シリア軍はイラン・イスラーム革命防衛隊やレバノンのヒズブッラーによる2ヵ月にわたる教練を経て、FPV対応の自爆型ドローンをシリア北西部でのトルキスタン・イスラーム党、シャーム解放機構などとの実戦に投入(2024年2月14日)

『ワタン』(2月21日付)は、複数の地元筋の話として、自爆型無人航空機(ドローン)がシリア軍の新たな高性能兵器として投入され、シリア北西部のイドリブ県および周辺地域の緊張緩和地帯でのテロリストの追撃、移動阻止、兵站路の遮断が行われていると伝えた。

自爆型ドローンは、中国新疆ウィグル自治区出身者からなるアル=カーイダ系のトルキスタン・イスラーム党、シリアのアル=カーイダとして知られる国際テロ組織のシャーム解放機構、同機構が国民解放戦線とともに主導する「決戦」作戦司令室の戦闘員の多数の殺害や装備の破壊に成功しているという。

エナブ・バラディー(2月25日付)によると、シリア軍が新たに投入している自爆型ドローンは、FPV(First Person View、ファースト・パーソン・ビュー)対応機。

ポリティカル・キーズ(2023年12月17日付)によると、シリア軍は2023年12月16日、ドローンを操縦する兵員の教練を開始した。

教練は、ヒムス県タルビーサ市にある「機械科」学校内で秘密裡に行われ、100人あまりの兵士が参加、ドローンの制御技術、ドローンに関連するプログラムとその開発方法、ドローンの組み立て、解体、保守点検、ドローンを遠隔監視するレーダー装置の捜査などにつて実習を受けた。


その後、ヒムス県のタドムル市近郊の砂漠地帯に移動し、実践訓練が行われた。

教練機関は65日間に及び、イラン・イスラーム革命防衛隊の監督のもと、レバノンのヒズブッラーの軍事専門家、空軍情報部や軍事情報局の士官が直接指導を行った。

兵士の指導には、ヒズブッラーのハーッジ・アブー・サーディク氏、カマール・アブー・ハイダル氏ら5人が、空軍情報部のヒムス支部長のシャフィーク・サーリム准将、軍事情報局のタルビーサ支部長のクサイ・ハサン少佐らがあたった。

教練には攻撃型ドローンのアバービール3、カースィフ1も使用されたという。


‘Inab Baladi, February 25, 2024、Political Keys, December 17, 2023、al-Watan, February 14, 2024などをもとに作成。

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