ラッカ県の「95%を制圧した」イスラーム国が同県で活動するヌスラ戦線のアミールを処刑したと発表、シリア連絡グループ外相会議ではシリア革命反体制勢力国民連立への支援やジュネーブ2会議の期限設定などが合意(2014年1月12日)

反体制勢力の動き

シリア国内で活動する反体制政治連合、民主的変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表は、ジャディーダ・チャンネル(1月12日付)に「激しい暴力がシリア社会を引き裂こうとしている。シリアでの暴力停止を求めてきた…委員会の見解が正しかったと皆が再び言うようになっている」と述べた。

Kull-na Shuraka', January 12, 2014
Kull-na Shuraka’, January 12, 2014

アブドゥルアズィーム代表はまた「シリアの現政権こそが、その抑圧的な治安対策を通じて、自由シリア軍や武装集団を作り出してしまった」と批判し、「我々は自由シリア軍の自衛行為に限って支持してきた。彼らによる都市の占領を支持してはいない」と強調した。

一方、西側諸国の対応については「シリアの反体制勢力の問題に干渉し、シリア革命反体制勢力国民連立に対して、ジュネーブ2会議をめぐる統一ヴィジョンに関して我々と合意しないよう呼びかけている」と主張、「我々はジュネーブ2会議が利害対立の場になることを望んでいない。我々は出席する人々とともにジュネーブ2会議の開催を支持している」と述べた。

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イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)ラッカ州(ウィラーヤト・ラッカ)は声明を出し、「いわゆるムジャーヒディーン軍を構成する…逸脱した武装集団」の活動を「イスラーム国戦闘員と戦い、カリフ制建設への意志を根絶しようとする」行為と批判した。

またイスラーム戦線のシャーム自由人イスラーム運動やシャームの民のヌスラ戦線に対しては「アレッポ、ハマーなどで「覚醒」(評議会)が台頭していると非難する一方、「バラカ州」(ハサカ県)での民主統一党人民防衛隊と、(イラクの)アンバール、ニナワでの「サファヴィーのラーフィドゥーン(ヌーリー・マーリキー政権)の民兵の攻撃」を批判した。

そのうえでこれらすべての勢力を「鉄拳で打ち砕き、イスラーム教徒の血の報いを与え、彼らに戦線を布告することを決意している」と表明した。

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シリア革命家戦線のジャマール・マアルーフ司令官は『シャルク・アウサト』(1月12日付)に対し「戦線は「国民自由軍」結成の第一の中核となるだろう」と述べ、(自由シリア軍に代わる)新たな反体制武装集団の結成をめざし、イスラーム戦線などと協議を行っていることを明らかにした。

マアルーフ司令官によると、「国民自由軍」はアサド政権打倒をめざす一方で、過激なイスラーム主義武装集団(イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)との対抗するのだという。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)による「すべての違法・侵害行為」を非難、「自由シリア軍の各部隊に、市民革命勢力、地元評議会と協力・調整」を行うよう呼びかけた。

この「自由シリア軍」がどの武装集団を想定しているのかは不明。

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シリア・ムスリム同胞団は、シリア革命反体制勢力国民連立内の対立・不和を緩和するため、同胞団の幹部5人からなる委員会の設置を決定した。

クッルナー・シュラカー(1月12日付)が伝えた。

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シリア人権監視団は、1月3日から11日までのアレッポ県、イドリブ県、ラッカ県、ハマー県、ダイル・ザウル県、ヒムス県でのイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とそれ以外の反体制武装集団との交戦で、697人が死亡したと発表した。

うち351人が反体制武装集団戦闘員(うち53人が処刑)、246人がダーイシュ戦闘員(うち56人)だという。

また同監視団によると、ダーイシュは、アレッポ県、ラッカ県、イドリブ県、ヒムス県で過去1週間で16件の自爆攻撃を行い、戦闘員数十人を殺害しているという。

複数の活動家によると、この数は過去8ヶ月にダーイシュがシリア軍に対して行った自爆攻撃(13回)を上回っているという。

シリア政府の動き

アサド大統領はダマスカス県ムハージリーン区にあるハマド・モスクで預言者聖誕祭を祝して、午後の集団礼拝に参加した。

SANA, January 12, 2014
SANA, January 12, 2014

礼拝には、ムハンマド・アブドゥッサッタール・サイイド宗教関係大臣、アフマド・バドルッディーン・ハッスーン共和国フムティー、ワーイル・ハルキー首相らが同席した。

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シリア訪問中の国際赤十字委員会のピーター・マウラー総裁は、ダマスカスでワーイル・ハルキー首相、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣、サアド・ナーイフ保健大臣、ムハンマド・シャッアール内務大臣と個別に会談した。

SANA(1月12日付)によると、ムアッリム外務在外居住者大臣は会談で、「武装テロ集団の犯罪や人道支援への妨害にかかわらず、支援を必要とするすべてのシリア人に人道支援を継続するため、国際赤十字委員会と協力を続ける」と改めて強調した。

マウラー総裁はこれに対し、国際赤十字委員会の活動支援に歓迎の意を示すとともに、さらなる協力調整を求めた。

国内の暴力

ラッカ県では、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)ラッカ州(ウィラーヤト・ラッカ)がツイッターを通じて声明を出し、同県で活動するシャームの民のヌスラ戦線のアミール、アブー・サアド・ハドラミー氏を処刑したと発表した。

またロイター通信(1月12日付)は、複数の活動家の話として、ダーイシュが県内のほとんどの拠点を奪還し、イスラーム戦線やシャームの民のヌスラ戦線の残党との戦闘を続けていると報じた。

アブー・ハーリド・ワリードを名乗る活動家によると、イスラーム戦線シャーム自由人イスラーム運動の戦闘員の多くが、ラッカ県の「95%を制圧した」ダーイシュとの戦闘を行わないことを選択したという。

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アレッポ県では、複数の活動家によると、軍が県北部のイスラーム戦線タウヒード旅団拠点を爆撃した。

同活動家らによると、軍はその一方で、ウマル・シーシャーニー氏が率いる同県のイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の拠点への爆撃を避けているのだという。

ハラブ・ニュース(1月12日付)によると、アレッポ氏北部のブライジュ交差点近くにあるダーイシュの拠点で、「自由シリア軍」の戦闘員の遺体約50体が遺棄されている集団墓地が発見された。

一方、シリア人権監視団によると、軍はナッカーリーン村を制圧、反体制武装集団が奪還を試み戦闘を続けた。

また軍はバーブ市、フライターン市を爆撃した。

他方、SANA(1月12日付)によると、サフィーラ市北東部に位置するスバイヒーヤ村を軍が制圧、治安を回復した。

またザルズール村、アレッポ中央刑務所周辺、タアーナ村、バヤーヌーン町、マルジャ村、サーリヒーン村、ラトヤーン村、アナダーン市、マアーッラト・アルティーク村、バービース村、シャイフ・ナッジャール市(工業団地地区)、ラスム・アッブード村周辺、アレッポ市イザーア地区、カラム・トゥラーブ地区などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

シリア人権監視団によると、バーブ市とターディフ市を軍が爆撃し、反体制武装集団の戦闘員21人が死亡した。

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イドリブ県では、複数の活動家によると、軍がサラーキブ市のイスラーム戦線シャーム自由人イスラーム運動拠点を爆撃した。

アレッポ県同様、軍はイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の拠点の爆撃は行っていないのだという。

またシャーム自由人イスラーム運動の戦闘員によると、ダーイシュは自爆攻撃によって、戦闘員だけでなく、一般市民をも標的にしているという。

一方、SANA(1月12日付)によると、ザーウィヤ山周辺、サルジャ村、タッル・マルディーフ村、サラーキブ市、マアッルディブサ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

またヒムス県関係当局は、「捜査の結果殺人を犯していないことが判明し、今後、シリアの治安に抵触するいかなる行為も行わないと誓約した25人」の身柄を釈放した。

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ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(1月12日付)によると、カーミシュリー市南部に迫撃砲弾5発が着弾、リハーブ・ニュース(1月12日付)によると、市民3人が負傷した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(1月12日付)によると、ダーライヤー市、マダーヤー町、ヤブルード市、アドラー市(旧市街)、アーリヤ農場で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

またドゥーマー市のガソリン・スタンド近くの街道で反体制武装集団が市民を狙撃し、1人が負傷した。

このほか、マダーヤー町では、反体制活動家約350人が、国民対話委員会の説得に応じ、関係当局に投降した。

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ダマスカス県では、SANA(1月12日付)によると、カーブーン区、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またバグダード通りの赤十字病院に、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾した。

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ヒムス県では、SANA(1月12日付)によると、アブー・アラーヤー村、ヒムス市バーブ・フード地区、ワアル地区、タルビーサ市、南マシュジャル村、スルターニーヤ村、ハドムルー村、サラーム・ガルビー村、ハッターブ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またヒムス市グータ地区、カラム・シャーミー地区、ザフラー地区に、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、市民20人が死亡した。

このほか、ヒムス県関係当局は、「捜査の結果殺人を犯していないことが判明し、今後、シリアの治安に抵触するいかなる行為も行わないと誓約した25人」の身柄を釈放した。

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ダルアー県では、SANA(1月12日付)によると、シャイフ・マスキーン市、ダルアー市各所で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

イラクの動き

イラク・クルディスタン地域のマスウード・バールザーニー大統領は、エルビル市駐在の各国領事らと会談、ジュネーブ2会議に関して、シリアのクルド人は合同使節団を派遣し、参加するだろう、と述べた。

リハーブ・ニュース(1月12日付)が伝えた。

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イラキー・ニュース(1月12日付)によると、アンバール県の治安部隊と地元警察部隊は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が占拠していたラマーディー市第60通り地区を奪還、地元警察と部族民兵が自爆ベルトを装着した自爆犯2人を殺害する一方、同市東部で、警察官4人が道路に仕掛けられた爆弾の爆発に巻き込まれ死亡した。

諸外国の動き

シリア連絡グループ(ロンドン11)外相会議がパリで開催され、『ハヤート』(1月13日付)によると、参加各国は、シリア革命反体制勢力国民連立を支援することを合意する一方、ジュネーブ2会議に関して期限を設定して、和平プロセスを進めるべきだとの点で一致した。

al-Hayat, January 13, 2014
al-Hayat, January 13, 2014

フランスのローラン・ファビウス外務大臣は会議後、「シリアでは、一方に政権、もう一方にテロがあるのではない。政権こそがテロを行っているのだ。テロを終わらせるには、政権を終わらせねばならない」と主張した。

イギリスのウィリアム・ヘイグ外務大臣は「我々が話しているこの間も村々、そして住民が爆撃を受けている。アサド政権と席をともにし交渉することは困難だ…。しかし、それが危機に対処する唯一の手段だ」と述べた。

ドイツのフランク・ヴァルター・シュタインマイアー外務大臣は「我々は反体制勢力に大会への不参加は対話の頓挫、ないしは大会中止につながると説明した。我々が彼らを説得できたことを希望する」と述べた。

一方、ジョン・ケリー米国務長官は声明を出し、「私は個人的にシリアの反体制勢力がジュネーブに来ると信用している」と発表した。

他方、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長は「会議での最大の成果は、シリアの未来がアサドとその家族のためのものではない点で皆が合意したことだ」と述べた。

会議で採択された共同声明(全14項目)において、各国はジュネーブ2会議を通じて、ジュネーブ合意を実施し、「真の政治的解決を通じて権威主義的な体制に歯止めをかける」ことをめざすと表明した。

また「ヒズブッラーなどによる政権支援」、「樽爆弾」による爆撃を非難、ロシアとイランに対して、アサド政権に民間人への攻撃を停止し、逮捕者を釈放するよう圧力をかけることを求めた。

一方、国内でのアル=カーイダの台頭に関しては「ヒズブッラーやイランに支援された部隊であれ、過激派集団の戦闘員であれ、シリアにおける外国人戦闘員の存在を非難する」と強調した。

AFP(1月12日付)などが伝えた。

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AFP(1月12日付)は、トルコ高官の話として、アンカラ国際空港で当局が11日に離陸予定だったパキスタンの貨物機の臨検を行うため、離陸を一時禁じたと報じた。

同機は中国のNGOからシリア赤新月社に送られる予定の毛布などが積まれており、武器弾薬などは発見されず、12日に離陸を許可されたという。

AFP, January 12, 2014、AP, January 12, 2014、Champress, January 12, 2014、Halabnews.com, January 12, 2014、al-Hayat, January 13, 2014, January 14, 2014、Iraqinews.com, January 12, 2014、Kull-na Shuraka’, January 12, 2014、Naharnet, January 12, 2014、NNA, January 12, 2014、Qanat al-Jadida, January 12, 2014、Reuters, January 12, 2014、Rihab News, January 12, 2014、SANA, January 12, 2014、al-Sharq al-Awsat, January 12, 2014、UPI, January 12, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム戦線が民主統一党を「アサド政権の手先」としつつこれに対する戦争の始動を宣言するなか、イドリブ県、ラッカ県などではイスラーム国が反体制武装諸組織と衝突を続ける(2014年1月11日)

反体制勢力の動き

イスラーム戦線の政治委員会は、シリアのクルド人に宛てて声明を出し、アサド政権を支持して戦闘に参加しないよう呼びかけるとともに、民主統一党をアサド政権の手先と批判、「政権を支える党部隊(民主統一党)に対する戦争」を行うと宣言した。

Kull-na Shuraka', January 11, 2014
Kull-na Shuraka’, January 11, 2014

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スワイダー県軍事評議会に属すスルターン・バーシャー・アトラシュ大隊は声明を出し、自由シリア軍参謀委員会からの援助不足、「サラフィー主義者の陰謀」を理由に、武装闘争を停止すると発表した。

スルターン・バーシャー・アトラシュ大隊は2011年12月7日に「シリア国民の防衛と救済」を目的に結成され、ダルアー県、スワイダー県などで活動してきた。

結成時の司令官はハルドゥーン・ザインッディーン中尉で、同中尉戦死後は、弟のファドル・ザイン・ディーン中尉が司令官を務め、スワイダー軍事評議会の傘下で活動してきた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長はシリアの友連絡グループ(ロンドン11)外相会議に出席するためパリを訪問した。

会議に先立って、ジャルバー議長は、サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣、トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣、UAEのシャイフ・アブドゥッラー・ビン・ザーイド外務大臣、カタールのハーリド・アティーヤ外務大臣、ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣、エジプトのナビール・ファフミー外務大臣、フランスのローラン・ファビウス外務大臣と相次いで会談し、ジュネーブ2会議への対応などについて協議した。

このうちファビウス外務大臣は、ジャルバー議長との会談で、ジュネーブ2会議に関して、権力移譲プロセスにおけるアサド大統領の役割を認めないとの姿勢を確認したという。

クッルナー・シュラカー(1月11日付)が伝えた。

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自由シリア軍参謀委員会のサリーム・イドリース参謀長は『ハヤート』(1月12日付)に、ジュネーブ2会議の参加の是非に関して「シリア国民反体制勢力国民連立の同胞にとって周知の条件のもと…犯罪者バッシャールが去るという枠組みのなかで…連立が参加することを望んでいる」と述べた。

またイスラーム戦線について「その構成組織のほとんどは参謀委員会の枠内にいたが、戦線結成発表直前に、参謀委員会から身を引いた。しかし彼らは、我々が彼らと確固たる協力関係にあることを知っている。前線においてイスラーム戦線と完全なかたちで調整を行っている。我々に出来ることは…兵站支援を行うことだ…。イスラーム戦線だけでなく、ムジャーヒディーン軍など、国内で活動するそれ以外の勢力に対してもだ。彼らは基本的には自由シリア軍だ。彼らは参謀委員会ともに常に活動している」と述べた。

そのうえで「自由シリア軍は今、イドリブ郊外、アレッポ市および郊外、ラッカ、ダイル・ザウル、ハサカでイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と戦っている。ダーイシュからアレッポは完全に解放され、イドリブの一部も解放された。この戦いが早急に終わり、反体制軍事活動に再び集中できることを望んでいる」と述べた。

一方、アフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長などの再選後に参謀委員会代表がシリア革命反体制勢力国民連立から離反したことに関して「連立との会合で、我々は軍人であり、現在も体制打倒後もいかなる地位も欲していないと我々は言ってきた。また私は、我々が包括的な政治組織を承認すると述べてきた。しかし残念なことに、そのためには、さらなるケアが必要で、彼ら自身が互いにどのように協力し合うかが指導される必要がある」と述べた。

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ムハンマド・リヤード・ヒジャーブ元首相はシリア公務員国民自由連合に宛てたメッセージで、シリア革命反体制勢力国民連立脱会について「連立内の活動の地平を支配する曖昧な状況」が理由だったと説明した。

ヒジャーブ元首相は1月4日に連立の代表メンバーとして加入、その2日後の6日の議長選挙で落選した直後にムスタファー・サッバーグ前事務局長らとともに連立脱会を宣言していた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ前議長はフェイスブック(1月11日付)で、シリアの危機の政治的解決のため、反体制勢力にジュネーブ2会議に出席するよう呼びかけた。

シリア政府の動き

SANA(1月11日付)は、ハマー県の関係当局が、「最近の事件に関与したが、捜査の結果殺人を犯していないことが判明し、今後、シリアの治安に抵触するいかなる行為も行わないと誓約した61人」の身柄を釈放したと報じた。

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シリアのバッシャール・ジャアファリー国連代表はマヤーディーン・チャンネル(1月11日付)に「人々にテロを煽動し、ジハードを訴えてシリアにテロリストを送り込むことに骨の髄まで関与している」と非難した。

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シリア民族社会党インティファーダ派党首のアリー・ハイダル国民和解問題担当大臣は、ラタキア市で「第1回シリア政界対話会合」を開催し、シリアの現下の危機を脱却するための方途について議論した。

SANA, January 11, 2014
SANA, January 11, 2014

同会合には、シリア国内で活動する以下の11の政党・政治組織の代表が参加した。

進歩国民戦線加盟政党(連立与党):バアス党、シリア共産党ニムル派、アラブ社会主義連合党、シリア国民誓約党、統一社会民主主義党、アラブ民主連合党
変革解放人民戦線加盟政党(連立与党):シリア民族社会党(インティファーダ派)、人民意思党
野党:民主前衛党、団結党、国民民主党

SANA(1月11日付)が伝えた。

国内の暴力

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム(ダーイシュ)の拠点の一つであるサラーキブ市周辺で、ダーイシュとイスラーム戦線などからなる反体制武装集団が交戦した。

反体制武装集団はダーイシュの拠点制圧をめざしているという。

またサラーキブ市内では、反体制武装集団の車輌が地雷に触れ、戦闘員5人が死亡した。

しかし、これに関してAFP(1月11日付)は活動家の話として、ダーイシュの戦闘員がシャーム・イスラーム自由人運動のピックアップ・トラックに爆弾を仕掛け自爆したと報じた。

一方、SANA(1月11日付)によると、サラーキブ市、マアッラト・ヌウマーン市、バスィーダー村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

これに関して、シリア革命総合委員会は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がサラーキブ市内のイスラーム戦線本部に対して自爆攻撃を行ったと主張した。

また同委員会は、サラーキブ市でのダーイシュとイスラーム戦線などの交戦に関して、シリア軍がイスラーム戦線司令官の住居を砲撃するなどして側面支援している、と主張した。

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ラッカ県では、Syria-news.com(1月11日付)がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が、イスラーム戦線、ファールーク大隊、使徒末裔旅団、シャーム・イスラーム自由人運動との数日にわたる戦闘の末にタッル・アブヤド市を(再)制圧し、対トルコ国境の通行所で緊張が増している、と報じた。

ダーイシュはシャーム・イスラーム自由人運動が制圧しているタッル・アブヤド国境通行所を包囲し、事態の緊張を受け、トルコ当局は通行所を閉鎖、トルコ軍が部隊を増強しているという。

これに関して、シリア人権監視団は、ダーイシュがタッル・アブヤド市近郊の村を制圧したと発表した。

また同監視団によると、ラッカ市内の鉄道駅および同駅の反体制武装集団検問所をイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が制圧した。

さらにシリア人権監視団によると、戦闘で死亡したダーイシュ戦闘員の遺体数十体がラッカ国立病院に搬送され、安置されている一方、イスラーム戦線やシャームの民のヌスラ戦線の戦闘員の遺体数十体がザジュラ村に遺棄されたという。

こうしたなか、シリア赤新月社の災害管理チームが、ラッカ市国立病院法医学科に安置されている70体以上の遺体の身元確認作業を行うと発表し、行方不明となった親族を持つ住民に、身元確認と遺体引き取りのための協力を求めた。

クッルナー・シュラカー(1月11日付)が伝えた。

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ヒムス県では、クッルナー・シュラカー(1月11日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がラスタン市郊外のザアフラーナ村にある「自由シリア軍」の検問所の一つ前で、爆弾を仕掛けた車を爆発させ、戦闘員3人を殺害、多数を負傷させた。

またシリア・メディア・センター(1月11日付)によると、サアン村では、ダーイシュの侵入を拒否する住民複数が拉致されたという。ダーイシュは拉致事態を認知しているが、犯行を否定しているという。

一方、『ハヤート』(1月12日付)は、活動家の話として、軍の部隊がスフナ市からラッカ県に向けて数十キロ進軍した、と報じた。

他方、SANA(1月11日付)によると、カフルリーシュ村、アシュラフィーヤ村、ダール・カビーラ村、ザアフラーナ村・ダイル・フール村街道、ガースィビーヤト・ナイーム村、ブルジュ・カーイー村、マジュダル村、ヒムス市バーブ・フード地区、ジャウラト・シヤーフ地区、カラービース地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、軍がトルコに向かうアレッポ市北部の街道制圧に向けて、ナッカーリーン村で反体制武装集団と激しく交戦した。

一方、SANA(1月11日付)によると、ナイラブ航空基地東部、アレッポ中央刑務所周辺、シャイフ・ナッジャール市(工業団地地区)、ザルズール村、マアーッラト・アルティーク村、タッラト・ガーリー村、リーターン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、サイイド・アリー地区、ハイダリーヤ地区、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

クッルナー・シュラカー(1月12日付)は、自由アレッポ県議会のハーシム・ラムウ法務局長が、工業団地地区からアレッポ市内の議会本部に移動途中に失踪したと報じた。

またシリア革命総合委員会によると、アレッポ市マサーキン・ハナーヌー地区でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がタウヒード旅団の本部2カ所に対して自爆攻撃を行った。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダーイル町のセメント公社近くで、爆弾が仕掛けられた車が爆発する一方、シャイフ・マスキーン市、ダルアー市を軍が爆撃した。

一方、SANA(1月11日付)によると、ダルアー市各所で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(1月11日付)によると、アドラー市(旧市街)、ドゥーマー市、ヤルダー市、バービッラー市、ダーライヤー市、ヒジャーリーヤ農場で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

またジャルマーナー市では、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が着弾し、市民7人が負傷した。

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ダマスカス県では、SANA(1月11日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(1月13日付)によると、ダルバースィーヤ市革命青年運動のアミール・ハーミド氏が武装集団に連れ去れられた。

イラクの動き

イラク軍・治安部隊合同司令部は、アンバール県でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)のキャンプ2カ所を攻撃、破壊したと発表した。

またイラク軍対テロ部隊のファーディル・バルワーリー司令官は声明を出し、県内の旧治安機関施設を奪還し、「テロリスト28人」を殺害したと発表した。

このほか、イラキー・ニュース(1月11日付)によると、ブー・フィラージュ地方で、部族の民兵とイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が交戦し、部族の戦闘員複数が負傷した。

諸外国の動き

サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣は、シリアの友連絡グループ(ロンドン11)外相会議に先立って、訪問先のパリの邸宅で、トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣、カタールのハーリド・アティーヤ外務大臣、UAEのアブドゥッラー・ビン・ザーイド外務大臣、エジプトのナビール・ファフミー外務大臣、ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣と会談、ジュネーブ2会議への対応などについて協議した。

『ハヤート』(1月12日付)によると、アラブ外交筋の話として、会談で各国外相は、シリアの友連絡グループ外相会合、ジュネーブ2会議での各国が協調し合うことの重要性が確認されたと報じた。

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ヨルダンの治安警察部隊のザフディー・ジャーンビク准将は記者会見で「北部のイルビド県内でヨルダン人集団所有の複数の施設から、約800キロの銃弾、10万発の砲弾を押収したと発表した。

『ハヤート』(1月11日付)が伝えた。

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バレリー・アモス人道問題担当事務次長がダマスカスに到着した。

滞在は2日間の予定で、シリア政府高官らと人道支援のありようなどについて協議する予定。

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ロシア議会下院のアレクセイ・プシュコブ外交関係委員会委員長はツイッターで、「シリアのイスラーム主義過激派は現在、自由シリア軍と戦っており…、武装集団の分裂は、彼らがアサドに勝利する機会を奪うだろう」と綴った。

AFP, January 11, 2014、AP, January 11, 2014、Champress, January 11, 2014、al-Hayat, January 11, 2014、January 12, 2014、Iraqinews.com, January 11, 2014、Kull-na Shuraka’, January 11, 2014, January 12, 2014, January 13, 2014、Qanat al-Mayadin, January 11, 2014、Naharnet, January 11, 2014、NNA, January 11, 2014、Reuters, January 11, 2014、Rihab News, January 12, 2014、SANA, January 11, 2014、Syria Media Center, January 11, 2014、Syria-news.com, January 11, 2014、UPI, January 11, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア革命反体制勢力国民連立のジャルバー議長がジュネーブ2会議に参加するにあたっての3つの条件を提示、西クルディスタン人民議会がシリア北東部地域での自治を行うための「社会契約憲章」(憲法)の承認を発表(2014年1月10日)

反体制勢力の動き

シャームの民のヌスラ戦線の福祉総局は声明を出し、アレッポ県住民に福祉を提供するための人材が不足していると発表、「報道、電気、水道、パン、清掃といった領域」で専門職員多数を任命する必要があると訴えた。

Kull-na Shuraka', January 10, 2014
Kull-na Shuraka’, January 10, 2014

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シリア自由人旅団は声明を出し、同旅団がアブー・バクル・バクダーディー氏を支持する人々の家族を中傷しているとの噂を「ダーイシュのシャッビーハ」が広めることで、ムジャーヒディーンを貶めようとしていると批判した。

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イスラーム戦線のイスラーム・アッルーシュ報道官はクッルナー・シュラカー(1月10日付)に対して、スペインで開催予定の反体制勢力による会合(コルトバ大会)に出席するとの情報は事実無根だと述べた。

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シリア・ムスリム同胞団は「ジュネーブ2会議への公式の姿勢」と題した声明を出し、政権による殺戮停止、逮捕者釈放、包括的支援プロセス介し、安全保障回廊の設置、包囲されている都市・村の包囲解除を、大会参加のコンセンサスとする必要があると主張した。

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『ハヤート』(1月11日付)などは、信頼できる複数の消息筋の話として、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長が11日にパリで開催されるシリアの友連絡グループ外相会議で、ジュネーブ2会議参加に関して三つの条件を示す、と報じた。

三つの条件とは、①軍が包囲する地域の包囲解除、②人道回廊の設置、③アレッポ市などへの「樽爆弾」による爆撃の停止。

Rihab News, January 11, 2014
Rihab News, January 11, 2014

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西クルディスタン人民議会のシールザード・ヤズィーディー報道官は『ハヤート』(1月11日付)に、クルド人が多く住むシリア北東部地域での自治を行うための「社会契約憲章」(憲法に相当)が9日に合同移行期局結成総評議会において承認されたことを明らかにした。

ヤズィーディー報道官によると、1月15日に、ハサカ県カーミシュリー市で予定されている次回の合同移行期局結成総評議会で、西クルディスタン移行期民政局評議会(自治政府)の発足が宣言される予定だという。

またリハーブ・ニュース(1月11日付)によると、西クルディスタン人民議会(民主統一党)のアサーイシュ総司令部が、シリア北西部の住民に独自のIDカードを発行した。

このIDカードは、住民への福祉提供を円滑に進めることなどを目的としているという。

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シリア人権監視団は、1月3日から10日までのアレッポ県、イドリブ県、ラッカ県、ハマー県での、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と、イスラーム戦線、ムジャーヒディーン軍、シリア革命家戦線などとの戦闘で、482人が死亡したと発表した。

このうち民間人は85人、イスラーム戦線などの戦闘員は240人、ダーイシュの戦闘員は157人で、民間人の多くはダーイシュによって殺害、処刑されたという。

国内の暴力

アレッポ県では、AFP(1月10日付)が活動家の話として伝えたところによると、第46連隊基地周辺、カフルハラブ村周辺、シャイフ・アリー村、ナッカーリーン村周辺で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と、反体制武装集団が交戦した。

一方、アレッポ市タッラト・シャイフ・ユースフでは、軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員が、シャームの民のヌスラ戦線をはじめとするサラフィー主義武装集団と交戦した。

他方、SANA(1月10日付)によると、クワイリス村、フライターン市、マアーッラト・アルティーク村、アレッポ中央刑務所北部、シャイフ・ナッジャール市(工業団地地区)、ハーン・アサル村、アズィーザ村、アレッポ市サイイド・アリー地区、ブスターン・カスル地区、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がラッカ市マシュラブ地区およびウワイス・カルニー廟モスクに設営されていたシャームの民のヌスラ戦線本部を襲撃、一時制圧した。

その後、ダーイシュはマシュラブ地区、ヌスラ戦線本部から撤退、マシュラブ地区西側の検問所に再集結したという。

またラッカ市フィルドゥース地区でも、ダーイシュとヌスラ戦線が交戦、戦闘はマンスール通り、サイフ・ダウラ通りにまで拡大した。

さらに、対トルコ国境のタッル・アブヤド市でも、ダーイシュとイスラーム戦線などが交戦した。

これに関して、アレッポ県で活動するアラーッディーンを名乗る活動家は、AFP(1月10日付)に対し、「自由シリア軍」がアレッポ、イドリブ県で進軍を続けているもの、ダーイシュは、ラッカ県への兵站路を確保し続けることで、同県での優位に立っていると述べた。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、未明から早朝にかけて、ヒムス市各所で包囲解除を試みようとする反体制武装集団と軍が交戦、反体制武装集団戦闘員45人が殺害された。

一方、SANA(1月10日付)によると、ラスタン市、ヒムス市ワアル地区、スフナ市東部で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、ラビーア町一帯で、軍が「樽爆弾」を投下し、少なくとも3人が死亡した。

一方、SANA(1月10日付)によると、サルマー町、カルズ村、ナワーラ村、ハーン・ジャウズ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とシャームの民のヌスラ戦線の外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カーブーン区に軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(1月10日付)によると、ジャウバル区、カーブーン区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市に軍が砲撃を加える一方、サイイダ・ザイナブ町周辺で軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(1月10日付)によると、ドゥーマー市、ダーライヤー市、アーリヤ農場、ヒジャーリーヤ農場で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム旅団の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

また、Syria-News(1月10日付)によると、サクバー市で、シャリーア委員会打倒と地元評議会解体を求めるデモが発生し、多数の住民が参加し、「反体制勢力が人道支援物資を独占している」と非難した。

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ハマー県では、カーファート村で9日した反体制武装集団による「テロ攻撃」の犠牲者の葬儀が行われ、多数の住民が参列した。

SANA, January 10, 2014
SANA, January 10, 2014

一方、SANA(1月10日付)によると、ハディーラ村、ウカイリバート町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

SANA, January 10, 2014
SANA, January 10, 2014

また、SANA(1月10日付)によると、会葬者たちは、「テロに対決するための挙国一致強化の必要」を訴えた。

同報道によると、「テロ攻撃」はサラフィー主義者ナースィル・ムーサーによる自爆攻撃によるものだったという。

レバノンの動き

ナハールネット(1月10日付)によると、北部県トリポリ市バーブ・タッバーナ地区で、武装集団が軍車輌に発砲し、兵士3人が軽傷を負った。

イラクの動き

イラク軍・治安部隊合同司令部は、ニナワ県モスル市で、イラク軍第二師団がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の拠点を攻撃し、同市東部を統括するダーイシュ司令官1人を含む3人を殺害した、と発表した。

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イラク空軍のアンワール・ハマ・アミーン司令官は、アンバル県でのイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)掃討作戦に関して、航空機によりダーイシュの能力の60%を破壊した、と発表した。

アミーン司令官によると、イラク空軍は1日400回以上の飛行を行い、ダーイシュの拠点などを爆撃しているという。

イラキー・ニュース(1月10日付)が伝えた。

諸外国の動き

ドーアン通信(1月10日付)は、トルコのアダナ県警察がハタイ県に向かおうとしていたバス2台に隠されていた武器・弾薬を発見、押収したと報じた。

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国連の潘基文事務総長は『ハヤート』(1月11日付)に対し、ジュネーブ2会議の目的がジュネーブ合意(2012年6月)の実施、とりわけ移行期統治機関(移行期政府)の設置にあるとしたうえで、「さまざまな解釈や期待があるが、すべての国、当事者がそのために行動しなければならない。これこそが大会の最優先事項だが、プロセスは容易ではないだろう」と述べた。

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ジェイ・カーニー米ホワイトハウス報道官は、記者団に対し、シリアの反体制武装集団への「非殺傷兵器の支援再開に関していまだ決定を下していないが、シリア北部において文民の当事者への武器以外の支援は再開した…。これは穏健な反体制武装集団への支援ではなく、我々の支援の安全保障に関わる問題だ」と述べた。

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国際赤十字委員会のピーター・マウラー総裁がダマスカスに到着した。

ロイター通信(1月10日付)によると、マウラー総裁はダマスカス滞在中、シリア政府高官らと会談し、軍が包囲する地域などでの医療活動などについて協議するという。

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パレスチナのガザ地区のジャバーリヤー・キャンプにあるフラファー・モスク周辺で、金曜礼拝後に、ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプとの連帯を訴えるデモが行われ、ハマースの支持者らが参加、包囲解除などを要求した。

AFP(1月11日付)が伝えた。

AFP, January 10, 2014、AP, January 10, 2014、Champress, January 10, 2014、Doğan Haber Ajancı, January 10, 2014、al-Hayat, January 10, 2014、Iraqinews.com, January 10, 2014、Kull-na Shuraka’, January 10, 2014、Naharnet, January 10, 2014、NNA, January 10, 2014、Reuters, January 10, 2014、Rihab News, January 11, 2014、SANA, January 10, 2014、Syria-news.com, January 10, 2013、UPI, January 10, 2014などをもとに作成。

 

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダイル・ザウル県で活動する複数の反体制武装集団が「イスラーム革命救済戦線」の結成を宣言するなか、トルコ外相は「トルコにとって危険分子である」としてイスラーム国と民主統一党を批判(2014年1月9日)

反体制勢力の動き

ハマー県で活動するイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)メンバーのアブー・イブラーヒーム・ミスリー氏(エジプト人と思われる)はビデオ声明(https://www.youtube.com/watch?v=uOejpIuJTDA)を出し、ダーイシュを離反し、シャームの民のヌスラ戦線に参加すると発表した。

https://www.youtube.com/watch?v=uOejpIuJTDA

Kull-na Shuraka', January 9, 2014
Kull-na Shuraka’, January 9, 2014

声明で、ミスリー氏は「自由シリア軍は兄弟だ。ダーイシュが彼らに背教宣告をした時も、自由シリア軍は我々によく振る舞い、我々を保護した」としたうえで、「ムハージリーン」(外国人戦闘員)に対して殺し合いを止めるよう呼びかけ、「ヌスラ(戦線)とシャーム自由人(運動)に参加する」と宣言した。

ダーイシュに対する他の反体制武装集団の攻勢が強まって以降、ダーイシュを外国人戦闘員の集団、ヌスラ戦線、イスラーム戦線構成部隊などそれ以外の武装集団をシリア人の集団と考える傾向が強まっているが、ミスリー氏の声明により、ダーイシュに対抗する武装集団のなかにも少なからぬ外国人戦闘員が流入していることが推察される。

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ラッカ革命家旅団司令官のアブー・サアド・ハドラミー氏は声明を出し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が「スンナ派に対する殺戮、逮捕、拷問」を行っていると批判、「すべての県民に検問所を設置し、ダーイシュに所属するすべての者を逮捕」するよう呼びかけた。

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シリア自由人旅団は声明を出し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が「アッラーの法の裁定を拒むような振る舞い」をしていると非難、シリアでの「革命」に敵対する勢力として各地の拠点を攻撃する、と発表した。

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ダイル・ザウル県で活動する複数の反体制武装集団はビデオ声明(http://www.youtube.com/watch?v=CxmV_flskeI&feature=player_embedded)を出し、「イスラーム革命救済戦線」の結成を宣言した。

Kull-na Shuraka', January 9, 2014
Kull-na Shuraka’, January 9, 2014

イスラーム革命救済戦線に参加した主な組織は、カアカーア旅団、カアカーア戦線、ムアタスィム・ビッラー旅団、アリー・ブン・アビー・ターリブ旅団、カアカーアの盾旅団、ファールーク大隊、ウサーマ・ビン・ザイド大隊、サイイド・シュハダー・ハムザ大隊、アンサール・シャリーア大隊。

同声明によると、イスラーム革命救済戦線は、アサド政権の打倒をめざし、軍を標的とし、地元評議会の再編に協力することを目的とするという。

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シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とハサカ県で活動する反体制武装集団4団体が共同声明を出した。

共同声明に署名したのは、ダーイシュ、イスラーム戦線、アンサール・ヒラーファ、イカーブ旅団、第114旅団。

ダーイシュを含む5団体はこの声明で、統合シャリーア委員会と合同作戦司令部の設置を発表し、反体制武装集団の単独での軍事行動を禁じるとともに、すべての武装集団に司令部への参加を呼びかけた。

またアサド政権、民主統一党との停戦に合意しないようすべての武装集団に呼びかけた。

ダーイシュとイスラーム戦線は、1月に入って、アレッポ県、イドリブ県などで武装対立を激化させているが、ハサカ県においては共闘を決定したことになる。

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民主的変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表はAFP(1月9日付)に、米国から委員会メンバー複数名をシリア革命反体制勢力国民連立の代表団の枠で出席させるとの提案があったが、拒否したことを明らかにした。

アブドゥルアズィーム代表はまた「まだ(ジュネーブ2会議の)招待状を受け取っていない。我々は、民主的変革諸勢力国民調整委員会、シリア反体制勢力国民連立など、国内外の反体制勢力が一つの代表団として…参加することを望んでいる。招待される組織もあれば、欠席する組織もあろう。しかし重要なのは、国際社会のコンセンサスのもとに大会が開催され、暴力停止と政治的解決に向けた道筋が描かれることである」と述べた。

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スペインの首都マドリードで、スペイン政府およびEUの後援のもとに反体制活動家約140人が一同に会し、1月19日に開催予定のコルドバ大会に向けた準備会合を開いた。

準備会合に関して、スペイン外務省は声明を出し、コルトバ大会開催のためのロジ支援を行うとともに、同大会を反体制勢力どうしの対話と分裂に歯止めをかけるための新たな機会としたいとの意思を表明した。

シリア政府の動き

SANA, January 9, 2014
SANA, January 9, 2014

SANA(1月9日付)などは、紛争の被災者子息が通うダマスカス県内の小学校をアスマー・アフラス大統領夫人が訪問した、と報じた。

アスマー夫人は1学期の期末試験中に突然同校を訪問し、各教室を回り、生徒らと交流、「祖国のために魂と血を捧げた人たちのために、美しい返礼をすることが祖国の義務です」と述べたという。

http://www.youtube.com/watch?v=b1du2E9MPPg

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ワーイル・ハルキー首相は、ダマスカスを訪問中の国連WFPアーサリン・カズン事務所長とそれぞれ会談した。

会談には、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣らも同席した。

SANA(1月9日付)によると、会談でハルキー首相は、カズン事務所長に対して、国際人道法に従い、シリア領内のすべての被災者への人道食糧支援を継続するよう改めて要請した。

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クッルナー・シュラカー(1月9日付)は、ムハンマド・トゥルキー・サイイド人民議会問題担当国務大臣(アラブ社会主義連合民主党)が、心臓発作により死去したと報じた。

国内の暴力

イドリブ県では、AMC(1月9日付)によると、ダーナー市のイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の本部を「革命家らが完全に制圧」した。

同本部をめぐっては、イスラーム戦線がダーイシュに対して、シャームの民のヌスラ戦線への明け渡しを要求していたが、ダーイシュがこれを拒否、最終的には、ムジャーヒディーン軍が突入し、これを制圧したという。

一方、SANA(1月9日付)によると、タフタナーズ市近郊、サルミーン市近郊で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、ウズマの剣旅団戦闘員や外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、『ハヤート』(1月10日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が制圧していたアターリブ市近郊の第46大隊基地と第46大隊基地で戦闘があり、反体制武装集団が両基地を制圧した。

またフライターン市、ジャラーブルス市でもダーイシュと反体制武装集団が交戦した。

シリア人権監視団によると、ダーイシュはダイル・ザウル県からアレッポ県に向けて増援部隊を派遣した、という。

また同監視団によると、バーブ市で反体制武装集団の検問所近くで爆弾が爆発し、戦闘員9人が死亡した。

一方、ハラブ・ニュース(1月9日付)は、ムジャーヒドゥーン軍が、「自由シリア軍」が展開するアレッポ市西部の第46連隊基地とアウラム・クブラー町を襲撃したダーイシュ戦闘員複数を捕捉した、と報じた。

同報道によると、同地を襲撃したダーイシュ戦闘員は、この2カ所がシーア派の村のフーア市とカフリヤー村だと教えられ、シリア軍の拠点を攻撃しているものと思っていたと証言した、という。

他方、SANA(1月9日付)によると、クワイリス村、アレッポ中央刑務所周辺、ラスム・アッブード航空基地周辺、アブー・タルタル村、シャイフ・ナッジャール市(工業団地地区)、カッバースィーン村東部で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、アアザミーヤ地区、ブアイディーン地区、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、『ハヤート』(1月10日付)によると、マヤーディーン市でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と反体制武装集団が交戦した。

またSyria-news.com(1月9日付)は、ダーイシュがダイル・ザウル市で活動する反体制武装集団の圧力に応じるかたちで、同市からほぼ撤退したと報じた。

一方、SANA(1月9日付)によると、ダイル・ザウル市ウルフィー地区、工業地区、ジュバイラ地区、ターハー・フサイン通りで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、ハドラー大隊の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ラッカ市内各所で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と反体制武装集団が交戦し、後者が政治治安部本部をダーイシュから奪取、制圧した。

また、ザマーン・ワスル(1月9日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がラッカ市内にあるイッザト・ビッラー旅団司令官「アビー・タラール」の自宅を爆破し、その家族を殺害した。

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ハサカ県では、リハーブ・ニュース(1月9日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がシリア軍および民主統一党人民防衛隊との停戦を拒否し、タッル・ハミース市一帯での反抗を続けた。

一方、SANA(1月9日付)によると、タッル・ブラーク町一帯で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、SANA(1月9日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

また、国連本部前で、ダマスカス郊外県アドラー市ウンマーリーヤ地区での「タクフィール主義者」の犯罪に抗議するデモを行い、若者ら数十人が参加した。

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ヒムス県では、SANA(1月9日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、カラービース地区、ジャウラト・シヤーフ地区、ワアル地区、旧旅客バス・ターミナル北部、ザアフラーニーヤ村・ダイル・フール村街道、ブルジュ・カーイー村、ダール・カビーラ村、ガースィビーヤト・ナイーム村、タッルドゥー市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

また反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発がハムラー地区に着弾し、市民7人が死亡、またヒムス市マハッタ地区、ムハージリーン区、カラム・シャーミー地区、ダウワール・アッバースィーヤ地区にも迫撃砲弾が着弾し、市民2人が死亡した。

一方、シリア人権監視団によると、ヒムス市内各所で軍が反体制武装集団を要撃し、戦闘員45人を殺害した。

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ハマー県では、SANA(1月9日付)によると、サラミーヤ地方のカーファート村で爆弾が仕掛けられた車が爆発、この「テロ攻撃」により、市民17人が死亡、30人が負傷した。犠牲者のほとんどは女性、子供、老人だという。

しかしシリア人権監視団によると、死者数は18人で、うち子供と女性の犠牲者4人を除く死者は国防隊の戦闘員だという。

またハマー市のバアス地区では、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が着弾し、子供1人が死亡した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(1月9日付)によると、フジャーリーヤ農場、アーリヤ農場、ドゥーマー市、ハーン・シャイフ町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、クッルナー・シュラカー(1月9日付)は、信頼できる消息筋の話として、「過激派」がマアルーラー市にあるイエス・キリストの銅像を盗み去ったと報じた。

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ダルアー県では、SANA(1月9日付)によると、アトマーン村、ナワー市、シャイフ・マスキーン市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、ムアタッズ・ビッラー旅団、ナワー自由人旅団の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

レバノンの動き

サミール・ハンムード検事総長は、4日に死去したアブドゥッラー・アッザーム大隊リーダー兼シャームの民のヌスラ戦線メンバーのマージド・マージド氏の死因に関して「法医学者の報告の結果、病気の合併症で死亡したことが確認された」と述べた。

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NNA(1月9日付)によると、北部県トリポリ市北部で、何者かがシリアのトラックの車列に発砲し、少女1人が巻き添えとなり負傷した。

イラクの動き

イラク・クルディスタン地域のエルビル県警察のアブドゥルハーリク・タラアト所長は声明を出し、1月6日に、男性3人が県内でシリア人避難民の少女(16歳)を誘拐、別の3人とともに強姦したと発表した。

タラアト所長はまた、アサーイシュが容疑者6人を拘束、彼らが容疑を認めたと付言した。

リハーブ・ニュース(1月9日付)が伝えた。

AFP(1月9日付)によると、この暴行事件を受け、エルビル市の国会議事堂前でシリア人避難民数十人が抗議デモを行い、犯人の処刑を求めた。

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イラキー・ニュース(1月9日付)によると、イラク治安部隊がアンバール県でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の指導者4人を殺害した。

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イラキー・ニュース(1月9日付)の特派員は、アンバール県ファッルージャ市の状況に関して、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)による同市制圧後、街が安定を取り戻し始めている、と伝えた。

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ホシェリ・ゼバリ外務大臣は、ジョン・ケリー米国務長官と電話会談した。

ジェン・サキ国務省報道官によると、ケリー米国務長官は会談で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とつながりがあるアル=カーイダを孤立させ、人工密集地から排除するため、イラク政府に地元高官や部族を動員する努力を行うよう求めた。

一方、ゼバリ外務大臣は、イラクでのテロとの戦いへの米国の支援に謝意を示したという。

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イラク国民議会議員のウィサーム・サリーム女史(イラキーヤ・ブロック)はイラキー・ニュース(1月9日付)に「イラク軍はアンバール県での戦争(イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)掃討)に関与してはならず、テロリストとの戦いの責任を治安部隊に委ねなければならない」と述べた。

サリーム女史はまた「爆発や暗殺はイラクで長らく行われてきた。それゆえ、国会選挙前にアル=カーイダと戦いを行うことは疑問だ」と付言した。

諸外国の動き

トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は「すべての外国人勢力はシリアを去らねばならない」と述べる一方、アル=カーイダ、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)、民主統一党が「トルコにとって危険分子」だと批判した。

ダウトオール外務大臣は「シリアの過激派は、誤った方法を続けることで、シリア政府の方が害が少ないように思わせている…。シリアで戦う過激派のダーイシュは、反体制勢力のシリア北部制圧とともに台頭した…。シリア政府とダーイシュはそれゆえ、舞台裏でのパートナーであり、シリア政府は反体制勢力がテロを行い、さらなる暴力を用いていわゆるテロ行為を弾圧することを正当化している…。しかしこうした状況がさらなる衝突をもたらしている」との見方を示した。

そのうえでダウトオール外務大臣は、ジュネーブ2会議にトルコが参加することの必要を強調する一方、ジュネーブ合意受諾を条件にイランの参加を支持すると表明した。

AA(1月9日付)が伝えた。

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ドイツの外務省と国防省は共同声明を出し、化学兵器禁止機構の要請に基づき、ドイツがシリア領内に残されるであろう化学兵器の無力化と化学物質の廃棄を行うと発表した。

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ロシアのヴラジミール・プーチン大統領とイランのハサン・ロウハーニー大統領が電話会談し、イラクの核開発問題やシリアの紛争への対応などについて協議した。

ロシア大統領府が声明を通じて明らかにした。

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イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)のイデオローグの一人でバーレーン人のバクル・ブン・アブドゥルアズィーズ氏(アブー・ハマーム・アサリー)は、「ジャウラーニーの発言への反応がもたらしたおおよその結果」(http://alplatformmedia.com/vb/showthread.php?t=34989)と題された論考を発表、そのなかで、「シャームの地における不幸と弊害の原因は、(アブー・ムハンマド・)ジャウラーニー(シャームの民のヌスラ戦線指導者)が逸脱し、自らを支持する者とともに(ダーイシュを)離反したことにある」と批判した。

Anadolu Ajansı, January 9, 2014、AFP, January 9, 2014、AMC, January 9, 2014、AP, January 9, 2014、Champress, January 9, 2014、al-Hayat, January 10, 2014, January 11, 2014、Iraqinews.com, January 9, 2014、Kull-na Shuraka’, January 9, 2014、Naharnet, January 9, 2014、NNA, January 9, 2014、Reuters, January 9, 2014、Rihab News, January 9, 2014、SANA, January 9, 2014、Syria-news.com, January 9, 2013、UPI, January 9, 2014、Zaman al-Wasl, January 9, 2014などをもとに作成。

 

(C)青山弘之 All rights reserved.

国連安保理では英国が提出した「樽爆弾などによる爆撃」に対する非難声明案にロシア・中国が反対、バイデン米副大統領はイスラーム国が占拠するイラク・ファッルージャ市の奪還に向けた同国政府の努力への支持を発表(2014年1月8日)

反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(1月8日付)によると、イスラーム戦線は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)との戦闘拡大を抑えるための新方針を発表した。

Kull-na Shuraka', January 8, 2014
Kull-na Shuraka’, January 8, 2014

新方針の骨子は以下の通り:

1. 各都市のシャリーア委員会からの正式の許可なしに、ダーイシュの戦闘員、およびそれ以外の組織のメンバーが暮らす住居への突入・襲撃の禁止。
2. 新たな武装集団の結成の禁止、戦闘参加を望む者への既存の武装集団への参加要請。

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シリア革命家戦線は声明を出し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)指導者のアブー・バクル・バグダーディー氏に対し、24時間以内に自由シリア軍諸部隊との公開会合に出席し、その行き過ぎた行動について釈明するよう求めた。

声明によると、この公開会合には、ビラード・シャームのムハージリーン(非シリア人)、アンサール(シリア人)のウラマーも同席し、その釈明の様子を撮影、公開するという。

また声明において、シリア革命家戦線は、イスラーム戦線、民間人保護委員会、ムジャーヒディーン軍とともに、シャームの民のヌスラ戦線に対し、反体制運動参加への謝意を示した。

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シリア革命反体制勢力国民連立はトルコのイスタンブールでの総合委員会会合を閉幕した。

閉幕にあたって総合委員会(定数122人)は声明を出し、ジュネーブ2会議への参加の是非を1月17日に最終決定することを明らかにした。

また議長など執行部選挙をめぐって脱会を宣言した41人の総合委員会メンバーに対して「決定を撤回し、連立の隊列に復帰するよう願う…。シリアの反体制勢力、そして連立は、殺戮、破壊、強制退去を行う体制に対抗し、アサド政権崩壊後…民主制を構築するため、最高レベルの統合を必要としている」と呼びかけた。

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シリア人権監視団は、1月3日から8日までのアレッポ県、イドリブ県、ラッカ県、ハマー県でのイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とムジャーヒディーン軍、イスラーム戦線などとの戦闘により、385人が死亡したと発表した。

死者のうち56人は民間人(うち9人はダーイシュによって処刑された)だという。

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市インザーラート地区で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が、ムジャーヒディーン軍、イスラーム戦線などからなる反体制武装集団との戦闘の末、主要拠点の一つだった郵便局から退去、同地区からほぼ完全に撤退した。

またシリア人権監視団によると、アレッポ市におけるダーイシュの主要拠点が置かれていたカーディー・アスカル地区の小児科病院をイスラーム戦線、ムジャーヒディーン軍などからなる反体制武装集団が制圧した。

同監視団によると、小児科病院に駐留していたダーイシュ戦闘員数百人の行方は不明で、またダーイシュが「もっとも重要な収監者」として拘留していた数十人が釈放されたとの情報が流れているという。

また、複数の活動家によると、ダーイシュは、反体制武装集団が拘束していたダーイシュ戦闘員70人を釈放する見返りとして、「自由シリア軍」戦闘員、市民活動家、メディア関係者などが300人を釈放したという。

なお、活動家の一人によると、ダーイシュは小児科病院撤退に際して、収監者複数名を銃殺し、ブスターン・カスル地区で行われた犠牲者の葬儀は、ダーイシュの退去を求めるデモに発展したという。

一方、シリア人権監視団によると、タッル・リフアト市を軍が「樽爆弾」などで爆撃し、8人が死亡した。

他方、SANA(1月8日付)によると、マアルサト・ハーン村、タッル・カラーフ村、マアーッラト・アルティーク村、ナスルッラー村、カフルダーイル村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、ハナーヌー地区、インザーラート地区、シャフバー地区、サーリヒーン地区、タルティヤーン地区、ハイダリーヤ地区、シャイフ・サイード地区、ジュバイラ地区、バイヤーだ地区、サファーヒーヤ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、『ハヤート』(1月9日付)などによると、ラッカ市でのイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とイスラーム戦線、ムジャーヒディーン軍などからなる反体制武装集団との戦闘がフィルドゥース地区一帯に拡大、またダーイシュは国家治安局地区に進軍した。

同地区にはダーイシュが本拠地とする県・市庁舎がある。

またシリア人権監視団によると、ラッカ県でのムジャーヒディーン軍、イスラーム戦線などからなる反体制武装集団との戦闘の末、ダーイシュが拠点としていた政治治安部を放棄し、シャームの民のヌスラ戦線がこれに代わって同施設を制圧した。

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ダマスカス県では、クッルナー・シュラカー(1月8日付)によると、空軍情報部が、ジャズィーラ・チャンネルの名物アナウンサーでシリア人のファイサル・カースィム氏の住居を接収した。

一方、SANA(1月8日付)によると、カーブーン区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、SANA(1月8日付)によると、グナイミーヤ村、カタフ・リマーン村、ガマーム村、バイト・アワーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(1月8日付)によると、アドラー市(旧市街)、ドゥーマー市、ヤルダー市、バービッラー市、ダーライヤー市、ハーン・シャイフ・キャンプ郊外、ヤブルード市、アーリヤ農場、ザバダイン市、カーラ市郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(1月8日付)によると、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区、カラービース地区、バーブ・フード地区、クスール地区、ハーリディーヤ村、ガースィビーヤト・ナイーム村、ハサウィーヤ村、アブー・アラーヤー村、タルビーサ市周辺、シャイフ・イブラーヒーム・ハキーム農場で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(1月8日付)によると、ズール・ヒーサ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またハマー市サハーナ地区では、軍が住民の協力のもと、反体制武装集団のアジトを破壊し、複数の戦闘員を逮捕、武器弾薬を押収した。

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ダルアー県では、SANA(1月8日付)によると、ダルアー市各所で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、南部タウヒード旅団の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(1月8日付)によると、アルバイーン山一帯、タフタナーズ市、サルキーン市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またイドリブ市の住宅地に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が着弾し、女性1人が死亡、市民8人が負傷した。

レバノンの動き

NNA(1月8日付)によると、イスラエル軍部隊(12人)が、イスラエルとレバノンを分けるフェンスを乗り越え、ナバティーヤ県マルジャアユーン郡マイス・ジャバル村内50メートルの地点まで侵入し、発煙弾を撃った。

ただし、イスラエル兵はブルーラインそのものを越境はしなかった。

イラクの動き

米ホワイトハウスによると、ジョー・バイデン米副大統領は、ヌーリー・マーリキー首相と今週二度目の電話会談を行い、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が占拠するアンバール県ファッルージャ市の奪還に向けたイラク政府の努力を支持すると伝えた。

諸外国の動き

『ハヤート』(1月9日付)によると、国連安保理では、シリアでの「樽爆弾」などによる爆撃に対する非難声明案(英国が提出)にロシアと中国が反対し、廃案に追い込んだと報じた。

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イスラエルのモシェ・ヤアロン国防大臣は記者団に対し、「イスラエルが知る限り、ヒズブッラーはその兵器(ヤコント対艦ミサイル)を保有していない」と述べ、『ウォールストリート・ジャーナル』(1月3日付)の報道を否定した。

しかしヤアロン国防大臣は、ヒズブッラーによるヤコント対艦ミサイル保有を「レッドライン」とみなすかとの問いに「シリア情勢に関する我々のレッドラインは明白だ。その一つは高度な武器がシリアからレバノンに持ち込まれることを認めないというものだ。そうしたことが起きてしまえば、何をすべきか、どう行動するかを我々は知っている」と答えた。

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UPI(1月8日付)によると、英国のニック・クレイグ副首相は、英国がシリアから避難してきた学生約1,500人を受け入れたことを議会に報告した。

しかし、クライグ副首相の発言に関して、アムネスティ・インター・ナショナルでシリア問題を担当するクリスティヤ・ベネディクト氏は、シリア周辺国で避難生活を送る避難民とシリア人留学生を混同していると非難した。

ベネディクト氏はまた、英国が現在、シリア人避難民の受け入れを拒否していることを「恥ずべき」ことだと述べた。

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AFP(1月8日付)は、ニコラス・ケボン駐シリア・レバノン・スウェーデン大使の話として、2013年11月にシリア国内で拉致されたスウェーデン人記者2人が解放されたと報じた。

解放されたのは、ニコラス・ハンマーストローム氏(カメラマン)、マグヌス・ファルクヘッド氏(レポーター)の2人。

AFP, January 8, 2014、AP, January 8, 2014、Champress, January 8, 2014、al-Hayat, January 9, 2014、Iraqinews.com, January 8, 2014、Kull-na Shuraka’, January 8, 2014、Naharnet, January 8, 2014、NNA, January 8, 2014、Reuters, January 8, 2014、Rihab News, January 8, 2014、SANA, January 8, 2014、UPI, January 8, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

国連事務総長がイランを含まない30か国、3国際機関に対してジュネーブ2会議への正式な招待状を送付、ハサカ県ではヌスラ戦線が人民防衛隊と交戦しタッル・ブラーク町とタッル・ハミース市を制圧(2014年1月7日)

反体制勢力の動き

イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)のアブー・ムハンマド・アドナーニー報道官は音声声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立、自由シリア軍参謀委員会を「合法的な標的」だと主張、襲撃を予告した。

アドナーニー報道官は「シャームの兵たちよ、覚醒は…疑う余地無く我々のもとにある。我々はその出現を期待し、疑わなかった…。しかし彼らは意表を突き、時期尚早なことに我々に退去を急かしている」と述べるとともに「ムジャーヒディーン軍、シリア革命家戦線の名で知られる者ども、彼らをせき立て、支援し、彼らとともに戦う者どもは…、イスラームの旗を掲げていようと…、あなた方を裏切り…、ムジャーヒディーンと戦うことを望み、唯一神教徒を裏切った」と非難した。

そのうえで「イラク・シャーム・イスラーム国は、(シリア革命反対勢力国民)連立と(シリア)国民評議会、そして(自由シリア軍)参謀委員会、軍事評議会が離反と背教の宗派であると宣言する。なぜなら彼らはダーイシュに宣戦布告し、戦争を始めたからだ」と強調、「こうした組織に与するものは、どこであれ、我々にとって合法的な標的である」と主張した。

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シャームの民のヌスラ戦線指導者のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー氏によるとされる音声声明(http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=gsaz2oBZ0TY)が出され、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とイスラーム戦線、ムジャーヒディーン軍などとの戦闘に関して「ムハージリーン(外国人戦闘員)とアンサール(シリア人戦闘員)の紛争と化すことに大いに警鐘を鳴らす」と主張、外国人戦闘員がイスラームの統一を強化するうえで重要だとしたうえで、戦闘を停止し、すべての組織が参加するシャリーア委員会を設置し、事態の正常化をめざすよう呼びかけた。

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シリア革命反体制勢力国民連立幹部のミシェル・キールー氏(シリア民主主義者連合)はラジオ・ロザナ(1月7日付)のインタビューに応じ、シャームの民のヌスラ戦線に関して「私はヌスラ戦線とイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と同じように見ていない。ダーイシュは「我々はカリフ制を望み、我々を望まない者は殺す」と言う。しかし、ヌスラ戦線は選挙に基づくイスラーム体制について話している」と弁護した。

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シリア人権監視団は、1月3日から6日までのアレッポ県、イドリブ県、ラッカ県でのイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とムジャーヒディーン軍、イスラーム戦線などとの戦闘により、274人が死亡したと発表した。

死者の内訳は民間人46人(うち5人がダーイシュによって処刑される)、ムジャーヒディーン軍、イスラーム戦線などの戦闘員129人、ダーイシュ戦闘員99人(うち34人がザーウィヤ山で処刑されたダーイシュとジュンド・アクサー大隊戦闘員)。

シリア人権監視団はまた、12月15日から続く軍による「樽爆弾」などでの爆撃による死者数が585人に達したと発表した。

うち子供は172人、女性は54人、武装集団戦闘員は36人、ダーイシュ戦闘員は18人だという。

シリア政府の動き

ウムラーン・ズウビー情報大臣は記者会見を開き、「我々は、その政治的未来において、挙国一致政府、拡大政府が樹立されねばならないことをよく理解している。しかし、(反体制勢力が求める)移行期統治機関なるものは存在しない」としたうえで、「シリア人が参加し、意見を表明する合法的な…選挙で、アサド大統領は共和国大統領としてとどまる」と述べた。

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シリア部族連合はダマスカス県のダーマー・ルーズ・ホテルで記者会見を開き、シリア政府がジュネーブ2会議に派遣する代表団がシリアの部族であるとしたうえで、「テロ集団」と結託する在外の部族代表を名乗る活動家をシリア国民の代表とはみなさない、と主張した。

SANA(1月7日付)が報じた。

国内の暴力

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ラッカ市県・市庁舎周辺で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がイスラーム戦線などと激しく交戦した。

Kull-na Shuraka', January 7, 2014
Kull-na Shuraka’, January 7, 2014

また、クッルナー・シュラカー(1月7日付)は信頼できる消息筋の話として、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)のラッカ県におけるワーリーのアブー・ルクマーンがラッカ市の戦闘で死亡したと報じた。

同報道によると、ダーイシュはラッカ市の県・市庁舎一帯の300~400メートルの一帯で包囲されているという。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市などでイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がムジャーヒディーン軍などと激しく交戦するなか、サラーフッディーン地区の住民数十人が、ダーイシュのアレッポ県からの退去とイスラーム法に基づく支配を求めてデモを行った。

またアレッポ市インザーラート地区、フィルドゥース地区、バーブ街道地区に軍が「樽爆弾」などで爆撃を行い、複数名が死亡した。

一方、SANA(1月7日付)によると、ハイダリーヤ村、タッラト・ガーリー村、カフルナーハー村、ハフサ村、アウラム・クブラー町、アンジャーラ村、バシャントラ村、ダーラト・イッザ市、バラカート山、ハーン・シュフード村、クワイリス村、カスキース村、アレッポ中央刑務所周辺、マンスーラ村、マアーッラト・アルティーク村、ハーン・アサル村、ヒーラーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

アレッポ市では、ラーシディーン地区、旧市街、カルム・マイサル地区、カーディー・アスカル地区、サーリヒーン地区、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がマヤーディーン市に唯一設置していた拠点からラッカ県方面に撤退した。

またダイル・ザウル市ラサーファ地区、工業地区で、軍と反体制武装集団が交戦、またマリーイーヤ村が軍の砲撃を受けた。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とシャームの民のヌスラ戦線が、タッル・ブラーク町とタッル・ハミース市で民主統一党人民防衛隊と交戦、両市を制圧した。

しかしシリア革命反体制勢力国民連立は、タッル・ハミース市一帯での戦闘に関して、軍が民主統一党人民防衛隊の支援・協力のもとに攻撃を続けていると批判した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線が声明を出し、ジャースィム市にある国立病院を「完全制圧」したと発表した。

声明によると、アブー・クタイバ・ムハージルを名乗る戦闘員が6日に4トンの爆発物を積んだ装甲車で自爆攻撃を行い、同病院の検問所を破壊、制圧に至ったという。

この戦闘では軍兵士50人以上が殺害されたという。

一方、SANA(1月7日付)によると、ダルアー市各所、ハズカイン村、ハッザーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、クッルナー・シュラカー(1月7日付)が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)のウマル・シーシャーニー氏がシャーム自由人イスラーム運動のアブー・ハーリド・スーリー氏と、ムラーフ市で停戦合意を結んだと報じ、合意文書の写真を公開した。

停戦合意では、シャーム自由人イスラーム運動が制圧するムラーフ市の航空基地へのダーイシュの攻撃の禁止、飛行場からダーイシュの拠点への攻撃の禁止などを骨子としている。

一方、SANA(1月7日付)によると、アドラー市(旧市街)、ハラスター市、ヤルダー市、ダーライヤー市、アーリヤ農場で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム宣戦の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア革命総合委員会によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がダルクーシュ町の「自由シリア軍」の拠点を襲撃、男性1人と子供3人を銃殺した。

一方、SANA(1月7日付)によると、マアッラトミスリーン市近郊、バドリーヤ村近郊で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、サウジ人、イラク人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(1月7日付)によると、カストゥーン村近郊で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、サウジ人、イラク人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、SANA(1月7日付)によると、カーブーン区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(1月7日付)によると、ヒムス市ワアル地区、カラービース地区、ダール・カビーラ村、ガースィビーヤト・ナイーム村、ハーリディーヤ村、ドゥワイビーヤ村、西サラーム村、東サラーム村、スルターニーヤ村、アブー・アラーヤー村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

イラクの動き

ウサーマ・ヌジャイフィー国民議会議長がアンマール・ハキームSIIC代表と会談、アンバール県でのイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の攻勢への対応について協議した。

イラキー・ニュース(1月7日付)によると、会談で、ヌジャイフィー議長は、国内の政治的不和を解消し、「正しい方法でのアル=カーイダとの戦いを支持する」と述べた。

ハキーム代表もまた、アル=カーイダとの対決をめぐって包括的な合意に達するための対話が対立する政治当事者どうしで行うことの重要性を強調したという。

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ジョー・バイデン米副大統領はヌーリー・マーリキー首相、ウサーマ・ヌジャイフィー国民議会議長と相次いで電話会談し、イラク軍によるアンバール県でのイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)掃討を支持していると述べた。

また米ホワイトハウスのジェイ・カーニー報道官は「我々は、アル=カーイダ系組織を孤立させるための英雄的戦略を発展させるべく、イラク人と密に活動を行い、ラマーディー市における成功を目にしてきた…。状況は流動的で、結論を述べるには時期尚早だが…、米国はスキャンイーグル10機、レイヴン48機とともに…さらなるヘルファイヤ・ミサイルをイラクに供与することを検討している」と述べた。

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ハキーム・ザミーリー国民議会議員はイラキー・ニュース(1月7日付)に、アンバール県ファッルージャ市で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の指導者の一人アブー・トゥファイリー・クーカーズィー氏が少女に強制わいせつをはたらこうとして殺害された、と述べた。

諸外国の動き

国連と化学兵器禁止機関は、シリアの化学兵器を廃棄するため、危険性の高い化学物質をラタキア港でデンマークの貨物船に積み、搬出作業を開始した、と発表した。

CNN(1月7日付)などが伝えた。

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ジェニファー・サキ米国務省報道官は「イランはシリア政府を支援する以外の何らの支援も行っておらず、外国人戦闘員(ヒズブッラーなどを意図)の送り込み、シリア国民に対する蛮行に関与しているだけだ」と批判した。

また「もしイラン人が、自分たちは良い結果をもたらしたいと真摯に考えていると世界に向かって言いたいのなら、具体的な措置を講じなければならない。しかし今のところ、彼らがそうしたい、ないしはそうすることが彼らの国益になることを示すものはない」と付言した。

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イランのモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外務大臣はシリアのファイサル・ミクダード外務副大臣と会談し、「イランはジュネーブ2会議の出席に関していかなる前提条件も受け入れない。正式に招待されれば、シリア危機解決のため、正式且つ完全なかたちで参加する用意がある」と述べた。

ファルス通信(1月7日付)が伝えた。

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国連の潘基文事務総長は声明を出し、ジュネーブ2会議に関して、ジュネーブ合意を完全に実施するための政治的関係正常化に向けた包括的合意に至ることをめざすとの意思を示すとともに、30カ国、3国際機関に対して正式に招待状を送付したと発表した。

招待状が送付されたのは、米英仏露中、サウジアラビア、カタール、クウェート、UAE、オマーン、エジプト、アルジェリア、モロッコ、ヨルダン、レバノン、イラクなどで、イランは現時点では招待されていない。

『ハヤート』(1月9日付)によると、シリアの当事者は、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣、シリア国民反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長宛に招待状が送付された。

『ハヤート』(1月9日付)が入手した招待状全文(http://alhayat.com/Details/590819)のコピーによると、招待状は、本文と、ジュネーブ合意(2012年)、和平プロセスへの女性の参加を定めた国連の関連決議、大会における交渉の原則からなる三つの添付文書からなる。

交渉原則は8項目からなり、ジュネーブ合意、とりわけ「移行統治委員会」設置に関する文言の実践を目的とすること、大会議長はアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表が務め、シリアの当事者間の交渉は原則議長を経由して間接的に行われる、ことなどが定められている。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は訪問先の東京で「ジュネーブ2会議においてとられるすべての措置が失敗しないようにし、そのうえでバッシャール・アサドのいない新たな時代を始めるよう、我々は保証しなければならない」と述べた。

AFP(1月7日付)が伝えた。

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PFLP-GCのフサーム・アラファート氏が声明を出し、ダマスカス県ヤルムーク区の病人300人を治療のために県内の病院に搬送することを求めていたタラール・ナージー副書記長の要請にシリア政府が応じたことを明らかにした。

AFP, January 7, 2014、AP, January 7, 2014、Champress, January 7, 2014、Fars News Agency, January 7, 2014、al-Hayat, January 8, 2014, January 9, 2013、Iraqinews.com, January 7, 2014、Kull-na Shuraka’, January 7, 2014、Naharnet, January 7, 2014、NNA, January 7, 2014、Radio Rozana, January 7, 2014、Reuters, January 7, 2014、Rihab News, January 7, 2014、SANA, January 7, 2014、UPI, January 7, 2014などをもとに作成。

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ヌスラ戦線やイスラーム戦線がラッカ市の県・市庁舎を包囲し無血開城を要求、イスラーム国はこれに応じる(2014年1月6日)

反体制勢力の動き

『ハヤート』(1月7日付)は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と、イスラーム戦線、ムジャーヒディーン軍、シリア革命家運動などとの対立を解消するため、シリア・イスラーム評議会、イスラーム改革建設運動といったシリア人ウラマーの団体が仲介をめざしている、と報じた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長(5日に再選)は、トルコのイスタンブールで開催中の総合委員会で「連立はシリア国民の唯一の正統な代表として、シリア革命が求めてきた最低限の要求も譲歩しない」と意気込みを示した。

また前日の選挙で過半数に達しなかった副議長1人と書記長の再選挙が行われた。

副議長選挙は、ファールーク・タイフール副議長(シリア・ムスリム同胞団)とジョルジュ・サブラー・シリア国民評議会事務局長が立候補し、タイフール氏が再選された。

事務局長選挙は、バドル・ジャームース事務局長とムスタファー・サッバーグ前事務局長(地元評議会ブロック)の間で争われるはずだったが、サッバーグ氏が立候補を取り下げ、ジャースィム氏が無投票当選した。

事務局長選挙に関して、クッルナー・シュラカー(1月6日付)は、トルクメン運動のズィヤード・ハサン氏の話として、サッバーグ氏が、正副議長のほとんどが再選したことを不服とし、立候補を取り下げるとともに、自らが率いる地元評議会ブロックのメンバーや支持者に総合委員会のボイコットを呼びかけ、約40人がこれに応じ、文書で脱会を表明したと報じた。

アナトリア通信(1月7日付)が入手した脱会者の共同声明によると、シリア革命反体制勢力国民連立からの脱会を表明した組織、代表メンバーは以下の通り:

組織

1. トルクメン運動
2. シリア・ビジネスマン・フォーラム
3. 地元評議会ブロック
4. シリア革命司令最高評議会
5. 自由シリア軍参謀委員会メンバー
6. 愛国的無所属メンバー
7. 革命運動体ブロック
8. シリア国民評議会革命無所属運動体ブロック

脱会者

1. リヤード・ハサン
2. アナス・アルヌート
3. ムハンマド・ムスタファー・ムッラー・ラシード
4. ズィヤード・ハサン
5. ムハンマド・ヤフヤー・マクタビー
6. アブドゥルイラーフ・ファフド
7. ナスル・ハリーリー
8. ズィヤード・ライイス
9. ムスタファー・アリー
10. リヤード・ヒジャーブ
11. カマール・ルブワーニー
12. ジャマール・ワルド
13. ムハンマド・サリーム・ハティーブ
14. スライマーン・ヒラーキー
15. ムハンマド・サフワン・ジャンダリー
16. ハーリド・マスブート
17. ジャラール・ハーンジー
18. ムハンマド・カッダーフ
19. ハーリド・アリー
20. ヤーミン・ジャウハリー
21. ムスタファー・サッバーグ
22. ファイサル・シャーミー
23. ヤースィル・ファルハーン
24. アドナーン・ラフムーン
25. ニザール・ヒラーキー
26. フサイン・サイイド
27. ワースィル・シャマーリー
28. ダーウード・アール・スライマーン
29. ジャワード・アブー・ハトブ
30. ムハンマド・アブドゥッサラーム・サイイド
31. ムハンマド・ダギーム
32. ムハンマド・アブー・ハイイル・シュクリー
33. ムハンマド・ハイイル・ワズィール
34. ハーリド・ハウジャ(駐トルコ代表=大使)
35. ムスタファー・サフタ
36. ムスタファー・シャルシュ
37. フアード・アッルーシュ
38. マフナド・イーサー
39. スィーバーン・アフマド
40. ムハンマド・シャッアール
41. ルワイユ・ミクダード

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民主的変革諸勢力国民調整委員会は執行部の4日に定例会を開き、ジュネーブ2会議などへの対応について協議し、その結果を6日付声明で発表した。

声明において、委員会は、現下の独裁体制から「民主的多元的文民政体」への転換をめざすとの原則を改めて確認し、ジュネーブ2会議がそのための政治プロセスの起点であるべきだと明言した。

また委員会は、「あらゆる形態のテロ」を拒否、「テロとの戦いは独裁制が続く限り不可能だ」と強調した。

国内の暴力

ダマスカス県では、AFP(1月6日付)が複数の活動家の情報として、バルザ区で軍と反体制武装集団が停戦に合意した。

同地区の停戦合意は、12月25日のダマスカス郊外県ムウダミーヤト・シャーム市に次ぐ動き。

バルザ区調整はフェイスブックで「同地区住民からなる委員会を通じた政府軍と自由軍青年の間での過去数日にわたる数々の仲介と交渉の試みを経て、両当事者間で発砲停止が合意された」と発表した。

同調整によると、停戦合意は「アサド軍のバルザ区全土からの撤退、民間人への同地区開放に向けた街道・街路の清掃、政権の拘置所からの逮捕者(バルザ区住民)の釈放」、「公共福祉改善後の住民の帰宅許可」を骨子とし、住民の帰宅は「街道開放、福祉改善、合意履行確認から2週間以内に始められる」と定められているという。

なお同調整は「自由シリア軍がそのメンバーをもって同地区の運営に携わり、政権側のメディアが報じているのとは異なり、誰一人として投降、武装解除しない」と強調した。

これに関して、SANA(1月6日付)は、軍消息筋の話として、軍部隊がバルザ区に入り、重火器の武装解除、住宅地に仕掛けられた爆弾の撤去を行い…、いわゆる自由シリア軍とシャームの民のヌスラ戦線の戦闘員200人が、バルザ区のシリア・アラブ軍に投降、武装解除した」と報じた。

一方、SANA(1月6日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、『ハヤート』(1月7日付)によると、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人運動(イスラーム戦線)などからなる武装集団が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が本部を置くラッカ市の県・市庁舎を包囲、無血開城を求めた。

この要求にダーイシュが応じ、ヌスラ戦線が県・市庁舎に入った。

クッルナー・シュラカー(1月6日付)によると、ラッカ市内での戦闘は依然として続いている、という。

また『ハヤート』(1月7日付)などによると、ダーイシュは、ティシュリーン・ダム「拘置所」、タッル・アブヤド国境通行所など対トルコ国境付近に設置していた検問所複数カ所から撤退した。

同報道によると、「拘置所」や検問所はシャームの民のヌスラ戦線に引き継がれる模様。

一方、シリア人権監視団によると、タブカ市でダーイシュとサラフィー主義武装集団が交戦した。

このほか、『ハヤート』(1月7日付)は、活動家の話として、ダーイシュに忠誠を誓ってきたラッカ県のフザイファ大隊が離反し、シャームの民のヌスラ戦線に忠誠を誓った、と報じた。

フザイファ大隊はラッカ県一帯の部族に強い影響力を持つとされる。

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ハマー県では、クッルナー・シュラカー(1月6日付)によると、カフルズィーター市で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と「自由シリア軍」(シリア革命家戦線と思われる)などからなる武装集団が交戦し、外国人5人を含むダーイシュ戦闘員7人と「自由シリア軍」戦闘員17人が死亡した。

カフルズィーター市での戦闘は4日から続いており、戦闘には、「自由シリア軍」のほか、イスラーム戦線が参加、シャームの民のヌスラ戦線とアジュナード・シャーム大隊の仲介のもと、ダーイシュに撤退と武装解除を求めているが、ダーイシュ側は応じないという。

これに関して、『ハヤート』(1月7日付)は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が撤退し、シャームの民のヌスラ戦線が制圧したカフルズィーター市で、ダーイシュに拉致されていた人質3人が遺体で発見されたと報じた。

一方、SANA(1月6日付)によると、ウカイリバート町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、ヒムス自由人運動の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、『ハヤート』(1月7日付)によると、ダーナー市にあるイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の教練所で、ダーイシュとイスラーム戦線が交戦した。

ダーイシュは、同訓練所などを含むダーナー市の拠点をシャームの民のヌスラ戦線に明け渡す決定を下している。

またカフルナブル市のダーイシュ本部跡で、約1週間前にダーイシュによって誘拐されたアルメニア教徒2人や子供1人の遺体が発見された。遺体はいずれも頭を切り落とされていた。

このほか、『ハヤート』(1月7日付)によると、ダーイシュが撤退したダーナー市近郊のダイル・ハッサーン村で拉致されていたアフリーン市郊外出身のクルド人市民10人が逃走に成功した。

一方、SANA(1月6日付)によると、ビンニシュ市、マアッルシャムシャ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャーム自由人イスラーム運動の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、『ハヤート』(1月7日付)によると、アレッポ市マサーキン・ハナーヌー地区、シャッアール地区、カーディー・アスカル地区でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とムジャーヒディーン軍が交戦する一方、ムジャーヒディーン軍はバーラー村一帯を制圧した。

またアレッポ市のハラク地区、ブアイディーン地区、ブスターン・バーシャー地区、ブスターン・ルッズ通行所一帯で活動するクルド戦線旅団が、ダーイシュ掃討の戦闘に参加した。

さらに『ハヤート』(1月7日付)によると、イスラーム戦線は、対トルコ国境に位置するジャラーブルス市を制圧した。

しかし、クッルナー・シュラカー(1月6日付)によると、ダーイシュがアレッポ市郊外のSyria Live Network(SLN)の事務所を襲撃し、機材などを強奪した。

またシリア革命総合委員会は、複数の活動家の情報として、ダーイシュがアレッポ市などで拉致した反体制メディア関係者ら50人以上を処刑したと発表した。

処刑された活動家のなかには、女性4人も含まれているという。

一方、シリア革命反体制勢力国民連立は、ムハンマド・ヤフヤー・ナアナーア元アレッポ県知事がフライターン市で何者かに拉致されたと発表した。

他方、シリア人権監視団によると、軍がブザーア村を爆撃し、子供3人を含む10人が死亡した。

またハラブ・ニュース(1月6日付)によると、シリア軍とアブー・イマーラ大隊が捕虜交換に合意、軍は大隊のヤースィル・ファウズィー前司令官(アブー・ジャアファル)を解放した。

なお、SANA(1月6日付)によると、アルバイド村、クワイリス村、カスキース村、ザルズール村、アレッポ中央刑務所周辺、ヒーラーン村、ハーン・アサル村、マアーッラト・アルティーク村、ナッカーリーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市ラーシディーン地区郊外、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(1月6日付)によると、アドラー市(旧市街)、ドゥーマー市、アルバイン市、ハーン・シャイフ・キャンプ、ダーライヤー市、リーマー農場、アーリヤ農場で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またジャルマーナー市に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が着弾し、市民4人が負傷した。

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ダルアー県では、SANA(1月6日付)によると、アトマーン村、フラーク市、ダルアー市各所で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(1月6日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、ガースィビーヤト・ナイーム村、ダール・カビーラ村、アスマド村、スルターニーヤ村、アクサフ農場、タルビーサ市郊外、ウンム・サフリージュ村、アブー・ジャリース村、マスアダ村、ウンム・リーシュ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、SANA(1月6日付)によると、シャッダーディー市・ハサカ市間の街道で軍が反体制武装集団の拠点を攻撃、戦闘員を殲滅した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(1月6日付)によると、ダイル・ザウル市ラサーファ地区、工業地区、ラシュディーヤ地区、ハウィーカ地区、アルディー地区、ダイル・ザウル市・タドムル街道沿いの軍拠点で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

レバノンの動き

NNA(1月6日付)によると、北部県トリポリ市ザヒリーヤ地区で、何者かが軍の車輌に手榴弾を投げつけ、兵士2人が負傷した。

イラクの動き

ヌーリー・マーリキー首相(兼イラク軍総司令官)は声明を出し、アンバール県ファッルージャ市民および部族に対して、「武力衝突を回避するため市内からテロリストを排除」するよう呼びかけた。

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イラキー・ニュース(1月6日付)によると、イラク空軍はアンバール県ファッルージャ市でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の車輌2台を破壊し、複数の戦闘員を殺害した。

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バービル県議会治安委員会のサーミル・スィーバーン司令官は声明を出し「武装した何者かがジュルフ・サフル地方の警察署に向かって迫撃砲弾7発を発射し、民間人6人が負傷した」と発表した。

また、バービル県議会治安委員会のファラフ・アブドゥルカリーム・カッファージー委員長はイラキー・ニュース(1月6日付)に対し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員多数がアンバール市方面からバービル県北部に潜入していると述べたうえで、SWAT部隊、連邦警察、イラク軍第31旅団が[テロリストや武装集団」を追撃するための大規模な作戦を開始したことを明らかにした。

諸外国の動き

AFP(1月6日付)は、シリアでの反体制武装闘争に参加していたフランス人サラフィー主義戦闘員のニコラ・ボン氏(30歳)がシリアで自爆攻撃を行い、死亡したと報じた。

ニコラ・ボン氏の弟のジャーン氏(22歳)も2013年8月にシリアでの戦闘で死亡している。

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国連のファルハーン・ハック副報道官は、ジュネーブ2会議へのイランの参加に関して、招聘者リストには記載されていないが、13日に予定されているジョン・ケリー米国務長官とセルゲイ・ラブロフ露外務大臣との会談でその是非が決定されるだろうと述べた。

Anadolu Ajansı, January 6, 2014、AFP, January 6, 2014、AP, January 6, 2014、Champress, January 6, 2014、Halabnews.com, January 6, 2013、al-Hayat, January 7, 2014、Iraqinews.com, January 6, 2014、Kull-na Shuraka’, January 6, 2014、Naharnet, January 6, 2014、NNA, January 6, 2014、Reuters, January 6, 2014、Rihab News, January 6, 2014、SANA, January 6, 2014、UPI, January 6, 2014などをもとに作成。

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シリア革命反体制勢力国民連立が総合委員会会合を開催しジャルバー氏が議長に再任される、イスラーム戦線は声明を出しイスラーム国との対決の意思を明確に(2014年1月5日)

反体制勢力の動き

イスラーム戦線は声明を出し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と戦うことを決定したと発表した。

Kull-na Shuraka', January 5, 2014
Kull-na Shuraka’, January 5, 2014

声明は、アレッポ県で「ムハージルーン」(外国人戦闘員)が攻撃にさらされているとしたダーイシュの声明(4日)を受けたもので、イスラーム戦線は「我々に対して攻撃を仕掛けてきた者が…アンサール(シリア人戦闘員)であろうがムハージリーン(外国人戦闘員)であろうが、我々は彼らと戦う」としたうえで、「我々は一つの派閥にジハードが独占されることを許さず…、「国家」を自称する派閥を受け入れることはない。なぜなら国家建設は言葉だけでなく設立のための諸条件を要するからだ」と主張し、対決の意思を明示した。

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イドリブ県で活動するハック旅団は声明を出し、「自由シリア軍」とイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の停戦に向けた仲介に反対の意思を表明、ダーイシュの放逐を主唱した。

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『ハヤート』(12月6日付)は、現地の複数の消息筋からの情報として、自由シリア軍の司令部(参謀委員会か否かは不明)がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と戦う反体制武装集団に数日前に武器を供与し、「ジュネーブ2会議開催を間近に控えたなかでの過激派への攻勢という事態の進展に西側高官が安堵の意を示している」と報じた。

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アレッポ県で活動するシャイフ・アブドゥルファッターフ・アブー・グッダ大隊が声明を出し、いかなる武装集団にも所属せず、独立して活動を行うとの方針を発表した。

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シリア革命反体制勢力国民連立がトルコのイスタンブールで総合委員会会合(第11期)を開会した。

会合では、ジュネーブ2会議への対応の審議、議長(任期6ヶ月)、副議長、書記長の選挙、総合委員会メンバーの定数(122人)拡大・改選などが予定されている。

当初は5、6日の2日間を予定していたが、7日まで延長することが決定された。

クッルナー・シュラカー(1月5日付)によると、5日の議事では、議長、副議長、書記長の選挙が実施され、議長選挙では、アフマド・ジャルバー・ウワイヤーン議長が総合委員会メンバー121人(定数122人、会合出席者数は120人)のうち65票を獲得し、議長に再選された。

議長選挙には、ムハンマド・リヤード・ヒジャーブ元首相も立候補したが、52票を獲得するにとどまった。

また副議長選挙では、ヌーラー・アミール女史、アブドゥルハキーム・バッシャール・シリア・クルド国民評議会代表がそれぞれ68票、82票を獲得し当選したが、ファールーク・タイフール副議長とジョルジュ・サブラー・シリア国民評議会事務局長は、それぞれ61票、52票と過半数に達せず、再選挙の実施が決定された。

さらに事務局長選挙では、バドル・ジャームース事務局長とムスタファー・サッバーグ前書記長が立候補したが、獲得票数が57票、59票といずれも過半数に達せず、再選挙の実施が決定された。

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リハーブ・ニュース(1月5日付)によると、ハサカ県マーリキーヤ(ダイリーク)市郊外の対イラク国境(イラク・クルディスタン地域)に設置されているスィーマルカー国境通行所が約3ヶ月ぶりに解放された。

通行所再開は、西クルディスタン人民議会とシリア・クルド国民評議会の合意によるもので、これを受け、「西クルディスタン」(シリア)から「イラク・クルディスタン地域」(イラク)に約700人が入国した、という。

国内の暴力

アレッポ県では、『ハヤート』(1月6日付)によると、シャリーア委員会がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に代わってマンビジュ市を完全制圧した。

しかし『ハヤート』(1月7日付)は、マンビジュ市を制圧したのがイスラーム戦線だと報じた。

またシリア人権監視団によると、アレッポ市マルジャ地区、ハイダリーヤ地区、カフルアンマ村、バータブー村、第46連隊基地周辺で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と反体制武装集団(ムジャーヒディーン軍)が交戦し、ダーイシュ戦闘員2人を含む3人が死亡した。

AMC(1月5日付)によると、マルジャ地区では、民間人4人が戦闘に巻き込まれて死亡した。

またタッル・リフアト市郊外では、ダーイシュが未明に反体制武装集団の戦闘員が乗ったバスを襲撃し、10人を殺害、またフライターン市にある反体制武装集団を拠点に対して爆弾を積んだ自動車で攻撃を加えた。

これに関して、『ハヤート』(1月6日付)は、タッル・リフアト市での戦闘で、ダーイシュの「ナンバー2」と目されるイラク人ハッジー・バクル大佐が死亡したとの情報が流れていると報じた。

一方、シリア人権監視団によると、アレッポ市ラーシディーン地区で、軍、国防隊が反体制武装集団と交戦し、双方に人的被害が出た。

他方、SANA(1月5日付)によると、ザルズール村、アルバイド村、カスキース村、クワイリス村、ヒーラーン村、アレッポ中央刑務所周辺、ヤーキド・アダス村、フライターン市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市ではセミラミス・ホテル周辺、カーディー・アスカル地区、カスタル・ハラーミー地区、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

このほか、クッルナー・シュラカー(1月5日付)は、アレッポ市ブアイディーン地区で「アフファード・ムルサリーン」(アブー・ライスを名乗る人物が指揮)がシャームの民のヌスラ戦線戦闘員1人を公開処刑した、と報じた。

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イドリブ県では、『ハヤート』(1月6日付)が、複数の消息筋の話として、反体制武装集団(ムジャーヒディーン軍など)が、同県およびアレッポ県におけるイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の最大の拠点であるダーナー市包囲、これを受けダーイシュは「イスラーム教徒の流血を回避するため」同市をシャームの民のヌスラ戦線に明け渡すことを決定する声明を出したと報じた。

またダーイシュはダーナー市包囲を受けるかたちで、対トルコ国境のアティマ村からも撤退したという。

なお、シリア人権監視団によると、この動きに先立ち、ダーイシュはザーウィヤ山のマガーラ村近くで反体制武装集団を要撃し、4人を殺害したという。

一方、『ハヤート』(1月6日付)は、活動家の情報として、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が県内各所から撤退させた兵力をサラーキブ市に結集させ、イスラーム戦線を主導するシャーム自由人イスラーム運動に対抗しようとしていると報じた。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、カフルズィーター市で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が、武器の引き渡しを求める反体制武装集団と交戦、7人を殺害した。

武器の引き渡しをめぐる両者の交渉は、シャームの民のヌスラ戦線が仲介していたが、ダーイシュは「武器を持たずに撤退することはない」として、引き渡し要求を拒否したという。

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ラッカ県では、『ハヤート』(1月6日付)によると、ラッカ市内の複数地区に、シャームの民のヌスラ戦線が展開、また住民がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の退去を求めるデモを行った。

また『ハヤート』(1月7日付)によると、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人運動(イスラーム戦線)などからなる武装集団が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が本部を置くラッカ市の県・市庁舎を包囲、無血開城を求めるなか、ヌスラ戦線はダーイシュ第2の拠点を制圧、拘束中だった「自由シリア軍」を構成するとされる武装集団のメンバー約50人を解放した。


ラッカ市では、ヌスラ戦線とシャーム自由人イスラーム運動が県知事公邸を、ダーイシュが県・市庁舎を占拠、本部として、対峙していたという。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、バービッラー市で、軍、国防隊、ヒズブッラー民兵、アブー・ファドル・アッバース旅団が、シャームの民のヌスラ戦線、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)などからなるサラフィー主義武装集団と交戦した。

またアッラーリー農場、ダーライヤー市、ヤブルード市などを軍が爆撃・砲撃した。

一方、SANA(1月5日付)によると、アドラー市(旧市街)、ムライハ市、ヤルダー市、バイト・サフム市、カーラ市郊外、ザバダーニー市郊外、ダーライヤー市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またジャルマーナー市に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が着弾市、市民3人が負傷した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、タッラー村にある軍の監視塔を反体制武装集団が砲撃し、軍兵士複数が死傷した。

一方、SANA(1月5日付)によると、カスタル・マアーフ町一帯で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、外国人の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、クッルナー・シュラカー(1月5日付)によると、タウヒード旅団に所属するイッザ・リッラー旅団がタブカ市でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦し、旅団の戦闘員2名が負傷、搬送先のラッカ市内の病院で死亡した。

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ダマスカス県では、SANA(1月5日付)によると、ジャウバル区、カーブーン区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(1月5日付)によると、アトマーン村、ダルアー市各所、フラーク市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、ムウタッズ・ビッラー旅団の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、SANA(1月5日付)によると、ハサカ市ナースィラ地区では反体制武装集団が爆弾を仕掛けた車を爆破、市民3人が負傷した。

レバノンの動き

NNA(1月5日付)によると、北部県トリポリ市のバーブ・タッバーナ地区とジャバル・ムフスィン地区で武装集団どうしが交戦し、1人が死亡、4人が負傷した。

イラクの動き

イラク軍対テロ部隊のファーディル・バルワーリー司令官はフェイスブック(1月5日付)で「我々はアンバール県の複数カ所でアル=カーイダ・リーダーのアリー・ディッビーと31人のアル=カーイダ・メンバーの殺害と、彼らの車輌4台の破壊に成功した」と綴った。

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イラキー・ニュース(1月5日付)によると、ヌーリー・マーリキー首相はアンバール県警察のハディー・ルザイジュ所長を解任し、イスマーイール・マフラーウィー副所長を所長に任命した。

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イラク国民議会のアドナーン・シャフマーニー治安国防委員会委員長は声明を出し、「テロリストの排除には部族の真摯な態度が必要である。なぜならテロリストは彼らを支援する者がいる場所に現れるからだ」と述べ、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)掃討への部族のさらなる支援協力を求めた。

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アフラール・ブロック(サドル潮流)に所属するイクバール・グラービー国民議会議員はイラキー・ニュース(1月5日付)に「イラクは、イラク軍によるテロとの戦いに対する全イラク人からの支持の姿勢を必要としている…。アフラール・ブロックはイラク治安部隊によるテロとの戦いを支持している」と述べた。

諸外国の動き

ジョン・ケリー米国務長官は訪問先のエルサレムで記者団に対して、ジュネーブ2会議へのイランの参加に関して「起こり得る」と述べ、従来の拒否の姿勢を軟化させた。

ケリー国防長官は「彼ら(イラン)は側面から貢献できるだろうか?彼らが介入する道はあるだろうか?すでにジュネーブにいるイランの代表が…プロセスに資することはあるだろうか?そうしたことが起こる道はあるかもしれない…。しかしそれは国連事務総長が決めねばならす、イラン自身の意思によって決定されるべきだ…。正式な招待、ないしは参加は、ジュネーブ1(ジュネーブ合意)の実施を支援する者になされる」と述べた。

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アナトリア通信(1月5日付)は、2013年12月半ばにイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に拉致されたトルコ人カメラマンのベンヤミン・アイギュン氏が無事解放されたと報じた。

Anadolu Ajansı, January 5, 2014、AFP, January 5, 2014、AMC, January 5, 2014、AP, January 5, 2014、Champress, January 5, 2014、al-Hayat, January 6, 2014, January 7, 2013、Iraqinews.com, January 5, 2014、Kull-na Shuraka’, January 5, 2014、Naharnet, January 5, 2014、NNA, January 5, 2014、Reuters, January 5, 2014、Rihab News, January 5, 2014、SANA, January 5, 2014、UPI, January 5, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア国民評議会がジュネーブ2会議への不参加の方針を改めて明確にするなか、シリア革命反体制勢力国民連立はイスラーム国に対する反体制武装集団の抵抗を全面支援すると発表(2014年1月4日)

反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(1月4日付)によると、アレッポ県アターリブ市シャリーア法廷のハリール・ガーウィー裁判長は「ビラード・シャームでのいわゆる「ダーイシュ」(イラク・シャーム・イスラーム国)に対するジハードは合法的なジハードだ」との見解を示した。

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ムジャーヒディーン軍は声明を出し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の武器庫から武器を捕獲したことを明らかにする一方、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動、アンサール大隊とともに、ダーイシュ掃討を行っていると発表した。

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ラタキア県で活動する反体制武装活動家らが、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に対抗するため、ラタキア自由青年運動を結成したと発表した。

『ハヤート』(1月5日付)が伝えた。

なお、イスラーム戦線、ムジャーヒディーン軍、シリア革命家戦線などによるダーイシュとの対決姿勢の鮮明化に関して、『ハヤート』(1月5日付)は、アレッポ・シャリーア委員会、シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム戦線内の一部の組織は、両勢力の仲介を視野に入れ、依然として中立的な態度をとろうとしている、と付言した。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に対する反体制武装集団の抵抗を「全面支援」すると発表した。

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シリア革命反体制勢力国民連立の入会委員会は、シリア公務員国民自由連合と代表交代に関する合意を交わし、12月31日に連立からの脱会を発表したアブドゥフ・フサームッディーン元財務次官に代わって、連合代表のリヤード・ファリード・ヒジャーブ元首相の代表入りを認めた。

クッルナー・シュラカー(1月4日付)などが伝えた。

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シリア国民評議会の事務局は3、4日の2日間にわたりトルコのイスタンブールで会合を開き、執行部の活動報告を受けるとともに、ジュネーブ2会議への参加の是非などについて協議した。

会合後の声明で、シリア国民評議会は「国内の政治、軍事、支援状況を精査した結果…、ジュネーブ2会議開催に向け、困難を排除しようとする反体制勢力の努力のすべてが良い結果をもたらさなかったことが明らかとなった」としたうえで、「なぜならシリア政府とその同盟者はジュネーブ1(ジュネーブ合意)の遵守を明言せず…、政権は合意を何ら実施しないばかりか、「テロとの戦い」という新たな目的を付加しようとしているからである。また政権は包囲…、樽爆弾による無差別殺戮、宗派主義的民兵によるシリアの占領を続けている」と政権を批判した。

そのうえで「ジュネーブ2会議がシリア革命の諸目標実現を保証するようないかなる事態の進展…も見出せない」と主張、「シリア革命反体制勢力国民連立がジュネーブ2会議への参加を決定した場合、連立を脱会するとの従来の決定と、現状においてジュネーブ2会議に参加しないことを改めて確認した」と明言した。

また声明では、「国際社会、シリア国民の友人が、テロへの恐怖を口実として、シリア革命に必要な支援を躊躇している」と批判した。

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シリア国民評議会のサミール・ナッシャール氏はAFP(1月4日付)に、「シリアの友連絡グループ各国代表、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表、ロシア外務省高官…との会合を経て、シリア国民評議会はジュネーブ2会議に参加する必要がないと考えるに至った」と述べた。

またナッシャール氏は「シリア国民評議会だけが参加を拒否しているのではない。シリア革命反体制勢力国民連立内に対話に反対する者もいる」と付言、「連立も最終的には参加しないだろう」と述べた。

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シリア人権監視団は、2日晩からアレッポ県、イドリブ県で激化しているイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とムジャーヒディーン軍などとの戦闘により、少なくとも60人が死亡したと発表した。

シリア政府の動き

反体制サイトのリハーブ・ニュース(1月4日付)は、共和国副ムフティーのアブドゥッラフマーン・ダラア師が、シリア軍兵士に対して反体制武装集団を支持する女性の強姦を認めるファトワーを発したと報じた。

国内の暴力

イドリブ県では、『ハヤート』(1月5日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がシリア革命家戦線などの攻勢を受け、ハーリム市から撤退した。

撤退は、ハーリム市に隣接するサルキーン市のアミール、アブー・アブドゥッラー・トゥーニスィーの戦死を受けたもので、ダーイシュは撤退に際して、拘束していた反体制武装集団の戦闘員30人を処刑した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市のアレッポ城周辺、カールトン・ホテル周辺などに軍が砲撃を加えた。

またナッカーリーン村、ティヤーラ村近郊のザルズール丘周辺などで、軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員がシャームの民のヌスラ戦線、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦した。

一方、シリア革命総合委員会は、アレッポ市でのイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とムジャーヒディーン軍との戦闘が、マーリア市、タッル・リフアト市、フライターン市、アナダーン市に拡大、これらの村からダーイシュが撤退し、ムジャーヒディーン軍が制圧したと発表した。

また、ムジャーヒディーン軍は声明を出し、ダーイシュと戦うため、1月5日午前8時からアレッポ市内の支配地域の通行を禁止すると発表、同地域の住民に外出を控えるよう呼びかけた。

他方、SANA(1月4日付)によると、クワイリス村、アルバイド村、ラスム・アッブード村、カスキース村、アレッポ中央刑務所周辺、マアーッラト・アルティーク村、マンスーラ村、マーイル町、ヒーラーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、サイイド・アリー地区、ザバディーヤ地区、カーディー・アスカル地区、ジャズマーティー地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アドラー市ウンマーリーヤ地区に対して軍が「樽爆弾」を投下した。

一方、SANA(1月4日付)によると、アドラー市(旧市街)、ドゥーマー市、ムライハ市、ザバダーニー市、アーリヤ農場、アッブ農場、ムニーン町、ハジャル・アスワド市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、アサーリー地区、カダム区で軍と反体制武装集団が交戦、アサーリー地区に軍が砲撃を行った。

一方、SANA(1月4日付)によると、ジャウバル区、カーブーン区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ダール・カビーラ村を軍が砲撃する一方、カルアト・ヒスン市一帯に「樽爆弾」を投下した。

また、クッルナー・シュラカー(1月4日付)は、複数の消息筋の話として、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がハサカ自由軍旅団(自由シリア軍)司令官のハフーズ・ジャルヤーン氏を逮捕・処刑したと報じた。

ジャルヤーン氏の遺体は、フール村・タッル・ハミース市(ハサカ県)間の街道に放置されていたという。

一方、SANA(1月4日付)によると、タルビーサ市、ラスタン市、ハウラ地方、ガースィビーヤト・ナイーム村、ハサウィーヤ村、ダール・カビーラ村、ガジャル村、南マシュジャル村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

またレバノン領内からタッルカラフ市郊外に潜入しようとした反体制武装集団を軍が撃退した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ハーン・シャイフーン市で、軍の拷問により、少年1人が死亡した。

一方、SANA(1月4日付)によると、アルバイーン山一帯で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市南部入口で軍と反体制武装集団が交戦した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、タッル・ハミース市近郊で反体制武装集団の司令官が何者かに殺害された。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ジャースィム市に軍が「樽爆弾」を投下、アトマーン村に砲撃を加えた。

一方、SANA(1月4日付)によると、ダルアー市各所で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(1月4日付)によると、マアラカ村、クルキス村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

レバノンの動き

イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が声明を出し、ベイルート県南部郊外(ダーヒヤ)ハーラト・フライク地区での自爆テロ(2日)の犯行を認めた。

声明はイウティサーム機構なる組織のtwitterのアカウント(https://twitter.com/e3tasimo/status/419447474953003008)から「イラク・シャーム・イスラーム国/情報省」の名で発表され、「悪魔の党の治安区域に浸透し…、その拠点を破壊し…、邪悪なる犯罪に下される重大な制裁の最初の小さな代価を支払わせた」と述べ、犯行を認めた。

声明はまた、自爆テロを「アレッポ国における最近の出来事」およびイラク・アンバール県などでの戦闘激化の一環をなす動きと位置づけ、アレッポ県で「ムハージルーン」(外国人戦闘員)が攻撃に曝されていると述べ、ダーイシュへの攻勢を強めるシリアの反体制武装集団を非難し、イラクでのダーイシュが軍事的成功を収めるなかで、ジュネーブ2会議開催を控えて、ダーイシュをアレッポ県から根絶しようとする大掛かりな陰謀に拍車がかかっていると断じた。

そのうえで、アレッポ県からのダーイシュの撤退により、同地域が「ヌサイリー派の軍」(アサド政権)に蹂躙されることになる、と警鐘を鳴らした。

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ナハールネット(1月4日付)によると、レバノン軍司令部は、12月末にベイルート県で逮捕されたアブドゥッラー・アッザーム大隊リーダー兼シャームの民のヌスラ戦線メンバーのマージド・マージド氏の健康状態が悪化し、死亡したと発表した。

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LBIC(1月4日付)によると、北部県トリポリ市バーブ・タッバーナ地区、ジャバル・ムフスィン地区で何者かが市民を狙撃、7人が負傷した。

イラクの動き

イラキー・ニュース(1月4日付)によると、イラク治安部隊がアンバール県で部族の協力のもと、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員25人を殺害した。

殺害した25人のなかには、ラマーディー市ブー・ファラジュ地区司令官のアリー・アブー・ダジャーナ氏も含まれているという。

諸外国の動き

駐キプロス中国大使は、シリアの化学兵器廃棄プロセスに関して、「国際社会の努力を支援している。このプロセスに参加するためキプロスに来た」と述べた。

ロイター通信(1月4日付)が伝えた。

AFP, January 4, 2014、AP, January 4, 2014、Champress, January 4, 2014、al-Hayat, January 5, 2014, January 6, 2014、Iraqinews.com, January 4, 2014、Kull-na Shuraka’, January 4, 2014, January 5, 2014、LBCI, January 4, 2014、Naharnet, January 4, 2014、NNA, January 4, 2014、Reuters, January 4, 2014、Rihab News, January 4, 2014、SANA, January 4, 2014、UPI, January 4, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国が自由シリア軍やムジャーヒディーン軍などが支配するアレッポ県内の複数拠点に突入、ヌスラ戦線の戦闘員らも負傷(2014年1月3日)

反体制勢力の動き

イスラーム戦線は声明(第4号)を発表し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)にアレッポ県アターリブ市からの即時撤退とムジャーヒディーン(「自由シリア軍」、イスラーム戦線の戦闘員)への殺戮を停止するよう求めた。

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シリア革命家戦線は声明を出し、「自由シリア軍」と民間人に対するイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の攻撃を「自らに対する攻撃」とみなすと発表、24時間以内に、武器引き渡しと、シリア革命家戦線、ないしは自由シリア軍への投降(参加)か、シリアからの退去のいずれかを行うよう、ダーイシュ戦闘員に呼びかけた。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、民主統一党人民防衛隊が、軍と連携しハサカ県タッル・ハミース市一帯の「自由シリア軍」への攻撃を続けていると非難した。

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シリア人権監視団は声明を出し、昨年12月15日以降の軍によるアレッポ市などでの「樽爆弾」による爆撃での犠牲者数が553人に達したと発表した。

うち158人は子供、48人は女性、35人以上が戦闘員、16人がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員だという。

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シリア人権監視団は、イドリブ県ハザーヌー町の検問所で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に従うダーウド旅団の戦闘員10人以上が数日前に、シャームの民のヌスラ戦線などからなる武装集団と交戦し、殺害されていたと発表した。

国内の暴力

アレッポ県では、『ハヤート』(1月4日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が「自由シリア軍」やムジャーヒディーン軍などが支配するアターリブ市および第46連隊基地の制圧をめざして攻撃を本格化し、アターリブ市に突入した。

シリア人権監視団によると、ダーイシュによるアターリブ市への砲撃で、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員複数名が負傷したという。

アターリブ市一帯での戦闘激化に関して、クッルナー・シュラカー(1月3日付)は、ダーイシュが2日から攻勢を強め、3日深夜にアブザムー町を制圧した後、アターリブ市の北部に位置するマアーッラト・アターリブ村方面からアターリブ市に突入を試み、同市を砲撃したと報じた。

同報道によると、ダーイシュは、ラッカ県から戦車4輌、ピックアップ・トラック約100台からなる増援部隊をアターリブ市一帯に派遣する一方、アブザムー町とアターリブ市東部の交差点に位置する検問所、イッビーン村の検問所、自由シリア軍第9師団基地などを制圧したという。

これに対して、アターリブ市を拠点とする「自由シリア軍」、イスラーム戦線などが応戦、同市へのダーイシュの突入を阻止、「アブー・アクラマ」を名乗るダーイシュの司令官を逮捕したという。

また、サッハーラ村を拠点とする「自由シリア軍」やイスラーム戦線などが、アレッポ県西部やイドリブ県に至る街道を寸断し、キッリー村、イッビーン村、ジーナ村、アブザムー町、バータブー村を奪還・制圧したという。

この戦闘で、ダーイシュの戦闘員20人以上が死亡、またイスラーム戦線側も5人の戦闘員が死亡した。

一方、SANA(1月3日付)によると、アルバイド村、クワイリス村、アレッポ中央刑務所周辺、マーイル町、ザルズール村、マアーッラト・アルティーク村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、カスタル・マシュト地区、サーフール地区、カーディー・アスカル地区、ザバディーヤ地区、バニー・ザイド地区、ブスターン・カスル地区、ジャズマーティーヤ地区、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ県郊外で、イスラーム戦線とイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が交戦し、戦闘員42人と民間人20人が負傷、病院に搬送された。

また同監視団によると、カフルナブル市、カフルタハーリーム町では、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の退去を求めるデモが発生した。

このほか、イドリブ市に対して軍が砲撃を加え、市民3人が死亡したという。

一方、SANA(1月3日付)によると、フバイト村、食品加工工場北部、カフルジャーリス村、アブー・ズフール町西部、ブワイティー村、タフタナーズ市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ルハイバ市、ヤブルード市、ドゥーマー市を軍が砲撃・爆撃、またサクバー市で、軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員、アブー・ファドル・アッバース旅団が反体制武装集団と交戦した。

ドゥーマー市への爆撃では「樽爆弾」が使用されたという。

またクッルナー・シュラカー(1月3日付)によると、ハーン・シャイフ・キャンプのパレスチナ人キャンプに対して、軍が「樽爆弾」を投下し、子供2人を含む4人が死亡、15人以上が負傷した。

一方、SANA(1月3日付)によると、ハラスター市、ザバダーニー市、クカイルッザイト市、ムライハ市、アドラー市(旧市街)、ダーライヤー市、ルハイバ市、ハジャル・アスワド市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム旅団、ハック殉教者旅団の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団がスクービーン村、サトマルフー村を手製の迫撃砲で攻撃する一方、軍はサルマー町一帯を「樽爆弾」で爆撃した。

一方、SANA(1月3日付)によると、カフリーヤ村、ヒルバト・スーラーン村、ラビーア町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ジャースィム市国立病院周辺での軍との戦闘員で、反体制武装集団の戦闘員1人が死亡した。

一方、SANA(1月3日付)によると、ダルアー市各所、アトマーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市郊外の戦闘で、反体制武装集団の戦闘員1人が死亡した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ダール・カビーラ村が軍の砲撃を受けた。

一方、SANA(1月3日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、クスール地区、カラービース地区、マサービグ地区、ワアル地区、カルアト・ヒスン市、ガースィビーヤト・ナイーム村、バイト・ハッジュー村、クマイリー村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、SANA(1月3日付)によると、ジャウバル区、バルザ区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、クッルナー・シュラカー(1月3日付)によると、タッル・ビーア村でアサド政権を支持していたシャイフの一人、アブドゥルアズィーム・シャイフー師を含む市民12人がタッル・ビーア村で遺体で発見された。

複数の活動家によると、シャイフー師らはシャイフー村を占拠したイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に背教宣告を受け、処刑されたという。

シャイフー師は2011年11月のアサド大統領によるラッカ市訪問時に、政権を支持する説教などを行っていた。

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SANA(1月3日付)は、スライマーン・アッバース石油鉱物資源大臣の話として、ダマスカス県バイタリーヤ地方およびヒムス県ザーラ村で、反体制武装集団が石油パイプライン2カ所を爆破、これにより首都ダマスカスをはじめとする国内の広い範囲が停電に見舞われたと報じた。

『ハヤート』(1月4日付)によると、このうちヒムス市近郊で爆破されたパイプラインは、タルトゥース県バーニヤース市の発電所に燃料を供給するためのもので、シリア人権監視団によると、これによりタルトゥース県のタルトゥース市、バーニヤース市、およびヒムス県一帯が停電となったという。

レバノンの動き

NNA(1月3日付)は、レバノン捜査当局がDNA鑑定により、ベイルート県南部郊外(ダーヒヤ)ハーラト・フライク地区での自爆テロ(2日)の実行犯をクタイバ・ムハンマド・サーティム氏と特定したと報じた。

Naharnet, January 3, 2014
Naharnet, January 3, 2014

同報道によると、サーティム氏(20歳)(は北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方出身で、レバノン大学トリポリ校に通っていたが、シリアに潜入し、反体制武装活動に参加していたという。

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レバノン軍司令部は、ベカーア県バアルベック郡アルサール地方で、シリア領内から不法入国したシリア人4人を逮捕したと発表した。

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『ウォールストリート・ジャーナル』(1月3日付)は、米国防省高官の話として、ヒズブッラーがシリアから高性能の対鑑ミサイル・システムの一部をすでにレバノン領内に持ち込んだと報じた。

ただし、同高官によると、すべての部品の搬入は終わっておらず、システムは作動してないという。

イラクの動き

イラク覚醒大会のアフマド・アブー・リーシャ議長は、AFP(1月3日付)に対し、イラク治安部隊および部族の民兵がアンバール県ラマーディー市などでイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦し、62人の戦闘員を殺害したことを明らかにした。

アブー・リーシ議長によると、62人の戦闘員のうち、アンバール県のダーイシュのアミール、アブー・アブドゥッラフマーン・バグダーディー氏を含む17人がハーリディーヤ市で、46人がラマーディー市で殲滅されたのだという。

またRT(1月3日付)によると、この戦闘で、ダーイシュのラマーディー市におけるアミールも殺害されたという。

諸外国の動き

バレリー・アモス人道問題担当事務次長はニューヨークの国連本部で記者会見を開き、シリアの紛争などについて言及、シリアおよび周辺諸国への人道支援のために65億ドルが必要だと述べた。

アモス人道問題担当事務次長はまた、シリアだけで930万人が支援を必要としており、650万人が避難生活を余儀なくされており、また約230万人が周辺諸国で避難生活を送っていると述べ、紛争の政治的解決の必要を訴えた。

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AFP(1月3日付)は、シリア国内からの化学物質の搬出を行うノルウェーとデンマークの貨物船がキプロスを発ち、シリアのラタキア港に向かったと報じた。

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国境なき医師団は声明を出し、シリア国内での医療活動に協力している5人の活動家が3日晩によって拉致されたと発表した。

AFP, January 3, 2014、AP, January 3, 2014、Champress, January 3, 2014、al-Hayat, January 4, 2014, January 6, 2013、Iraqinews.com, January 3, 2014、Kull-na Shuraka’, January 3, 2014、Naharnet, January 3, 2014、NNA, January 3, 2014、Reuters, January 3, 2014、Rihab News, January 3, 2014、RT, January 3, 2014、SANA, January 3, 2014、UPI, January 3, 2014、 The Wall Street Journal, January 3, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

 

ベイルート郊外で爆弾テロが発生しズウビー情報大臣がこれを批判するなか、ヌスラ戦線とイスラーム国がレバノンに軍事的に介入することを正式に決定(2014年1月2日)

反体制勢力の動き

ヨルダンのジハード主義潮流の幹部(匿名)はUPI(1月2日付)に、シャームの民のヌスラ戦線とイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が、「レバノンに軍事的に介入することを正式に決定した」と語った。

決定はヌスラ戦線指導者のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー氏、ダーイシュ指導者のアブー・バクル・バグダーディー氏によって2日になされ、「レバノンに正式かつ公然と介入し、ヒズブッラーをシリア全土から放逐、彼らが拘束している捕虜を解放する」ことがめざされるという。

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『ハヤート』(1月4日付)によると、アレッポ県西部で活動する反体制武装集団が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に対抗するために結集し、「ムジャーヒディーン軍」を結成した。

「ムジャーヒディーン軍」は、「命じられるままに実直であれ連合」、ヌールッディーン・ザンキー・イスラーム大隊、イスラーム・ヌール運動、第19師団、アンサール旅団、イスラーム自由旅団、アムジャード・イスラーム旅団、アンサール・ヒラーファ旅団、イスラーム・ヌール運動、ジュンド・ハラマイン旅団などからなり、ハーン・アサル村に作戦司令室を設置した。

ムジャーヒディーン軍はまた、自らがアレッポ市西部一帯(サラーフッディーン地区、サイフ・ダウラ地区、マシュハド地区、アンサーリー地区、ザバディーヤ地区)を「完全制圧」し、ダーイシュ戦闘員の活動を禁じたと発表した。

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ドゥーマー殉教者旅団は声明(第1号)を出し、「イスラーム戦線(イスラーム軍)」の声明(1日)における批判・嫌疑に反論、検問所制圧が、ドゥーマー市民へのイスラーム軍幹部らの悪行(拘留など)を背景としていると主張した。

Kull-na Shuraka', January 3, 2014
Kull-na Shuraka’, January 3, 2014

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シリア革命総合委員会は、アレッポ県ナッカーリーン村の前線司令官を務めていた空軍情報部特殊作戦司令官でスハイル・ハサン大佐に関して、SNSなどで、第80旅団基地近くで反体制武装集団の要撃を受け、死亡したとの情報が流れていると発表した。

ハサン大佐は「虎」の愛称で知られ、アレッポ市に転戦する前は、イドリブ県アリーハー市などでの反体制武装集団掃討作戦を指揮していた。

シリア政府の動き

ウムラーン・ズウビー情報大臣は、ベイルート県南部郊外(ダーヒヤ)ハーラト・フライク地区での自爆テロを「あらゆる基準において拒否されるべきテロ行為」と非難し、「世界のすべての国にとってテロとの戦いは義務だ」と述べた。

SANA(1月2日付)が伝えた。

国内の暴力

ラタキア県では、クッルナー・シュラカー(1月2日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ、アブー・アイマン・イラーキーが率いる部隊)が「自由シリア軍」の殉教者ウサーマ・アブラク病院(野戦病院)を襲撃し、「義足の戦闘員」として知られていたジャミール・ララー氏(アブー・ハッドゥー)を拉致した。

またシリア人権監視団によると、ハウィーヤ村などにある軍の拠点数カ所を反体制武装集団が砲撃し、複数の兵士が死傷した。

一方、SANA(1月2日付)によると、サルマー町一帯で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャーム・イスラーム自由人運動、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県、SANA(1月2日付)によると、イドリブ市・ビンニシュ市街道で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、クッルナー・シュラカー(1月2日付)によると、アターリブ市・サッハーラ村間の街道で、ハムザ・サイイド・シュハダー旅団(「自由シリア軍」)の司令官の一人アリー・ウバイド氏が遺体で発見された。

ウバイド氏は、街道に設置されたダーイシュの検問所で拘束・拉致されていたという。

シリア人権監視団によると、アレッポ市カッラーサ地区、ブスターン・カスル地区、カーディー・アスカル地区、バーブ・ハディード地区、サーフール地区、シャッアール地区、ファイイド地区、カーティルジー地区、サーフール地区、ダフラ・アワード地区、シャイフ・ナッジャール市(工業団地地区)で、軍が爆撃・砲撃を行い、複数の市民が死傷した。

軍はシャッアール地区などへの爆撃で「樽爆弾」を投下したという。

またアレッポ市サイフ・ダウラ地区、ライラムーン地区では、軍と反体制武装集団が激しく交戦、反体制武装集団がアレッポ市西ザフラー地区にある科学研究センターを手製の迫撃砲で攻撃した。

このほか、アナダーン市に対して、軍は「樽爆弾」で爆撃したという。

一方、SANA(1月2日付)によると、ザルズール村、アレッポ中央刑務所周辺、アルバイド村、クワイリス村、ヒーラーン村、ズィルバ村、マアーッラト・アルティーク村、ハイヤーン町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、シャイフ・ナッジャール地区、ハナーヌー地区、スッカリー地区、カーディー・アスカル地区、ブスターン・カスル地区、ジャズマーティー地区、カスタル・ハラーミー地区、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ワアル地区で大きな爆発が2回あった。

またヒムス市南部のヒルバト・ヒワーラ村、ガントゥー市に軍が砲撃を行う一方、イッズッディーン町周辺で軍と反体制武装集団が交戦した。

さらにレバノン国境に近いジュースィーヤ村郊外で、国防隊、ヒズブッラー戦闘員が反体制武装集団と交戦、双方に複数の人的被害が出た。

一方、SANA(1月2日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、クスール地区、タラフ村、カフルラーハー市、キースィーン村、ラスタン市郊外、クサイル市郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またレバノン領からクサイル市方面に潜入しようとした反体制武装集団を軍が撃退した。

このほかヒムス市カラム・シャーミー地区に、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾2発が着弾し、市民4人が負傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区、カーブーン区、ヤルムーク区で軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加えた。

またムワーサー地区のムワーサー病院に近いティシュリーン公園に迫撃砲弾2発が着弾した。

一方、『ハヤート』(1月2日付)は、シリアのサッカー代表チームのキャプテンを務めるマーヒル・サイイド氏がダマスカス県内で何者かに誘拐された、と報じた。

サイイド氏は12月31日の午後、練習に出かけたまま、消息を絶っているという。

他方、SANA(1月2日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またムワーサー地区のムワーサー病院裏に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾3発が着弾し、市民3人が負傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーイヤー市、ハーン・シャイフ・キャンプ一帯に軍が「樽爆弾」で爆撃を行った。

またクッルナー・シュラカー(1月2日付)によると、ザバダーニー市で活動するハック殉教者大隊司令官の「ライイス」氏が死亡した。

一方、SANA(1月2日付)によると、ザバダーニー市、バラダー渓谷、マダーヤー平原、アドラー市(旧市街)、ドゥーマー市、ムライハ市、ダーライヤー市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、クウェート人、カタール人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

またカタナー市に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾4発が着弾し、子供2人を含む3人が負傷した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ジャースィム市に軍が「樽爆弾」で爆撃を行うとともに、フラーク市を砲撃し、複数の市民が死傷した。

一方、SANA(1月2日付)によると、ダルアー市旧税関地区など、アトマーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市シャイフ・ヤースィーン地区を軍が砲撃する一方、ダイル・ザウル航空基地のミサイル大隊基地周辺で、軍と反体制武装集団が交戦した。

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ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(1月2日付)によると、民主統一党人民防衛隊が、「イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)ないしは自由シリア軍の支援を受けるアラブ系部族」の武装集団とタッル・ブラーク町東部のアビータフ村などで交戦し、武装集団戦闘員3人を処刑した。

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ハマー県では、SANA(1月2日付)によると、ラビーア村に反体制武装集団が迫撃を加え、女性1人、子供2人が死亡、6人が負傷した。

レバノンの動き

NNA(1月2日付)、マナール(1月2日付)などによると、ベイルート県南部郊外(ダーヒヤ)のハーラト・フライク地区アリード通りで、車に仕掛けられた爆弾が爆発(自爆)、少なくとも5人が死亡、80人余りが負傷した。

自爆テロはヒズブッラー政治局本部から数百メートルの場所で起きた。

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AFP(1月2日付)によると、シリア軍機がベカーア県バアルベック郡アルサール地方、ヒルバト・ダーウド地方を爆撃し、シリア人9人が負傷した。

同地域には、ダマスカス郊外県カラムーン地方から敗走したシリア人武装集団戦闘員が潜入し続けているのだという。

イラクの動き

イラキー・ニュース(1月2日付)によると、アンバール県ラマーディー市で、ブー・ガーニム部族の民兵が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)との交戦の末、戦闘員3人を拘束した。

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イラキー・ニュース(1月2日付)によると、ニナワ県モスル市南部でイラク警察の治安部隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の司令官の一人で指名手配中のサージド・ハマド・アティーヤ容疑者を殺害した。

AFP, January 2, 2014、AP, January 2, 2014、Champress, January 2, 2014、al-Hayat, January 2, 2014, January 3, 2014、Iraqinews.com, January 2, 2014、Kull-na Shuraka’, January 2, 2014, January 3, 2014、al-Manar, January 2, 2013、Naharnet, January 2, 2014、NNA, January 2, 2014、Reuters, January 2, 2014、Rihab News, January 2, 2014、SANA, January 2, 2014、UPI, January 2, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア革命反体制勢力国民連立のジャルバー議長がトゥウマ暫定内閣首班への事前通告なしにアサド政権の国防大臣に200万ドルを支給したと報じられる(2014年1月1日)

反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(1月1日付)は、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長がアフマド・トゥウマ暫定内閣首班への事前報告なしに、アスアド・ムスタファー国防大臣に200万米ドルを支給したと報じた。

支給の事実を知ったトゥウマ首班はムスタファー国防大臣に資金の返却を求めたが、ムスタファー大臣は100万ドルを返却しただけだという。

なおトゥウマ首班は返却された100万ドルを暫定政府各省に配分したという。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、ラッカ県タッル・アブヤド国境通行所局長のフサイン・スライマーン氏(シャーム・イスラーム自由人運動)を拉致・殺害したイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)を「ダーイシュとアサドのテロ体制の関係は有機的な関係であり…、アサドの悪党どもの望みを直接、間接に実現しようとしている」と非難した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のハイサム・マーリフ法務委員会委員長は、「シリア国民の殺害だけでなく、過激分子を多数製造したバッシャール・アサドは処罰されるべきだ」としたうえで、「イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)はアサド政権が革命の身体に植え付けた地雷だ」と断じた。

リハーブ・ニュース(1月2日付)が伝えた。

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『ハヤート』(1月2日付)は、シリア人からなる反体制武装集団のダーウド旅団(ハッサーン・アッブード司令官、シャーム・イスラーム自由人運動のハッサーン・アッブード司令官と同姓同名の別人)が、数日前にイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に合流した、と報じた。

同報道によると、ダーウド旅団は1,000人の戦闘員を擁する武装集団で、アッブード司令官は、この合流を受け、イドリブ県ダーナー市に隣接する地域の「軍事アミール」に任命されたという。

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『ハヤート』(1月2日付)によると、ハサカ県で活動するタウヒード・ワ・ジハード旅団とイカーブ旅団が合併し、タッル・ハミース市一帯での軍、国防隊、民主統一党人民防衛隊との戦闘に向けて合同作戦司令部を設置した。

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「イスラーム戦線(イスラーム軍)」は副司令官の署名入りで声明を出し、ドゥーマー殉教者旅団がアサド政権の「シャッビーハ」とともに、ダマスカス郊外県のミスラーバー陸橋、シャイフーニーヤ陸橋にある戦線の検問所を占拠し、アサド政権に奉仕し、ムジャーヒドゥーンどうしの内紛を助長していると厳しく批判した。

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市アキユール地区のマイサルーン病院近く、スッカリー地区、カーディー・アスカル地区、サーフール地区、フィルドゥース地区、マサーキン・ハナーヌー地区を軍が爆撃・砲撃し、複数名が死傷した。

Kull-na Shuraka', January 1, 2014
Kull-na Shuraka’, January 1, 2014

また軍はダイル・ハーフィル市に対しても砲撃を加えた。

一方、SANA(1月1日付)によると、ダフラト・アブドゥラッブフ地区、アズィーズィーヤ村、アレッポ中央刑務所周辺、シャイフ・ナッジャール市(工業団地地区)、クワイリス村、マアーッラト・アルティーク村、マンスーラ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

アレッポ市では、ラーシディーン地区、ハナーヌー地区、カスタル・ハラーミー地区、ジュダイダ地区、旧市街、ライラムーン地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザバダーニー市、ダーライヤー市、マルジュ・スルターン村一帯に対して、軍が「樽爆弾」で爆撃を行った。

またカフルバトナー町、サクバー市、ザムラーニー村に対しても、軍は砲撃を加えた。

一方、SANA(1月1日付)によると、ムライハ市および同市周辺、アドラー市(旧市街)、アーリヤ農場、ザバダーニー市、ハーン・シャイフ・キャンプ、ダーライヤー市、ハラスター市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム旅団の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区で軍と反体制武装集団が交戦、軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(1月1日付)によると、ジャウバル区、カーブーン区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またカッサーア地区に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が着弾し、市民2人が死亡した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市インシャーアート地区、旧市街に軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(1月1日付)によると、ヒムス市クスール地区、ガースィビーヤト・ナイーム村、ダール・カビーラ村、ハーリディーヤ村、キースィーン村、ハワーラ村、バアユーン村、タルビーサ市などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ市クスール地区にある検閲査察局ビル近くに迫撃砲弾が着弾した。死傷者はなかった。

一方、SANA(1月1日付)によると、サラーキブ市南西部、アブー・ズフール町西部、ブワイティー村、マアッラト・ヌウマーン市、イドリブ中央刑務所周辺、バーブッラー村、イドリブ市各所で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

また、イドリブ市内中心部に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾3発が着弾した。

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ダルアー県では、SANA(1月1日付)によると、ジーザ町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、ファッルージャ・ハウラーン旅団の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(1月1日付)によると、ムーリク市西部で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

レバノンの動き

ヒズブッラーの前線司令官フサイン・サラーフ・ハビーブ氏(アブー・アリー・リダー)の葬儀がベカーア県バアルベック市で執り行われた。

ハビーブ氏(30歳)は2013年5月のヒムス県クサイル市奪還戦でシリアの反体制武装集団に捕捉され、1週間前にクサイル市近郊で遺体が発見されていた。

AFP(1月1日付)が伝えた。

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NNA(1月1日付)などによると、シリア軍機がベカーア県バアルベック郡アルサール地方に領空侵犯し、同地を爆撃した。

イラクの動き

リハーブ・ニュース(1月1日付)によると、イラク当局は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がアンバール県の広範囲を制圧し、ファッルージャ市などの治安状況が悪化している、と発表した。

イラク当局によると、イラク軍のテロ撲滅部隊がダーイシュに制圧された地域の奪還を準備しているという。

これに関して、イラキー・ニュース(1月1日付)は、治安筋の話として、正体不明の武装集団がラマーディー市南西部の警察署4カ所を制圧しようとして放火し、全焼したと報じた。

また、イラク陸軍のアリー・ガイダーン司令官は、イラキー・ニュース(1月1日付)に「アンバール県でのテロは終わっていないが、我々は都市、砂漠であらゆるテロリストと戦うだろう」と述べた。

諸外国の動き

『ラディカル』(1月1日付)は、ハタイ県クルクハン市・レイハンル市間でトルコ警察が人道支援物資を積んでシリアに向かおうとしていた貨物トラックに隠されていた武器弾薬を発見、押収した。

AFP, January 1, 2014、AP, January 1, 2014、Champress, January 1, 2014、al-Hayat, January 2, 2014、Iraqinews.com, January 1, 2014、Kull-na Shuraka’, January 1, 2014, January 3, 2014、Naharnet, January 1, 2014、NNA, January 1, 2014、Radikal, January 1, 2014、Reuters, January 1, 2014、Rihab News, January 1, 2014、SANA, January 1, 2014、UPI, January 1, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリアの軍・治安部隊とヨルダン軍が両国国境地帯で衝突するなか、アナン特使が8月31日をもって辞任する意向を表明(2012年8月2日)

国内の暴力(アレッポ県)

シリア人権監視団によると、アレッポ市郊外のマンナグ航空基地を反体制武装勢力が砲撃、制圧を試みた。

同監視団によると、砲撃には軍・治安部隊から奪った戦車が使用された、という。

アブー・アリーを名のる反体制武装勢力戦闘員はロイター通信(8月2日付)に対して、「我々は空港を…戦車で砲撃した。数回攻撃したが、今回は退却を決断した」と述べた。

監視団によると、反体制武装勢力の攻撃に対して、航空基地に駐留していた軍部隊はアレッポ市と飛行場の間に位置するタッル・リフアト市に砲撃を加え、対抗した。

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シリア人権監視団によると、イッビーン村での砲撃で、女性3人と子供2人が死亡した。

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SANA(8月2日付)によると、カナーティル村近郊およびハージブ町で軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃、複数の戦闘員を殺傷した。

殺害した戦闘員のなかには外国人が多数含まれていた、という。

またサフィーラ市では、反体制武装勢力が占拠した学校で製造していた爆弾が爆発し、戦闘員多数が死亡した、という。

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シリア革命総合委員会によると、アレッポ市のサラーフッディーン地区、サーフール地区に対して、軍・治安部隊が激しい砲撃を加えた。

またシリア人権監視団によると、マイサル地区では軍のヘリコプターによる砲撃があり、ザバディーヤ地区では軍・治安部隊が反体制武装勢力と激しく交戦した。

なお同監視団によると、市内は電話やインターネットが不通となっている、という。

国内の暴力(そのほか)

ダルアー県では、『ハヤート』(8月3日付)が複数の消息筋の話として、国境地帯でシリア、ヨルダン両軍が交戦した、と報じた。

Kull-na Shuraka', August 2, 2012
Kull-na Shuraka’, August 2, 2012

交戦は、ダルアー県タッル・シハーブ地方とヨルダンのイルビド県ラムサー市郊外のタッラ村間で、ヨルダン兵士1人とシリア人避難民2人が負傷した、という。

この交戦に関して、自由シリア軍は『ハヤート』(8月3日付)に、ヨルダン軍がシリアの軍・治安部隊の拠点を攻撃し、シリア軍兵士が多数負傷した」と証言した。

しかし、ヨルダンのサミーフ・マアーイタ内閣報道官は、「ヨルダンの部隊が行ったのは交戦ではなく、標的となっていた避難民を保護することだった」と自由シリア軍の主張を否定した。

このほか、シリア人権監視団によると、ダルアー市で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦し、3人が死亡、数十人が負傷した。

一方、SANA(8月1日付)によると、軍・治安部隊が反体制武装勢力とダルアー市ダルアー・バラド地区で交戦し、戦闘員多数を殺傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、大統領公邸があるムハージリーン区で、治安部隊が「初の」大規模な摘発を行い、反体制活動家約20人が逮捕された。

またタダームン区、ダッフ・シューフ地区で軍・治安部隊と反体制武装勢力の交戦があった。

一方、SANA(8月2日付)によると、タダームン区、ダッフ・シューク地区で、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追撃し、多数の戦闘員を逮捕、武器弾薬、爆発物を押収した。

またシリア・アラブ・テレビ(8月2日付)は、在シリア・イラン大使館のアリー・ホセイン・ザーダ軍事顧問が7月31日にカフル・スーサ区で暗殺されたと報じた。

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ダマスカス郊外県では、SANA(8月2日付)によると、ハラスター市郊外の農場で軍・治安部隊が反体制武装勢力を要撃し、多数の戦闘員を殺害した。

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ヒムス県では、SANA(8月2日付)によると、クサイル市で軍・治安部隊が反体制武装勢力を要撃し、多数の戦闘員を殺害した。

またヒムス・タルトゥース街道では、武器弾薬を密輸送していた車2台を軍・治安部隊が取り押さえた。

タルビーサ市では、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追撃し、多数の戦闘員を殺害した。

シリア政府の動き

シリアの外務在外居住者省は国連の潘基文事務総長と安保理議長宛に書簡を提出し、一部の国がシリア領内でのテロ活動を支援しているのは安保理の諸決議に違反すると抗議、安保理に対してこれらの国に圧力をかけるよう求めた。

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シリアの外務在外居住者省は、アナン特使の辞意表明に関して声明を出し、「遺憾の意」を示すとともに、UNSMISに引き続き協力すると表明した。

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インテルファクス(8月2日付)などによると、ジャミール・カドリー経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣がロシアを訪問し、ロシアの副首相らと会談した。

訪問には、ムハンマド・ジュライラーティー財務大臣、サイード・ムウズィー・フナイディー石油鉱物資源大臣、マフムード・イブラーヒーム・サイード運輸大臣、アディーブ・マイヤーラ・シリア中央銀行総裁も同行し、シリア・ロシア間の流通、農業、石油・ガス、衛生、教育などの分野での協力深化について協議した。

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『クッルナー・シュラカー』(8月2日付)は、と政治治安部の元高官が、キリスト教徒地区への武器配給に協力したキリスト教徒の氏名を暴露したと報じた。

しかしギリシャ正教会は先週声明を出し、武器供与疑惑を強く否定している。

反体制勢力の動き

自由シリア軍国内合同司令部は、アレッポ市での政府協力者の処刑に関して声明を出し、「無責任な行為」と強く非難し、「現地で活動するすべての革命勢力および大隊にこうした行為を非難し、拒否する」よう呼びかけた。

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シリア革命評議会のハイサム・マーリフ暫定政府首班は『ハヤート』(8月3日付)に対して、評議会結成と暫定政府首班指名に対する反体制勢力の批判を「反体制勢力の病気の一部」と評した。

マーリフ暫定政府首班によると、評議会結成にあたっては、シリア・ムスリム同胞団のムハンマド・リヤード・シャカファ最高監督者、リヤード・サイフ元人民議会議員などと連絡をとり、協議済みだったという。

発足した評議会は、45人から構成され、そのほとんどが国内の活動家で、自由シリア軍の士官(アブー・ハーリド大佐)も含まれている、という。

またこの45人が事務局と、自身を含む6人からなる首班府(首班、副首班、および3人)を選出した、という。

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地元調整諸委員会は声明を出し、暫定政府に関して、「避けられない運命に向かって進む体制の支配からさらなる地域を解放するために自らを向かわせる愛国的暫定政府が必要」との立場を示し、在外の反体制勢力(ハイサム・マーリフ氏の暫定政府首班就任宣言)の動きを暗に批判した。

また暫定政府が「解放された地域の生活を調整し、国民レベルでの革命勢力の活動調整、世界の各国政府へのメッセージ発信」のために必要だと述べた。

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シリア民主世俗主義諸勢力連立は声明を出し、事務局の定員を拡大(25人)するとともに、技術局、地理局を新設したと発表した。

なお声明によると、シリア民主世俗主義諸勢力連立の構成組織は以下の通り:

1. フィラース・カッサース(シリア近代民主主義党)
2. ハーシム・スルターン(インフィターフ党)
3. アフマド・ジャッブーリー(国民民主合意党)
4. ジョルジュ・シャーシャーン(アッシリア民主機構)
5. ジャーン・アンタル(シリア正教運動)
6. アブドゥルカリーム・アーガー(シリア・トルクマーン民主運動)
7. アブドゥルアズィーズ・ターラーニー(クルディスタン・イェキーティー党)
8. マフムード・ファイサル(アラブ民族主義者潮流)
9. マフムード・ムスラト(国民民主ナフダ党)
10. ハージー・スライマーン(サワー運動)
11. ハッサーン・ジャマーリー(シリア国家建設潮流)
12. ジャンキーズ・ハッスー(無所属連合)
13. ムハンマド・ハニーフ・ムハンマド(シリア自由民主党)
14. アイハム・ドゥユーブ(啓蒙運動)
15. ジーファール・ナビー(友愛調整)
16. ムアイイド・アスキーフ(新シリア運動)
17. そのほか愛国的無所属活動家多数

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シリア人権監視団は、ダイル・ザウル市での戦闘に関して、7月だけで300人以上が殺害され、住民の70%以上(50万人)が県外に避難、同市での被害額は110億シリア・ポンド(1億5500万ドル)にのぼると発表した。

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アブドゥルハリーム・ハッダーム前副大統領は、軍創設記念日に合わせて声明を出し、「腐敗した専制が闘う国民に勝利した歴史はない」としたうえで、軍の将兵に離反して国民とともに戦うよう呼びかけた。

AKI(8月2日付)が報じた。

イラクの動き

イラク・クルディスタン地域を訪問中のトルコのアフメト・ダウトール外務大臣は、エルビルで同地域のマスウード・バールザーニー大統領と会談し、「アサド体制後のシリアの将来」について協議した。

会談後の共同声明では、シリア情勢を「危険で悲惨」と評したうえで、「宗派・エスニック紛争を断続的にエスカレートさせる政府の行為と政策」への非難の意が表明された。

また「シリアでの平和的政治的転換」の必要を強調、「シリアの未来はシリア国民の自由意思によって決せられない」とする一方、「あらゆる集団・組織が権力の真空を利用するあらゆる試み」を脅威とみなし、「共同して対処すべき」との立場を明示し、「新生シリアに過激なテロ集団や組織があってはならない」と主張した。

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エルビルでの会談を終えたダウトオール外務大臣はペシュメルガによって護衛され、キルクーク市を電撃訪問した。

同市での記者会見で、ダウトオール外務大臣は、自らの訪問を「歴史的」と自賛する一方、キルクーク市が「イラク統合の脊髄であり、同国のすべての集団の共存の象徴」だと述べた。

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ダウトオール外務大臣のキルクーク市訪問を受け、イラクのアリー・ムーサウィー首相付広報顧問は、「イラクの主権への侵害…、一国の外務大臣にふさわしくない潜入」と厳しく非難し、訪問が「キルクークに否定的な影響をもたらす」だろうと述べた。

ムーサウィー顧問は「何らの正当性もない奇妙な振る舞いだ…。我々はトルコと外交関係を結んでおり、大使を交換しているのに、なぜ主権を侵害するのか?」と述べた。

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またイラクのホシュヤール・ゼバリ外務大臣も「トルコのような重要な隣国の外務大臣にふさわしくない振る舞い」と述べ、「イラク内政へのあからさまな干渉」と非難した。

レバノンの動き

モーラ・コネリー駐レバノン米大使は、自由国民潮流代表のミシェル・アウン元国軍司令官と会談し、内務省総合治安局によるシリア人14人のシリアへの身柄引き渡しに「深く動揺している」との不満を表明した。

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進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は声明を出し、内務省総合治安局によるシリア人14人のシリアへの身柄引き渡しに関して、アッバース・イブラーヒーム局長の決定を批判、「平時においても司法の独立という概念を欠くシリアで…有罪を宣告されるまでもなく粛清される」と述べた。

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ナジーブ・ミーカーティー内閣は、シリア人避難民のニーズに応えるためUNHCRへの融資を承認した。

国際社会の動き

コフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使はジュネーブで記者会見を開き、任期が終了する2012年8月31日をもって特使を辞任すると発表した。

アナン特使は自身の「ミッションが必要とする支援を受けることできなかった…。国際社会にさまざまな対立があり、それらが私の任務を複雑なものとしてしまった」と辞任の理由を明らかにした。

またアナン特使は、流血が続く現状の「一部はシリア政府の非協力と6項目停戦案の実施拒否にあり、また一部は反体制派の軍事活動の増加による」と批判した。

さらにアナン特使は、「国際社会の一致団結した真摯な圧力なくして、私、そして私以外のいかなる人物も、まずシリア政府に、次に反体制勢力に政治プロセスを開始するのに必要な措置を講じることを強いることはできないだろう」と述べた。

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潘基文国連事務総長はアナン特使の辞意表明に関して、停戦イニシアチブへの「勇敢な努力への深い感謝の意」を示しつつ「深い遺憾の意」を示した。

潘事務総長は、「(国連は)外交努力を通じて暴力停止をめざす」との意思を示しつつ、「安保理内で続く分裂が外交を妨げ、いかなる行動・仲介もより困難なものとなっている」との懸念を表明した。

また「(シリア)政府と反体制勢力は依然として暴力をエスカレートしようとしているようだ」と批判した。

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国連安保理では、UNSMISの今後の処遇を協議するための非公式会合を行われた。

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ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が英国を訪問、デヴィッド・キャメロン首相と会談した。

シリア問題をめぐって、プーチン大統領は「実行可能な解決策」を案出することで合意したと述べた。

一方、キャメロン首相は、「我々の間に依然としていくつかの意見の相違がある」としたうえで、紛争を終わらせるための「行程を前進させるために外相どうしが話し合うだろう」と述べた。

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アルジェリアの複数の公式筋が明らかにしたところによると、西部の港町スィーディー・ファラジュ市に在留シリア人(避難民)を受け入れるためのセンターが開設された。

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FAOは報告書を発表し、食糧および農産物の支援を必要とするシリア人の数が300万人に達するだろうと推計した。

またシリア国内の危機により、2011年にシリアの農業部門は18億ドル相当の損害を被ったと発表した。

AFP, August 2, 2012、Akhbar al-Sharq, August 2, 2012、AKI, August 2, 2012、al-Hayat, August 3, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 2, 2012、Naharnet.com, August 2, 2012、Reuters, August 2, 2012、SANA, August 2, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イラク・シリア国境に達した自由シリア軍が同地通行所でイラク国境警備隊と撃ち合いに、安保理決議第2059号が全会一致で採択されUNSMISの任期が30日延長される(2012年7月20日)

国内の暴力(ダマスカス県)

シリア・アラブ・テレビ(7月20日付)は、軍・治安維持部隊がダマスカス県マイダーン地区での激しい戦闘のち「テロリストの残党を完全に浄化」したと報じた。

SANA(7月20日付)などによると、軍・治安部隊は数百人の戦闘員を逮捕したが、そのなかにはシリア人以外の戦闘員も含まれていたという。また大量の武器弾薬を押収した。

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AFP(7月20日付)も、治安消息筋の話として、ダマスカス県内の複数地区を軍が奪還・制圧した、と報じた。

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シリア情報省が記者約20人にマイダーン地区での取材を許可した。

マイダーン地区内を取材したAFP(7月20日付)によると、反体制武装集団掃討作戦は、7月18日に開始され、20日早朝に完了した、という。

掃討作戦に参加したのは、共和国護衛隊の部隊と特殊任務を目的とする師団で、前者は緑を基調とした迷彩服、後者は灰色を基調とした迷彩服を着ている、という。

また反体制武装集団は約600人おり、ザーヒラ地区、タダームン区、タッル・ムニーン地区からマイダーン地区に潜入してきたという。

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これに対して、反体制武装集団は、マイダーン地区での激しい攻撃を受けた結果の「戦術的撤退」に過ぎないと反論した。

アブー・ウマルを名のる活動家は「戦術的撤退だ。我々は依然としてダマスカスにいる」とAFP(7月20日付)に語った。

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シリア人権監視団によると、マイダーン地区で爆発音が何度も鳴り響き、軍の戦車、兵員輸送車輌が同地区に突入したという。

また同監視団によると、カフルスーサ区でも軍と反体制武装集団が激しく交戦し、1人が死亡した。

このほか、マッザ区なども戦闘が続いた、という。

国内の暴力(国境地帯)

『ハヤート』(7月21日付)は、イラクのニネベ県の対シリア(ハサカ県)国境に位置するワリード通行所の国境警備隊筋の話として、「自由シリア軍が対イラク国境の国境通過点5カ所以上を制圧し、アンバール県の部族長に接触し、イラクの国境警備隊に自由シリア軍と交戦させないよう説得を求めた」と報じた。

同消息筋によると、自由シリア軍はイラク国境警備隊に直接話しかけてきたが、何らかの緊張状態が発生し、撃ち合いになった、という。

その後、イラクの武装部隊総司令官が、各国境通行所の高官に直接連絡し、個人の判断で行動しないよう通達したという。

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自由シリア軍のハーリド・アブー・ズィヤード中尉はAFP(7月20日付)に対して、「19日晩から20日昼まで続いた戦闘で、ブーカマール市の国境通行所を制圧した」ことを明らかにした。

しかし「イラク軍が国境の向こう側に展開した。我々は彼らと話そうとしたが、耳を傾けてもらえず、我々に発砲してきた。なぜなら彼らはアサドに忠実だからだ」と述べた。

国内の暴力(その他)

『ハヤート』(7月21日付)などによると、アレッポ市のサラーフッディーン地区などで軍・治安部隊と反体制武装集団が激しい交戦を行った。

また『サウラ』(7月21日付)によると、アレッポ市郊外のウールム・スグラー市の警察学校が反体制武装集団に襲撃されたが、治安維持部隊が応戦し、反体制武装集団に甚大な被害を与えた。

これに関して、シリア人権監視団は、襲撃の失敗で反体制武装集団の司令官アフマド・ファッジュを含む15人が死亡したことを明らかにした。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アルバイン市が軍・治安部隊の砲撃に曝され、1人が死亡した。

またサイイダ・ザイナブ町では軍・治安部隊による反体制武装集団掃討が続いた。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区、カラービース地区、ハーリディーヤ地区を軍・治安部隊が砲撃、1人が死亡した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ジスル・シュグール均衡で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦し、軍・治安部隊側に人的被害が出た。

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ダイル・ザウル県では、『サウラ』(7月21日付)によると、ダイル・ザウル市で治安維持部隊が反体制武装集団と交戦し、戦闘員多数を死傷させた。

シリア政府の動き

ダマスカス県カシオン山の殉教者墓地で、ダーウド・ラージハ国防大臣、ハサン・トゥルクマーニー副大統領補、アースィフ・シャウカト副参謀長の国葬が執り行われた。

葬儀には、ファールーク・シャルア副大統領、ファフド・ジャースィム・フライジュ国防大臣、ムハンマド・サイード・バヒーターン・バアス党シリア地域指導部副書記長、ムハンマド・ジハード・ラッハーム人民議会議長、リヤード・ヒジャーブ首相らが出席した。

アサド大統領は参列しなかった。

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バアス党シリア地域指導部は声明を出し、18日のダマスカス県ラウダ地区での自爆テロで重傷を負っていた地域指導部メンバーのヒシャーム・ビフティヤール少将が死亡したと発表した。

反体制勢力の動き

駐英の反体制組織シリア人権監視団は、ダマスカス、ハマー、アレッポで「ラマダーンの金曜日、ダマスカスで勝利が記されよう」と銘打った反体制デモが行われ、治安部隊が実弾を使用し、弾圧した、と発表した。

同監視団などによると、ダマスカス県ではマイダーン地区、カフルスーサ区、ルクンッディーン区ドゥンマル区で、アレッポ市シャッアール地区など、ヒムス県ハウラ地方、ラタキア市などデモが発生した、という。

シリア人権監視団はダマスカス県での戦闘激化に伴い、国内での暴力に関して詳細な発表ができずにいたが、突如として情報を再開示した。

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シリア・ムスリム同胞団政治局長のアリー・サドルッディーン・バヤーヌーニー氏(前最高監督者)はイスタンブールで記者会見を開き、同市で開かれていた大会でイスラーム政党を結成することが決定されたことを明らかにした。

国連の動き

国連安保理は安保理決議第2059号を全会一致で採択し、UNSMISの任期を30日延長した。

決議全文は以下の通り。

Commending the efforts of the United Nations Supervision Mission in Syria (UNSMIS),
1. Decides to renew the mandate of UNSMIS for a final period of 30 days, taking into consideration the Secretary-General’s recommendations to reconfigure the Mission, and taking into consideration the operational implications of the increasingly dangerous security situation in Syria;
2. Calls upon the parties to assure the safety of UNSMIS personnel without prejudice to its freedom of movement and access, and stresses that the primary responsibility in this regard lies with the Syrian authorities;
3. Expresses its willingness to renew the mandate of UNSMIS thereafter only in the event that the Secretary-General reports and the Security Council confirms the cessation of the use of heavy weapons and a reduction in the level of violence sufficient to allow UNSMIS to implement its mandate;
4. Requests the Secretary-General to report to the Council on the implementation of this resolution within 15 days;
5. Decides to remain seized of the matter.

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スーザン・ライス米国連大使は、安保理の枠外での反体制勢力への政治支援、制裁強化の努力を集中させるとの意思を示した。

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ロシア大統領付報道官は、「ロシア大統領は、安保理の枠外での行動は現実的ではなく、国際機関の権威を損ねるだけだろう」と述べ、西側諸国のシリアへの介入継続を牽制した。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、BBC(7月20日付)に対して、「安保理は責任を果たさなかった…。我々は安保理の枠外で活動し、反体制勢力への支援を重点的に行うだろう」と述べた。

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なお、西側の決議案が否決されたのち、パキスタンがUNSMISの任期の45日の延長のみを求める決議案を準備、ロシアのゲンナージー・ガティロフ外務次官は、「我々はパキスタンとともに作成した決議案を支持するだろう」と述べた。

だが、ロシア、中国などは、修正された上記英国案を支持した。

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国連人権高等弁務官報道官はジュネーブで記者会見を開き、ダマスカス県での戦闘激化により、過去48時間で約8,500人から3万人がレバノンに避難した、と発表した。

レバノンの動き

レバノンの大ムフティー・ムハンマド・ラシード・カッバーニー師は、シリア・レバノン国境にレバノン人の狙撃手が展開し、シリア人避難民の入国を阻止しようとしていると断じ、非難した。

イラクの動き

イラク航空は、『ハヤート』(7月21日付)に対して、1,200人以上のイラク人がシリアからバクダード空港に空路で非難したと発表した。

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イラク赤新月社は、シリア国内で避難生活をしていたイラク人避難民2,285人を受け入れるためのキャンプをワリード国境通行所の近くに設営した、と発表した。

諸外国の動き

シリア・アラブ・テレビ(7月20日付)は、アレクサンドル・オルロフ駐仏ロシア大使がラジオ・フランス(7月20日付)に「アサド大統領はジュネーブ合意、すなわち文明的に退任することに同意した」と述べたことに対して、「事実無根」と否定した。

その後、オルロフ大使は、BFMTV(7月20日付)で「アサド大統領が政権交代(に言及したジュネーブ合意)に同意したとしても、それは彼が自分で去るかどうかを決めるということで、それは対話の結果としてなされるものだ。だから「文明的退任」と述べたのだ」とトーンダウンした。

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インテルファクス通信(7月20日付)は、ロシアの軍・外交筋の話として、シリアの国内情勢が正常化するまで、メンテナンスのため回収中のヘリコプター3機の返却を延期することが決定されたと報じた。

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ロシアのアレクサンドル・ルカシェヴィッツ報道官は、「シリア政府に制裁を科すと脅迫する決議への支持を拒否したという理由で、一部の西側諸国がロシアにシリアでの暴力エスカレートの責任を押しつけようとすることは決して受け入れられない」と述べる一方、「西側の国々が少なくとも反体制武装集団に政治的解決への同意を求めていたら」事態は改善していはずだと西側諸国の介入を非難した。

他方、アサド大統領夫妻がロシアに亡命したとの一部メディアの報道に関して、ルカシェヴィッツ報道官は「今日は噂についてコメントしたくない」と否定した。

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『ハヤート』(7月21日付)は、ダマスカス県での暴力激化を受け、約16,000人のシリア人避難民がこの2日間で越境し、ヨルダン領内のラムサー市に流入した、と報じた。

AFP, July 20, 2012、Akhbar al-Sharq, July 20, 2012、BBC, July 20, 2012、al-Hayat, July 21, 2012、Naharnet.com, July 20, 2012、Reuters, July 20, 2012、SANA,
July 20, 2012、al-Thawra, July 20, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

「イスラーム国」を名乗る組織がシリア・トルコ国境の通行所を制圧したと発表、国連安保理でシリア政府への制裁に関する決議案が採決されるも廃案に(2012年7月19日)

国内の暴力

「イスラーム国」を名のる組織が、シリア・トルコ国境のバーブ・ハワー国境通行所を「完全制圧した」と発表した。

Youtube, July 19, 2012
Youtube, July 19, 2012

同組織シューラー会議のメンバーを名のる「アブー・ムハンマド・シャーミー博士」は、トルコへの通行、そしてシリアからトルコへの通行は完全に開放されたことを明らかにした。

http://www.youtube.com/watch?v=9olv3ukQifs

一方、シリア革命指導部最高評議会なる組織の報道官は、アラビーヤ(7月19日付)に対して、自由シリア軍の戦闘員がイドリブ県の対トルコ国境に位置するバーブ・ハワー国境通行所を制圧したが、撤退を余儀なくされた、と述べた。

Youtube, July 19, 2012
Youtube, July 19, 2012

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ロイター通信(7月19日付)は、反体制武装集団がアレッポ県の対トルコ国境に位置するジャラーブルス市の国境通行所を制圧した、と報じた。

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『ハヤート』(7月20日付)は、ダイル・ザウル県の対イラク国境に位置するブーカマール国境通行所も反体制武装集団の手に落ちた、と伝えた。

シリア国境警備隊の大尉は「シリア国旗が自由シリア軍の旗に換えられ、民間人の服を着た武装集団が通行所を歩き回っているのが見えた」と証言した。

一方、イラク内務省のアドナーン・アサディー内務次官はAFP(7月18日付)に対して、「イラク・シリアの国境通行所は、カーイム、タンフなどすべて自由シリア軍の手に落ちた。スィンジャールでは依然として戦闘が続いている」と述べた。

また「これ(制圧)は当然だ。なぜならこの地域の住民はシリア政府や首都に集中している軍に反対している。この地域は首都からは遠い…。だから陥落して当然だ」と続けた。

しかし「国境通過点に近いフジャイジーン村で、自由シリア軍は地元住民2人を殺害し、大尉の両手を…イラク兵の目の前で…切り落とした…。ハザーイー村、サラーマ村近くでも警官22人を惨殺した」と付言した。

こうした事態を受け、「自由シリア軍はいまだ承認されておらず、事態は深刻になっているため」、イラク側が、ブーカマール・カーイムの国境通行所を完全に閉鎖するとともに、それ以外のすべての通行所も閉鎖するだろうと明言した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラー代表によると、カーブーン区で、反体制武装集団との戦闘で、軍・治安部隊の兵士が少なくとも15人死亡し、軍・治安部隊が初めて戦車を投入した。AFP(7月19日付)が伝えた。

またマッザ区で、早朝から反体制武装集団と軍・治安部隊が激しく交戦、後者の兵士が少なくとも5人死亡した。軍・治安部隊はヘリコプターや迫撃砲を投入している、という。

マイダーン地区やタダームン区でも迫撃砲などによる攻撃は続き、それ以外にもドゥンマル区、ダマスカス郊外県のクドスィーヤー市、ムウダミーヤト・シャーム市で早朝から激しい爆発音や銃声が聞こえたという。

ダマスカス県南部および北東部での反体制武装集団と軍・治安部隊の戦闘激化に伴い、マッザ区、マイダーン地区、カフルスーサ区など数百世帯が砲撃を避けるため、パレスチナ人難民が多く暮らすヤルムーク・キャンプ地区などに避難したという。

AFP(7月19日付)は、シリアの匿名治安筋の話として、ダマスカス県マイダーン地区とタダームン区での戦闘は「非常に激しい」としたうえで、「48時間以内、ラマダーン月開始まで、ダマスカスからテロリストの掃討は続くだろう…。軍は現在のところ作戦を自制しているが、(民族治安局ビルでの)爆発後、ダマスカスの武装集団殲滅のためあらゆる武器を使用することを計画している」と報じた。

同消息筋によると、軍は「住民に戦闘地域から退避するよう求めているが、テロリストは住民を人間の盾にしようとしている」という。

一方、シリア・アラブ・テレビ(7月19日付)やドゥンヤー・チャンネル(7月19日付)は、ダマスカス県のタダームン区、マイダーン地区、カーア地区、ナフル・イーシャ地区で、軍服をまとい、共和国護衛隊の紋章を付けた武装集団が、軍に対する国民の信頼につけ込むかたちで犯罪行為を犯そうとしているとの速報を流した。

また『ティシュリーン』(7月20日付)は、マイダーン地区およびその周辺で軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦を続け、少なくともテロリスト20人を殺害し、また多数のテロリストが投降したと報じた。

また同地区内のアジトを制圧したほか、武装した四輪駆動車、RPG弾、手榴弾などの武器弾薬、外国貨幣を押収したという。

同報道によると、カーブーン区でも交戦が続き、多数のテロリストが死亡、投降した。

しかしその際、一部のテロリストが仲間の遺体を焼却し、彼らが外国人であることを隠そうとした、と報じた。

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ダマスカス郊外県では、反体制活動家によると、軍・治安部隊はヘリコプターを使用し、サイイダ・ザイナブ町を攻撃し、少なくとも60人が死亡したと主張、ユーチューブ(7月18日付)に映像をアップした。

シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラー代表によると、サイイダ・ザイナブ町の住民が多数、ナジュハー市方面に避難したという。

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ヒムス県では、シリア革命総合委員会によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区、ジャウラト・シヤーフ地区、カラービース地区、ガントゥー地区、クサイル市、タルビーサ市に対する砲撃が続いた。

一方、『ティシュリーン』(7月20日付)によると、タッルカラフ地方、クサイル地方で軍・治安部隊による反体制武装集団の掃討作戦が続いた。

またレバノンからの潜入を試みる反体制武装集団の戦闘員と対峙、撃退した、という。

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ダイル・ザウル県では、シリア革命総合委員会によると、ダイル・ザウル市、ブーカマール市、ハリータ村、シュハイル市で発砲があった。

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ハマー県では、シリア革命総合委員会によると、ハマー市で朝の礼拝を済ませて街に出た市民に治安部隊が発砲した。

一方、『ティシュリーン』(7月20日付)によると、ハマー市のマシャーウ・アルバイーン地区、旧アレッポ街道地区、ワーディー・ジャウズ地区で軍・治安部隊による反体制武装集団の掃討作戦が続き、大量の武器弾薬を押収、容疑者を逮捕した。

またラブダ村では軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦し、テロリスト多数を殺害、逮捕した。

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ダルアー県では、『ティシュリーン』(7月20日付)によると、ブスラー・シャーム市で治安維持部隊と反体制武装集団が交戦し、内務省筋によると、テロリストのガッサーン・ズウビーが死亡した。

シリア政府の動き

シリア国営テレビ(7月19日付)は、アサド大統領がファフド・ジャースィム・フライジュ新国防大臣の宣誓式を主催する映像を放映した。

al-Hayat, July 20, 2012
al-Hayat, July 20, 2012

ラージハ国防大臣らの暗殺以来、公の場に姿を現していなかったアサド大統領に関しては、「暗殺現場で負傷した」や「ラタキアに避難している」といった憶測が飛び交っていたが、映像公開により、シリア政府は大統領が通常通りの執務を行っていることをアピールした。

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AFP(7月19日付)は、ダマスカスの治安筋の話として、暗殺されたダーウド・ラージハ国防大臣、ハサン・トゥルクマーニー副大統領補、アースィフ・シャウカト副参謀長の国葬が20日(金曜日)にダマスカスで行われると報じた。

暗殺された3人のうち、ラージハ国防大臣はギリシャ正教徒、トゥルクマーニー副大統領補はイスラーム教スンナ派、シャウカト副参謀長は、家族がアラウィー派が多く住むタルトゥース県マドハラ村に移住したのちアラウィー派に改宗した、ないしは母親がアラウィー派の家系とされる。

なおシャウカト副参謀長の経歴については、拙稿「アースィフ・シャウカト少将は失脚したのか?:シリアをめぐる地域情勢の変化のなかで」(『国際情勢』No. 79、2009年、333-351ページ)を参照。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー報道官はAFP(7月19日付)に対して、ラージハ国防大臣らの暗殺が「この体制の終わりの始まり」と述べ、「体制とその抑圧的治安機関に大打撃を与えた」との見方を示した。

レバノンの動き

CNA(7月19日付)は、ダマスカスでのラージハ国防大臣らの暗殺事件発生後、シリア人約400人が新たにレバノン領内に避難、南部県スール郡、ザフラーニー郡、ナバティーヤ県ナバティーヤ郡、ビント・ジュベイル郡に向かったと報じた。

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ナビーフ・ビッリー国民議会議長は、ダマスカスでのラージハ国防大臣らの暗殺に関して、「このテロ行為が、国の統一を保障するために活動してきたシリア軍を寸断するために…行われたことは疑う余地がない」と非難した。

また「軍の寸断はシリアの分割と、アラブ地域におけるその役割の根絶をもたらすだろう」と警鐘をならし、「我々はシリアが危機を乗り越え、国内平和を達成すると信じている」と述べた。

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『ティシュリーン』(7月20日付)は、ミシェル・スライマーン大統領がアサド大統領と電話会談し、18日に暗殺されたラージハ国防大臣らに哀悼の意を示すとともに、爆破テロに対する強い反対の意を示した、と報じた。

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アドナーン・マンスール外務大臣はワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣に対して、ラージハ国防大臣ら爆弾テロの犠牲者への哀悼の意を伝えた。

イラクの動き

イラクのジャラール・ターラバーニー大統領は、アースィフ・シャウカト副参謀長の暗殺を受け、同副参謀長の妻でアサド大統領の実姉のブシュラー・アサド氏に弔電を送った。

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イラクのターリク・ハーシミー副大統領(テロ活動支援容疑で欠席裁判中)は現在滞在中のカタールで、離反したナウワーフ・シャイフ・ファーリス駐イラク・シリア大使と情報収集のため会談する用意があるとの意思を示した。

クルディスタン自治区にある副大統領暫定事務局が発表した。

国連の動き

国連の潘基文事務総長は声明を出し、ラージハ国防大臣らの暗殺を「厳しく非難」する一方、シリアの治安当局による(報復の)重火器使用への懸念を表明、安保理に対して、「自らの責任を果たし、集団的・実効的な行動」を呼びかけた。

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コフィ・アナン特使は、シリア政府への制裁とUNSMISの任期延長に関する決議案に関して、安保理諸国による一致団結と、流血停止と政治的転換の準備に向けた協力且つ協調的な行動を呼びかけた。

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国連安保理で、シリア政府への制裁に関する決議案が採決され、米英仏、インド、コロンビア、ドイツ、ポルトガル、トーゴ、モロッコ、グアテマラ、アゼルバイジャンは賛成したもの、ロシアと中国が拒否権を発動し反対、また南アフリカとパキスタンが棄権し、廃案となった。

米英仏独ポルトガルが共同提出した決議案は、UNSMISの任期を45日間延長することに加えて、シリア政府が10日以内にアナン特使のイニシアチブに従い停戦しなければ、国連憲章第7章に基づき(経済)制裁を科すことを求めていた。

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スーザン・ライス米国連大使は、「安保理の外で友好国とアサド体制への圧力を検討し続ける」と述べた。

またUNSMISに関しては「安全かつ組織的な撤退のための任期延長の用意がある」と述べる一方、露中の拒否権発動に関しては「シリア情勢の混乱を増す」と非難し、シリア政府に対して化学兵器の使用・移転を行わないよう警告した。

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ロシアのヴィタリ・チュルキン国連大使は、UNSMISの任期延長のみを目的に英国が準備した新たな決議案に関して「英国はこっけいな決議案を提出した。我々には検討の時間が必要だ」と述べ、20日に採決に応じるか否かを決する意思を示した。

また拒否権の発動に関しては「シリアへの制裁と軍事介入の脅迫を拒否する…。アナン特使の停戦案やジュネーブでのシリア協力グループの決定を実行するための行動に換えて、シリア危機の軍事化や紛争激化の試みを反故にした」と述べた。

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なお英国が提出した新決議案はUNSMISの任期を「一度だけ30日間延長する」ことを定めるとともに、アサド政権と反体制勢力の勢力の停戦を任期再延長の条件としている。

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UNSMISのロバート・ムード団長はダマスカスで記者会見を開き、ラージハ国防大臣らの暗殺に関して、犠牲者遺族や負傷者家族に哀悼の意を示すとともに、シリア情勢に関して「平和への途上にはない…。過去数日間でダマスカスで起きていることがそのことを示している」と述べた。

任期最終日を受けてダーマー・ルーズ・ホテルで記者会見を開いたムード団長はまた「私は去る。私は私と約400人の勇敢な男女が重大な課題に直面する状況下で最大限の努力をしたことに満足している」と述べた。

その他諸外国の動き

ロシアのユーリ・ウシャコフ大統領顧問は記者団に対して、ウラジーミル・プーチン大統領がトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相との会談やバラク・オバマ米大統領との電話会談で、アサド大統領退任後の亡命先について協議していないと述べた。

**

フランス外務省のベルナール・ヴァレロ報道官は、「暴力がとりわけダマスカスでここ数日エスカレートし、離反も増大している。このことは、ダマスカスの体制が日々、状況を制御できなくなりつつあることを示している」と述べた。

**

英国のデビッド・キャメロン首相は、アサド大統領が「去る時が来た。彼の体制は変革を必要としている…。転換が起きなければ、内戦が起きることは明白だ」と述べた。

その根拠として同首相は、「体制は国民に対して恐るべき行為を犯した。そしていまだに犯している」からだと続けた。

**

ヨルダンのアブドゥッラー国王は、CNN(7月18日付)に対して、「我々は政治的解決を切望しているのだが、最悪のシナリオの一つは、化学兵器の武器庫が敵(テロリスト)の手に落ちることだ」と述べた。

またラージハ国防大臣らの暗殺に関して、シリア政府にとって「大きな打撃」となったとしつつも、「近い将来に体制が終わるという結論に飛躍すべきだとは考えない」と述べた。

そのうえで「我々が政治的解決を後押ししたいと願っても、現地情勢は我々を追い越して推移するかもしれない…。内戦を回避する最後のチャンスだ」と付言した。

**

イスラエルのエフド・バラク国防大臣は占領下のゴラン高原を視察、ラージハ国防大臣らの暗殺に関して、「アサド家の体制の崩壊を加速するだろう。この事件はシリアの体制と、イラン人とヒズブッラーからなる過激な枢軸に大きな打撃となっている」と述べた。

AFP, July 19, 2012、Akhbar al-Sharq, July 19, 2012、al-Hayat, July 20, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 19, 2012、Naharnet.com, July 19,
2012、Reuters, July 19, 2012、SANA, July 19, 2012、Tishrīn, July 20, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア国家建設潮流のフサイン代表が「シリア祖国救済」と銘打った大会を7月28日に開催すると宣言するなか、シリア・クルド国民評議会と西クルディスタン人民議会の統合が決定したと報じられる(2012年7月12日)

ファーリス駐イラク大使離反

離反したナウワーフ・シャイフ・ファーリス駐イラク・シリア大使がアラビーヤ(7月12日付)に出演し、自身が「当初からシリア革命を支持していた」と述べた。

Youtube, July 12, 2012
Youtube, July 12, 2012

ファーリス大使の発言の概要は以下の通り:

「我々は変革しなければならなかった。しかし体制の方法は何ら変化しなかった。すべては大統領の手に握られており、(バアス)党は完全に独裁者の指導を隠蔽する組織に過ぎなかった。憲法第8条の廃止は何の前進も後退ももたらさないだろう…。新憲法は何の役にも立たない…。複数政党制は幻想で形式的だ。なぜなら政党を認可するか拒否するかは内務省の手に握られているからだ」。

「イランで離反宣言することでイラク当局を当惑させたくなかった。なぜならイラク政府はシリア政府と関係がよいからだ…。だから、イラクから出て、離反を宣言することにした。もちろん反体制勢力との調整はあった」。

「私はシリア国民の革命への参加を宣言する。第一に、自由シリア軍、調整組織、そして革命かといった国内の反体制勢力への参加を…」。

「国外の反体制勢力は努力しているが、国内との間に亀裂があり、彼らへの憤りは大きい。私は、シリア国民が国外の反体制勢力についてどのような話をしているのかを知っている」。

「軍・治安機関がシリア政府の持つ権力基盤である。しかしいずれの宗派においても大衆基盤を持っていない…。軍はいつまで結束を保つことができるだろうか?軍と治安部隊において離反が起きている」。

http://www.youtube.com/watch?v=c_pMVkikPmU

http://www.youtube.com/watch?v=SRyktaK4XHk&feature=relmfu

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シリアの外務在外居住者省は声明を出し、ナウワーフ・シャイフ・ファーリス駐イラク・シリア大使が職務に反する声明を発表し、その行為は法的責任を追及されるものだと非難した。

同声明によると、ファーリス大使はバグダートのシリア大使館での執務を無断で放棄、これを受け外務在外居住者省は懲戒免職とした、という。

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ナウワーフ・シャイフ・ファーリス駐イラク・シリア大使の出身地であるダイル・ザウル県では、ブーカマール市のアカイダート部族のカマール・ナージー・ファーリス・ジャッラーフ師がシリア・アラブ・テレビ(7月12日付)に対して、同大使の離反を確認したとしたうえで、アカイダート部族が開き、その離反を私的な見解を表明するための個人的行動に過ぎないとみなしたと述べた。

国内の暴力

ヒムス県では、SANA(7月12日付)によると、クサイル市郊外のクタイナ湖で治安維持部隊と2隻のボートに乗っていた武装テロ集団が交戦、ボートを破壊した。

またヒムス市のクスール地区でも治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、アンマール・ハマーディー、ウマル・ガムターウィー、ムハンナド・ハティーブらテロリスト多数を殺害した。

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ダルアー県では、SANA(7月12日付)によると、ハバブ氏で公共道路センターの要員が武装テロ集団と交戦し、ムハンマド・フアード・トゥルクマーニーらテロリスト3人を殺害した。

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イドリブ県では、SANA(7月12日付)によると、アリーハー市で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、テロリストに損害を与えた。

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SANA(7月12日付)によると、パレスチナ解放軍のムハンマド・ターリク・ハドラー少将が声明を出し、武装テロ集団がアレッポ県で同軍兵士17人を誘拐・殺害したと発表した。

遺体には拷問の跡が残っていた、という。

国内の暴力(反体制勢力発表)

ダマスカス県では、複数の反体制活動家によると、治安部隊がカフル・スーサー区に対して迫撃砲で「初めて」攻撃を加えた。ロイター通信(7月12日付)が伝えた。

迫撃砲による攻撃が「初めて」だとすると、これまで砲撃を受けてきたとの反体制活動家の発言がウソであったことになる。

またシリア革命総合委員会によると、バサーティーン地区、カダム区も軍・治安部隊の砲撃に曝された。

一方、シリア人権監視団によると、ルワーン地区に治安部隊が突入し、逮捕・捜索活動を行った。

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『クッルナー・シュラカー』(7月12日付)によると、ダマスカス郊外県南西部での軍・治安部隊と反体制武装集団の戦闘がクナイトラ県に飛び火した。

またシリア人権監視団によると、ダーライヤー市で治安部隊の発砲により1人が死亡し、ザバダーニー市での砲撃でも1人が死亡した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、親政府の武装集団がハーン・ジャウズ村近郊の街道で複数の車に発砲し、23人を殺害した、という。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、トゥライムサ村が軍・治安部隊の砲撃に曝された。その後、軍・治安部隊は同市に突入し、反体制武装集団との戦闘で7人が死亡した。

またカルナーズ町、ラターミナ町も軍・治安部隊の砲撃に曝された。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市バーブ・アムル地区周辺に対して、軍・治安部隊が砲撃を加えた。

また同地区周辺での戦闘で、反体制武装集団の戦闘員2人、民間人3人が殺害された。

クサイル市でも砲撃により2人、ガルナータ村でも2人(女性)が死亡した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、フラーク市、ブスラー・シャーム市に軍・治安部隊が突入した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、タッル・リフアト市、マーイル町が軍・治安部隊の砲撃に曝された。

またアレッポ市マイダーン地区で反体制武装集団戦闘員2人が殺害された。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市での砲撃で1人が死亡した。

国内の主な動き

『クッルナー・シュラカー』(7月12日付)は、信頼できる複数の消息筋の話として、ファールーク・シャルア副大統領が7月2日以来、執務室を訪れておらず公務に就いていないと報じた。

反体制勢力の動き

シリア国家建設潮流のルワイユ・フサイン代表はダマスカスで記者会見を開き、「シリア祖国救済」と銘打った大会をダマスカスで7月28日に開催すると宣言、「政府が主唱する改革に満足せず、また暴力的手段に依らない平和的方法での体制転換」のため、すべての反体制勢力に参加するよう呼びかけた。

Kull-na Shurakāʼ, July 12, 2012
Kull-na Shurakaʼ, July 12, 2012

フサイン代表は大会の目的に関して、「国の危機を回避し、暴力を停止し、専制を終わらせ、平和的政権交替を行うこと」と述べたうえで、「(大会は)対話ではなく、国内に愛国的運動を創出し、任務を遂行し、危機を回避することだ」と強調した。

アサド政権の改革プログラムに関しては、「政権に改革や国家運営の能力があるとは考えていない」と非難した。

在外の反体制勢力、とりわけシリア国民評議会に関しては、「我々は国外ではなく、国内で活動しており、彼らもここに来ればいい…。我々はこの土地にしがみつき、体制との戦いを国内で、シリア国民の間で行っている」と述べ、暗に批判した。

なお大会の呼びかけは、シリア国家建設潮流と国民潮流(バースィル・タキーッディーン代表)の相互理解覚書締結を受けて行われ、国民潮流も大会に参加する。

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法律研究調査センターのアンワル・ブンニー弁護士は、ダマスカス商業会議所のバッサーム・マリク氏(ビジネスマン)が、ダマスカス県内で5月と6月にゼネストを支援したために10日に逮捕され、アドラー刑務所に送還された、と発表した。

マリク氏は国内で反体制活動を行う民主的諸勢力国民調整委員会の執行委員会メンバー。

Kull-na Shurakāʼ, July 12, 2012
Kull-na Shurakaʼ, July 12, 2012

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Elaph.com(7月12日付)は、シリア国民評議会執行委員会のサミール・ナッシャール財務局長が、在外反体制勢力の活動資金横領疑惑に関して、「同評議会は発足以来、アラブ諸国から2500万ドルしか受け取っていない…。うち95%は国内で暮らす市民のために支出され、それ以外は近隣諸国の避難民のために支出された」と述べた。

またリビアの資金援助に関して、申し出があったもの資金は受け取っていないと述べる一方、3月に発足したシリア・ビジネスマン評議会から3億ドルを受け取っているとの情報に関してはこれを否定した。

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シリア国民変革潮流は声明を出し、改めて外交官に離反を呼びかけた。

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「包囲下の女性」を名のる人権団体は2011年3月以来、ヒムス市などでの軍・治安部隊による婦女暴行81件の証言を得たと発表した。

http://womengaza.maktoobblog.com/

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AFP(7月12日付)は、反体制政治同盟のシリア・クルド国民評議会と親体制でPKK系の民主統一党が主導する西クルディスタン人民議会がクルド最高委員会の名のもとに統合することを決定した、と報じた。

この決定は、イラクのクルディスタン自治区のマスウード・バールザーニー大統領がエルビルで主催した仲介を受けたもの。

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シリア国民評議会は声明を出し、パレスチナ解放軍兵士の誘拐・殺害を強く非難し、アサド政権がシリア国民とパレスチナ人の対立を助長しようとしていると断じた。

レバノンの動き

『サフィール』(7月12日付)は、ナジーブ・ミーカーティー首相に近い消息筋の話として、レバノン政府がシリア人避難民への医療支援を中心したと報じた。

同紙によると、政府の負担軽減への国際機関の支援がなかったのがその理由だという。

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ナハールネット(7月12日付)によると、シリア軍が北部県アッカール郡、ベカーア県バアルベック郡の国境地帯で、反体制勢力掃討のため越境砲撃を行い、子供3人を含む4人が負傷した。

諸外国の動き

フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、「反体制勢力が(マナーフ・トゥラース)准将が接近していることを認知している…。この方向で連絡がなされている」と述べた。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ハマー県北部のシャフシャブー山でソ連製のクラスター爆弾の残骸が発見され、軍・治安部隊が反体制武装集団掃討のために使用した可能性があると指摘した。

AFP, July 12, 2012、Akhbar al-Sharq, July 12, 2012、AKI, July 12, 2012、Aljazeera.net, July 12, 2012、Elaph.com, July 12, 2012、al-Hayat, July 13, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 12, 2012、Naharnet.com, July 12,
2012、Reuters, July 12, 2012、al-Safir, July 12, 2012、SANA, July 12, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

UNSMISが「シリア国内での武装暴力の激化」により同監視団の活動を中止すると発表、米ホワイトハウス報道官がシリアの政治的転換に向けた「次なる措置」が考慮されていることを明らかに(2012年6月16日)

UNSMISの動き

UNSMISのロバート・ムード司令官は声明を出し、監視団の活動を中止すると発表した。

声明でムード司令官は「過去10日間でシリア国内の武装暴力が激化し、我々の監視、調査、報告の能力が制限され、国内での対話開始や安定回復のための計画策定への支援ができなくなった」としたうえで、「平和的・移行的解決に向けた両当事者の意志が欠如」していると非難した。

そのうえで「多くの危険が伴うこうした状況下で、UNSMISは活動を停止する。新たな通知があるまでパトロール活動は行わず、本部に留まることなる…。状況が我々に任された任務を実行するに相応しいと判断すれば、活動を再開するだろう」と発表した。

国内の主な動き

シリアの外務在外居住者省はUNSMISの活動停止発表を受け、声明を出し、「監視団の安全を維持する…という(ムード司令官の)決定に理解を示している」としたうえで、これにより「武装テロ集団がアナン特使停戦案署名以降も犯罪行為を続けていることが明らかになった」と主張、シリア政府がアナン特使の停戦案を尊重していると主張した。

またアナン特使の停戦案に基づく危機解消を支持するとの意思を改めて示しつつ、「国連憲章第7章に基づき、実力行使に訴えると脅迫することでその履行をめざす」動きを批判、拒否するとの姿勢を示した。

国内の暴力

ヒムス県では、ヒムス市住民約1,000世帯は、国連、赤十字国際委員会、シリア赤新月社に対して、市内に取り残されている住民、とりわけキリスト教徒の避難を支援するよう呼びかけた。

SANA, June 16, 2012
SANA, June 16, 2012

ヴァチカンのフィディス通信(6月16日付)が伝えた。

『ハヤート』(6月17日付)によると、80万人いたヒムス市住民はすでにそのほとんどが避難し、現在は約400人が取り残されている。

この他、シリア人権監視団によると、ヒムス市に対して軍・治安部隊が攻撃を続け、5人が死亡、ファルハ-ニーヤ村(タルビーサ市近郊)でも砲撃により、5人が死亡した。

一方、SANA(6月16日付)によると、タッルカラフ市郊外のアルムータ村でレバノン領内から潜入を試みた武装テロ集団と当局が交戦し、テロリスト全員を殺害した。

またこれ以外にもクサイル市郊外のジャウラ地方、タッルカラフ市郊外のアズィーズィーヤ、アリーダなど複数カ所で武装テロ集団が潜入を試み、当局がそのうちの6人を殺害した、という。

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ダマスカス郊外県では、SANA(6月16日付)が、軍・治安部隊が住民の協力のもと、シャームの民のヌスラ戦線のリーダーの「右腕」で、ダマスカスでのテロを指揮していたとされるワリード・アフマド・アーイシュを殺害した、と報じた。

シリア人権監視団や地元調整諸委員会によると、軍・治安部隊の攻撃により、ドゥーマー市で7人が殺害された。

また同監視団によると、サクバー市で拷問の跡が残る市民5人の遺体が発見された。

さらにアルバイン市では子供2人を含む4人が砲撃により死亡し、サフナーヤー市郊外では治安部隊の発砲で青年1人が殺害された。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、スィナーイーヤ地区で軍用バスが爆破され、兵士1人が死亡した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ハバブ町近くでの軍・治安部隊との戦闘の直後、反体制武装集団の一つを指揮する離反兵の少尉が殺害された。

一方、SANA(6月16日付)によると、治安維持部隊が武装テロ集団とダルアー市郊外で交戦し、テロリスト2人を殺害した。

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イドリブ県では、SANA(6月16日付)によると、ズーフ地点から潜入を試みた武装テロ集団と当局が交戦し、多数のテロリストを死傷させ、トルコ領内に退却させた。

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アレッポ県では、SANA(6月16日付)によると、ナッカーリーン村にある通信局前で爆弾が仕掛けられた車が爆発した。

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ハマー県では、SANA(6月16日付)によると、カフルズィーター市で自動車爆弾が爆発市、警官1人が死亡した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(6月16日付)によると、ダイル・ザウル市で皮膚科の医師が武装テロ集団に暗殺された。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会など在外の反体制勢力はイスタンブールでの2日にわたる会合を終え、6月末までにアラブ連盟のもと、反体制勢力統一のための会合をカイロで開催することを決定、そのための準備委員会を設置した。

al-Hayat, June 17, 2012
al-Hayat, June 17, 2012

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長は『ハヤート』(6月17日付)に対して、「バッシャール・アサドとその一味との対話はない」としたうえで、国連憲章第7章に基づくアナン特使の停戦案の強制を、シリア国民ではなく、国際社会に呼びかけた。

またイランとヒズブッラーに対して「シリア国民の意思を尊重し、シリアの新たな段階に備えるよう」呼びかける一方、「シリア国民の革命を支援」するサウジアラビア、カタールなどの湾岸諸国の姿勢を賞賛した。

アサド政権に関しては、「このような力の行使は…弱さは自己不信を示している」としつつも、「体制打倒の期限を限定することは困難だ」と述べるとともに、「我々はバアス党を根絶するつもりはなく、バアス党を一つの政治勢力とみなしている…。我々は専制の根絶をめざしている」と主張した。

一方、イスタンブールでの会合に関しては、「未来のシリアのための移行期間に関するシリアの反体制勢力のビジョンを体現するような国民文書を通じて各派の立場を統合することが目的であり、それによりシリア国内、近隣諸国、国際社会を安堵させる」と述べた。

自由シリア軍とシリア国民評議会の関係に関しては、「数度にわたり会い、連絡をとりつづけており…、現地での努力を糾合するため大いなる努力をしている」と述べた。

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シリア国民評議会は声明を出し、ヒムス市が「3万人以上」の軍・治安部隊によって包囲され、攻撃を受けており、「大虐殺」の危険があると警鐘を鳴らし、国連に民間人「保護」のための介入を呼びかけた。

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民主的変革諸勢力国民調整委員会は声明を出し、アサド政権による暴力継続を非難する一方、「外国のアジェンダに従い、非民主的な性格の武装集団が問題を軍事化し、暴力を用いている」と反体制武装集団の活動を批判した。

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アナトリア通信(6月16日付)は、シリア軍の上級士官が離反し、トルコに避難、これによりトルコ国内のシリア軍を離反した上級士官の数は10人に達した、と報じた。

新たに離反した上級士官の氏名などは公表されなかった。

イラクの動き

イラクのターリク・ハーシミー副大統領は滞在先のトルコでフランス24(6月16日付)のインタビューに応え、そのなかでシリアでの住民保護のため力を行使するよう国連に呼びかけた。

また反体制勢力への武器供与に反対するヌーリー・マーリキー首相の姿勢を批判した。

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『クッルナー・シュラカー』(6月16日付)は、PKK系のクルド民族主義政党、民主統一党がイラクに避難したクルド民族主義活動家の「粛清」(暗殺)を行おうとしていると報じた。

レバノンの動き

自由国民潮流代表のミシェル・アウン元国軍司令官は、『サフィール』(6月16日付)に対して、「現下のシリア情勢が我々をそうした戦争(内戦)に陥れることはない…。しかし(シリアの)体制が崩壊すれば、戦争になるだろう」と述べた。

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進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は『シャルク・アウサト』(6月16日付)に対して、「シリアの将来をめぐる対話が大国の手に委ねられている状況下で、域内の政治勢力は何もできないと思う」と述べた。

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国連UNSCOLのロバート・ワトキンス代表は『ナハール』(6月16日付)に対して、シリア情勢が悪化すれば、レバノン政府はシリアと距離を保つ現下の政策を維持できなくなるだろうと述べた。

諸外国の動き

米ホワイトハウス報道官は、シリア政府にアナン特使の停戦案を受諾するよう改めて求めるとともに、「血塗られた長期的な内戦が発生することを回避する」ため、「国際社会のパートナーと、政治的な転換に向かうための次なる措置を協議している」と述べた。

米国防総省高官はCNN(6月16日付)に対して、米国は過去1年半にわたってロシア軍の貨物船によるシリアへの武器、装備の搬入を監視していると述べた。

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EUは、6月17日からタバコ、アルコール飲料、革靴、キャビアなどの奢侈品のシリアへの販売を禁止することを決定した。

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トルコ外務省高官は、トルコ領内のシリア人避難民の数が30,000人に達したと述べた。

AFP, June 16, 2012、Akhbar al-Sharq, June 16, 2012、al-Hayat, June 17, 2012、Kull-na Shurakaʼ, June 16, 2012、al-Nahar, June 16, 2012、Naharnet.com, June 16, 2012、Reuters June 16, 2012、al-Safir, June 16, 2012、SANA, June 16, 2012、al-Sharq al-Awsat, June 16, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

西側諸国、湾岸諸国など83カ国が参加するシリアの友連絡グループ第2回会合が開催されるも、反体制派を取り巻く状況に大きな変化は生じず(2012年4月1日)

シリアの友連絡グループ第2回会合

イスタンブールでシリアの友連絡グループ第2回会合が開かれ、西側諸国、湾岸諸国など83カ国が参加したが、現状打開のためのいかなる具体的な決定もなされないまま閉会となった。

al-Hayat, April 2, 2012
al-Hayat, April 2, 2012

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会合では、コフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使の6項目停戦案を受諾したアサド政権に対して、停戦案履行の期限を設けるべきだとの意見が相次いだ。

しかし、自由シリア軍の武器供与や安全保障地域の設置などに関しては何らの進展も見られなかった。

またアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長が、政治的解決の試みすべてが頓挫した場合、国連憲章第7章に基づき、暴力停止や刑事裁判所への政権幹部の訴追を求める安保理決議の採択を求めたが、この提案をめぐる具体的な審議はなされなかった。

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『ハヤート』(4月2日付)によると、会合では自由シリア軍の武器供与などを念頭にアサド政権に強硬な姿勢で対処しようとするトルコ、サウジアラビアと、シリアへの軍事干渉がもたらす混乱激化に慎重な姿勢を示す西側諸国の温度差が目立った。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は開会の辞で「シリア国民の合法的な自衛権を支援する以外に選択肢はない」と述べ、自由シリア軍の武装や安全地帯設置に向けて国際社会が積極的な行動をとるよう呼びかけた。

またアフメト・ダウトオール外務大臣は「シリア情勢に関するラスト・チャンスだ」と述べ、停戦案履行の期限を設けるべきだと強調し、「民間人保護のため統一的な姿勢をとらねばならない。物資の搬入と暴力停止のための統一行動計画を持たねばならない」との意見を表明した。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、アサド政権による6項目調停案実施の「時間的猶予を限定すべき」と述べた。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は、シリア情勢に関して、「現状に関する私の読みでは、反体制勢力は力を増しており、その逆ではない」と述べた。

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閉幕声明では、アナン特使の6項目停戦案への全面支持と、アサド政権による履行の期限設定を求め、アサド政権に即時暴力停止を迫る一方、アラブ連盟外相会合による行程表への指示を表明し、アサド政権の打倒への意思を示した。

またシリア国民評議会に関しては、「シリア国民の合法的な一代表」、「反体制勢力の主軸」としての承認が確認されたもの、「排他的な唯一の代表」としての地位を求めている評議会の要求とはほど遠かった。

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第3回会合はパリで4月半ばに予定されている。

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なお、イスタンブールでは、シリア人約50人がシリアの友連絡グループ第2回会合に反対するデモ行進を行ったが、トルコの警察によって強制排除された。

アサド政権の動き

SANA(4月1日付)は、シリアの友連絡グループ第2回会合に関して、「シリアの友達の大会」の名のもとに合意したシリアの敵のシリア国民に対する新たな敵対行為・陰謀」としたうえで、アナン特使の危機打開の努力や危機打開を支持する国際社会のコンセンサスを逸脱させようとしている、と非難した。

国外の反体制勢力の動き

シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長は会合後にイスタンブールで記者会見を開き、「シリア国民の苦しみは形容のしようがないほどだ。我々は、シリア国民の要求のレベルに会合が達するまで待ってはいられない」と不満を表明した。

しかし評議会が「シリア国民の合法的な一代表」、「反体制勢力の主軸」として承認されたことに関しては、「アサド政権は非合法となった…国民はこの合法政権と戦う権利がある」と述べた。

一方、評議会による自由シリア軍への給与支払いに関しては、「財源が複数からの支援による」ことを明らかにした。

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『ハヤート』(4月2日付)によると、シリア・ムスリム同胞団広報局のバースィル・ハッファール氏は、「シリア国民の合法的な一代表」、「反体制勢力の主軸」としての承認に関して、「すでに自明のことで何ら新しいことではない…。なのに彼らはなぜそのことを根本から話し合ったのか?」と非難した。

またシリアの友連絡グループが「あるときは反体制勢力の統合、あるときは統一ビジョンの提示…ばかりを求め、国際社会は民間人が殺戮されているという現状からあまりにかけ離れて行動している」と付言した。

国内の反体制勢力の動き

Kull-na Shurakā’, April 1, 2012
Kull-na Shurakā’, April 1, 2012

民主諸勢力国民調整委員会はダマスカスで中央評議会を開催し、「新たな内規」と「今後の政治プログラム」を承認するとともに、新執行部を選出した。

会合後に発表された中央評議会声明第2号によると、国民調整委員会は、アナン特使のミッションなどシリア危機の政治的解決への支持を確認し、そのための即時暴力停止、平和的な手段での革命の目標の実現、政治犯の釈放、平和的デモの保障、民間人殺戮の責任者の処罰の必要を強調した。

また反体制勢力統一の努力を継続する必要を確認した。

一方、新執行部には以下の活動家が選出された。

アブドゥルアズィーズ・ハイイル
ムンズィル・ハッダーム
アーリフ・ダリーラ
バッサーム・マリク
ラジャー・ナースィル
ムハンマド・サーリム・ムスリム
アブドゥルマジード・マンジューナ
バッサーム・アイサミー
キファーフ・アリー・ディーブ

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会合後に開かれた記者会見で、ハサン・アブドゥルアズィーム代表は、アサド政権を打倒するとの確固たる委員会の姿勢が再確認されたと述べる一方、外国の軍事的介入を拒否するとの姿勢を改めて示した。

またクルド問題に関して、アブドゥルアズィーム代表は、「公正かつ民主的な解決案の創出」を確認したことを明らかにした。

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自由シリア軍による武装闘争に関して、ラジャー・ナースィル氏は、「自由シリア軍がシリア革命の一現象であり、平和的な民衆運動に対する政権の治安・軍事的措置の結果である」と述べ、「客観的に対処」する必要があるとの姿勢を示した。

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『クッルナー・シュラカー』(4月1日付)は、国内で反体制活動をする国民民主イニシアチブのムハンマド・サルマーンが反体制勢力を統合しないようアリー・マムルーク総合情報課長とアースィフ・シャウカト副参謀長(中将)によって脅迫された、と報じた。

真偽は定かでない。

国内の暴力

反体制勢力がインターネット上で、弾圧によりヒムス市で最初の犠牲者が出た2011年4月1日から1年経ったのに合わせるかたちで「ヒムスの殉教者記念日」と銘打ってデモを呼びかけていたが、デモが発生したと報じたのは、アサド政権に批判的なメディアだけだった。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、クーリーヤ市で、軍・治安部隊と離反兵が交戦し、市民・離反兵5人と軍・治安部隊兵士4人が死亡した。

またシリア革命総合委員会によると、同市では体制打倒を訴える反体制デモが発生した、という。

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ダルアー県では、シリア革命総合委員会によると、複数の都市で学生が体制打倒と自由シリア軍支持を訴える反体制デモを行った、という。

また軍・治安部隊の発砲で、離反兵4人を含む7人が殺害された、という。

一方、SANA(4月1日付)によると、県内各地で軍・治安部隊と武装テロ集団が交戦し、テロリスト多数が死亡した。

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イドリブ県では、地元調整諸委員会やシリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市で軍・治安部隊の発砲により、女性1人が殺害された。

またジスル・シュグール地方の対トルコ国境地帯で軍・治安部隊と離反兵が交戦し、前者の兵士4人が死亡、11人が負傷した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市で学生が反体制デモを行った。

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ハマー県では、シリア革命総合委員会によると、カルアト・マディーク町で身元不明の遺体3体が発見された。

レバノンの動き

ファーイズ・グスン国防大臣は、『ナハール』(4月1日付)に対して、対シリア国境で武器密輸摘発作戦を行っていると述べる一方、300キロの両国国境での密輸を完全に取り締まることは困難だと認めた。

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AFP(4月1日付)は北部県トリポリ市のバーブ・タッバーナ地区とジャバル・ムフスィン地区の間の軍検問所に向けて何者かが発砲し、兵士3人が負傷した。

諸外国の動き

イラクのヌーリー・マーリキー首相は、バグダードで記者会見を開き、シリアの「体制打倒のために力を行使するという言説では体制は倒れないだろう」と述べ、アサド政権の打倒を拒否する姿勢を明示した。

また「問題は体制と反体制勢力がともに頑なに対抗し合っており、武器が存在することだ…。我々アラブ人がすべきは、危機を鎮火することだ…。そうしなければ、我々、レバノン、ヨルダン、パレスチナ、そして地域全体に影響が及ぶ…。我々は武器供与、力による体制打倒を拒否する」と付言した。

さらに「おかしなことに、この二つの国は、鎮火のために行動するのではなく、武器供与を呼びかけている…。この二つの国は我々が武器供与と外国の介入に反対だという我々の声が聞こえることだろう」と述べ、サウジアラビアとカタールの対シリア政策を暗に批判した。

イラクはシリアの友連絡グループ第2回会合を欠席した。

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『ハヤート』(4月2日付)は、イラン外務省のカーゼム・サジャーディー報道官が、シリアで釈放されたとされる技師5人のイランが帰国したことに関して、この5人が誘拐されていた技師ではなく、シリア国内のシーア派聖地巡礼者だったと発表した、と報じた。

AFP, April 1, 2012、Akhbar al-Sharq, April 1, 2012、al-Hayat, April 2, 2012、Kull-na Shuraka’, April 1, 2012、al-Nahar, April 1, 2012、Naharnet.com, April 1, 2012、Reuters, April 1, 2012、SANA, April 1, 2012、al-Sharq al-Awsat, April 2, 2012などをもとに作成。

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アサド大統領が中国の翟隽外務次官と会談しシリアに対する中国指導部および国民の対応を評価、一方キールー氏ら著名な無所属活動家らが「シリア民主フォーラム」と称する反体制組織を新たに結成(2012年2月18日)

アサド政権の動き

アサド大統領はシリアを訪問中の中国の翟隽外務次官と会談した。

SANA, February 18, 2012
SANA, February 18, 2012

SANA(2月18日付)によると、アサド大統領は会談で、シリアに対する中国指導部および国民の対応を評価する一方、シリア情勢に関して「国家の分割、地域における地政学的な地位と歴史的役割に打撃」を与えることが(西側の)ねらいだとの見方を示した。

一方、翟外務次官は、「いかなる外国の干渉をも排除したかたちで、すべての当事者による対話を通じた危機の政治的正常化」の必要を強調するとともに、「安定した状態においてのみ、シリアは包括的な政治改革を行える」との立場を示した。

会談には、ワリード・ムアッリム外務大臣、ブサイナ・シャアバーン大統領府情報顧問も同席した。

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AFP(2月18日付)はシリア当局がスウェーデンのビデオストリーミング・サイト「Bambuser」の閲覧を制限したと報じた。

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SANA(2月18日付)は、内務省のハサン・ジャラーリー民事担当次官が26日に予定されている新憲法草案の国民投票に関して、有権者数が約1,460万人に及び、投票所が全国で13,835カ所設置されると発表した、と報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(2月18日付)は、アサド大統領が最近の治安当局高官との会合で、イスラエル国内(とりわけリクード内)米国にアサド政権存続を強く望む声があり、近くアサド政権に資するようなかたちでヒズブッラーやイランに対して直接的な行動に打って出ることを検討していることをロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣から知らされたことを明らかにしたと報じた。

国内の暴力・反体制デモ

ダマスカス県では、『ハヤート』(2月19日付)によると、マッザ区で17日(金曜日)のデモでの犠牲者3人の葬儀が行われた。

ダマスカス県・ダマスカス郊外県地元調整委員会報道官を自称するムハンマド・シャーミーを名のる人物によると、葬儀には約15,000人が参列し、衛星テレビ局での「一つ、一つ、一つ、シリア国民は一つ」と連呼する会葬者の映像が放映された。

シリア人権監視団やシャーミー氏によると、犠牲者埋葬後、治安部隊が人々に発砲し、1人が殺害され、4人が負傷した、という。

al-Hayat, February 19, 201
al-Hayat, February 19, 201

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ヒムス県では、複数の活動家によると、ヒムス市バーブ・アムル地区などに対して、軍・治安部隊が砲撃を継続した。

一方、SANA(2月18日付)によると、ヒムス市の精錬所の燃料庫が武装テロ集団の破壊工作で炎上した。また武装テロ集団はヒムス県各地、ダイル・ザウル県クーリーヤ地方南部でもガス・パイプラインや石油パイプラインに対する破壊工作を行ったという。

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イドリブ県では、SANA(2月18日付)によると、アリーハー市で武装テロ集団が治安部隊を襲撃し、兵士1人が殉死した。

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アレッポ県では、SANA(2月18日付)によると、アレッポ県議会のジャマール・バッシュ議員が武装テロ集団に襲撃され、死亡した。

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このほか、ハマー県、ダルアー県、ダイル・ザウル県でも軍・治安部隊による掃討作戦が行われたほか、イドリブ県では軍・治安部隊と離反兵が衝突し、反体制活動家によると、各地での死者は12人に及んだ。

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『クッルナー・シュラカー』(2月18日付)は、バッシャール・ジャアファリー国連大使の甥のザキー・バーヒル・ジャアファリー氏がマッザ区での反体制デモに参加し、治安部隊の銃弾で負傷したと報じた。

また、同報道はアーディル・サファル首相の妹も16日のデモ(場所は不明)で負傷したと報じている。しかし真偽は定かでない。

反体制勢力の動き

国内で反体制活動を行うミシェル・キールー氏ら著名な無所属活動家が2月16日から18日にかけてエジプトで開催し、「シリア民主フォーラム」と称する反体制組織を結成した。

参加メンバーは、シリア国民評議会、民主的変革諸勢力国民調整委員会のいずれにも参加してこなかった以下の大物活動家ら。

ミシェル・キールー、アーリフ・ダリーラ、ファーイズ・サーラ、ハーズィム・ナハール、ナースィル・ガザーリー、ハラフ・アリー・ハラフ、サミール・イータ、アフマド・マハーミード、アフマド・ミスリー、ラシャー・カッス・ユースフ、マイサー・サーリフ、ムウタスィム・スユーフィー、マフムード・カンヌ。

発足声明によると、同組織は、「国内で活動を行う政治的、市民的、民主的フォーラム」で、「シリア革命にかかわるすべての個人、組織、勢力に開かれて」おり、「民主的市民国家を建設するための抜本変革」をめざしている。

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『ハヤート』(2月19日付)は、シリア国民評議会の信頼できる消息筋の話として、同評議会が、ドーハでの会合で、平和的な反体制運動の継続を追求しつつ、外国の軍事介入、国内の武装集団の組織化・支援などを検討した、と報じた。

イラクの動き

イラクのヌーリー・マーリキー首相は、ラシード・チャンネル(2月18日付)に対して、3月に予定されているアラブ連盟首脳会議へのアサド大統領の出席を望んでいると述べた。

マーリキー首相は「我々は、連盟にシリアの加盟資格凍結…に関する決議が連盟の会議だけに関するものなのか、首脳会議にも及ぶのかを尋ねている…。もし連盟代表レベルに限られるのなら、我々は大統領であれ、その特使であれ、シリアの首脳会議への出席を望む…。しかし決議がすべての出席者に及ぶのなら、我々は連盟の一員(としてそれに従う)…。我々は参加があるべきだと思う。なぜならそれによって干渉や宗派対立とは無縁の対話のページが開かれるからだ。これ以上シリアで混乱が増しても誰も得しない」と述べた。

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イラクのヌーリー・マーリキー首相府は声明を出し、シリア領内への武器密輸、戦闘員流入を阻止するため対シリア国境の警備を強化したと発表した。

レバノンの動き

Naharnet, February 18, 2012
Naharnet, February 18, 2012

ヒズブッラーとアマル運動の南部県の幹部がスール市で会合を開き、アサド政権の改革の努力を全面支持するとの共同声明を発表した。

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進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、『サフィール』(2月18日付)に対して、ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長に「アサド政権とその偽りの改革を支持する以上に、シリア国民を支持することがより重要」と伝え、アサド政権支持の再考を促したと述べた。

諸外国の動き

『ハヤート』(2月19日付)が得た情報によると、チュニジアのラフィーク・アブドゥッサラーム外務大臣は24日にチュニスで開催予定のシリアの友連絡グループ会合に、シリア国民評議会を正式に招待した。

評議会のアフマド・ラマダーン広報局長は、『ハヤート』(2月19日付)に対して、ブルハーン・ガルユーン事務局長ら運営委員会メンバーが出席し、評議会が招待されていないとの一部報道を否定した。

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米NBC(2月18日付)は、多数の米国の無人偵察機がシリア上空でアサド政権による反体制運動弾圧をフォローするために活動を行っている、と報じた。

またトム・ドニロン米国家安全保障担当補佐官が、シリア、イラン問題や地域の安全保障について意見を交換するため、イスラエルに到着した。

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「アフバール・シャルク」(2月18日付)は、ベルリンのシリア大使館内にシリアの諜報機関の本部があることをドイツの首都ベルリンの諜報当局高官が明らかにしたと報じた。

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AFP(2月17日付)は、イスラエルのカフルカーナーで48年パレスチナ人約1,000人がアサド政権に反対するデモを行ったと報じた。

AFP, February 18, 2012、Akhbar al-Sharq, February 18, 2012、al-Hayat, February 19, 2012, February 20, 2012、Kull-na Shuraka’, February 18, 2012,
February 22, 2012、Naharnet.com, February 18, 2012、NBC, February 18, 2012、Reuters,
February 18, 2012、SANA, February 18, 2012、al-Safir, February 18, 2012などをもとに作成。

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「国連アラブ加盟国」がアラブ連盟行程表への支持、「シリア政府の国民への人道に対する罪」を停止させるための緊急行動、同問題の国際刑事裁判所への提訴を求める決議案を国連総会に提出(2012年2月13日)

国連総会の動き

エジプト、サウジアラビア、リビア、チュニジアなどからなる「国連アラブ加盟国」は、アラブ連盟行程表への支持、「シリア政府の国民への人道に対する罪」を停止させるための緊急の行動、本問題の国際刑事裁判所への提訴を求める決議案を国連総会に提出した。

SANA, February 13, 2012
SANA, February 13, 2012

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国連総会はこれを受けるかたちで、人権理事会の事実調査委員会報告の内容検討に入った。

シリア、イラン、北朝鮮代表が異議を申し立てたが却下された。

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ナバネセム・ピレイ国連人権高等弁務官は総会で、アサド政権が「民間人保護の誓約を履行することに失敗した」と非難、「シリア軍による犯罪とその規模は、2011年3月以来人道に対する罪が犯されていることを示す」と指摘した上で、国際社会に対して民間人保護のための緊急の行動を呼びかけるとともに、本件を国際刑事裁判所に提訴するよう訴えた。

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サウジアラビアのアブドゥッラー・ムアッリミー国連代表は、シリア国民の叫びに耳を傾け、流血停止と民間人保護のための行動を行うべきだと主張、アラブ・国連共同平和維持軍の発足を呼びかけた。

なおこれと合わせて、ムアッリミー国連代表は、イスラエルの占領を「より深刻なかたちで人権侵害を体現している」といった曖昧な表現で批判し、国際社会への対処を呼びかけることで、自国のダブルスタンダードを包み隠そうとした。

ムアッリミー国連代表は、安保理での対イスラエル非難決議に対して米国が38回にわたって拒否権を発動している事実については、当然のことながら言及しなかった。

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シリアのバッシャール・ジャアファリー国連代表は、国連総会の開催に関して、総会議長が「政治的な理由」で招集したと非難し、「総会で実施されている措置に違反がある」として、招集を取り消すよう求めたが、却下された。

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ロシアのヴィタリー・チュルキン国連大使は、国連総会で開かれたシリア情勢に関する会合で、アラブ・国連共同平和維持軍の発足・派遣構想に関して、政府と反体制勢力の停戦が先決と述べ、消極的な姿勢を示した。

またチュルキン国連大使は反体制武装集団を統制できない反体制勢力を批判するとともに、平和維持軍の派遣にはアサド政権の承認が必要になるとの見方を示した。

国内の暴力

ヒムス県など各地で軍・治安部隊による反体制武装組織の掃討作戦が継続されたが、反体制勢力、アサド政権双方の被害状況に関するプロパガンダ合戦は若干低調となった。

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ロンドンで活動する反体制組織のシリア人権監視団は、複数の活動家、目撃者らからの情報として、ヒムス県ヒムス市、ラスタン市など各地、ハマー県ハマー市などで軍・治安部隊による掃討作戦が続き、武装反対勢力(離反兵)と激しく交戦、約25人が死亡した。

うち兵士3人がラスタン市で、民間人2人がヒムス市、1人がイドリブ県で、1人がハマー市、1人がダマスカス郊外県マダーヤー町で死亡した、という。

シリア人権監視団によると、ヒムス市での掃討作戦はバーブ・アムル地区、ワアル地区を中心に行われている、という。

またこれらの消息筋によると、ダルアー県ラジャート高原では離反兵に圧力をかけるため、彼らの母4人が逮捕された、という。

一方、シリア人権監視団によるとダルアー県ダーイル町では、アレッポ市での同時自爆テロの犠牲者の葬儀に約10,000人が参列した。

アサド政権の動き

SANA(2月13日付)は、シリア政府高官の話として、シリアがアラブ連盟外相会合の決議を「あからさまな内政干渉と主権への抵触」とみなし、拒否すると報じた。

同報道によると、この高官はまた決議が一部のアラブ諸国のシリアに対する「陰謀計画」の一環をなし、シリアをめぐる問題を「国際問題化し、外国の介入を呼び込むためにアラブ連盟の役割を失わせようとしている」との見方を示した。

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工業省は、「武装テロ集団」による破壊工作によって同省管轄下の各機関が被った被害総額が1,061,000,000,000シリア・リラに達するとの評価を発表した。

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ジダール・ネット(2月13日付)は、治安当局が進歩国民戦線加盟政党のシリア民族社会党党員のマフムード・バッカール氏をダマスカス郊外県シャブアーの自宅で逮捕したと報じた。

同報道によると、バッカール氏は戦線の会合でアサド政権による弾圧を度々非難していた、という。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長は、シリアの反体制勢力を後援するジャズィーラ(2月13日付)のインタビューに応え、アラブ連盟外相会合の決議に関して、「シリア政府を絞首刑に処する死刑台への第1歩」と高い評価を下した。

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シリア革命総合委員会は声明を出し、アル=カーイダのアイマン・ザワーヒリー氏の声明に関して、「この声明、そしてアル=カーイダが我々の革命に干渉しようとするあらゆる試みを断固として拒否する」との意思を示した。

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DPA(2月13日付)は、シリア(解放)革命最高軍事評議会のムスタファー・シャイフ准将に電話取材を行い、同准将が「反体制勢力の軍事的指導部統一を妨げるものは何もない。なぜなら我々は政治勢力ではなく、軍事勢力であり、権力や政権を求めて争い合っているわけではないからだ」と述べたと報じた。

また「我々とリヤード・アスアド大佐が率いる自由シリア軍との間には何らの問題もない。単に、組織に関するビジョンや行動のありようをめぐる意見の相違があるだけだ」と付言した。

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自由シリア軍のアブドゥッサラーム・アフマド・アブドゥッラッザーク大尉はアラビーヤ(2月13日付)に対して、アサド政権がイランとロシアの専門家の監督のもと、反体制運動弾圧のために国際的に禁止された有毒ガスを使用していると語った。

だがその真偽は定かでない。

レバノンの動き

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は党機関誌『アンバー』でアラブ連盟外相会合でのレバノン政府の対応に関して、「シリア国民に対する抑圧を停止させるための政治的、人道的、道徳的責任を敬遠した」と非難した。

イラクの動き

イラク内務省のアフマド・ハッファージー支援軍担当次官は『ハヤート』(2月14日付)に対して、「イラク治安軍は対シリア国境に重点的に展開しており、武装テロ集団のいかなる通過や潜入もない」と述べ、イラクからのテロリスト潜入に関する情報を「イラクの敵が発信した単なる嘘」と断じ、アドナーン・アサディー筆頭次官(ダアワ党)の前言を暗に批判した。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はUAEのアブドゥッラー・ブン・サーイド外務大臣とモスクワで会談した。

会談後の記者会見で、ラブロフ外務大臣はアラブ連盟外相会合の決議案に関して、「このイニシアチブを検討し、アラブ友諸国からいくつかの点に関して説明を待つ」と述べた。

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中国外交部報道官は、定例記者会見で「アラブ連盟に政治的仲介の努力継続を呼びかける…。国連の行動は、シリアの緊張を緩和し、紛争解決のための政治的対話を支持するためになされねばならない」と述べた。

またアラブ連盟の決議に関して、「中国の立場に一致する国際社会のイニシアチブについては北京はそれを支持するだろう」と答えた。

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訪米中のアフメト・ダウトオール外務大臣はヒラリー・クリントン米国務長官と会談し、24日にチュニジアで開催予定の「シリアの友連絡グループ」会合などに関して意見を交わした。

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キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表の報道官は、アラブ・国連合同平和維持軍の派遣を求めたアラブ連盟外相会合の決議に関して、弾圧を即時停止させるための「あらゆるイニシアチブも支持する…。そのなかには国連との協力のもとに現地へのアラブのさらなる展開も含む」と述べた。

またイギリス、フランス、ドイツもアラブ連盟外相会合の決議に関して支持を表明した。

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国連の潘基文事務総長は、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長に対して、アラブ・国連共同平和維持軍の発足とシリアの派遣には、安保理の許可が必要だと告知した。

事務総長報道官が声明を通じて明らかにした。

AFP, February 13, 2012、Akhbar al-Sharq, February 13, 2012、Alarabia.net, February 13, 2012、DPA, February 13, 2012、al-Hayat, February 14, 2012、Jidār.net, February 13, 2012、Naharnet.com, February
13, 2012、Reuters, February 13, 2012、SANA, February 13, 2012などをもとに作成。

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アル=カーイダのザワーヒリー指導者がシリアの反体制運動への支持を表明、アラブ連盟緊急外相会合が開催され「アラブ・国連合同平和維持軍」発足に関する決議の採択を安保理に求める閉幕声明を採択(2012年2月12日)

アル=カーイダ

アル=カーイダの指導者アイマン・ザワーヒリー氏がビデオ映像を声明を配信し、シリアの反体制運動への支持を表明した。

声明でザワーヒリー氏は、「ジハードを行う我らが勇敢なる英雄たちは日々、その力と忍耐…を増し、世俗的・宗派的体制に対する栄光と尊厳のための戦いを行っている」と反体制運動を絶賛し、シリア国民に対して「西側、米国、アラブ諸国政府、トルコ…に依存しない(よう)…。シリア国民よ、「ない袖をふれない」状態にあるアラブ連盟とそれに従属する腐敗した政府に依存するな」と語った。

Naharnet, February 12, 2012
Naharnet, February 12, 2012

また「これらの者ども(アラブ諸国)は、イスラエルに対して聖戦を行う自由で、独立した強力なシリアを望んでもいなければ、イスラエルを承認し、世界システムに迎合するような弱体化した従属的なシリアも望んでいない…。腐敗した(シリアの)政府は動揺を始めた…。蜂起と怒りを継続せよ。イスラームによって政治がなされる独立した名誉ある政府以外を受け入れるな」と述べた。

またトルコ、イラク、ヨルダン、レバノンのイスラーム教徒たちに対して「持ち得るすべのものをもってシリアの同胞を救済する」よう呼びかけた。

ザワーヒリー氏の声明は、反体制運動を支持しているという点で反体制勢力に同調するものと解釈できる一方、「ない袖は振れない」といったワリード・ムアッリム外務大臣の発言を模した点や国際社会の介入を拒否するという点でアサド政権寄りと解釈できる。

しかし、こうした両義的な姿勢は、シリアの将来に関して中長期的なビジョンを有さない西側諸国のスタンスにもっとも質的に近いと評価できよう。

アラブ連盟の動き

al-Hayat, February 13, 2012
al-Hayat, February 13, 2012

アラブ連盟緊急外相会合がカイロで開催され、「アラブ・国連合同平和維持軍」発足を求める決議の採択を安保理に求める閉幕声明(決議)を採択した。

同決議では、このほか、ムハンマド・アフマド・ダービー氏を団長とする連盟監視団の活動を終了を宣言するとともに、現シリア政府代表とのすべての外交協力関係の停止、反体制勢力との連絡経路の確保、政治的物質的支援の拡充、運動統一に向けた支援を決定した。

また1月24日にチュニジアで開催予定の「シリアの友」会議への支持も表明されるとともに、国連総会において、「国連のアラブ諸国加盟国」がアラブ連盟の行程表への支持を求める決議案を提出したことも明記された。

同決議に関して、レバノンはすべての文言への態度を保留し、反対の意思を表明した。

またアルジェリアは、国連総会に関する文言への態度を保留し、シリア問題を国連で議論することへの異議を示した。

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決議の内容は、サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣の会合での発言に沿ったもので、同外相をはじめとするGCC諸国外相は外相外交に先立って会合を開き、対応を審議していた。

シリア情勢に関して、サウード・ファイサル外務大臣は「エスニック・宗派戦争でもゲリラ戦争でもなく、シリア国民に対する集団的粛清であり、人道的、道徳的、宗教的な考慮を欠いた国家による国民の制圧」とアサド政権の暴力のみを一方的に非難した。

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外相会合閉幕後、ユースフ・アフマド連盟大使は、決議内容「全体、そして詳細を拒否する」とのシリアの姿勢を明示し、「シリアが欠席するなかで連盟から出されるあらゆる決議はシリアとは無関係だ」と非難した。

また決議内容が「カタールとサウジアラビアが主導するアラブ諸国政府が、真にスキャンダラスなかたちで、アラブの共同行動、連盟の決定を人質にとり、アラブ集団行動を改ざんしている」と酷評し、国連での外国の介入を求める決議案を廃案に追い込まれた国々の政府の「ヒステリーと混乱」が表れていると述べた。

SANA(2月12日付)が伝えた。

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連盟監視団の停止宣言に関して、ムハンマド・アフマド・ダービー団長は『ハヤート』(2月13日付)に対して「私を解任する権利は彼らにある」としながらも、「誰も私に辞表提出を要請していない」と述べ、GCC諸国の独断主義への不満の意を暗に示した。

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サウジアラビア通信(SPA)(2月12日付)は、シリア外務省高官が「サウジアラビア王国の名で国連総会に対していかなる決議案も提出していない」と述べた。

同報道によると、国連のアラブ加盟諸国が、サウジアラビアの決議案を「国連のアラブ加盟諸国」の名で共同提出するか否かを検討しているに過ぎない、という。

国内の暴力

シリア革命総合委員会によると、ヒムス県ヒムス市、ラスタン市、ダルアー県、イドリブ県、ハサカ県、ダマスカス郊外県で少なくとも24人(うち子供3人、女性3人)が殺害された。

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シリア人権監視団によると、ヒムス県ヒムス市バーブ・アムル地区への軍・治安部隊の砲撃で少なくとも33人が死亡した。また同県ラスタン市では女性1人が、ダルアー県ダルアー市では子供1人が殺害された、という。

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ダマスカス郊外県では、ザバダーニー地元評議会報道官を名のる活動家が、軍・治安部隊が同市を制圧したとの一部情報を否定した。

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SANA(2月12日付)によると、ダマスカス郊外県タッル・クルディー地方で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、テロリスト1人を殺害、6人を逮捕した。

このほか、各地で武装テロ集団を追い詰めて逮捕、大量の武器を押収したという。

一方、同通信社は、ヒムス市カラービース地区で、軍の大佐が武装テロ集団に誘拐された、と報じた。

アサド政権の動き

SANA, February 12, 2012
SANA, February 12, 2012
SANA, February 12, 2012
SANA, February 12, 2012

SANA(2月12日付)は、アサド大統領がシリア・アラブ共和国憲法草案準備委員会メンバーと会談し、同委員会が作成を完了した修正憲法草案を受け取ったと報じた。

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SANA(2月12日付)は、ファイサル・ミクダード外務次官は、内外の記者団を前に。、「来るべき段階で…武装テロ集団への潜伏場所を提供し、財政支援、情報提供を近隣諸国に対して、武装テロ集団メンバーの指導者の引き渡しを求めることになる」と述べた。

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SANA(2月12日付)は、政党問題委員会が、アラブ民主団結党(本部ラッカ県)を新たに認可したと報じた。

レバノンの動き

レバノン在住のシリア人らがベイルートの中国大使館前で、安保理での拒否権発動に抗議するデモを行った。

イラクの動き

エジプトのMENA(2月12日付)は、イラクのアリー・ダッバーグ内閣報道官の話として、3月にバグダードで予定されているアラブ連盟首脳会議にイラクはアサド大統領を招待しないとの方針を決め、そのことがアサド大統領を憤慨させたと報じた。

諸外国の動き

ローマ法皇ベネディクト16世はシリア情勢に関して、「暴力と流血の停止」を呼びかけるとともに、「すべての政府に対して、対話と和平の方途を選択する」よう呼びかけた。

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アナトリア通信(2月12日付)は、ハタイ県のキャンプに避難していた自由将校運動(自由将校旅団)リーダーのフサイン・ハルムーシュ大佐とムスタファー・カースィム氏がシリア当局に引き渡された件に関して、トルコの司法当局が、事件に関与したとされる容疑者5人をスパイ容疑で逮捕したと報じた。

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イスラエル国防軍は、アサド政権が事態を掌握してないとし、シリア情勢に伴ういかなる困難にも対処する容易ができていると発表し、対シリア国境の警戒を強化していることを明らかにした。

AFP, February 12, 2012、al-Hayat, February 13, 2012、Kull-na Shuraka’, February 12, 2012、MENA, February
12, 2012、Naharnet.com, February 12, 2012、Reuters, February 12, 2012、SANA,
February 12, 2012、SPA, February 12, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

シリア国民評議会の使節団がアラブ連盟の事務総長および次長と会談、また同事務総長は国連に対し連盟・国連合同監視団のシリア派遣を要請(2012年2月11日)

SANA, February 12, 2012
SANA, February 12, 2012

国内の暴力

『ハヤート』(2月12日付)によると、ヒムス県ヒムス市バーブ・アムル地区、ダマスカス郊外県ザバダーニー市に対する軍・治安部隊の掃討作戦が続き、25人(うち19人が民間人)が死亡した。

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SANA(2月11日付)によると、武装テロ集団3人が、ダマスカスハーミーシュ軍事病院に勤務する軍医のイーサー・フーリー准将を自宅から連れ出し、暗殺した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市バーブ・アムル地区での軍・治安部隊の攻撃で民間人9人が殺害された。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザバダーニー市マハッタ地区に軍・治安部隊が侵入したが、自由シリア軍の応戦を受け、撤退した、という。

また市民3人が軍・治安部隊の砲撃により死亡した。

一方、ドゥーマー市のカビール・モスクに軍・治安部隊が突入し、礼拝中の市民を逮捕した、という。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ムサイフラ町で軍・治安部隊が市民5人を殺害した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団などによると、アレッポ市での前日の自爆テロを受け、市内各所に治安部隊が多数展開し、厳戒態勢をとった。

アサド政権の動き

SANA, February 12, 2012
SANA, February 12, 2012

ダマスカス県ウマイヤ・モスク、聖マリア教会で、10日のアレッポ市での同時自爆テロの犠牲者を追悼する集団礼拝・ミサが行われた。

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『クッルナー・シュラカー』(2月11日付)は、ハサカ県の治安当局と関係があることで知られるH・A氏が、ラアス・アイン市で慈善団体を発足するためクルド人をリクルートしていると報じた。

同報道によると、リクルートされたクルド人の多くは、PKK系の民主統一党の支持者で、月収3,000シリア・リラを約束されているという。

また彼らは自身のIDや戸籍(の写し)をH・A氏に提出しており、これらの情報は、政党結成を計画しているとされるラーミー・マフルーフ氏によって利用される、という。

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シリア政府はチュニジア、リビア両国に対して、72時間以内にダマスカスの両国大使館を閉鎖するよう通告した。両国でのシリア大使館閉鎖に対する対抗措置。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会運営委員会の使節団がアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長および次長と会談し、『ハヤート』(2月12日付)によると、アラブ連盟のイニシアチブ、アラブ・イスラーム諸国による監視団の派遣などについて意見を交換した。

使節団はバスマ・カドマーニー報道官、アフマド・ラマダーン氏、アブドゥルバースィト・スィーダー氏、アディーブ・シーシャクリー氏、ジブル・シャウキー氏からなる。

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2月6日にシリア(解放)革命最高軍事評議会の発足を宣言していたムスタファー・シャイフ准将がシリア国民と国際社会に向けて声明を出し、「シリア解放革命最高軍事評議会は国土解放と殺人・虐殺体制の転覆…のために結成された」とその存在を改めて固持した。

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シリア・ムスリム同胞団のファールーク・タイフール副監督者は、「我らが人民を支援するための国際的介入と措置を必要とするような深刻な人道的虐殺が行われている」と述べ、国際社会に人道的な介入を呼びかけた。

レバノンの動き

アドナーン・マンスール外務大臣はクウェート紙『ラアユ』(2月12日付)に対して、アラブ連盟においてシリアの安定を脅かす決定がなされた場合、沈黙せずにレバノンの立場を明示すると述べた。

マンスール外務大臣は「我々は沈黙しないだろう。率直に意見を述べる権利を持っているがゆえ、偽証者にならない…。レバノンとシリアの治安は絡み合っている。シリアが火に包まれれば、その炎はレバノンに達する」と述べた。

またGCC諸国などが大使を召還した動きに関して、「GCC諸国の問題だ。我々がしたいのは、シリアを助け解決策を見つけ出し、危機を終わらすことであって、ことを複雑にすることではない」と述べ、暗に批判した。

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ナハールネット(2月11日付)などによると、北部県トリポリ市バーブ・タッバーナ地区、ジャバル・ムフスィン地区で10日から続いていたアサド政権反対派住民と支持者住民の衝突は、国会議員らの仲介によって停戦に合意し、国軍が展開、事態は収束した。

仲介を行ったのは、アフマド・カラーミー国務大臣(団結ブロック)、サミール・ジスル議員(ムスタクバル潮流)、マイーン・マルアビー議員(ムスタクバル潮流)。

住民の武器引き渡し、国軍などへの全面協力などで合意した。

衝突では3人が死亡、23人が負傷した。

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ムスタクバル潮流の政治的見解を代弁する『ムスタクバル』(2月11日付)は、シリアからレバノンにヒズブッラーのメンバー2人の遺体が搬送された、と報じた。

同報道によると、遺体は南部県スール市の病院に搬送された、という。

同報道は、ヒズブッラーがアサド政権による反体制運動の掃討作戦に参加しているという宣伝のために流されたと思われる。

イラクの動き

イラクのアドナーン・アサディー内務次官は「イラク人ジハード戦闘員」がイラクからシリアに潜入し武装破壊活動を行っていると述べるとともに、イラク領内からシリアへ武器密輸がなされていることを認めた。

アサディー内務次官は、モスルでは、カラシニコフ銃が一丁100~200ドルだったのが、1,000~1,500ドルになるなど、武器価格が高騰しており、またモスルからルバイア国境を経由して、シリアに武器が密輸されていると指摘した。

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ラマーディー市では、宗教関係者、部族の指導者らが反アサド政権のデモを行い、約500人が集まった。

諸外国の動き

ロバート・フォード在ダマスカス・シリア大使は大使館のフェイスブックのページで、ヒムス市などの「広範な」弾圧の跡が映し出されたとされる衛星写真を公開した。http://www.facebook.com/syria.usembassy#!/photo.php?fbid=10150600575457649&set=pu.48261722648&type=1&theater

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ロバート・ケリー米上院議員(民主党)とマルコ・アントニオ・ルビオ上院議員(民主党)はバラク・オバマ大統領にシリアの民主主義への実質的転換を「物質的・技術的」に支援する決議案を議会に提出した。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は国連の潘基文事務総長に、シリア情勢を監視するための連盟・国連合同監視団の派遣を要請した。

『ハヤート』(2月12日付)によると、合同監視団の派遣は、スーダンのダルフール問題などの判例を踏まえると、国連安保理による決議、シリア政府による受け入れ承認、そして派遣団員の安全確保をクリアする必要がある。

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『ハヤート』(2月12日付)など各国メディアは、サウジアラビアが1月22日にアラブ連盟外相会合で採択されたシリア問題に関する行程表への支持を求めるための国連総会決議案を各国に回付した、と報じた。

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アナトリア通信(2月11日付)は、訪米中のトルコのアフメト・ダウトオール外務大臣が、国連に対してシリアでの弾圧の犠牲者への人道支援要請を行うだろうと報じた。

しかし、ダウトオール外務大臣は『ワシントン・ポスト』(2月11日付)に対して、人道支援が「人道回廊」の設置を意味しないと述べ、本格介入には含みを持たせている。

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マリオ・ゼナリ在ダマスカス・ヴァチカン大使は「キリスト教徒は今日までのところ、キリスト教徒だという理由で(弾圧や暴力の)標的となっていない」と述べた。

AFP, February 11, 2012、Akhbar al-Sharq, February 11, 2012、Facebook、al-Hayat, February 12, 2012、Kull-na Shuraka’, February 11, 2012、al-Mustaqbal, February 11, 2012、Naharnet.com, February 11, 2012, February 12, 2012、al-Ra’y, February 12, 2012、Reuters, February 11, 2012、SANA, February 12, 2012、The Washington Post, February 11, 2012、UPI, February 11, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

サファル内閣が政党法案を閣議承認する一方、イラクのジハード主義者たちがシリアの反体制運動を支持していると報じられる(2011年7月25日)

反体制勢力の動き

シリア・クルド人権一般的自由擁護機構(DAD)、シリア人権国民機構、シリア人権機構(Maf)、シリア・アラブ人権機構、シリア・クルド人権委員会(監視団)、シリア民主的自由人権擁護諸委員会(CDF)が共同声明を発表し、市民の無差別逮捕を非難した。

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シリア・クルド国民運動諸政党は声明を出し、各地でのデモ弾圧を非難した。

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アーディル・サファル内閣が閣議了承した政党法案に関して、反体制活動家のアンワル・ブンニー弁護士は「罠だ」と評した。

ブンニー弁護士は同法案が「シリア当局が依拠しているヘゲモニー精神に基づいて」作られたと述べ、「シリアの政治的自由の次元に何ら付け加えるものではない」と強調した。

またこの法律が「人権活動家、反体制活動家のいずれからも拒否されるだろう」と表明した。

シリア政府の動き

SANA(7月25日付)によると、アーディル・サファル内閣は政党法案を閣議承認した。

同法案は「政党活動を行う際の目的、基本原則、政党設立・認可の条件と措置、政党の収入、活動資金、権利・義務に関する規定を定めている」ものだという。

複数のバアス党筋は『ハヤート』(7月26日付)に対して、同法が現行憲法と矛盾しないと述べ、憲法第8条(「バアス党は社会と国家を指導する党である」と規定)の是非が広範な国民的議論を要すると指摘した。

一方、複数の高官は同法案に関して、複数政党制を保障すると述べた。

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クッルナー・シュラカー(7月25日付)は、「シャッビーハ」の事情に精通した消息筋の話として、「シャッビーハ」が週末のデモ弾圧への追加報酬がなければ、治安当局への協力を行わないとして、ラタキア県などに撤収したと報じた。

「シャッビーハ」のリーダーの一人によると、彼らはデモ弾圧の報酬として約2,000シリア・ポンドを得ているが、デモがもっとも激しい金曜日には7,000~1万シリア・ポンドの報酬が必要だと主張している、という。

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Damas Post(7月25日付)は、信頼できる消息筋の話として、ファールーク・シャルア副大統領が、ミシェル・キールー氏、アーリフ・ダリーラ氏、カドリー・ジャミール氏、アニース・カンフー氏、タイイブ・ティーズィーニー氏ら反体制知識人と会談し、国民対話会合開催の是非などについて意見を交換したと報じた。

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SANA(7月17日付)によると、イドリブ県ジスル・シュグール市の住民255人が避難先のトルコから自宅に帰宅した。

国内の暴力

ダマスカス県およびダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ルクン・ディーン区、ハジャル・アスワド市、サフナーヤー市で治安部隊が逮捕摘発活動を行い、市民数十人が逮捕された。al-Hayat, July 26, 2011

またクッルナー・シュラカー(7月25日付)によると、弁護士組合がダマスカス裁判所内の弁護士会館でデモを行い、約300人の弁護士が参加した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市で治安部隊が逮捕摘発活動を継続、またバーブ・スィバーア地区、バーブ・ドゥライブ地区、ハーリディーヤ地区、クスール地区、バイダー地区スィッティーン通りに戦車や治安部隊車輌が結集した。

シリア革命調整連合によると、バーブ・アムル地区近くのスルターニーヤ地区、そしてバーブ・アムル地区内で機関銃による銃撃があり、ハーリディーヤ地区は治安当局の検問が増設されているという。

イラクの動き

『ハヤート』(7月26日付)は、イラクのジハード主義者たちが、シリアでの反体制運動への支持を表明していると報じた。

同報道によると、インターネット・サイトの「フナイン」上に設けられた「シリア革命」というコーナーでは、サラジハード主義者たちが、アサド政権を非難し、反体制デモに異議を唱える高位のシャイフたちに異議を唱えているという。

イブン・アルド・ナフワを名乗るイラク人は「シリアの体制は…シャーム(東アラブ地域)の地を荒廃させた」と述べている。

また「(シリアの)体制がレジスタンスを支援しているという者がいる。腐敗を蔓延させた…あいつらが支援するレジスタンスをアッラーが祝福しませんことを」と付け加えている。

また同サイトへの書き込みのなかには、イラク・スンナ派布教指導ファトワー最高委員会事務局長のマフディー・スマイダイー師が発したファトワーへの批判もある。

スマイダイー師は「シリアの支配に反対するデモを行うことはハラームである」と述べた人物である。

スマイダイー師はこのデモが「アラブ地域で起きている事態とはかけ離れた政治的・法的側面を持っているため、内乱の扉を開くことは決して許されず、イスラーム教徒は不必要な内乱を発生させてはならない」と述べた。

これに対して、アブー・ウバイダ・アッザーウィーを名乗る人物は「マフディー・スマイダイー師は優れたウラマーで、イラクの占領状態、占両政府、ジハード支援において優れた立場を持っているが…、その知識がどれほど高かろうと、間違いを犯さないわけではない」と非難している。

諸外国の動き

ドイツ外務省報道官は、ドイツ政府がダマスカスとベルリンで活動するシリアの反体制活動家と最近ベルリンで接触したことを明らかにした。

同報道官はしかし、ドイツ政府が「中東地域におけるシリアの立場、シリアがさまざまな当事者との関係において演じている多元的役割を踏まえて、シリアとの連絡を継続している」と付言した。

AFP, July 25, 2011、Akhbar al-Sharq, July 25, 2011、Damas Post, July 25, 2011、al-Hayat, July 26, 2011、Kull-na Shuraka’, July 25, 2011、July 28, 2011、Naharnet, July 25, 2011、Reuters, July 25, 2011、SANA, July 25, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

反体制活動家・有識者の会合「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」が開催、既存の体制内における一連の改革が提案される(2011年6月27日)

反体制勢力の動き

ダマスカス県のシェラトン・ホテルで「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」と題された反体制活動家・有識者の会合が開催され、約200人が出席した。

al-Hayat, June 28, 2011
al-Hayat, June 28, 2011

シリア国営メディア、米国のCNNやNBC、英国のスカイ・ニュースなど外国のメディアが取材するなかで行われた。

ホテルのビュッフェにはフランスの外交官が現れたが、主催者は大会会場への入場を認めなかった。

またホテルの入り口では、数百人の青年がアサド大統領の写真やシリア国旗を掲げて集まった。

会合はシリア国家斉唱で開会し、大会運営者の一人で反体制活動家のルアイユ・フサイン氏が「祖国の土となった民間人および軍人の殉教者の魂」に哀悼の意を示すための1分間の黙祷を求めた。

フサイン氏は開会の辞で会合の目的が、政党に属さない出席者が一丸となって自由な市民国家へと移行する方途を検討することと「民主的市民国家へ確実に移行する青写真」を提示することにある、と述べた。

フサイン氏はまた、会合に疑義を呈する在外の反体制活動家らの批判に暗に応えるかたちで、「国家や社会を崩壊させることなく」変化を実現することが重要だと強調した。

また参加者たちが「望ましい国家への平和的移行の青写真を示そうとしており、我々は、みにくい嫌疑を向ける当局に対して自己弁護するために集まったのではない。軽率な行為や責任を非難する者に対して自己弁護するためでもない、無実を訴えるためでもない。無制限に自由な発言を行うために集まったのだ」と付言した。

反体制活動家のムンズィル・ハッダーム氏は会合の開催が重要な進展で、「シリアが変わっている」ことを示していると評価した。

そして、数ヶ月前、このような大会がダマスカスで開催でき、「我々のもとに成功以外の選択肢はない」と思っていた人がいただろうかと付言、「二つの道が描かれている。一つは我々の政治体制を平和的・確実に転換するため、すなわち民主制に向けて妥協の余地のない明確な路線をとり、国民と国を救済すること。もう一つは、未知へと路線を進め、皆が破壊に苛まれること」と述べた。

また在外活動家らの批判に対して、ハッダーム氏は「我々は国民の一部であり、国民とともに一つの未知を進むことを選ぶと決めた。我々と歩みたくないからといって、その道が地獄へ通じるわけではない」と述べた。

『ハヤート』(6月28日付)によると、会合では反体制作家のミシェル・キールー氏が移行期の諸特徴について報告を行った。

キールー氏は報告のなか、治安対策によって危機を解決することが「シリアに破壊をもたらす」と警鐘を鳴らしたうえで、危機は知性、施策、法律を通じて対処されるべきだ。シリアの危機は…深刻だ。治安対策や弾圧によっては解決しない。なぜならこの危機はその本質において治安とは関係がないからだ」と付言し、弾圧を通じた解決ではなく、失業、貧困、経済の問題の解決を呼びかけた。

そのうえでキールー氏は一連の改革措置を提案した。この改革措置は、国内で活動する非公認の政党を「合法的で、国を織りなす要素の一部とみなす」決定を下すこと、憲法を「多元的、代議的」なものとすべく、第8条を「凍結」する決定を下すことなどを骨子としていた。

また、参加者の一人ジョルジート・アティーヤさんは、「私は軍に対して大いなる敬意を表しています。兵士が命を落とすたびに、心が痛みます」としたうえで、反体制デモのなかに「武装集団がいる」との言説に同意すると発言、軍の役割を尊重すべきだと主張した。

他方、作家のナビール・サーリフ氏は在外の反体制活動家について「アンタルヤやブリュッセルで集まった人々が西側諸国の呼びかけに応え、国益に沿っていないことは明確である。我々の反体制運動こそが、疑いなく愛国的な運動である」と述べた。

また「改革は既存の体制の枠内で行う」と付言し、「改革実施の猶予」を(体制に)与えねばならないと主張した。

「数年を要する改革を数日で行うことなど不可能だ。抜本改革をしたいと考えている者もいる。部分的改革をしたいと考えている者もいる。すべての改革が必ずしもよい訳ではない。我々は変革のための変革をしたいのではない。よりよいものをめざして変革したいのだ」と述べた。

一方、移行期における有識者の役割については、ハッサーン・アッバース博士が報告を行った。

なおロイター通信(6月28日付)によると、大会に出席していたアーリフ・ダリーラ氏は、途中で退場、脱会した。

「当局が集団殺戮・逮捕を続けるなかで、大会を利用している」というのが脱会の理由だという。

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クウェート日刊紙『カバス』(6月27日付)は、在外反体制活動家筋の話として、ラタキア県カルダーハ市出身の大佐1人、中佐1人、少佐、大尉、中尉ら合わせて12人(うち少なくとも6人がアラウィー派)が軍を離反し、近く「自由将校団運動」を宣言すると報じた。

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自由シリア革命青年連立は声明を出し、「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」大会への支持を表明した。

シリア政府の動き

大統領府は声明を出し、アサド大統領が英米国会議員使節団と会談し、「人々の正当な要求」と「混沌をもたらし、安定を損ねる」ためにこの要求を利用する「武装集団」(の要求)を区別するとの立場を伝えた。

アサド大統領は昨日、デニス・クシニッチ米議員と英保守党のブルークス・ニューマーク議員とそれぞれ会談、「シリアで発生している問題の実像、現在実施中の包括的改革措置」を説明し、「制定された政令や法律を通じて国家が応えるべき人々の正当な要求と、国に混沌をもたらし、安定を損ねるためにこの要求を利用する武装集団を区別することが重要だ」と強調した。

これに対して、クシニッチ議員とニューマーク議員はともに「地域の安定の主柱とも言えるシリアの治安と安定への熱意を表明した」と述べたという。

また『ハヤート』(6月29日付)などによると、クシニッチ議員はアサド大統領との会談で「国民対話と民主的文民国家への移行をめざす政府の強い意思」を感じとることができた、とアサド大統領を称えた。

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SANA, June 27, 2011
SANA, June 27, 2011

ファールーク・シャルア副大統領が議長を務める国民対話委員会が会合を開き、20日のアサド大統領の演説に従い、包括的対話大会開催を準備する協議会の活動日程を協議した。

会合には9人の委員が出席し、7月10日を協議会開催日とすること、「すべての愛国的思想・政治勢力および個人」に会合への出席を呼びかけること、「憲法、とりわけ第8条の改正審議を日程に含めること」などを承認した。

委員会は「さまざまな次元で政治的に対処し、すべてのシリア国民に門戸を大きく開き、シリア国民の要求に沿った民主的で多元的な社会建設への参加を求める以外に選択肢はない」との立場を確認したという。

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SANA, June 27, 2011
SANA, June 27, 2011

SANA(6月27日付)によると、ヒムス市、ハサカ市、ダーライヤー市(ダマスカス郊外県)、ジャブラ市(ラタキア県)でアサド大統領の包括的改革プログラムを支持するデモ行進が行われ、多数の市民が参加した。

ラタキア市では数千人が参加し、全長2キロのシリア国旗が広げられた。

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SANA, June 27, 2011
SANA, June 27, 2011

SANA(6月27日付)によると、ダマスカス県バラダー・スポーツ・クラブで「小さな手で偉大な私の国の旗を作ろう」と銘打った企画が行われ、全長40メートル、幅1.4メートルの白い布に、絵の具で手形を押し、シリア国旗を作った。

国内の暴力

アフバール・シャルク(6月27日付)などによると、アレッポ大学学生寮で反体制デモを行い治安当局に拘束された学生約400人が、暴動煽動、大統領侮辱の容疑で起訴された。

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シリア人権監視団によると、ヒムス市、ハマー市、ダイル・ザウル市、ダマスカス県カーブーン区、バルザ区、ルクンッディーン区、ラタキア市、ジャブラ市(ラタキア県)で、反体制活動家が、ダマスカスの反体制活動家による民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」大会を拒否する派の大会に反対する夜間デモを行い、政権との対話に拒否の姿勢を示した。

同監視団によると、ヒムス市では数千人、ハマー市では1万人、ダイル・ザウル市では5,000~7,000人が参加したという。

イラクの動き

イラクのヌーリー・マーリキー首相はバグダードでシリア人ビジネスマンからなる使節団と会談し、シリア情勢などについて協議した。

AFP(6月27日付)によると、会談でマーリキー首相は、シリアの治安が地域の安定と直結している、と述べ、事態の混乱への懸念を示した。

諸外国の動き

アナトリア通信(6月27日付)によると、トルコの内閣非常事態災害局は、トルコ領内に設置されたキャンプ5カ所で避難生活を送るシリア人の数が11,122人に達すると発表した。

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『ハヤート』(6月28日付)によると、イラク・クルディスタン地域で避難生活を送るシリアのクルド人数百人がアルビル市で反体制デモを行った。

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中国の温家宝首相(国務院総理)は英国を訪問し、デヴィッド・キャメロン首相と会談、シリア情勢への対応などについて協議した。

『ハヤート』(6月28日付)などによると、温首相は会談で、国連安保理での対シリア非難決議採択に難色を示し、シリア政府と反体制勢力の対話による危機解決を支持するとの姿勢を示したという。

AFP, June 27, 2011、Akhbar al-Sharq, June 27, 2011、June 28, 2011、al-Hayat, June 28, 2011、June 29, 2011、Kull-na Shuraka’, June 27, 2011、Naharnet, June 27, 2011、al-Qabas, June 27, 2011、Reuters, June 27, 2011、June 28, 2011、SANA, June 27, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

サファル内閣が「世界中のすぐれた法をもとに」総選挙のための新選挙法を準備する委員会を設置、ヒムス県では治安作戦が継続(2011年5月11日)

反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(5月11日付)によると、民主統一党がハサカ県ラアス・アイン市で市民を対象としたセミナーを開催し、約300人が出席した。

セミナーで、サーリフ・ムスリム共同党首は、クルド民族主義組織の統合、クルド問題の解決を訴える一方、「行進、デモは最優先事項であり、我々はそれを信じ、いかなる犠牲をも払う用意がある」と述べ、街頭行動を活発化させる意思を表明した。

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シリア・ムスリム同胞団が声明を出し、「軍兵士に自らの戦いの義務を遵守し、国民の側につく」よう呼びかけた。

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ハリール・マアトゥーク弁護士はAFP(5月11日付)に、4月30日に「デモ煽動」容疑で逮捕された脚本家のフラース・ファイヤード氏が釈放されたことを明らかにした。

シリア政府の動き

SANA(5月11日付)によると、アーディル・サファル内閣は、「世界中のすぐれた法をもとに」総選挙のための新選挙法を準備する委員会を設置したと発表した。

委員会はナジュム・アフマド法務省次官、ハサン・ララーリー内務省市民問題担当次官(准将)、内閣法務顧問のマフムード・サーリフ氏、ダマスカス大学法学部のムハンマド・ハイル・アッカーム教授、フハンマド・ハイルルアッカーム教授、ジャミーラ・シュルバジー教授、地方自治省顧問のファウズィー・ムハースィナ氏、同事務局長のハーリド・カーミル氏からなる。

またサファル内閣は、民間人、軍人の犠牲者に関する問題を扱う特別調査委員会の権限を拡大し、最近事件が発生したすべての地区を調査対象とすると発表した。

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タイスィール・カラー・アウワード法務大臣は3月31日の決定第905号に基づき設置されたダルアー市とラタキア市でのデモに関する真相究明を任務とする特別司法委員会に関して、同決定第3条の調査範囲を修正、「すべての県」での民間人・軍人殺害に関する事件を調査対象とすることを決定した。

アクス・サイル(5月11日付)が報じた。

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ラーミー・マフルーフ氏は『ニューヨーク・タイムズ』(5月10日付)が自らのインタビューが否定的に報じられたことに関して、DP-News(5月12日付)などに声明を配信、EU諸国による制裁をシリア国民の権利と名声に敵対する行為だと改めて非難、「シリアは自らへの敵対行為に沈黙しない。シリアの安定へのいかなる敵対行為も地域全体の安定への打撃を意味しており、敵対行為へのシリアの対応を最初に受けるのはイスラエル人だ…。もし西側が我々を痛めつけたいのなら、我々だけが痛みを受けるのではないと我々が考えていることを意識すべきだ」と述べた。

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AFP(5月11日付)は、複数の外交筋の話として、シリアが国連人権委員会メンバーへの立候補とりさげたと伝えた。

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シリア・アラブ・テレビ(5月11日付)は、バーニヤース市で逮捕された「武装テロ集団」メンバーが、軍・治安部隊への攻撃や破壊行為を行ったと証言する映像を放映した。

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SANA(5月10日付)は、内務省筋の話として、各地で投降した暴動参加者の数が3,308人に達したと報じた。

投降者は投降後ただちに釈放されているという。

国内の暴力

ヒムス県では、反体制活動家のナジャーティー・タイヤーラ氏によると、軍・治安部隊が戦車を動員して、ヒムス市の住宅地区で活動家の逮捕摘発活動を続けた。

タイヤーラ氏はロイター通信(5月11日付)に対して、ヒムス市バーブ・アムル地区などが戦車や重火器の砲撃を受けているとしたうえで、この軍事作戦によって、少なくとも5人が死亡したと述べた。

al-Hayat, May 12, 2011
al-Hayat, May 12, 2011

タイヤーラ氏によると「バーブ・アムル地区とヒムス市周辺の農村では、掃討作戦が実施された3日前から治安活動が行われている」と述べ、「装甲車50輌がヒムス市近郊のジャンクション、大学事務局からバイヤーダ地区交差点にかけての市内周辺地区に配備された」と付言。

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ダルアー県では、シリア人権国民機構のアンマール・カルビー代表によると、ハーッラ市で軍・治安部隊の戦車の迫撃と銃撃により、子供1人と女性看護師1人を含む住民13人が殺害された。

一方、シリア・アラブ・テレビ(5月11日付)は、ダルアー市からのレポートで、同市の生活が徐々に正常化し始めていると報じた。

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タルトゥース県では、シリア人権監視団によると、バーニヤース市で、当局は逮捕者300人を釈放した。

同監視団によると、不通となっていた水道、電話、電気など、同市のライフラインも復旧したが、戦車が依然として主要道路に展開し、200人が収監中だという。

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ハサカ県では、クルド人権委員会のファディーフ・ムスタファー所長によると、カーミシュリー市、アームーダー市、ダルバースィーヤ市で、治安当局が数十人の人権活動家、デモ参加者を出頭させ、デモを行わないとの誓約書への署名を強要した。

AFP(5月11日付)が報じた。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団ラーミー・アブドゥッラフマーン所長によると、女性弁護士・活動家のラッザーン・ザイトゥーナ氏の夫で活動家のワーイル・ハマーダ氏が職場で逮捕された。

イラクの動き

イラク軍国境警備隊のムフスィン・カアビー大将は、シリア・イラク国境で軍と「たばこ密輸業者」が交戦し、イラク軍兵士1人が死亡したと発表した。

カアビー大将によると、この交戦にシリア軍も介入し、「たばこ密輸業者」を援護したという。

AFP(5月11日付)が伝えた。

諸外国の動き

ドイツ外務省報道官は、駐大使を召還すると発表、また「現在までのところ、デモ参加者への暴力は停止していない…。残念ながら、我々は早急に制裁の新たなステップを踏まねばならない」と述べ、アサド政権に対して弾圧停止を求めた。

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インテルファクス通信(5月11日付)は、ロシア外務省筋が「シリア情勢を安保理で議論してはならない。これは自明のことだ」としたうえで、暴力の責任がシリアの反体制派にあり、状況がリビアとは異なっていると述べたと報じた。

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ロバート・フォード駐シリア米大使はラジオ・サワー(5月11日付)に対して、アサド政権に対して、平和的な抗議デモへの暴力行使を停止し、シリア社会と反体制勢力の代表との「真の対話」を開始することで、民主化の要求に応えるべきだと述べた。

また、アサド政権によるヒズブッラーへの武器支援を非難、レバノンの主権を承認するよう求めた。

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ジョン・ケリー米上院議員は『フォーリン・ポリスィー』(5月11日付)に「シリアの体制は国内で改革を実行しようという意思がない」と批判した。

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キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は、記者団に対して、シリア情勢に関して「私は寛容ではない…。シリアへの政治的圧力を最大限にする決意があると明言する」と述べた。

AFP, May 11, 2011, May 14, 2011、Akhbar al-Sharq, May 11, 2011、’Aks al-Sayr, May 11, 2011、AP, May 11, 2011、DP-News, May 12, 2011、The Foreign Policy, May 11, 2011、al-Hayat, May 12, 2011 、Kull-na Shuraka’ May 11, 2011, May 12, 2011、Naharnet, May 11, 2011、Reuters, May 11, 2011、SANA, May 11, 2011をもとに作成。

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