米国の爆撃で狙われた新興のアル=カーイダ系組織の一つアンサール・タウヒードが声明を出し復讐を誓う。他のアル=カーイダ系組織も爆撃を非難(2019年9月1日)

新興のアル=カーイダ系組織の一つアンサール・タウヒードは声明を出し、8月31日の米軍によるイドリブ県カファルヤー町近郊の拠点への爆撃で、メンバー2人が死亡したことを明らかにし、弔意を示すとともに、「アッラーのお許しのもと、彼らのため、そしてイスラーム教徒殉教者たちのために我々は復讐する」と宣言した。

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新興のアル=カーイダ系組織の一つで、アンサール・タウヒードとともに「信者を煽れ」作戦司令室を主導するフッラース・ディーン機構も声明を出し、8月31日の米軍によるイドリブ県カファルヤー町近郊のアンサール・タウヒードの拠点への爆撃に関して、「イスラームとその民に対する現代のシオニズム・十字軍の戦争」「イスラーム、その民、そのジハードを標的したもの」と非難した。

また、新興のアル=カーイダ系組織の一つで、「信者を煽れ」作戦司令室に所属するアンサールッディーン戦線も「シャームの民の革命を根絶しようとするもの」と非難した。

AFP, September 2, 2019、ANHA, September 2, 2019、AP, September 2, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 2, 2019、Reuters, September 2, 2019、SANA, September 2, 2019、SOHR, September 2, 2019、UPI, September 2, 2019などをもとに作成。

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YPG主体のシリア民主軍の政治母体であるシリア民主評議会「トルコが脅迫を行うのなら、混乱が拡がり、トルコ自身の安定が終わりを迎えるだろう」(2019年9月1日)

人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の政治母体であるシリア民主評議会の執行委員会議長府は、『シャルク・アウサト』(9月1日付)に対して、「トルコが脅迫を行うのなら、混乱が拡がり、トルコ自身の安定が終わりを迎えるだろう」と述べた。

発言は、8月31日のトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の発言を受けたもの。

エルドアン大統領は、トルコ軍がこの数週間で、米国とともにシリア北東部の国境地帯に設置しようとしている「安全地帯」を掌握できなければ、個別に軍事作戦を実施すると述べていた。

AFP, September 1, 2019、Anadolu Ajansı, August 31, 2019、ANHA, September 1, 2019、AP, September 1, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 1, 2019、Reuters, September 1, 2019、SANA, September 1, 2019、al-Sharq al-Awsat, Setpember 1, 2019、SOHR, September 1, 2019、UPI, September 1, 2019などをもとに作成。

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米主導の有志連合がYPG主体のシリア民主軍とともに県北部で空挺作戦を実施し、政権離反者と農夫を拘束(2019年9月1日)

ラッカ県では、ハーブール(9月1日付)によると、米主導の有志連合が、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍とともに県北部スルーク町に近いジャームース村で空挺作戦を実施し、村人5人を拘束、アイン・イーサー市にある米軍基地に連行された。

5人のうち2人は政権離反者、残りの3人は農業従事者だという。

AFP, September 1, 2019、ANHA, September 1, 2019、AP, September 1, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 1, 2019、al-Khabur, September 1, 2019、Reuters, September 1, 2019、SANA, September 1, 2019、SOHR, September 1, 2019、UPI, September 1, 2019などをもとに作成。

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「イランの民兵」がアレッポ県南東のサルダーフ村とウンム・マイヤール村間の山岳地帯に新たな軍事基地を建設(2019年9月1日)

ノールス研究センター(9月1日付)は、「イランの民兵」がアレッポ県南東のサルダーフ村とウンム・マイヤール村間の山岳地帯に新たな軍事基地を建設したと伝えた。

AFP, September 1, 2019、ANHA, September 1, 2019、AP, September 1, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 1, 2019、Nors for Studies, September 1, 2019、Reuters, September 1, 2019、SANA, September 1, 2019、SOHR, September 1, 2019、UPI, September 1, 2019などをもとに作成。

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ロシアは米軍によるイドリブ県爆撃を非難(2019年9月1日)

ロシア外務省は声明を出し、8月31日に米軍がイドリブ県カファルヤー町にアンサール・タウヒードの拠点を爆撃したことに関して、同地の停戦の監視するロシア、トルコのいずれに対しても事前通告がなかったと発表した。

声明によると、米軍が爆撃したのは、マアッラトミスリーン市・カファルヤー町の地域。

声明は、「米国はロシアとのこれまでのあらゆる合意をこの爆撃により違反した。米国の爆撃はこの地域の停戦維持を危険にさらすものだ」と批判した。

AFP, September 1, 2019、ANHA, September 1, 2019、AP, September 1, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 1, 2019、Reuters, September 1, 2019、SANA, September 1, 2019、SOHR, September 1, 2019、UPI, September 1, 2019などをもとに作成。

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反体制派支配下のサラーキブ市(イドリブ県)で、アサド政権打倒とシャーム解放機構退去を求めるデモ発生(2019年9月1日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、反体制派支配下のサラーキブ市で、ロシア・シリア軍による「虐殺」を非難し、アサド政権の打倒を求めるデモが行われ、住民約500人が参加した(スマート・ニュース(9月1日付)によると、参加者は約1,000人)。

デモ参加者はまた、イドリブ県、ハマー県北西部、アレッポ県南西部、ラタキア県北東部に拡がる緊張緩和地帯第1ゾーンの軍事・治安権限を握り、シリアのアル=カーイダと目されているシャーム解放機構とその指導者であるアブー・ムハンマド・ジャウラーニー氏を非難、「ジャウラーニー、お前は要らない」「ジャウラーニーの魂が呪われますよう」「イドリブは自由だ、自由だ、(シャーム解放)機構は出て行け」といったシュプレヒコールを連呼した。

AFP, September 1, 2019、ANHA, September 1, 2019、AP, September 1, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 1, 2019、Reuters, September 1, 2019、SANA, September 1, 2019、SMART News, September 1, 2019、SOHR, September 1, 2019、UPI, September 1, 2019などをもとに作成。

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『ワタン』:ロシアのプーチン大統領はシリアのアル=カーイダ系組織の解体と自由シリア軍への編入のための猶予をトルコのエルドアン大統領に与える(2019年9月1日)

シリアの日刊紙『ワタン』(9月1日付)は、8月27日のロシアのヴラジミール・プーチン大統領とトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領との会談で、プーチン大統領がエルドアン大統領に対して、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構の組織を解体し、トルコが支援する国民解放戦線(自由シリア軍)に編入するための猶予を与えた、と伝えた。

プーチン大統領はまた、フッラース・ディーン機構、アンサール・タウヒードといったシャーム解放機構以外のアル=カーイダ系組織についても組織解体の猶予期間を与えた。

これらの組織の解体と国民解放戦線への編入は「可能な限り短期間」で行うことが求められているという。

AFP, September 1, 2019、ANHA, September 1, 2019、AP, September 1, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 1, 2019、Reuters, September 1, 2019、SANA, September 1, 2019、SOHR, September 1, 2019、UPI, September 1, 2019、al-Watan, September 1, 2019などをもとに作成。

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トルコ軍とその支援を受ける反体制武装集団が、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊を砲撃、アフリーン解放軍団がこれに応戦(2019年9月1日)

アレッポ県では、ANHA(9月1日付)によると、トルコ軍とその支援を受ける反体制武装集団が、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊のマーリキーヤ村、カルアト・シャワーリガ村一帯(シーラーワー町近郊)を砲撃し、アフリーン解放軍団がこれに応戦し、戦闘となった。

AFP, September 1, 2019、ANHA, September 1, 2019、AP, September 1, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 1, 2019、Reuters, September 1, 2019、SANA, September 1, 2019、SOHR, September 1, 2019、UPI, September 1, 2019などをもとに作成。

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ヒズブッラーはイスラエル領内をミサイル攻撃し、イスラエル軍車輌を破壊、兵士を殺傷(2019年9月1日)

ヒズブッラーが主導する対イスラエル武装抵抗組織のレバノン国民抵抗は声明を出し、9月1日午後4時15分に、占領下パレスチナ(イスラエル)北部のアヴィヴィン入植地に至る街道のイスラエル軍車輌を攻撃し、中にいた兵士複数名を殺傷したと発表した。

攻撃は、24日にイスラエル軍戦闘機がダマスカス郊外県アクラバー村近郊をミサイル攻撃し、ヒズブッラーのメンバー2人が死亡したことへの報復で、レバノン側の発表によると死者数は4人。

イスラエル軍は、この攻撃により負傷者が出たことを認めたが、死者については否定した。

イスラエル軍の発表によると、発射されたのは対戦車ミサイル。

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一方、レバノン軍司令部は、イスラエル軍がこれに対する報復として、ナバティーヤ県ビント・ジュベイル郡のマールーン・ラース村、アイタルーン村、ヤールーン村一帯をクラスター弾や白リン弾40発以上で攻撃、火災が発生した。

これに関して、イスラエル軍のアヴィハイ・アドライ報道官は、イスラエル軍が対抗措置として、ミサイルが発射された地域に向けて迫撃砲約100発を発射し、ヘリコプター複数機で攻撃を加えたと発表した。

AFP, September 1, 2019、ANHA, September 1, 2019、AP, September 1, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 1, 2019、Reuters, September 1, 2019、SANA, September 1, 2019、SOHR, September 1, 2019、UPI, September 1, 2019などをもとに作成。

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シリア・ロシア軍が爆撃を中止するなか、トルコ軍車列がイドリブ県に入る(2019年9月1日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が一方的停戦の発効から2日目(爆撃を激化させてから123日目)となる9月1日、シリア・ロシア軍の爆撃は記録されなかったが、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団の散発的な戦闘は続いた。

シリア人権監視団によると、シリア・ロシア軍が緊張緩和地帯への攻撃を激化させた4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より7人(民間人2人(うち女性1人、子供0人)、シリア軍兵士3人、反体制武装集団戦闘員2人)増えて4,109人となった。

うち、1,048人が民間人(女性186人、子供261人を含む)、1,394人がシリア軍兵士、1,667人が反体制武装集団戦闘員。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がカフルナブル市、ジャルジャナーズ町、ハーッス村、ヒーシュ村、バーブーリーン村、カフルサジュナ村、タッフ村、ダイル・ガルビー村、ダイル・シャルキー村、マアッラト・ハルマ村、キンダ村、マルアンド村、ダイル・サンバル村を砲撃した。

また、シリア人権監視団によると、トルコ軍の車列がカフルルースィーン村に設置された通行所を経由して、シリア領内に入った。

車列は15輌の車輌から編成されており、緊張緩和地帯第1ゾーンのシリア政府支配地域との境界方面に向かったという。

なお、トルコ軍の車列は、8月31日にもシリア領内に入っている。

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ハマー県ではSANA(9月1日付)によると、スーラーン町近郊で反体制武装集団が残していった即席爆弾が爆発し、民間人3人が死亡、2人が負傷した。

一方、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がシャフルナーズ村、クーラ村、マイダーン・ガザール村を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がカッバーナ村一帯、フドル丘を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を33件(アレッポ県6件、イドリブ県10件、ラタキア県10件、ハマー県7件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を12件(アレッポ県3件、イドリブ県7件、ハマー県2件)確認した。

AFP, September 1, 2019、ANHA, September 1, 2019、AP, September 1, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 1, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, September 1, 2019、Reuters, September 1, 2019、SANA, September 1, 2019、SOHR, September 1, 2019、UPI, September 1, 2019などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから417人、ヨルダンから979人の難民が帰国、避難民2人(うちルクバーン・キャンプからの帰還者0人)が帰宅(2019年9月1日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(9月1日付)を公開し、8月31日に難民1,396人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは417人(うち女性125人、子供213人)、ヨルダンから帰国したのは979人(うち女性294人、子供499人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は380,751人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者120,795人(うち女性36,395人、子ども61,532人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者259,956人(うち女性78,021人、子ども132,565人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

45カ国で難民登録したシリア人の数は6,648,041人(うち女性1,994,412人、子供3,390,501人)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 610,031人(うち女性183,074人、子供311,019人)となった。

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一方、国内避難民2人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山の通行所を経由して帰還したのは2人、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所およびハマー県スーラーン町の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

グラーブ山通行所を経由して帰還した2人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は35,284人(うち女性10,924人、子供16,200人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,303,880人(うち女性393,483人、子供659,966人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, September 1, 2019をもとに作成。

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