諸外国の動き(2014年5月20日)

フランスのフランソワ・オランド大統領は、パリを訪れたシリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長と会談し、パリにある連立の事務所を正式な「在外公館」として承認すると伝えた。

オランド大統領は、化学兵器などあらゆる武器を使用したアサド政権による弾圧ゆえに、連立を支持するとしたうえで、6月3日に投票が行われる大統領については「事態がこれほど危機的でなかったら、嘲っていただろう。1,000万人以上が難民・避難民となっているのに、どうやって選挙を行うのだ」と述べた。

一方、ジャルバー議長は、大統領選挙に関して「同盟国とともに、この茶番を止めさせるための措置を講じ、穏健な勢力を支援しようとしている」としたうえで、「我々は、イラン・イスラーム革命防衛隊が支援するアサドのテロ、ヒズブッラーのテロ、イラクの傭兵のテロと戦っている…。我々は、米国やロンドンでの会合、そしてパリで、バッシャール・アサドを筆頭とするあらゆる過激派、テロリストの軍事力に対抗するため、今が支援の時だと呼びかけた」と述べた。

『ハヤート』(5月21日付)が伝えた。

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スイスのポール・セーゲル国連大使は国連宛に書簡を提出し、加盟国58国を代表して、シリアでの紛争当事者の犯罪の国際刑事裁判所への提訴を求めるフランスの安保理決議案の採択への支持を表明した。

決議案への支持を表明したのは、EU諸国、日本、韓国など58カ国で、1月にも国際刑事裁判所への提訴を求めていた。

なお、複数の外交筋によると、米国は「国際刑事裁判所に関するローマ規程」に参加しておらず、この58カ国に名を連ねていないが、決議案を支持しているという。

AFP, May 20, 2014、AP, May 20, 2014、ARA News, May 20, 2014、Champress, May 20, 2014、al-Hayat, May 21, 2014、Kull-na Shuraka’, May 20, 2014、al-Mada Press, May 20, 2014、Naharnet, May 20, 2014、NNA, May 20, 2014、Reuters, May 20, 2014、SANA, May 20, 2014、UPI, May 20, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア国内の暴力(2014年5月20日)

ハサカ県では、ARA News(5月20日付)によると、ハサカ市内のアズィーズィー地区とムフティー地区の入り口に位置する「鷲交差点」に検問所を設置しようとした国防隊が、西クルディスタン移行期民政局アサーイシュと衝突、応援に駆けつけた人民防衛隊と交戦した。

ARA News, May 20, 2014
ARA News, May 20, 2014

戦闘は約3時間にわたって続き、双方の戦闘員、住民が負傷した。

同交差点は、市内のクルド人地区に至る戦略的要衝。

一方、クッルナー・シュラカー(5月21日付)によると、アームーダー市で民主統一党人民防衛隊がシリア・クルド国民評議会メンバー兼アームーダー地元評議会メンバーのフサイン・シハーダ氏を逮捕した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アアザーズ市を軍が地対地ミサイルで攻撃し、複数の市民が負傷、またマーリア市に対する地対地ミサイルでの攻撃で13人が死亡した。

これに関して、クッルナー・シュラカー(5月20日付)は、軍がアアザーズ市内のアリー・ブン・アビー・ターリブ・モスクを空爆、破壊したと報じた。

一方、SANA(5月20日付)によると、アレッポ市ハナーヌー地区、ブアイディーン地区、ジャンドゥール地区、カースティールー地区、ライラムーン地区、マンスーラ村、タッル・シュワイフナ村、ワディーヒー村、バヤーヌーン町、ハンダラート・キャンプ、ヒーラーン村、ジュバイラ村、シャイフ・ナッジャール市工業団地地区、アレッポ火力発電所周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(5月20日付)によると、アーリヤ農場、ムライハ市、ダイル・アサーフィール町、ザバディーン町、ザバダーニー市、ダーライヤー市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(5月20日付)によると、カッリー町、ジスル・シュグール市、ジャドラーヤー村、カストゥーン村、アルバイーン山周辺、カフルハーヤー村、ラーミー町、アブー・ズフール町、タッル・サラムー村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの鷹旅団の外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(5月20日付)によると、タッルドゥー市、ワーディ・マイイル村、タッル・ウマリー村、西ガルビー村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(5月20日付)によると、ダルアー市スィーバ地区、キルク地区、旧税関地区東部、ナイーマ町、ムサイカ村、アトマーン村などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, May 20, 2014、AP, May 20, 2014、ARA News, May 20, 2014、Champress, May 20, 2014、al-Hayat, May 21, 2014、Kull-na Shuraka’, May 20, 2014、May 21, 2014、al-Mada Press, May 20, 2014、Naharnet, May 20, 2014、NNA, May 20, 2014、Reuters, May 20, 2014、SANA, May 20, 2014、UPI, May 20, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年5月20日)

シャームの民のヌスラ戦線は声明を出し、アジュナード・シャーム・イスラーム連合、シャーム軍団、ムジャーヒディーン軍、フルカーン旅団、イスラーム戦線が17日に共同発表した「名誉憲章」(https://syriaarabspring.info/wp/?p=8332)を拒否するとの意思を示した。

ヌスラ戦線は声明で、「名誉憲章」が外国の圧力のもとに作成・発表され、「正統カリフ」への回帰の阻止を狙う勢力がその背後にいると批判、「自由、公正、安全の実現」という目標についても、「明確なイスラーム的言葉と案をもって修正」するよう求めた。

さらに外国人戦闘員(ムハージリーン)を排除する姿勢を示した点についても「シャームの門戸は、救済(ヌスラ)を望むすべての者に開かれている」と主張し、批判した。

このほか「復讐に依らない幹部らの公正な裁判」を求めた点については、「復讐は合法」と却下した。

またヌスラ戦線のサーミー・ウライディー氏は、イスラーム戦線のハッサーン・アッブード政治委員長とのツイッターでのやりとりのなかで「名誉憲章」を「アッラーの法に反する憲章が…シャリーアに沿うものでないことは明白だ」と述べ、拒否した。

ウライディー氏は、アブー・マーリヤー・カフターニー氏に次ぐヌスラ戦線のシャリーア法学者と目されている、という。

クッルナー・シュラカー(5月20日付)が伝えた。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、アジュナード・シャーム・イスラーム連合、シャーム軍団、ムジャーヒディーン軍、フルカーン旅団、イスラーム戦線が共同発表した「名誉憲章」を受諾するようすべての反体制武装勢力に呼びかけ、支持を表明した。

なお「名誉憲章」を発表したイスラーム戦線などの武装集団は、いわゆる連立および欧米諸国が支援するとしている「穏健な反体制派」には含まれない。

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シリア国民評議会は声明を出し、事務局メンバーのジョルジュ・サブラー事務局長とフサイン・サイイド氏を罷免し、アナス・アルヌート氏とムティーア・バティーン氏を後任に任命したと発表した。

マサール・プレス(5月20日付)によると、サブラー氏は事務局長職も解任される見込みだという。

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シリア革命反体制勢力国民連立のハイサム・マーリフ法務委員長は、カイロでアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長と会談し、連盟の代表ポスト獲得などについて協議した。

マーリフ法務委員長は会談後、「問題は終わった。連盟本部で来月、特別会合が開かれ、代表ポストの引き渡しが協議されるだろう」と述べた。

『ハヤート』(5月21日付)が伝えた。

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ARA News(5月20日付)によると、ハサカ県ダイリーク市の対トルコ国境で、トルコ国境警備隊によるクルド人女性と子供2人射殺(18日)に抗議するデモが行われ、多数の住民が参加した。

AFP, May 20, 2014、AP, May 20, 2014、ARA News, May 20, 2014、Champress, May 20, 2014、al-Hayat, May 21, 2014、Kull-na Shuraka’, May 20, 2014、al-Mada Press, May 20, 2014、Masar Press Agency, May 20, 2014、Naharnet, May 20, 2014、NNA, May 20, 2014、Reuters, May 20, 2014、SANA, May 20, 2014、UPI, May 20, 2014などをもとに作成。

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大統領選挙をめぐる動き(2014年5月20日)

シリア北東部で自治を推し進める西クルディスタン移行期民政局執行評議会ジャズィーラ地区、コバネ、アフリーン地区の三つの自治政府は共同声明を出し、6月3日に投票が行われる大統領選挙に関して、国内での暴力停止を優先すべきだとの意思を表明、その実施に消極的な姿勢を示した。

Kull-na Shuraka', May 20, 2014
Kull-na Shuraka’, May 20, 2014

民主統一党が主導する三つの自治政府は声明で、選挙が「危機長期化とシリア人どうしの日々の殺戮の増加、飢餓をもたらし、単一の民主的多元主義のもとでの共生という国民の希望を実現することを妨げる」と批判した。

そのうえで、「国の歴史におけるこの困難な段階での大統領選挙は、賢く正しい決定ではない。すべてのシリア人は流血停止に貢献せねばならず、そのうえで国の未来にふさわしい総意に基づく解決策へと至らねばならない。そしてその後に、我々は大統領選挙について話すことができ、そのなかですべての当事者が立候補であれ、投票であれ自らの権利を行使するべきだ」と主張した。

しかし、クッルナー・シュラカー(5月20日付)によると、西クルディスタン移行期民政局は「自治区」での大統領選挙の選挙運動や支持デモ・集会を黙認している、という。

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SANA(5月20日付)によると、ダマスカス県(アルヌース地区、高等教育省、ムハージリーン区)、ダマスカス郊外県ジュダイダト・アルトゥーズ町、ラウダ町、ダルアー市、ハサカ市、アレッポ市、ヒムス市、ヒムス市フワーリーン村、カルヤタイン市、マンズール村、ハムラー地区ト村、タドムル市、タルトゥース市、ラタキア市、ラタキア県ジャブラ市、ハマー市、イドリブ市で、大統領選挙実施と軍による「テロとの戦い」を支持するデモ、集会が開かれ、バアス党地方幹部、人民諸組織、職業諸組合、市民らが参加、アサド大統領への支持を表明した。

AFP, May 20, 2014、AP, May 20, 2014、ARA News, May 20, 2014、Champress, May 20, 2014、al-Hayat, May 21, 2014、Kull-na Shuraka’, May 20, 2014、al-Mada Press, May 20, 2014、Naharnet, May 20, 2014、NNA, May 20, 2014、Reuters, May 20, 2014、SANA, May 20, 2014、UPI, May 20, 2014などをもとに作成。

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