ロシア外務省によると、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、モスクワで行われた「東方への架け橋」プロジェクトのインタビューにおいて、シリアとの関係について以下の通り述べた。
2024年にロシアとシリアの外交関係樹立80周年を迎えた。
ソ連時代から両国は友好関係にあり、経済・社会・教育・防衛の分野で緊密な協力を築いてきた。ロシアはシリア・アラブ共和国の国力形成に大きく寄与してきたと自負している。
2011年、「アラブの春」においてシリア紛争が激化し、西側諸国の支援を受けた反体制派が武装化して以降、ロシアはシリアの合法政府を支援するため介入した。プーチン大統領の決定により、ロシアは情勢の安定化に重要な役割を果たした。
当時、米国や国連・ジュネーブなどで多国間協議を行い、国連決議も採択されたが、それが順守されていれば、今日見られるような中央政府と各地方との対立は存在しなかっただろう。
ロシアは情勢に左右されない一貫した友好関係をシリアと維持している。
2024年12月の政変後すぐに接触を再開し、プーチン大統領は新政権のアフマド・シャルア氏と電話会談を行った。今年初めにはロシアの省庁合同代表団がダマスカスを訪問し、旧政権時代に開始されたプロジェクトの継続可能性を共同で検討した。
私は今年春、アンタルヤ外交フォーラムでもアスアド・ハサン・シャイバーニー外務在外居住者大臣と会談し、その後7月にモスクワで、さらに9月にはニューヨークで再会した。
また、9月初旬にはノヴァク副首相率いる政府代表団がダマスカスを訪れ、同国の関係閣僚および暫定大統領アフマド・シャルア氏と協議を行った。
ロシアは、旧ソ連時代および2011~2014年以降に始まった経済・工業・農業・エネルギー分野の協力を、現状に合わせて調整しながら継続したいと考えている。
プーチン大統領は、シリア政府の意思に反して駐留を続けることはないと繰り返し述べている。だが、シリア政府および地域諸国の多くが、ロシアのプレゼンス維持を望んでいる。
彼はまた、今後は軍事支援ではなく「機能の再構築」が必要であると述べた。
ロシアの港湾や空港を「人道支援ハブ」として活用し、ロシアやペルシャ湾諸国からアフリカ諸国へ人道物資を輸送する拠点とすることが有効である。この構想にはシリア側も賛同しており、すでに協議が進んでいる。
シリアは外国の内政干渉を断固として拒否している。しかし、依然として広大な領域が外国軍の支配下にあり、ダマスカスの招きによらない駐留も存在する。特に南部ではイスラエルが緩衝地帯の設置を主張している。
彼はイスラエルの安全保障上の懸念を理解するとしながらも、北東部のクルド問題や、米国によるクルド分離主義の助長、トルコ軍の越境展開、アラウィー派やキリスト教徒への攻撃など、複合的な脅威を指摘した。
シリアの統一こそ、関係国すべての利益である。もしクルドの自治・分離主義が現実化すれば、地域全体に連鎖的影響を及ぼす危険がある。
ロシアはシリアのパートナーを全面的に支援し、同国に関与する他国とも協調していく。とりわけ、10月15日に開催される第1回ロシア・アラブ首脳会議で、シャルア暫定大統領の参加が重要な意義を持つ。この場で実質的な議論が行われるだろう。
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シリア人権監視団によると、シリアに駐留するロシア軍部隊に所属する25台の貨物車輛からなる車列が、ラタキア県のフマイミーム航空基地からタルトゥース市方面に向かい、その後帰還した。
同様の動きは、10月1日と6日にも確認されている。
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