シリア反体制勢力の動き(2014年5月11日追記2)

クッルナー・シュラカー(5月13日付)によると、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・トゥウマ暫定内閣はトルコのガズィアンテップ市で閣議を開き、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が攻勢を続けるダイル・ザウル県に100万米ドルの緊急支援を行うことを了承した。

また閣議では、ヒムス市旧市街から退去した「英雄的戦闘員」に対して、1人あたり200ドル、総額で25万ドルの慰労金を支給すること、アレッポ県への50万ドルの支援、ハマー県西部への40万ドルの支援、クナイトラ県への30万ドルの支援を行うことなどを承認した。

Kull-na Shuraka’, May 13, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年5月11日追記)

イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)のアブー・ムハンマド・アドナーニー報道官は音声声明(https://www.youtube.com/watch?v=Va0xQt-p768)を出し、アル=カーイダの指導者アイマン・ザワーヒリー氏に対して、「過ちを認め」、シャームの民のヌスラ戦線の忠誠を拒むよう迫るとともに、シリアからの撤退を拒否した。

アドナーニー報道官はザワーヒリー氏に対し「あなたとあなたのアル=カーイダを二つの選択肢の前に置いている。過ちを続け…、世界のムジャーヒディーンの離反と対立を続けるか、自らの過ちを認め、正すかだ」としたうえで、「我々はあなたに改めて手を差し伸べ、もっとも義しきサラフのもっとも義しき末裔となそう。ウサーマ(・ビン・ラーディン)師はムジャーヒディーンを一つの言葉でまとめた。あなたはそれを完全に引き裂いた」と非難した。

そのうえでアドナーニー師は、ヌスラ戦線を「裏切り者」と評したうえで、ザワーヒリー師に対し「まずは過ちを撤回し…、裏切り者の忠誠を退けるよう呼びかける」と述べ、「我々にシャームからの撤退を唱導していることに関して、改めて言いたい。イスラーム法、知性、そして現状を踏まえると、これはほぼ不可能な命令だ…。アッラーの法のもとにムジャーヒディーンが治める地から撤退し…、(シリア革命反体制勢力国民)連立、裏切り者の(ヌスラ)戦線とその盗人どもにこれを明け渡すことにアル=カーイダが甘んじたとしても…、我らが主、そして我らが宗教はそうなることを拒むだろう」と付言した。

一方、アドナーニー報道官は、イラン、サウジアラビアといった諸外国に対しては先人の忠告や指示に従い行わない、との姿勢を明示した。

ARA News, May 12, 2014、al-Hayat, May 13, 2014、Kull-na Shuraka’, May 12, 2014などをもとに作成。

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諸外国の動き(2014年5月11日)

ヨルダン軍高官筋は、『ハヤート』(5月12日付)に、11日に、国境警備隊が、大量の密輸品を積んでシリアからヨルダン領内に入ろうとした車多数を発見し拘束したと述べた。

またヨルダン軍は声明を出し、大量の密輸員を積んでシリアからレバノン領内に入ろうとした車両2台をまたヨルダン軍戦闘機が空爆・破壊したと発表した。

これに関連して、ヨルダンのジハード主義潮流は声明を出し、11日にマアーン市でメンバーの一人が殺害されたと発表した。

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イスラエル軍報道官は、AFP(5月11日付)に対し、クナイトラ県カフターニーヤ町一帯での軍と反体制武装集団の戦闘激化を受け、イスラエルが占領下ゴラン高原の停戦ライン一帯を閉鎖した、と発表した。

AFP, May 11, 2014、AP, May 11, 2014、ARA News, May 11, 2014、Champress, May 11, 2014、al-Hayat, May 12, 2014、Kull-na Shuraka’, May 11, 2014、al-Mada Press, May 11, 2014、Naharnet, May 11, 2014、NNA, May 11, 2014、Reuters, May 11, 2014、SANA, May 11, 2014、UPI, May 11, 2014などをもとに作成。

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イラクの動き(2014年5月11日)

イラク国防省は声明を出し、イラク軍がアンバール県でのイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)掃討作戦を継続し、ファッルージャ市南部のハヤーキル地区、団地地区、ヌアイミー地区の「浄化」を完了したと発表した。

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バービル県警察は、同県ジュルフ・サフル地方のスィンディージュ地区、バフバハーン地区で、合同治安部隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)を掃討、同地の「浄化」を完了したと発表した。

マダー・プレス(5月11日付)が伝えた。

AFP, May 11, 2014、AP, May 11, 2014、ARA News, May 11, 2014、Champress, May 11, 2014、al-Hayat, May 12, 2014、Kull-na Shuraka’, May 11, 2014、al-Mada Press, May 11, 2014、Naharnet, May 11, 2014、NNA, May 11, 2014、Reuters, May 11, 2014、SANA, May 11, 2014、UPI, May 11, 2014などをもとに作成。

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レバノンの動き(2014年5月11日)

NNA(5月11日付)は、ベカーア県バアルベック郡アルサール村一帯で、レバノン軍がこの1週間でシリア領から不法入国しようとしたシリア人15人を逮捕したと報じた。

AFP, May 11, 2014、AP, May 11, 2014、ARA News, May 11, 2014、Champress, May 11, 2014、al-Hayat, May 12, 2014、Kull-na Shuraka’, May 11, 2014、al-Mada Press, May 11, 2014、Naharnet, May 11, 2014、NNA, May 11, 2014、Reuters, May 11, 2014、SANA, May 11, 2014、UPI, May 11, 2014などをもとに作成。

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シリア国内の暴力(2014年5月11日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が、シャームの民のヌスラ戦線など反体制武装集団を放逐し、ダイル・ザウル市東部入り口に位置するハラビーヤ交差点、工場(マアーミル)地区交差点を掌握後、シリア政府が支配するダイル・ザウル市内の街区に通じるジュナイナ通行所を制圧し、シリア軍と対峙した。

また同県西部では、ダーイシュが進軍を続け、ムハイミーダ村、ハワーイジュ・ブーマスア村、ヒサーン村を制圧したほか、タービヤ村、ジュダイド・アカイダート村の奪還を試みるヌスラ戦線などと交戦した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ヌッブル市の複数カ所をジハード主義武装集団が砲撃し、迫撃砲弾2発が着弾した。

これに対居て、軍はウンム・アマド村をヘリコプターで空爆し、子供11人と女性2人が死亡した。

さらに軍の戦闘機は、アレッポ市ブアイディーン地区、ハンダラート・キャンプなどを空爆する一方、アレッポ市ザフラー地区の空軍情報部周辺、ライラムーン地区、シャイフ・ナッジャール市・ブライジュ村交差点で、軍、国防隊、クドス旅団(パレスチナ人)、ヒズブッラー戦闘員が、シャームの民のヌスラ戦線、ムハージリーン・ワ・アンサール軍などと交戦した。

一方、アレッポ市西部一帯では、シャリーア委員会による水道遮断が7日目に入った。

『ハヤート』(5月12日付)によると、この措置は、シリア政府が支配するアレッポ市西部のラインラインを遮断するとともに、シャームの民のヌスラ戦線などジハード主義武装集団が占拠する地域への水道供給を確保するためのものだという。

他方、SANA(5月11日付)によると、アレッポ市サイフ・ダウラ地区、ライラムーン地区、ラーシディーヤ地区、アズィーザ村、マアッラト・アルティーク村、アターリブ市、ハーン・アサル村、ナアーム丘一帯、フワイジャ村、ジュッブ・サファー村、ジュッブ・ガブシャ村、タッル・ティブル村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市旧市街の「停戦合意」に従って反体制武装集団が向かったダール・カビーラ村を軍が砲撃した。

またヒムス市ワアル地区で、軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、『ハヤート』(5月12日付)は、複数の反体制消息筋の話として、ヒムス市ワアル地区における「関係正常化」に向けた交渉が、反体制武装集団と治安当局の間で行われたと報じた。

他方、SANA(5月11日付)によると、ハーリディーヤ村、ガースィビーヤト・ナイーム村、キースィーン港、タッルドゥー市、ハーニク村、ハスヤー町西部で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、カフルズィーター市、タッル・マラフ村、ウワイナ村、アシャーリナ村などが軍の空爆・砲撃を受けた。

一方、SANA(5月11日付)によると、ムーリク市郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カダム区を軍が砲撃する一方、ジャウバル区でジハード主義武装集団と交戦した。

一方、SANA(5月11日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、カフターニーヤ町を軍が砲撃、また同村周辺で反体制武装集団と交戦した。

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ダルアー県では、ハイサム・ナッサールを名乗る活動家がARA News(5月11日付)に対して、サイダー町を軍ヘリコプターが「毒ガスを装填した樽爆弾」を投下し、市民4人が死亡、15人が負傷したと主張した。

一方、SANA(5月11日付)によると、ズバイラ村、ラジャート高原一帯、ナワー市、ウンム・アウサジュ村、アトマーン村、ズィムリーン村郊外、アレッポ市各所で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(5月11日付)によると、ダイル・アサーフィール市郊外、ザバディーン市郊外、ドゥマイル市東部、ザバダーニー市郊外の山岳地帯で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

またマアルーラー市、ジャブアディーン町で反体制武装集団戦闘員41人が当局に身柄投降した。

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イドリブ県では、SANA(5月11日付)によると、カフルルーマー村、ビンニシュ市、マアッル・シャムサ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, May 11, 2014、AP, May 11, 2014、ARA News, May 11, 2014、Champress, May 11, 2014、al-Hayat, May 12, 2014、Kull-na Shuraka’, May 11, 2014、al-Mada Press, May 11, 2014、Naharnet, May 11, 2014、NNA, May 11, 2014、Reuters, May 11, 2014、SANA, May 11, 2014、UPI, May 11, 2014などをもとに作成。

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シリア政府の動き(2014年5月11日)

SANA(5月11日付)によると、アサド大統領はダマスカスで、ハマー県の文化、教育、宗教、社会団体の代表からなる使節団と会談し、同県の生活、治安、福祉問題などについて意見を交わした。

AFP, May 11, 2014、AP, May 11, 2014、ARA News, May 11, 2014、Champress, May 11, 2014、al-Hayat, May 12, 2014、Kull-na Shuraka’, May 11, 2014、al-Mada Press, May 11, 2014、Naharnet, May 11, 2014、NNA, May 11, 2014、Reuters, May 11, 2014、SANA, May 11, 2014、UPI, May 11, 2014などをもとに作成。

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大統領選挙をめぐる動き(2014年5月11日)

6月3日に投票が予定されている大統領選挙の選挙戦が12日早朝に解禁となり、『ハヤート』(5月12日付)などによると、ダマスカス県内、ダマスカス・ベイルート国際幹線道路などに、アサド政権への支持を訴えるポスターが一斉に張られた。

ポスターには、「サワー」(共に)、「アッラー、シリア、我が人民のみ」、「我らがバッシャールよ、あなた以外では満足できない。心底からあなたに忠誠を誓う」、「バッシャール・アサドは我々の絶対的選択肢」、「眼の医師(アサド大統領のこと)に忠誠を誓うまで、瞳を閉じることはない。我々はあなたに忠誠を誓う、2014」などと書かれている。

なお、『ハヤート』(5月11日付)によると、アサド政権支持者は、大統領選挙戦が開始される1日前の11日未明に、フェイスブック(https://www.facebook.com/pages/%D8%B3%D9%88%D8%A7/236279589906989?fref=ts)、ツイッターなどに「サワー」と銘打ったページ、アカウントを開設し、選挙戦への準備を本格化させた。

またSANA(5月11日付)によると、マーヒル・アブドゥルハフィーズ・ハッジャール人民議会議員、ハッサーン・アブドゥッラー・ヌーリー元国務大臣の2名の立候補者への支持を呼びかけるポスターも各所に張られた。

ハッジャール人民議会のポスターには「諸人民の意思は一局の意思より強い」、「シリアは…パレスチナのためにある」、「世俗的シリア」といったスローガンが、ヌーリー元国防大臣のポスターには「汚職撲滅を全体の進歩のために」スローガンが掲げられた。 

SANA, May 11, 2014
SANA, May 11, 2014
SANA, May 11, 2014
SANA, May 11, 2014
SANA, May 11, 2014
SANA, May 11, 2014
SANA, May 11, 2014
SANA, May 11, 2014
SANA, May 11, 2014
SANA, May 11, 2014
SANA, May 11, 2014
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SANA, May 11, 2014
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SANA, May 11, 2014
SANA, May 11, 2014
SANA, May 11, 2014
SANA, May 11, 2014
SANA, May 11, 2014
SANA, May 11, 2014

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SANA(5月11日付)によると、ヒムス県タッルカラフ市、ダマスカス郊外県キスワ市、サフナーヤー市、アシュラフィーヤト・サフナーヤー市、アレッポ市サビール地区、ハマー市、スワイダー市、スワイダー県カルバー村、タルトゥース市各所などで、軍による「テロとの戦い」と大統領選挙実施への支持を訴えるデモ集会が開かれ、数千人の市民が参加した。

デモ集会には、バアス党の地元幹部、人民諸組織・職業諸組合幹部らも参加した。

SANA, May 11, 2014
SANA, May 11, 2014

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大統領府は声明を出し、6月3日に投票が予定されている大統領選挙に関して「民主的多元的選挙の雰囲気」に歓迎の意を示すとともに、「投票日に自由と透明性をもって立候補者1を選び、自らの意見を表明」するよう呼びかけた。

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外務在外居住者省は声明を出し、5月28日に予定されている大統領選挙の在外投票に関して、フランス政府が実施を拒否したため、フランス在住のシリア国民は選挙に参加できないと発表、遺憾の意を表明した。

SANA(5月11日付)によると、パリでは、フランス政府の姿勢に抗議し、在外居住者が抗議デモを行ったという。

SANA, May 11, 2014
SANA, May 11, 2014
SANA, May 11, 2014
SANA, May 11, 2014

AFP, May 11, 2014、AP, May 11, 2014、ARA News, May 11, 2014、Champress, May 11, 2014、al-Hayat, May 12, 2014、Kull-na Shuraka’, May 11, 2014、al-Mada Press, May 11, 2014、Naharnet, May 11, 2014、NNA, May 11, 2014、Reuters, May 11, 2014、SANA, May 11, 2014、UPI, May 11, 2014などをもとに作成。

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