イスラーム国のバグダーディー指導者が音声声明を出し「イスラーム国はまだ存在し続けている」と鼓舞(2019年9月16日)

イスラーム国のアブー・バクル・バグダーディー指導者によると思われる音声声明が、同組織の広報部門の一つフルカーン広報制作機構を通じて配信された。

コーランの第9章(改悛の章)第105節の一節から引用して「言ってやるがいい、「行え」と」と題された30分に及ぶ音声声明のなかで、バグダーディー氏と思われる男性は、以下の通り述べた。

「イスラーム国が建設した国家は、まだ存在し続けており、結成から5年を経てもなおその目的を実現しようとしている」。

「イスラーム国は今この瞬間も、隊列に加わりたいというメンバーやバイア(忠誠)を誓う者たちを受け入れている。彼らは敵と戦い続けるだろう」。

「マリ、ニジェール、イエメン、チュニジア、リビア、アジア諸地域における米軍部隊とその同盟者どもは、イラク、アフガニスタン、シリアが辿ったのと同じ運命を辿るだろう」。

「民間人に不義を行っていた者でも…、悔い改め、組織への忠誠を誓った者たちの改悛は受け入れてやろう」。

「イスラーム教徒たちを暴君の牢獄から解放しよう…。牢獄、牢獄なのだ、カリフ制の兵士たちよ」。

「あなたがたの兄弟姉妹は、真剣に自らを救い出そうと、そしてまた自らを閉じ込めている壁を打ち破ろうとしてきた…。だが、捜査官や捜査判事を称する殺戮者ども、そして彼らに危害を与える者たちによって自由を奪われてきた」。

「強制収容所と屈辱に満ちた牢獄につながれたイスラーム教徒、そしてその女性たちがどのように良い暮らしができるというのだ」。

「アッラーはあなたがた同胞を忘れなかったし、これからも忘れない。復讐するがよい」。

「行動に訴えよ…。負担はより重いものとなろう」。

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この音声声明に関して、CNN(9月17日付)は、米国防総省高官の話として、バグダーディー氏本人の肉声だとしたうえで、米政府はこれに関してコメントしていないと伝えた。

AFP, September 17, 2019、ANHA, September 17, 2019、AP, September 17, 2019、CNN, September 17, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 17, 2019、Reuters, September 17, 2019、SANA, September 17, 2019、SOHR, September 17, 2019、UPI, September 17, 2019などをもとに作成。

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ダイル・ザウル24:米・ロシア両軍の会合でシリア政府支配下のユーフラテス川東岸からのシリア軍撤退が合意か?!(2019年9月16日)

ダイル・ザウル24(9月16日付)は、米軍とロシア軍の司令官が会合を開き、シリア政府支配下にあるユーフラテス川東岸のハトラ村、サーリヒーヤ村(サーリヒーヤト・ジャズィーラ村)、マズルーム村、ムッラート村、フシャーム町、タービヤト・ジャズィーラ村を米主導の有志連合に引き渡すための協議が行われたと伝えた。

会合が行われた場所は明らかにされていないが、同サイトによると、この会合ではこれらの地域を人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍と有志連合に引き渡すことが合意されたという。

シリア政府とロシアはこの割譲について合意済みだが、政府を支持する「民兵」はこれらの地域から撤退することを断固拒否しているという。

撤退を拒否しているのは、イラン・イスラーム革命防衛隊の支援を受けるイマーム・ムハンマド・バーキル旅団のファーディー・アフィース司令官、レバノンのヒズブッラーの民兵を率いるターリク・ヤースィーン・マイユーフ司令官ら。

AFP, September 16, 2019、ANHA, September 16, 2019、AP, September 16, 2019、Dayr al-Zawr 24, September 16, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 16, 2019、Reuters, September 16, 2019、SANA, September 16, 2019、SOHR, September 16, 2019、UPI, September 16, 2019などをもとに作成。

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ロシア・イラン・トルコ首脳会談はシリアの統一、主権、独立、領土保全、「テロとの戦い」、分離主義的アジェンダの拒否、人道支援、難民帰還支援を確認するだけで具体的進展なし(2019年9月16日)

ロシアのヴィラジミール・プーチン大統領、イランのハサン・ロウハーニー大統領、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領がトルコの首都アンカラで会談し、シリア情勢への対応について協議した。

会談終了時に発表された閉幕声明において、三カ国の首脳は、シリアの統一、主権、独立、領土保全、「テロとの戦い」、分離主義的アジェンダの拒否を確認した。

また、イスラエルによるゴラン高原併合を拒否した国連安保理決議第497号、シリア危機の平和的解決と「テロとの戦い」を定めた国連安保理決議第2254号を含む国連諸決議の尊重、そこからの逸脱の拒否を確認した。

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北西部、ラタキア県北東部、アレッポ県西部の反体制派支配地域(緊張緩和地帯)の処遇については、シャーム解放機構の勢力拡大への懸念、ダーイシュ(イスラーム国)を含むアル=カーイダ系組織撲滅に向けた協力継続を確認しつつ、2018年9月のソチでのロシア・トルコ首脳合意での非武装地帯設置にかかる合意実施の必要を強調した。

2018年1月のソチでのシリア国民対話大会で設置が決定された制憲委員会については、ゲイル・ペデルセン・シリア問題担当国連特別代表による設置に向けた取り組みを支援し、委員会活動開始に貢献する意思を表明した。

そのうえで、国連、国際機関に対して、復興プロジェクトの実施やインフラ復旧を通じたシリアへの人道支援、難民帰還支援を改めて呼びかけた。

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会談後の共同記者会見で、プーチン大統領は緊張緩和地帯第1ゾーンのほとんどが、シャーム解放機構によって掌握されていると指摘、引き続きシリア軍の「テロとの戦い」を支援すると強調した。

また、北東部の北・東シリア自治局支配地域やヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)への米軍の駐留を違法と非難するとともに、その内政干渉を危険だと指摘、シリア人自身に危機を解決する余地を与え、米軍が中流する北東部をシリア政府の支配下に復帰させるよう強調した。

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ロウハーニー大統領は、米軍をはじめとする外国軍の駐留がシリアの主権を侵害し、国土統一を阻害する違法なものだと批判するとともに、ロシア、イランとともに、シャーム解放機構などのテロ組織を根絶するための戦いを継続すると強調した。

AFP, September 16, 2019、ANHA, September 16, 2019、AP, September 16, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 16, 2019、Reuters, September 16, 2019、SANA, September 16, 2019、SOHR, September 16, 2019、UPI, September 16, 2019などをもとに作成。

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トルコの占領下にあるバーブ市(アレッポ県)で住民どうしが衝突、少なくとも5人が死亡(2019年9月16日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコの占領下にあるバーブ市で、住民どうしが衝突し、少なくとも5人が死亡、8人が負傷した。

衝突は家族(部族)間の対立によるものだという。

AFP, September 16, 2019、ANHA, September 16, 2019、AP, September 16, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 16, 2019、Reuters, September 16, 2019、SANA, September 16, 2019、SOHR, September 16, 2019、UPI, September 16, 2019などをもとに作成。

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トルコの支援を受ける反体制派はアレッポ県北部を砲撃、YPGと交戦(2019年9月16日)

アレッポ県では、ANHA(9月16日付)によると、トルコ軍とその支援を受ける反体制武装集団がシーラーワー町近郊のアキーバ村を砲撃した。


また、ドゥラル・シャーミーヤ(9月16日付)によると、トルコの支援を受ける国民軍が、マーリア市近郊に潜入しようとした人民防衛隊(YPG)を撃破し、戦闘員多数を殺傷した。

AFP, September 16, 2019、ANHA, September 16, 2019、AP, September 16, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 16, 2019、Reuters, September 16, 2019、SANA, September 16, 2019、SOHR, September 16, 2019、UPI, September 16, 2019などをもとに作成。

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シリア軍はトルコ軍部隊が留め置かれているイドリブ県マアッル・ハッタート村を砲撃(2019年9月16日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が一方的停戦を宣言してから16日目(爆撃を激化させてから137日目)を迎えた9月16日、シリア・ロシア軍は爆撃を実施しなかったが、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団の散発的な戦闘は続いた。

シリア・ロシア軍が緊張緩和地帯への攻撃を激化させた4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日と同じ4,142人だった。

内訳は、民間人1,055人(うち女性189人、子供264人)、シリア軍兵士1,406人、反体制武装集団戦闘員1,672人。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がマルアンド村、バルナース村およびその一帯、クファイル村、トゥラムラー村、ウンム・スィール村、マアッルハッタート村、シャイフ・ダーミス村、カフルサジュナ村一帯、ハッサーナ村、マアッラト・スィーン村、マアッラト・ハルマ村を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がカッバーナ村一帯、フドル丘一帯を砲撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がサルマーニーヤ村、シャフシャブー山(イドリブ県)山麓地帯を砲撃した。

シリア軍はまた、トルコ軍部隊が留め置かれているマアッル・ハッタート村(マアッラト・ヌウマーン市南)を砲撃した。

この部隊は、ハマー県ムーリク市近郊のトルコ軍監視所(第9監視所)に支援物資を届けるはずだったが、シリア軍により進行を阻止されている。

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クナイトラ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(9月16日付)によると、ハーン・アルナバ市の国防隊が隣接するジュバーター・ハシャブ村の村長(ムフタール)を殴打したのをきっかけに、シリア政府との和解に応じた元反体制派と撃ち合いになった。

国防隊は、その司令官がジュバーター・ハシャブ村で攻撃を受けたとして村長を殴打したという。

死傷者はなかった。

AFP, September 16, 2019、ANHA, September 16, 2019、AP, September 16, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 16, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, September 16, 2019、Reuters, September 16, 2019、SANA, September 16, 2019、SOHR, September 16, 2019、UPI, September 16, 2019などをもとに作成。

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反体制派はシリア政府が再開したイドリブ県東部のアブー・ズフール町の「人道回廊」の住民の通行を阻止(2019年9月16日)

イドリブ県では、SANA(9月16日付)によると、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構などの反体制武装集団が、県南東部のアブー・ズフール町に設置されている「人道回廊」を通じてシリア政府支配地域に避難しようとする住民を阻止した。

反体制武装集団が住民の避難を阻止するのは3日連続。

AFP, September 16, 2019、ANHA, September 16, 2019、AP, September 16, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 16, 2019、Reuters, September 16, 2019、SANA, September 16, 2019、SOHR, September 16, 2019、UPI, September 16, 2019などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:イドリブ県アブー・ズフール町の回廊を通じて54人がシリア政府支配地域に帰還(2019年9月16日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(9月16日付)を公開し、9月15日に難民1,421人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは354人(うち女性107人、子供180人)、ヨルダンから帰国したのは1,067人(うち女性320人、子供544人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は401,994人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者126,713人(うち女性38,291人、子ども64,925人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者275,281人(うち女性82,620人、子ども140,382人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

45カ国で難民登録したシリア人の数は6,646,677人(うち女性1,994,003人、子供3,389,805人)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 631,274人(うち女性187,669人、子供322,229人)となった。

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一方、国内避難民59人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山の通行所を経由して帰還したのは5人、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所およびハマー県スーラーン町の通行所を経由して帰宅したのは54人だった。

グラーブ山通行所を経由して帰還した5人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は35,407人(うち女性10,954人、子供16,239人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,304,003人(うち女性393,513人、子供660,005人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, September 16, 2019をもとに作成。

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