クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、イスラエル軍が占領下のゴラン高原と政府支配地の兵力引き離し地域を隔てる境界線(ラインA)近くの県南部に展開するシリア軍機甲連隊を大砲や戦車によって砲撃した。
また、イスラエル軍航空機複数機が同地一帯にビラを散布し、シリア軍に対して兵力引き離し地帯に進入しないよう警告した。
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一方、イスラエル軍は午後3時58分、テレグラムの公式アカウント(https://t.me/idfofficial)を通じて、イスラエル軍戦車複数輌と大砲が、兵力引き離し合意に違反してシリア軍が緩衝地帯に設置・使用していた軍事インフラを攻撃したと発表した。
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シリア人権監視団によると、イスラエル軍によるシリアへの攻撃は、7月に入って初めて、今年に入って51回目(うち37回が航空攻撃、14回が地上攻撃)、これにより105あまりの標的が破壊され、軍関係者176人が死亡、91人が負傷しているという。
同監視団によると、軍関係者の死者内訳は以下の通りである。
イラン人(イラン・イスラーム革命防衛隊):23人
ヒズブッラーのメンバー:38人
イラク人:18人
「イランの民兵」のシリア人メンバー:43人
「イランの民兵」の外国人メンバー:14人
シリア軍将兵:40人
また、民間人も16人(女性3人と子供1人を含む)が死亡、36人あまりが負傷している。
攻撃の県別内訳は以下の通りである。
ダマスカス県、ダマスカス郊外県:20回
ダルアー県:13回
ヒムス県:7回
クナイトラ県:6回
タルトゥース県:3回
ダイル・ザウル県:1回
アレッポ県:2回
AFP, July 10, 2024、ANHA, July 10, 2024、‘Inab Baladi, July 10, 2024、Reuters, July 10, 2024、SANA, July 10, 2024、SOHR, July 10, 2024などをもとに作成。
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