シリア人権監視団、ホワイト・ヘルメット、シリア人権ネットワークは2023年10月のシリア軍とロシア軍の攻撃による死者数を発表(2023年11月1日)

シリア人権監視団は、シャーム解放機構の支配下にあるイドリブ県中北部一帯地域(いわゆる「解放区」)でのシリア軍、ロシア軍の爆撃や砲撃、反体制派の砲撃や狙撃によって2023年10月の1ヵ月間に130人が死亡したと発表した。

シリア軍とロシア軍は、10月5日に中国新疆ウィグル自治区出身者からなるトルキスタン・イスラーム党の無人航空機(ドローン)によると見られるヒムス軍事大学へのテロ攻撃によって、子供6人と女性6人を含む80人が死亡、子供22人と女性55人を含む240人あまりが負傷したことを機に攻撃を激化させ、その後もシャーム解放機構のドローンがアレッポ市やハマー県各所、ヒムス県北部などに対するドローン攻撃を繰り返したことへの報復として、砲撃や爆撃を継続してきた。

シリア人権監視団の集計によると死者130人の内訳は以下の通り。

民間人:74人(うち子供30人、女性11人)
このうち63人(うち子供27人、女性7人)がシリア軍の攻撃によって、9人(うち子供3人と女性4人)がロシア軍の爆撃で死亡、2人が治安混乱が理由で死亡した。

反体制派戦闘員:18人
すべてがシリア軍の攻撃によって死亡。
内訳は、シャーム解放機構メンバーが13人、シリア国民軍所属ハムザ師団メンバーが4人、アンサール・タウヒード・メンバーが1人。

シリア軍兵士:38人(うち士官4人)
反体制派が殺害。

負傷者:115人
うち戦闘員は28人、民間人87人(うち子供10人、女性8人)

シリア軍が発射した迫撃砲、ミサイル:5550発以上
内訳はイドリブ県3000発、アレッポ県1800発、ハマー県400発、ラタキア県350発

ロシア軍の爆撃:151回
内訳はイドリブ県121回、ラタキア県23回、ハマー県7回

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ホワイト・ヘルメットは声明を出し、2023年10月にシリア軍とロシア軍による攻撃で66人(うち子供23人、女性13人)が死亡、270人以上(うち子供79人、女性47人、ホワイト・ヘルメット隊員3人)が負傷したと発表した。

また、両軍が70以上の市町村を攻撃、学校13ヶ所以上、医療施設7か所以上、モスク5ヶ所、国内避難民(IDPs)キャンプ5ヶ所、大衆市場5ヶ所、ホワイト・ヘルメットのセンター4ヶ所、女性家族保健センター1ヶ所、発電所1ヶ所、給水所3ヶ所、養鶏場3ヶ所が損害を受け、75万人が避難を余儀なくされた。

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シリア人権ネットワークは、2023年10月にシリア軍とロシア軍による攻撃で民間人161人(うち子供34人、女性44人)が死亡したと発表した。

内訳は以下の通り:
シリアの「体制」が殺害:61人(うち子供23人、女性9人)
ロシア軍が殺害:9人(うち子供4人、女性4人)
人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が殺害:5人(うち子供1人)

AFP, November 1, 2023、ANHA, November 1, 2023、‘Inab Baladi, November 1, 2023、Reuters, November 1, 2023、SANA, November 1, 2023、SOHR, November 1, 2023などをもとに作成。

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