 2021、SOHR, September 3, 2021、September 4, 2021などをもとに作成。

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ロシア軍戦闘機がヒムス県東部の砂漠地帯、ハマー県・アレッポ県・ラッカ県の県境の砂漠地帯、ダイル・ザウル県からラッカ県にいたる砂漠地帯で、ダーイシュに対して90回以上の爆撃を実施(2021年9月3日)

シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がヒムス県東部の砂漠地帯、ハマー県・アレッポ県・ラッカ県の県境の砂漠地帯、ダイル・ザウル県からラッカ県にいたる砂漠地帯で、ダーイシュ(イスラーム国)の拠点に対して90回以上の爆撃を実施した。

AFP, September 3, 2021、ANHA, September 3, 2021、al-Durar al-Shamiya, September 3, 2021、Reuters, September 3, 2021、SANA, September 3, 2021、SOHR, September 3, 2021などをもとに作成。

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トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアレッポ県、ラッカ県を砲撃(2021年9月3日)

アレッポ県では、ANHA(9月3日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・リフアト市近郊のタッル・マクド村、スムーカ村、シャフバー・ダム、タッル・マディーク村、ズィヤーナ村、シャッアーラ村、ナイラビーヤ村を砲撃した。

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ラッカ県では、ANHA(9月3日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアイン・イーサー市近郊のフーシャーン村、M4高速道路沿線を砲撃した。

AFP, September 3, 2021、ANHA, September 3, 2021、al-Durar al-Shamiya, September 3, 2021、Reuters, September 3, 2021、SANA, September 3, 2021、SOHR, September 3, 2021などをもとに作成。

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ダイル・ザウル県アズバ村近くでシリア民主軍の車輌の通過に合わせて、道路に仕掛けられていた爆弾が爆発(2021年9月3日)

ダイル・ザウル県では、SANA(9月3日付)によると、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にあるユーフラテス川東岸のアズバ村近くで人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の車輌の通過に合わせて、道路に仕掛けられていた爆弾が爆発し、兵士多数が負傷した。

AFP, September 3, 2021、ANHA, September 3, 2021、al-Durar al-Shamiya, September 3, 2021、Reuters, September 3, 2021、SANA, September 3, 2021、SOHR, September 3, 2021などをもとに作成。

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イスラエル軍戦闘機がレバノンの首都ベイルート南東上空を侵犯し、首都ダマスカス一帯の複数カ所に向けてミサイルを発射(2021年9月3日)

シリア軍筋は、イスラエル軍戦闘機が9月3日午前1時26分、レバノンの首都ベイルート南東上空を侵犯し、首都ダマスカス一帯の複数カ所に向けてミサイルを発射、シリア軍防空部隊がこれを迎撃し、ほとんどを撃破、被害は物的被害に限定されたと発表した。

https://youtu.be/DvokeesL3ck

https://youtu.be/6dVMfeEPaUc

これを受け、外務在外居住者省は国連事務総長と安保理議長に宛てて書簡を送り、国連憲章に基づき責任ある対応を行い、再発防止に向けた断固たる措置を講じるよう求めた。

https://www.facebook.com/Mofaexsy/posts/3075715399382233

SANA(9月3日付)が伝えた。

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シリア人権監視団によると、イスラエル軍戦闘機が攻撃したのは、ダマスカス県バルザ区、ダマスカス郊外県ジュムラーヤー村で、人的被害はなかった。

サウト・アースィマ(9月3日付)によると、ジュムラーヤー村では、科学研究センターが標的となったほか、ドゥライジュ町にある「イランの民兵」の拠点1カ所が狙わ、甚大な人的被害が出た模様だという。

AFP, September 3, 2021、ANHA, September 3, 2021、al-Durar al-Shamiya, September 3, 2021、Reuters, September 3, 2021、SANA, September 3, 2021、SOHR, September 3, 2021などをもとに作成。

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ロシア軍戦闘機が「決戦」作戦司令室の支配下にあるイドリブ県ザーウィヤ山地方のカンスフラ村一帯を爆撃し、子供1人死亡(2021年9月3日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機が「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のカンスフラ村一帯を爆撃し、子供1人が死亡した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

また、シリア軍と「決戦」作戦司令室が同地一帯で交戦した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を35件(イドリブ県19件、ラタキア県11件、アレッポ県1件、ハマー県4件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は28件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を27件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, September 3, 2021、ANHA, September 3, 2021、al-Durar al-Shamiya, September 3, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, September 3, 2021、Reuters, September 3, 2021、SANA, September 3, 2021、SOHR, September 3, 2021などをもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で129人、北・東シリア自治局支配地域で160人、アル=カーイダとトルコの支配下にあるイドリブ・アレッポ県で1,353人(2021年9月3日)

保健省は政府支配地域で新たに129人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者21人が完治し、6人が死亡したと発表した。

これにより、9月3日現在の支配地内での感染者数は計28,303人、うち死亡したのは2,029人、回復したのは22,531人となった。

SANA(9月3日付)が伝えた。

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北・東シリア自治局の保健委員会(保健省に相当)は、支配地域で新たに160人の新型コロナウイルス感染者が確認されたと発表した。

これにより、9月3日現在の支配地内での感染者数は計20,958人、うち死亡したのは788人、回復したのは1,968人となった。

新規感染者の性別の内訳は、男性94人、女性66人。

また地域の内訳は、ハサカ県のハサカ市32人、カーミシュリー市25人、マーリキーヤ(ダイリーク)市16人、マアバダ(カルキールキー)町2人、アームーダー市7人、ラッカ県のラッカ市30人、タブカ市6人、ダイル・ザウル県15人。

https://www.facebook.com/smensyria/posts/1677200022469928

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反体制系NGOの支援連携ユニットは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」とトルコ占領下の「オリーブの枝」地域と「ユーフラテスの盾」地域で9月3日に新たに1,353人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、193人が完治したと発表した。

新規感染者の内訳は、イドリブ県ジスル・シュグール郡35人、イドリブ郡256人、ハーリム郡539人、アリーハー郡135人、アレッポ県スィムアーン山郡36人、ジャラーブルス郡69人、バーブ郡84人、アフリーン郡94人、アアザーズ郡105人。

これにより、同地での感染者数は計43,219人、うち死亡したのは786人、回復したのは25,229人となった。
https://www.facebook.com/ACUSyria/posts/1657863724418512

ACU https://www.facebook.com/ACUSyria/ 29以降

AFP, September 3, 2021、ACU, September 3, 2021、ANHA, September 3, 2021、al-Durar al-Shamiya, September 3, 2021、Reuters, September 3, 2021、SANA, September 3, 2021、SOHR, September 3, 2021などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民327人が新たに帰還、2018年半ば以降帰還した難民は699,440人に(2021年9月3日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報を公開し、9月2日に難民327人(うち女性98人、子供167人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民327人(うち女性98人、子供167人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は699,440人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者304,192人(うち女性91,422人、子ども154,859人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,785,079人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は928,720人(うち女性278,698人、子供473,350人)となった。

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一方、国内避難民の新たな帰宅はなかった。

2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は98,611人(うち女性37,659人、子供33,293人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,367,207人(うち女性420,218人、子供677,005人)。

Ministry of Defence of the Russian Federation, September 3, 2021をもとに作成。

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