ダマスカス県中心部で連続自爆テロが発生、各当事者らが蛮行を強く非難するなか一部の反体制勢力はアサド政権による自作自演を疑う(2011年12月23日)

ダマスカス県内で自爆テロ

ダマスカス県カフルスーサ区で自爆テロが2件連続して発生した。

Kull-na Shuraka’, December 23, 2011
Kull-na Shuraka’, December 23, 2011

SANA(12月23日付)は、「二つのテロ行為は、爆弾がしかけられた車2台の自爆によるもので、国家治安課と治安関連施設の一つを標的とした」、「多数の民間人と軍人が犠牲となり、そのほとんどが民間人である」と報じた。

また「初動調査はこれらのテロ行為がアル=カーイダの犯行であることを示している」と付言した。

国家治安課は内務省所轄の総合情報部内の組織。

また現場の近くには、孤児院、高等教育省、『サウラ』紙本社が隣接する。

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ジハード・マクディスィー外務省報道官は爆発におり民間人と軍人合わせて40人が死亡し、150人が負傷したと述べた。

またシリア治安当局筋によると、死者数は44人、負傷者数は166人にのぼった。

またレバノン当局が22日に、アル=カーイダに属する組織がベカーア県バアルベック郡アルサール地方からシリア領に潜入したとの通告を受けたことを明らかにした。

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BBC(12月23日付)によると、二つの爆発から20分後にシリア政府はアル=カーイダの犯行だと断じる声明を出した。

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SANA, December 23, 2011
SANA, December 23, 2011

事件発生後、アラブ連盟監視団の先遣隊(サミール・サイフ・ヤザル団長)がファイサル・ミクダード外務次官とともに現場を視察した。

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ミクダード外務次官は現場で記者団に対して、シリアが「真のテロ行為に曝されている」と述べるとともに、欧米諸国、そして一部のアラブ当事者が「殺戮」の背後にいると疑った。

SANA, December 23, 2011
SANA, December 23, 2011
SANA, December 23, 2011
SANA, December 23, 2011
SANA, December 23, 2011
SANA, December 23, 2011

また政府の自作自演との反体制勢力の主張に関して、「あいつらは犯罪者で、そのようなことを言う者たちは犯罪者になり、テロや殺戮を根本から支援するような人間だ」と強く非難した。

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『ダマス・ポスト』(12月23日付)は、軍事情報局のルストゥム・ガザーラ少将がダマスカス県での同時自爆テロに関して「二つの事件の背後にいるのはアル=カーイダだけに限られない。別のテロ組織が背後にいるかもしれない」と述べたうえで、近くあらゆる可能性を踏まえたかたちでこの問題に関して公式声明を出す予定であることを明らかにしたと報じた。

反体制運動(掃討)

金曜礼拝後に各地で反体制デモが行われ、『ハヤート』(12月24日付)によると、数万人が参加した。

デモはヒムス県、ハマー県、ダマスカス郊外県、ダルアー県、イドリブ県、ダイル・ザウル県、アレッポ県、ハサカ県、ラタキア県の各地で行われ、アラブ監視団の派遣への抗議の意が示された。

シリア革命総合委員会によると、デモに対する治安維持部隊の弾圧で、ヒムス県(3人)、ハマー県(2人)、ダマスカス郊外県(5人)、ダルアー県(5人)、イドリブ県(5人)、ダイル・ザウル県(5人)、ラタキア県(5人)で少なくとも25人が死亡した。

弾圧では「戦車」や装甲車が多数投入され、「無差別砲撃」や発砲が行われたという。

一方、シリア人権監視団によると、ヒムス市(8人)、ハマー県(2人)、ダマスカス郊外県(1人)で11人が殺害された。

反体制活動家らはFacebookで「殺しの議定書の金曜日」と銘打ってデモを呼びかけていた。

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SANA(12月23日付)によると、ハマー県では、治安維持部隊がハマー市バールーディーヤ地区に潜伏する武装テロ集団を追跡し、メンバー多数を逮捕、大量の武器を押収した。

また同市内で武装テロ集団がしかけた爆弾が爆発し、治安維持部隊の兵士4人が負傷した。

一方、ヒムス県ヒムス市では、治安維持部隊がインシャーアート地区で武装テロ集団と交戦し、1人を殺害し、10人を逮捕した。

また22日に武装テロ集団が誘拐したアブドゥルカリーム・ナッバハーン退役准将の釈放に当局が成功した。

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『クッルナー・シュラカー』(12月23日付)によると、住民、青年調整諸組織、シリア・クルド国民会議などがアームーダー市、ダルバースィーヤ市、ハサカ市、ラアス・アイン市、カーミシュリー市で反体制デモを行った。

しかし、アイン・アラブ市、アフリーン市、ダイリーク市では、西クルディスタン人民議会を主導する民主統一党(PKK系のクルド民族主義組織)との衝突を回避するため反体制デモは控えられた。

SANA, December 23, 2011
SANA, December 23, 2011
SANA, December 23, 2011
SANA, December 23, 2011
SANA, December 23, 2011
SANA, December 23, 2011

アサド政権の動き

SANA(12月23日付)は、ダマスカス県内での同時自爆テロ事件発生を受け、ダマスカス県サブウ・バフラート広場、スワイダー県スワイダー市、タルトゥース県サフサーファ村、アレッポ県アレッポ市、ダルアー県ダルアー市、ラタキア県ラタキア市など各地で、テロ行為拒否、アサド政権の改革支持、外国の干渉拒否を訴える大規模集会が開催されたと報じた。

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『ワフド』(12月23日付)は、在カイロ・シリア大使館がカイロ市内ドッキー地区から転出したと報じた。移転先は不明だという。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会はダマスカス県での自爆テロに対して、アサド政権が「ダマスカスの犯罪的爆破事件の直接の責任を負っている」と非難、同事件が「政府の行動や思考を表現している…。アラブ監視団到着と時を一にして発生した」と政府による自作自演を示唆した。

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『ハヤート』(12月24日付)によると、レバノンを拠点に反体制活動を扇動するウマル・イドリビー氏(シリア国民評議会)は、事件に関して「曖昧な点が多すぎる。なぜなら事件は車で侵入することが困難な厳重警戒区域で発生したからだ」と述べた。

また「アラブ連盟監視団がいるなかで、政府はこの事件を利用して、アラブ連盟閣僚委員会がシリアをめぐって行動することに恐れを抱かそうとしている…。アラブ連盟と国際社会の世論に、シリアがアル=カーイダのメンバーのテロ行為に曝されていると信じさせようとしている」と断じ、アサド政権の自作自演であることを示唆した。

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リーナー・ティービー女史(シリア国民評議会)もまた、『ハヤート』(12月24日付)に対して、「シリア政府にこのような行為を行わせる理由がいくつもある。第1にアラブ連盟監視団先遣隊の到着…、第2に街頭での平和的デモの阻止」と述べ、アサド政権の犯行だとの見方を示した。

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シリア革命情報局を名のる組織は声明を出し、事件に関して、アサド政権がアラブ連盟監視団メンバーの暗殺の意思を示すとの極論を示した。

しかし反体制勢力は「殺しの議定書の金曜日」を呼びかけるなど、アサド政権がアラブ連盟監視団の訪問を受け入れたことに反対しており、監視団メンバーを標的とするという言説は反体制勢力を貶めることにも利用可能である。

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オガレット・ニュース・ネットワーク(12月23日付)は、ある目撃者の話として、「ダマスカスの総合情報部の工作員の一人と連絡した際、早朝に爆発現場の近くに近寄らないよう指示を受けたと明かしていた」と報じた。

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反体制派系ジャーナリストのムハンマド・マンスール氏はFacebookで同時自爆テロの現場に関して、総合情報部内務治安課施設に対する爆弾搭載車による自爆攻撃と軍事情報局地域課の施設「内」での爆破が、アサド政権による自作自演だと綴った。

過去数度にわたって内務治安課の施設に出頭した経験を持つというマンスール氏は、厳重な警備ゆえに自爆攻撃の現場に到達することが事実上不可能であることをその理由としてあげた。

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シリア・ムスリム同胞団のズハイル・サーリム報道官が声明を出し、「アラブ監視団に対する血塗られた歓迎式典」を行ったとして、アサド政権の自作自演であると示唆した。

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AKI(12月23日付)は、ジャズィーラ地方(ユーフラテス川東岸)のキリスト教諸派の代表は、反体制運動弾圧の被害者に哀悼の意を表して、クリスマスの祝祭を自粛することを決定したと報じた。

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占領地ゴラン高原のマジュダル・シャムス村でアサド政権打倒とゴラン高原解放を求めるデモが発生した。

またイスラエルに身柄拘束中のウィアーム・アンマーシャ氏は獄中で「シリア革命ゴラン調整」組織の結成を宣言した。

レバノンの動き

ミシェル・スライマーン大統領は、アサド大統領と電話会談を行い、「爆破テロ」への非難の意を示すとともに、「監視団先遣隊のシリア到着と時を一にして行われた犯行は、シリアとアラブ連盟の合意に基づくアラブによる収拾を覆そうとするものである」と述べた。

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一方、サウジアラビアで事実上の亡命生活を送るサアド・ハリーリー前首相は、ツイッターで政権がアラブ監視団を標的としたことが「もっとも可能性が高い」とつぶやいた。

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レバノンのアドナーン・マンスール外務大臣は、「シリアは同国領からのテロリストの潜入に関してレバノン側に正式に通達していないが、ファーイズ・グスン国防大臣が本件に関して2日前に述べたことは、両国間をこうした武装集団が移動していると指摘し得るということである」と述べた。

またハリーリー前首相のツイッターの書き込みに関して、「証拠がないまま疑いを向けることは許されない」と一刀両断した。

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ヒズブッラーは声明を出し、ダマスカスでの自爆テロに関して「米国と(中東)地域におけるその手先がダマスカスの爆破事件の背後にいる…。女性や子供など多数の死者を出したこれらの爆破は、テロの母である米国の専門だ」と非難した。

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アサド政権を支持するマラダ潮流のスライマーン・フランジーヤ代表、シリア民族社会党のアスアド・ハルダーン党首もダマスカスでの自爆テロを厳しく非難した。

パレスチナ・レジスタンスの動き

『ハヤート』(12月23日付)はイスラーム主義者筋の話として、ハマース指導部がシリア国外への移転を検討していると報じた。

同消息筋によると、ハマースとアサド政権はシリア国内での反体制運動への対応をめぐり関係がぎくしゃくしており、ハーリド・ミシュアル政治局長以外の幹部はすでにシリアを去っている、という。

またアサド大統領は、アラブの春がシリアに波及する前にミシュアル政治局が改革を主唱したことに不信感を抱き、面談を拒否しているという。

その後、ミシュアル政治局長はレバノンを極秘訪問し、ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長と会談し、反体制運動弾圧で犠牲が出るなかでアサド政権を支持できないと伝えたとのこと。

これに対して、ナスルッラー書記長は自身を交えた三者会談をアサド大統領に申し入れたが、会談は実現しなかった。

諸外国の動き

ロシアは爆破テロを受けて、国連安保理に二つの決議案を提出した。

第1の決議はアラブ連盟監視団の展開を歓迎する決議案で、西側外交筋によると、同決議案はその内容がシリア情勢を部分的にしかとりあげていないとの理由で、西側諸国により却下されるものと予想される。

第2の決議は12月15日に提出された決議案の修正案で、ダマスカスでのテロを非難する文言が付記されているという。

一方、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はロイター通信(12月23日付)に対して、イエメンでの事態収拾に向けた努力とシリア情勢を比較し、「イエメンでは…すべての外国のアクターは忍耐強く、最後通告を発することなくすべての当事者と対峙し、関係正常化を促している。シリアの問題においてもこのようにすることが必要だ」と述べた。

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米国は、爆破テロを強く非難しつつ、「こうした攻撃によって監視団の活動が妨害されないようにする必要がある」との姿勢を示した。

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国連の潘基本事務総長は、爆破テロに関して「ダマスカスでの暴力の激化」を非難した。

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ドイツ外務省はシリア国内での「野蛮な」弾圧に抗議するため駐シリア・ドイツ大使を召還したと発表した。

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欧州議会の緑グループがシリアの反体制勢力支持とシリア国民評議会の承認を呼びかけた。

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スイス経済省は、対シリア制裁の一環として同国内の5,000万スイス・フランの資産を凍結したと発表した。

Akhbar al-Sharq, December 23, 2011, December 24, 2011, December 25, 2011、AKI, December 23, 2011、BBC, December 23, 2011、Damas Post, December 23, 2011、Facebook、al-Hayat, December 23, 2011, December 24, 2011、Kull-na Shuraka’, December 23, 2011、Naharnet.com, December 23, 2011、NNA, December 23, 2011、SANA, December 23, 2011、Ugarit News Network, December 23, 2011、al-Wafd, December 23, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

レバノン治安当局がシリア政府に対して「ベカーア県からシリア領内にアル=カーイダのメンバーが潜入している」との連絡を行う(2011年12月21日)

反体制(武装)運動掃討

在外の反体制組織、西側およびアラブ各紙は、12月20日以降のアサド政権による離反兵(脱走兵)などへの掃討作戦の被害者数を累積して報じることで、被害を誇張した。

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シリア人権監視団は、イドリブ県カフルウアイド市での「虐殺」などで12月20日に少なくとも111人が殺害され、うち56人の身元を確認したと改めて発表した。

またトルコ国境地帯で離反兵が12月18日以降、軍用車輌17台を襲撃・破壊したと発表した。

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シリア革命総合委員会は、ヒムス県のヒムス市、タルビーサ市、クサイル市など、ダマスカス郊外県のハラスター市、ドゥーマー市で軍・治安部隊が激しい発砲を行ったと発表した。

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地元調整諸委員会はウェブサイトなどを通じて、ヒムス県、ラタキア県、ダマスカス郊外県各都市、ダルアー県などで反体制デモが行われたと発表した。

しかしこれらの反体制組織の情報の真偽は確認できない。

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『読売新聞』(12月22日朝刊)は、「シリア政府軍は20日、北部イドリブ県で反体制派に対する攻撃を強め、AFP通信が伝えた人権団体の情報によると、市民ら少なくとも111人が死亡した」と誇張したが、アラブ各紙によると殺害されたほとんどは離反兵(脱走兵)である。

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一方、SANA(12月21日付)は、ヒムス県クサイル市で軍・治安部隊が武装テロ集団と交戦し、武装テロ集団メンバー1人を殺害したと報じた。

Kull-na Shuraka’, December 22, 2011
Kull-na Shuraka’, December 22, 2011

またSANA(12月21日付)によると、ヒムス市シャンマース地区で武装テロ集団が治安維持部隊の車輌を襲撃し、乗っていた大佐が重傷を負った。

また同市内の乗り合いタクシーが襲撃され、市民1人が死亡した。

さらにイドリブ県、ダルアー県では、治安当局が武装テロ集団掃討を続け、数十人の指名手配者を逮捕した。

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『クッルナー・シュラカー』(12月22日付)はアレッポ市内で弁護士3人が誘拐されたと報じた。

反体制運動の動き

シリア人権監視団による被害状況の累計発表と時を一にするかたちで、シリア国民評議会は声明を出し、「政府が行う恐るべき虐殺」を停止するための緊急会合を開催し、「治安維持地域」を設定するよう国連安保理に呼びかけた。

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共産主義行動党メンバーで国民民主変革諸勢力国民調整委員会執行部メンバーのアブドゥルアズィーズ・ハイイル氏が当局に渡航を禁止され、逮捕された。

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シリア人権委員会がザーウィヤ山での虐殺の被害者の氏名を発表した。

アサド政権の動き

SANA, December 21, 2011
SANA, December 21, 2011
SANA, December 21, 2011
SANA, December 21, 2011

SANA(12月21日付)は、「家を守る者たちよ、あなたがたのもとに平安あれ」(シリア国家の最初の句)という名を冠した団体が主催するかたちで、ダマスカス県ウマウィーイーン広場で「シリアに対する陰謀」に抵抗して命を落とした軍の戦死者を追悼し、アサド政権による改革支持、外国の干渉反対を訴える大規模集会が開催された、と報じた。

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SANA(12月21日付)は、シリア・アラブ共和国憲法草案準備委員会が20日に引き続いて会合を開き、大統領、首相の権限など行政府に関する条文案の審議を完了したと報じた。

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SANA(12月21日付)は、アレッポ県アレッポ氏サアドゥッラー・ジャービリー広場(サアドゥッラー・ジャービリー地区)で「シリアの母、愛のキャラバン」と名づけられた団体が外国の介入拒否への賛同を求める署名運動を開始した、と報じた。

レバノンをめぐる動き

SANA(12月21日付)は、レバノン政府筋の話として、レバノン治安当局がシリア政府に対して、ベカーア県バアルベック郡アルサール地方からシリア領内にアル=カーイダのメンバーが潜入しているとの連絡を行ったと報じた。

これに先だって、20日にはレバノンのファーイズ・グスン国防大臣が、アル=カーイダが「シリアの反体制活動家を装って」シリア領からベカーア県バアルベック郡アルサール地方を経由してレバノン領内に潜入していると述べていた。

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これに対して、ベカーア県バアルベック郡アルサール地方議会および知事が声明を出し、アル=カーイダが潜入しているとのファーイズ・グスン国防大臣の発表を否定し、シリア軍によるレバノン領への侵害を阻止するためむしろ国軍を国境地帯に展開させるべきだと主張した。

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『サフィール』のムハンマド・ダフヌーン特派員がダマスカス県マイダーン地区で反体制抗議行動を取材中に治安機関に身柄を拘束された。同紙筋が明らかにした。

諸外国の動き

在ダマスカス・イラン大使館は、21日のSANAなどの報道を受けるかたちで、ヒムス県内の発電所でイラン人技術者5人が何者かに誘拐されたと発表し、釈放を要求した。

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イラクのアリー・ムーサウィー首相付広報顧問は、『ハヤート』(12月22日付)に対して、来週、シリアの反体制勢力指導者を招聘し、その要求をとりまとめるための拡大会合を開催すると発表した。

同情報顧問によると、この動きは、イラクによる事態打開のためのイニシアチブの一環をなす。

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ジェイ・カーニー米ホワイトハウス報道官は声明を出し、アサド大統領が政権を去ることがシリア国民の求める変化を実現する唯一の方法」と述べるとともに、「アラブ連盟イニシアチブを完全履行しない場合、国際社会がさらなる措置を講じる」と脅迫した。

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フランスのベルナール・ヴァレロ外務省報道官は、シリア人権監視団などによる累積被害の報告を受けるかたちで、シリア軍による離反兵掃討を「前例のない虐殺」と非難した。

AFP, December 21, 2011、Akhbar al-Sharq, December 21, 2011, December 22, 2011、al-Hayat, December 22, 2011、Kull-na Shuraka’, December 21, 2011, December 22, 2011、Naharnet.com,
December 21, 2011、Reuters, December 21, 2011、SANA, December 21, 2011、UPI,
December 21, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

イラン・シリアの経済協力フォローアップ委員会会合が閉幕、イスラエル国防軍公式ラジオの記者が「アサド大統領の指導下での民主化を国際社会が支持すべき」との見解を述べる(2011年12月14日)

アサド政権の動き

SANA(12月14日付)はイラン・シリアの経済協力フォローアップ委員会会合が閉幕したと報じた。

会合では、シリアからイランへの輸出品68品目の関税率を60%引き下げる優遇措置が合意された。

SANA, December 14, 2011
SANA, December 14, 2011

会合後、アーディル・サファル首相がイランのアリー・ネクザード運輸大臣と会談し、シリア・イラン関係の維持強化を確認したと報じた。

反体制(武装)運動

ロイター通信(12月14日付)は、元政治犯でアラウィー派のムハンマド・サーリフ氏が、同氏の親戚4人がヒムス県ヒムス市で過去数週間の間に武装したスンナ派によって殺害されたと語ったと報じた。

サーリフ氏によると、親戚はアラウィー派であったために殺害されたという。

サーリフ氏はシリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長が11月に発表した宗派主義的殺戮に反対する声明の作成にあたった人物。

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ハマー県では、複数の活動家によると、軍・治安部隊の発砲で13人が殺害された。

またシリア人権機構、シリア人権監視団によると、アシャーリナ村近くで離反兵が軍のジープ4台を要撃し、兵士8人を殺害した。

この要撃は、軍がハッターブ村で市民が乗った車を攻撃し、5人を殺害したことへの報復だという。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ラジャート高原で離反兵と軍・治安部隊が交戦し、後者の兵士3人が負傷した。

また軍・治安部隊がフラーク市に侵入し、逮捕・追跡作戦を行った。

このほか、ブスル・ハリール市、ジャースィム市ではシリア革命総合委員会によると、軍・治安部隊による砲撃が行われた。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ゼネスト解除のためにルクンッディーン区に治安部隊が多数展開した。

シリア革命総合委員会によると、バルザ区で、ゼネスト解除のために治安部隊が展開した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市で電話が不通となり、総合情報部施設近くで銃声が聞こえた。

ムウダミーヤト・シャーム市では、複数の活動家によると、治安部隊が家々に発砲した。

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イドリブ県では、サラーキブ市で活動家多数が逮捕された。

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ヒムス県とレバノンのベカーア県バアルベック郡アルサール地域の間の国境地帯で軍・治安部隊が市民に発砲し、レバノン人2人(羊飼い)、シリア人5人が負傷した。負傷者たちはレバノン領内に搬送された。

MTV(12月14日付)によると、シリア軍はレバノン領内で発砲した。

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ラタキア県では、SANA(12月14日付)によると、ラタキア市で武装テロ集団がしかけた爆弾2発が発見され、爆発物処理班が撤去した。

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シリア人権監視団は、14日の死者が24人に達したと発表した。

24人中13人はハマー県で、5人はヒムス県ヒムス市、3人がイドリブ県マアッラトミスリーン市、1人がダルアー県、1人がダイル・ザウル県、1人(イラク人)がダマスカス郊外県ザバダーニー市で殺害されたという。

反体制勢力の動き

シリア・クルド民主合意は、シリア・クルド国民評議会(シリア・クルド国民大会)への参加を表明した。

シリア・クルド国民評議会(シリア・クルド国民大会)に関してはhttp://www.ac.auone-net.jp/~alsham/2011_10/27.htmlを参照。

レバノンの動き

レバノンの3月14日勢力事務局は定例会合を開き、UNIFIL(フランス軍)の攻撃に関して、アサド政権が事件の背後にいると主張するとともに、「ヒズブッラーも攻撃の責任を負っている。なぜなら同組織は南部とUNIFIL展開地域の治安を掌握しているからだ…。同組織が疑わしい活動に気づかないことなどあり得ない」と非難した。

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レバノンのヒズブッラーとアマル運動はサイダー市で幹部会合を開き、UNIFIL(フランス軍)に対する攻撃を非難するとともに、関係当局による事件の調査と容疑者逮捕を求める一方、UNIFILに対して国連安保理決議第1701号に従い、引き続きレバノン国軍の支援を行うよう強調した。

諸外国の動き

イラン外務省のアラブ・アフリカ問題担当のフセイン・ホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン次官補は、カタールのハーリド・ビン・ムハンマド・アティーヤ外務担当国務大臣と会談し、シリア情勢に関して、国民の殺戮を支持しないとしつつも、アサド政権への圧力を拒否すると述べた。

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トルコ外交筋はAFP(12月15日付)に対して、キリス市にシリア人避難民を収容するキャンプ(総面積31.5ヘクタール)を建設中で、現在国境地帯に点在するキャンプで避難生活を送るすべてのシリア人を一カ所に収容すると述べた。

同報道によると、現在トルコで避難生活を送るシリア人の数は8,525人。

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国連の潘基文事務総長は記者会見で、シリア情勢に関して、「5,000人以上がシリアで命を落とした…。現状が続くことがあってはならない」と述べ、国際社会に対して行動を呼びかけた。

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米国務省でシリア問題を担当するフレデリック・ホフ氏は米議会の公聴会で、アサド政権を「生ける屍の集団」と形容、アラブ連盟のイニシアチブが失敗した場合、国際社会が体制による弾圧からシリア国民を保護するために行動すべきだと証言した。

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ヨルダンの首都アンマンで、シリア国民支援アラブ委員会(アリー・アブー・スッカル議長)が発足した。

同委員会はシリア国内での反体制運動の支援、シリア国民への救援などを目的とする。

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『フィナンシャル・タイムズ』(12月14日付)は、中化集団公司(シノケム)の傘下にあるエメラルド・エナジー社がEUの対シリア経済制裁に従うことに同意したと報じた。

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ガレイ・ザハル(イスラエル国防軍のラジオ)のアラブ問題記者ジャッキー・ホーギー氏はグローブス(12月14日付)に寄稿し、アサド大統領の指導下での民主化を国際社会が支持すべきだと述べた。

同記事によると、ホーギー氏は「彼(アサド大統領)が去れば、整然とその権威を継承する者などいないし、誰がどのように支配するかも分からなくなる…。アサドの退任を切望する者は、アラブ世界の心臓部分にあらたな不安定地点を生み出すことを主唱しているようなもので…そこにはリアルポリティクスが考慮されていない」と述べた。

また「シリアのバッシャール・アサド大統領が支援を必要としているのなら、西側は危機解決策を案出するため真摯な外交努力を行うべきだ」と付言した。

http://www.globes.co.il/serveen/globes/docview.asp?did=1000706768&fid=4111

AFP, December 14, 2011、Akhbar al-Sharq, December 14, 2011, December 15, 2011、The Financial Times, December 14, 2011、Globes-Onlines, December 14, 2011、al-Hayat, December 15, 2011, December 16, 2011、Kull-na Shuraka, December 14, 2011、MTV,
December 14, 2011、Naharnet.com, December 14, 2011、Reuters, December 14,
2011、SANA, December 14, 2011などをもとに作成。

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シリア全国で統一地方選挙の投票が実施されるなか、イラクのマーリキー首相がオバマ米大統領と会談しシリア情勢について議論(2011年12月12日のシリア情勢

統一地方選挙

統一地方選挙の投票が全国で実施された。

これに関して、SANA(12月12日付)は、約1400万人が投票を行ったと報じる一方、「選挙法にかかる2011年政令第101号の初めての実質的実施と見なし得るもので、人民議会および地方議会の議員選出を調整するための礎石となり、健全な選挙プロセス、立候補者の権利…、有権者の投票の自由…を保障する」動きだと評価した。

SANA, December 12, 2011
SANA, December 12, 2011

しかしSNN、オガレット・ニュース・ネットワークといった反体制メディアや調整連合などは、ダルアー県、スワイダー県ハウラーン地方、ヒムス県、イドリブ県の各都市では、ゼネストによって投票は完全にボイコットされたと反論した。

またシリア人権監視団は、「イドリブ県では数十人が投票場に行っただけ」と発表した。

反体制(武装)運動掃討

シリア革命総合委員会によると、イドリブ県で市民3人、ハマー県で3人、ヒムス県で1人が治安部隊の弾圧で殺害された。

またシリア人権監視団によると、軍・治安部隊と離反兵による戦闘がイドリブ県、ダルアー県で続いた。

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これに対して、SANA(12月12日付)は、イドリブ県アイン・バイダー村の国境警備隊が、トルコ領内からの潜入を試みた武装テロ集団15人を殺害したと報じた。

またサラーキブ市近くでガーニム・イブラーヒーム・ハサン准将(アサド軍事工科大学付)が暗殺された。

さらに軍・治安部隊とシャッビーハが、トルコ国境に近いマアッラトミスリーン市とカフル・ヤフムール村に突入し、17人を殺害した。

住民はこの突入に対して幹線道路を封鎖して対抗、また軍・治安部隊に離反兵が反撃したほか、イドリブ・バーブ・ハワー街道を巡回する治安部隊を襲撃し、士官1人を含む7人を殺害した。

一方、ダルアー県では、武装テロ集団がスィフム・ジャウラーン地方の治安維持部隊を襲撃し、隊員3人を殺害したと報じた。

またこれに対して、軍・治安部隊が応戦し、テロリスト4人を殺害したと報じた。

さらにヒムス県タッルカラフ地方で武装テロ集団が投票所を襲撃し、投票箱を奪ったが、関係当局がこれを奪還したと報じた。

またヒムス市内各所で軍・治安部隊が武装テロ集団と交戦し、テロ集団の指導者など多数を逮捕したと報じた。

ハマー県では、ムハルダ市近郊の街道に武装テロ集団がしかけた爆弾3発が爆発したと報じた。

反体制勢力の動き

武装闘争の是非をめぐって、シリア国民評議会と自由シリア軍の見解の相違が改めて浮き彫りになった。

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シリア革命支援委員会のマフムード・ハムザ代表はRT(12月12日付)に対して、シリア国民評議会が民間人保護のために国連での対シリア非難決議の採択を求めていると述べた。

また反体制抗議行動に関して「個人的に行われる一部の事件を除いて、100%平和的だ」と断じつつ、シリア国民評議会が自由シリア軍に「民間人支援のための政治的な支援」を求めていることを明らかにした。

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自由シリア軍メンバーでトルコのアンタキアで避難生活を送るアイハム・クルディー大尉はロイター通信(12月12日付)に対して、同軍がさらなる武器弾薬を必要としているとしたうえで、シリアが内戦、ないしは長期的紛争に突入することを回避するために外国の介入が不可避だとの見方を示した。

また同大尉によると、現在も小隊、連隊レベルでの離反が相次いでおり、その数は10,000人以上に達しているという。

レバノンをめぐる動き

レバノン南部県のUNIFIL展開地域のマジュダル・スィリム村のカースィーヤ渓谷からイスラエル領に向かってカチューシャ砲が発射された。

砲弾はイスラエル領に達せず、レバノン領内のフーラー村に着弾、女性1人(55歳)が負傷した。

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外務省のジハード・マクディスィー報道官は、フランスのアラン・ジュペ外務大臣が12月9日のUNIFIL襲撃へのアサド政権とヒズブッラーの関与を推定したことに「外務省はシリアとのこの行為とのいかなる関係をも断固として否定する」反論した。

またジュペ外務大臣の発言およびそれに類する発言が「いかなる証拠も書いており、シリアをめぐる事実のねつ造」をねらっていると指摘した。

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ヒズブッラーはフランスのアラン・ジュペ外務大臣の発言に関して声明を出し、そのなかで、「ジュペはシリアとヒズブッラーを露骨に非難した。しかし彼自身、自分の言葉を裏付ける証拠を持っていないと認めている」と述べ、UNIFIL(フランス軍)攻撃への嫌疑を否定した。

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レバノンの進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首はムフタール市での党祝典で、UNIFIL(フランス軍)の攻撃に関して、「我々は昨日ロケット弾によるメッセージを受け取った。これは危険なメッセージであり、レバノン領を経由し、レバノンの安定、南部、レバノン全土を犠牲として我々の隣国からフランスに対して送られたものだと思われる」と述べ、アサド政権の関与を示唆した。

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イスラエルの国営ラジオ(12月13日付)は、イスラエル治安筋の話として、ロケット弾がイスラエル領内のキルヤト・シュモナを標的としていたと述べるとともに、「ヒズブッラーの継続的な火遊びは治安悪化をもたらす」と非難したと報じた。

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『サフィール』(12月13日付)は、ナジーブ・ミーカーティー内閣閣議で、3月8日勢力の一部閣僚が、UNHCRが検討しているシリア人避難民の難民登録およびキャンプ設営措置に関して、「政治、行政、財政、治安、人口的」な負担との立場を示し、拒否したと報じた。

アサド政権の動き

『クドゥス・アラビー』(12月12日付)は、シリア・アラブ共和国憲法草案準備委員会において、大統領の資格要件として、一部の委員が「大統領の宗教はイスラーム教である」との規定を削除することを求める一方、大多数の委員はこの提案に反対していると報じた。

同報道は複数の消息筋の話として、このほか大統領の任期は1期7年とし、資格年齢は40歳に戻されることが濃厚だという。

一方、公用語に関してアラビア語以外の言語を認定しないというのが委員全員の意見で、宗派マイノリティ、エスニック・マイノリティに関する規定も盛り込まない方針だという。

「バアス党は国家と社会を指導する党である」と定めた憲法第8条は廃止され、多党制が明記されるという。

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ファールーク・シャルア副大統領はムハンマド・リダー駐シリア・イラン大使と会談した。

複数のイラン消息筋によると、会談でシャルア副大統領は、イランとシリアの戦略的関係の重要性を強調するとともに、「米国と西側の各国体制は腐敗しており、中東地域の国民にアイデンティティを押しつけようとしている」と非難した。

一方、アラブ連盟によるイニシアチブに関して、「我々はアラブ連盟との対話に合意しているが、彼らはシリアにおける外国の干渉を拒否せねばならない」と述べた。

諸外国の動き

イラクのヌーリー・マーリキー首相が米国を訪問し、バラク・オバマ大統領と会談した。

両首脳は、米軍のイラク撤退後の両国間の戦略合意の活性化に関して確認した。

だが、シリア情勢に関しては、認識の違いが浮き彫りになった。

すなわち、マーリキー首相は、アサド政権とシリアの反体制勢力の仲介におけるイラクのイニシアチブを強調し、アサド大統領に退任を要求する権利はないとの姿勢を明示したのに対し、オバマ大統領は、アサド政権の正統性が「国民を殺したことで失われた」と述べた。

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ガルフサンズ石油社によると、同社および中国シノケム社が西側諸国の対シリア経済制裁強化を受けるかたちで、シリア国内での操業を停止した。

またこれに先立ち、カナダのサンコール・エナジー社もシリア国内での操業中止を発表した。

Akhbar al-Sharq, December 12, 2011、AFP, December 12, 2011、al-Hayat, December 13, 2011、Kull-na Shuraka, December 12, 2011、Naharnet.com, December
12, 2011, December 13, 2011、al-Quds al-‘Arabi, December 12, 2011、al-Safir, December 13, 2011、SANA, December 12, 2011、Reuters, December 12, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ナスルッラー書記長が3年超ぶりに大衆の前に姿を現しアサド政権への支持を改めて表明、シリア国民評議会のメンバーらがジュネーブでクリントン米国務長官と会談しポスト・アサド体制について議論(2011年12月6日)

ヒズブッラー書記長の演説

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長がアーシューラーを記念してベイルート郊外(ダーヒヤ)に姿を現し、支持者らの前で演説、アサド政権への支持を改めて表明、シリアの反体制勢力を非難した。

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ナスルッラー書記長が大衆の前に姿を現すのは、2008年7月以来初めてで、会場には数十万人が集まった。

演説で、ナスルッラー書記長はシリア情勢に関して以下のように述べた。

「我々の立場は当初から明確だ。我々はシリア政府が同意し、シリア国民が主唱している改革を支持している…。また我々はレジスタンスを行い…、レジスタンス運動を支援してきた国家を支持する…。しかしシリアで改革、安全、治安、対話、国民の平和を望まず、破壊を望んでいいる者がいる…。イスタンブールで結成され、一部の西側・アラブ諸国が支持するシリア国民評議会は、米国とイスラエルへの信任状を提示した…。シリアにおいて(反体制勢力によって)求められているのは、改革、汚職撲滅、多元主義などではない。裏切りと屈服の体制だ…」。

http://www.youtube.com/watch?v=l30bz-9R-48

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反体制(武装)闘争

イドリブ県では、SANA(12月6日付)によると、アイン・バイダー村のシリア・トルコ国境地域において、トルコ側から武装テロ集団約35人が潜入を試み、国境警備隊が交戦の末にこれを阻止した。

同報道によると、この交戦によって、武装テロ集団メンバー多数が負傷し、一部はトルコ側に逃げ去った。

また逃げ去ったトルコ領内では、逃げ帰った負傷者らを搬送する車の音が聞こえた、という。国境警備隊側に死傷者はなかった。

しかし、トルコ外務省は、シリア側のこの報道を否定した。

またシリア革命総合委員会によると、県内で1人が治安部隊によって殺害された。

このほか、複数の活動家によると、カフルタハーリーム村に、17台の軍車輌が侵入し、弾圧を行った。

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ヒムス県では、シリア革命総合委員会によると、ヒムス市で21人が治安部隊によって殺害された。

複数の活動家によると、ヒムス市ダイル・バアルバ地区では、12回にわたった爆発音が聞こえ、激しい銃声が鳴り響いた。

一方、シリア人権監視団によると、ヒムス市ズハラー地区でシャッビーハに誘拐されたとされる市民34人の遺体が発見された。ズハラー地区はアサド政権支持者が多く住む地区。

これに対し、SANA(12月6日付)は、武装テロ集団が、空軍パイロットのクサイ・ハーミド・ムスタファー大佐をヒムス市マサーキン・ミスファー地区にある自宅前で襲撃、暗殺したと報じた。

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ダルアー県では、シリア人権監視団と地元調整諸委員会によると、ダーイル町で離反兵と軍が激しい交戦を行う一方、治安部隊が同市周辺地域で大規模な逮捕・追跡活動を行った。

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ハマー県では、シリア革命総合委員会によると、1人が治安部隊によって殺害された。

一方、SANA(12月6日付)によると、ハマー県郊外で、武装テロ集団が、教員2人を誘拐、殺害した。

またこのほかにも市民3人を惨殺したという。

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ダマスカス郊外県では、複数の活動家によると、ハラスター市で共和国護衛隊に援護された治安部隊が逮捕・追跡活動を行った。

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アレッポ県では、シリア・クルド青年調整連合アレッポ調整委員会は声明を出し、アレッポ大学経済学部前で学生が反体制デモを行ったと発表した。

しかしまもなく治安部隊が排除し、学生数十人を逮捕したという。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長はパリでCNN(12月6日付)のインタビューに応え、イランがシリア国民の弾圧に「荷担している」と非難し、アサド政権支持を止めるよう求め、「これが、シリア・イラン関係に関して我々が望んでいない結末を回避する最後のチャンスだ」と警告した。

ガルユーン事務局長はまた、レバノンのヒズブッラーに関して「シリア国民は、ヒズブッラーを完全に支持していた。しかし今日、国民はヒズブッラーがこの善意に答えず、自由のためのシリア国民の闘争を支持していないことに驚いている」と述べた。

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シリア国民評議会メンバー7人からなる使節団がヒラリー・クリントン米国務長官とジュネーブで会談した。

使節団は、ブルハーン・ガルユーン事務局長、バスマ・カドマーニー報道官、ハイサム・マーリフ弁護士ら。

会談でクリントン米国務長官は、「体制打倒以上の内容の民主的平和的プロセス」を保障し、ポスト・アサド体制において、「法による支配、人権尊重を宗派、人種を問わず保障する」ことを反体制勢力に求めた。

シリア国民評議会のナジーブ・ガドバーン氏(在米)は、ヒラリー・クリントン米国務長官との会談で、評議会の使節団が、「ボスニア紛争時のようにシリアの民間人を保護するための回廊の設置を求めた」と述べたうえで、同回廊の設置が「ある種の航空禁止空域の設定」をもって始動するべきだとの考え方を示した。

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その後、シリア国民評議会の使節団(ガルユーン事務局長ら)はアルジェリアへと発った。

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シリア国民評議会のバスマ・カドマーニー報道官は、評議会のメンバーがEU議会でのシリア情勢に関するシンポジウムで、300万人の生活必需品が不足しているとしたうえで、事態が「急速に悪化し、深刻な人道的危機に達しつつある」と窮状を訴えたと述べた。

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トルコのアンタリアを拠点とするシリア変革大会のアンマール・カルビー事務局長とウマル・ミクダード氏は、アンカラのドイツ大使館の招きで西側諸国10カ国の代表と会談した。

カルビー事務局長はこの会談で、アサド政権打倒や反体制勢力統合の必要を訴えた。

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12月6日、英国のスカイ・ニュースがヒムス県への潜入ルポを放映した。

http://www.youtube.com/watch?v=j4OtU7ZqaFs&feature=player_embedded

http://www.youtube.com/watch?v=j4OtU7ZqaFs&feature=player_embedded

アサド政権の動き

AFP(12月6日付)は、ABCがアサド大統領に単独インタビューを行ったと報じた。西側のテレビ局が大統領にインタビューするのは3月以降で初めて。12月7日に放映予定。

諸外国の動き

イスラエルのエフド・バラク国防大臣は、占領地ゴラン高原での軍事演習後に、アサド政権の崩壊は「数週間ないしは数ヶ月」という時間の問題だと述べた。国防相が明らかにした。

またアサド政権が崩壊し、シリアの反体制勢力が先進兵器を接収しないよう、ヒズブッラーがこれらの兵器をシリアから持ち出そうとしていると警鐘をならした。

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『サバフ』(12月6日付)は、トルコがシリアに対シリア経済制裁と合わせて、シリアの諜報機関との協力を停止したと報じた。

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ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣は、ヨルダン上院外交委員会で、シリア情勢に関して「アラブの家の枠組みのなかでシリア情勢を解決する」ことを支持すると述べ、西側諸国や国連の介入に消極的な意思を示した。

またアラブ連盟の対シリア経済制裁に関しては、「ヨルダンにはシリアと経済的な利益をともにし、国境、水をめぐる問題を共有し、シリアには多くのヨルダン人学生がいる。それゆえ、経済制裁に関する例外を近隣諸国に設けるよう求めた」と述べた。

ヨルダン公式筋によると、ヨルダン政府は、対シリア経済制裁の被害を抑えることを任務とした経済セクター最高委員会を設置した。

一方、信頼できる消息筋が『ハヤート』(12月7日付)に述べたところによると、ヨルダンの銀行は、連盟の制裁発動前にシリア中央銀行やシリア商業銀行との取引を停止していたという。

これは西側諸国などがすでに科している対シリア経済制裁の被害が及ぶことを回避するための措置だとのこと。

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米高官は、10月下旬にシリアから「避難していた」ロバート・フォード米大使が12月7日にダマスカスに戻ることを明らかにした。

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『ハヤート』(12月7日付)は、アラブ連盟のアフマド・ベン・ヒッリー事務副長の話として、ナビール・アラビー事務総長がシリア政府からの議定書調印に関するメッセージへの対応として、事務局長による回答、緊急外相会議の会合という二つの選択肢があり得ると報じた。

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ロシアのミハイル・ボグダノフ外務次官は、イタル・タス通信(12月6日付)に対して、ロシアがシリアに監視団を派遣する準備があることを明らかにした。

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フランスの石油会社Total社は、EUによる対シリア追加制裁に応じるかたちで、「授業員の安全を何よりも確保するため」、ダイル・ザウル県でのガス開発計画など、シリア国内での操業を停止したと発表した。

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アルジェリアのムラード・マドリスィー外務大臣は、フランス議会で演説し、シリア情勢に関して内戦突入への懸念を表明し、アラブ連盟イニシアチブに「完全なる機会」を与えるべきだとしたうえで、「我々はシリア政府に対して圧力をかける一方で、反体制勢力に対話にふさわしい状況を準備するよう話している」と述べた。

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『タイムズ』(12月6日付)は、複数のパレスチナ高官の話として、ハマースがダマスカスから事務所やメンバーを退避させようとしていると報じる。

同報道によると、この動きは、ハマースがアサド政権への支持を控えるようになったことをうけたもので、これと関連してイランがハマースへの資金供与を停止すると脅迫している、という。

AFP, December 6, 2011、Akhbar al-Sharq, December 6, 2011, December 8, 2011、al-Hayat, December 7, 2011、Kull-na Shuraka’, December 7, 2011、Naharnet.com, December 6 ,2011、Reuters, December 6, 2011、SANA, December 6 ,2011、al-Shuruq, December 6, 2011、The Times, December 6, 2011、Youtubeなどをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ムアッリム外務大臣はアラブ連盟外相会議での対シリア経済制裁発動に関する決議を「経済戦争」として非難、各地ではアサド政権の改革支持や外国の干渉拒否を訴える百万人集会が開かれる(2011年11月28日)

シリア・アラブの春(シリア革命2011)顛末記

2011年11月28日のシリア情勢

アサド政権の動き

ワリード・ムアッリム外務大臣はダマスカスで記者会見を開き、アラブ連盟外相会議での対シリア経済制裁発動に関する決議を「扉を閉ざした」、シリアに対する「経済戦争」だと非難した。

ムアッリム外務大臣は11月初めのドーハでの(アラブ連盟のワーキングペーパーに関する)アラブ連盟外相委員会とシリア政府使節団の合意の「文言と精神を遵守」するよう連盟に「再検討」を求め、ドーハでの合意に基づいて問題への対処を行うよう求めた。またシリアの加盟停止を定めたその後の決議を非難し、「一部の連盟加盟国が国際問題化しようとしている」と述べた。

また、カイロの連盟本部でのシリア政府と反対勢力との対話を求めるアラブ連盟の提案を、「アラブ連盟側の立場は明白で、カイロでの対話、挙国一致内閣、移行期間を求めているが、これは拒否される…。すべての人々が参加する対話が行われれば、挙国一致内閣に関する合意もなされるが、それは対話の後だ」と述べ、却下した。

アラブ連盟外相会議での対シリア経済制裁発動決議、とりわけシリア中央銀行との取引停止に関しては、「経済的な側面からの宣戦布告で、前例のない措置」だと非難する一方、予防措置として、アラブ諸国におけるシリアの預金の95%を引き落とした」と述べた。

一方、ムアッリム外務大臣はアサド政権主導下の改革に関して、12月12日予定の統一地方選挙やシリア・アラブ共和国憲法草案準備委員会の活動を上げて、「前進」していると述べるとともに、国民対話会議に関しては「国民対話は政府と反体制勢力の間で行われるものではない。政府、反体制勢力のいずれにも与していない国民が数百万人とおり、彼らには正当な要求がある」と述べた。

また国外の反体制勢力の国民対話への参加を「保障」する準備があると付言した。

また「(シリア・アラブ共和国)憲法(草案準備)委員会報道官は今日、新憲法の基本規定のなかに複数政党制が盛り込まれており、政党間を差別する余地はなく、世界の国々のほとんどの憲法と同様、新憲法には第8条はない」と述べ、「バアス党は社会と国家を指導する指導党である」との現憲法の前衛党規定が削除されることを明らかにした。

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SANA(11月28日付)は、シリア・アラブ共和国憲法草案準備委員会が新憲法草案(第1稿)作成のための会合を開催したと報じた。

委員会のサーム・ダッラ報道官によると、草案の大部分は完成し、残りの部分は今週末までに完成させる、という。

ダッラ報道官によると、新憲法の基本規定には、主権在民、三権分立、司法の独立、基本的人権の保障、すべての政党間の平等を原則とする政治的多元主義、地方分権などが盛り込まれているという。

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ダマスカス県の複数の広場、アレッポ県アレッポ市のサイフ・ダウラ広場、ハサカ県ハサカ市、ダイル・ザウル県ダイル・ザウル市、スワイダー県スワイダー市、ヒムス県ヒムス市郊外、タルトゥース県タルトゥース市などシリア各地で、アサド政権の改革支持、外国の干渉拒否を訴える百万人集会が開催された。

SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
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SANA, November 28, 2011
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SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
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SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011

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ムハンマド・ニダール・シャッアール経済大臣はAFP(11月28日付)に対して、アラブ連盟による対シリア経済制裁の影響を厳密にすることは困難だが、シリア経済に深刻な影響を及ぼすだろう」と述べた。

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シリア商業会議所が声明を出し、アラブ連盟の対シリア経済制裁がシリア国民全体に大きな被害をもたらすだろうと警鐘を発した。

反体制勢力の動き

Kull-na Shurakā’, November 27, 2011
Kull-na Shuraka’, November 27, 2011

シリア国民評議会の使節団(ブルハーン・ガルユーン事務局長ら)と自由シリア軍の指導部(リヤード・アスアド大佐ら)が会談した。

会談では両組織の連絡強化、協調体制構築について審議され、共同委員会を設置し、現地での活動、救援、情報、政務などで連携することで合意した。

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シリア国内で反体制活動を行う国民民主変革諸勢力国民調整委員会の報道官はAKI(11月28日付)に対して、ムアッリム外務大臣の記者会見は、アラブ連盟の要求を拒否した理由をシリア国民に満足させることに「失敗している」と非難した。

国民民主変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム総合調整役は声明を出し、シリア国民への影響を回避しようとするアラブ連盟の対シリア経済制裁発動の試みを評価するとともに、連盟に対してアサド政権をさらに孤立させるべく行動を継続するよう求めた。

またアブドゥルアズィーム総合調整役はアーラム・チャンネル(11月28日付)に対して、アラブ連盟の経済制裁はシリア国民ではなくアサド政権に影響を与えると断じたうえで、アラブ連盟主導による「アラブ的解決」こそがシリアの危機打開をもたらすとの見方を示した。

アブドゥルアズィーム総合調整役はまた外国の軍事介入を改めて拒否するとともに、アサド政権に対して暴力と殺戮の停止、逮捕者釈放、平和的デモの認可を求め、体制転換と愛国的民主国家の建設を主唱した。

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シリア変革大会(アンタキア)は声明を出し、アラブ連盟の対シリア経済制裁に関して「アラブ連盟の進路における歴史的転換点」、「アラブの行動への新たな概念の構築」と高く評価した。

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『クッルナー・シュラカー』(11月28日付)は、シリア学生国民連合がダマスカス県内の大学生に対して、アサド政権を支持するデモへの参加を強要している、と報じた。

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al-Hayat, November 28, 2011
al-Hayat, November 28, 2011

シリア当局は、国内で30年にわたってマール・ムーサー修道院(ヒムス県ナバク地方)で布教活動を行ってきたイエズス会のイタリア人聖職者(パウロ・ダログリオ、Paolo Dall’Oglio)氏を11月21日付で国外追放処分とした。

同氏がシリア国内での弾圧を非難したことが理由だという。

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シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長は、同監視団がマール・ヤアクーブ修道院(ダマスカス郊外県)のアグネス・マリヤム・サリーブ修道長から反体制運動弾圧の死傷者の情報を得ていたとの一部情報を否定した。

反体制運動掃討

ヒムス県では、SANA(11月28日付)によると、ヒムス市ワルシャ地区で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、3人を殺害、武器を押収した。

Kull-na Shurakā’, November 27, 2011
Kull-na Shuraka’, November 27, 2011

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イドリブ県では、SANA(11月28日付)によると、カフルナブル市で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、2人を逮捕した。またイドリブ県北部で鉄道の線路にしかけられた爆弾2発が爆発したが、被害は限定的だったという。

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なお過去数ヶ月にわたり、反体制運動に対するシリア政府の弾圧の被害を発表してきたシリア人権監視団は、先週末から、「民間人の殉教者の数が27人に上った」(11月26日付)、「民間人の殉教者の数が32人に上った」(11月28日付)と犠牲者を積算して発表するようになっており、ジャズィーラなどアサド政権に対して敵対姿勢をとる一部のメディアを除いて、その数字を引用していない。

諸外国の動き

『ミッリイェト』(11月28日付)は、イランのIRNAの報道を引用し、フランス軍部隊がトルコとレバノンでシリアの反体制勢力(自由シリア軍)の軍事教練を行っていると報じた。

同報道によると、フランス、英国、そしてトルコの当局はシリアで活動する反体制武装組織への武器供与を行うことで合意に達しているという。

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国連の独立人権調査委員会は報告書を発表し、シリア政府が国内で軍・治安部隊などを通じて人道に対する罪を犯していると認定し、民間人補語のための「早急な措置の実施」と、「すべての当事者への武器支給の停止」と提言した。

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EU諸国政府はブリュッセルで、シリア政府に対する追加の金融制裁を科すことで合意した。

12月1日以降に正式に発表される追加制裁では、EU諸国によるシリア政府発行の国債の取引禁止、EU域内でのシリアの銀行の支店開設禁止ないしはシリアの銀行によるEU内での投資禁止、石油・ガス関連設備の輸出禁止などが盛り込まれるという。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、France Info(11月28日付)に対して、「シリアの体制に残されている日は限られている」と述べた。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、改めて、シリアにアラブ監視団派遣に関する議定書に署名するようシリア政府に求めた。

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ロシア軍は、ロシア海軍は航空母艦などを含む艦隊を地中海に派遣し、タルトゥース港などに寄港する予定だと発表した。

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イラクのイラーキーヤ・ブロック(イヤード・アッラーウィー元首相代表)は、シリア政府に対して「内政問題への外国の介入を回避するため…アラブ連盟の決議を迅速に実行する」よう呼びかけた。

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レバノンの北部県トリポリ市にあるバーブ・タッバーナ地区(スンナ派地区)で、住民数十人がムアッリム外務大臣が記者会見で公開した写真を「同地区住民への中傷」だと非難し、抗議の座り込みを行った。

座り込みに参加した住民によると、シリア国外、とりわけレバノンから若者が流入しシリアで武装活動を行っていることの証拠としてムアッリム外務大臣が示した写真は、が2008年以降にフェイスブックで公開されている写真で、バーブ・タッバーナ地区とジャバル・ムフスィン地区(アラウィー派地区)との間の戦闘の写真だという。

AFP, November 28, 2011、Akhbar al-Sharq, November 28, 2011, November 29, 2011、AKI, November 28, 2011、DP-News, November 29, 2011、al-Hayat, November 29, 2011, December 2, 2011、Kull-na Shuraka’, November 27, 2011, November 28, 2011、Naharnet.com, November 28, 2011、Reuters, November 28, 2011、SANA, November 28, 2011、http://www.syriahr.com/などをもとに作成。

 

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アラブ連盟外相会議で14条の骨子からなる対シリア経済制裁決議が19カ国による承認のもと可決される、イラクおよびレバノンは採決に参加せず(2011年11月27日)

アラブ連盟の動き

アラブ連盟外相会議で対シリア経済制裁決議が19カ国の承認で可決された。

カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は、イラクが採決で態度を「保留」、制裁には加わらないだろうと述べた。

また加盟資格停止中のシリアは採決には参加できず、レバノンも採決には参加しなかった。

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アラブ連盟外相会議での対シリア経済制裁決議の骨子は以下の通り:

1. シリア政府高官のアラブ諸国への渡航禁止およびアラブ諸国内の資産凍結。制裁対象はカタールが議長を務める実行委員会が決する。
2. シリア中央銀行との取引停止。
3. シリア政府との政府間の貿易取引の停止。ただしシリア国民に影響を及ぼす戦略物資は除外する。
4. シリア政府の資産凍結。
5. シリア・アラブ共和国との金融取引停止。
6. シリア商業銀行とのすべての取引の停止。
7. アラブ諸国の中央銀行とシリア中央銀行と間で行われている政府間貿易取引への融資停止。
8. アラブ諸国の中央銀行による銀行振込、債権取引の監視要請。ただしシリアの通貨による外国からの家族送金、シリア国内のアラブ諸国国民への送金は除外する。
9. アラブ諸国によるシリア国内でのプロジェクトへの融資の凍結。
10. シリアへの航空機乗り入れに関して、決議発動から1週間以内に実行技術委員会が閣僚委員会に対して、乗り入れ停止の期日を確定するための報告書を提出する。
11. 関連事項の実施状況のフォローアップをアラブ民間航空委員会とアラブ通貨基金に委任する。
12. シリア国内のアラブ関連機関、国際期間、アラブ連盟関連本部および職員は制裁から除外する。
13. 議長国カタールのもと、ヨルダン、アルジェリア、サウジアラビア、スーダン、オマーン、エジプト、モロッコ、そして連盟事務局の高官および専門家による技術実行委員会を設置し、シリア国民および周辺諸国民に直接の影響を及ぼす人道物資の除外を検討する。
14. 事態の進捗状況をフォローアップするため閣僚会議を会期中とする。

全文はhttp://international.daralhayat.com/internationalarticle/333414を参照。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、制裁決議に関して、「シリア政府が我々のメッセージを理解することを望む。そうすれば我々の問題は内輪で解決されるだろう」と述べた。

また「シリア政府が民間人を殺害し、無実の人々を弾圧するのに大使、トルコもアラブ連盟も沈黙を続けるなど誰も期待できない」と脅迫した。

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複数のアラブ外交筋によると、少なくともアルジェリアとオマーンが性急な制裁発動が、シリア政府でなく国民に災難をもたらすと警鐘をならした。

しかしカタールを中心とする制裁支持諸国は、シリア国民への被害を軽減するための手段やしくみを検討しつつ、段階的であっても制裁を発動する必要があるとの立場を貫いた。

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アラブ連盟の動きが外国の干渉を助長するとのシリア政府の批判に関してハマド首相は、「我々が行っていることすべてが外国による解決を回避すること」とし、「我々が真剣に対処しなければ、外国の干渉がないと保障することはできない」と述べた。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、「我々の最大の関心事はシリア国民への制裁の影響をどのように回避するかにある」と述べた。

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これに対して、ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣は、『ハヤート』(11月28日付)に、シリアの近隣諸国から多くの意見が出されたことで、フォローアップ実行技術委員会が発足したことを明らかにした。

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UAEのアブドゥッラー・ビン・ザーイド外務大臣は、「シリアへの外国の介入はアラブ連盟においてそもそも提起されていない」と述べた。

アサド政権の動き

SANA, November 27, 2011
SANA, November 27, 2011
SANA, November 27, 2011
SANA, November 27, 2011
SANA, November 27, 2011
SANA, November 27, 2011

SANA(11月27日付)は、ダマスカス県、ラタキア県ラタキア市、タルトゥース県タルトゥース市など各地でアサド政権主導の改革支持、アラブ連盟の介入拒否を訴える大規模集会が開催されたと報じた。同集会は日中に開催されていたこれまでのアサド政権支持集会とは異なり、晩にまで及んだ。

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『バラドナー』紙のバッサーム・ジュナイド編集長は、シャームFM(11月27日付)とのインタビューで情報大臣の辞任を求めた。

『バラドナー』紙はバアス党内の汚職を非難する記事を掲載した記事を掲載した号を公刊しようとしたが、検閲を受け、同号は発禁処分となっていた。

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反体制勢力の動き

シリア国家建設潮流が声明を出し、アラブ監視団派遣に関する議定書へのシリア政府の署名拒否を、国が置かれている危機を解消しないための口実を探し、反体制勢力の根絶のための時間稼ぎを行っていると非難した。

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シリア国民評議会はアラブ連盟閣僚会議での対シリア経済制裁決議採択に関して声明を出し、「体制の敗北」、「体制孤立化への重要なステップ」とみなすと評価した。

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UPI(11月27日付)は、エジプト在住の反体制活動家、サーイル・ナーシフ氏の妻(エジプト人)で、同氏が「シャッビーハ」に誘拐されたと発表していたムナー・アブドゥルワッハーブさんが無事発見されたと報じた。

Kull-na Shurakā, November 27, 2011
Kull-na Shuraka, November 27, 2011

同報道によると、ムナーさんは気を失い、路上で倒れていたという。

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国内で反体制活動を行うシリアのための第三潮流は声明を出し、アラブ連盟外相会議による対シリア経済制裁発動の決定が、シリアの危機の政治的正常化に向けた努力に資さない、と非難した。

反体制運動掃討

ヒムス県では、SANA(11月27日付)によると、ヒムス市で武装テロ集団が10歳の少年(サーリー・サーウードくん)を射殺したと家族が証言したと報じた。

同少年に関しては、アラブ諸国の衛星放送がシリア軍によって射殺したと報じていた。

またヒムス市ワルシャ地区で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、指名手配者11人を殺害、多数を逮捕し、大量の武器を押収した。また市内の別の地区でも交戦し、3人を殺害、大量の武器を押収した。

一方、シリア人権委員会によると、ランクース村で発生した反体制デモに治安部隊が介入、弾圧し、5人が死亡、少なくとも15人が負傷した。

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イドリブ県では、SANA(11月27日付)によると、マアッルシューリーン村とガドファ村間で武装テロ集団が石油パイプラインの警備員を襲撃、交戦があったと報じた。同報道によると、これにより武装テロ集団のメンバー1人が死亡、1人が負傷し、彼らの武器が押収された。

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ダマスカス県では、シリア人権委員会によると、ルクンッディーン区、サーリヒーヤ区で治安組織による活動家逮捕、家宅捜索がなされた。

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ハマー県では、SANA(11月27日付)によると、破棄裁判所顧問のファーイズ・アスカル氏がハマー市で武装テロ集団に誘拐された

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シリア人権国民機構のアンマール・カルビー所長は声明を出し、11月27日の死者数が40人に上ったと発表した。

同声明によると死者はヒムス県で16人、ダマスカス郊外県で14人、イドリブ県で2人、ハマー県で4人、ダイル・ザウル県で3人、タルトゥース県で1人。

レバノンの動き

レバノンの北部県トリポリ市でムスタクバル潮流が「武器の秋…独立の春」と題した大規模集会を開催し、数十万人を動員した。

集会では、ムスタクバル潮流幹部や3月14日勢力の幹部が出席し、アサド政権による反体制デモ弾圧と、レバノン特別法廷をめぐるレバノン国内の対立激化を絡めて、ヒズブッラーや自由国民潮流を酷評した。

ムスタクバル潮流のムハンマド・カッバーラ議員は、「レバノンにおけるアサドのヘゲモニーは転覆させられねばならない」と述べ、「この政府(ナジーブ・ミーカーティー内閣)はレジスタンスとは無縁だ、なぜならシリア国民を攻撃するために狙撃手をシリアに派遣する者はレジスタンスなどではないからだ」と述べた。

同じくムスタクバル潮流のサミール・ジスル議員は、「彼らは、人々があらゆる専制者よりも強く、警察国家が人々の意思によって倒されるということをベイルートの春(独立インティファーダ)から学ばなかったのか」と述べ、レバノン特別法廷への資金供出を拒否しようとするヒズブッラーや自由国民潮流を非難した。

Naharnet, November 27, 2011
Naharnet, November 27, 2011

民主会合ブロック代表のマルワーン・ハマーダ議員は「私はヒズブッラーが倒れること、政府が転覆することを残念だとは思わないだろう。私はアサドの犯罪体制を決して許さない…」と述べた。そのうえでヒズブッラーと自由国民潮流を「全体主義という巨大な刑務所を構成する」と非難し、ミシェル・スライマーン大統領、ミーカーティー首相、そしてナビーフ・ビッリー国民議会議長に「レバノンが巨大な刑務所に囚われないよう」行動することを求めた。

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AFP(11月27日付)によると、アッカール郡シャイフ・アイヤーシュ村を車で通過した近くのアラウィー派の村落住民が村人2人をはね、村の10代の少年1人(スンナ派)が死亡した。

車で通過したアラウィー派の運転手もその後村人に殴られ、負傷し、病院に搬送されたという。

アラウィー派の運転手は、シャイフ・アイシャーシュ村の住民がトリポリ市での集会に参加しようとするのを阻止しようと挑発したという。

少年殺害に抗議し、シャイフ・アイシャーシュ村が道路を封鎖したが、警察・治安部隊が排除した。

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NNA(11月27日付)によると、アラウィー派が多く住むトリポリ市のジャバル・ムフスィン地区で、市内でのムスタクバル潮流の集会での祝砲によって、3人が負傷した。

これに関して、アラウィー派政党のアラブ民主党は、3人のうちの1人が集会の参加者がジャバル・ムフスィン地区に撃ち込んだ砲弾で負傷したと発表した。

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AFP(11月27日付)によると、集会参加者が打った祝砲でスンナ派1人が負傷したと報じた。

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AFP(11月27日付)によると、トリポリ市のジャバル・ムフスィン地区とバーブ・タッバーナ地区を分けるバアル・ダルウィーシュ地区に手榴弾が投げ込まれた。

諸外国の動き

ヨルダン政府は、シリア人避難民がヨルダン国内国境のラムサーに避難したのを受けて、シリア、ヨルダン両軍が交戦したとの一部情報を否定した。

ヨルダンのラーカーン・マジャーリー情報通信担当大臣は、『ハヤート』(11月28日付)に対して、シリア国境警備隊がシリア人家族が午後4時にヨルダンへの違法な越境を試みた家族(3人)に発砲したと述べた。

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カタールとバーレーンの外務省は、国民に対してシリアからの退避を勧告した。

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カタールのドーハで、シリア人労働者数千人が反体制デモを行った。

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エジプトのナセル主義アラブ民主党使節団がシリアを訪問し、アサド政権支持を表明した。一方同党のムハンマド・アブー・アッラー党首は、カイロでシリアの反体制勢力の使節団と会談し、シリア国民評議会を承認すると述べた。

AFP, November 27, 2011、Akhbar al-Sharq, November 27, 2011、al-Hayat, November 28, 2011、Kull-na Shuraka, November 27, 2011, November 28, 2011、Naharnet, November 27, 2011、NNA, November 27, 2011、Reuters, November 27, 2011、SANA, November 27, 2011、UPI, November 27, 2011などをもとに作成。

 

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「武装集団」がタドムル・ヒムス間でアサド政権軍士官らに対する暗殺作戦を断行、アラブ連盟閣僚委員会が開催されシリアが求めていた議定書修正提案の却下を決定(2011年11月24日)

反体制勢力の動き

SANA(11月25日付)は、「武装テロ集団が暗殺作戦を断行し、パイロット6人、士官4人、空軍基地に勤務する士官クラスの技術者3人を殺害した」と報じた。

同報道によると、暗殺は「タドムル・ヒムス間」で24日午後に行われ、「このテロ作戦に複数の外国機関が関与し、勇敢な我らの武装部隊の戦闘能力を弱化させようとしていることを確認した」と断じた。

自由シリア軍もインターネットで声明を出し、ファールーク大隊が(24日)午後3時に、ヒムス・タドムル間のフルクルス町を走行中のタイムール空港の複数のパイロット士官が乗ったバスを攻撃し、その結果、アッラーのおかげで少なくともパイロット士官7人を殺害、そのなかには大佐1人、バスに登場していた軍曹2人、バスの運転手の曹長1人が含まれていると発表した。

しかしこの犯行声明をめぐっては情報が錯綜した。

すなわちヒムス県の活動家は「部族の武装集団」が攻撃を行ったと述べ、その後、自由シリア軍は犯行への関与を否定した。

なお同様の情報の錯綜は、ダマスカス県のバアス党支部への攻撃に関しても見られ、自由シリア軍は一度犯行声明を出したが、その後否定し、シリア政府がそのイメージを貶めようとして行った自作自演と非難した。

複数の活動家によると、自由シリア軍は、数千人がトルコに避難している一方、シリア国内で活動している離反兵もおり、必ずしも統率がとれた組織ではないという。

トルコ南部に潜伏する自由シリア軍司令官のリヤード・アスアド大佐は、AFP(11月24日付)の電話取材に応え、レバノンのヒズブッラーが反体制運動弾圧のために「傭兵」をシリアに派遣している、と断じた。

またアスアド大佐は、アサド政権の打倒を加速するため「戦略的標的」への外国軍の空爆を求めた。

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ヨルダンのアンムーン通信社(11月24日付)は、国内で反体制活動を指導してきた女性活動家のスハイル・アタースィー氏がヨルダンのシリア人避難民キャンプに非難したと報じた。

Akhbar al-Sharq, November 24, 2011
Akhbar al-Sharq, November 24, 2011

ジャマール・アタースィー民主的対話会議(市民社会運動体)の代表を務め、3月15日の内務省前での抗議行動(政治犯釈放を求める家族の座り込み)を主導したアタースィー氏は、治安当局の追跡を受け長らく国内に潜伏していたとされる。

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サウジアラビアの日刊紙『ワタン』(11月24日付)がフェイスブックから得た情報として、ヒムス市で殺害され、埋葬されたサウジアラビア人フサイン・ブン・バンダル・ブン・ハラフ・アンズィー氏の遺体が掘り出され、持ち去られたと報じた。

在ダマスカス・サウジアラビア大使館高官によると、フサイン氏の遺体は遺族に返還され、サウジアラビア国内で改めて埋葬されることになっていた。

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シリア救済委員会は声明を出し、アブドゥッラッザーク・イード政治局長、ウマル・ファールーク・ダンダシー執行部副議長、ウサーマ・マルーヒー顧問委員会委員長、アブドゥルガニー・ハマドゥー顧問委員会副委員長、ムスタファー・ハーニー・イドリース執行部長、アブドゥッラー・キナーン・ハーティム情報総合関係委員会委員長、ハリール・ミクダード革命委員会議長が、シリア国民評議会への参加を申請すると発表した。

アサド政権の動き

Kull-na Shurakā’, November 24, 2011
Kull-na Shuraka’, November 24, 2011

「アフバール・シャルク」(11月24日付)は、西側諸国の経済制裁により物資、とりわけ灯油不足が懸念されるなか、スイスに本社がある貿易会社AOTは海路でシリア国内に灯油を搬入し続けている、と報じた。

同社による灯油の搬入は、EUの経済制裁が人道目的での物資搬入を禁止していないために可能だという。

シリア国内の灯油不足は、とりわけ軍・治安部隊と離反兵との戦闘が激しいヒムス県において深刻である。その原因に関して、一部の専門家は、民間人弾圧に投入されている戦車、軍用車輌の燃料としているためだと指摘している。しかしアサド政権の支持者らは西側の経済制裁が灯油不足をもたらしていると非難している。

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ムハンマド・ニダール・シャッアール経済大臣は、AFP(11月24日付)の取材に対して、シリア経済が「決して容易でない危機である」と述べた。

シャッアール経済大臣はまた「我々の歴史において最悪の危機だと思う。なぜならそれは国民、商人や工場主、そして労働環境に直接及ぶからだ。万人が被害を被っている。これはまったく公正でない」と述べた。

さらに「もしこのような状況が続けば、事態は悲惨なものになる…。確実にシリア全体に害をもたらし、他のアラブ諸国にも波及するだろう」と述べた。

一方、アラブ連盟による対シリア経済制裁の可能性に関して、「一部の国が同意しないのはほぼ確実だ」と述べた。

そのうえで対応については、「自給自足、資源配分、生産、工場運営といった問題により活発に対処せねばならない」と述べた。

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SANA, November 24, 2011
SANA, November 24, 2011
SANA, November 24, 2011
SANA, November 24, 2011

 

SANA, November 24, 2011
SANA, November 24, 2011

ダマスカス県旧市街のバーブ・トゥーマ広場で、女性数千人がアラブ連盟の対シリア決議反対、アサド政権の改革支持を訴える集会を開いた。

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『クドス・アラビー』(11月24日付)は、いわゆる「危機管理チーム」議長を務めてきたバアス党シリア地域指導部のムハンマド・サイード・バヒーターン副書記長が議長職を解任され、代わってハサン・トゥルクマーニー副大統領補が後任に任命された、と報じた。

同チームは、政治、経済、外交、社会といった分野を専門とする大学教授らから構成されているという。

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インターネット紙『ハキーカ』(http://www.syriatruth.org、11月24日付)は、イマード・ムスタファー在米シリア大使の国内への異動に関して、アサド政権がワリード・ムアッリム外務大臣とブサイナ・シャアバーン大統領府情報顧問の政治的パフォーマンスやメディアでの活動に「激しいフラストレーション」を募らせていたことが背景にあると報じた。

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『トゥデーズ・ザマーン』(11月24日付)は、最近アサド大統領と会談した人々から意見聴取したロンドン在住の研究者(Ziya Meral)のレポートを掲載した。

同レポートによると、アサド大統領の発言は以下の4点を特徴としているという。

1. 米国政府はシリア政府高官に制裁を科すことで米国民を欺いているが、バラク・オバマ大統領をはじめ、同国政府高官は、アサド大統領が米国内に資産を持っていないことを知っている。
2. イスラエルはアサド政権の存続を望んでおり、アサド政権に対するいかなる強硬な動きも支持しない。
3. トルコの圧力は限定的で、AKPのパフォーマンスは世論向けに過ぎない。
4. アサド大統領はエジプトや湾岸諸国に不信感を抱いている。エジプトについては、中東の国と言うよりは北アフリカの国で実質的な影響力を持っていないとみなしている。サウジアラビアについては、過激派を延々と支援する最大の脅威だとみなしている。カタールについては、実質を伴わない野望を抱いているに過ぎないとみなしている。ヨルダンに関しては米国の操り人形に過ぎないとみなしている、という。

http://www.todayszaman.com/newsDetail_getNewsById.action?newsId=263835

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『クッルナー・シュラカー』(11月24日付)は、アサド政権の支持者は、ダマスカス県およびダマスカス郊外県でスンナ派との対決に備えて、アラウィー派が多く住む地域を支援するためのリスト作りを進めていると報じた。

同報道によると、バルザ区、アッシュ・ウルール地区、クドスィーヤー市、マッザ86地区などでは、アラウィー派に武器の配布が始まっているという。

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『クッルナー・シュラカー』(11月24日付)は、国営セクターで革命に同情的は職員350人以上が解雇されたと報じた。

アラブ連盟の動き

シリア情勢を審議するためのアラブ連盟閣僚委員会がカイロの連盟本部で開催され、アラブ監視団派遣などに関する議定書に対してシリア政府が求めていた修正提案を却下することを確認し、シリア政府に対して11月25日正午まで猶予を与え、それまでに同議定書を受諾するよう求めた。

また議定書に合意しなかった場合、連盟の経済社会会議を26日に招集し、シリアへの経済制裁を承認しすること、そして同会議の議事を27日に連盟閣僚会議で審議・承認することを決定した。

加えて、連盟外相会議は、シリア政府と反体制勢力に対して、連盟のイニシアチブに沿って国民対話会合を開き、過渡期を運営する挙行一致政府の樹立に関して合意するよう求めた。

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同決定の審議に際して、アルジェリアのムラード・マドリスィー外務大臣は対シリア制裁を支持する動きを緩和するよう求めたが、採決では賛成した。

イラクのホシャル・ゼバリ外務大臣は、アサド政権がアラブ監視団の派遣に合意しているが、連盟閣僚委員会での審議を踏まえて最終決定をする意向だと述べ、アサド政権を擁護、採決を棄権した。

レバノンのアドナーン・マンスール外務大臣は連盟外相会議が始まる前にレバノンに帰国し、同国の代表が代わりに出席、外相会議の決定を却下するとの意思を伝えた。

エジプトのムハンマド・カーミル・アムル外務大臣は、連盟のあらゆる決定においてコンセンサスが必要だと述べ、戦略物資であるガス(エジプトがシリアに輸出している)、食糧、医薬品を制裁対象から外すよう求めた。

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一方、サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣は、リヤードでのGCC閣僚会合で、「シリアの危機解決のためにアラブ諸国が合意に達しなければ、問題は国際化し、国連に付託されるだろう…。我々は問題の国際化を望んでいない」と述べた。

反体制運動掃討

軍・治安部隊はヒムス県、イドリブ県各地で離反兵と交戦する一方、活動家弾圧を続け、1人が死亡、数十人が負傷した。

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ヒムス県ではラスタン市周辺の農地に軍の戦車、装甲車約50台が展開し、離反兵の拠点を攻撃した。シリア人権監視団によるとこれによって、離反兵2人が戦死、13人が負傷した。

シリア人権監視団によると、ヒムス市のバイヤーダ地区とカラム・ザイトゥーン地区で治安部隊が4人の「市民」を殺害した。

また同監視団は、フーラ地方で、軍・治安部隊と離反兵が交戦し、前者に11人がでたと発表した。

これに対して、SANA(11月24日付)は、タッルドゥー市で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、武装テロ集団メンバー3人を殺害、武器を押収したと報じた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ザーウィヤ山一帯のバーラ村、イフスィム村が軍・治安部隊の攻撃に曝された。

またイブリーン村、アブディーター村でも大きな爆発音が聞こえたという。

これに対して、SANA(11月24日付)は、マアッラト・ヌウマーン市で武装テロ集団が教員を暗殺未遂したと報じた。

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ダルアー県では、SANA(11月24日付)によると、当局がダルアー市郊外で武装テロ集団を追跡中に大量の武器を押収した。

諸外国の動き

Naharnet.com, November 24, 2011
Naharnet.com, November 24, 2011

SANA(11月24日付)は、ロシア、中国、インド、ブラジル、南アフリカがシリア内政への外国の不干渉を改めて求めたと報じた。

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フランスのニコラ・サルコジ大統領はレバノンのサアド・ハリーリー前首相と会談し、シリアの体制は遅かれ早かれなくなるだろう、と述べた。

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フランス外務省のベルナール・ヴァレロ報道官は、レバノンのオレンジ・TV(11月24日付)の取材に対して、フランス治安機関が自由シリア軍を軍事教練するため、トルコとレバノンの国境地帯に派遣されたとの一部報道を「根拠がない」と否定した。

治安機関(外務治安総局)派遣は『ル・カナール』誌(11月23日付)が報じていた。

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レバノンのアドナーン・マンスール外務大臣は「レバノンの声」ラジオ(11月24日付)とのインタビューで、「レバノンはアラブ連盟が科すであろう対シリア制裁を承認しない」と明言した。

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『アフバール・ヤウム』(11月24日付)は、レバノンの3月14日勢力が、シリアでのアサド政権崩壊後にレバノンにおけるヒズブッラーの影響力排除をめざすための文書を準備していると報じた。

AFP, November 24, 2011、Akhbar al-Sharq, November 24, 2011、Akhbar al-Yawm, November 24, 2011、al-Hayat, November 25, 2011、al-Haqiqa, November 24, 2011、Kull-na Shuraka’, November 24, 2011, November 25, 2011、Naharnet.com, November 24, 2011、al-Quds al-Arabi, November 24, 2011、Reuters, November 24, 2011、SANA, November 24, 2011,
November 25, 2011、Todayszaman, November 24, 2011、al-Watan (Riyad), November 24, 2011などをもとに作成。

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国連総会第三委員会が112カ国の賛成のもと「シリア政府の人権侵害」を非難する決議を承認、クウェート外務次官が「湾岸諸国がシリアの反体制勢力に資金と武器を援助している」との言説を否定(2011年11月22日)

国連の動き

国連総会第三委員会は112カ国の賛成で、シリア政府の人権侵害を非難する決議を承認し、民間人に対する体系的且つ身体的な侵害の停止」、アラブ連盟のワーキングペーパーの即時実施を求めるとともに、「アラブ連盟が要請した場合、連盟監視使節団の派遣を支援するよう国連事務総長に」要請した。

同決議には、サウジアラビア、クウェート、カタール、バーレーン、モロッコ、ヨルダン、エジプトが賛成したが、レバノン、アルジェリア、イエメンが棄権、イラク、ジブチが欠席し、シリアへの関与のありかたをめぐるアラブ諸国内の意見の不一致が改めて明らかとなった。

またイラン、ラ米・アフリカ諸国13カ国が反対し、ロシア、中国など41カ国が棄権した。

これに先立ち、シリアは採決の中止を求めたが、賛成20カ国、反対118カ国、棄権29カ国で否決されていた。

同決議を支持した西側諸国は、安保理での審議の「青信号」と認識しているが、『ハヤート』(11月23日付)によると、サウジアラビアのアブドゥッラー・ムアッリム国連代表は、「安保理での審議はアラブの決定を待たねばならない」と述べたという。

アサド政権の動き

シリアのバッシャール・ジャアファリー国連代表は、国連総会第3委員会でのシリア非難決議採択に関して、「この決議案は、我が国に対する政治的、情報的、そして外交的な戦争を布告するという枠組みのもとに提出された」と述べ、厳しく非難した。

ジャアファリー国連代表はまた「政治的決定を下そうとする我々の独立性を脅かし、我々が国民的な政治プログラムを前進させることを阻止する宣戦布告だ」と述べた。

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SANA, November 22, 2011
SANA, November 22, 2011
SANA, November 22, 2011
SANA, November 22, 2011

ラタキア県ラタキア市、タルトゥース県タルトゥース市、ダマスカス郊外県サイイダ・ザイナブ町、ダマスカス県バーブ・トゥーマ、でアサド政権の改革支持、外国の干渉拒否を訴える大規模な集会が開かれ、多数の市民が参加した。

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アサド大統領に近い消息筋によると、大統領はイマード・ムスタファー在米大使を含む複数の大使を外務省付に異動とした。『クッルナー・シュラカー』(11月22日付)が報じた。

同報道によると、外務省付となった大使は以下の通り。

イマード・ムスタファー在米大使
マージド・シュドゥード在セルビア大使
ハラフ・ジャッラード在中国大使
ファールーク・ターハー在ベラルーシ大使

またムスタファー在米大使の後任は、ブサイナ・シャアバーン大統領府情報顧問が最有力視されている。

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AFP(11月22日付)は、西側諸国の制裁や、近く発動が予想されるアラブ連盟やトルコの制裁に関して、シリアの高官がいかに対処しようとしているかを報じた。

同報道によるとこの高官(匿名)は「我々は過去数年にわたる制裁で我々が置かれている厳しい状態にいかに対処するかを知っている…。ロシアは我々の政治的砦であり、イラク、レバノン、そしてイランは我々にとって「経済的な酸素」だ」と述べたという。

2009年のシリア公式統計によると、シリアは輸出の52.5%、輸入の16.4%をアラブ諸国に依存している。

主な輸出先は、イラク(31.4%)、レバノン(12.7%)、ドイツ(9.2%)、サウジアラビア(5.2%)。

一方主な輸入先は、中国(10.8%)、サウジアラビア(10.1%)、トルコ(7%)、UAE(5%)、レバノン(4.1%)、エジプト(4.1%)となっている。

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『ル・フィガロ』(11月22日付)はアサド大統領がドバイに60,000,000ドル相当の不動産(土地)購入したと報じた。

同報道によると、この不動産取得は退任後の住居を確保するためだという。

反体制勢力の動き

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、シリア革命支援国民委員会の使節団とカイロの連盟本部で会談した。

使節団は、タラール・ムハンマド・タルカーウィー氏を団長とし、シリア・クルド国民会議のアブドゥルハミード・ダルウィーシュ議長らが参加した。

このうちシリア・クルド国民会議の代表はアラビー事務総長に書簡を手渡し、シリアのクルド人がシリアの反体制勢力の主要な一部分を構成していることを強調した。

シリア・クルド国民会議の代表の一人、カーミーラーン・ハーッジ・アブドゥー氏や『ハヤート』(11月23日付)に対して、同会議がクルド民族主義政党10党や無所属活動家らを代表していると述べるとともに、反体制勢力のヴィジョンの統一をめぐっては、さまざまな反体制勢力の「同盟」が好ましいと述べ、反体制勢力が「統合された一つの政党」に発展解消することに継承をならした。

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キャサリン・アシュトン欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表は、シリア国民評議会の使節団(ブルハーン・ガルユーン事務局長ら)と会談した。

アシュトン上級代表は反体制勢力統一の努力を評価したという。

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シリア国民評議会は、11月21日のロンドンでのウィリアム・ヘイグ英外務大臣と使節団との会談で、ブルハーン・ガルユーン事務局長が英国側に、自由シリア軍の軍事活動を停止させるためトルコ当局に要請するよう求めたとの一部報道が「まったく根拠がない」と否定した。

反体制勢力掃討

シリア革命総合委員会は、治安部隊の弾圧によって、ヒムス県、イドリブ県、ハマー県各地で21人が殺害されたと発表した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、フーラ地方のカフルラーハー市とタッルドゥー市間で治安部隊が市民に発砲し、10代の子供4人が殺害された。

また同監視団によると、タルビーサで治安部隊の発砲により1人が殺害され、クサイル市では離反兵1人が殺害された。

ヒムス市では、同監視団によると、ハーリディーヤ地区で治安部隊が発砲した。

他方、ダイル・バアルバ市では、同監視団によると、1人が殺害された。

一方、SANA(11月22日付)は、ヒムス県ダイル・バアルバ市およびヒムス市アウラース地区で指名手配中の武装テロ集団メンバー14人を、ラスタン市およびタルビーサ市で5人を、タッルカラフ市で9人を逮捕したと報じた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、3人が治安部隊に殺害された。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、1人が治安部隊に殺害された。

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ダルアー県では、SANA(11月22日付)によると、ダルアー市郊外で多数の武装テロ集団メンバーが逮捕された。

イスラエルの動き

『ハヤート』(11月22日付)は、シリア国内での反体制勢力の武装化を受け、同国の混乱の波及に関するさまざまなシナリオを想定し、対応準備を進めていると報じた。

同報道によると、イスラエル国防軍は西岸でのパレスチナ人の入植地への流入に対処するための訓練を受けてきた軍部隊を占領中のゴラン高原に派遣したという。

諸外国の動き

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在ダマスカスのサウジアラビア大使館は、11月20日(月曜日)にヒムス県でサウジ人のフサイン・ブン・バンダル・ブン・ハラフ・アンズィー氏が殺害されたことを確認した。

サウジ国営通信(11月22日付)は、サウジ大使館高官が「強い懸念」を表明するとともに、「目に余る暴行」に関する曖昧な点を調査するようシリア政府に求めた。

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ヒムス市近郊でのバス襲撃事件を受け、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、「お前は死ぬまで戦っていると言っているが、どうしてゴラン高原で死ぬまで戦わないんだ」とアサド大統領を非難した。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は訪問中のクウェートで、「私は軍事干渉する意思はない。何よりもまず、シリア国民評議会が平和的活動を望んでおり、またアラブ諸国がこうした介入を要請していないからだ」と述べた。

フランス外務省報道官は、フランス大使を近くシリアに帰国させると発表した。

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米国は、現在米国滞在中のロバート・フォード駐シリア米大使のシリアへの帰国を治安上の理由で延期すると発表した。ビクトリア・ヌーランド米国務省報道官が発表した。

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AKI(11月22日付)は、アラブ連盟消息筋の話として、連盟が近くシリアに対する制裁を発動する準備を進めるなか、シリア情勢をめぐる安保理での審議を時期尚早とみなしていると報じた。

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ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣は、ヨルダン・テレビ(11月22日付)のインタビューで、シリアからの避難民に関して、「おそらく数十から数百人が正式なルートで民間人としてヨルダンに入国している。彼らは軍人ではない」と述べ、離反兵が自国に逃走・潜伏しているとの一部見方を否定した。

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クウェート外務省のハーリド・ジャールッラー次官は、湾岸諸国がシリアの反体制勢力に資金と武器を援助しているとのユースフ・アフマド連盟シリア代表の発言を否定した。

AFP, November 22, 2011、AKI, November 22, 2011、Akhbar al-Sharq, November 22, 2011、al-Hayat, November 22, 2011, November 23, 2011、Kull-na Shuraka’, November 22, 2011、Le Figaro, November 22, 2011、Reuters, November 22, 2011、SANA, November 22, 2011などをもとに作成。

 

(C)青山弘之All rights reserved.

シリア国民評議会に属さない在外の活動家らが「反体制勢力統一のためのイニシアチブ」を立ち上げる、またその立ち上げメンバーが反体制勢力分裂の責任を負っているとしてシリア国民評議会を非難(2011年11月19日)

反体制勢力の動き

カイロで反体制勢力の統合をめぐって2日にわたって協議を続けてきたシリア国民評議会に属さない在外の活動家、サーディク・ジャラール・アズム(思想家)、アブドゥッラッザーク・イード(ダマスカス国民変革宣言在外代表)、アンマール・カルビー(シリア人権機構代表)らは、カイロで反体制勢力統一のためのイニシアチブを立ち上げた。

同イニシアチブは、彼らが出した声明によると、「シリア国民の要求を表現する単一・共同ビジョンの欠如、シリア人と国際社会の信頼を得るような単一の反体制勢力の主体の欠如」といった事態を受けた動きだという。

また同イニシアチブは、「バッシャール・アサドを頂点とする体制の完全な打倒、国際社会による民間人保護、飛行禁止区域などを通じた安全地帯の創出、国際社会による体制の正統性剥奪と孤立化、人権侵害の安保理、国際刑事裁判所への提訴・起訴、自由シリア軍と離反兵の支援…、体制打倒を加速させるためのアラブ・国際機関との協力」を求めた。

同イニシアチブは、26人のメンバーからなる連絡委員会を設置し、「さまざまな勢力と連絡…調整を行い、国民的大義に資する共通ビジョン、統一母体の確立」をめざす。

協議会に参加した中道党のムハンマド・アリー・ハラフ書記長は『ハヤート』(11月20日付)に対して、シリア国民評議会が反体制勢力分裂の責任を負っていると非難し、同評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長に対して「国民的責任をとり、カイロで直ちにすべての勢力との包括的・総合的会合をただちに開き、行き過ぎと疎外をやめ、評議会の組織を修正・拡大することですべてのシリア人に参加の余地を与え、国内の調整諸委員会を含んだかたちで修正拡大国民評議会として反体制勢力を統合する」よう求めた。

ハラフ書記長はまたシリア国民評議会の構成が「シリア・ムスリム同胞団とダマスカス民主変革宣言の間で配分され、若干のマイノリティが移植」されていると非難、「独占と不正に満ちた配分」と酷評した。

なお「シリア反体制勢力統一国民イニシアチブ」と名づけられたこの運動の声明は11月20日付で公開された。http://all4syria.info/web/archives/37940

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シリア・ムスリム同胞団のズハイル・サーリム報道官は声明を出し、「シリア国民が西側ではなくトルコの軍事的介入を受け入れるだろう」とのムハンマド・リヤード・シャカファ最高監督者の発言(17日)が「個人的見解であり同胞団の組織とは関係ない」と釈明した。

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シリア法律研究センターのアンワル・ブンニー弁護士は、AKI(11月19日付)に対して、アサド政権によるアラブ監視団派遣議定書への修正要求が「陰謀でアラブの要求への拒否」と非難した。

反体制運動掃討

民間人と離反兵15人、空軍情報部兵士4人が殺害された。

SANA, November 19, 2011
SANA, November 19, 2011

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ヒムス県では、ロンドンで活動するシリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長によると、ヒムス・サラミーヤ街道沿いのムフターラ村近くで空軍情報部の車が離反兵の襲撃を受け、情報部兵士4人が殺害された。

クサイル市では離反兵と軍・治安部隊が交戦し、市民2人、離反兵2人が死亡した。

ヒムス市では治安部隊の狙撃で1人が殺害された。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、カフルタハーリーム村に治安部隊が突入し、民間人7人が殺害された。

これに対し、SANA(11月19日付)は、関係当局が、ザーウィヤ山に近いカフルナブル市やカフルルーマー村などで、140人以上の指名手配者を逮捕したと報じた。

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ハマー県では、シリア人権監視団、地元調整諸委員会によると、ハラファーヤー市、シャイザル町などで軍・治安部隊による逮捕・追跡活動が行われた。

アサド政権の動き

SANA, November 19, 2011
SANA, November 19, 2011

マナール(11月19日付)は、非公式筋の話として、シリア軍が「幻想破壊」作戦の名のもとに対トルコ国境地帯全体(幅20キロ)に展開し、軍の許可のない往来を禁じる動きに出たと報じた。

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SANA(11月19日付)は、ラタキア県ジャブラ市でアサド政権の改革支持、外国の干渉反対を訴える市民数千人がデモ行進を行ったと報じた。

アラブ連盟の動き

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、事務局でアラブ監視団派遣に関する議定書に対してシリアが求めた修正提案について審議した。

連盟高官は「問題は猶予の問題ではなく、より複雑である」と述べ、修正提案に関してアラブ諸国の意見の相違があることを示唆した。

修正提案には、人権組織メンバーの参加拒否、監視団へのシリア使節団の随行、訪問先の病院・刑務所の制限、軍・治安機関施設への立ち入り拒否、「破壊分子」との積極禁止、などが盛り込まれており、アラビーヤ(11月19日付)によると、それは18項目からなる、という。

イスラエルの動き

48年パレスチナ人(イスラエル国籍を持つパレスチナ人)およびパレスチナ人数十人が西エルサレムにある米領事館前でアサド大統領を支持するデモを行った。

アサド大統領の写真を掲げたデモ参加者は、「アラブ性の砦シリアに対する帝国主義と陰謀よ、倒れろ」、「シリアから手を離せ」などといったシュプレヒコールを上げた。

イスラエル警察・治安部隊は領事館周辺に展開したが、デモを強制排除しなかった。

SANA, November 19, 2011
SANA, November 19, 2011

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SANA(11月19日付)は、イスラエル占領下のゴラン高原にあるブクアーター村で「アラブ連盟の決定反対、レジスタンスのシリア支持」と題した集会が開かれ、地元シリア・アラブ人住民が出席したと報じた。

同集会ではギリシャ正教会のアターッラー・ハンナー大司教(エルサレム司教区)などが出席した。

レバノンの動き

レバノンの自由国民潮流代表のミシェル・アウン元国軍司令官は、欧州のカトリック教徒使節団と会談した。

会談でアウン氏は、「現地での事実と異なったレポートをする世界のメディアの報道に対応することは重要なことだ」と述べ、ジャズィーラなどの扇動放送を批判した。

そのうえで、「シリアにおける戦争が進行中だ。なぜならこの戦争の背後にある真の動機は改革要求ではないからだ」と述べ、シリアの地域における弱体化をねらった動きを牽制した。

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レバノンのフアード・スィニューラ元首相は『シャルク・アウサト』(11月19日付)に対して、「もしわたしがナジーブ・ミーカーティー首相だったら、私はアラブ連盟外相会議で(対シリア決議に関する)投票で棄権していただろう」と述べた。

 

SANA, November 19, 2011
SANA, November 19, 2011

ヨルダンの動き

ヨルダン政府は、アラブ連盟の監視団派遣が決定した場合、監視員を派遣する用意があると発表した。

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ヨルダン・ムスリム同胞団のハマーム・サイード最高監督者は、「流血を停止」するためなら、同胞団がシリアへのアラブ軍の派遣を支持する、と述べた。

AFP, November 19, 2011、AKI, November 19, 2011、Akhbar al-Sharq, November 19, 2011、Alarabia.com, November 19, 2011、al-Hayat, November 20, 2011、Kull-na Shuraka’, November 19, 2011, November 20, 2011、al-Manar,
November 19, 2011、Naharnet.com, November 19, 2011、Reuters, November 19,
2011、al-Sharq al-Awsat, November 19, 2011などをもとに作成。

 

(C)青山弘之All rights reserved.

アサド政権を支持する市民らが危機発生以来初めて金曜日に各地で大規模な集会を断行する、トルコ外相が離反兵による武力攻撃を黙認するような発言(2011年11月18日)

アサド政権支持集会と反体制デモの発生

バッシャール・アサド政権を支持する市民が、3月の危機以降初めて反体制勢力がデモを行う金曜日に各地で大規模な集会を断行し、アサド政権の改革支持、外国の干渉拒否を訴えた。

一方、反体制勢力も複数の都市で金曜礼拝後にアサド政権打倒を求めるデモを行い、数千人が参加した。しかし、SNN(11月18日付)がフェイスブックなどで公開した映像を見ると、参加者の少なさが目立った。

なおこれに先だって、フェイスブックなどでは「大使追放の金曜日」と銘打ってデモが呼びかけられていた。

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ダルアー県では、シリア革命調整諸委員会によると、デモに参加した市民8人が治安機関の発砲により殺害された。

シリア人権監視団によると、ジャースィム市、インヒル市、ナワー市、ハーッラ市で治安部隊が展開し、デモを阻止した。

他方、SANA(11月18日付)は、ダルアー市ウマリー・モスク近くで武装テロ集団が治安維持部隊を襲撃、治安維持部隊兵士2人が負傷したと報じた。またタスィール町で武装集団のメンバー1人を逮捕したと報じた。

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ハマー県では、シリア革命調整諸委員会によると、デモに参加した市民4人が治安機関の発砲により殺害された。

SNN, November 18, 2011
SNN, November 18, 2011

他方、SANA(11月18日付)は、ハマー市クスール地区で爆弾が爆発し、治安維持部隊兵士2人が死亡したと報じた。

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ダマスカス郊外県では、シリア革命調整諸委員会によると、デモに参加した市民3人が治安機関の発砲により殺害された。

シリア人権監視団によると、治安部隊がハラスター市、ヤブルード市でのデモに発砲し、強制排除を試み、複数が負傷した。

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ヒムス県では、シリア革命調整諸委員会によると、デモに参加した市民2人が治安機関の発砲により殺害された。

シリア人権監視団によると、ヒムス市バイヤーダ地区では子供1人が負傷した。

SNN, November 18, 2011
SNN, November 18, 2011

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ニウマーン地方では地上電話、携帯電話が遮断されるなかで、デモが断行され、17人が負傷した。

またタッフ村で反体制デモが発生した。

地元調整諸委員会によると、カフルナブル市のモスク周辺に治安部隊が展開し、デモを阻止した。

SNN, November 18, 2011
SNN, November 18, 2011

他方、SANA(11月18日付)は、マアッラト・ニウマーン地方で指名手配中の武装テロ集団メンバー10人が逮捕されたと報じた。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市でデモが発生し、治安部隊が発砲し強制排除を試みた。

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ダマスカス県では、ダマスカス県旧市街の中心に位置するウマイヤ・モスク前で金曜礼拝後に数千人が集まり、その後、ハマディーヤ市場を経て、サブウ・バフラート広場まで行進した。参加者はアサド政権の改革支持、外国の干渉反対を訴え、今後毎週金曜日、広場で集会を行い、自らの意見を主張すると述べた。

一方、地元調整諸委員会によると、マイダーン地区のモスク前、カーブーン区、アサーリー地区でデモが発生した。

これに対して、SANA(11月18日付)は、カーブーン区、アサーリー地区でのデモが発生したとの発表は「まったく正しくない」と報じた。またイドリブ県、ハマー県、ダマスカス郊外県での発砲に関する報道・発表についても否定した。

SANA, November 18, 2011
SANA, November 18, 2011
SANA, November 18, 2011
SANA, November 18, 2011
SANA, November 18, 2011
SANA, November 18, 2011

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ラタキア県では、ラタキア市ハールーン交差点(広場)近くに数千人が集まり、アサド政権の改革支持、外国の干渉反対を訴えた。

またSANA(11月18日付)はジャブラ市のガズィー・モスクに治安部隊が突入したとの一部報道に対して事実とは異なると否定した。

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タルトゥース県では、タルトゥース市のコルニーシュに市民が集まり、アサド政権の改革支持、外国の干渉反対を訴えた。

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ハサカ県では、『クッルナー・シュラカー』(11月19日付)によると、アームーダー市、カーミシュリー市、ラアス・アイン市、ダルバースィーヤ市ではクルド人がクルドの旗などを掲げて反体制デモを行った。

反体制組織の動き

地元調整諸委員会は、SANAダイル・ザウル支局のアラー・ハドル局長が、民間人弾圧に抗議して辞意を示したことを受け、当局は同局長を逮捕した、と発表した。

しかしSANA(11月18日付)は、「ダイル・ザウル支局長はアラー・ハドル氏ではなくラミヤー・ラダーウィー女史であり…、ハドル氏は5ヵ月前にダイル・ザウル県フラート大学に異動となり、ダイル・ザウル支局とは何の関係もない」と否定した。

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シリアの複数の反体制組織がカイロに使節団を派遣し、会合を開き、反対勢力の政策・方針の統一、シリア国民評議会との関係の調整などを審議した。

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シリア国民評議会事務局メンバーで在米反体制活動家のラドワーン・ズィヤーダ氏は『ハヤート』(11月19日付)に対して、評議会使節団のロシア訪問が「良好だった」としたうえで、ロシアの姿勢変化に期待を寄せた。

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トルコのアンタルアで反体制活動を行うシリア変革大会は、アラブ連盟に対してシリアへの経済制裁を発動するよう求める声明を出した。

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イスラエル占領下のゴラン高原住民が、アラブ連盟の対シリア決議を支持する声明を出した。

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『シャルク・アウサト』(11月18日付)は、在外シリア人反体制活動家が、ジャーナリスト、人権活動家、国際機関代表らを載せた「自由船団」をシリアに派遣することを検討していると報じた。

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『ガーディアン』(11月18日付)は自由シリア軍がいかに兵員を確保し、各地に配備しているかを、複数の証言をもとにまとめた。

それによると、自由シリア軍はレバノン北部の対シリア国境沿いに潜伏し、シリア側から避難してくる離反兵を保護している。元治安部隊兵士によると「一昨日(11月16日)、私は30人を連れてきた」という。

またシリア情勢悪化を受けてシリアから帰国したレバノン人によると、「(離反)兵のほとんどは出身地には展開していない…。だから彼らが(レバノンに)入国すると、(シリア国内の)出身地に最も近い場所に送られる」という。例えば、11月16日にレバノンに逃れてきた離反兵は、トルコに送られ、その後出身地近くに配置され、軍・治安機関を攻撃するのだという。

これらの離反兵の資金源に関して、離反兵によると、誰が出資しているかは分からないが、離反兵の一人によると、「私が知っているのは調整委員会のメンバーに連絡しているということだ…。彼らは離反兵を連れて行くが、私は彼らを見たことはない」という。

http://www.guardian.co.uk/world/2011/nov/18/free-syria-army-lebanese-border?INTCMP=SRCH

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シリア国家建設潮流、国民民主変革諸潮流国民調整委員会の代表団および無所属活動家からなる使節団が、パリの英国大使館で英国外務省高官と会談した。

アサド政権の動き

ムハンマド・サイード・ラマダーン・ブーティー師は、シリア・アラブ・テレビ(11月18日付)が放映した金曜日の説教で、イスラーム諸国会議機構やアラブ連盟の代表者たちは、アッラーが命じ、アッラーの使徒が求めた協力に反している、と述べた。

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SANA(11月18日付)は、各地の金曜礼拝でイマームやハティーブらが、アラブ連盟の対シリア決議と外国の内政干渉への拒否の姿勢を示したと報じた。

アラブ連盟の動き

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は声明を出し、ワリード・ムアッリム外務大臣からアラブ連盟監視団の法的状況および任務に関する議定書の修正を求める書簡を受け取ったと発表した。

同声明によると、連盟は「この修正(要求)は現在検討中である」というが、修正要求の内容は明らかにしなかった。

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この修正要求に関して、シリア人権国民機構のアンマール・カルビー所長はフェイスブックで、シリア政府の要求は「人権活動家を含まず」、「監視団はアラブ諸国の役人だけ」から構成しようとするものだと批判した。

レバノンの動き

北部県トリポリ市で、レバノン人とシリア人数百人がアサド政権の打倒を求めるデモを行った。

デモでは、「バッシャール・アサドとともに去れ」、「今度はお前の番だ、ヒズブッラー」といったシュプレヒコールが繰り返され、ナジーブ・ミーカーティー首相の写真が焼かれた。

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アリー・アブドゥルカリーム在レバノン・シリア大使がレバノンのナビーフ・ビッリー国民議会議長と会談した。

会談で、アブドゥルカリーム大使はアサド政権が改革実施に邁進していると述べた。

一方、ビッリー国民議会議長は、「シリアに対する国際社会の圧力がその国民統合と、あらゆる挑戦に対処しようとする政府の責任を伴った政策の遂行を妨げている」と述べた。

諸外国の動き

ロシアのウラジーミル・プーチン首相はモスクワでフランスのフランソワ・フィヨン首相と会談した。

会談後の記者会見でプーチン首相は、シリアでの反体制勢力の武装闘争激化とアサド政権の弾圧継続に関して「我々は自制と慎重な姿勢を求める。これが我々の立場だ」と述べた。

一方、フィヨン首相は、アサド政権が国際社会の呼びかけに「耳を閉ざしている」と非難し、「我々は国際的圧力を強化する以外にないと考えている。我々は国連に決議案を提出した。我々は可能な限り広範な指示が得られることを望んでいる」と述べた。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣はトルコを訪問し、レジェップ・タイイップ・エルドアン首相、アフメト・ダウトオール外務大臣と会談した。

会談後の記者会見で、ジュペ外務大臣はシリア情勢に関して「我々の努力を一つにして制裁強化にあたる時がきたと思う…。安保理がこの点において何らの行動をとっていないことは論理的でない」と述べた。

また「内戦が勃発すれば大惨事になる」としたうえで、反体制勢力に「武装反乱」を控えるよう呼びかけた。

一方ダウトオール外務大臣は、「政府は国民に耳を傾けずに、武器を向けた」とアサド政権の弾圧を改めて非難した。

ジュペ外務省は19日までトルコに滞在予定。

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キャサリン・アシュトン外務・安全保障政策上級代表がロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣と会談した。

会談後の記者会見で、アシュトン外務・安全保障政策上級代表は、「アサド大統領が去る時がきた」と述べ、改めて退任を求めた。

これに対してラブロフ外務大臣は、「対話はアサド政権が退任しなければ始まらないと言う一部の外国諸国からの支援を受けているとシリアの反体制勢力が宣言すれば、アラブ連盟のイニシアチブは何の価値も意味もなくなってしまうだろう」と反論した。

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フランス外務省報道官は、16日のダマスカス郊外県ハラスターでの空軍情報部コンプレクスへの離反兵による攻撃に関して、アサド政権が「無差別で野蛮な弾圧」を行っている結果だと述べた。

また「離反兵が増加するたびに、政権の弾圧能力は低下する」と述べ、離反を促すような姿勢を示した。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、AFP(11月18日付)に対して、シリア国内での反体制勢力による武装闘争激化を内戦とみなすことに疑義を呈した。

ダウトオール外務大臣は、離反兵が「最近活動を開始した。それゆえに内戦の危険がある」としながらも、「内戦だと言うことは困難である、なぜなら内戦は二つの当事者が戦うものだが、シリアの現状は、大多数の住民が治安部隊の攻撃に曝されている」と述べ、離反兵の攻撃を黙認するとも捉えかねない姿勢を示した。

一方、シリア国民評議会に関しては、「政党」として承認している、と述べた。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は、ABCに対して、アサド政権が「不幸なことに激化する武装反体制勢力の攻勢に耐ええられないだろう」と述べた。

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英国外務省は、ウィリアム・ヘイグ外務大臣がフランスィス・ゲイ前レバノン大使をシリアの反体制勢力との連絡担当代表に任命したと発表した。

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欧州議会はアサド政権に対して、アラブ連盟の要求に応じるよう求めた。

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カナダのトロント大学の研究グループは、シリアに科している制裁に違反するかたちで、シリア文化省、運輸省、ドゥンヤー・チャンネルなどのウェブサイトがカナダのサーバー上で公開されていることを明らかにした。

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イラン国会のアラーッディーン・ボロージェルディー外交委員会委員長は、アラブ連盟による対シリア決議に関して「歴史的な過ち」と非難した。

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ヨルダンの首都アンマンで、ヨルダン・ムスリム同胞団が金曜礼拝後にフサイニー・モスク前でデモを行い、ヨルダン国内の体制改革を求めるとともに、シリアへの外国の干渉に反対の意思を示した。デモには約1,000人が集まった。

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『ハヤート』(11月18日付)は、アサド政権崩壊が「ムスリム同胞団が主導するイスラーム主義帝国を出現させる」と述べたイスラエル国防省のアモス・ギラード政治・治安局長の発言をめぐって、イスラエル国内で現下のシリア情勢をめぐる意見の対立が生じていると報じた。

AFP, November 18, 2011、Akhbar al-Sharq, November 18, 2011、Facebook、The Guardian, November 18, 2011、al-Hayat, November 18, 2011, November 19, 2011、Kull-na Shuraka’, November 18, 2011, November 19, 2011, November 21, 2011、Naharnet.com, November 18, 2011、Reuters, November 18, 2011、SANA, November 18, 2011、al-Sharq al-Awsat, November 18, 2011、SNN, November 18, 2011などをもとに作成。

 

(C)青山弘之All rights reserved.

シリア国民評議会の使節団がモスクワを訪問しロシアのラブロフ外相と会談、ロシア当局がアサド大統領の退任を呼びかけるよう求める(2011年11月15日)

反体制勢力掃討

アラブ連盟の決議に伴うシリア・バッシングの激化に伴い、反体制人権団体は14日と15日の被害を加算して報じることで、事態の深刻さを印象づけようとした。

しかし被害状況を精査すると、11月に入ってからの死者数は2桁代で推移しているなか、被害者の増減は反体制勢力・離反兵だけでなく軍・治安部隊兵士の死者数によって左右されていることが分かり、反体制運動が「平和的民主化」の様相を失いつつあることがわかる。

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イドリブ県では、同監視団によると、カフルルーマー村で軍設備を標的とした爆破が3件発生した。また同村で離反兵と軍・治安部隊が交戦し、軍・治安部隊の兵士14人が殺害された。また子供1人が戦闘の巻き添えとなって死亡した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長によると、ハーッラ市で、離反兵と思われる武装集団と軍・治安部隊が衝突し、軍・治安部隊の兵士5人が殺害された。

また地元調整諸委員会によると、サナマイン市近郊に展開する第15旅団内でも激しい銃声が聞こえた、という。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市で身元不明の遺体19体が発見された。

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SANA(11月15日付)は、武装テロ集団から応酬したとされるハイテク機器(衛星電話など)を公開したと報じた。

SANA, November 15, 2011
SANA, November 15, 2011

反体制勢力の動き

シリア国民評議会の使節団がロシアの首都モスクワを訪問し、セルゲイ・ラブロフ外務大臣と会談した。

使節団を率いたブルハーン・ガルユーン事務局長は、「体制内で血に手を染めていない勢力との対話の用意はある」としたうえで、「軍事介入や内戦を回避するために平和的政権移行」をめぐって交渉したいとの意思を伝えた。

また「アサドの辞任が交渉実施の余地を与える」として、ロシアにアサド大統領の退任を呼びかけるよう求めるとともに、アサド政権の人道に対する犯罪を支持する姿勢とも受けとれられない安保理での対シリア非難決議採択での拒否権発動を行わないよう訴えた。

ラブロフ外相は使節団に対して、「国際監視団の派遣、メディアの入国許可といったアラブ連盟の決議のほとんどを支持する」と述べたが、国内で政府と対話を行い危機を解決することが重要であるとの主張を行った。また外務省声明によると、ロシア側は、シリアが直面する事態正常化に向けた建設的な姿勢、すべてのシリア人のための改革実施を強調する一方で、外国の軍事干渉に反対の意思を示した。

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シリア国民評議会執行部のバスマ・カドマーニー報道官は、16日に予定されているラバトでのアラブ連盟緊急外相会談に関して、民間人保護と監視団派遣のしくみを確定するよう求めた。

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AKI(11月14日付)は、アッシリア教徒の反体制活動家スライマーン・ユースフ氏が、キリスト教徒とりわけアッシリア教会が、現政権の保護を求めたり、現政権と運命をともにすることはないと述べたと報じた。

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国内で活動する反体制活動家のアーリフ・ダリーラ、ブトルス・ハッラーク、サミール・イータ、ハーズィム・ナハール、ミシェル・キールー、ムハンマド・マフルーフ、ファーイズ・サーラ、フサイン・アウダート、リヤード・ラビーウ、イリヤース・ワルダ、ザカリヤー・サッカール、ムンズィル・イスビル、サルキース・サルキース、ハビーブ・ハッダード、ムンズィル・バドル・ハッルームは連名でヒムス市でのあらゆる暴力停止を呼びかけた。

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シリア国民協会(2011年9月に発足した反体制組織)は11月15日、アラブ連盟に対して「アラブ抑止軍」の派遣を要請した。

アサド政権の動き

SANA(11月15日付)は、「シリアでの事件に関与したが、その手を血に染めていない逮捕者1,180人を釈放した」と発表した。

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シリア外務省は11月16日にモロッコのラバトで開催されるアラブ連盟緊急外相会談を欠席すると発表した。

SANA, November 15, 2011
SANA, November 15, 2011

当初はワリード・ムアッリム外務大臣が出席すると見られていた。

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ムハンマド・シャッアール内務大臣は殉教者バースィル・アサド警察アカデミーの研修生らの前で訓辞を述べ、武装テロ集団逮捕に引き続き努力するとの意思を表明した。

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アラブ社会主義バアス党民族指導部とシリア地域指導部は共同声明を出し、アラブ連盟の決議が、アラブの共同行動を傷つける危険な先例になると非難した。

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SANA(11月15日付)は、シリア各地で前日に引き続き、アラブ連盟の決議に抗議する小規模なデモが行われたと報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(11月15日付)は、米『ニューヨーク・タイムズ』記者がトルコ高官に対して40分にわたりインタビューを行い、同高官が、「シリアにおける問題は、大統領の母、アニーサ・アフマド・マフルーフが息子のバッシャール・アサド大統領に、父ハーフィズ・アサド前大統領が1980年代にハマーで用いたのと同じ方法でシリアの現状に対処するよう忠告したことにあると述べたと報じた。image2

レバノンの動き

ナジーブ・ミーカーティー首相は閣議で、アラブ連盟外相会議での対シリア決議にレバノン代表が反対票を投じたことに関して、「徹頭徹尾、レバノン国内の安定を守るため」と述べた。

しかし『ハヤート』(11月16日付)は、ミーカーティー首相がGCC諸国大使との会談では「私が知らないところで、私との調整なしに行われ、それに驚いた」と述べたと報じた。

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自由国民潮流代表のミシェル・アウン元国軍司令官は、変化改革ブロックの定例会合後の記者会見で、アラブ連盟における対シリア決議採択に関して「アラブ諸国は誤った道を選んでしまった」と非難した。

諸外国の動き

GCCのアブドゥッラティーフ・ズィヤーニー事務局長は、アサド大統領によるアラブ連盟緊急首脳会談開催の要求に関して「GCCはこの時期の開催には効果がないと考えている」と述べた。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相はAKP会合で「シリアの政府は非常に危険な道、刃のうえを進んでいる」と述べた。

Kull-na Shurakā’, November 15, 2011
Kull-na Shuraka’, November 15, 2011

エルドアン首相はシリア国内でのトルコ大使館、領事館への包囲に関して、「トルコ高官やトルコの旗に対する攻撃を改めて強く非難する。我々はシリア政府が直ちに謝罪に必要な措置をとることを望んでいる」としたうえで、「バッシャールよ、お前はトルコの旗を攻撃した者の処罰を求められている。我々はシリア政府にトルコ人やトルコの旗を尊重するよう望んでいるだけではない。自国民を尊重するよう望んでいる」と述べた。

そして「我々はもはやアサド政権が誠実で、勇敢で、満足行くような精緻な指導ができるとは思っていない」と述べ、アラブ連盟が加盟資格停止を行うことを評価した。

さらに「我々は現在(2006年以降)シリアに電気を供給している…。このような状況が続けば、この決定のすべてを再考せざるを得ない」と述べた。

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EUは官報で追加制裁(14日に決定)の対象となる18人の氏名を公開した。追加制裁の対象となった18人の氏名は以下の通り(『クッルナー・シュラカー』(11月15日付は対象となった18人に関する追加情報を発表した)。

ジュムア・アフマド准将(特殊部隊司令官)
ルワイユ・アリー大佐(軍事情報局ダルアー支部長)
アリー・アイユーブ中将(副参謀長、共和国護衛隊第105旅団の前司令官)
ジャースィム・フライジュ一等中将(参謀長)
アウス・アスラーン准将(共和国護衛隊付旅団長、アリー・アスラーン元参謀長の息子で故バースィル・アサドおよびアサド大統領の友人)
ガッサーン・ビラール准将(マーヒル・アサド大佐事務所長)
アブドゥッラー・ビッリー(ビッリー家の首領で、民兵を組織)
ジョルジュ・シャーウィー(シリア・インターネット軍メンバー)
ズハイル・ハマド少将(総合情報部次長、EUの官報には軍事情報局次長とある)
ウマル・イスマーイール(シリア・インターネット軍代表、民間人)
ムジャーヒド・イスマーイール(シリア・インターネット軍メンバー、シャッビーハのリーダー)
サクル・ハイルベク(内務次官)
ナズィーフ・ハッスーン少将(EUの官報には姓は明記されず、総合情報部次長)
キファーフ・ムルヒム(第4機甲師団付士官、故バースィル・アサドおよびアサド大統領の友人)
ワジーフ・ムハンマド少将(第18師団司令官)
バッサーム・サッバーグ弁護士(ラーミー・マフルーフ、ハドゥーン・マフルーフの法律顧問)
ターラー・ムスタファー・トゥラース(EUの官報には准将とされているが、ターラーは女性の名前。なおマナーフ・トゥラース准将の妻の名がターラー・ハイイル)
フアード・タウィール准将(空軍情報部次長)

なお8月以降の制裁を通じてEUが資産凍結とビザ発給停止の対象としたアサド政権高官らの数は56人におよぶ。

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米民主党のクリス・コーンズ上院議員、ボブ・カーシー上院議員、共和党のマーク・ケリー上院議員は、ヒラリー・クリントン国務長官、ジョン・ブライソン商務長官に書簡を提出し、アサド政権が反体制勢力を監視するためにインターネット監視システムを購入したとの情報への懸念を表明するとともに、調査を求めた。

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イランのIRNA通信は、アリー・アクバル・サーレヒー外務大臣がアルジェリアのムラード・マドリスィー外務大臣と電話会談を行い、シリアの改革を前進させることの必要を強調、また外国の介入を拒否するべきとの姿勢を明示したと報じた。

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パレスチナ解放人民戦線(DFLP)はパレスチナの政治組織のなかで初めて、アラブ連盟によるシリアの加盟資格凍結に関する声明を発表した。

DFLP政治局が発表した同声明のなかで、DFLPは「シリア、シリアの人民民主運動、アラブ地域全体、そして民族安全保障にマイナスに作用する可能性がある」と非難し、外国の干渉、とりわけNATOの軍事介入をもたらす危険への懸念を表明した。

またアラブ連盟の決議に対するパレスチナ代表の姿勢を「棄権すべきだった」と述べ、賛成票を投じたことが、シオニズム・帝国主義の利益に資することになると非難した。

なおファタハ、ハマースをはじめとするパレスチナ諸勢力はシリアでの反体制運動に原則、不関与の方針をとっている。

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サウジアラビアのトゥルキー・ファイサル皇太子はワシントンDCでアサド大統領が暴力停止のためのアラブ連盟の努力に応えようとしなかったと非難し、「こうしたなかで、民衆の反体制運動はさらに増大し、殺戮行為も毎日繰り返されている。何らかのかたちで退任する以外に逃げ道はないと思う」と述べた。

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国連安保理はシリア国内での各国大使館包囲・襲撃に関して「深い懸念」を表明した。

AFP, November 15, 2011、Akhbar al-Sharq, November 15, 2011, November 16, 2011、AKI, November 15, 2011、Al-shorfa.com, November 19, 2011、al-Hayat, November 16, 2011、Kull-na Shuraka’, November 15, 2011, November 19, 2011、Naharnet.com, November 15, 2011、Reuters, November 15, 2011、SANA, November 15, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ムアッリム外務大臣が記者会見のなかでアラブ連盟による決議を「違法で憲章に従っていない」として非難、また自由シリア軍が声明を出し「暫定軍事評議会」の発足を宣言(2011年11月14日)

アサド政権の動き

ワリード・ムアッリム外務大臣はダマスカスで記者会見を行い、シリアでの「リビア・シナリオの再来はいかなる正当性もない」と述べるとともに、「シリアは鼓動するアラブの心臓であるがゆえ、アラブの共同行動」が必要との立場を明示した。

Kull-na Shurakā’, November 14, 2011
Kull-na Shuraka’, November 14, 2011

ムアッリム外務大臣は、アラブ連盟の決議におけるシリアの加盟資格停止に関して「アラブの共同行動、連盟の基礎、そしてその役割との関連で現在、そして未来にわたってきわめて危険な措置」と厳しく非難、決議を「違法で憲章に従っていない」と評した。

一方、反体制勢力との対話に関して、以下のように述べ、シリア国内での実施を改めて主張した。

「対話は政権と反体制勢力に限定されるものではない。なぜなら様々な要求をもつシリア人がいるからだ。彼らは政権、反体制勢力のいずれにも代表されていない。我々は観が手いるのは、国民対話を包括的対話となるよう拡大することだ…。我々はダマスカスで開催予定の国民対話大会に参加するすべての人々を歓迎する。在外居住者でさえ」。

一方、反体制勢力の弾圧に関しては、「国家が国民を保護し、武装テロ集団と対決するのは義務である」と述べた。

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SANA(11月14日付)は、ダマスカス県の外務省舎前でアラブ連盟の決議に抗議する市民がデモを行ったと報じた。

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SANA(11月14日付)は、パレスチナ人が集住するダマスカス県ヤルムーク・キャンプで、パレスチナ住民がアラブ連盟の決議に反対するデモ行進を行ったと報じた。

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SANA(11月14日付)は、イスラエルの占領下にあるゴラン高原のマジュダル・シャムスでアラブ連盟の決議に反対するデモが行われたと報じた。

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SANA(11月14日付)は、ダマスカス県のウマウィーイーン広場で女性数十人が集まり、自らの頭髪を切り落とし、アラブ連盟の決議への拒否の姿勢を表明した。

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SANA(11月14日付)はシリア・アラブ共和国憲法草案準備委員会が旧首相府で会合を開いたと報じた。

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『ガド』(11月15日付)は、14日晩にダマスカスのヨルダン大使館前で約120人の市民がアブドゥッラー国王の発言に抗議するデモを行い、そのなかの2人が大使館内に進入したとウマル・アムド在ダマスカス・ヨルダン大使が述べたと報じた。

反体制勢力の動き

SANA, November 14, 2011
SANA, November 14, 2011

国民民主諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム総合調整役は、訪問中のドーハで『ハヤート』(11月15日付)の取材に応じ、カイロでの反体制勢力の会合に向けた抱負を述べた。

そのなかでアブドゥルアズィーム総合調整役は、「反体制勢力各派は様々な原則をめぐって遵守すべき文書を作成する必要がある。例えば、対話には体制が参加するのか否か?おそらく一部の反体制勢力がそのために努力し、体制との対話を求めてくるはずである」と述べ、外国の介入だけでなく、アサド政権との関係をめぐっても反体制勢力内で対立があることを示唆した。

アブドゥルアズィーム総合調整役はドーハよりカイロに戻り、アラブ連盟決議に基づき他の反体制勢力と会合する予定。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣はアンカラでシリア国民評議会執行部の使節団と会談した。

「アフバール・シャルク」(11月14日付)によると、会談で、ダウトオール外務大臣は、シリア国内のトルコ大使館・領事館への市民の襲撃の責任がアサド政権にあると非難した。

またアラブ連盟の決議に関して、トルコが決議の即時・完全履行にむけて連盟と協調すると述べた。

これに対してブルハーン・ガルユーン事務局長を団長とする使節団は、トルコ国内にシリア国民評議会の代表部の設置を認めるなど具体的な協力を求めた。

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『ザマーン・ワスル』(11月14日付)は、自由シリア軍が声明を出し、暫定軍事評議会を発足すると報じた。

同紙が掲載した声明(14日付)によると、暫定軍事評議会は以下の士官から構成される。

リヤード・ムーサー・アスアド大佐(評議会議長)
マーリク・アブドゥルハリーム・クルディー大佐
アフマド・ヒジャーズィー・ヒジャーズィー大佐
アラファート・ラシード・ハンムード大佐
アーリフ・ムハンマド・ヌール・ハンムード大佐
アブドゥッラッザーク・ラーシド・ラフムーン大佐
アブドゥッサッタール・ムハンマド・ジャミール・ユーンスー大佐
ガッサーン・イスマーイール・フライヒル大佐
マーヒル・イスマーイール・ラフムーン少佐

同評議会は、現政権打倒、軍の組織などを目的とする。

http://all4syria.info/web/archives/36745

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シリア国民評議会の使節団は、ドイツ外務省でギド・ヴェスターヴェレ外務大臣と会談した。

評議会が出した声明によると、ヴェスターヴェレ外務大臣はブルハーン・ガルユーン事務局長ら使節団との会談で、自由と民主主義を求めるシリア国民への支持を表明するとともに、政権による弾圧激化への懸念を示し、「シリアでの人権侵害を前に沈黙できない」と述べたという。

反体制運動掃討

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ジャウバル区で市民2人が治安部隊の発砲により殺害された。

また同監視団によると、同市バーブ・アムル地区で黒煙があがっているという。

ヒムス県ヒムス市マハッタ地区のキリスト教会前で反体制デモが行われる映像がYoutubeに公開された。http://www.youtube.com/watch?v=Okk76vY5fEw&feature=player_embedded#t=0s

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、インヒル市の軍の検問所で1人が射殺された。

また同監視団によると、ヒルバト・ガザーラ町で軍・治安部隊が大規模な逮捕・追跡活動を行い、その直後、離反兵と思われる武装集団と激しい交戦状態に入り、軍・治安部隊兵士4人が少なくとも死亡し、軍・治安部隊の戦闘車両5輌が破壊された。

これに対してSANA(11月14日付)は、ヒルバト・ガザーラ町とアルマー町で武装テロ集団が治安維持部隊を襲撃し、部隊兵士2人を殺害したと報じた。

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イドリブ県では、シリア人権監視弾によると、ナイラブ村で軍・治安部隊の兵士の遺体5体が発見された。

軍・治安部隊はカフルバッティーフ、ジューバース、アブディーターで指名手配者の追跡を行っているという。

カフルーバ村では、女性と子供たちが反体制デモを行った。

これに対してSANA(11月14日付)は、マアッラ・ニウマーン地方スィンジャール近くで鉄道の線路に武装テロ集団が爆弾5発を仕掛け、うち1発が爆発したと報じた。残りの4発は爆弾処理班が撤去したという。

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ハマー県では、シリア事件監視団によると、カフルヌブーダ町で反体制デモが発生した。

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アレッポ県では、アレッポ市で夜、トルコ国旗を掲げる市民数百人がトルコ大使館、領事館の包囲に抗議するデモを行った。

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なおシリア人権監視団は11月15日、14日に治安部隊による民間人への攻撃や離反兵と軍・治安部隊の戦闘によって多数死亡したと発表した。

具体的な内訳は以下の通り。

シリア北部および南部で治安部隊の弾圧により、民間人27人が死亡した。

ダルアー県で離反兵と思われる武装集団と軍・治安部隊が衝突し、軍・治安部隊兵士34人と武装集団メンバー12人が死亡。

ダルアー県のブスル・ハリール市、ナーフタ町、ムライハト・アトシュ村などで軍・治安部隊の検問所からの市民への発砲で23人が死亡。

ヒムス県では、カフルラーハー市で軍・治安部隊の検問所からの市民への発砲で4人が死亡。またヒムス市のドゥライブ地区で市民1人が殺害。

この発表は15日の被害と合わせて行われ、シリア情勢が悪化しているという錯覚を与えた。

アラブ連盟の動き

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、シリア情勢を検討するためのアラブ連盟緊急首脳会談の開催をバッシャール・アサド大統領が呼びかけているとのワリード・ムアッリム外務大臣からのメッセージを受け取ったと述べた。

アラビー事務総長は同メッセージを各国に伝えたという。緊急首脳会合の開催には加盟国の3分の2以上の賛成が必要となる。

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アラブ医師連合支援緊急委員会のイブラーヒーム・ザアファラーニー事務局長は、アラビー事務総長と会談し、シリアへのアラブ監視団の派遣に関して、「民間人の状況とその保護のための報告書作成を準備するためすべての場所を訪問する」と述べた。

アラブ監視団の派遣の日程はラバトでのアラブ連盟閣僚会議で決定予定。

アラブ連盟高官筋によると使節団は、アラブ地域諸機関の代表、ジャーナリスト、軍人など約500人からなるという。

諸外国の動き

ヨルダンのアブドゥッラー国王はBBCのハードトークに出演し、「私が彼(アサド大統領)の立場だったら、退いていただろうと思う」と述べた。

また「現体制がそのようなこと(アサド大統領の退任)を許すとは思っていない。それゆえバッシャールが国益に関心を寄せているなら、彼は退かねばならない。しかし同時に、彼は、シリアの新たな政治プロセスの始まりを保障するような行動をとらねばならない」と述べた。

ヨルダンではシリアと同様、今年初めから反体制デモが散発しているが、アブドゥッラー国王は退任していない。

なおこの発言が放映された直後、ヨルダンのペトラ通信は、「ヨルダン国王の発言はシリア大統領への直接かつ明確な退任要求ではなく、同じ状況に身を置く人間がどのようなことをするのかという質問への答えに過ぎない」との声明を出した。

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EU外相会議がブリュッセルで行われ、アラブ連盟の決議への支持を確認するとともに、アサド政府高官・関係者18人を新たに制裁リストに追加することを決定した。

また会談後の声明で、アラブ連盟の決議が高く評価される一方、「EUはシリア国民評議会のように非暴力と民主主義の価値観を遵守する反体制勢力の代表と対話の用意がある」との意思が示された。

会談後、フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、民間人保護が国連安保理を通じて拡充されるべきだと述べた。

英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、EUが追加制裁を科すことが重要だとの見解を示した。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は国会で「中東で国民と平和に暮らせず、その希望に添えない者たちは去るべきである」と述べた。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、アラブ連盟の決議に関して、「正しくない」と評し、「この決定に与した者は、事態に透明性を付与する実質的機会を奪った」と非難した。

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中国の外交部報道官は、記者会見で「現在重視されるべきは、アラブ連盟のイニシアチブを正しく、そして早急に実施することにある…。中国は改めて、シリア政府とすべての当事者に暴力の停止を求める」と述べ、国際社会にアラブ連盟のワーキングペーパーの実施に相応しい環境を作り出すよう呼びかけた。

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イラン外務省報道官は、アラブ連盟の決議に関して「問題の正常化ではなく複雑化をもたらすだろう」と非難した。

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クウェートの『カバス』(11月15日付)は、クウェートでシリア人1人がスパイ容疑で逮捕されたと報じた。

レバノンの動き

レバノンのナジーブ・ミーカーティー首相は、エジプト、ヨルダン、EUの大使と相次いで会談し、アラブ連盟外相会議での対シリア決議にレバノン代表が反対票を投じたことに関して、アラブ諸国に反対したのではく、自国を守るためと説明したと『ナハール』(11月15日付)が報じた。

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ナビーフ・ビッリー国民議会議長は『ジュムフーリーヤ』(11月14日付)で、アラブ連盟はシリアに対する立場を改める必要があると述べた。

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進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、アラブ連盟の決議をレバノンの代表が棄権したことに関して、「イエメンのアリー・サーリフと同じ態度をとるべきでなかった」と述べた。『ナハール』(11月14日付)が伝えた。

同記事によると、ジュンブラート党首はまた、「レバノンはシリアに関してアラブ・イニシアチブにコミットすることを声高に述べた方がよかった」としたうえで、「アラブ・イニシアチブがシリア救済を意味している」と述べた。

AFP, November 14, 2011、Akhbar al-Sharq, November 14, 2011, November 15, 2011, November 16, 2011、al-Ghad, November 15, 2011、al-Hayat, November 15, 2011, November 16, 2011、Kull-na Shuraka’, November 14, 2011、al-Liwa’, November 15, 2011、al-Nahar, November 14, 2011, November 15, 2011、Naharnet.com, November 14, 2011、al-Qabas, November 15, 2011、Reuters, November 14, 2011、SANA, November 14, 2011、Zaman al-Wasl, November 14, 2011などをもとに作成。

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アラブ連盟の決議をめぐって親・反体制勢力双方から激しい反応が巻き起こるなか、アサド政権は同連盟と緊急首脳会談の開催を求める(2011年11月13日)

反体制勢力の動き

エジプトでのアラブ連盟ナビール・アラビー事務総長との会談を終えた国民民主変革諸勢力国民調整委員会など国内の反体制勢力代表からなる使節団は、カタールのドーハを訪問した。

Kull-na Shurakā’, November 13, 2011
Kull-na Shuraka’, November 13, 2011

使節団は、ハサン・アブドゥルアズィーム総合調整役、アブドゥルアズィーズ・ハイイル、サーリフ・ムスリム、ムンズィル・ハッルーム、ハーズィム・ナハール、ハイサム・マンナーアからなる。

シリア・アラブ人権機構代表で国民民主変革諸勢力国民調整委員会在外局長のマンナーア氏は、『ハヤート』(11月14日付)の取材に答え、シリア国民評議会、国民調整委員会、そして無所属の活動家らが反体制勢力の会合に出席し「次期段階におけるシリアの声を代表するための共通の枠組み」を構築すると述べた。

またシリア国民評議会を国際社会で唯一承認しているリビアから国民調整委員会が謝罪を受けたことを明らかにした。

シリア国民評議会と国民調整委員会の意見の相違に関して、マンナーア氏は「シリア国民評議会の結成のありようは、民主的ではなかった。シリアのロードマップを表明するための民主的な観点以上に、個人的、地域的、国際的な観点を考慮して発足された」と述べ、そのありようを批判した。

また「政権打倒を云々するだけでなく、計画を明示しなければならない。国家の形態やその性質を明示せねばならない。我々は外国の干渉に反対している。しかし評議会には、少なからぬメンバーがそれを体制を打倒する方法だと考えている」と述べ、対立点が外国の干渉の是非にあることを示唆した。

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オーストリアのウィーンで在外シリア人連盟の主催で、シリア国民評議会のメンバーなど80人が集まった。

Kull-na Shurakā’, November 13, 2011
Kull-na Shuraka’, November 13, 2011

会合では、在オーストリア・シリア人代表のアーミル・ハティーブ氏が、シリア国民評議会メンバー3人をカイロでの反体制勢力の会合に出席させると発表した。

3人とはアブドゥルバースィト・スィーダー、マフムード・カイラーニー、バドル・ジャームース。

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パリ在住の反体制活動家は、リフアト・アサド前副大統領がプルマン・ホテルで来世紀機構主催のもとに開かれた記者会見に抗議すべくピケを張った。

『クッルナー・シュラカー』(11月13日付)によると、リフアト・アサド前副大統領は、「クルド人分離主義者や治安機関に近い傭兵と国民連合評議会」という「反体制勢力」の発足を宣言するために記者会見を行った、という。

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国内で反体制活動を行うシリア国家建設潮流(ルワイユ・フサイン代表)は声明を出し、アラブ連盟の決議を非難した。

同声明で、シリア国家建設潮流は「シリア政府が受理した連盟イニシアチブを成功させるため、真剣に活動」するよう訴えた。

また、3日以内の連盟本部(カイロ)での反体制勢力による会合を呼びかけた決議の項目に関して、「アラブ連盟の保護のもとシリア領内ですべての反体制勢力が会合を開く必要がある。なぜなら、シリアの政治闘争は、広く知られた一部の反体制勢力に限られておらず、連盟と連絡をとっている組織の枠外にも多くの政治運動や活動家がいるからだ」と述べた。

そのうえで「一部の反体制勢力をシリア国民の合法的・唯一の代表などと承認すべきでない」と警鐘を鳴らした。

http://all4syria.info/web/archives/36423

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同じくシリア国内で反体制活動を行うシリア共産主義者統一国民委員会(解放改革国民戦線参加組織)のカドリー・ジャミール委員長は、アラブ連盟の決議に関して、「我々の国の主権に抵触しており、拒否されるべきもので、現下の危機を国際化し、植民地主義的干渉をもたらし、米・シオニズムの計略のもとにシリアの領土と国民を粉砕する」と強く非難した。

http://all4syria.info/web/archives/36517

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サラーム・カワーキビー氏は、「包括的な愛国観、親の民主的行動に依拠し、献身的な友人を励したいとの念により」発足以来関与してきたシリア国民建設潮流を離党すると発表した。

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またイヤード・シュルバジー氏もシリア国家建設潮流からの離反を発表した。

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ゴラン高原のヌアイム部族が声明を出し、アラブ連盟の決議を支持するとともに、シリア国民評議会を「自由シリア国民の代表」と讃えた。

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リフアト・アサド前副大統領はAFPおよび『ル・モンド』との共同会見で、アサド大統領退任に協力するための条件をアラブ世界および国際社会に対して明らかにした。

それによると、リフアト・アサド前大統領は以下のように述べたという。

「解決策は、アラブ諸国がバッシャール・アサドに安全を保障したうえで辞任させ、財政支援(力)があり、バッシャールの集団が続くことを保証できる人物に権力を移譲することがその秘訣であり、そのような人物は、彼自身の家族…つまり、私か私のような人物でなければならない」。

また「(シリアの現)体制は退任の用意がある。しかし体制はその構成員だけの(身の安全の)保証だけでなく、退任後に少数派のアラウィー派と多数派のスンナ派の間で内戦が発生しないことの保証も望んでいる」と述べた。

さらに反体制勢力内部、アラブ連盟内部の意見の対立に関しては、西側諸国、ロシア、イランが参加したかたちで「政府との交渉能力を持った…国際的・アラブ的な同盟を作る必要があり…、体制に退任のための真の保証を作り出さねばならない」と述べた。

アサド大統領の指導力に関しては、アサド大統領のみが国を運営でき、陰の長がいるとの一部見方を否定した。

軍や治安機関の中枢に多いアラウィー派に関しては、「アラウィー派の士気は停滞しており、彼らはバッシャールへの信頼を失い、危機脱却能力を持っていないと考えている。しかし、(政権からの)報復への恐怖が彼らに沈黙を強いている」の述べた。

アラブ連盟の決議については、その能力に疑義を停止、国連などが事態収拾を主導すべきだとの立場を明示した。

アサド家の面々が権力の在にとどまることを「シリア革命」が制限するか、との問いに対して、「制限するだろう。だがバッシャールはカッザーフィー、ベンアリーとは違う。だから国際社会は彼とその家族に安住の地を与えねばならず、紛争が長期化すれば、内戦になる恐れがある」と答えた。

リフアト・アサド前大統領は会見の最後に、自身を代表とする新たな「反体制」組織、民主国民評議会の発足を宣言した。同組織は、自身が指導する統一民族民主主義連合のメンバーなどからなる。

アサド政権の動き

SANA(11月13日付)は、早朝から、ダマスカス県、アレッポ市、タルトゥース市、ラタキア市、ハサカ市、ダルアー市、ラッカ市、ダイル・ザウル市、ヒムス市、ハマー市、イドリブ市など各地で市民数百万人が、シリアの加盟資格停止などを定めたアラブ連盟の決議拒否を表明するため大規模なデモを行ったと報じた。

SANA, November 13, 2011
SANA, November 13, 2011
SANA, November 13, 2011
SANA, November 13, 2011
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SANA, November 13, 2011
SANA, November 13, 2011
SANA, November 13, 2011
SANA, November 13, 2011

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SANA(11月13日付)は、シリア高官筋の話として、シリアがアラブ連盟緊急首脳会談の開催を求めた、と報じた。

同高官はまた、アラブ連盟外相会議の決議に基づきシリアの加盟資格停止が発効する「16日までにアラブ連盟閣僚委員会の訪問を歓迎」するとともに「相応しいと判断し得る監視団、民間・軍事監視団の随行」を認めるとの立場を示したという。

ユースフ・アフマド・アラブ連盟シリア代表はカイロでの記者会見で、緊急首脳会談を求めると述べたが、連盟筋によると「そうした要請はいまだ提出されていない」という。

この点に関して、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は訪問中のトリポリ(リビア)で、「シリア国民保護のためのしくみを準備することが現在、連盟に求められている」と述べ、詳細なコメントを控えた。

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シリア・オリンピック委員会はカタールのドーハで12月に予定されている大会への参加を辞退することを決定した。シリア・アラブ・テレビ(11月13日付)が報じた。

反体制運動掃討

ハマー県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市で治安部隊がアサド政権支持のデモに対抗して敢行された反体制デモに発砲し、6人を殺害した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、複数の学生がタカーヤー通りでのアサド政権支持デモのなかで反体制デモを行おうとして、治安部隊に排除され、その際、15歳の学生が殺害された。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、治安部隊の発砲で市民1人が殺害された。

またイブリーン地方アブディーター村で軍・治安部隊と離反兵の間で激しい戦闘があった。この戦闘の直前、バーラ村にある軍・治安部隊の検問所で時限爆弾が爆発したという。

さらにマアッラト・ヌウマーン市、カフルルーマー村でアラブ連盟の決議を支持し、政権打倒を求めるデモが発生した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市カイロ通りで治安部隊の発砲により重傷を負っていた市民1人が死亡した。またバイヤーダ地区では2人、ジュッブ・ジャンダリー地区で1人が殺害された。

また市内のバアス大学土木工学部構内でRPB弾が発射され、複数の学生が負傷した。

クサイル市では、離反兵と思われる武装集団が治安部隊を襲撃し、治安部隊兵士2人を殺害した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市やヤードゥーダ村で治安部隊が大規模な逮捕・追跡活動を行い、複数が逮捕され、複数が負傷した。

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アレッポ県では、シリア人権擁護連盟によると、アレッポ市教育局次長事務局のワッダーフ・スバーヒー氏を逮捕し、当局は反体制活動家で同氏の兄弟アブドゥルガニー・スバーヒー氏が投降しない場合、その家族を殺害すると脅迫した。

レバノンの動き

ベイルート県ハムラー地区で在レバノン・シリア人がアラブ連盟の決議に抗議するデモを行った。

SANA, November 13, 2011
SANA, November 13, 2011

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ミシェル・スライマーン大統領は北部県トリポリ市を訪問し、自身がいかなるアラブ諸国の孤立を拒否するが、アラブ連盟の決議に反対していないと述べた。

またアサド大統領に対してアラブ連盟のイニシアチブを実行するよう求めたと述べた。

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ナビーフ・ビッリー国民議会議長は、サウジアラビアのアブドゥッラー国王に対して電報で、「アッラーを除いた場合、あなた以外にシリア人どうし、そしてアラブ人どうしの和解を後押しできる人物を見つけることはできない」とのメッセージを送り、アサド政権への強硬な姿勢を改めるよう暗に求めた。

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3月14日勢力は、アラブ連盟の決議を受け、ミシェル・フーリー在ダマスカス・レバノン大使を召還するよう求めた。

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『アンバー』(11月13日付)は、米国がレバノンに対して、シリア人避難民の追放など「消極的な結果をもたらす」ような行動をとらないよう警告を発したと報じた。

アラブ諸国によるアラブ連盟決議への消極的姿勢

アルジェリアのムラード・マドリスィー外務大臣とエジプトのムハンマド・カーミル・アムル外務大臣と会談した。

会談後の記者会見で、マドリスィー外務大臣は、アラブ連盟の決議に関して、「シリアのアラブ連盟資格停止が一時的なものであり、可能な限り早期に解除し得る」と述べるとともに、アルジェリアが在ダマスカス大使を召還しないことを明らかにした。

またマドリスィー外務大臣は、「もし原案のまま決議案が提出されていたら、我々は撤退していた」と述べ、大使召還などをめぐる決議案の文言にアルジェリアが強く反対し、連盟閣僚委員会からの撤退さえ検討していたことを明らかにした。

一方、アムル外務大臣は、「アラブ連盟のイニシアチブが依然として生きており、シリアの問題を解決基礎であり続けている」と述べ、エジプトがアルジェリアとともに、外国の介入を回避することを最優先の目的としていたことを明らかにした。

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イラク政府はアラブ連盟の決議を「受け入れられないこと」と非難した。

アリー・ダッバーグ首相報道官は、決議が「受け入れられないかたちで決せられた。こうしたことはシリアよりも激しい危機に見舞われている他の国では採用されたことがない」と述べたうえで、「我々は反体制勢力との対話、シリア国民の自由を支持している…。しかしこのような厳しい方法は問題を国際化するだけだ」と非難した。

イラクの法治国家連合はアラブ連盟の決議を「外国の計略を実行する」ためのものと非難した一方、イラーキーヤ、クルディスタン同盟は、決議を支持し、イラクが棄権したことを批判した。

諸外国の動き

サウジアラビアは、ダマスカスのサウジアラビア大使館を市民が包囲し、投石などを行ったことに関して、治安当局がデモ排除など充分な措置をとらなかったと非難した。

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フランス外務省もまた、ダマスカスのフランス大使館、アレッポ、ラタキアの領事館を市民が襲撃したことを受け、ラミヤー・シャックール在パリ・シリア大使を呼び出した。

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トルコ外務省は在アンカラ・シリア大使を呼び出し、ダマスカスのトルコ大使館、アレッポ、ラタキアの領事館を市民が襲撃したことに関して、厳重抗議した。

また外務省はアラブ連盟の決議に関して声明を出し、国際社会が「声を一つにして」シリア情勢に対応するよう呼びかけた。また、ダマスカス県のトルコ大使館がアサド政権を支持する市民の包囲・襲撃を受けたことを受け、シリア在住のトルコ人に対して、不要不急の渡航・滞在を控えるよう勧告を発し、大使館職員の家族らを帰国させた。

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国連の潘基文事務総長はアラブ連盟の決議に関して「協力で勇敢」な措置と評価した。

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カイロ、アンマンのシリア大使館周辺では、アラブ連盟の決議を支持するデモが行われ、数百人が参加した。

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ヨルダン・ムスリム同胞団のイスラーム行動戦線は、ヨルダン政府に駐シリア・ヨルダン大使の召還を呼びかけた。

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『リヤード』(11月13日付)は、アラブ連盟の決議に伴うシリアとサウジアラビアの関係悪化に伴い、シリア経由の物流が滞る可能性があると指摘。

ただし、同報道によると、現在のところシリアからの物流は通常通りで、約600輌の大型貨物車輌が30,000トンの製品を毎日サウジに搬入している、という。

AFP, November 13, 2011、Akhbar al-Sharq, November 13, 2011, November 14, 2011、al-Anba’, November 13, 2011、al-Hayat, November 14, 2011、Kull-na Shuraka’, November 13, 2011, November 15, 2011、Naharnet.com, November 13, 2011、Reuters, November 13, 2011、al-Riyad, November 13, 2011、SANA, November 13, 2011などをもとに作成。

 

(C)青山弘之All rights reserved.

国民民主諸勢力国民調整委員会を含む反体制勢力使節団がシリア国民評議会の支持者らによって暴行を受ける、エジプトの前共和国ムフティーがシリア国内の反体制武装運動を許可(2011年11月9日)

反体制勢力の動き(アラブ連盟本部前での暴行ほか)

シリア国内で活動する国民民主諸勢力国民調整委員会など反体制勢力の使節団が、シリア国民評議会を支持する反体制活動家の暴行を受けた。

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使節団は、国民民主変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム総合調整役、アブドゥルアズィーズ・ハイイル、ラジャー・ナースィル、ファーイズ・ファウワーズ、サーリフ・ムスリム、バッサーム・マリク、国家建設潮流のルワイユ・フサイン代表、リーム・トゥルクマーニー、無所属のサミール・イータ、ミシェル・キールー、ハイサム・マンナーア、アーリフ・ダリーラからなり、アラブ連盟本部でナビール・アラビー事務総長と会談し、「シリアの現状、アラブ連盟イニシアチブ実施、とりわけ国民対話開始の必要性について説明する」(国民調整委員会フサイン・アウダート氏)ことを目的とした。

しかしカイロのアラブ連盟本部前でバッシャール・アサド政権の弾圧に抗議するための座り込みを行っていたエジプト在住のシリア人反体制活動家らが、使節団の訪問に殴打やタマゴを投つけるなどの暴行を加えた。

これにより、ハサン・アブドゥルアズィーム総合調整役以外の使節団メンバーの訪問は阻止された。

在カイロ・シリア革命調整報道委員会のムウミン・クワイファーティーヤ委員長は、「国民調整委員会の使節団はアラブ連盟事務局長との会談のためにやってきたので、我々は彼らを制止し、彼らと30分間にわたって席をともにし、アラビー事務総長と行うべき会話の内容を議論した」と述べた。

クワイファーティーヤ委員長によると、使節団はシリアのアラブ連盟メンバーシップ凍結や、民間人保護のための飛行禁止空域にはまったく言及しなかったという。

またクワイファーティーヤ委員長は、使節団への暴行に関して、「当然だ。あいつらは金で雇われた裏切り者だ。国民はみなバッシャール・アサド政権の打倒とシリア国民評議会の承認を望んでいる」。

在カイロ・シリア革命調整総合調整役のアフマド・ハンムーダ氏も、国民調整委員会がシリア国民評議会に加わっていない点を指摘したうえで、シリア国民が「彼らに要求を掲げて欲しくないと思っているはずで、一部の人々は政権に取り込まれていると考えている」と述べた。

http://www.youtube.com/watch?v=G9524cX5HvU

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アラブ連盟のアラビー事務総長は、「暴力を用いる理由が分からない。彼らへの暴行を遺憾に思う」と述べた。

また反体制勢力との会合に関しては、「アラブ連盟はシリア国内外のあらゆる反体制勢力と会う。これまでにもシリア国民評議会の代表と数回にわたって会ってきたのだから」と述べた。

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アラビー事務総長と会談したアブドゥルアズィーム総合調整役は、会談に関して「政権が弾圧や殺戮を行うような新たな猶予を与えないようアラブ連盟に求めた」と述べた。

その一方で、アサド政権と結託しているとの一部非難に関して、アブドゥルアズィーム総合調整役は、「我々は愛国的な責任をもって、革命と革命青年を保護するために活動している。アラブ諸国と国際社会による民間監視団の受け入れを望んでおり、シリア革命が平和的であることを望んでいる。軍事干渉以外の保護の手段を拡充したいと思っている」と述べた。

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反体制勢力使節団に参加したシリア・アラブ人権機構のハイサム・マンナーア所長は、アブドゥルアズィーム総合調整役とアラビー事務総長の会談に関して、シリア国内での暴力停止の必要を強調するとともに、アラビー事務総長にアラブ連盟イニシアチブの実施に必要な措置を講じるよう求めたと述べた。

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シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン理事長はアラブ連盟のアラビー事務総長宛に書簡を送った。

そのなかで、ガルユーン理事長は、「政権がアラブ連盟のイニシアチブの各条項を遵守しないなか…、現在すべき唯一のことは、国際法上あらゆる合法的な手段を駆使して民間人を保護することである」と述べた。

そのうえで、書簡では、シリアのアラブ連盟などのメンバーシップ凍結、アラブ連盟諸国による経済・外交制裁、アラブ・国際監視団による監視、メディア、人権団体、支援団体の活動規制撤廃、アラブ連盟によるシリア国民評議会の承認を求めた。

一方、ガルユーン理事長はフェイスブックで、カイロでの暴行に関して、シリア国民評議会に悪影響を及ぼす危険な出来事と批判した。

またシリア国民評議会事務局メンバーのジャブル・シューフィー氏はこの暴行事件に関して「国民調整委員会内外の反体制活動家を攻撃した、ないしは攻撃しているすべての者は、シリア国民評議会を代表していない」と非難した。

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国家建設潮流のルワイユ・フサイン代表はフェイスブックで、反体制勢力使節団に参加した自身とリーム・トゥルクマーニー氏が、サミール・イータ氏、ミシェル・キールー氏、ムンズィル・ハッルームシ氏、ハーズィム・ナハール氏などとともに使節団を離れ、再び戻ることはないだろうと綴るとともに、潮流が近くカイロでの出来事に関して声明を出すと述べた。

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反体制勢力の使節団に参加していたシリア国家建設潮流のルワイユ・フサイン氏はフェイスブックで、使節団がカイロのアラブ連盟本部前で座り込みを行うシリア国民評議会支持者の暴行を受けてアラビー事務総長との会談を断念したのではなく、会談前に使節団への参加を取りやめたことを明らかにした。

それによると、シリア国家建設潮流のルワイユ・フサイン氏、リーム・トゥルクマーニー氏は、サミール・イータ氏、ミシェル・キールー氏、ムンズィル・ハッルーム氏、ハーズィム・ナハール氏などとともに使節団への参加を取りやめた。

一方、アラビー事務総長との会談には、ハサン・アブドゥルアズィーム総合調整役、ハイサム・マンナーア氏、バッサーム・マリク氏、アブドゥルアズィーズ・ハイイル氏、フサイン・アウダート氏、サーリフ・ムスリム氏(民主統一党党首)が参加した。

しかしアラビー事務総長との会談を許されたのは、アブドゥルアズィーム総合調整役だけだったという。

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反体制活動家のイヤード・シュルバジー氏はフェイスブックで反体制勢力の使節団内の不和について暴露した。

それによると、使節団では当初、ミシェル・キールー氏が使節団を代表してアラビー事務総長と話を進める予定だったが、これにアブドゥルアズィーム総合調整役が反対し、事務局長前での意見表明を求め対立した。

その結果、キール氏、イータ氏、フサイン氏などが使節団への参加をとりやめた、という。

反体制運動掃討

ハマー県では、シリア人権監視団によると、ムハルダ市で軍・治安部隊兵士7人が、離反兵との戦闘で殺害された。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、バルザ区で民間人8人が殺害された。うち1人が治安部隊によって早朝に射殺され、5人がその葬儀に参列中に殺害された。

http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=eru2xzLnGpI#t=0s

http://www.youtube.com/watch?v=v58Tj5-LxJ4&feature=player_embedded#t=0s

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区とカイロ街道で治安部隊の弾圧で負傷していた2人が死亡した。

しかしSANA(11月9日付)は、ヒムス市ハーリディーヤ地区の2カ所で爆弾が発見され、爆発物処理班が解除・撤去したと報じた。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、インヒル市で子供1人を含む3人が殺害された。

またジャースィム市ではインヒル市での犠牲に抗議した市民を治安部隊が強制排除、その際7人が負傷した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、サラーキブ市で軍・治安部隊と離反兵の間で激しい戦闘が発生した。

しかし、SANA(11月9日付)は、サラーキブ市で武装テロ集団が民間人を襲撃し、1人を殺害したと報じた。またイドリブ県警は同市とタルマンス村で武装集団が誘拐した市民の遺体3体を発見した。

アサド政権の動き

進歩国民戦線加盟政党の一つシリア共産党(ユースフ・ファイサル派)は声明を出し、米国が反体制勢力の活動を扇動していると批判した。

レバノンをめぐる動き

シリア国民評議会はナジーブ・ミーカーティー首相に書簡を送った。

そのなかで、シリア国民評議会は、レバノン国内でシリア人反体制活動家13人が10月に誘拐されたことへの懸念を表明するとともに、レバノン在住シリア人の安全を確保することがレバノン政府の義務であると訴えた。

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レバノンで活動するシリア国民評議会メンバーのウマル・イドリビー氏は、AFP(11月9日付)に対して、レバノン国内で、シリア人数十人が誘拐されたとしたうえで、「シリアに近い政党の手によってビイル・ハサン(ベイルート南部郊外)で3人が誘拐され、我々のメディア・キャンペーンで釈放された」と述べ、レバノンの親シリア政党(ヒズブッラー)の関与を示唆した。

また「レバノンの治安当局が5人をカーア(ベカーア県バアルベック郡)で2週間ほど前に拘束し、シリア軍に引き渡した」と述べた。

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レバノンのミシェル・スライマーン大統領は、『リワー』(11月9日付)に掲載されたインタビューで、アサド大統領が「意図せぬかたちで越境したことに遺憾の意を示し、同様のことを繰り返さない」と誓約したと語った。

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ナジーブ・ミーカーティー首相は、内閣がシリアの避難民への支援を中止すると一部報道を否定し、口頭救済委員会委員長のイブラーヒーム・バッシャール准将にレバノン国内のシリア人避難民の人道状況をフォローアップし続けるよう支持した。

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ワリード・ジュンブラート進歩社会主義党は、11月9日、レバノン国内でのシリア人反体制活動家の誘拐・失踪を批判した。

ジュンブラート党首は声明で、「すべてのシリアの活動家は、いかなる方面からも嫌がらせや圧力を受けずに自らの意見を自由に表明する権利がある…。進歩社会主義党はレバノン憲法に従い政治的亡命の権利を認めている…」と述べた。

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Kull-na Shuraka', November 9, 2011
Kull-na Shuraka’, November 9, 2011

サアド・ハリーリー前首相は、ツイッターで、シリアの体制が崩壊すればレバノン国内の問題の一部は解決するだろうとつぶやいた。

諸外国の動き

ナバメセム・ピレー国連人権高等弁務官は安保理で、「シリア軍・治安部隊が深刻な人権侵害を続けている」と非難、「シリアでの犯罪に対する真の制裁」を呼びかけた。

またバレリー・アモス人道問題担当事務次長は、シリア情勢が「武力紛争に向かっている」との懸念を表明した。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はアラブ連盟のアラビー事務総長と電話会談を行い、アラブ連盟のイニシアチブへの支持を伝えるとともに、シリア政府と反体制勢力の対話のしくみを確立し、政治的・平和的な手段での事態収拾の必要を強調した。ロシア外務省が声明で明らかにした。

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エジプトの前共和国ムフティーのナスル・ファリード・ワースィル師は『イフワーン・オンライン』(11月9日付)で、アサド政権による「野蛮な犯罪に対する報復」は適法と述べ、反体制勢力の武装闘争を認めた。

AFP, November 9, 2011、Akhbar al-Sharq, November 9, 2011, November 10, 2011、Facebook、al-Hayat, November 9, 2011, November 10, 2011, November 11, 2011、Ikhwan Online,
November 9, 2011、Kull-na Shuraka’, November 9, 2011, November 9, 2011、al-Liwa’, November 9, 2011、Naharnet, November 9, 2011、Reuters, November 9, 2011、SANA, November 9, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ヒムス市で離反兵が治安本部を襲撃し17人が死亡、シリア国民評議会議長が在シリア・クルド人の立場をめぐる発言に関して「訂正とお詫び」を発表(2011年10月29日)

反体制運動掃討

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市では離反兵が市内の治安本部2カ所を襲撃し、28日晩から29日にかけて軍・治安部隊兵士17人を死亡した。

Kull-na Shurakā’, October 28, 201
Kull-na Shurakā’, October 28, 201

またシリア人権監視団によると、軍は、ヒムス市バーブ・アムル地区のデモに対して対空砲で砲撃し、同市ダイル・バアルバ地区などで市民2人が治安部隊に射殺された。

このほか、シリア人権監視団によると、またタルビーサ市でも女性1人が治安部隊に射殺された。

これに対して、SANA(10月30日付)は、ヒムス市で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、テロリスト6人を殺害、20人を逮捕したと報じた。同報道によると治安維持部隊側にも4人の犠牲者が出た。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊と離反兵が交戦し、前者の兵士10人と離反兵1人が死亡した。

これに対して、SANA(10月30日付)は、ザーウィヤ山に近いマルイヤーン村で武装テロ集団が協力を拒んだ村人1人を殺害したと報じた。またバシーリーヤ村では、同じく武装テロ集団が村人2人を誘拐したと報じた。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊と離反兵が交戦した。

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なおシリア人権監視団は29日晩に声明を出し、ヒムス県、イドリブ県での軍と離反兵との衝突で、シリア軍兵士が少なくとも20人殺害され、50人が負傷してヒムス軍事病院に搬送されたと発表した。

またヒムス市では、軍・治安部隊の砲撃や発砲で市民12人が殺害されたと発表した。

反体制勢力の動き

ドイツのドイッチェ・ヴェーレ・チャンネル(10月29日付)、シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン議長が、将来のシリアにおいてクルド人が自らを排除しないよう求めていることをどう捉えているかとの問いに対して「シリアの国家としてのアイデンティティは、住民の大多数がアラブ人であるために、アラブ的である」と述べ、それ以外の民族集団がフランスのイスラーム教徒はアジア系移民の存在に似ているとしたと報じた。

これに対して、ガルユーン氏はフェイスブックで「訂正とお詫び」のメッセージを掲載し、クルド人に謝罪するとともに、自らの前言を撤回した。

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AKI(10月29日付)は国民民主変革諸勢力国民調整諸委員会の指導者らが「中国がシリア国民の側につくだろう」との見方を示した。

同報道によると、中国の呉思科中東問題特使と同調整委員会との会談は「反体制勢力ではなくシリア政府の圧力によるもので、シリアの反体制勢力は特使との会談を求めておらず、特使がそれを求めた。反体制勢力は自らの見解を特使に示した」。

またこれに対して呉特使は、「シリアの危険な現状を解消し、民主的・代議的・多元的な体制へと移行させるための政治プロセスを開始するのに必要な雰囲気を醸成する活動」をとらねばならないと述べ、暴力・殺戮の即時停止、逮捕者の釈放、軍・治安部隊の撤退、平和的デモ権の保障、責任者の処罰などに理解を示したという。

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SANA(10月30日付)は、変革解放人民戦線が、ダマスカス県内で第1回大会を開催したと報じた。

約250人が参加した同大会は、行動閉幕声明を出し、外国の内政干渉拒否、暴力の停止、国民対話会合支持の姿勢を改めて確認した。

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シリア国民評議会が声明を出し、28日(金曜日)のアサド政権による弾圧を非難した。

アラブ連盟外相使節団をめぐる動き

SANA(10月29日付)は外務省高官筋の話として、ワリード・ムアッリム外務大臣がアラブ連盟外相使節団団長を務めるカタールのハマド・ブン・ジャースィム・アール・サーニー首相兼外務大臣から28日晩遅くにメッセージを受け取ったと報じた。

同報道によると、同高官は同メッセージが「シリアで起きていることに関して偏った扇動を行う放送局の偽りの情報に基本的に依拠している」としたうえで、「外相委員会委員長は、扇動放送局が広めている姿勢を発表するのではなく、真実に依拠すべきであった」と批判したという。

またムアッリム外務大臣は、「ドーハでシリア政府と外相委員会で日曜日に行われる予定の会合に先立ってこのような方法」がとられることに「違和感」を感じていると続けた。

この発言は、昨日、アラブ連盟外相委員会が、シリア政府に対して、「民間人への殺戮を停止するよう」厳しく批判するメッセージを送ったことに対する動きである。

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アラブ連盟事務局のハーリド・アル=ハッバース顧問は、連盟の使節団がシリア問題を協議するために中国を公式訪問すると発表した。

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エジプト作家連盟と在エジプト・シリア人有識者らが共同声明を出し、11月2日にシリアのアラブ連盟メンバーシップ凍結とシリアの作家連盟のアラブ作家連盟メンバーシップ凍結を求めるデモ行進を行うと発表し、参加を呼びかけた。

アサド政権の動き

SANA(10月29日付)、Syria News(10月29日付)などは、シリア・アラブ共和国憲法草案準備国民委員会が10月31日に会合を開催すると報じた。

SANA, October 29, 2011
SANA, October 29, 2011
SANA, October 29, 2011
SANA, October 29, 2011
SANA, October 29, 2011
SANA, October 29, 2011
SANA, October 29, 2011
SANA, October 29, 2011
SANA, October 29, 2011
SANA, October 29, 2011

諸外国の動き

モスクワ、ロンドン、マドリード、ベルグラード、ブルノ(チェコ)、ブダペスト、ブラティスラバ、アンマン、で、ロシア在住のシリア人がアサド大統領の改革支持、外国の干渉拒否を訴える集会を開いた。

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ロンドンで約2,000人がアサド政権の弾圧に抗議し、シリアでの革命を支持する集会を開催した。

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国連の潘基文事務総長が、シリア政府に対して、「民間人に対する軍の攻撃の停止」、政治犯の釈放を改めて求めた。事務総長報道官が発表した。

SANA, October 29, 2011
SANA, October 29, 2011
SANA, October 29, 2011
SANA, October 29, 2011
Akhbār al-Sharq, October 30, 2011
Akhbār al-Sharq, October 30, 2011

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AKI(10月29日付)は、EUの複数の外交筋の話として、EU加盟諸国がアサド政権への抗議の意思表示の一環として、大使召還を検討していると報じた。

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AFP(10月30日付)、『アクス・サイル』(10月29日付)は、米国のブルーコートシステムズ社(本社カリフォルニア)は、自社がイラク通信省に売却したインターネット制御機器がシリアで、反体制勢力のウェブ上での活動を監視するために使用されている可能性があると発表した。

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レバノンの内務治安軍総局は声明を出し、シリアに武器を密輸しようとしたシリア人1人を逮捕したと発表した。

AFP, October 29, 2011, October 30, 2011、Akhbar al-Sharq, October 29, 2011, October 30, 2011、AKI, October 29, 2011、‘Aks al-Sayr, October 29, 2011、al-Hayat, October 30, 2011, October 31, 2011、Kull-na Shuraka’, October 29, 2011, October 29, 2011、Naharnet, October 30, 2011、NNA、Reuters, October 29, 2011、SANA, October 29, 2011, October 30, 2011、Syria News, October 29, 2011などをもとに作成。

 

(C)青山弘之All rights reserved.

米国が在ダマスカス大使を本国に召還する一方、ヒズブッラー書記長がアサド政権へと支持を改めて表明(2011年10月24日)

諸外国の動き

米政府はバッシャール・アサド政権がロバート・フォード在ダマスカス米大使に対する「扇動キャンペーン」を行っているとの理由で、同大使を米本国に召還した。

Akhbar al-Sharq, October 24, 2011
Akhbar al-Sharq, October 24, 2011

『ハヤート』(10月25日付)は、米高官の話として、この召還は「正式な大使引き上げを意味しない」と報じた。

マーク・トナー米国務省副報道官は、フォート大使のシリアへの帰国は「シリア国内での体制による扇動や治安状況への我々の評価」に関わっており、「シリア政府がフォード大使への扇動キャンペーンを止めることを希望する」と述べた。

この動きに対抗して、シリア政府はイマード・ムスタファー在ワシントン大使を召還した。

米国務省報道官は記者会見で、「過去数週間にわたってシリア軍がレバノン領内に侵入している」と非難したうえで、レバノンの主権を尊重するよう警告を発した。

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アラン・ジュペ仏外務大臣は、ロバート・フォード在ダマスカス米大使の召還を受け、フランスにはシリアから外交官を引き上げる意思がないと述べた。

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レバノンのヒズブッラーが運営するヌール放送はHPで、トルコの高官が10月21日(金曜日)にダマスカスを極秘訪問し、「数日後に明らかになるであろう任務の結果について話し合った」と報じた。

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ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長がマナール・チャンネルを通じてテレビ演説を行い、そのなかで「今日シリアで要求されていることは、改革や民主主義実現ではなく、米国の条件を拒否してレジスタンスと抵抗を行う体制の打倒と、レジスタンス運動支援の停止である」と述べ、アサド政権への支持を改めて表明した。http://www.youtube.com/watch?v=ThRTRe4dTLE

http://www.youtube.com/watch?v=ThRTRe4dTLE

Naharnet, October 24, 2011
Naharnet, October 24, 2011

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アムネスティ・インターナショナルは報告書を発表し、そのなかでシリアの病院や医師の状況を伝えた。

同報告書によると、軍・治安部隊が病院や医療関係者を標的とすることで恐怖が蔓延し、病院が反体制勢力を追跡するための「弾圧装置」と化していると非難した。http://www.amnesty.org.uk/news_details.asp?NewsID=19770

アサド政権の動き

『ワタン』(10月24日付)は、アサド大統領が今月中に国民対話大会を主催するだろうと報じた。同報道によると、同大会は「国が苛まれている危機を解消することを目的」としており「近く、ファールーク・シャルア副大統領を議長とする準備委員会が発足し、拡大国民対話大会準備の任につく」という。

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ラーミー・マフルーフ氏の事務所は、『ダマス・ポスト』(10月24日付)に対して、同氏が暗殺未遂にあったとの情報を否定した。

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MTV(10月24日付)は、シリア軍部隊がレバノンの北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地域フナイディル村に侵入し、密輸業者と交戦したと報じた。

LBC(10月24日付)によると、これによってシリア軍部隊は2人を逮捕したという。

反体制運動掃討

ヒムス県では、複数の活動家・目撃者によると、軍・治安部隊による大規模な逮捕・掃討作戦が続き、シリア人権監視団によると、ヒムス市内各所で少なくとも5人が殺害された。

また複数の活動家・目撃者によると、ヒムス市ワアル地区にあるバッル病院にシャッビーハが突入し、バイヤーダ地区から搬送された負傷者を連行した。

人権監視団によると、フーラ地方のタッルドゥー市などでは、軍・治安部隊が重火器を用いて攻撃を行った。

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Akhbar al-Sharq, October 24, 2011
Akhbar al-Sharq, October 24, 2011

ダルアー県では、複数の活動家・目撃者によると、治安部隊がゼネストの行われている都市に突入し、ストを中止させ、多数を逮捕した。

シリア人権監視団によると、アトマーン村、ダーイル町、イブタア町、サナマイン市、タファス市、サフム・ジャウラーン村、タスィール町、アドワーン村、ナワー市、ブスラー・シャーム市、ブスル・ハリール市、イズラア市、フラーク市、ジーザ町、ヒルバト・ガザーラ町、サイダー町、タイバ町、スーラ町、カティーバ村、(東西)ムライハ村、インヒル市、ジャースィム市、ムサイフラ町、ナスィーブ村など県内85%の都市・村でゼネストが続けられているという。

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シリア人権監視団によると、ダマスカス郊外県では、ハラスター市などで治安部隊が大規模な逮捕・追跡活動を行った。またドゥーマー市では犠牲者の葬儀が反体制デモに発展した。

シリア人権監視団によると、ブロガーのフサイン・ガリール氏が逮捕された。同氏はガザ紛争でパレスチナ人との連帯を、レバノン紛争でレジスタンスとの連帯を求めていたほか、「占領地ゴランのためのシリア・ブロガー」と銘打った活動を指導していた。

反体制勢力の動き

シリア・キリスト教民主連合がレバノン・マロン派のビシャーラ・ラーイー総大司教に宛てた覚書を発表、そのなかでシリア軍・治安部隊による民間人への暴力の停止、活動家の殺戮・誘拐・拷問の責任者の処罰、シリア憲法改正、アラブ連盟および国際社会への民間人保護要請、政権議会選挙に向けてイニシアチブを発揮するよう求めた。

またこれと合わせて、新憲法において、アッシリア教徒とシリア政教徒のエスニシティとしてのすべての権利とアラブ語の公用語化を保障するよう求めた。

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国民調整委員会執行部は声明を出し、シリア国内での弾圧の停止を求めようとしているアラブ連盟のイニシアチブを支持する声明を出した。

AFP, October 24, 2011、Akhbar al-Sharq, October 24, 2011, October 25, 2011、AP, October 24, 2011、Damas Post, October 24, 2011、al-Hayat, October 25, 2011, October 28, 2011、Naharnet, October 24, 2011、Kull-na Shuraka’, October 24, 2011, October 26, 2011、Reuters, October 24, 2011、SANA, October 25, 2011、Syria News, October 24, 2011、al-Watan, October 24, 2011、などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ヒズブッラー高官いわく同党は「アサド政権存続を至上命令としている」、アサド政権がジュンブラート党首と絶縁(2011年10月22日)

反体制運動掃討

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ハルマ村で軍・治安部隊と離反兵が衝突し、市民1人が殺害された。

これに対してSANA(10月23日付)は、マアッラト・ニウマーン市東部のワーディー・ダイフ近くに武装テロ集団が仕掛けた爆弾を爆弾処理班が撤去したと報じた。

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ヒムス県では、オガレット・ニュース・ネットワークによると、ドゥライブ地区、クスール地区、バーブ・アムル地区、ジュッブ・ジャンダリー地区、バイヤーダ地区で軍・治安部隊と離反兵が衝突し、6人が殺害された。

シリア人権監視団によると、治安機関の逮捕・捜索活動で青年1人が殺害されたほか、狙撃手がアシーラ地区で市民1人を射殺した。また21日にバイヤーダ地区で治安部隊の発砲で重傷を負っていた市民1人が死亡した。

シリア人権監視団によると、クサイル市で10月19日に逮捕された市民が死亡、家族に遺体が引き渡された。

ヒムス県クサイル市でナスルッディーン・シャイフ・ラシード教授が逮捕された。同教授はシリア・アラブ人権監視団のラシュディー・シャイフ・ラシード事務次長の兄弟。

これに対して、SANA(10月23日付)は、ヒムス市のハミーディーヤ地区で警官1人が武装テロ集団に射殺されたと報じた。また武装テロ集団が数日前に誘拐した市民の遺体3体が発見されたと報じた。さらにヒムス市クスール地区で、治安維持部隊がテロリスト1人(アブドゥッラヒーム・ナジーブ)を殺害したと報じた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザマルカー町、ハムーリーヤ市、カフルバトナー町、サクバー市、アルバイン市、ハラスター市に、治安機関要員約5,000人が展開し、数十人の市民を逮捕した。

レバノンをめぐる動き

『シャルク・アウサト』(10月22日付)は、レバノンの北部県アッカール郡にあるアクルーム山やワーディー・ハーリド、ベカーア県バアルベック郡にあるカーア、アルサールなどでレバノン軍の軍備が増強され、パトロールも強化されていると報じた。反体制勢力掃討を目的としたシリア軍のレバノン領内(とされる地域)での作戦を受けた動きである。

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『ラアユ』(10月22日付)は、レバノンの親バッシャール・アサド勢力が、「崩壊するにせよしないにせよ、(アサド政権)独りだけで崩壊はさせない」との意志を持っていると報じた。

同報道はヒズブッラーの意志決定サークルからの話として、「危機は存在するが、回避できないほど手遅れになっているわけではない…。アサド大統領は、街頭行動やアラブの春を前に性急な改革を行ってこなかった…。陰謀の規模は…これまで行われてきた緩やかな改革では対処できないほど大きい」としたうえで、「アサド大統領の運命は、ヒズブッラーの運命、さらには地域におけるイランの影響力の運命を左右する」と述べ、ヒズブッラーがアサド政権存続を至上命令としていると述べた。

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『アフバール』(10月22日付)は、アサド政権がレバノンのワリード・ジュンブラート進歩社会主義党党首の最近の言動に「きわめて大きな不快感」を示していると報じた。

それによると、①ジュンブラート党首はダマスカス訪問時に、ポケットから一枚の紙を取り出し、これがシリア大統領が危機を脱するための行程表だと述べた、②そのことがジュンブラート党首とアサド政権の関係改善に尽力してきたムハンマド・ナースィーフ副大統領補を当惑させた、③ヒズブッラーとの関係については介入しないとしながらも、アサド大統領はジュンブラート党首との関係を絶つことを決めた、④ジュンブラート党首は自身がシリアの反体制勢力に同情的な立場をとったことでシリアとの関係が「冷却化」していたことを知りつつも、ハサン・ナスルッラー書記長との面談を利用し、その後マナールで再び、アサド政権に不快感を与える発言を行った、という。

諸外国の動き

イランのマフムード・アフマディーネジャード大統領は、CNNとのインタビューで、「我々はシリアでの殺戮・虐殺行為を非難する、治安部隊による行為であれ、国民は反体制勢力による行為であれ…。」と述べた。

APF, October 22, 2011、al-Akhbar, October 23, 2011、Akhbar al-Sharq, October 22, 2011, October 23, 2011、al-Hayat, October 23, 2011、Kull-na Shuraka’, October 23, 2011、Naharnet, October
23, 2011、al-Ra’y, October 22, 2011、SANA, October 23, 2011、al-Sharq al-Awsat, October 22, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

シリア当局が原材料・穀物を除くほとんどの製品の輸入を規制するなか、シリア青年議会の主催により全国でシリア・アラブ共和国憲法をめぐる対話を行うための会合が開始(2011年9月25日)

反体制デモ弾圧

シリア人権監視団によると、24日から25日にかけてヒムス県、ハマー県で治安部隊によって13人が殺害された(うち12人がヒムスで殺害)。

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍部隊はトルコ国境近くサルミーン市、ナイラブ村、クマイナース村で突入・逮捕を行い、大規模な治安回復作戦を実施した。

これに先立ち、ナイラブ軍事基地の兵士40人が離反した。

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ヒムス県では、ラスタン市、クサイル市で軍の増援部隊が派遣された。

また避難しようとする市民を阻止するかたちで対レバノン国境地域にも軍部隊が増強され、レバノンのベカーア県ヘルメル郡カーア村に接する国境の通行所近くまで軍が展開した。

ヒムス市ハドル地区で数日前に重傷を負った少年が死亡した。

また負傷した後に市内の病院に搬送され、そのまま失踪していた少年の遺体が遺族に引き渡された。

また同市では、シリア人権監視団によると、ヒムス国立病院のハサン・イード外科部長が自宅前で殺害された。シリア・アラブ・テレビは「武装テロ集団」が暗殺したと報じた。

タルビーサ市では数日前に逮捕されていた少年の遺体が遺族に引き渡された。

SANA(9月26日付)は、ヒムス県ジスル・タッル・シュール近くで大量の武器弾薬、爆発物を積んでいた車輌を摘発したと報じた。

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ダマスカス郊外県では、ドゥーマー市に治安部隊が展開した。

また複数の目撃者によるとザアファル市に複数の戦車、兵員輸送車が進入した。タルビーサ市とラスタン市を結ぶ地点に位置する同市では2日前から抗議行動が発生したという。

またハラスター市で9月23日(金曜日)に逮捕された青年の遺体が家族に引き渡された。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハマー市中心のジスル・ミズラーブ近くで28人の男性が帰宅途中に治安部隊の無差別発砲で撃たれて死亡した。

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フェイスブックでは、夜にザイナブ・ヒスニーさんの拷問・殺害に抗議するデモが呼びかけられたが、これに呼応する動きはほとんど見られなかった。

反体制勢力の動き

国内で活動を続ける共産主義者統一国民委員会のカドリー・ジャミール代表は、『ハヤート』(9月26日付)に対して、今週末にモスクワを訪問する使節団(7人)発足の連絡調整が行われていると述べた。

モスクワでは、外務省、ロシア連邦議会(上下両院)を訪問するという。

「使節団が国内の反体制勢力のみに限定されている点が重要だ」という。

思想家・社会学者のタイイブ・ティーズィーニー氏によると、使節団には、ジャミール氏のほか、シリア民族社会党インティファーダ派のアリー・ハイダル党首、アーリフ・ダリーラ氏が含まれるという。

一方、サリーム・ハイルベク氏によると、ファーイズ・サーラ氏は参加を辞退した。

Kull-na Shurakā’, September 25, 2011
Kull-na Shuraka’, September 25, 2011

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共産主義者統一国民委員会とシリア民族社会党インティファーダ派によって構成される人民変革解放人民戦線は労働者総連合本部で記者会見を行い、9月23日にトルコのイスタンブールを同戦線の使節団が訪問し、トルコの左派系諸政党10党の代表と会談したことを明らかにした。

ジャミール氏はこの記者会見で、10月21日に、戦線発足を正式宣言し、メンバー構成などを発表すると述べた。

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『ダマス・ポスト』(9月25日付)など複数のメディアは、ロシア高官と反体制勢力との折衝において議論されている危機打開に向けた「ロシア解決案」において、ブルハーン・ガルユーン氏ないしはハイサム・マーリフ氏のいずれかを首班とする構想が浮上していると報じた。

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シリア・クルド青年調整連合はカーミシュリー市、アームーダー市、ダルバースィーヤ市、ラアス・アイン市などで反体制デモを呼びかけた。

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「シリア・クルド無所属活動家の声」を名乗るグループが声明を出し、内外の反体制勢力に糾合を呼びかけた。

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フェイスブックの「シリア革命2011」ページは、9月25日に「シリア殉教者の花ザイナブ・フスニー」、27日に「シャイフ・ナウワーフ・バシールへの忠誠」、そして29日に「怒りのラタキア」と銘打ってデモを呼びかけた。

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アサド政権の動き

『ジュムフーリーヤ』(9月25日付)は、ワシントン、パリ、ブリュッセルで、バッシャール・アサド政権使節団とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の使節団が秘密裏に会合を重ねている、としたうえで、イスラエルがシリアの現政権の存続を「戦略上、国益にかなっている」とみなしていると報じた。

しかし、同紙が入手したとされる報告書によると、両国の秘密裏の接触は、ナクバ記念日のパレスチナ人による越境デモを通じてアサド政権が発した「メッセージ」を受けるかたちで再開された、という。

その際、ネタニヤフ首相は、シリア国内での弾圧に対する非難に国際社会が翻弄されないことを接触再開の条件とし、第3の当事者として米国やフランスが加わった、という。

またフランスでの接触では、アサド政権に近いレバノン人が仲介に当たっているという。

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『ナハール』(9月25日付)は、アサド大統領がムハンマド・サルマーン元情報大臣との接触を開始したと報じたうえで、この動きが反体制派との(水面下の)対話の始まりになり得るとの評価を下した。

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『クドス・アラビー』(9月25日付)は、アサド政権が国民対話会合に国内の反体制勢力を参加させるべく折衝を行っていると報じた。

同報道によると、シリア共産党ファイサル派のフナイン・ニムル議員と経済学者のムニール・ハムシュ氏が、国民民主諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表と会談し、国民対話会合への参加を促した、という。

アサド政権は、同調整委員会が第2回大会(9月18日)で発表した声明内容において、外国の干渉と混乱が拒否されたことに満足しており、「三つのいいえ」を国民対話会合において審議する意向を示したという。

一方、アブドゥルアズィーム氏は、声明において提示した諸要求が満たされることを国民対話会合出席の条件とする構えを見せた、という。

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SANA(9月26日付)は、国連総会出席のためニューヨークを訪問中のワリード・ムアッリム外務大臣が、オマーン、スーダン、キューバ、ウクライナの外務大臣とそれぞれ会談した、と報じた。改革実施や国民対話への決意を伝えた。

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ムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内務大臣はヒムス県のアブドゥッラッザーク・バラカート警察署長を解任し、アドナーン・マフムード警部補を後任に着任させた。

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SANA(9月26日付)は、シリア青年議会(旧青年慈善活動委員会、イーハーブ・ハーミド議長)の主催により25日から全国各地でシリア・アラブ共和国憲法をめぐる対話を行うための会合が開始されたと報じた。会合は22カ所で行われ、9月27日まで続く。

各地で行われた会合では、憲法改正、政党法や情報法の実施・尊重、複数政党制など多角的に議論が展開された。

SANA, September 25, 2011
SANA, September 25, 2011

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EUの追加制裁に備えるかたちでシリア政府が発表した自動車・装飾品などの輸入禁止措置に関して、ダマスカス県サブウ・バハラート地区で自動車業を営む商人は匿名を条件に国内のビジネス界で「ショック」を引き起こしたと述べ、さらなる損害を被るだろうと懸念する者も現れたと危機感をあらわにした。

彼はまた「取引はない。状況は悪い。商人やビジネスマンはキャッシュでもクレジットでも物が買えなくなってしまっている…。この措置(自動車などに対する輸入規制)は、状況をさらに悪化させ、不確実性を増大させるだけだ」と述べた。『ハヤート』(9月25日付)が報じた。

またロイター通信(9月25日付)は、ビジネスマンの話として、シリア当局は、原材料、穀物を除くほとんどの製品の輸入を規制したと報じた。

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『アフラーム』(9月25日付)はイラクの消息筋の話として、シリア当局がイラク軍に対イラク国境に位置するダイル・ザウル県へのブーカマール市での密入国阻止を目的とした軍事行動を許可したと報じる。

レバノンの動き

国連総会出席のために訪米中のレバノンのムハンマド・サファディー財務大臣は、ワシントンDCで、クリスティン・ラガードIMF専務理事、チャールズ・コリンズ米財務次官、サウジアラビアのイブラーヒーム・アッサーフ財務大臣らと相次いで会談した。

ラガードIMF専務理事との会談では、EUによる追加制裁(石油部門への新規投資禁止など)など西側諸国による対シリア制裁に関して意見が交わされ、そのなかでサファディー財務大臣は、「レバノンがシリアの”肺”のようにみなされることはレバノンにとって有害だ…。国際社会がシリアへの制裁を望むのであれば、レバノンは代償を払わねばならない…。レバノンの銀行は、国際社会に反することを行わないよう措置を講じてきた」と述べた。

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AFP(9月26日付)は、シリア国境に接するレバノンの北部県アッカール郡ブカイア村(ワーディー・ハーリドを包摂)の経済、シリアでの反体制デモに伴う混乱、経済制裁で打撃を被っていると報じた。

現地住民の話によると、レバノンでもっとも貧しい地域の一つであるブカイア村は、シリアと舗装されていない数十の道で結びついており、この道を通じて日々行われる日用雑貨やサービスなどの「違法」な取引によって生活が支えられていた。

しかし数ヶ月前に、シリア軍がこれらの通路を制圧して以降、密輸は不可能となった。

またシリアから毎日訪れていた顧客も姿を見せなくなっているという。

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レバノン北部県のアリーダム村住民は、アサド政権支持者が乗るバス2台のシリアからの入国を阻止した。

諸外国の動き

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相はCNNのインタビューに応え、アサド大統領に向けて「あなたはこのような残酷な行為によっては権力の座にとどまることはできない。国民の要求に答えることはできない」と述べた。

また「この動きはもう少し続くだろうが、遅かれ早かれ収束する。人々はシリアでさまざまなことを決め、それらは行われるだろう。シリア国民は、エジプト、チュニジア、リビア同様自由を欲している…。独裁体制は炎上し、崩壊する」と述べた。

AFP, September 25, 2011、al-Ahram, September 25, 2011、Akhbar al-Sharq, September 25, 2011, September 26,
2011、Damas Post, September 25, 2011、al-Hayat, September 25, 2011, September 26, 2011、al-Jumhuriya, September 25, 2011、Kull-na Shuraka’, September 25, 2011, September 26,
2011、al-Nahar, September 25, 2011、al-Quds al-‘Arabi, September 25, 2011、Reuters, September 25, 2011、Syria News, September
25, 2011、SANA September 25, 2011, September 26, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ヒムス県、イドリブ県で軍・治安部隊による活動家の逮捕・捜索作戦が続くなか、エルドアン首相はオバマ大統領との会談のなかでシリア政府との断絶を明らかにする(2011年9月21日)

対トルコ関係

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、バラク・オバマ米大統領と21日(現地時間20日)、ニューヨークで会談した。会談後の記者会見で、エルドアン首相は「シリア政府との連絡を絶った。このような段階に至るとはまったく期待していなかったが、残念ながら、この国の政府は我々にこのような決定をさせた…。我々は彼ら(米国)と協調して、可能な制裁を検討する…。もはやシリア政府を信頼できない」と述べた。

また首相は、アフメト・ダウトオール外相がヒラリー・クリントン米国務長官と会談を行い、ダマスカスに対して初となるトルコの制裁に関して調整を行うことを明らかにした。

ホワイトハウスのエリザベス・シャーウッド・ランダル報道官によると、両首脳は「シリア国民の要求に沿って事態を打開するため、シリア政府へのさらなる制裁を科す必要があるということを話し合い」、「さらなる圧力をかける必要」がある点で一致したと述べた。

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トルコ外務省は、トルコ領内のシリア人避難民キャンプで非道徳的な行為が行われているとのシリア国営筋の報道に対して、「暗黒のプロパガンダにして虚言」と反論し、遺憾の意を表明した。

シリア・アラブ・テレビは、トルコ領内の避難民キャンプで強姦されたとするジスル・シュグール出身のシリア人女性の複数の証言を放映していた。

またトルコの避難民キャンプで暮らすシリア人女性もシリア・アラブ・テレビでの報道内容をYoutubeなどを通じて否定した。

反体制勢力の足並みの乱れ

「アフバール・シャルク」(9月21日付)は、シリア国民評議会発足宣言にいたるまでのブルハーン・ガルユーン氏と「イスタンブール・グループ」の対立を、同氏のフェイスブックの書き込みをもとにまとめた。

Akhbar al-Sharq, September 21, 2011
Akhbar al-Sharq, September 21, 2011

それによると、シリア国民評議会発足に先だって9月10日にカタールのドーハで発足した「シリア国民連立」に関して、「イスタンブール・グループ」は「反体制勢力の統一を完了するためのシリア国民評議会の一機関」と連立を位置づけた声明の内容を不服として、署名を拒否したという。

また「イスタンブール・グループ」はガルユーン氏らに知らせることなく、シリア国民評議会の発足を宣言し、メンバーを近く公開すると発表した。

これを受け、ガルユーン氏はメンバー発表を遅らせるか、イスタンブールで人選を行うための審議するよう求めたが、「イスタンブール・グループ」は「そう約束したから」との理由で、これに応じなかった、という。

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地元調整諸委員会は声明を出し、イスタンブールで発足したシリア国民評議会への支持を表明。声明では「この評議会の活動、発足のしくみ、評議会内のメンバー構成に関していくつかコメントすべき点はあるが、地元調整委員会は、シリア国民評議会を支持し、同評議会が設置する各委員会への実質的な参加を決定し、反対政府勢力の統一と、分裂状態の克服をめざす」と述べた。またダマスカス国民民主変革宣言、クルド民族主義勢力などにシリア国民評議会への参加を呼びかけた。

なおシリア革命総合委員会は、20日に声明を出し、シリア国民評議会の発足について慎重な姿勢を見せている。

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AKI(9月21日付)は、ダマスカスで開催された国民民主変革諸勢力国民調整委員会の大会の閉幕声明に関して、アッシリア教徒の政治組織、代表が呼ばれなかったことに対して、アッシリア教徒たちが憤りを感じていると報じた。

反体制運動をめぐる動き

ヒムス県、イドリブ県で軍・治安部隊による活動家の逮捕・捜索作戦が続く一方、シリア革命調整連合によると、治安当局は生徒たちによるデモを阻止するため、ダマスカス郊外県、ヒムス県、バーニヤース市、イドリブ県などの複数の学校に突入し、多数の生徒を逮捕した。

Akhbar al-Sharq, September 21, 2011
Akhbar al-Sharq, September 21, 2011

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イドリブ県では、シリア人権監視団と複数の住民によると、ザーウィヤ山に近い対トルコ国境付近で潜伏する離反兵に対して軍・治安部隊が激しい攻撃を行った。

ラーミー・アブドゥッラフマーン所長によると、とりわけイドリブ県ザーウィヤ山一帯は離反兵の拠点となっている。またハーリドを名乗る住民によると、同地域では後ろ手に縛られた多数の遺体が発見された。また男性2人の遺体が家族に引き渡された。

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ヒムス県では、シリア人権監視団などによると、ヒムス市で軍・治安部隊の逮捕・捜索活動により、バーブ・スィバーア地区などで民間人6人が殺害され、3人の負傷者が病院で逮捕された。またヒムス市内の裁判所では反体制活動家のイマード・ダルービー弁護士が逮捕された。

これに対して、SANA(9月22日付)は、ヒムス市バーブ・アムル地区で武装テロ集団が治安維持部隊を攻撃し、3人が負傷したと報じた。

住民によると、ヒムス市郊外のフーラで一昨日から軍・治安部隊による激しい戦闘が行われているが被害は明らかになっていない。

シリア人権監視団によると、ラスタン市入り口で、軍・治安部隊がバスを襲撃し、11歳の少年とその母親が殺害、5人が負傷した。こうしたなか、同市では、離反兵が「ハーリド・ブン・ワリード大隊」を名乗る反体制部隊の発足を宣言した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、フワイズ村で、逮捕されていた若者の遺体が発見された。

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バーニヤース市では、シリア人権監視団によると、反体制デモを行った生徒5人が逮捕された。

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ダマスカス郊外県では、シリア革命調整連合によると、ハラスター市、アルバイン市などで、学校に治安当局が突入し、多数の生徒が逮捕された。

キスワ市でもデモに参加していた市民1人が軍・治安部隊の発砲で殺害された。

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ダルアー県では、シリア革命調整連合によると、ジャースィム市で、学校に治安当局が突入し、多数の生徒が逮捕された。

これに対して、SANA(9月22日付)は、ダルアー市サッド地区の農場で、武装テロ集団を逮捕、彼らが隠し持っていた大量の武器弾薬を押収したと報じた。

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「アフバール・シャルク」(9月21日付)は、アレッポで青年医師ハーリド・マラーイジー氏が失踪したと報じた。

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世界的な芸術家のマーリク・ジャンダリー氏がフェイスブックの自身のページで、暴行を受けた両親の写真を掲載。

アサド政権の動き

AKI(9月21日付)は、シリアの複数の高官筋の話として、バッシャール・アサド政権が10月に2度目となる包括的対話大会の実施を計画していると報じた。

同消息筋によると、大会への出席は、一連の措置実施と結びついており、政府の対話への真剣な姿勢を示すことで、反体制勢力にとって満足のいくものだという。

具体的には、対話は、治安的解決に代えて、政治的解決を危機打開の唯一の策とし、軍・治安部隊を都市から完全に撤退させ、すべての政治犯を釈放し、弾圧の責任者を起訴するといった一連の措置の一環をなすという。

しかし、クルド民族主義反体制勢力筋は、この呼びかけにほとんどのクルド民族主義政党が拒否するとの姿勢を示している。

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アンカブート・サイト(9月21日付)は、シリア反体制勢力筋の話として、ルストゥム・ガザーラ少将が20日夜にダマスカス郊外県ドゥーマー市で士官2人とともに襲撃され、死亡したと報じた。

しかし、フサイン・ハルムーシュ大佐が釈放されなければ士官を殺害すると予告していた自由将校運動は襲撃を否定。また『シリア・ニュース』(9月21日付)は信頼できる消息筋の話として、「治安機関高官への暗殺未遂に関する報道は事実無根である」と、暗殺の事実を否定した。

Kull-na Shuraka', September 21, 2011
Kull-na Shuraka’, September 21, 2011

 

諸外国の動き

バラク・オバマ米大統領は国連総会での演説で、アサド政権による反体制運動の弾圧を非難、以下のように述べて、国連安保理に対シリア制裁決議の採択を求めた。

「問われていることは明白である。我々は、シリア国民と連帯せねばならないのか、彼らを弾圧する者たちと連帯しなければならないのか…。合衆国はシリアの指導者らに厳しい制裁を科した。我々はシリア国民の要求に応えるような政権の交代を支持している。多くの同盟国が我々の努力に参加している。しかしシリアを解放し、世界の平和と安全のために声を一つにせねばならない…。行動しないことは許されない。安保理がシリア政府に制裁を科し、シリア国民と連帯する時が来た」。

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ロバート・フォード駐ダマスカス米大使は自身がダマスカスにとどまって職務を継続していることに関して、米国がアサド大統領の退任をあきらめたわけではないと述べた。

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EUは、石油部門への新規投資の禁止、複数の政権高官および機関を制裁リストに追加からなるダマスカスへの追加制裁(第7弾となる制裁)を科すことで加盟27カ国が合意に達したと発表した。同決定は9月23日に正式に発効する。

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イラクのヌーリー・マーリキー首相の顧問は、イラク政府がアサド大統領に退任を求めたとの一部報道を否定した。この報道は『ワシントン・ポスト』(9月20日付)が最初に「イラク政府はアサド大統領が退任することを長らく望んでいた、と報道官が述べた」と報じたもので、アリー・ムーサウィー首相付広報顧問は、AFPに対して、「この発言(に関する報道)は正しくない…。イラク政府は他国の内政に干渉するような性格を持っておらず、またそのような方法もとらない。ましては退任を求めることはない…。この報道を完全に否定する」と述べた。

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レバノンの自由国民潮流代表のミシェル・アウン議員はUPI(9月21日付)に対して、以下のように述べ、アサド政権のもとでの改革支持の姿勢を改めて示した。

「シリアの政権が崩壊しても、キリスト教徒とイスラーム教徒は自由を得られないだろう…。安定なき変化の導入は暴力と混乱をもたらす。変化のない安定の導入は独裁をもたらすだろう…。我々はシリアで自由と民主主義が実現する憲法改正を声高に支持している…。もし平和的解決が可能なら、暴力に訴えるかたちでの問題解決は支持できない」。

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マイケル・ウィリアムズ国連事務総長中東問題特別顧問はレバノンのアウン議員と会談。シリア情勢に関して「暴力がまもなく収束し得ると希望している。我々はともに改革の必要を認識している。抜本的な改革がシリアだけでなくより広い地域の情勢を安定化させると考えている」と述べた。

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IMFは中東地域の社会情勢や混乱がシリアの経済成長にマイナスに作用し、2011年の経済成長率は2%にとどまるとの見方を示し、4月時点の経済成長予測3%から1ポイント下方修正した。

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アズハル機構のシャイフ、アフマド・タイイブ師が反体制勢力の使節団と会談し、シリア国内での流血を止めるようアサド政権に呼びかけた。

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国連のIRINは9月21日付のレポートによると、シリアでの反体制デモ弾圧による犠牲者数は5,360人にのぼると発表した。シリア政府は犠牲者の数が1,400人と発表している。レポートはhttp://www.irinnews.org/report.aspx?reportid=93772を参照。

AFP, September 21, 2011、al-Akhbar, September 21, 2011、Akhbar al-Sharq, September 21, 2011、AKI, September
21, 2011、 al-Ankabut, September 21, 2011、al-Hayat, September 22, 2011、Kull-na Shuraka’, September 21, 2011、Naharnet.com,
September 21, 2011、Reuters, September 21, 2011、SANA, September 22, 2011、Syria
News, September 21, 2011、UPI, September 21, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

複数の都市で数千人規模のデモや治安部隊との衝突が発生するなか、欧米諸国はシリア革命評議会発足の動きを高く評価(2011年9月16日)

反体制抗議運動

シリアの複数の都市で金曜礼拝後に数千人規模のデモが発生し、少なくとも数十人が死傷した。複数の活動家、人権活動家らによると、軍・治安部隊の発砲により、少なくとも36人が殺害された(地元調整諸委員会によると死者数は27人、シリア革命調整連合によると32人)。

犠牲者のほとんどは、ハマー県郊外、イドリブ県ザーウィヤ山での掃討作戦によるもの。またヒムス県、ダマスカス郊外県でも死者が出て、そのなかには12歳の少年もいた。

Ugarit News Network, September 16, 2011
Ugarit News Network, September 16, 2011

デモに先立ってフェイスブックの「シリア革命2011」が抗議行動開始(3月15日)6ヵ月に合わせて「体制打倒まで突き進む金曜日」と銘打ってデモを呼びかけていたが、15日(木曜日)の「誓約更新」呼びかけが失敗に終わっていたことを踏まえると、毎週金曜日に発生するデモが、インターネットなどを通じて革命を唱導する活動家によって必ずしも指導・統制されていない実態が垣間見えた。

また国内外の反体制活動家をシリアの反体制抗議運動の代表と位置づけようとする安易な姿勢(とりわけシリア国民評議会の発足に歓迎の意思を示す西側諸国の姿勢)が、デモの原動力である人々の意思に応えられるのかとの疑問を改めて提起することとなった。

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Facebook
Facebook

ダマスカス郊外県では、複数の活動家、人権活動家らによると、軍・治安部隊が多数展開した。

インターネットでは、ダーライヤー市、ドゥーマー市、ハラスター市、ランクース市など、ダマスカス郊外県主要都市での数千人規模のデモの映像がアップ・配信された。

シリア人権監視団によると、ドゥーマー市では1人が殺害された。ダーライヤー市ではファーリス・モスクに軍・治安部隊が突入し、デモを排除した。キスワ市では、「バッシャールよ、屠殺屋」というプラカードやバアス革命以前の国旗が掲げられた。

SANA(9月17日付)は、ダマスカス郊外県ドゥーマー市で武装テロ集団が軍・治安維持部隊を要撃、1人が殉死、16人が負傷した、と報じた。

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ダマスカス県では、マイダーン地区、カフルスーサ区、カダム区、バルザ区、サーリヒーヤ区などで数百人規模のデモが発生した。

またシリア人権監視団によると、治安部隊は、ナフル・イーシャ地区で1人を殺害した。

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ハマー県では、軍・治安部隊がハラファーヤー市に突入し、離反兵の捜索を行い、6人を殺害、11人が負傷した。

またシリア人権監視団によると、ハッターブ町での軍・治安部隊の捜索活動で1人が殺害された。

ハマー市では、治安部隊がサアド・ブン・アビー・ワッカース・モスクをデモ発生に先立って包囲し、また上空には戦闘機が旋回した。

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イドリブ県では、ザーウィヤ山のサルジャ村、カフル・ウワイド村での軍・治安部隊の捜索活動で3人が殺害された。

またシリア人権監視団によると、ザーウィヤ山で女性の遺体8体が発見された。マアッラト・ニウマーン市には早朝、多数の戦車、兵員輸送車が到着し、デモ発生に備えた。

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ヒムス県では、軍・治安部隊がヒムス市に集まった数千人のデモ参加者に発砲し、2人を殺害した。またシリア人権監視団によると、女性の遺体2体が発見された。

『ザマーン・ワスル』(9月16日付)は、複数の消息筋の話として、軍・武装部隊がヒムス市内の公園などに身元不明の犠牲者を埋葬する墓地を建設していると報じた。

『クッルナー・シュラカー』(9月16日付)ヒムス市住民がインターネットなどを通じて、軍・治安部隊が展開している限り、子供たちを学校に通わせないと宣言した、と報じた。

『ザマーン・ワスル』(9月16日付)は、住民の話として、新学期開始に備え、ヒムス市内の複数の住居を民間人の衣服を着た軍…治安部隊の兵士が占拠している、と報じた。

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ダイル・ザウル県では、ダイル・ザウル市ジュバイラ地区のラウダ・モスクで発生したデモを強制排除するため、軍・治安部隊が発砲した。

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ダルアー県では、ダルアー市および郊外の村々でデモが発生した。しかしSANA(9月16日)は、武装テロ集団の攻撃で警官1人が殉職、4人が負傷した、と報じた。

SANA(9月17日付)は、ダルアー県ブスル・ハリール市で、治安維持部隊が武装テロ集団の攻撃を受け、4人が負傷した、と報じた。

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ウェブサイト「シリアの殉教者」は、過去6ヵ月間の犠牲者数に関して、少なくとも3,272人が殺害され、数千人が負傷、逮捕、避難したとの数字を発表。

死者3,272人のうち、子供は198人、女性は143人にのぼった。県別では、ヒムス県が915人、ダルアー県が677人、イドリブ県が423人。また2011年6月10日の「部族たちの金曜日」の1日の死者が209人、4月29日の「怒りの金曜日」が163人、4月22人の「偉大なる金曜日」が153人、4月1日の「反抗の金曜日」が74人であった。

Ugarit News Network, September 16, 2011
Ugarit News Network, September 16, 2011

レバノンでの動き

北部県アッカール郡の国境地帯にあるカナイサ村、フナイディル村付近で、シリア領内からの発砲により、住民1人が負傷。レバノン国軍は声明を出し、シリア軍が越境者を追跡してレバノン領内に入り、発砲したと発表。

諸外国の動き

リビアを訪問したトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、首都トリポリで群衆を前に「あなたたちは国民の意思に反する体制は存続し得ないことを世界に示した。このことはシリアで国民を弾圧する者たちが理解せねばならないことだ」と述べた。

首相はバッシャール・アサド大統領のことを名指しにはしなかったが、「この手の指導者は、今や自らの時代が終わったと理解せねばならない。専制支配者の体制の時代が終わったからだ…。シリアで国民を弾圧する者は存続し得ないだろう。なぜなら弾圧と繁栄は両立しないからだ」と述べた。

一方、『ヒュッリーイェト』(9月16日付)は、エルドアン首相がチュニジアの記者団を前にして、イランのマフムード・アフマディーネジャード大統領に「イランとの緊張関係があるかどうかを話すことはできない。しかし、シリアに関して、私は彼らに、イランの支援によってアサド政権が横暴になっていると警告した…。アフマディーネジャード大統領とは電話でこの問題を取り上げた」と述べたと報じた。

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米国務省のマーク・トナー副報道官は16日(現地時間で15日)、イスタンブールでのシリア革命評議会に関して、反体制勢力の「努力を歓迎する」と述べた。

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フランス外務省のベルナール・ヴァレロ報道官は「反体制派統合に向けたすべてのイニシアチブと、シリアのすべての国民を尊重する民主的シリア建設への門戸開放は、前向きなイニシアチブだ」と述べ、シリア革命評議会発足を高く評価。

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イギリス外務省報道官も『グローバル・アラブ・ネットワーク』(9月16日付)に対して、「シリア国民評議会発足宣言は、シリアの反対政府勢力統合と隊列強化へのさらなる重要なステップである」と評価。

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EU消息筋も、EUがシリア国民評議会発足を「前向き」な動きと見ていると述べる。

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国際赤新月社連盟は、シリア国内で救急医療チームや救急車両が発砲を受けていることへの非難の意を表明した。

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UNDPが発表した報告書によると、9月7日現在、レバノン北部で難民申請したシリア人避難民は3580人に上った。うち9月1日から7日にかけて600人以上が申請した。申請したシリア人の多くは、ヒムス県のヒート市、タッルカラフ市出身者。

AFP, September 16, 2011、Akhbar al-Sharq, September 15, 2011, September 16, 2011、Global Arab Network, September 16, 2011、al-Hayat, September 17, 2011、Kull-na Shuraka’, September 16, 2011、Naharnet, September
18, 2011、NNA, September 16, 2011、Reuters, September 16, 2011、SANA, September
16, 2011, September 17, 2011、Zaman al-Wasl, September 16, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

新党「シリア国家建設潮流」がダマスカスで発足、「シリア国民支持支援週間」に参加していた反体制活動家がアラブ連盟に対し要求書を提出(2011年9月14日)

反体制運動をめぐる動き

ルワイユ・フサイン氏、ムナー・ガーニム女史など無所属の反体制活動家は、新党「シリア国家建設潮流」がダマスカスで発足したと発表。政党法制定や国民対話開始といった状況下で、政治生活への「実質的関与」をめざした。

Kull-na Shurakā’, September 14, 2011
Kull-na Shuraka’, September 14, 2011

党員は「必ずしも単一の理論的・イデオロギー的バックグラウンドを共有していないが、潮流発足時に発表される基本文書に同意し、政治生活へと実質的に関与する必要があると考える点で一致している。また現下の政治的対立、めざされるべき国家像、そしてその実現方法においても合意に達している」という。

結成声明には、潮流が「民主的市民国家の建設をめざし、それによってすべての社会勢力の参与を通じた社会的公正を実現、シリアの将来において勝者と敗者が分断されることを回避し、政治的、文化的な意見の相違のいかんにかかわらずシリア国民すべてが勝者となる」ことをめざすと記された。

また「政治生活に実質的・公的に関与」し、「公的生活における若者の実質的な関与など、シリア国民の強化のプログラムに沿って(活動し)…、すべてのシリア人が例外なく参加できる民主的市民国家建設への移行(をめざす)」とした。

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カイロでの「シリア国民支持支援週間」に参加していた反体制活動家がアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長と会談し、8項目からなる要求書を提出した。

要求書は①シリアのアラブ連盟メンバーシップの凍結、②抗議運動弾圧停止を目的とした飛行禁止空域、航行禁止海域の設定、③現政権の正統性剥奪、④殺戮・弾圧行為停止に必要なしくみ、方法の創出、⑤軍・治安部隊の展開地域からの完全撤退、⑥平和的デモ権の保障、⑦国際的な救援機関の入国を可能とするしくみの創出、⑧国際的・アラブ調査委員会の調査のための入国、アラブ・国際的メディアの入国と事実の報道、といった要求からなった。

アラビー事務総長と会談したのは、ムハンマド・マアムーン・ヒムスィー元人民議会議員、クルド・国民運動を指導するムルシド・ハズナウィー氏、シリア部族連合のイスマーイール・ハーリディー副議長、SWASIAHのバッサーム・イスハーク委員長、民主主義のための3月15日連合を指導するムンズィル・マーフース氏、クルド人作家のカッハール・マームクー氏、人権活動家のファーリス・シャウフィー、エジプト人活動家のアミーラ・リファーイー女史。

また反体制活動家の一人、ファフド・ミスリー氏が『ハヤート』(9月15日付)に対して、フサイン・ハルムーシュ大佐の行方調査をトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相に求めるよう要請したと述べた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イブリーン村、バルユーン村、マルイヤーン村、イフスィム村、ラーミー村などザーウィヤ山一帯の村々で軍・治安部隊が大規模な逮捕・追跡作戦を継続。反体制活動家の掃討と離反兵の制圧が目的。

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ダマスカス郊外県のザバダーニー市では軍・治安部隊の逮捕・捜索作戦で15人が逮捕。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市バサーティーン地区での軍・治安部隊による9月10日の逮捕・追跡作戦によって負傷した後に逮捕されていた青年の遺体が家族に引き渡された。

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『クッルナー・シュラカー』(9月14日付)は、9月10日に身柄拘束された心理アナリストのラファー・ナーシド女史に対して逮捕状が発行され、ドゥーマー女性刑務所に収監されたと報じた。

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AKI(9月14日付)は、過去数週間にわたって行われてきたアッシリア教徒の諸政党の合同会合が統一行動を行うための政治的枠組みの構築に失敗し、「アッシリア教徒の希望を奪った」と報じた。

合同会合には、シリア・アッシリア民主連合、アッシリア民主党、シリア・アッシリア民主機構、アッシリア民族評議会が参加していた。

レバノンをめぐる動き

『シャルク・アウサト』(9月14日付)は、現地消息筋の話として、シリア軍がレバノン北部県などの国境地帯に展開し、シリア人避難民が流出する違法な通過路を閉鎖したと報じた。

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『リワー』(9月14日付)は複数の消息筋の話として、アサド政権が「シリア情勢に対する最近の姿勢を鑑み、進歩社会主義等のワリード・ジュンブラート党首との関係を凍結する決定を下した」と報じた。

諸外国の動き

9月13日にレバノンのベイルートに到着し、レバノン首脳との会談を行ったロシア大統領特使のミハイル・マルゲロフ連邦議会外交委員会委員長は、15日のシリア訪問に先立って、モスクワ、キプロス、ないしはそれ以外の合意された場所でのアサド政権と反体制勢力が参加する大会の開催をロシアがアサド政権に対して提案したことを明らかにした。

これは先週ロシアを訪問した反体制勢力との行為に基づく提案であったが、ブサイナ・シャアバーン大統領府情報顧問はこの提案を拒否した、という。

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ロシア外務省高官は、アサド政権が抗議行動によって崩壊すれば、シリアにおける「テロ組織」のプレゼンスが強まるだろう、インテルファクス通信に対して述べた。

AFP, September 14, 2011、Akhbar al-Sharq, September 14, 2011、AKI, September 14, 2011、al-Hayat, September 15, 2011、Kull-na Shuraka’, September 14, 2011、al-Liwa’, September 14, 2011、Naharnet, September 14, 2011、Reuters, September 14, 2011、al-Safir, September 14, 2011、SANA, September 15, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 14, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

「シリア革命2011」がアサド政権に対するロシアの姿勢に反対するデモを呼びかける、アラブ諸国第136回定例外相会議が閉幕し発砲停止の必要性が改めて強調される(2011年9月13日)

反体制運動をめぐる動き

複数の活動家によると、シリア治安部隊がデモ抑止の新たな戦術として行っている各地での活動家逮捕・捜索活動により、昨日少なくとも8人が殺害、数十人が逮捕された。また逮捕者は殴打されるなどの蛮行を受け、その自宅も損害を被っているという。

Kull-na Shuraka', September 13, 2011
Kull-na Shuraka’, September 13, 2011

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ハマー県では、カフルヌブーダ町で行われた犠牲者の葬儀に軍・治安部隊が発砲し、5人が殺害された。葬儀中、約200人の会葬者がバッシャール・アサド政権の打倒を叫んでいた。

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ダイル・ザウル県では、軍・治安部隊による活動家の逮捕・追跡作戦で1人が殺害された。

一方、SANA(9月14日付)は、ダイル・ザウル県のクーリーヤ市、ブーカマール市で治安当局は、ライフル、ショットガンおよび弾薬など大量の武器を押収したと報じた。

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ヒムス県では、オガレット・ニュースによると、ラスタンで2人が殺害された。

これに対して、SANA(9月14日付)は、ヒムス県サアン・アスワド村武装テロ集団が夜間に移動中の軍の車輌を要撃し、士官1人、民間人1人が死亡、兵士5人が負傷したと報じた。またラスタン県でも軍の車輌が要撃に遭い、兵士4人が負傷した。

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フェイスブックの「シリア革命2011」は「ロシアに対する怒りの火曜日」と銘打って、バッシャール・アサド政権に対するロシアの支持に反対するデモを呼びかけていた。

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これに呼応するかたちで、複数の活動家らによると、12日晩からダルアー県、ヒムス県、イドリブ県、ハマー県、ダマスカス郊外県の一部のみデモが行われ、参加者はロシア国旗を焼き、アサド政権を支持する同国の姿勢を批判した。

しかしこれに対して軍・治安部隊がただちに強制排除に乗り出し、シリア人権監視団と地元調整委員会がデモ参加の動員を行った。

ダマスカス郊外県のザバダーニー市では、13日早朝から軍・治安部隊が展開し、少なくとも34人が逮捕された。逮捕者は多かったが、「ロシアに対する怒りの火曜日」はラマダーン月後の反体制勢力の動員力の低さ、そして平日の一般国民のデモへの参加率の低さを示す結果に終わった。

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9月9日からカイロで開催されていた「シリア国民支持支援週間」が閉幕した。

閉幕声明を発表するとともに、「シリア人のための国民倫理綱領」を作成・発表し、シリア国民による自由、尊厳、体制打倒という合法的要求への完全なる支持、公正、知識、道徳的価値、人道の普及、民主的市民国家の建設、宗派主義の根絶、平和的示威行動に対する暴力行使への反対という立場を確認。

また「アラウィー派宗徒に向けた声明」を出し、アサド政権がアラウィー派の宗派体制ではなく、特定の支配家族に奉仕する体制だと述べ、宗派主義的言動を拒否するとの姿勢を明示した。

「アラウィー派宗徒に向けた声明」にはシリア・ムスリム同胞団、シリア国民支援イスラーム教ウラマー大会、シリア・ウラマー連盟、マアシューク・ハズナウィー宗教対話・寛容・刷新機構などが署名した。

一方、カイロのアラブ連盟本部前では、シリア人約千人が、外相会議に合わせてアサド政権に対する連盟の態度を非難するデモを行った。デモでは、「エルドアンよ、エルドアン、ハルムーシュはどこだ」といったシュプレヒコールも行われ、外相会議に出席したトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相も非難の対象となった。

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『シャルク・アウサト』(9月13日付)は、キリスト教徒の若者たちが、司祭たちの多くがアサド政権への支持を表明しているなかで、「キリスト教のもっとも基本的な人道的・精神的諸原則と矛盾している」とみなし、「キリスト教徒を祖国において正しい立場に回帰させる」ための会合・フォーラムの開催を検討している、と報じた。

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パリに渡航しようとしていた心理アナリストのラファー・ナーシド女史がダマスカス国際空港で9月10日(土曜日)に逮捕されたと、夫でダマスカス大学のファイサル・ムハンマド・アブドゥッラー教授が明らかにした。これを受け、フランス外務省報道官は、ナーシド女史の即時釈放を要求した。

Kull-na Shuraka', September 13, 2011
Kull-na Shuraka’, September 13, 2011

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シリア変革大会(アンタルヤで発足)は13日に声明を出し、GCC閣僚評議会に対して、「シリアでの殺戮装置の即時停止」を求めるよう呼びかけた。

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DPI(9月14日付)は、シリアの複数の活動家の話として、治安当局が9月13日晩、ダマスカス郊外県ダーライヤー市でのギヤース・マタル氏の葬儀を襲撃したと報じた。襲撃に先立ち、アメリカ、フランス、デンマーク、日本の大使が弔問に訪れていた。

一活動家の葬儀への大使参列という「挑発行為」に対して当局が力を誇示し、西側諸国の干渉や扇動に断固たる姿勢を示したかたち。資料映像はhttp://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=jUJNfjcLzlEを参照。

アサド政権の動き

県・大学レベルの国民対話会合での審議が各県で引き続き行われた。

ダマスカス県の会合では、汚職撲滅(汚職に対抗し得る司法のしくみの創出)、行政改革、外国の陰謀への抵抗、国民統合強化、経済改革、市民社会を構成する組織・団体の活性化、市民意識の強化、社会保障の拡充、メディアの活性化、治安回復、脱税への対処、分権化、脱官僚化、地方への投資の奨励、武装テロ集団に対峙するシリア軍に対する支援の評価、産業育成・支援などが審議された。

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『シャルク・アウサト』(9月13日付)は、国営のシリア石油販売会社(スィトロール)は、米国、EUなど西欧諸国による石油禁輸制裁に対抗するかたちで、10月半ばに原油の出荷量を160,000トン増加させることを決定。シリアの最大の石油輸出先であるEUは禁輸制裁を発動しているが、シリアは契約により11月15日までEUに原油を輸出できる、という。

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Kull-na Shuraka', September 13, 2011
Kull-na Shuraka’, September 13, 2011

アーディル・サファル内閣高官は、「9月6日の閣議で決定第1/12562を出し、各省職員が大臣の許可なく、省の執務に関する報道発表を行うことを禁じ、施行前の新情報法によって保障されるはずの表現の自由を奪った」(『シリアン・デイズ』9月12日付)との報道を否定。

諸外国の動き

アラブ諸国第136回定例外相会議がカイロで開催され、「流血停止と、シリア国民に対するさらなる暴行・殺戮回避のため、早急に変革を行うこと」を求める声明を発表し、閉幕した。

閉幕声明では、「シリアの危機に関する様々なレベルでの折衝が行われ、またアラブ連盟が、国民の要求実現、シリアの治安、安全、領土保全、外国の干渉禁止などへの対処に寄与するための方法が審議された」したうえで、「発砲および暴力行為が停止した後に高官レベルの使節団を派遣し付託されたに無を実行する」と発表された。

外相会議ではシリアが8項目からなるイニシアチブ案を提示し、これを各国外相は声明において支持を表明した。このイニシアチブは、「アラブ諸国における民主主義と改革の強化、非常事態解除に向けた行動、包括的国民対話への呼びかけ、議会設置、政党発足などを含むすべての自由を保障する憲法の制定」などからなっている。

ナビール・アラビー事務総長はカタールのシャイフ・ハマド・ブン・ジャースィム首相兼外相との共同記者会見で、アサド大統領が使節団派遣を受け入れたが、連盟が発砲停止後に派遣することを決定したと述べた。また議長を務めたジャースィム首相兼外相は「シリアの暴力装置を停止させねばならない」と述べ、使節団派遣に向けて、シリア政府に改めて「シリアでの殺戮の停止と都市からの軍撤退」を求めた。

しかしSANA(9月15日付)によると、シリアのユースフ・アフマド・アラブ連盟代表は、声明「全体およびその詳細を拒否」すると述べた。外相会議で、アフマド代表は「危機解決に寄与しない消極的な姿勢をとり、陰謀を推し進め、シリアへの忌まわしい圧力を加える一部の国際社会の諸勢力に荷担するアラブの当事者がいる…。(声明の)全文、そしてその詳細を拒否し、それを敵対行為とみなし、シリアの危機への対処をめぐって非建設的で、アラブ連盟事務局長のミッションを失敗させようとする動きとみなす」と述べた。

一方、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、シリア政府が改革を実施していないとし、シリア国民がもはやバッシャール・アサド大統領を信頼してないとの考えを示した。またこれに先だって、「諸国民の合法的要求は力による弾圧されてはならない」と明言した。

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SANA(9月13日付)によると、ロシアのミハイル・ボグダノフ外務次官はブサイナ・シャアバーン大統領府情報顧問との会談で、ロシア政府がアサド政権の「改革路線と、民主的選挙実施の意思に安堵している」、「シリア国民がこの危機を平和的に克服し、反映と発展を取り戻すと確信している」、「ロシアはシリアでリビアのシナリオが繰り返されないとの意思を持っている」と述べたと報じた。

これに対して、シャアバーン大統領府情報顧問は「シリアで起きていることは、地域で起きていることと切り離すことはできない」、「シリアの危機には…シリアに対する情報戦争といった側面もあり、それによってシリアの弱体化、信頼喪失、暴力行為のエスカレート、エスニック・宗派的亀裂の助長などが計られている」と応え、ロシアの姿勢を高く評価した。

シャアバーン大統領府情報顧問は9月10日から13日にかけてロシアを訪問・滞在していた。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣が中国を訪問し、中国に国連での対シリア制裁決議への支持を求めたが、中国への説得工作に進展があったかとの問いに、「実際にはない…。我々の関係は良好だが、このことは我々がすべてのことで合意していることを意味しない」と答えた。

SANA, September 13, 2011
SANA, September 13, 2011

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一方、FIDH、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、エジプトのNPO20団体、シリアの人権組織2団体、スーダン、イエメン、モロッコ、モーリタニア、ヨルダン、レバノン、パレスチナ、チュニジアなどアラブ諸国内外の市民団体176団体がアラブ連盟にシリアのメンバーシップ凍結を求めた。

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レバノンをめぐる動き

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、自身がアサド大統領ないしは、ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長との会談を願い出たとの一部報道を否定した。

しかし複数の消息筋によると、シリアの反体制運動に理解を示す最近のジュンブラートの発言は、アサド政権の怒りを買っており、進歩社会主義党の幹部であるガーズィー・アリーディー公共労働大臣が事態を収拾すべく、ジュンブラートのシリア訪問を3度にわたって調整したが、いずれも失敗に終わった、という。

AFP, September 13, 2011, September 14, 2011、DPI, September 14, 2011、al-Hayat, September 14, 2011, September 15, 2011、Kull-na Shuraka’, September 13,
2011, September 14, 2011、al-Liwa’, September 12, 2011、Naharnet, September 12, 2011, September 13, 2011, September 14, 2011、Reuters, September 13, 2011, September 14, 2011、SANA, September 13, 2011, September 14, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 13, 2011などをもとに作成。

 

(C)青山弘之All rights reserved.

カイロで「国民統合会合」に参加した勢力は「アラブ・イニシアチブ」を拒否、シャアバーン氏はロシア外務省での記者会見のなかで同国の姿勢を評価(2011年9月12日)

反体制運動をめぐる動き

反体制活動家のバスマ・カドマーニー女史はトルコのイスタンブールで開いた記者会見で、反体制勢力が9月15日にイスタンブールで会合を開き、国民評議会のメンバーを発表すると述べた。

カイロのアラブ連盟本部前でシリアの反体制活動家がデモを行い、シリア自由活動家連合などが組織した。彼らは、エジプトの活動家とともに、13日にも大規模なデモを予定しているという。

同連合執行部メンバーのワルド・ハッダード氏は『ハヤート』(9月13日付)に対して、「アラブ・イニシアチブは(シリア国民)のことを考えていない。国民に届いていない。それはシリア政府に示されたものに過ぎない。街の声、反体制勢力の声を考慮していない」と語った。

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カイロで「国民統合会合」(11~12日)を開催していたシリア反体制勢力は、任期(2014年)終了までのアサド大統領の残留を認めたアラブ連盟の「アラブ・イニシアチブ」を拒否した。

会合には内外の反体制活動家約100人が参加、閉幕声明で、シリア革命への全面支持を表明するとともに、アル=アサド政権の存続を「一時たりとも」認めないと述べた。

また反体制勢力の使節団が駐カイロ・ロシア常駐代表と会談した。 使節団はハイサム・マーリフ弁護士、ムンズィル・ナークース氏、アブドゥルアハド・イスティーフワー氏(アッシリア民主機構代表)、バッサーム・イスハーク氏(SWASIAH代表)、アブドゥッラフーフ・ダルウィーシュ(民主主義のための3月15日連合代表)、アフマド・マンジューニー氏からなっていた。

カイロでの大会に参加したムハンマド・マアムーン・ヒムスィー前人民議会議員によると、皆伝で使節団が「ロシアのアル=アサド政権への姿勢に対する驚きの意を伝えた」という。

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ハマー県では、『ハヤート』(9月13日付)によると、ムーリク市、カフルヌブーダ町、カフルズィーター市、ジャビーン村、カルナーズ町、カルアト・マディーク町などで、軍・治安部隊が強制捜査を行い、活動家17人を殺害した。

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ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(9月13日付)によると、ドゥーマー市で、軍・治安部隊による活動家に対する追跡捜査が行われる一方、治安部隊が犠牲者葬儀の参列者に発砲し、イッザト・ラバービーディー氏が殺害された。 ドゥーマー市での葬儀には数千人が参列したという。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ラスタン市で軍・治安部隊が活動家への追跡捜査を続け、男性2人(父子)が死亡した。 複数の活動家、住民によると、ラスタン市には軍・治安部隊数千人、装甲車数百台が集結しているという。

また、アラビーヤ・チャンネル(9月12日付)によると、ヒムス市のアラウィー派シャイフ3人が声明を出し、自分たちはアサド政権による「蛮行」とは無関係だと発表した。 声明を出したのは、ムヒーブ・ニーサーフィー氏、ヤースィーン・フサイン氏、ムーサー・マンスル氏の3人。

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ダルアー県では、『ハヤート』(9月13日付)によると、軍・治安部隊が活動家への追跡捜査を行った。

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イドリブ県では、『ハヤート』(9月13日付)によると、軍・治安部隊が活動家への追跡捜査を行った。

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ハマー県では、SANA(5月13日付)によると、サラミーヤ市で武装テロ集団が軍用バスを要撃、兵士2人が殉職した。

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フェイスブックのページ「シリア革命2011」は、「ロシアに対する怒りの火曜日」と銘打って、アサド政権に対するロシアの支持に反対するデモを呼びかけた。

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ザマーン・ワスル(9月12日付)は、ゴラン高原のシャイフたちが、アサド政権による反体制抗議行動弾圧に抗議する声明を出したと報じた。

アサド政権の動き

『ハヤート』(9月13日付)などによると、ダマスカス県で、アサド政権が主導する県・大学レベルでの国民対話会合が開催された。

参加者は、「政治的であれ、軍事的であれ、また国際的監視といった名目であれ、いかなる外国の干渉も拒否し」、「外国の陰謀に対抗」するとの立場を明示した。会合には、バアス党、進歩、国民戦線加盟政党、無所属、ビジネスマン、法曹界の代表約250人が参加した。

なお、ダマスカス郊外県、ダマスカス大学、ラタキア県での会合は11日から開催されている。 これらの会合では、経済・社会問題、福祉問題、そして政治問題の順での審議を予定しているが、ダマスカス県の会合は、準備委員会の提案に基づいて、初日から政治問題についての審議が行われた。

会合には、ナビール・サーリフ氏(作家)、アフマド・アマッラー(芸術家)、バッサーム・クーサー(芸術家)らが報告書を提出し、改革実施、外国の干渉拒否といった姿勢を明示しているという。

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一方、クッルナー・シュラカー(9月12日付)によると、イドリブ県で開会された県・大学レベルの国民対話会合で、反体制勢力の代表者たちが、アサド政権と抗議運動の間の対話が行われていないと非難する声明を読み上げ、会合を拒否、退場した。

同声明には400人以上(そのほとんどが有識者)が署名しており、「政府は自分たちだけで対話している、なぜなら政権は、社会を代表しているかどうかを考慮せずに出席者を選んだからである。つまり対話は一方の当事者どうしが行っているに過ぎない」と記されていた。

そのうえで、この声明では、以下の条件が満たされた場合、対話に応じると締めくくっていた。

1. 治安機関による国民生活および国家機関への違法な介入の停止。 2. デモにかかわるすべての逮捕者の釈放。犯罪に関与したすべての関係者の裁判。 3. 逮捕、操作・追跡活動の停止。 4. 平和的デモへの対峙の停止。 5. 地元および外国メディアによる政治活動の報道認可。

国内の反体制活動家が条件付きであれ対話に応じる姿勢を示したのはこれが事実上初めて。

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『ワタン』(9月12日付)は、イドリブ県の住民筋の話として、シリア軍を離反したフサイン・ハルムーシュ大佐が先週末、出身地であるイブリーン村(イドリブ県)で当局に逮捕されたと伝えた。

ハルムーシュ大佐は離反後、自由将校旅運動を結成し、シリアとトルコを往復して活動を行っていた。 逮捕当時、ハルムーシュ大佐は武器を携帯し、複数の指名手配者とともに行動していたという。

ハルムーシュ大佐の「失踪」に関して、兄弟のイブラーヒーム・ハルムーシュ氏は、アラビーヤ・チャンネルの電話取材(9月12日)に応え、「トルコ領内のシリア人避難民キャンプでトルコの士官と会談したのちに失踪し、彼らがまず連れ去った…。別の日にこの士官に彼(フサイン・ハルムーシュ大佐)のことを聞くと、知らないと応えた」ことを明らかにし、シリア領内にいる(逮捕された)との報道に疑義を呈した。

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モスクワ訪問中のブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官は、ロシア外務省での記者会見で、西側諸国が「地域におけるテロと過激化を助長している」と非難、「西側が暴力を助長するような行動を呼びかけるのではなく、ロシアの姿勢を見倣うよう望む」と述べた。

また、ロシアの対応については「外国の干渉を排除した改革実施の機会を与える」と評価した。 しかしロシアがイニシアチブを発揮しようとしているとされる仲介に関して、「誰との仲介? そのようなものはありません」と存在を否定した。 アフバール・シャルク(9月12日付)などが伝えた。

SANA, September 23, 2011
SANA, September 23, 2011

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クッルナー・シュラカー(9月12日付)によると、ダマスカス郊外県サイイダ・ザイナブ町郊外のフサイニーヤ町で治安当局が集団墓地を発見した問題で、当局は墓守を逮捕した。

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レバノンのファーイズ・グスン国防大臣がシリアを訪問し、アサド大統領と会談した。 SANA(9月12日付)によると、国境管理に関する両国軍の協力態勢について議論され、武器密輸抑止や両国の政治的安定強化などが確認されたという。

SANA, September 23, 2011
SANA, September 23, 2011

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『シャルク・アウサト』(9月13日付)は、国営のシリア石油販売会社(スィトロール)が、米国、EUなど西欧諸国による石油禁輸制裁に対抗するかたちで、10月半ばに原油の出荷量を16万トン増加させることを決定したと伝えた。

シリアの最大の石油輸出先であるEUは禁輸制裁を発動しているが、シリアは契約により11月15日までEUに原油を輸出できる、という。

諸外国の動き

ロシアのデミートリー・メドヴェージェフ大統領は、デヴィッド・キャメロン英首相とのモスクワでの会談後、「EUと米国が一方的に制裁発動を行った今となっては、シリア政府に対する追加制裁が正当化され得るとは考えていない」とのロシアの立場を明らかにした。

しかしその一方で、メドヴェージェフ大統領は、「暴力に対する強い非難声明の採択には反対しない」と述べ、「危機の両当事者に対してバランスのとれた」対応を呼びかけた。

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アフバール・シャルク(9月12日付)によると、米国、EU、英、独、オランダの各国大使が、25日に暴行を受けた風刺漫画家のアリー・ファルザート氏が入院する病院を見舞い、同氏への支援を表明した。

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米国務省報道官は、ギヤース・マタル氏の殺害(逮捕後拷問により殺害されたとされる)を非難した。 ジャズィーラ・チャンネル(9月12日付)によると、シリア革命支援ヨルダン人民委員会は、ヨルダン政府に対してバフジャト・スライマーン駐アンマン・シリア大使の追放を要求するための座り込みをアンマン市内で10日から開始した。

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ナバネセム・ピレイ国連人権高等弁務官はジュネーブでの国連人権理事会(第18期)で、シリア情勢に関して、2011年3月以降の抗議デモ発生により2,600人が死亡していると述べた。

シリア情勢への対応が協議された国連人権理事会では、反体制抗議デモが行われるようになって以降のシリア国内での人権侵害を調査するための委員会を設置することが決定された。

委員長にはパウロ・セルジオ・ピネイロ氏(ブラジル)就任する見込み。 また国連人権理事会のローラ・デュプイ・ラセール議長は「委員会へのシリアの政府の完全なる協力が重要」との声明を出した。

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スイス経済省は、シリア政府に関連する口座に預金されている4,500万スイス・フラン(5,000万米ドル相当)を凍結した、と発表した。

AFP, September 12, 2011、Akhbar al-Sharq, September 12, 2011、September 12, 2011、Alarabia.net, September 12, 2011、Aljazeera.net, September 12, 2011、al-Hayat, September 13, 2011、Kull-na Shuraka’, September 12, 2011、Reuters, September 12, 2011、SANA, September 12, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 12, 2011、al-Watan, September 12, 2011などをもとに作成。

アサド大統領がアラブ連盟事務総長とダマスカスで会談するなか、自由将校旅団司令官が逮捕されたと報じられる(2011年9月10日)

国内の反体制運動の動き

シリアの日刊紙『ワタン』(9月10日付)は、自由将校旅団(自由将校運動)司令官で死亡・失踪に関する情報が錯綜しているフサイン・ハルムーシュ大佐が逮捕されたと報じた。数日前には70代になる同大佐の兄が殺害されていた。

同紙によると、治安部隊は、同大佐の出身地であるイドリブ県イブリーン村で「特殊作戦」を行い、「彼を生きたまま逮捕し、中火器、軽火器、通信機器、コンピュータなどを押収した」。

しかしシリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長は、『ハヤート』に対して、「逮捕の報道に関して情報が錯綜している」と述べた。同所長は、「ある目撃者はハルムーシュ氏は、兄の死を知った直後にトルコから戻り、逮捕されたと述べているが、別の目撃者は、それを否定している。さらに、トルコの諜報機関が逮捕したと言っている人もいる…。我々は確認を試みている」と述べた。

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ヒムス市では、金曜日のデモでの犠牲者の葬儀が行われ、約20,000人が参列。ヒムス市には、シリア軍・治安部隊の戦車、装甲車などが多数展開している。

Kull-na Shuraka', September 10, 2011
Kull-na Shuraka’, September 10, 2011

シリア人権監視団は、バーブ・アムル地区近くのバサーティーン地区で指名手配者の追跡を行う軍・治安部隊によって5人が殺害されたと発表した。一方、シリア革命総合委員会は、ヒムス市のバーブ・スィバーア地区とバーブ・アムル地区への砲撃で16人が殺害されたと発表した。

これに対しSANAは、シリア軍消息筋の話として、ヒムス市のダウワール・ファーフーラ近くで軍食糧配給部門の寝台バスが「武装テロ集団」に襲撃され、運転手が殺害、乗っていた食糧配給部門の労働者2人が負傷した、と報じた。

SANA, September 10, 2011
SANA, September 10, 2011

一方、シリア人権監視団によると、レバノン国境のヒート村に軍・治安部隊が突入。またレバノン国境のクサイル市も地元調整委員会によると、連日、軍・治安部隊による逮捕・捜索活動が続いており、「非常に困難な日々」だという。

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イドリブ県では、シリア人権監視団、地元調整諸委員会によると、2人が治安部隊の発砲により殺害された。1人(男性)はハーン・スブル村で、もう1人(女性)はサラーキブ市南部で殺害された。

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『クドス』(9月10日付)は、「住民が遺族を公園などに埋葬している」とのハマー市住民の証言を掲載。

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ダマスカスでは、新党「シリア国家建設潮流」の結成が発表された。発足者たちによると、同組織は民主的市民国家の建設、若者たちの政治生活、公的生活における「公的、実質的参与」の保障、民衆蜂起の目的に沿って専制体制の打倒をめざす、という。

国外の反体制活動家の動き

『ハヤート』(9月11日付)はカタールのドーハの信頼できる消息筋の話として、「ダマスカス宣言」、クルド民族主義諸政党、シリア・ムスリム同胞団の活動家および代表30人が挙国一致的な連立を組み、近く「国民評議会」を発足することをめざすことで合意したと報じた。

しかし『シャルク・アウサト』(9月10日付)は、ドーハでの反体制勢力の会合も、トルコなどでの反体制勢力の会合などと同様、国民評議会発足に関して合意に至ることに失敗したと報じた。

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エジプトの首都カイロでも反体制活動家が二つの会合を開催した。

一つは、「シリア解放運動者連合」(シャーディー・ハッシュ代表)が主催した「我々はみな祖国のために」挙国一致会合で、カイロのドッキー地区のピラミザ・ホテルで開催された。

もう一つは、「在エジプト・シリア人連合」が主催した「シリア国民支援勝利週間」(9月9日開催)で、同じくドッキー地区のサフィール・ホテルで開催された。

同会合には、ハイサム・マーリフ弁護士、アブドゥルアハド・イスティーフワー(アッシリア民主機構代表)、ムハンマド・マアムーン・ヒムスィー元人民議会議員といった反体制活動家が招聘・出席し、記者会見を行った。

これらの会合は在外の他の反体制勢力との調整なくして開催された。

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オーストリアのウィーンでは、スペイン、ロシア、ドイツ、スイス、ギリシャなど13カ国に滞在するシリア人活動家が反体制勢力を支援するための会合を開いた。

代表の一人であるアーミル・ハティーブ氏によると、参加者はウィーンのシリア大使館に向かい、アサド大統領の退任を求めることを決定。また「在外シリア人連合」を結成し、シリア国内の反体制運動の支援をめざすという。

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フェイスブックの「シリア革命2011」ページによると、アブドゥッラッザーク・ラフムーン大佐がシリア軍を離反し、「自由シリア軍」に参加したと発表。

アサド政権の動き

アサド大統領がアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長とダマスカスで会談。

SANA, September 10, 2011
SANA, September 10, 2011

SANA(9月11日付)によると、アサド大統領は「現下のシリアの危機の出口を創出することの必要をアラブ諸国が強く望んでいる」とのメッセージをアラビー事務総長から受けとった。

またアラビー事務総長は「連盟は、数ヶ月にわたって続く流血を終わらせるべく、シリア政府と反体制勢力との間の国民和解対話において大きな役割を果たすことを提案した」と述べ、アサド大統領と一連の措置に関して合意、火曜日のカイロでのアラブ連盟外相会議でこれらの提案が提示されるという。

さらに会談では、「メディアのねつ造や扇動にだまされない」必要が強調され、アラブ連盟がシリアの治安と安定を望み、外国のいかなる内政干渉をも拒否する」とアラビー事務総長が強調したと報じた。

しかし、アラビー事務総長はカイロに帰国後に声明を出し、「アラブ連盟がシリア国民に対する暴力や流血を完全に停止するために早急に措置を講じる必要があり、シリア国民の表現への希求や改革を実現し、国民を保護し、シリアをとりまく危機を解消するための移行を保障する必要があるとの意思を伝えた」と発表した。

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スポーツ連合との共催のもと、シリアの青年グループが、イラク、レバノン、パレスチナの青年使節団とともに、ダマスカス県内のジャラー・スタジアムで、シリアの治安、安定に対する陰謀への抵抗を支持する集会を行った。

諸外国の動き

『ハヤート』(9月10日付)は西側外交筋の話として、EUはシリアに対する石油禁輸措置に加えて、石油部門への投資を禁じることで原則合意したと報じた。

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シリア革命支援ヨルダン人民委員会は、ヨルダン政府に対してバフジャト・スライマーン駐アンマン・シリア大使の追放を要求するための座り込みをアンマン市内で10日から開始した。

SANA, September 10, 2011
SANA, September 10, 2011

レバノンの動き

NNA(9月10日付)は、レバノン国軍がベカーア県ラーシャイヤー郡ダイル・アシャーイル山地で、シリアに密輸されようとしていた電気アンテナ、通信機器を押収したと報じた。これらの機器はピックアップ・トラックに積まれていたシリアに密輸入されようとしており、こうした動きは日々見られるという。

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『ナハール』(9月10日付)は、ビシャーラ・ラーイー・マロン派総大司教がフランス訪問中のニコラ・サルコジ仏大統領との会談で「シリアのアサド政権は終わった」と告げられたと報じた。

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進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首と袂を分かったマルワーン・ハマーダ国民議会議員は、テレビでのインタビューで、3月14日勢力がシリアの内政に干渉しないとしつつ、「カマール・ジュンブラートからラフィーク・ハリーリー元首相にいたる暗殺以外の何ものもシリアの体制見出すことない」と述べ、「レバノンのすべての宗派がシリア政府の抑圧に曝されてきた」と強調、「シリアで今日起きていることは体制の終わりを示している」と断じた。

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アブドゥルカリーム・アリー駐レバノン・シリア大使はヌール・ラジオのインタビューに対して、シリア国内の反体制抗議運動に対して否定的な見解を示しているビシャーラ・ラーイー・マロン派大司教の姿勢が「バランスのとれた思想的、国民的、政治的な見方で、地域全体を標的とした陰謀に対する抵抗において彼自身が代表している教会の役割と合致している。またそれは、バチカンの見解を表してもいる」と述べた。

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レバノンのシリア・アラブ擁護委員会の使節団がダマスカス県のティシュリーン軍事病院を慰問。「武装テロ集団」弾圧時に負傷した兵士を見舞った。

AFP, September 10, 2011, September 11, 2011、AP, September 10, 2011、Facebook、Akhbar al-Sharq, September 10, 2011, September 12, 2011、al-Hayat, September 11, 2011, September 12, 2011、Kull-na Shuraka’, September 10,
2011, September 13, 2011、al-Nahar, September 10, 2011、NNA, September 10, 2011、al-Quds, September 10, 2011、Reuters, September 10, 2011, September 11, 2011、SANA,
September 11, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 10, 2011, September 11, 2011などをもとに作成。

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アサド大統領が政令第104号(国家総動員法)を発令、レバノンのアウン国民議会議員がインタビューのなかでシリア政府への支持を強く表明(2011年9月8日)

シリア軍兵士・バアス党員の離反をめぐる情報合戦

各地でシリア軍兵士の離反が伝えられるなか、バッシャール・アサド政権と反体制勢力が離反をめぐる情報合戦を繰り広げた。

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シリア人権監視団によると、イドリブ県ザーウィヤ山のイブリーン村で、フサイン・ハルムーシュ大佐の家で離反したシリア国軍兵士3人が軍に支援された治安部隊によって殺害され、2人が逮捕された。また軍・治安部隊は装甲車7輌、四輪駆動車10輌でイブリーン村に突入し、指名手配者の捜索を行った。その際激しい銃声や重火器の発車音が聞こえた。

Shabaka Akhbar Idlib, September 8, 2011
Shabaka Akhbar Idlib, September 8, 2011

フサイン・ハルムーシュ大佐は6月はじめにインターネットを通じて自らの離反を宣言した士官で、自由将校運動(自由将校旅団)の結成を宣言した人物である。

これに関してSANAは、治安部隊がイドリブ県ザーウィヤ山(シリア北西部)のイブリーン村に対する作戦で、住民を脅迫していた「武装テロ集団」を多数逮捕し、その際複数名を殺害、また大量の武器弾薬を押収したと報じた。またこの作戦では、治安部隊兵士3人が殺害され、3人が負傷したと報じた。を包囲中に離反した兵士3人を殺害したと報じた。

しかしこれに先立って7日、自由将校運動(自由将校旅団)のダルアー県の高官カイス・クトアナ大尉が声明を出し、同運動司令官のフサイン・ハルムーシュ大佐が、8月29日にトルコ領内の避難民キャンプでトルコの治安当局高官と面談したのち失踪したと発表、トルコ当局に対して大佐の行方を調査するよう求める声明を出した。声明はYoutubeを通じて配信された。声明全文はhttp://www.alarabiya.net/mob/ar/165799.htmlを参照。

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シリア政府筋が誘拐されていたとするバアス党ラスタン支局指導部のイッズッディーン・ウバイド書記長とアブドゥッラッザーク・ダーリー書記官がビデオで反体制デモ弾圧に抗議して離反したとの声明を出した。http://www.youtube.com/watch?v=CCEndzkY25wを参照。

http://www.youtube.com/watch?v=CCEndzkY25w

しかしこれに先立ち、SANA(9月8日付)は、ラスタン市で武装集団が両名を誘拐したと報じていた。

反体制勢力の動き

シリア革命総合委員会は声明を出し、「シリアの民間に対する国際的保護」を呼びかけ、「国際社会が責任をもって、国際法および文書の規定に従って、民間人保護のための措置を講じる」よう求めた。

委員会のアフマド・ハティーブ報道官は、反体制勢力が「国際的監視団の派遣を第1ステップとして要求している。もし政府がこれを拒めば、飛行禁止空域の設定、戦車使用禁止などといった次の動きへの扉が開かれることになろう」と述べた。

ラマダーン月の反体制抗議行動によって、アサド政権打倒が実現せず、9月に入って反体制運動の勢いに若干かげりが見え始めるなか、フェイスブック等で運動を指導してきた地元調整委員会などが生き残りをかけて外国の侵略を求めたかたちである。

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シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長によると、7日の弾圧で負傷した市民8人が死亡、これにより7日のシリアでの死者数は31人(うち29人がヒムス市、2人がサルミーン市で殺害)となった。

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AKI(9月8日付)によると、地元調整委員会は、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長が10日のシリア訪問時に伝えようとしているとされる「アラブ・イニシアチブ」(危機打開に向けた提案)に関して、「民衆のインティファーダに体制が暴力で対峙したことでもたらされた国の危機に対処するための正しい基礎」と支持しつつも、2014年の任期終了までアサド大統領の在任を認めた文言については態度を保留。

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シリアのクルド民族主義政党11組織が9月半ばに呼びかけているクルド・クルド大会開催のイニシアチブに関して、シリア・クルド民主合意が声明を出し、原則支持の意を示しつつ、「いかなるクルド政党勢力も大会開催を独占してはならない」と述べ、牽制。シリア・クルド民主合意はシリア内外の反体制クルド民族主義勢力において主導的役割を果たすシリア・クルド政治会議加盟政党、シリア・クルド民主同盟加盟政党、シリア・クルド・ムスタクバル潮流などと一線を画している。

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AKI(9月8日付)は、自由のためのシリア弁護士委員会が赤十字国際委員会に対して、刑務所でなく、治安機関の拘置所を視察するよう呼びかけたと報じた。

Kull-na Shurakā’, September 9, 2011
Kull-na Shuraka’, September 9, 2011

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シリア・クルド・ムスタクバル潮流は、8日(木曜日)にミシュアル・タンムー報道官がカーミシュリー市内でシャッビーハによる暗殺未遂に遭ったと発表。

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AKI(9月8日付)によると、国民民主的諸勢力国民調整委員会、ダマスカス民主的変革宣言(ダマスカス宣言)、国民行動グループ、民主的調整会合、イスラーム無所属潮流、革命調整諸委員会、青年革命運動家ら、国内外の反体制勢力が、国民評議会結成に関して原則合意し、近日中に大会が開催されることが決定。大会には250人の代表が集まるという。

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シリア左派連立を名乗る組織が声明を発表。反体制勢力による国民評議会結成に向けた動きが、民衆蜂起に寄与せず、それを貶めているに過ぎないと非難。移行期間は体制打倒後に初めて設定されるべきと主張。また外国の干渉に関して強い拒否の姿勢を示した。

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リヤード・アスアド大佐率いる自由シリア軍は9月8日に配信されたビデオで2大隊の新設を発表。ダマスカス県の「ムアーウィヤ・ブン・アビー・スフヤーン」大隊とダマスカス郊外県の「アブー・ウバイダ・ブン・ジャッラーフ」大隊。

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シリア赤新月社はシャッビーハが赤新月社の救急車を攻撃したとの報告書を作成。全文はhttp://all4syria.info/web/archives/27507を参照。

アサド政権の動き

『シリア・ニュース』(9月8日付)、『イクティサーディー』(9月8日付)によると、アサド大統領は政令第104号(国家総動員法)を発令。10章43条からなる同法は、国家総動員の定義および実施原則、立法府および司法府の役割、国家機関、企業、国民の義務、予備兵役への国民の召集、召集にかかる手当、そして処罰などが規定された。

もっとも重要な規定は第3条で、大統領が国家総動員を発令する事態のなかに、1カ国ないしは複数の国と戦争状態に入る、地域・国際社会の関係の緊張によって戦争状態の恐れがある、自然災害などが発生するといった状況に加えて、「国家の安全が脅かされる内乱が発生する」という文言を付記した。

4月に非常事態令解除に合わせて、アサド政権は平和的デモ調整法を発令し、無許可のデモへの「合法的弾圧」を行ってきたが、これに加えて国家総動員を発令することで、デモ弾圧を強化しようとしている。

レバノンの動き

ビシャーラ・ラーイー・マロン派総大司教は、アラビーアに対して「国際社会はイスラエルにレバノンの占領地から撤退するよう圧力をかけるべきだ…。またパレスチナの帰還権を履行させるべきだ。そうすることでヒズブッラーは武器を手放すことを余儀なくされるだろう」。「シリアで政権転換が起きて、スンナ派が権力を握れば、レバノンのスンナ派と同盟を結び、シーア派とスンナ派の関係が悪化する」と述べた。

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レバノンの自由国民潮流代表のミシェル・アウン国民議会議員(元国軍司令官)はLBCのインタビューに応じ、7日にビシャーラ・ラーイー・マロン派総大司教が「アサド大統領はシリアで改革を実施している。彼にチャンスを与えねばならない」と発言したことに関連して、「シリアの体制は崩壊せず、改革を実行すると強く確信している」と述べた。

また「私は人権を支持しているが、交代した政権が人権を支持するだろうか?彼らは多元的支配に反対していると一部の人々が言っているのに、彼らは人権を尊重するだろうか?現在起きているのはデモではない。狙撃兵や治安要員と衝突しているだけだ。暴動で体制を転覆させようとする者がいる場合、体制は自衛するだろうし、それは正しいことだ…。米軍がイラクに来て、サッダーム・フサインが処刑されたあと、独裁後のイラクで何が起きたのか?民主主義に移行したか?…我々はシリアに独裁体制を求めていない。むしろ民主制を求めている…。しかし(西側諸国や一部のアラブ諸国は)シリアが人権を尊重することを望んでいない。むしろハマース、ヒズブッラー、イランとの結びつきを立ってもらいたいだけだ…。人権問題をめぐってシリアを攻撃している人々はパレスチナ人を支援すべきだ…。アサド大統領は私に政治的自由を保障すると語った…。シリアでは安定なくして改革などあり得ない。体制はシリアを不安定化させようとする試みを前に屈服しないだろう。いかなる圧力をかけられようと」と付言した。

Naharnet, September 8, 2011
Naharnet, September 8, 2011

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ベイルート県中心部にある「サミール・カスィール広場」でレバノン人活動家、ジャーナリスト、有識者、政治家らが「シリア国民の自由と尊厳」を支持する座り込みを行った。

座り込みに参加したのは、ハーリド・ダーヒル議員、マルワーン・ハマーダ議員、アフマド・ファトファト議員、ハーリド・ザフラマーン議員、ハサン・ムナイミナ元大臣、ファーリス・スアイド元議員、イリヤース・アターッラー元議員、アントワーン・ハッダード氏、カルロス・イッダ氏。また3月14日勢力執行部のメンバーが多数参加した。

一方、アサド政権の支持者もベイルート県庁前でデモを行った。

諸外国の動き

ロシア大統領特使のミハイル・マルゲロフ連邦議会外交委員会委員長は、9日のシリア反体制勢力との会談、10日のブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報担当報道官との会談に先立って、アサド政権崩壊の可能性を否定し、国連安保理でのシリア非難決議を阻止するとの姿勢を改めて明示したうえで「政治的関係正常化の機会はまだある…。我々は当事者である反体制勢力と政府を歩み寄らせようとしている。両者が会するしくみを作り出すことができると希望している」と述べた。

また「アサド大統領は世俗的で若い指導者であり、正しい指導を行い、開明的である…。もし支配階級がより開放的になり、新しい考え方を受け入れ、すべてのシリア人に対応できるのであれば、我々は彼が国を近代化できると考えている」と付言した。

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イランのマフムード・アフマディーネジャード大統領は8日晩、クウェートの記者団と会談し、シリアに赴き、「国民和解」実現を支援するための委員会を設置することでシリア国内の危機収束のための政治的イニシアチブを発揮するようイスラーム協力機構(OIC)に対して呼びかけた。

AFP, September 8, 2011, September 9, 2011、Akhbar al-Sharq, September 8, 2011、AKI, September 8, 2011, September 9, 2011、Alarabia.net, September 8, 2011、al-Hayat, September 9, 2011、al-Iqtisadi, September 8, 2011, September 10, 2011、Kull-na Shuraka’, September 8,
2011, September 9, 2011, September 12, 2011、Naharnet.com, September 8,
2011、NNA, September 8, 2011、Reuters, September 8, 2011, September 9, 2011、SANA,
September 9, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 10, 2011Syria News, September 8, 2011などをもとに作成。

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ダマスカス郊外県、アレッポ県、ダルアー県、ヒムス県、ハマー県、イドリブ県など各地で反体制デモが行われる(2011年8月31日)

反体制運動をめぐる動き

ダマスカス郊外県、アレッポ県、ダルアー県、ヒムス県、ハマー県、イドリブ県など各地で反体制デモが行われ、数十人が軍・治安部隊によって逮捕された。

ダマスカス郊外県では、空軍情報部が在米の反体制活動家でシリア政治の研究者でもあるラドワーン・ズィヤーダ教授の弟ヤースィーン・ズィヤーダ氏を逮捕した。同氏はダマスカス郊外県のダーライヤー市でイード・アル=フィトルのデモに参加、身柄を拘束された。

アレッポ県では、人権活動家のイブラーヒーム・マラキー弁護士がAFPに語ったところによると、アレッポ市でムスタファー・スライマーン弁護士夫妻と訪問客の3人が逮捕された。

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ハウラ地方に軍治安部隊が突入し、16人を逮捕、その際、少なくとも5人が負傷。突入の2日前、治安部隊が8月第1週に誘拐・殺害した13人の遺体を引き渡されていたハウラ地方の住民の怒りは頂点に達していたという。

シリア人権監視団や複数の住民によると、ハマー県では、軽戦車、輸送車輌数十両、軍・治安部隊兵士数百人がハマー市のクスール地区、ハミーディーヤ地区に突入、活動家の捜索を行った。

複数の活動家によると、イドリブ県では、カフルルーマー村で治安部隊がデモ参加者に発砲し、1人が殺害された。

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アレッポ県の医師118人が連名で声明を出し、医師に対する身柄拘束、逮捕、拷問を行わないよう呼びかけた。

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http://www.syrianeg.net/
http://www.syrianeg.net/

シリア人権監視団は、ラマダーン月の弾圧による死者数を発表した。それによると死者数は473人、うち民間人は360人、113人が軍人・治安要員。またうち28人がヒムス県で身柄拘束後に拷問を受け殺害、25人が18歳以下で、14人が女性だという。なお、8月3日から10日にかけてのハマー市での犠牲者は調査が困難だったため含まれていない。

諸外国の動き

ロシアのドミトリー・ロゴジン駐NATO大使は、RTのインタビューに対して、NATOがシリアへの軍事作戦はないとの考えを示した。その理由とした同大使は「イスラエルの安全保障に影響を及ぼすからだ」と述べた。

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フランスのニコラ・サルコジ大統領は、駐フランス大使会議でシリアの反体制デモへのバッシャール・アサド政権の弾圧について触れ、「シリア大統領は改革できないことを犯した。フランスとその友好国はシリア国民の自由と民主主義への要求を実現するため、法的に可能なあらゆることを行うだろう」と述べた。

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ビクトリア・ヌーランド米国務省報道官はシリアの刑務所での身柄拘束者への拷問を非難。

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3月14日勢力事務局長のファーリス・スアイド氏はLBCに出演し、「シリアの体制は息詰まっている…。国際社会はシリアの体制が崩壊に向かっているとのシグナルを送っている」と述べる一方、シリアの混乱をヒズブッラーと結びつけ、「もしヒズブッラーがシリアの体制に固執し、革命に反対すれば、それは全世界に対抗することを意味する…。こうした行動は、ヒズブッラーだけでなくレバノンを非難に曝すことになる」と非難した。

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Naharnet, August 31, 2011
Naharnet, August 31, 2011

ワリード・ジュンブラート党首は進歩社会主義党の若手メンバーとの会合で、バッシャール・アサド大統領と現下のシリアの体制を厳しく非難、取りまきの支配サークルに囚われの身となったアサド大統領が自らの退任を求めるデモや抗議行動に対処するため「治安的解決」を選択したことは、「アサドが早晩退任し、シリア国民の意思が最終的に勝利する」ことを示している、と述べた。

AFP, August 31, 2011, al-Hayat, September 1, 2011, September 2, 2011、Kull-na Shuraka’, August 31, 2011、Naharnet.com, August 31, 2011、Reuters, August 31, 2011。

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「自由将校旅団」がヒムス県でシリア軍を士官らを襲撃したことを発表、ロシアは欧米諸国のイニシアティブに対抗し国連安保理でシリアに関する新たな決議案を提案(2011年8月26日)

反体制運動をめぐる動き

複数の都市で数万人が反体制デモを行った。フェイスブックの「シリア革命2100」ページはこのデモを「忍耐と貫徹の金曜日」と銘打った。

同ページの画像には、初めて「シリア革命総合委員会」のロゴが添付された。しかし治安部隊はデモ参加者を強制排除、少なくとも3人が殺害され、複数が負傷した。Facebook

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シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市のアリー・ブン・アビー・ターリブ・モスクから街頭に出たデモに親体制派が発砲し、2人が殺害され、5人が負傷した。しかし、SANAは、ダイル・ザウル市の検問所に武装集団が発砲し、3人の治安維持部隊兵士が負傷、武装集団メンバー2人が殺害、と報じた。

ダイル・ザウル市では数千人がデモを行ったが、治安部隊が強制排除した。

またブーカマール市でもデモがあった。

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ダルアー県ナワー市では、ムハンマディー・モスクから街頭に出たデモ参加者に治安部隊が発砲し、シリア人権監視団によると、1人が死亡、3人が負傷した。また同県各地でデモが発生した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市バーブ・スィバーア地区で反体制デモが発生、治安部隊が強制排除を行うべく発砲した。デモは26日に殺害された犠牲者の葬儀をきっかけに発生した。

また同市バーブ・ドゥライブ地区での無差別発砲で2人が負傷。うち1人は4歳の少女。なお同市では体制打倒を叫ぶ約15,000人がハーリディーヤ地区でデモを行った。また数千人がバーブ・アムル地区、バーブ・スィバーア地区、クスール地区でデモを行った。

またシリア革命調整連合によると、ヒムス市郊外のクサイル市で装甲車が発砲し、6人のデモ参加者が負傷した。

このほか、数万人がヒムス県のタドムル市、ラスタン市、タルビーサ市でデモを行った。

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ダマスカス郊外県のダーライヤー市は、治安部隊がデモを強制排除する際に発砲し、1人が負傷。

ドゥーマー市では治安機関本部近くでデモが発生し、5人が負傷した。同市では約7,000人がデモに参加した。しかしSANAは、同本部が武装テロ集団によって襲撃されたと報じた。

またザバダーニー市、ハラスター市、カーラ市でもデモが発生、カナーキル村では約3,000人がデモに参加した。アルバイン市では約2,500人がデモに参加した。しかしいずれも治安部隊によって排除された。

ダマスカス県マイダーン地区のダカーク・モスク、ハサン・モスク、バルザ区、カダム区、カーブーン区ではデモが発生したが、治安部隊が強制排除。

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ハサカ県のカーミシュリー市では約5,000人がデモを行った。

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アレッポ市ではサーフール地区では数千人がデモに参加した。

またイドリブ市郊外でもデモが行われた。

SANA, Agusut 26, 2011
SANA, August 26, 2011

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オガレット・ニュース・ネットワークは「自由将校旅団」を名のる集団の声明を放送した。シリア軍を離反した士官からなる同集団は声明で以下のように発表し、ヒムスでシリア国軍士官2人を襲撃したことを明らかにした。

「タッルカラフ、ラスタン、タルビーサ、バーブ・アムル、バーブ・スィバーア、カラム・ザイトゥーン、クサイルでの第41大隊の惨殺と虐殺を踏まえ、将校旅団に属する軍離反者の英雄たちは非常に特別な作戦を実行した…。第41大隊司令官のアドナーン・ザイダーン・ディーブ准将の頭部を銃弾で狙い、危篤状態の末、(昨日)死に追いやった。また同大隊の治安部隊士官で作戦を主に調整してきたバッサーム大佐に銃弾3発を放った。うち1発は肩、1発は足、3発目は脊髄に命中した」(自由将校旅団の資料映像)。

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シリア・イスラーム民主無所属潮流は「御稜威の夜」を記念して声明を出し、反体制運動と体制打倒を改めて呼びかける。

アサド政権の動き

シリア・アラブ・テレビは24日のイフタールでアサド大統領がウラマーらの前で行った演説の一部を放映。

演説でアサド大統領は、「シリアは西欧の計略に立ちはだかる難所で、もしシリアが瓦解すれば、この難所が乗り越えられることになる」、「西欧は我々のことが嫌いであるとしても、我々が国民主義とイスラームを堅持するたびに我々を尊重せざるを得なくなっている…。彼らはイスラームのことを思想として好きではないが、その原則を誇示する者を尊重する」と述べた。

また現下の危機に関して「原因は高官であれ一般国民であれ道徳的なものであり…、解決策は道徳を確立することになる」との見解を示し、一部のウラマーがモスクの演壇を利用していることが「この危機を悪化させた」と指摘した。

シリア中央銀行のアディーブ・マイヤーラ総裁は西側諸国の制裁強化に関して、「我々は制裁と事件(反体制運動)によってさらなる困難に直面するだろう。我々は金融引き締め(財布のひもを引き締め)る必要がある」と述べた。

SANAによると、内務省は、風刺画家のアリー・ファルザート氏襲撃事件(25日、ダマスカス)の調査を開始した。ファルザート氏は治安当局に誘拐・暴行されたとも疑われている。

『クッルナー・シュラカー』(26日付)が労働者総連合消息筋の話として伝えたところによると、同連合は、シャッビーハや治安部隊によるデモ参加者の殺害を支援するなど、抗議行動弾圧において大きな役割を担っている。

 

諸外国の動き

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ロシアは国連安保理で西欧諸国による決議案をかわすべく、シリアに関する新たな決議案を突如提案した。

西側の決議案は、8月3日の安保理議長声明に盛り込まれていた文言に依拠し、「民間人に対するシリア当局の暴力行使」を非難し、アサド政権高官らへの制裁を定めているのに対し、ロシアの案は、アサド大統領の「改革の早期実施」を求める一方、反体制勢力に対しては街頭行動を停止し、政権との対話に応じるよう求めている。

国連の人権調査チームは「民間人の保護が急務」と発表した。26日、ファルハーン・ハック副報道官が発表した。「チームは全国レベルでの人権状況の危機がないもの、暴力の過剰な行使から民間人を保護することが急務だと結論づけた」。

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ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長は南部のマールーン・ラース市で行われた世界エルサレムの日の祝典でテレビ演説を行った。

演説のなかでナスルッラー書記長はシリア政府の対イスラエル闘争における役割を賞賛したうえで、以下のように述べ、アサド政権への支持を改めて表明した。

「我々みな、そしてアラブ諸国民は改革や発展に基づく強いシリアを欲している。つまり、シリア、その国民、その地、その局民統合に対して友情や熱意を表明する者すべては、シリア情勢収束に向けた努力を行わねばならず、事態を対話と平和的問題対処へと促さねばならない。それ以外のいかなる方向、行為も、シリア、パレスチナ、そして地域全体にとって危険なものである。NATOの軍事介入を要求する者たちが、シリアの未来とその破壊のいずれを望んでいるのか?こうした連中は、シリアをレバノンのような宗派的に分断され、対立し合う国家にしようとしている…。アサド大統領は米国がシリアに改革ではなく譲歩を望んでいると述べた。我々はみなシリアが譲歩しないよう支えて、その力と立場を維持し、改革を実現させねばならない」(演説の映像)。

http://www.youtube.com/watch?v=9s_KOXNFhFs

フェイスブックの「レバノンの恥部リスト」ページは、アサド政権を支持するレバノンの俳優や芸術家のリストを作成し公開。

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カタールのハマド・ブン・ハリーファ・アール・サーニー首長は、イランのマフムード・アフマディーネジャード大統領との会談後に声明を出し、シリアでの治安的解決が「失敗した」と述べ、シリア政府に「変化の要請を結実させる」よう呼びかけた。

また「シリア国民は自らが代償を払った今となっては要求をとりさげることはなかろう…。シリア国民は変化、公正、自由を求め、真の市民的大衆インティファーダを行うため街頭に出ている」と述べ、反体制運動への共感の意を示した。

AFP, August 26, 2011, August 27, 2011、Akhbar al-Sharq, August 26, 2011,
August 28, 2011、al-Hayat, August 27, 2011、Kull-na Shuraka’, August 26, 2011, August 27, 2011、Reuters,
August 26, 2011、SANA, August 25, 2011, August 26, 2011、August 27, 2011などをもとに作成。

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タルトゥース市で開催されたアサド大統領を支持する大規模集会に数十万人が参加、PLO書記長はシリア軍によるラタキア市への攻撃を「厳しく非難」(2011年8月15日)

複数の活動家、目撃者によると、ラタキア市など各地での軍・治安部隊による治安回復作戦は15日も継続され、死傷者を出した。一方、バッシャール・アサド政権内では、アレッポ県知事、放送・テレビ総合委員会(情報省所轄)委員長が交代した。

反体制デモ

シリア革命調整連合、シリア人権監視団によると、ラタキア市ラムル地区、タムラ地区サイダーウィー地区、タービヤート地区などの住民が陸海からの攻撃を逃れて避難。シリア人権監視団によると、治安部隊のバリゲードに近づいた避難する市民が発砲を受け、6人が負傷。またシリア革命調整連合によると、ラタキア市サカントゥーリー地区から避難しようとした家族が乗ったバスが銃撃され、女性1人が殺害された。複数の活動家によると、15日のラタキア市での死者は少なくとも6人に達した。

シリア人権監視団によると、ラタキア市マスバフ・シャアブ(人民海水浴場)地区、ラムル地区などを戦車が砲撃。

シリア人権監視団によると、ラタキアのから多くの住民が避難。

シリア人権監視団によると、スライバ地区で早朝から激しい銃声。

al-Hayat, August 16, 2011
al-Hayat, August 16, 2011


シリア人権監視団監視団によると、スライバ地区、スライバ開発計画地区、クーワトリー地区、アシュラフィーヤ地区、タービヤート地区、ハナーヌー通り、カルア地区、ウワイナ地区でゼネスト。軍はオガレット広場を閉鎖、ラタキア駅があるダウワール・ヤマンを制圧。検問を行い、300人を逮捕。

UNRWAは、パレスチナ人難民約5000人がラタキア市ラムル地区の難民キャンプからシリア軍・治安部隊の攻撃を避けるために避難し、ダマスカスに受け入れを求めていると発表した。ラムル地区のキャンプには約10,000人のパレスチナ人が難民として暮らしている。

しかしSANAは、ラタキア市ラムル地区への海軍の艦砲射撃を否定、武装テロ集団が海上からも攻撃を加えていると反論、市内の武装テロ集団の攻撃と合わせて、市民2人が死亡、4人が負傷した、と報じた。

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一方、ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市郊外のタッルドゥー市で狙撃兵によって男性1人が射殺。シリア革命調整連合によると、8人が殺害された。同村を含むハウラ地区では早朝から軍・治安部隊が戦車を投入していた。

またダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、12日(金曜日)のダイル・ザウル市での反体制デモで狙撃兵に撃たれ重傷を負っていた男性が死亡した。またジャウラ地区、サーリヒーヤ地区、ハトワ地区、フサイニーヤ地区で軍・治安部隊が大規模な逮捕・捜索を行い、27人が逮捕された。

イドリブ県では、マアッラト・ニウマーン市東部に軍・治安部隊の兵員輸送車輌23台、四輪駆動車10台が進入し、8人が逮捕された。

ダマスカス県では、カダム区、アサーリー地区に治安部隊が突入、「指名手配中」の7人を逮捕した。

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シリア人権監視団は声明を出し、3月半ば以来、当局に身柄を拘束され、拷問で死亡した市民の数が71人にのぼると発表した。同声明によると、これまで数万人が逮捕されている、という。

地元調整諸委員会のヒムス委員会のウマル・イドリビー報道官は、治安当局が市内各所での無差別発砲に飽きたらず、身柄拘束した市民を治安機関の拘置所で拷問し、8月だけですでに10人が獄中死したと発表した。

シリア革命支援国民連立のハイサム・ラフマ総合調整役は声明を出し、アラブ諸国に民間人保護のために介入するよう呼びかけた。

サラーム・カワーキビーが声明を出し、14日にベルリンで開催された民主的変革諸勢力国民調整委員会在外事務局の会合には出席していなかったとの一部報道を否定した。

アサド政権内の動き

アサド大統領は政令第321号を発令、ムワッファク・イブラーヒーム・ハッルーフ氏をアリー・アフマド・マンスーラ氏の後任としてアレッポ県知事に任命した。ハッルーフ知事はバアス党ダマスカス郊外県支局書記長を勤めていた。

アドナーン・マフムード情報大臣は、サーリフ・アフマド・イブラーヒーム氏をタウフィーク・アフマド氏の後任としてラジオ・テレビ機構会長に任命。

SANA, August 15, 2011
SANA, August 15, 2011

タルトゥース市のコルニーシュでアサド大統領の改革を支持する大規模集会が開催され、数十万人が参加した。

レバノン

サイード・ミールザー検事総長が『サフィール』(15日付)に語ったところによると、ベイルート港のマリーナからバーニヤースへの武器密輸容疑で身柄拘束されていた2人は証拠不十分につき釈放された。

南部県、ナバティーヤ県のアマル運動とヒズブッラーの指導者らが会合を開き、レバノン国内問題の対話を通じた解決を確認するとともに、「変化や改革のスローガンのもとにシリアを標的にしようとする陰謀と闘うバッシャール・アサド政権への支持」を強調。

「無所属有識者」を自称する活動家多数がベイルートのマトハフ地区から首相官邸に向かってシリア国民との連帯を求めるデモ行進を行った。一方、バッシャール・アサド大統領の支持者が3台のバスに分乗して、ベイルートのリヤード・スルフ広場に到着し、アサド政権を支持する示威行動で対抗した。

レバノンに居住するシリア人の使節団(ジャマール・ムフスィン氏代表)がESCWA本部を訪問。潘基文国連事務総長宛親書を提出。この書簡において、外国の干渉拒否、アサド大統領の指導への支持、武装テロ集団による暴力行為への非難の意が強調されていた。

そのほか諸外国の動き

トルコのアフメット・ダウトオール外務大臣は、先週ダマスカスで行われた会談で、トルコがこうした作戦を継続するための「時間的猶予ないしは猶予期間」をシリアの政府に与えていないと強調し、アサド政権に対して「シリアの各都市での軍事行動の即時かつ無条件の停止」を求めていると改めて述べた。

PLOのヤースィル・アブドゥラッブフ書記長は、シリア軍によるラタキア市ラムル地区への攻撃を「厳しく非難」し、砲撃での住民の避難が「人道に対する罪」に相当すると形容した。

ヨルダンのマアルーフ・バヒート首相はシリアのアーディル・サファル首相と電話会談を行い、「暴力の即時停止」を求めた。

スペイン日刊紙『エル・パイス』(15日付)は、スペインのホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相が特別顧問を秘密裏にシリアに派遣し、アサド大統領とその家族をスペインが受け入れることを骨子とする危機打開策を示したと報じた。

ドイツ外務省報道官は、EUの枠組みのもとでの対シリア制裁強化を呼びかけるとともに、国連安保理にシリア情勢の(再)審議を求めた。

『シャルク・アウサト』(16日付)が米エネルギー情報局のデータをもとに、シリアの石油部門への制裁が世界経済に及ぼす影響はほとんどないと試算。シリアは2009年で117,000バレル/日を輸出しているに過ぎない。ガスは輸入している。シリアに制裁を科した場合、1,500,000バレル/日の石油が失われる。これは956,000バレル/日を生産していたリビアと比べた場合微量。

スイス政府は、アリー・ハビーブ前国防大臣らアサド政権高官ら12人を新たに制裁リストに追加し、入国ビザ発給停止、預金凍結などの措置を行うことを決定。

APF, August 15, 2011、Akhbar al-Sharq, August 15, 2011, August 16, 2011、al-Hayat, August 16, 2011, August 17, 2011、Kull-na Shuraka’, August 15,
2011, August 17, 2011、Naharnet.com, August 15, 2011、NNA, August 15, 2011、El País, August 15, 2011、Reuters, August 15, 2011、al-Safir, August 15, 2011、SANA, August 16, 2011、al-Sharq al-Awsat, August 16, 2011などをもとに作成。

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反体制活動家が「偉大なる我らがシリア国民への共同声明」を発表、シリア革命調整連合や自由シリア軍を含む数十の団体が署名(2011年8月12日)

フェイスブックの「シリア革命2011」で「我々はアッラー以外にはひれ伏さない」金曜日のデモが呼びかけられるなか、各地で午後の礼拝後に反体制デモが発生した。軍・治安部隊は各県にある数百のモスクを包囲していたにもかかわらず、複数の活動家によると、ダマスカス郊外県、ハマー県、ヒムス県、ダイル・ザウル県、ダルアー県などで数万人が街頭に出た。しかし、軍・治安部隊は、催涙ガス、実弾などで対抗し、少なくとも20人を殺害した。また数十人が負傷、多数が逮捕された。

一方、米国は世界各国、とりわけ中国、ロシア、インドを名指しして、シリアの石油、投資部門への制裁、武器売却の停止を呼びかけたが、トルコがバッシャール・アサド政権のもとでの政治改革を依然として支持するなか、その対シリア圧力は限界が見え始めている。

反体制デモ

シリア人権監視団によると、ヒムス市では、グータ地区、クスール地区、ハーリディーヤ地区、バイヤーダ地区、インシャーアート地区、バーブ・スィバーア地区、バーブ・ドゥライブ地区などでデモ。ハーリディーヤ地区では約3000人、インシャーアート地区では約10,000人が参加したが、アダウィーヤ・モスク近くで1人が殺害された。またヒムス市郊外のクサイル市では12人が殺害された、という。

アレッポ・シリア革命調整委員会の活動家によると、アレッポ市内の約40カ所、郊外約20カ所で反体制デモが発生したが、メディアはほとんど報道しなかったと抗議。同活動家によると、規模は小さかったもの、サーフール地区、サイフ・ダウラ地区、マルジャ(バーブ・ナイラブ)地区、ジャミーリーヤ地区、アシュラフィーヤ地区、シャイフ・マクスード地区、マディーナ・ジャーミイーヤ地区などでデモが行われ、治安部隊の発砲により4人が殺害された。また同活動家は、アレッポ市での革命を支持する諸部族のリストを発表。このリストには、バッカーラ・フサイニーヤ族、ダマーリハ・フサイニーヤ族など17の部族の名前が列記されている。

シャーム・ニュースによると、イドリブ県アリーハー市が軍・治安部隊に包囲された。またハーン・シャイフーン市で女性1人が殺害された。

ハマー市では、サハーバ・モスク、ウスマーン・ブン・アッファーン・モスク、ハムザ・モスクでデモが発生し、軍・治安部隊が市民に発砲、同市の活動家がAFPに語ったところによると2人が死亡。

ダイル・ザウル市でも、住民の一人によると、「ほとんどすべてのモスクから街頭へ」出て反体制デモを行った。これに対して、軍・治安部隊が発砲し、1人が殺害された。

シリア人権監視団によると、ダマスカス郊外県のドゥーマー市でデモが発生し、5人が殺害された。サクバー市のデモでも2人が殺害された。またシリア革命調整連合によると、ダーライヤー市でもデモが発生、シャッビーハがラフマーン・モスクを包囲し、犠牲者葬儀を妨害した。このほか、ザバダーニー市などでも午後の礼拝後にデモが発生した。シャーム・ニュースによると、ムウダミーヤト・シャーム市は夜の礼拝後のデモに備えて軍・治安部隊の包囲が続いた。

複数の活動家、住民によると、ラタキア市ラムル地区でもデモが発生し、約8000人が参加した。しかしラタキア市は、スライバ地区、スライバ開発計画地区、シャイフ・ダーヒル地区、アンターキヤー通り地区に軍・治安部隊が多数展開するなかでデモは困難となっており、バーラール・モスクなどでは治安部隊が礼拝者を包囲し、逮捕した。

バーニヤース市でも複数のモスクが包囲された。

シリア革命調整連合によると、ハサカ市ではサーリヒーヤ地区に軍・治安部隊が駐留。武器・弾薬が搬入される一方、シャッビーハ数百人も集結し、攻撃の恐怖が高まっている。

ダルアー県住民によると、ハウラーン地方のタイバ町、ジーザ町、ムサイフラ町などで数十人が逮捕。これらの町では連日反体制デモが行われていた。

『シャルク・アウサト』(12日付)によると、アサド政権は、3月半ばに反体制デモが始まって以来、レバノンやイランに資金を避難させ、その総額は230億ドルにおよぶ。アンタリア・シリア変革大会審議会のムハンマド・カルクーティー氏が明かす。西側諸国の制裁をかわすのがその狙い。

反体制活動家が12日、「偉大なる我らがシリア国民への共同声明(シリアのすべての通り、広場、施設からの「アサド」の名の排斥に関して)」を発表。アサド図書館(ダマスカス県内の国立図書館)、アサド湖(ラッカ県)などアサドを冠した地名、施設名の「国民~」への改称、ハーフィズ・アサド前大統領、バッシャール・アサド大統領の銅像の撤廃を求めた。

声明に署名した組織は以下の通り。シリア革命調整連合、地元調整諸委員会、シリア・クルド青年調整連合、自由シリア軍、自由将校運動、シリア変革大会、シリアのための国民行動団、ダマスカスおよび同郊外平和的変革自由主義者連合、シリア革命調整国民連立、アレッポ・シリア革命調整連合、ダルアー・シリア革命指導評議会、ハマー市調整委員会、ハマー自由主義者ブロック、ヒムス市自由主義者連合、ヒムス市諸地区連合、ヒムス革命主義者連合、シリア変革青年連合、シリア革命諸委員会連立、ダイル・ザウル調整委員会、ラタキア調整委員会、バーニヤース革命指導評議会、ジスル・シュグール・シリア革命調整連合、タルトゥース・反アサド・シリア革命、ジャブラ調整委員会、ムウダミーヤト・シャーム調整委員会、イドリブ市調整委員会、ザバダーニー調整委員会、マダーヤー調整委員会、カファル・ナブル調整委員会、マアッラト・ニウマーン調整委員会、ザーウィヤ山調整委員会、マアッラト・ハルマ調整委員会、サルミーン調整委員会、ビンニシュ調整委員会、タルビーサ調整委員会、ラスタン調整委員会、クサイル調整委員会、フーラ調整委員会、タッルカラフ調整委員会、ルクンッディーン調整委員会、サクバー調整委員会、サラーキブ調整委員会、サラミーヤ調整委員会、ハサカ調整委員会、カーラ調整委員会、カナーキル調整委員会、「反バッシャール・アサド・シリア革命」ページ、シリア・ウラマー連盟、シャーム文学者連盟、シリア人権委員会、アラブ・シャルク文明戦略研究センター、シリアのための青年、2月5日平和的変革運動、シリア・ムスタクバル青年、シリア自由女性、シリア・ノウルーズ革命、「クルド青年革命」ページ、シリア自由青年連合、「君らとともに」チーム、シャーム・ニュース・ネットワーク、シリア自由ジャーナリズム・ネットワーク、フラッシュ・ニュース・ネットワーク、オガレット・ニュース・ネットワーク、ダイル・ザウル・ニュース・ネットワーク、「我らはみなハウラーンの殉教者」ネットワーク、アレッポ・ニュース・ネットワーク、「夢のシリア」ネットワーク、イドリブ・ニュース・ネットワーク、「自由シリア」ネットワーク、シリア覚醒変革チーム、「我々はみな殉教者ハムザ・アリー・ハティーブ少年」、「ハマー・シリア革命」ぺージ、「我々はみなシリア」ページ、自由の「細菌」、シリア市民社会青年、シリアの恥・反革命シリア人リスト。

在米反体制有識者のラドワーン・ズィヤーダ氏が中東研究所で講演。ビジネスマンのイブラーヒーム・スライマーン氏(2007年にアサド大統領がイスラエルに派遣)らが出席。アリー・ハビーブ国防大臣の退任、ムハンマド・サルマーン元情報大臣による国民民主イニシアチブに関して、アラウィー派内の不協和音を示していると指摘。

SANAは、ダマスカス郊外県ドゥーマー市、アレッポのサーフール地区、イドリブ県アリーハー市で武装テロ集団の狙撃手が無差別発砲し、治安維持要員3人が死亡したと報じた。また反体制デモに関しては、ヒムス市郊外、イドリブ市郊外、ダマスカス郊外県、ラタキア市ラムル地区で午後の礼拝後にデモが発生したと報じた。

アサド政権内の動き

衛星テレビ局のジャズィーラやフッラで特派員を務めたアクラム・フザーム氏が政党法のもと、初の政党発足を準備中。党名は民主公正党。

レバノン

ベカーア県では、ジュッブ・ジャニーン村、カーミド・ルーズ村でシリア国民との連帯を求めるデモが発生。

サイダー市南部、イクリーフ・ハルーブ、カトルマーヤーで金曜日の礼拝後にシリア国民との連帯を求めるデモ。レバノン・イスラーム集団の支持者が組織。

各国の動き

ヒラリー・クリントン米国務長官は、記者団に対して「シリアの石油・ガスを依然として購入している国々、アサドに武器を供与し続けている国々に…歴史の正しい方向に導くような決定を下すことを我々は呼びかける」と述べた。ノルウェー外相との共同記者会見で、「アサドは国を指導する正統性を失った」と述べたが、退任を要求はしなかった。

なおこれに先だって、11日、国務長官はCBSとのインタビューで、中国とインドにエネルギー部門での制裁を科すよう求めるとともに、ロシアには武器供与を停止するよう求めていた。また反体制勢力各派に対しては民主主義への移行のプロセスを円滑に行うための統一的な行動計画を作成するよう呼びかけた。

一方、ダマスカスに戻ったロバート・フォード米大使は、ジャーナリストがデモを取材できるようワリード・ムアッリム外務大臣に求める。

キャサリン・アシュトン欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表報道官は、シリア情勢をめぐる対処法に関して、米国とEUの間に足並みの乱れが生じていることを否定し、追加制裁を検討していると述べる。

エジプト作家連合が、「怒りと懸念」を表明。エジプト政府に「1月25に革命をシリア、リビア、イエメンでの革命をもって」完結するべく実質的な役割を」果たすよう求める。

チュニジア外務省がアサド政権に対して「暴力の即時停止」、「真剣な国民対話」を求める。

オランダ外務省が対シリア制裁の強化を主張。

米ラジオSAWAによると、リビアのベンガジ当局は早朝、ムアンマル・カッザーフィー政権に武器を提供しようとしていたシリア船籍を拿捕、武器を押収。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは声明を出し、EUに対してシリアの石油・ガス企業の資産凍結を呼びかけた。

AFP, August 12, 2011、Akhbar al-Sharq, August 12, 2011, August 13, 2011,
August 16, 2011、al-Hayat, August 13, 2011、Kull-na Shuraka’, August 12, 2011、Naharnet, August
12, 2011、Radio Sawa, August 13, 2011、Reuters, August 12, 2011、SANA, August
13, 2011、Sham News Network, August 12, 2011、al-Sharq al-Awsat, August 12, 2011、UPI, August 13, 2011などをもとに作成。

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