シリア・ディアスポラ・アラウィー派イスラーム最高評議会フェイスブックを通じて、同評議会議長でアラウィー派の最高宗教権威であるガザール・ガザール師のビデオ声明を発表した。
ビデオ声明は、スイスのジュネーブにあるプレス・クラブで、クルド系人権擁護活動家でマイノリティの権利の専門家であるマスウード・アキール氏が司会をする記者会見として発表された。
同会議には、評議会の報道官であるムナー・ガーニムがガザール師の代理として代表して出席し、シリア問題に関わる各国大使らとの一連の重要な会合を開催し、協力の方途や共同作業の展望について議論が行われた。
ガザール師の声明の内容は以下の通り。
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。
すべての預言者と、全世界への慈悲として遣わされた使徒たちに祝福と平安がありますように。
メディア関係者の皆さん、ご来賓の皆さんに、平安とアッラーの慈悲と祝福がありますように。
明日、ジュネーブにて第60期人権理事会の会合が再開される。おそらくこれは、国際的な場において、初めてアラウィー派の真の声を届ける機会となるだろう。そして今この瞬間は、極めて重大で歴史的な岐路となっている。
シリアにおけるアラウィー派は、シリア社会の本来的かつ不可分の一部であり、常に祖国に根を下ろし、他のあらゆる共同体や宗派と共に架け橋を築くために、かけがえのない犠牲を払ってた。我々は、真の力とは平和と共生にあると信じている。これこそがアラウィー派の信条の核心であり、モーゼ、イエス、ムハンマドが担った光と預言をも受け継ぐものである。
しかし今日、いわゆる「政治的イスラーム化」と過激派テロリズムがアラウィー派を標的としている。それは、我々が決して認めたことのない罪のためではなく、存在そのものを消そうとする国家や勢力による組織的な攻撃のためだ。我々は、この果てしない紛争に無理やり巻き込まれ、それは破壊と荒廃、恐怖、脅威、不安定さ以外の何ももたらしていない。
アラウィー派と国家、そして近隣諸国との関係は、決して宗派的な色合いに基づいたものではない。我々の子どもたちの帰属は、ただ一つ、民主的で多元的な市民国家、あるいは世俗国家にある。そこでは、法と安全が支配し、合意に基づく憲法の下、公正な分配が保障され、テロから解放された未来を築くことができる。すべての人が人間性を守られ、宗派・民族・国籍に基づく差別から自由である社会だ。
こうした観点から、我々は体系的な攻撃に直面している状況の中で、連邦制と分権制を求めている。3月7日の虐殺から始まり、今日まで続く強制移住や脅迫、さらには地域の強制的な人口構成の変更の試みが存在する。現在に至るまで、我々は、報道もされないままに、殺害、逮捕、拉致、女性の暴行に晒され、数千人の無実の囚人や行方不明者がいる。彼らは兵士でありながら武器を手放した者たちであり、また一般市民や長老たちだ。彼らは罪もなく、裁判もなく、消息すら知らされずに拘束されている。土地は焼かれ、財産は略奪されている。
最後にアラウィー派は世界の誠実な人々と良心ある人々に対し、手遅れになる前に、アラウィー派共同体を民族浄化や大量虐殺から救うための根本的かつ迅速な解決策を求める。
同時に、我々は正義と平等の原則を堅持し、抑圧を取り除き、我々自身とすべてのシリア人が尊厳をもって生きる権利を守るために声を上げる。シリアの多様性こそが我々の国民的アイデンティティの本質であり、その保護を訴える。
我々はこれまでも、そしてこれからも平和を希求する者であり、未来において高貴な価値、権利、公正、安全が支配することを望む。
皆様に平安とアッラーの慈悲と祝福がありますように。
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