ハサカ県のフール・キャンプで女性多数がダーイシュの「秘密法廷」を運営していたとして逮捕。反体制派系サイトはアサーイシュが抗議デモに発砲したと伝える(2019年9月30日)

ANHA(9月30日付)は、シリア人国内避難民(IDPs)、イラク人難民、ダーイシュ(イスラーム国)メンバーの家族らが収容されているハサカ県のフール・キャンプで、ダーイシュの女性メンバーが設置した「秘密法廷」が摘発されたと伝えた。

同サイトによると、「秘密法廷」はダーイシュの思想から逸脱した女性たちを粛清するためのもので、移民セクション内のテントに設置されていた。

キャンプの内務治安部隊は、「秘密法廷」が設置されていたテントに対して立ち入り捜査を行おうとしたところ、テント内の女性たちが抵抗し、部隊に発砲してきたという。

約15分の撃ち合いののち、内務治安部隊は、ダーイシュの女性メンバー1人を殺害、7人を負傷させ、50人以上を逮捕した。

しかし、反体制派系のユーフラテス・ポスト(9月30日付)は、「アサーイシュ」(内務治安部隊)が強制捜査を行うためにフール・キャンプの移民課地区に突入したことを受けて、女性と子供が抗議デモを行ったと伝えた。

強制捜査は複数の外国人女性を逮捕するためのもので、その理由は不明だという。

なお、抗議デモを行った女性と子供も外国人で、アサーイシュは実弾を発砲し強制排除した。

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また、ANHA(9月30日付)によると、シリア人国内避難民(IDPs)、イラク人難民、ダーイシュ(イスラーム国)メンバーの家族らが収容されているフール・キャンプで、ダーイシュ・メンバーの女性2人がイラク人難民の男性(H.D.)を襲撃、重傷を負わせた。

女性2人はキャンプの第5ブロックに忍び込み、男性を襲い、殺害しようとしていたという。

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ANHA(9月30日付)によると、フール・キャンプに収容されていたシリア人国内避難民(IDPs)40世帯141人(いずれも女性と子供)が、ダイル・ザウル県に帰還した。

なお、キャンプには難民・IDPs約7万人が依然として収容されているという。

AFP, September 30, 2019、ANHA, September 30, 2019、AP, September 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 30, 2019、Euphrates Post, September 30, 2019、Reuters, September 30, 2019、SANA, September 30, 2019、SOHR, September 30, 2019、UPI, September 30, 2019などをもとに作成。

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シリア政府とYPG主体のシリア民主軍の代表がダイル・ザウル県北部での抗議デモを収束させるため「秘密会合」(2019年9月30日)

ユーフラテス・プレス(9月30日付)は、複数の地元情報筋の話として、シリア政府の代表と人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の代表が、ダイル・ザウル県北部での抗議デモへの対応を協議するための「秘密会合」を行ったと伝えた。

会合は、シリア政府に近いビジネスマンの一人バラー・カーティルジー氏が仲介して、ダイル・ザウル市近郊のサーリヒーヤ村で開かれ、北・東シリア自治局傘下のダイル・ザウル民政評議会議長のガッサーン・ユースフ氏、シリア民主軍傘下のダイル・ザウル軍事評議会議長のアフマド・ハビール(アブー・ハウラ)氏、そしてイランに近いとされるターリク・マアユーフ氏が出席した。

同サイトによると、会合では、カーティルジー氏が、シリア民主軍が北・東シリア自治区支配下のダイル・ザウル県北部での抗議デモを収束させることの見返りとして、ユースフ氏とハビール氏に多額の金銭を支払うことが合意されたという。

会合ではまた、抗議デモに好意的な姿勢を示したダイル・ザウル軍事評議会所属の第6中隊の解体が合意された。

AFP, September 30, 2019、ANHA, September 30, 2019、AP, September 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 30, 2019、Euphrates Post, September 30, 2019、Reuters, September 30, 2019、SANA, September 30, 2019、SOHR, September 30, 2019、UPI, September 30, 2019などをもとに作成。

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シリアとイラクを結ぶユーフラテス川西岸のブーカマール・カーイム国境通行所が正式に再開(2019年9月30日)

シリアのダイル・ザウル県とイラクのアンバール県のユーフラテス川西岸の国境を結ぶブーカマール・カーイム国境通行所が正式に再開した。

再開式典には、シリアのムハンマド・ハーリド・ラフムーン内務大臣、アブドゥルマジード・カワーキビー・ダイル・ザウル県知事、アースィム・イスカンダル・ブーカマール国境通行所税関局長イラク国境委員会のカーズィム・ウカービー委員長ら用心が出席した。

式典でラフムーン内務大臣は「シリア・アラブ軍とイラク軍の犠牲、そしてダーイシュ(イスラーム国)などさまざまな名を名乗る武装テロ組織に対する両国国民の勝利の甲斐あって、通行所が再開した」としたうえで、人や物の移動など通商が活性化し、両国に利益をもたらすだろうと強調した。

ブーカマール・カーイム国境通行所は9月1日に再開が予定されていたが、再開はたびたび延期され、その間、イスラエル軍所属と思われる戦闘機が国境地帯を幾度となく爆撃した。

ブーカマール・カーイム国境通行所は、ダーイシュ(イスラーム国)が同地一帯を掌握した2013年以降閉鎖されていた。

SANA(9月30日付)、スーマリーヤ・チャンネル(9月30日付)などが伝えた。

ブーカマール国境通行所

カーイム国境通行所

AFP, September 30, 2019、ANHA, September 30, 2019、AP, September 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 30, 2019、Reuters, September 30, 2019、SANA, September 30, 2019、SOHR, September 30, 2019、al-Sumariya TV, September 30 2019、UPI, September 30, 2019などをもとに作成。

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国連安保理でシリア情勢への対応を協議する会合(2019年9月30日)

国連安保理でシリア情勢への対応を協議する会合を開かれた。

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ゲイル・ペデルセン・シリア問題担当国連特別代表は、23日に設置が発表された制憲委員会(憲法委員会)に関して「制憲委員会設置合意は、シリアの主権、統一、独立、領土保全の尊重、国連憲章と安保理諸決議の遵守といった基本原則に基づかねばならない」と強調した。

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シリアのバッシャール・ジャアファル国連代表は、制憲委員会がロシア、イランとの強い連携のもとに成功裏に設置されたとしたうえで、その活動が外国の干渉や妨害から遠ざけられねばならないと発言した。

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ロシアのワシーリー・ネヴェンジャ国連大使は、「我々の一部のパートナー(欧米諸国)がシリア復興に新たな条件をつけてようとしているに注目している…。彼らはこれまでは制憲委員会(憲法委員会)の設置が条件だとしてきたが、我々はいくつもの新たな口実がなされていることを目にしている」と述べ、欧米諸国が依然としてシリア復興に参与しようとしないことを非難した。

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ケリー・クラフト米国連大使は、シリア政府が12万8000人を恣意的に逮捕したと主張、「こうした行為は受け入れられない」と非難、釈放を求めた。

AFP, September 30, 2019、ANHA, September 30, 2019、AP, September 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 30, 2019、October 1, 2019、Reuters, September 30, 2019、SANA, September 30, 2019、SOHR, September 30, 2019、UPI, September 30, 2019などをもとに作成。

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ダーイシュがダイル・ザウル県シューラー村近郊の砂漠地帯にあるシリア軍・親政権民兵の拠点を襲撃(2019年9月30日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がシューラー村近郊の砂漠地帯にあるシリア軍・親政権民兵の拠点を襲撃、砲撃戦となった。

ジュルフ・ニュース(9月30日付)によると、ダーイシュが襲撃したのはイラン・イスラーム革命防衛隊の拠点だという。

AFP, September 30, 2019、ANHA, September 30, 2019、AP, September 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 30, 2019、Jurf News, September 30, 2019、Reuters, September 30, 2019、SANA, September 30, 2019、SOHR, September 30, 2019、UPI, September 30, 2019などをもとに作成。

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新興のアル=カーイダ系組織のアンサール・タウヒードが、トルコ軍監視所(第10監視所)があるハマー県シール・マガール村一帯のシリア政府支配地域を砲撃(2019年9月30日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が一方的停戦を宣言してから30日目(爆撃を激化させてから151日目)を迎えた9月30日、シリア軍ヘリコプターが「樽爆弾」による爆撃を実施、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が各地で散発的に交戦した。

シリア・ロシア軍が緊張緩和地帯への攻撃を激化させた4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日と同じ4,164人だった。

内訳は、民間人1,066人(うち女性189人、子供264人)、シリア軍兵士1,421人、反体制武装集団戦闘員1,677人。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍ヘリコプターがシャーム解放機構などが活動を続けるカッバーナ村一帯を「樽爆弾」で爆撃、地上部隊が同地一帯(ウスター丘、アブー・ダフダフ丘、Syriatel塔など)、トゥッファーヒーヤ村を砲撃した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がマアッラト・ハルマ村、バアルブー村、ストゥーフ・ダイル村、ラカーヤー村、ナキール村、フィキーア村、ウンム・スィール村、ウライニバ村、カフルサジュナ村を砲撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がサルマーニーヤ村などを砲撃した。

これに対して、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団もシリア政府支配下のラスィーフ村を砲撃した。

これに関して、スプートニク・ニュース(9月30日付)、ANHA(9月30日付)は、新興のアル=カーイダ系組織のアンサール・タウヒードが、トルコ軍監視所(第10監視所)があるシール・マガール村一帯のシリア政府支配地域を砲撃したと報じた。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が撃ったと思われる迫撃砲弾一発がダルアー市ダルアー・バラド地区に着弾した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を37件(イドリブ県15件、ラタキア県7件、アレッポ県5件、ハマー県2件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を8件(イドリブ県1件、ラタキア県4件、アレッポ県2件、ハマー県1件)確認した。

AFP, September 30, 2019、ANHA, September 30, 2019、AP, September 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 30, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, September 30, 2019、Reuters, September 30, 2019、SANA, September 30, 2019、SOHR, September 30, 2019、Sputnik News, September 30, 2019、UPI, September 30, 2019などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから317人、ヨルダンから1,106人の難民が帰国、避難民336人(うちルクバーン・キャンプからの帰還者336人)が帰宅(2019年9月30日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(9月30日付)を公開し、9月29日に難民1,423人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは317人(うち女性95人、子供162人)、ヨルダンから帰国したのは1,106人(うち女性332人、子供564人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は419,552人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者132,387人(うち女性40,094人、子ども67,817人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者287,165人(うち女性86,187人、子ども146,442人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

45カ国で難民登録したシリア人の数は6,654,208人(うち女性1,996,262人、子供3,393,646人)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 648,832人(うち女性194,939人、子供331,181人)となった。

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一方、国内避難民336人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山の通行所を経由して帰還したのは336人(うち女性97人、子供157人)、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所およびハマー県スーラーン町の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

グラーブ山通行所を経由して帰還した336人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は336人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は36,188人(うち女性11,213人、子供16,481人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,304,784人(うち女性393,772人、子供660,247人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, September 30, 2019をもとに作成。

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