シリア人権監視団によると、米主導の有志連合の部隊が、ドゥマイル市とムウダミーヤト・カラムーン町の間に位置する地域で、同県初となる空挺作戦を実施した。
作戦は数時間にわたり行われ、アフマド・シャルア移行期政権の国防省所属の治安部隊が現場を包囲、上空にはヘリや偵察機が飛来し、旋回を繰り返し、ダーイシュ(イスラーム国)元幹部のアフマド・アブドゥッラー・マスウード・バドリーが逮捕された。
また、作戦に際して、ダーイシュのメンバー1人が死亡、1人が負傷した。
これに関して、内務省(フェイスブック)は、総合諜報機関が同地でダーイシュのスリーパーセルを摘発するための治安作戦を実施したと発表した。
発表によると、この作戦で、セルのメンバー1人が逮捕され、もう1人は自爆を試みて死亡、別の1人も交戦中に負傷し死亡、現場では、武器や弾薬、爆発用に準備された自爆ベルトが押収された。
また、トーマス・バッラク在トルコ米大使兼務シリア担当特使は、Xで「シリアは我々の側に戻った」と綴った。
Syria is back to our side. https://t.co/smsqosSksl
— Ambassador Tom Barrack (@USAMBTurkiye) October 19, 2025
アラビー21、シリア人権監視団が20日に伝えたところによると、米国側は当初、アフマド・アブドゥッラー・バドリーとされたハーリド・マスウード氏はダーイシュの幹部であると発表していたが、その後、同名の別人を指していたことが判明した。
誤りに気づいた有志連合は、マスウード氏を釈放したものの、彼は拘束時に腹部を銃撃されており、ダマスカス郊外県のハラスター国立病院で死亡した。
死亡したマスウード氏は、従兄弟の証言によれば、シリアの情報機関に所属する職員。
バドリー部族の出身で、2011年に「アラブの春」がシリアに波及した際、前政権への反旗を翻し、ダマスカス郊外県で決起したで最初期の1人だった。
その後、シャーム自由人イスラーム運動、シャーム解放機構に所属し、現在に至ったが、ダーイシュとは無関係だったとされる。
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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、有志連合の部隊が、ハサカ県からラッカ県に10台の装甲車輛からなる車列を移動させた。
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