トルコのチャヴシュオール外務大臣はシリアの諜報機関との接触を認める一方、米軍のシリア駐留に不快感:シリア外務省はトルコ政府との接触を否定(2021年9月7日)

トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣は、NTVニュース(9月8日付)のインタビューの生放送で、トルコ政府とシリア政府との間で直接交渉は行われてないとしつつ、両国にとっての関心事である「テロとの戦い」や安念保障面での調整のため、双方の諜報機関どうしの交渉や調整は行われていると述べた。

両国をめぐっては、『シャルク・アウサト』(9月5日付)などが、トルコの複数筋の話として、トルコのハカン・フィダン国家諜報機構(MİT)とシリアのアリー・マムルーク国民安全保障会議議長がイラクの首都バグダードで近く会談すると伝えていた。

チャヴシュオール外務大臣はまた、インタビューのなかで、北・東シリア自治局の支配地からの米軍駐留部隊の撤退について触れ、次のように述べた。

もし米国がシリアから去るのなら、それは彼らが選択することだ。だが、米国は誰からの招きもなしにシリアにいること、シリアと国境を接していないことを知らねばならない。

トルコがシリアにいるのは、国境を接しており、テロの脅威があるからだ。我々はシリアに駐留する権利がある。

米国は、石油のためにシリアに駐留している。「そこに石油があれば、我々の部隊はそこにとどまる」という考えのもとに活動している。

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外務在外居住者省の公式筋は声明を出し、トルコのチャヴシュオール外務大臣NTVニュースでの発言に関して以下の通り否定した。

トルコの体制と、とりわけ「テロとの戦い」の分野でいかなる連絡・交渉も行われていないと断固として否定する。

アンカラの支配体制はテロの主要な支援者で、トルコを過激派とテロの倉庫としているのは周知の事実である。

SANA(9月7日付)が伝えた。

https://www.facebook.com/Mofaexsy/posts/3078508129102960

AFP, September 7, 2021、ANHA, September 7, 2021、al-Durar al-Shamiya, September 7, 2021、NTV, September 7, 2021、Reuters, September 7, 2021、SANA, September 7, 2021、SOHR, September 7, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア軍第5軍団を主体とする部隊が、ラッカ県砂漠地帯でダーイシュに対する掃討作戦を開始、ロシア軍戦闘機がこれを航空支援(2021年9月7日)

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ロシアの支援を受けるシリア軍第5軍団を主体とする部隊が、タブカ市近郊の砂漠地帯でダーイシュ(イスラーム国)に対する掃討作戦を開始、ロシア軍戦闘機がこれを航空支援、爆撃を実施した。

同地での戦闘で、兵士15人あまりが死傷したという。

AFP, September 7, 2021、ANHA, September 7, 2021、al-Durar al-Shamiya, September 7, 2021、Reuters, September 7, 2021、SANA, September 7, 2021、SOHR, September 7, 2021などをもとに作成。

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ダルアー市で新たに約100人が武装解除し社会復帰する一方、シリア軍は拘束していた武装解除拒否者リーダーの家族の一部を解放(2021年9月7日)

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市アルバイーン地区に設置されている社会復帰センターで、ダルアー市ダルアー・バラド地区で立て籠もりを続けてきた元反体制武装集団メンバー約100人が武装解除と社会復帰にかかる手続きを行い、小銃、機関銃、RPG弾などの武器を引き渡し、政府との和解に応じた。

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また、シリア人権監視団によると、シリア軍が武装解除を拒否する元反体制武装集団メンバーリーダーの1人ムアイイド・ハラフーシュ氏(アブー・タアジャ)の妻と娘、いとこの3人を釈放した。

シリア軍は9月4日、武装解除を拒否するハラフーシュ氏に停戦合意に受諾させるために、同氏の妻と5人の子供らを拘束していた。

ハラフーシュ氏は、ダルアー市内のモスク(ハーッジ・ラシード・スバーフ・モスク)で、元反体制武装集団メンバーを代表してシリア政府側の治安委員会との交渉にあたってきた中央委員会や地元名士らと面談、家族が釈放されなければ9月7日に停戦合意を反故にするとして、対応を迫っていた。

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シリア人権監視団によると、正体不明の武装集団がマハッジャ町近郊に設置されている総合情報部の検問所を襲撃した。

HFL(9月7日付)によると、攻撃はRPG弾によるもので、兵士複数が死傷した。

これに対して、軍事情報局がイズラア市の検問所で住民3人を拘束した。

AFP, September 7, 2021、ANHA, September 7, 2021、al-Durar al-Shamiya, September 7, 2021、HFL, September 7, 2021、Reuters, September 7, 2021、SANA, September 7, 2021、SOHR, September 7, 2021などをもとに作成。

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アレッポ県北部でシリア民主軍の砲撃でトルコ軍兵士1人死亡、トルコ軍とシリア国民軍はトルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアレッポ県、ラッカ県を激しく砲撃(2021年9月7日)

アレッポ県では、ANHA(9月7日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるマンビジュ市近郊のサイヤーダ村、フーシャリーヤ村、小トゥーハール村を砲撃した。

シリア人権監視団、ドゥラル・シャーミーヤ(9月7日付)などによると、砲撃は人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がトルコ占領下のバーブ市近郊のヤーシリー村にあるトルコ軍の基地を砲撃し、トルコ軍兵士1人が死亡、4人が負傷したのを受けたもの。

https://twitter.com/tcsavunma/status/1435215433074884609

トルコ軍とシリア国民軍はまた、タッル・リフアト市近郊のアルカミーヤ村、マルアマーズ村を砲撃した。

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ラッカ県では、ANHA(9月7日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアイン・イーサー市近郊のディブス村、M4高速道路沿線を砲撃した。

AFP, September 7, 2021、ANHA, September 7, 2021、al-Durar al-Shamiya, September 7, 2021、Reuters, September 7, 2021、SANA, September 7, 2021、SOHR, September 7, 2021などをもとに作成。

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シリア軍が志願将兵に対して1回に限りの助成金の支給を実施(2021年9月7日)

SANA(9月7日付)は、7月11日にアサド大統領が施行した2021年政令第19号に基づき、シリア軍が志願将兵に対して1回に限り、助成金の支給を行ったと伝えた。

政令第19号は、公務員の給与、定年退職者への年金を50%引き上げることを定めている。

AFP, September 7, 2021、ANHA, September 7, 2021、al-Durar al-Shamiya, September 7, 2021、Reuters, September 7, 2021、SANA, September 7, 2021、SOHR, September 7, 2021などをもとに作成。

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ロシア軍がイドリブ県内のシャーム解放機構の武器弾薬庫などを爆撃する一方、シリア軍はイドリブ市を砲撃し、4人死亡(2021年9月7日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機が「決戦」作戦司令室の支配下にあるマアッラトミスリーン市西のハッバート採石場、ブルーマー地区、ミリヤム国内避難民(IDPs)キャンプ、シャーム解放機構の武器弾薬庫を6回以上にわたって爆撃し、キャンプで複数人が負傷した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

サラーキブ市に駐留するシリア軍も、シャーム解放機構が軍事・治安権限を握るイドリブ市のドゥバイト地区、同市東部郊外にある水泳用プール、ファミリー・パークを砲撃し、ドゥバイト地区で女性1人が、水泳用プールとファミリー・パークで3人が死亡したほか、各地で合わせて10人以上が負傷した。

シリア軍はまた、イドリブ市のワーディー・ナスィーム地区をトルコ軍の車列が通過するのに合わせて、同地を砲撃したほか、クファイル村、ハッルーズ村に対しても砲撃を行った。

対する「決戦」作戦司令室もサラーキブ市を砲撃した。

一方、シリア政府と「決戦」作戦司令室の支配地域の境界に位置するブライジュ村近くでは「決戦」作戦司令室の戦闘員2人が地雷に触れて、爆死した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原のズィヤーラ町、カルクール村を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を23件(イドリブ県11件、ラタキア県3件、アレッポ県4件、ハマー県5件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は20件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を16件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

https://www.facebook.com/mod.mil.rus/posts/3036322013277201

AFP, September 7, 2021、ANHA, September 7, 2021、al-Durar al-Shamiya, September 7, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, September 7, 2021、Reuters, September 7, 2021、SANA, September 7, 2021、SOHR, September 7, 2021などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民325人と国内避難民(IDPs)268人が新たに政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は700,681人、2019年以降帰還したIDPsは99,216人に(2021年9月7日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報を公開し、9月6日に難民325人(うち女性98人、子供165人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民325人(うち女性98人、子供165人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は700,681人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者305,433人(うち女性91,795人、子ども155,490人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,791,032人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は929,961人(うち女性279,071人、子供473,981人)となった。

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一方、国内避難民268人が新たに帰宅した。

ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由して帰宅したのは268人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは0人、イドリブ県の「緊張緩和地帯」から帰宅したのは0人だった。
これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は99,216人(うち女性37,990人、子供33,289人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,367,812人(うち女性420,549人、子供677,055人)となった。

https://www.facebook.com/mod.mil.rus/posts/3036318949944174

Ministry of Defence of the Russian Federation, September 7, 2021をもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で136人、アル=カーイダとトルコの支配下にあるイドリブ・アレッポ県で1,478人(2021年9月7日)

保健省は政府支配地域で新たに136人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者23人が完治し、5人が死亡したと発表した。

これにより、9月7日現在の支配地内での感染者数は計28,814人、うち死亡したのは2,049人、回復したのは22,620人となった。

https://www.facebook.com/syrianarabnews/posts/598248348224913
SANA(9月7日付)が伝えた。

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反体制系NGOの支援連携ユニットは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」とトルコ占領下の「オリーブの枝」地域と「ユーフラテスの盾」地域で9月7日に新たに1,478人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、427人が完治したと発表した。

新規感染者の内訳は、イドリブ県ジスル・シュグール郡79人、イドリブ郡330人、ハーリム郡496人、アリーハー郡145人、アレッポ県スィムアーン山郡22人、ジャラーブルス郡25人、バーブ郡73人、アフリーン郡240人、アアザーズ郡68人。

これにより、同地での感染者数は計48,073人、うち死亡したのは831人、回復したのは26,488人となった。

https://www.facebook.com/ACUSyria/posts/1661292920742259

AFP, September 7, 2021、ACU, September 7, 2021、ANHA, September 7, 2021、al-Durar al-Shamiya, September 7, 2021、Reuters, September 7, 2021、SANA, September 7, 2021、SOHR, September 7, 2021などをもとに作成。

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