シリア・レバノン国境(カラムーン地方、アルサール地方)でヒズブッラー、シリア軍とヌスラ戦線らの戦闘激化(2015年5月5日)

マナール・チャンネル(5月5日付)によると、ベカーア県バアルベック郡対シリア国境地帯(トゥファイル村・バリータール村間)で、ヒズブッラー戦闘員がシャームの民のヌスラ戦線の拠点を攻撃し、ヌスラ戦線戦闘員12人以上を殺害した。

なお、『ハヤート』(5月6日付)によると、ダマスカス郊外県カラムーン地方一帯で活動するシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などのジハード主義武装集団は、イドリブ市、ジスル・シュグール市制圧に倣って、ファトフ軍(作戦司令室)を発足した。

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ナハールネット(5月5日付)などによると、2014年8月にシャームの民のヌスラ戦線やダーイシュ(イスラーム国)がベカーア県バアルベック郡アルサール地方が捕捉したレバノン軍兵士・内務治安総軍隊員を撮影したビデオ映像がインターネット上(https://youtu.be/DqpKd1DYxpI)で公開された。

この映像のなかで、捕虜となった兵士らは、「レバノン軍とヒズブッラーがカラムーン地方(ダマスカス郊外県)での戦闘に参加すれば、我々が最初にその代償を払わされる…。軍とヒズブッラーは自分たちとは関係のない問題に関与している」と述べた。

Naharnet, May 5, 2015
Naharnet, May 5, 2015

 

AFP, May 5, 2015、AP, May 5, 2015、ARA News, May 5, 2015、Champress, May 5, 2015、al-Hayat, May 6, 2015、Iraqi News, May 5, 2015、Kull-na Shuraka’, May 5, 2015、al-Mada Press, May 5, 2015、Naharnet, May 5, 2015、NNA, May 5, 2015、Qanat al-Manar, May 5, 2015、Reuters, May 5, 2015、SANA, May 5, 2015、UPI, May 5, 2015などをもとに作成。

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ナスルッラー書記長「イランとロシアがシリアを見捨てたという主張は根拠がない」(2015年5月5日)

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長はマナール・チャンネルを通じてテレビ演説を行った。

演説でのナスルッラー書記長の主な発言は以下の通り:

「イドリブ県のジスル・シュグール市が武装集団の手に陥落して以降、神経戦の一環をなす一連の噂を耳にしている…。シリアの同盟国がシリア政府を見捨て、イランは核プログラムのためにシリアを売り渡したと言う者がいる…。シリア人による問題解決を反故にし、シリアに対して長年行っている地球規模の戦争でも達成できなかった一連の嘘を実現しようとめざす神経戦の前に我々はいる…。シリアの体制が終わるいったことを過去4年の間で耳にし続けており、こうした状況は真新しいものではない…。イランがシリアを見捨てたという主張は…根拠がない…。イランは常に同盟国の国益について熱心に考えている」。

「ロシア指導部がシリアを見捨てたという証拠もない…。イドリブのような都市が陥落した時、我々は、同盟国の政策を非難するのではなく、陥落の理由を探さねばならない…。1ラウンドで負けたからといって、戦争に負けたということではない」。

「我々は、武装集団が戦いを始めるために(シリア・レバノン国境地帯での)雪解けを待っていることに気づいていた。雪が溶けた今…、彼らはアルサール村の人々を誘拐し、拠点を攻撃している」。

Naharnet, May 5, 2015
Naharnet, May 5, 2015

 

AFP, May 5, 2015、AP, May 5, 2015、ARA News, May 5, 2015、Champress, May 5, 2015、al-Hayat, May 6, 2015、Iraqi News, May 5, 2015、Kull-na Shuraka’, May 5, 2015、al-Mada Press, May 5, 2015、Naharnet, May 5, 2015、NNA, May 5, 2015、Qanat al-Manar, May 5, 2015、Reuters, May 5, 2015、SANA, May 5, 2015、UPI, May 5, 2015などをもとに作成。

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デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表がジュネーブで紛争当事者との個別協議を開始(2015年5月5日)

スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表はスイスのジュネーブで、シリア政府と反体制派の和平交渉(「ジュネーブ3」)再開に向け、シリア政府、反体制派などのすべての紛争当事者との個別協議を開始し、初日にあたる5日にはシリア政府の代表と会談した。

デミストゥラ代表は記者会見で、「2012年のジュネーブ合意に基づき…協議の段階を交渉に転換するための用意をする」ことが個別協議の目的だとしたうえで、「6月末に、我々は現状評価を行い、次の段階に関して決定を下すことになる」と述べ、協議が約2ヶ月にわたって行われることを明らかにした。

ARA News, May 5, 2015
ARA News, May 5, 2015

『ハヤート』(5月6日付)によると、デミストゥラ代表は、シリア政府、40以上の反体制派、イラン、サウジアラビア、トルコ、カタール、国連常任理事国など20カ国の代表らとの個別協議を予定している。

反体制派のなかでは、国内で活動する民主的変革諸勢力国民調整委員会のほか、欧米諸国が「シリア国民の唯一の正統な代表」として承認し、アル=カーイダ系組織(シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動)の勢力拡大を「革命家の勝利」などと支持しているシリア革命反体制勢力国民連立が、協議への参加を表明している。

デミストゥラ代表はまた、国連がテロ組織と認定しているシャームの民のヌスラ戦線、ダーイシュ(イスラーム国)といった組織との協議は行われないと明言した。

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クッルナー・シュラカー(5月5日付)は、シリア革命反体制勢力国民連立が、ジュネーブでのデミストゥラ代表との個別協議への対応に関して、民主的変革諸勢力国民調整委員会、「武装集団」(具体的な組織名は不明)それぞれと合意を交わしたと伝えた。

シリア革命反体制勢力国民連立と民主的変革諸勢力国民調整委員会の合意は、①「ジュネ-ブ2」終了時点からの和平交渉(「ジュネーブ3」)の再開、②和平交渉の基本目的をジュネーブ合意の実施とする、③体制転換をめざす、④戦闘停止の実現、⑤暫定憲法の発表を通じた政治的正常化の実現、⑥紛争の恒久的解決のための国民合意大会の開催などを骨子とする。

一方、シリア革命反体制勢力国民連立と武装集団の合意は、①体制打倒以外に解決策はない、②移行期において体制の指導者、象徴的幹部が担う役割はない、③政治・軍事勢力間の合意と調整の実現、などを骨子とする。 

AFP, May 5, 2015、AP, May 5, 2015、ARA News, May 5, 2015、Champress, May 5, 2015、al-Hayat, May 6, 2015、Iraqi News, May 5, 2015、Kull-na Shuraka’, May 5, 2015、al-Mada Press, May 5, 2015、Naharnet, May 5, 2015、NNA, May 5, 2015、Reuters, May 5, 2015、SANA, May 5, 2015、UPI, May 5, 2015などをもとに作成。

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人権団体がシリア軍による「樽爆弾」爆撃、「虐殺」の実態を喧伝(2015年5月5日)

シリア人権監視団は、2015年1月から4月までの4ヶ月間で、シリア軍が各地に1万1,017回にわたって空爆を行い、民間人1,606人が死亡したと発表した。

1万1,017回の空爆のうち、「樽爆弾」による攻撃は5,934回、戦闘機による爆撃は5,083回で、犠牲者のうち369人が子供、255人が女性だという。

また、シリア人権ネットワークは、2015年4月の1ヶ月間で51回の「虐殺」が行われ、民間人499人が死亡したと主張した。

51回の「虐殺」のうち、シリア軍によるものは50回、また犠牲者のうち108人が子供、79人が女性だったという。

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一方、アムネスティー・インターナショナルも、アレッポ県でのシリア軍による「樽爆弾」による「無差別攻撃」に関する報告書(https://www.amnesty.org/en/documents/mde24/1370/2015/en/)を発表し、「人道に対する罪」と断罪した。

AFP, May 5, 2015、AP, May 5, 2015、ARA News, May 5, 2015、Champress, May 5, 2015、al-Hayat, May 6, 2015、Iraqi News, May 5, 2015、Kull-na Shuraka’, May 5, 2015、al-Mada Press, May 5, 2015、Naharnet, May 5, 2015、NNA, May 5, 2015、Reuters, May 5, 2015、SANA, May 5, 2015、UPI, May 5, 2015などをもとに作成。

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ダーイシュ、ヌスラ戦線が占拠するヤルムーク・パレスチナ難民キャンプへのシリア軍の爆撃停止を求める米国提出の国連安保理決議案がロシアの反対で廃案に(2015年5月5日)

国連安保理は、ダーイシュ(イスラーム国)とアル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線が占拠するヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ(ダマスカス県)の状況に対応するための緊急会合を開催した。

会合では、米国がキャンプ内のダーイシュ、ヌスラ戦線に対するシリア軍の空爆を非難し、人道支援物資搬入のために同地からのシリア軍の撤退と包囲解除を求める安保理決議案の採択を求めた。

しかし、テロ支援につながり兼ねない決議案は、ロシアなどの反対によって廃案となった。

会合では、スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表、UNRWAのマイケル・キングズリー・駐シリア事務局代表がジュネーブから証言し、キャンプの人道状況などについて報告した。

西側外交筋によると、サマンサ・パワー米国連大使は会合で、キャンプ包囲の継続、「樽爆弾」による空爆の責任はシリア政府にあると主張した。

これに対して、デミストゥラ代表は、シリア政府は、ダーイシュ、ヌスラ戦線がキャンプを占拠しているとして、キャンプへの空爆・砲撃を正当化していると述べた。

米国が提出した決議案は「キャンプのテロ活動はダーイシュ、ヌスラ戦線によるものだ」と非難、「これらの組織が即時にキャンプから撤退する必要がある」と主唱する一方、キャンプ内に依然として数千人の住民がいると指摘、「キャンプに対する無差別空爆をシリア政府が再開することに懸念」を表明していた。

そのうえで、シリア政府に対して攻撃を停止し、民間人の保護とUNRWAによる人道支援物資搬入を認めるよう呼びかけていた。

『ハヤート』(5月6日付)が伝えた。

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『ハヤート』(5月6日付)によると、PLO使節団が、シリア政府などとヤルムーク・パレスチナ難民キャンプの「中立化」に向けた協議を行うため、ダマスカス入りした。

AFP, May 5, 2015、AP, May 5, 2015、ARA News, May 5, 2015、Champress, May 5, 2015、al-Hayat, May 6, 2015、Iraqi News, May 5, 2015、Kull-na Shuraka’, May 5, 2015、al-Mada Press, May 5, 2015、Naharnet, May 5, 2015、NNA, May 5, 2015、Reuters, May 5, 2015、SANA, May 5, 2015、UPI, May 5, 2015などをもとに作成。

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アル=カーイダ系組織と自由シリア軍南部戦線がクナイトラ県におけるダーイシュ系のジハード軍最後の拠点を制圧(2015年5月5日)

クナイトラ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(5月5日付)によると、「革命家」(シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動、自由シリア軍南部戦線など)が、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓うジハード軍との戦闘の末、カフターニーヤ町を完全制圧した。

アル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動の広報局はこれに関して「カフターニーヤ町でジハード軍戦闘員を完全浄化した」と発表した。

シリア人権監視団によると、4月27日にジハード軍との戦闘が激化して以降、双方合わせて35人の戦闘員が死亡したという。

なお『ハヤート』(5月6日付)によると、クナイトラ県でジハード軍の掃討戦に参加していたのは、イスラーム軍、ヤルムーク軍、ヌスラ戦線、自由シリア軍南部戦線第1軍、ナワー自由人師団、シャーム自由人イスラーム運動、フルカーン旅団など。

一方、シリア人権監視団によると、バアス市近郊、ハーン・アルナバ市でシリア軍が、ヌスラ戦線などジハード主義武装集団と交戦した。

また、SANA(5月5日付)によると、西サムダーニーヤ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(5月5日付)によると、ジュッブ・ジャッラーフ町、アブー・ハワーディート村、ウンム・リーシュ村、ラジャム・カスル村、西サラーム村、シャーイル・ガス採掘所一帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(5月5日付)によると、ダイル・ザウル市ハウィーカ地区、ラシュディーヤ地区、シャイフ・ヤースィーン地区で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, May 5, 2015、AP, May 5, 2015、ARA News, May 5, 2015、Champress, May 5, 2015、al-Durar al-Shamiya, May 5, 2015、al-Hayat, May 6, 2015、Iraqi News, May 5, 2015、Kull-na Shuraka’, May 5, 2015、al-Mada Press, May 5, 2015、Naharnet, May 5, 2015、NNA, May 5, 2015、Reuters, May 5, 2015、SANA, May 5, 2015、UPI, May 5, 2015などをもとに作成。

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ヒムス県北部でアル=カーイダ系組織などからなる「ヌスラト・ムスタドアフィーン」作戦司令室がシリア軍検問所を制圧(2015年5月5日)

ヒムス県では、ドゥラル・シャーミーヤ(5月5日付)によると、シャーム自由人イスラーム運動が県北部のディーク検問所、ザカブー検問所、畜産農場地区検問所、バイト・キルミード検問所を制圧した。

またジャッブリーン村、ウンム・シャルシューフ村一帯では、シリア軍と「ヌスラト・ムスタドアフィーン」作戦司令室が交戦した。

同地では、シャーム自由人イスラーム運動、シャームの民のヌスラ戦線、ジュンド・タウヒード、ヒムス軍団、アフル・スンナ・ワ・ジャマーア、アジュナード・ヒムスといったジハード主義武装集団が「ヌスラト・ムスタドアフィーン」作戦司令室の発足を発表し、「信徒の救済は我々にとって当然の行為」作戦を開始、同地のシリア軍への攻撃を強めていた。

一方、SANA(5月5日付)によると、カフルナーン村、キースィーン村、タッル・アブー・サナースィル丘、 ウンム・シャルシューフ村、ハーラト・バドウ村、ハラーリーヤ村、タッル・ザハブ町、ファルハーニーヤ村、ブルジュ・カーイー村、カウルラーハー村、ジャッブーリーン村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線、ヒムス軍団、アジュナード・ヒムスの戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がハーン・シャイフーン市を「樽爆弾」で空爆する一方、ザーウィヤ山一帯などでファトフ軍作戦司令室と交戦した。

また、クッルナー・シュラカー(5月5日付)によると、ファトフ軍作戦司令室がアリーハー市近郊のブサイナ検問所、ブユート・アブドゥルハミード検問所を制圧した。

一方、SANA(5月5日付)によると、アイン・スーダ村、マアラカ村一帯、ダルクーシュ町・ザルズール村回廊、イフスィム町、カフルラーター村、クマイナース村、カフルハーヤー村、バサーミス村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ヤードゥーダー村一帯、アトマーン村各所、シャイフ・マスキーン市、ブスル・ハリール市、ムサイカ村、シューマラ村、インヒル市、ナマル町、カフルシャムス町、ナワー市近郊のジャービヤ丘をシリア軍が「樽爆弾」などで空爆した。

一方、SANA(5月5日付)によると、ダルアー市カラク地区など、ハマド丘、カフル・ナースィジュ、サムリーン村西部、ブスル・ハリール市、シャイフ・マスキーン市、インヒル市、イーブ村、ナマル町、ヤードゥーダ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、クッルナー・シュラカー(5月5日付)によると、シリア軍がシャリカ村を空爆し、住民10人が死亡した。

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スワイダー県では、SANA(5月5日付)によると、ジャドル村、シヤーフ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(5月5日付)によると、アレッポ市ライラムーン地区、アーミリーヤ地区、ラーシディーン地区、スッカリー地区、マシュハド地区、バーブ・ナスル地区、バニー・ザイド地区、シュカイフ地区、ドゥワイル・ザイトゥーン村、ハーン・アサル村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、バドル殉教者旅団の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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