化学兵器禁止機関(OPCW)の申告状況評価チーム:シリア国内の未申告の軍事研究施設で採取したサンプルから、サリン・ガス、VXガスの関連物質の痕跡が検出(2015年5月8日)

ロイター通信(5月8日付)は、複数の匿名外交筋の話として、化学兵器禁止機関(OPCW)の申告状況評価チームが、シリア国内の未申告の軍事研究施設で採取したサンプルから、サリン・ガス、VXガスの関連物質の痕跡が検出された、と伝えた。

このサンプルは、2014年12月から2015年1月にかけて採取されたものだという。

また、AFP(5月10日付)によると、OPCWが7日に開いた非公式会合で、EU議長国であるラトビアの代表(Maris Klisans)が本件に関して報告を行ったという。

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なお、『ハヤート』(5月10日付)などによると、国連安保理では6日、シリア国内で塩素ガスを使用した攻撃があったとの情報を受け、米国がシリア国内での化学兵器使用の調査を行うよう求めていた。

AFP, May 9, 2015、AP, May 9, 2015、ARA News, May 9, 2015、Champress, May 9, 2015、al-Hayat, May 10, 2015、Iraqi News, May 9, 2015、Kull-na Shuraka’, May 9, 2015、al-Mada Press, May 9, 2015、Naharnet, May 9, 2015、NNA, May 9, 2015、Reuters, May 9, 2015、SANA, May 9, 2015、UPI, May 9, 2015などをもとに作成。

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有志連合によるラッカ爆撃でダーイシュ(イスラーム国)司令官2人死亡、ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ、ダイル・ザウルでの戦闘続く(2015年5月8日)

ラッカ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(5月8日付)などによると、有志連合の無人戦闘機がラッカ市内でダーイシュ(イスラーム国)の車輌を空爆し、乗っていた全員を殺害した。

殺害されたダーイシュ・メンバーのなかには、ラッカ県出身の司令官2人、ウサーマ・カッラーシュ・マカニー氏(アブー・ウマル:アブー・ルクマーン氏に次ぐシリア国内の治安担当者のナンバー・ツーと目される)、ヒシャーム・カッラーシュ氏(モスル市衛生局長)もいたという。

一方、クッルナー・シュラカー(5月8日付)は、ラッカ市の地元消息筋の話として、ダーイシュ(イスラーム国)衛生局が、医療、人道支援関連のすべての国際機関の支配領域への立ち入りを禁止するファトワーを発したと伝えた。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプで、ダーイシュと共闘するシャームの民のヌスラ戦線が、キャンプ北西部一帯に設置されているシリア軍とPFLP-GCの拠点複数カ所を攻撃し、シリア軍兵士2人、PFLP-GC戦闘員3人を殺害し、これらの拠点を制圧した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ一帯を占拠するダーイシュ(イスラーム国)がハジャル・アスワド市各所でジハード主義武装集団と交戦した。

また、クッルナー・シュラカー(5月8日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員がラフマーン軍団のシューラー評議会の会合に潜入・自爆し、ラフマーン軍団のアブー・ナスル・シュマイル司令官、リヤード・ハルキー氏、ナイーム・ヤアクーブ氏らが負傷した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル航空基地南東部、ダイル・ザウル市工業地区のジュムヤーン検問所一帯で、シリア軍とダーイシュ(イスラーム国)が激しく交戦し、飛行場司令官(少将)1人を含むシリア軍兵士19人、ダーイシュ戦闘員15人が死亡した。

戦闘では、ダーイシュがジュムヤーン検問所に対して自爆攻撃をしかける一方、捕捉したシリア軍兵士4人を斬首し、検問所を制圧したという。

一方、シリア軍はブーライル村、マヤーディーン市近郊のバクラス村などを空爆し、3人が死亡した。

また、SANA(5月8日付)によると、マリーイーヤ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が包囲を続けるクワイリス航空基地一帯で、ダーイシュとシリア軍が交戦し、シリア軍兵士7人(士官1人を含む)が死亡した。

また、ARA News(5月8日付)によると、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のユーフラテスの火山合同作戦司令室が、アイン・アラブ市東部郊外でダーイシュ(イスラーム国)との戦闘の末、複数の村を解放した。

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ハサカ県では、ARA News(5月8日付)によると、有志連合がハサカ市西部のタッル・マジュダル村一帯のダーイシュ(イスラーム国)拠点などを空爆した。

一方、SANA(5月8日付)によると、ハサカ市東部一帯、シャダーディー市・フール町間、ウンム・キバル村で、シリア軍、国防隊が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(5月8日付)によると、シャーイル・ガス採掘所一帯、ラッフーム村、マズマル村、ムシャイリファ村、ラジャム・カスル村、ウンム・サフリージュ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。


AFP, May 8, 2015、AP, May 8, 2015、ARA News, May 8, 2015、Champress, May 8, 2015、al-Durar al-Shamiya, May 8, 2015、al-Hayat, May 9, 2015、Iraqi News, May 8, 2015、Kull-na Shuraka’, May 8, 2015、al-Mada Press, May 8, 2015、Naharnet, May 8, 2015、NNA, May 8, 2015、Reuters, May 8, 2015、SANA, May 8, 2015、UPI, May 8, 2015などをもとに作成。

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ヒズブッラー戦闘員、シリア軍がカラムーン地方でヌスラ戦線掃討を続ける(2015年5月8日)

ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(5月9日付)がヒズブッラー高官の話として、シリア軍、ヒズブッラー戦闘員がレバノン国境に近いカラムーン地方北部の山岳地帯(アッサール・ワルド町一帯、カルナ高原一帯など)でシャームの民のヌスラ戦線などジハード主義武装集団との戦闘の末、約100平方キロを制圧したと伝えた。

また、SANA(5月8日付)によると、シリア軍は「レバノン抵抗運動」(ヒズブッラー戦闘員)との協力のもと、レバノン国境に接する無人地帯(サイル・イッズッディーン、ワーディー・ディーン、シュマイス・アイン・ワルド、カルナト・ジャウズ・イナブ、クナイス通行所、ハルム・ムハンマダート、カルナト・ワーディーダール、ハラフ・ジャワーズ・ハッラーフ)に対して攻撃を行い、シャームの民のヌスラ戦線戦闘員らを放逐、同地を制圧した。

ヒズブッラーは、この戦闘でヌスラ戦線戦闘員数十人を殺害、車輌、兵器を破壊する一方、ヒズブッラー戦闘員も3人死亡したと発表した。

これに対して、ヌスラ戦線などジハード主義武装集団はツイッターなどで、ヒズブッラー戦闘員数十人を殺害したと主張した。

一方、『アフバール』(5月8日付)は、ヒズブッラー戦闘員、シリア軍と戦うシャームの民のヌスラ戦線、ダーイシュ(イスラーム国)が、レバノンのベカーア県バアルベック郡アルサール地方に散在するシリア人避難民キャンプに対して、「ジハード支援」を呼びかけていると伝えた。

また、レバノン軍消息筋は、『ムスタクバル』(5月8日付)に対して、レバノン軍がシリア領内での戦闘には参加しないとの姿勢を強調したという。

このほか、シリア人権監視団によると、マイダアー町ないで住民9人の遺体が発見された。

また、SANA(5月8日付)によると、東グータ地方のハラスター市、ナシャービーヤ町、マルジュ・スルターン村、タッル・クルディー町一帯、マイダアー町・マイダアーニー村間で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、イスラーム軍、アジュナード・シャーム・イスラーム連合の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区で、シリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員がシャームの民のヌスラ戦線などジハード主義武装集団と交戦した。

一方、SANA(5月8日付)によると、ジャウバル区で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市アウラース地区で爆発が起き、住民ら15人が負傷した。

一方、シリア軍はガルナータ村一帯を「樽爆弾」などで空爆、ウンム・シャルシューフ村一帯で、シャームの民のヌスラ戦線などジハード主義武装集団と交戦した。

他方、SANA(5月8日付)によると、ラスタン市西部の農場地帯、ハラーリーヤ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線、タウヒード軍、ヒムス軍団、アフル・スンナ・ワ・ジャマーア、アジュナード・ヒムス、シャーム自由人イスラーム運動の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、アブー・ズフール航空基地周辺をシリア軍が空爆する一方、フライカ村一帯、アッラーウィーン村検問所一帯では、シリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員、アフガン人からなるファーティミーン師団、イラク人・イラン人戦闘員らが、ジハード主義武装集団と交戦した。

一方、SANA(5月8日付)によると、カフルハーヤー村、バザーブール村、カフルラーター村、ラーミー村、ザーウィヤ山一帯、アブー・ズフール町一帯、フマイマート村、カフルナブル市で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ファトフ軍作戦司令室の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市アシュラフィーヤ地区にジハード主義武装集団が発射した迫撃砲弾が着弾し、女性1人、子供1人を含む4人が死亡した。

これに対して、シリア軍はアレッポ市旧市街(アルマジー地区)、アーミリーヤ地区、ハンダラート・キャンプ一帯、バーシュカウィー村を「樽爆弾」などで空爆、国防隊らとともに、シャームの民のヌスラ戦線、アンサール・ディーン戦線と交戦した。

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ラタキア県では、SANA(5月8日付)によると、シリア軍、国防隊がラタキア県北部一帯(ザイヌーナ高原、ジャウラト・マガーラト・ラシュワーン村、マッルーハ峰、ルワイサト・ジャウラト・ズアイティル村、ルワイサト・ジャウラト・ムダウワラ村)に対して攻勢をかけ、シャームの民のヌスラ戦線を放逐、同地を完全制圧した。

シリア軍はまた、ナビー・ユーヌス峰山頂一帯、ジュッブ・アフマル村などでも進軍を続けた。

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ハマー県では、SANA(5月8日付)によると、カストゥーン村、ラターミナ町、アイドゥーン村南部で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(5月8日付)によると、カフターニーヤ町、西サムダーニーヤ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム軍、ヤルムーク軍、第1軍、ナワー自由人師団、シャーム自由人イスラーム運動の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。


AFP, May 8, 2015、al-Akhbar, May 8, 205、AP, May 8, 2015、ARA News, May 8, 2015、Champress, May 8, 2015、al-Hayat, May 9, 2015、Iraqi News, May 8, 2015、Kull-na Shuraka’, May 8, 2015、al-Mada Press, May 8, 2015、al-Mustaqbal, May 8, 2015、Naharnet, May 8, 2015、NNA, May 8, 2015、Reuters, May 8, 2015、SANA, May 8, 2015、UPI, May 8, 2015などをもとに作成。

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オバマ米政権は、アル=カーイダ系組織の影響力増大を懸念しつつ、「穏健な反体制派」への教練を開始(2015年5月8日)

駐シリア大使館はフェイスブックを通じて、「ISIS(ダーイシュ(イスラーム国)の能力を抑え、最終的には壊滅するための努力を支援するにふさわしいと判断されたシリア反体制派の志願者に対し、米軍および一部同盟国が第1回目となる軍事教練を開始した」と発表した。

前日には、ヨルダン政府が「シリア国民、部族の志願者」への軍事教練を有志連合の枠組みのなかで開始したと発表している。

米大使館フェイスブックでの発表によると、「このプログラムの実施には…有志連合の軍、外務省、諜報機関…が参加しており、教練方法は、シリアの反体制派のみの必要…、特定の任務、個人に限定して…策定されている」という。

これに関して、『ハヤート』(5月9日付)は、国防総省の複数の信頼できる消息筋の話として、3,750人以上のシリア人が志願、うち400人が今回の教練の対象者として選定されたという。

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『ハヤート』(5月9日)は、「穏健な反体制派」への軍事教練の目的を、ダーイシュとの戦いではなく、アサド政権打倒としたいトルコに配慮するかたちで、軍事教練が、①ダーイシュとの戦い、②反体制派の支配地域の維持、③シリアの紛争の政治的解決の促進、という3点が目標に設定されている、と伝えた。

『ハヤート』はまた、西側外交筋の話として、米国務省、国防総省の高官、そして「穏健な反体制派」教練を統括する中央特殊作戦軍司令官のマイケル・ナガタ少将が、バラク・オバマ米大統領に、ダーイシュ(イスラーム国)との戦闘が想定される「穏健な反体制派」を空から援護するため有志連合の活動を拡充するよう要請したが、大統領は依然として難色を示していると付言した。

西側消息筋によると、トルコ政府は「穏健な反体制派」の教練キャンプをシリア国境地帯に設置することを米国と合意した際に、教練第1期生にトルクメン人戦闘員を含めるとともに、教練生の数を5,000人から1万人(3年間での教練生の総数を1万5,000人から3万人)に増やすよう米国に求めた、という。

なおトルクメン人戦闘員、具体的にはトルキスターン・イスラーム党は、3~4月にかけてのイドリブ県でのファトフ軍作戦司令室(アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などから構成)の攻勢(イドリブ市、ジスル・シュグール市などの制圧)に参加している。

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一方、『ハヤート』(5月9日)は複数の米消息筋の話として、オバマ政権が、イドリブ県でのファトフ軍作戦司令室の勝利などに「不快感」を感じ、アル=カーイダ系のシャームの民のヌスラ戦線など過激派の影響力が増すことを懸念している、と伝えた。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、米国など有志連合による「穏健な反体制派」への軍事教練開始発表に関して、「トルコと米国に合意は自由シリア軍の能力向上を可能とする措置」になると賞賛した。

AFP, May 8, 2015、AP, May 8, 2015、ARA News, May 8, 2015、Champress, May 8, 2015、al-Hayat, May 9, 2015、Iraqi News, May 8, 2015、Kull-na Shuraka’, May 8, 2015、al-Mada Press, May 8, 2015、Naharnet, May 8, 2015、NNA, May 8, 2015、Reuters, May 8, 2015、SANA, May 8, 2015、UPI, May 8, 2015などをもとに作成。

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シリア人権監視団:2日間の戦闘でシリア軍将兵60人が死亡(2015年5月8日)

シリア人権監視団は、上級士官複数を含むシリア軍将兵約60人が5月7~8日の2日間だけで戦士したと発表した。

戦死した主な上級士官は、ワーイル・ムハンマド・ハマード少将(マーヒル・アサド准将に次ぐ第4師団のナンバー・ツーと目される士官)、ナディーム・ガーニム空軍少将(ダマスカス郊外県南部のバリー航空基地で飛行中に戦死)、カマール・マフムード・ディーブ准将(ジスル・シュグール市での戦闘で戦死)、ムルヒム・アーリフ・ムハンマド中佐(カラムーン地方での戦闘で戦死)、ガディール・ハリール・スライマーン中尉(クワイリス航空基地での戦闘で戦死)らで、将兵はいずれも、シャームの民のヌスラ戦線、ダーイシュ(イスラーム国)と戦っていた。

AFP, May 8, 2015、AP, May 8, 2015、ARA News, May 8, 2015、Champress, May 8, 2015、al-Hayat, May 9, 2015、Iraqi News, May 8, 2015、Kull-na Shuraka’, May 8, 2015、al-Mada Press, May 8, 2015、Naharnet, May 8, 2015、NNA, May 8, 2015、Reuters, May 8, 2015、SANA, May 8, 2015、UPI, May 8, 2015などをもとに作成。

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