ジェフリー米国務省シリア問題担当特使「米国はイドリブ県で活動するシャーム解放機構を攻撃するようトルコに呼びかけている」(2019年9月20日)

ジェームズ・ジェフリー米国務省シリア問題担当特使は米日刊紙『ディフェンス・ポスト』(9月20日付)のインタビューに応じ、そのなかで米国が、イドリブ県でトルコとシリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構を交戦させようとしていると述べた。


ジェフリー特使は「シリア北西部のいわゆる「過激派」を根絶しなければならず、イドリブ県で活動するシャーム解放機構を攻撃するようトルコに呼びかけている」と述べた。

一方、「アサド政権とロシアは、イドリブ県にテロリストがいることを口実に、反体制派支配地域を奪還する軍事攻撃を行っているが、これにより民間人300万人以上の命が危険に晒されている」と述べた。

また、北・東シリア自治局の処遇については「米国はシリア政府とその同盟者の侵攻を阻止してきた。今後もこれを続ける」と述べた。

AFP, September 21, 2019、ANHA, September 21, 2019、AP, September 21, 2019、The Defense Post, September 20, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 21, 2019、Reuters, September 21, 2019、SANA, September 21, 2019、SOHR, September 21, 2019、UPI, September 21, 2019などをもとに作成。

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イドリブ県各所でアサド政権打倒とシャーム解放機構退去を求めるデモ、バーブ・ハワー国境通行所近くではトルコ軍に代わってシャーム解放機構がデモ参加者の接近を阻止(2019年9月20日)

イドリブ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(9月20日付)、ザマーン・ワスル(9月20日付)などによると、イドリブ市、サラーキブ市、カフルタハーリーム町、マアッラト・ヌウマーン市で、「アサド打倒は平和への扉だ」と銘打った反体制デモが行われ、アサド政権の打倒とシリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構の退去が要求された。

スマート・ニュース(9月20日付)によると、イドリブ市でのデモ参加者は250人以上、カフルタハーリーム町は数百人、マアッラト・ヌウマーン市は数十人。

デモ参加者は、19日の国連安保理会合で、ロシア(そして中国)がイドリブ県での「人道停戦」を求めたドイツ、ベルギー、クウェート提出の決議案に拒否権を発動したことに対しても抗議の意を示した。

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また、トルコ国境に面するバーブ・ハワー国境通行所近くでも、同様のデモが行われ、数千人が参加した。

デモ参加者のほとんどは国内避難民(IDPs)で、アサド政権の打倒、最近の戦闘でシリア軍が制圧した地域からの撤退と同地への帰村、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構の退去が求められるとともに、トルコに対して、ロシアに圧力をかけイドリブ県への攻撃を停止させるよう呼びかけられた。

デモ参加者は国境通行所に接近したが、デモ参加者は国境通行所に向けて行進したが、シャーム解放機構が検問所を設置し、戦闘員を展開させるなどして進行を阻止した。

同様のデモは8月30日にも行われたが、そのときは、シャーム解放機構ではなく、トルコ軍が催涙ガスなどを発射し、デモ参加者を強制排除した。

なお、クルド民族主義組織の民主統一党(PYD)に近いANHA(9月20日付)によると、デモ参加者はトルコの撤退も求めたという。

AFP, September 20, 2019、ANHA, September 20, 2019、AP, September 20, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 20, 2019、Reuters, September 20, 2019、SANA, September 20, 2019、SMART News, September 20, 2019、SOHR, September 20, 2019、UPI, September 20, 2019、Zaman al-Wasl, September 20, 2019などをもとに作成。

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バーブ・サラーマ国境通行所(アレッポ県)ではYPG主体のシリア民主軍の支配下にある地域の解放を求めるデモ(2019年9月20日)

アレッポ県では、スマート・ニュース(9月20日付)によると、トルコ国境に面するバーブ・サラーマ国境通行所近くでは、「革命の広場への行進」と銘打ったデモが行われ、住民数百人が参加、「シリア革命旗」(委任統治領シリアの国旗)を掲げて、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の支配下にある県北部の解放に向けた行動を呼びかけた。

AFP, September 20, 2019、ANHA, September 20, 2019、AP, September 20, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 20, 2019、Reuters, September 20, 2019、SANA, September 20, 2019、SOHR, September 20, 2019、UPI, September 20, 2019などをもとに作成。

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ダイル・ザウル県ユーフラテス川東岸の政府支配地域でYPGの支援を受けた住民のデモ発生を受けYPG主体のシリア民主軍、シリア軍双方が同地一帯に展開(2019年9月20日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の大規模部隊が、シリア政府支配地域との境界(ユーフラテス川東岸)に位置するジュナイナ村、ジーア村、両村に近い工場地帯に展開した。

これに対して、シリア軍部隊も「イランの民兵」とともに、北・東シリア自治局支配地域に面するユーフラテス川東岸のサーリヒーヤ村、ハトラ村に展開した。

AFP, September 20, 2019、ANHA, September 20, 2019、AP, September 20, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 20, 2019、Reuters, September 20, 2019、SANA, September 20, 2019、SOHR, September 20, 2019、UPI, September 20, 2019などをもとに作成。

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ダイル・ザウル県ユーフラテス川東岸の政府支配地域でYPGの支援を受けた住民がシリア軍と「イランの民兵」撤退を求めるデモ、シリア軍がこれに発砲し2人死亡(2019年9月20日)

ダイル・ザウル県では、ANHA(9月20日付)、ダイル・ザウル24(9月20日付)、オリエント・ニュース(9月20日付)、シリア人権監視団によると、北・東シリア自治局支配地域との境界に位置するユーフラテス川東岸のサーリヒーヤ村(サーリヒーヤト・ジャズィーラ村)でデモが発生し、数百人が参加した。

「解放の金曜日」と銘打ったデモを呼びかけたのは、サーリヒーヤ村、ムッラート村、マズルーム村、フシャーム町、タービヤト・ジャズィーラ村の名士たち。

参加者はシリア軍がこれらの地域を制圧した際に、同地から強制退去させられた人々で、北・東シリア自治局支配地域の住民だけでなく、シリア政府支配地域の住民も含まれていたという。

ダイル・ザウル24によると、北・東シリア自治局支配下の工場地区を出発した参加者は、サーリヒーヤ村に向かって行進、自分たちの村からのシリア軍と「イランの民兵」の撤退、そして帰村を求めるシュプレヒコールを連呼した。

サーリヒーヤ町に到達した彼らは、人民防衛隊(YPG)から直接の支援を受け、同町入り口に設置されているカーズィヤト・サクル検問所からシリア軍を放逐し、同検問所を制圧した。

また、その際、シリア軍准将1人を含む士官複数人を拘束した。

これを受け、シリア軍はデモ参加者に向けて発砲し、これによって住民2人が死亡、11人が負傷した。

AFP, September 20, 2019、ANHA, September 20, 2019、AP, September 20, 2019、Dayr al-Zawr 24, September 20, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 20, 2019、Orient News, September 20, 2019、Reuters, September 20, 2019、SANA, September 20, 2019、SOHR, September 20, 2019、UPI, September 20, 2019などをもとに作成。

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米軍がダイル・ザウル県で空挺作戦を敢行、4人を殺害、多数を拘束・連行(2019年9月20日)

ダイル・ザウル県では、SANA(9月20日付)、ダイル・ザウル24(9月20日付)などによると、米軍ヘリコプター5機がズィーバーン町で空挺作戦を敢行し、住民4人を殺害、多数を拘束・連行した。

空挺作戦には、米軍のF-16戦闘機1機、偵察機1機、装甲車輌10台、さらに人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の部隊数十人が参加、ダーイシュ(イスラーム国)のメンバーが潜伏していると思われる国内避難民(IDPs)の住居1件を急襲したという。

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ハサカ県では、ANHA(9月20日付)によると、ラアス・アイン市の国境地帯で、米・トルコ両軍のヘリコプターが合同偵察活動を実施した。

AFP, September 20, 2019、ANHA, September 20, 2019、AP, September 20, 2019、Dayr al-Zawr 24, September 20, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 20, 2019、Reuters, September 20, 2019、SANA, September 20, 2019、SOHR, September 20, 2019、UPI, September 20, 2019などをもとに作成。

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トルコ軍およびその支援を受ける反体制武装集団が北・東シリア自治局とシリア政府が共同支配するタッル・リフアト市を砲撃(2019年9月20日)

アレッポ県では、アフリーン解放軍団が声明を出し、トルコ占領下のシャッラー村近郊のマリーミーン村近く、マーリア市近郊、アフリーン市で反体制武装集団の拠点を攻撃し、少なくとも8人の戦闘員を殺害したと発表した。

一方、ANHA(9月20日付)によると、北・東シリア自治局とシリア政府が共同支配するタッル・リフアト市にトルコ軍およびその支援を受ける反体制武装集団が撃った迫撃砲弾2発が着弾した。

AFP, September 20, 2019、ANHA, September 20, 2019、AP, September 20, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 20, 2019、Reuters, September 20, 2019、SANA, September 20, 2019、SOHR, September 20, 2019、UPI, September 20, 2019などをもとに作成。

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アレッポ県北部などでシリア軍と反体制派の戦闘が続くも死者なし(2019年9月20日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が一方的停戦を宣言してから20日目(爆撃を激化させてから141日目)を迎えた9月20日、シリア・ロシア軍は爆撃を実施しなかったが、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団の散発的な戦闘は続いた。

シリア・ロシア軍が緊張緩和地帯への攻撃を激化させた4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日と同じ4,145人だった。

内訳は、民間人1,055人(うち女性189人、子供264人)、シリア軍兵士1,408人、反体制武装集団戦闘員1,673人。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がカフルハムラ村、マンスーラ村、アレッポ市ライラムーン地区を砲撃した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がハザーリーン村、マアッラト・スィーン村、シャイフ・ムスタファー村、マアッルズィーター村、カフルサジュナ村、ラカーヤー村を砲撃した。

一方、SANA(9月20日付)によると、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構などの反体制武装集団が、県南東部のアブー・ズフール町に設置されている「人道回廊」を通じてシリア政府支配地域に避難しようとする住民の移動阻止を続けた。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構などの反体制武装集団がズィヤーラ町一帯を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構などの反体制武装集団がトルコマン山一帯のシリア軍拠点を砲撃した。

これに対してシリア軍地上部隊もトルコマン山一帯、カッバーナ村一帯の反体制派拠点を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を32件(イドリブ県11件、ラタキア県10件、アレッポ県9件、ハマー県2件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を19件(イドリブ県9件、ラタキア県5件、アレッポ県3件、ハマー県2件)確認した。

AFP, September 20, 2019、ANHA, September 20, 2019、AP, September 20, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 20, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, September 20, 2019、Reuters, September 20, 2019、SANA, September 20, 2019、SOHR, September 20, 2019、UPI, September 20, 2019などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから396人、ヨルダンから692人の難民が帰国、避難民8人(うちルクバーン・キャンプからの帰還者0人)が帰宅(2019年9月20日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(9月20日付)を公開し、9月19日に難民1,088人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは396人(うち女性118人、子供202人)、ヨルダンから帰国したのは692人(うち女性208人、子供353人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は407,088人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者128,386人(うち女性38,892人、子ども65,778人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者278,702人(うち女性83,647人、子ども142,126人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

45カ国で難民登録したシリア人の数は6,646,677人(うち女性1,994,003人、子供3,389,805人)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 636,368人(うち女性191,197人、子供324,826人)となった。

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一方、国内避難民8人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山の通行所を経由して帰還したのは8人(うち女性1人、子供1人)、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所およびハマー県スーラーン町の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

グラーブ山通行所を経由して帰還した8人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は35,688人(うち女性11,061人、子供16,263人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,304,277人(うち女性393,620人、子供660,029人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, September 20, 2019をもとに作成。

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