シリア反体制勢力の動き(2014年5月3日追記)

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア南部戦線発足を発表したばかりのアフマド・ファフド・ニウマ大佐(ダルアー県軍事評議会議長)をはじめとする「自由シリア軍」司令官複数を、シャームの民のヌスラ戦線が拘束した。

Kull-na Shuraka', May 4, 2014
Kull-na Shuraka’, May 4, 2014

拘束されたのは、ニウマ大佐のほか、ハーリド・リファーイー氏、ムワッファク・ウタイリー氏、アイサル・ハトバー空軍大佐、ムーサー・アフマド氏で、ヌスラ戦線は、「ヒルバト・ガザーラ町を軍に引き渡した」との容疑で彼らをシャリーア法廷に起訴したという。

AFP(5月4日付)によると、ニウマ大佐は、先週、ヨルダンからシリア南部に入り、反体制武装集団の糾合を試みようとしていた。

AFP, May 4, 2014、al-Hayat, May 5, 2014、Kull-na Shuraka’, May 4, 2014などをもとに作成。

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シリア国内の暴力(2014年5月3日)

ヒムス県では、タラール・バラーズィー県知事がAFP(5月3日付)に対し、ヒムス市での「停戦合意」実施に向けた交渉が現在も行われていると述べた。

バラーズィー県知事によると、交渉はシリア政府代表とヒムス市各街区の名士との間で行われており、反体制武装集団退去後の軍への同市の引き渡しなどについての最終調整の方法などが検討されているという。

バラーズィー県知事はまた、ヒムス市旧市街には戦闘員約2,800人が籠城を続けており、その一部が「停戦合意」に基づき市外に退去するが、当局に投降し同市内にとどまることを希望している者もいると付言した。

シリア人権監視団によると、ヒムス市旧市街では、2日より軍、反体制武装集団双方が発砲を停止しているという。

しかし、サーミル・ヒムスィーを名乗る反体制活動家はAP(5月3日付)に対し、負傷者などからなる反体制武装集団戦闘員の第1陣のヒムス市旧市街からの退去を軍が阻止していると述べた。

また別の活動家は、反体制武装集団と軍の捕虜交換も実施が遅れているという。

なお『ハヤート』(5月4日付)は、複数の反体制筋の話として、ヒムス市旧市街での「停戦合意」は、戦闘停止や反体制武装集団の市街への退去などに加えて、イラン人やヒズブッラー戦闘員と反体制活動家の「捕虜交換」も盛り込まれており、交渉にはイランも参加している、と報じた。

これに関して、アブー・ハーリスを名乗る活動家はAFP(5月3日付)に「交渉は、タウヒード旅団が関わるかたちで新たな段階に入った…。ヒムスからの戦闘員の安全な退去を保障する見返りとして…、アレッポで拘束されたイラン人士官の身柄解放が交渉されている」と述べた。

一方、シリア革命反体制勢力国民連立によると、ヒムス市旧市街での「停戦合意」をめぐる交渉は、市内のサフィール・ホテルで続けられており、イスラーム戦線が反体制武装集団を代表して交渉にあたっているという。

同連立によると、「停戦合意」は、①発効後3日以内に反体制武装集団が「武器を持ったまま」ヒムス県北部に向けて退去する、②双方が拘束している捕虜、収監者を3日以内に交換する、③最終日に軍が旧市街に展開すること、を骨子としているという。

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同じくヒムス県では、SANA(5月3日付)によると、シャーイル山(ハマー県)西部、バスィーラ村、タルビーサ市、ハーリディーヤ村、ダール・カビーラ村、タラフ村、西ヒジュラ村、カフルラーハー市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(5月3日付)によると、アクラブ町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員が、アレッポ中央刑務所包囲解除に向けて同地周辺一帯で進軍を続け、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

またアレッポ市郊外のブライジュ村周辺の軍拠点が、反体制武装集団の砲撃を受けた。

一方、SANA(5月3日付)によると、シャイフ・ナッジャール市西部の丘陵地(タッラト・ハラブ)を完全制圧した。

また軍は、アレッポ市ラームーサ地区、アーミリーヤ市、バニー・ザイド地区、アシュラフィーヤ地区、ブスターン・カスル地区、シャイフ・サイード地区、マシュハド地区、ハナーヌー地区、ジャンドゥール地区、スッカリー地区、ライラムーン地区、ブライジュ村、ハンダラート・キャンプ、バービース村、アナダーン市、シャイフ・ナッジャール市工業団地地区、フライターン市、タッル・リフアト市、クワイリス村、ラスム・アッブード村、ワディーヒー村、アレッポ中央刑務所周辺、ジュダイダ村、ブアイディーン村、ムスリミーヤ村、マーリア市で、反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

このほか、アレッポ市タラル地区、ニール通り、アレッポ大学、アズィーズィーヤ地区などに反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、市民12人が死亡、52人が負傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、軍がムライハ市内に進軍し、同市内中心部の広場、市庁舎一帯を制圧した。

またドゥマイル空軍基地に向かおうとしていた軍部隊がダマスカス・バグダード街道上でジハード主義武装集団と交戦、またワーフィディーン・ゴラン高原難民キャンプ周辺でも軍とジハード主義武装集団が交戦した。

一方、SANA(5月3日付)によると、ムライハ市およびその周辺、ザバディーン市、ダイル・アサーフィール市、アイン・タルマー渓谷、ハラスター市警察病院東部、アーリヤ農場、ザバダーニー市、イフラ村郊外の山岳地帯、ジャイルード市郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

これにより、軍はムライハ市内の市庁舎一帯およびアイスクリーム工場近くを制圧した。

またムウダミーヤト・シャーム市入り口で、反体制武装集団が爆弾を仕掛けた車を爆破させ、多数の住民が死傷した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、イブリーヒーヤ村をシャームの民のヌスラ戦線、イスラーム戦線などが襲撃し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦した。

また、ブサイラ市の北西部入り口付近でヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団がダーイシュと交戦、ザッル村での戦闘ではダーイシュ戦闘員7人が死亡した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、マスアダ村近郊で、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦し、ダーイシュ戦闘員8人が死亡した。

一方、ARA News(5月3日付)によると、タッル・アブヤド市出身のクルド人活動家(ヤスウ・クザイル)が、タドムル刑務所(ヒムス県)で収監中の息子との面会を終え、帰宅する途中、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に拘束された。

また、カンタリー検問所近くで、ダーイシュ戦闘員の遺体21体が発見された。

これに関して、ARA Newsは匿名筋の話として、遺体で発見された21人はダーイシュを離反しようとして殺害されたと伝えた。

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ラタキア県では、クッルナー・シュラカー(5月3日付)が、複数の消息筋の話として、カサブ町一帯でのシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と戦闘で、軍の第48連隊司令官のムハンマド・ハアルーフ少将が戦死したと報じた。

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イドリブ県では、SANA(5月3日付)によると、シュグル村、サルマーニーヤ村、マウザラ村、バイト・ラアス村、カルア・ガザール村、フータ村、マルイヤーン村、カフルルーマー村、アルバイーン山周辺、マジャース村、マアッラト・ヌウマーン市、バザーブール村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(5月3日付)によると、ムライハト・アトシュ村・フラーク市街道、ナワー市北東部、サムリーン村・ズィムリーン村交差点、インヒル市、ダーイル町、ラジャート高原一帯、アトマーン村、ダルアー市各所(ヨルダン通り、Syriatel、旧税関地区など)で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、SANA(5月3日付)によると、ドゥワイラア地区に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、少女1人を含む市民4人が死亡した。

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ハサカ県では、ARA News(5月3日付)によると、シャッダーディー市郊外で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がジュブール部族の名士3人を拉致した。

拉致されたのは、アブドゥッラッザーク・ハウワーシュ・ムスラト氏、ミーザル・ムスラト氏、サーリム・ミンディール氏の3人で、うちアブドゥッラッザーク・ハウワーシュ・ムスラト氏はまもなく釈放された。

AFP, May 3, 2014、AP, May 3, 2014、ARA News, May 3, 2014、Champress, May 3, 2014、al-Hayat, May 4, 2014、Iraqinews.com, May 3, 2014、Kull-na Shuraka’, May 3, 2014、Naharnet, May 3, 2014、NNA, May 3, 2014、Reuters, May 3, 2014、SANA, May 3, 2014、UPI, May 3, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア政府の動き(2014年5月3日)

アサド大統領は、キンダ・シャンマート社会問題大臣が議長を務める高等救済委員会メンバーと会合を開き、シリア各地での人道支援に関して協議した。

SANA, May 3, 2014
SANA, May 3, 2014

会合にはワーイル・ハルキー首相も出席した。

会合で、アサド大統領は、人道支援問題が国家の最優先課題であるとしたうえで、国家が責任をもって、避難民などへの人道支援物資の配給に務めるべきだと強調した。

SANA(5月3日付)が伝えた。

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『サウラ』(5月3日付)は社説で、国連のバレリー・アモス人道問題担当事務次長に関して「西欧の法律におけるあらゆる偽善と欺瞞を集めて、欧米諸国が事前に同意した自分の報告やその草稿を作成し、安保理やメディアを通じてそれを読み上げているだけで…、自らの任務と責任…を逸脱している」と批判、国際機関に対して「アモスがあおる嘘や偽りを鎮めるための措置」を講じるよう呼びかけた。

AFP, May 3, 2014、AP, May 3, 2014、ARA News, May 3, 2014、Champress, May 3, 2014、al-Hayat, May 4, 2014、Iraqinews.com, May 3, 2014、Kull-na Shuraka’, May 3, 2014、Naharnet, May 3, 2014、NNA, May 3, 2014、Reuters, May 3, 2014、SANA, May 3, 2014、al-Thawra, May 3, 2014、UPI, May 3, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年5月3日)

ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(5月3日付)によると、民主統一党人民防衛隊がラアス・アイン市の35世帯を、民主統一党に敵対し、殺人などの犯罪に関与したとの理由で強制退去処分とし、追放した。

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5月1日に結成が宣言されたシリア南部戦線は、三つの作戦司令室を設置したと発表した。

同戦線によると、第1作戦司令室はムハンマド・サラーマ中佐を司令官とし、西部地区を統括、第2作戦司令室は東部地域、第3作戦司令室はダルアー市を統括するという。

同戦線はまた、作戦司令室設置に合わせて、12の部局を発足したと発表した。

AFP, May 3, 2014、AP, May 3, 2014、ARA News, May 3, 2014、Champress, May 3, 2014、al-Hayat, May 4, 2014、Iraqinews.com, May 3, 2014、Kull-na Shuraka’, May 3, 2014、Naharnet, May 3, 2014、NNA, May 3, 2014、Reuters, May 3, 2014、SANA, May 3, 2014、UPI, May 3, 2014などをもとに作成。

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