旬刊シリア情勢(試作版2015年8月1~10日)

2015年8月1日(土)から10日(月)までのシリアをめぐる主な動きは以下の通り。

Contents

1. トルコで米軍が教練した「穏健な反体制派」の第30師団をめぐる混乱を突くかたちで、ダーイシュがアレッポ県北部の「安全地帯」で勢力伸長

米トルコ両国政府が7月末にアレッポ県北部に設置することで合意したとされる「安全地帯」(安全保障島)では、トルコ領内で米軍の教練を受けた「穏健な反体制派」の第30(歩兵)師団戦闘員60人あまりが進軍した。

だが、米国が支援する「穏健な反体制派」の勢力拡大に警戒感を示すアル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線は、活動開始間もない第30師団の士官1人を含む戦闘員複数名をアアザーズ市(アレッポ県)拘束し、また同師団の拠点を襲撃した。

これに対して、米軍はただちに、アアザーズ市郊外のヌスラ戦線拠点などを空爆すると、ヌスラ戦線は「安全地帯」の設置をめざす米トルコの方針から距離を置くようになり、有志連合と協力することはできないとして、「安全地帯」から撤退した。

ヌスラ戦線の撤退により、「権力の真空」が生じた「安全地帯」では、ダーイシュが攻勢を強め、反体制武装集団(シャーム自由人イスラーム運動、シャーム戦線)などの拠点都市であるマーリア市周辺の村々への進攻を開始した。

(主な関連記事)

■ヌスラ戦線が、米国の教練を受けた「第30師団」メンバー拘束、有志連合の空爆現場のビデオ映像を公開(2015年8月1日)
シャームの民のヌスラ戦線の広報部門マナーラ・バイダーのアレッポ特派員は、「ヌスラ戦線兵士はシリア北部に伸びる米国の腕を阻止するための軍事作戦を開始する」と題した約3分間のビデオ映像(https://www.youtube … 続きを読む
■ヌスラ戦線は、有志連合によるダーイシュ(イスラーム国)攻撃に参加しないため、アレッポ県北部の前線から撤退すると発表(2015年8月10日)
シャームの民のヌスラ戦線はインターネットを通じて声明を出し、米トルコ両国政府によるアレッポ県北部の「安全地帯設置」設置を受けるかたちで、同県北部の「ダーイシュ(イスラーム国)との前線からの撤退を宣言する」と発表した。
ヌ … 続きを読む
■シリア人権監視団「有志連合は、ヌスラ戦線の襲撃を受けた「第30師団」を直ちに空爆で支援」(2015年8月2日) シリア人権監視団は、シャームの民のヌスラ戦線が7月30日に、米軍の軍事教練を受け、トルコから2週間以上前にシリア領内に潜入した第30師団司令官ら8人を拉致したことに関連して、ヌスラ戦線が同じ日にマーリキーヤ村の第30師団 … 続きを読む
■アーネスト米ホワイトハウス報道官「米軍のシリア領内での作戦にシリア政府は介入すべきでない」(2015年8月3日) ジョシュ・アーネスト米ホワイトハウス報道官は、米軍がトルコ領内で教練したシリアの「穏健な反体制派」に対する航空支援を決定したとする報道に関して、シリア政府は米軍のシリア領内での作戦に「介入すべきでない」と述べ、シリア政府
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■ヌスラ戦線が米軍の教練を受けた「穏健な反体制派」(新シリア軍)メンバー5人を新たに拉致(2015年8月3日) アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線が、アフリーン市郊外のカーフ村で、米軍の教練を受けトルコからシリア領内に入っていた「穏健な反体制派」の第30師団の戦闘員5人を新たに
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■米匿名高官「米軍の軍事教練を受けた「穏健な反体制派」を空爆で支援することを米政府は決定」(2015年8月3日) 『ハヤート』(8月4日付)、ロイター通信(8月3日付)などは、米国の複数の高官が匿名を条件に、米軍の軍事教練を受けた「穏健な反体制派」に空爆などを通じて支援を行うと米政府が決定したことを明かしたと伝えた。 匿名高官らによると … 続きを読む
■米軍の教練を受けた「穏健な反体制派」の第30師団が、ヌスラ戦線に事実上の降伏宣言、米国の意に反して活動方針をダーイシュ掃討から、ダーイシュおよびシリア政府との戦いに転換(2015年8月5日)
トルコ領内で米軍の教練を受け、シリア潜入直後にシャームの民のヌスラ戦線によって司令官らを拉致された「穏健な反体制派」の第30師団は、インターネットを通じて声明を出し、ダーイシュ(イスラーム国)とシリア政府と戦うために結成
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■トルコ外相「米国とともに”近く”ダーイシュ(イスラーム国)への全面戦争を行う」(2015年8月5日) トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣は訪問先のマレーシアの首都クアラルンプールでジョン・ケリー米国務長官と会談した。 会談後、チャヴシュオール外務大臣は「米軍の有人戦闘機および無人航空機がトルコのインジルリク空軍
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■トルコによるイラク北部のPKK拠点への空爆、米国によるシリア北部の「安全地帯」設置、「穏健な反体制派」への支援に関する米トルコ間の合意の全貌(2015年8月5日) 『ハヤート』(8月5日付、イブラーヒーム・ハミーディー記者)は、ダーイシュ(イスラーム国)による領内での「テロ」に端を発するイラク北部へのトルコ軍の空爆やシリア北部での「安全保障地域」(安全保障島、جزيرة آمنة) … 続きを読む
■トルコ当局がダーイシュ(イスラーム国)支配下のタッル・アブヤド市に隣接するアクチャカレ一帯を「暫定軍事安全地帯」に指定(2015年8月6日) ドゥラル・シャーミーヤ(8月6日付)は、シャンウルファ県のトルコ当局の話として、トルコ当局がシリア国境に面するアクチャカレ郡の3カ所を「暫定軍事安全地帯」を指定したと伝えた。
「暫定軍事安全地帯」指定は、8月6日 … 続きを読む
■アレッポ県でダーイシュ(イスラーム国)と戦う「穏健な反体制派」の司令官が何者かによって拉致(2015年8月8日) アレッポ県では、クッルナー・シュラカー(8月8日付)が、ウンム・フーシュ村一帯でダーイシュ(イスラーム国)と戦っていたスルターン・ムラード旅団のアンマール・ハーッジ・ガーズィー司令官が同地で6日に何者かに拉致され、消息が
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■北部ウンム・フーシュ村を制圧、ヌスラ戦線は米トルコが設置したアレッポ県北部の「安全地帯」からの撤退を続ける(2015年8月9日) アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が、ジハード主義武装集団などの支配下にあるウンム・フーシュ村で、戦闘員が自爆攻撃などを行い、ジハード主義者18人を殲滅、同地を制圧した。 この戦闘で、ダ … 続きを読む
■ヌスラ戦線は、有志連合によるダーイシュ(イスラーム国)攻撃に参加しないため、アレッポ県北部の前線から撤退すると発表(2015年8月10日) シャームの民のヌスラ戦線はインターネットを通じて声明を出し、米トルコ両国政府によるアレッポ県北部の「安全地帯設置」設置を受けるかたちで、同県北部の「ダーイシュ(イスラーム国)との前線からの撤退を宣言する」と発表した。
ヌ … 続きを読む

2. シリア軍とファトフ軍の攻防 、YPGとヌスラ戦線の戦闘頻発化

イドリブ県西部、ハマー県北部のガーブ平原一帯に勢力を伸張したファトフ軍(アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線、ジュンド・アクサー機構、シャーム自由人イスラーム運動などからなる連合組織)とシリア軍、国防隊の攻防戦が続き、シリア政府の支配下にとどまるイドリブ県フーア市およびカファルヤー町(いずれもシーア派住民が多い)一帯へのファトフ軍の無差別砲撃が強まる一方、シリア軍は、国防隊、レバノンのヒズブッラー、パレスチナ解放軍とともに、ダマスカス郊外県西部における反体制武装集団の最後の拠点ザバダーニー市制圧に向け作戦を継続した。

こうしたなか、ザバダーニー市とイドリブ県双方における戦闘を主導するアル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動が、イラン政府高官とザバダーニー市での停戦をめぐる交渉を行っていることを認めた。

一方、アレッポ県とイドリブ県の県境では、クルド民族主義政党の民主統一党が主導する西クルディスタン移行期文民局アフリーン地区が、トルコ国境に位置するヌスラ戦線の拠点アティマ村方面に勢力を伸張し、人民防衛隊(YPG)とヌスラ戦線との戦闘が頻発するようになった。

(主な関連記事)

■シリア軍がハマー県北部のザイズーン発電所一帯を制圧(2015年8月1日) ハマー県では、シリア人権監視団によると、ガーブ平原北部で、シリア軍がシャームの民のヌスラ戦線など反体制武装集団と交戦し、シリア軍兵士・国防隊隊員20人以上が死亡、反体制武装集団側も戦闘員19人が死亡した。
同監視団による … 続きを読む
■イドリブ県アティマ村一帯でYPGとヌスラ戦線が交戦(2015年8月1日) イドリブ県では、『ハヤート』(8月2日付)によると、トルコ国境に位置するアティマ村近郊のダイル・バッルート村で、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とシャームの民のヌスラ戦線が交戦した。 戦闘は、人民防衛隊が同地に監 … 続きを読む
■シリア軍がラタキア県とアリーハー市を結ぶジスル・シュグール市郊外の戦略的要衝のフライカ村を奪還(2015年8月2日) イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がヒズブッラー戦闘員、国防隊とともに、ラタキア県とアリーハー市を結ぶジスル・シュグール市郊外の戦略的要衝のフライカ村で、3日間に及ぶ反体制武装集団との戦闘を征し、同地を制
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■ファトフ軍がイドリブ県にあるシーア派の町フーア市地下でトンネルを爆破、また「地獄の大砲」など1,000発以上で無差別砲撃(2015年8月10日)
イドリブ県では、クッルナー・シュラカー(8月10日付)によると、ファトフ軍がシリア政府支配下にあるフーア市に向かって掘削した地下トンネル内で爆弾を爆発させ、ヒズブッラー戦闘員、国防隊隊員数十人を殺害した。
この地下トンネ … 続きを読む
■イドリブ県でシリア軍戦闘機が墜落し30人以上が死亡、フライカ村一帯で戦闘続く(2015年8月3日) イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ファトフ軍の制圧下にあるアリーハー市中心街を空爆していたシリア軍戦闘機1機(MiG-21)が「技術的な問題」で墜落し、子供2人を含む31人が死亡、40人あまりが負傷した(その後死 … 続きを読む
■イドリブ県南部、ハマー県北部でシリア軍とファトフ軍らの戦闘続く(2015年8月4日) イドリブ県では、シリア人権監視団によると、フライカ村一帯、ハムカ丘一帯で、シリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員、アジア人・アラブ人戦闘員が、ハック旅団、ジュンド・アクサー機構、シャームの民のヌスラ戦線、スンナ軍、アンサー
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■シャーム自由人イスラーム運動は、ザバダーニー市停戦に向けたイランとの交渉が中断したと発表(2015年8月5日) シャーム自由人イスラーム運動は声明を出し、ダマスカス県ザバダーニー市での停戦に向けてイランの高官と交渉していることを認めたうえで、イラン側がザバダーニー市からの住民の退去に固執したために交渉が中断したと発表、同市一帯の「
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■イドリブ県・ハマー県境でヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が反転攻勢、ザイズーン発電所を奪還(2015年8月5日) シリア人権監視団によると、イドリブ県南部のジスル・シュグール市一帯、ハマー県北部のガーブ平原一帯で、シリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員、アジア系・アラブ系戦闘員と、ハック旅団、シャーム軍団、スンナムン、第101歩兵師団 … 続きを読む
■トルコ国境地帯でヌスラ戦線とYPGが交戦(2015年8月6日) シリア人権監視団によると、トルコ国境地帯に位置するイドリブ県アティマ村とアレッポ県ジャンディールス町を結ぶ地域で、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線と西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊が交戦した。
戦闘 … 続きを読む
■ファトフ軍がイドリブ県、ハマー県で再びシリア軍に対して攻勢(2015年8月7日) ハマー県では、シリア人権監視団によると、シャーム自由人イスラーム運動、シャームの民のヌスラ戦線などからなるファトフ軍が、ガーブ平原に位置するマシーク村でシリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員、アジア系・アラブ系民兵と交戦し
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■ハマー県、イドリブ県でシリア軍がヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団との戦闘を続ける(2015年8月8日) ハマー県では、シリア人権監視団によると、県北部ガーブ平原のマシーク村、マンスーラ村一帯で、シリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員、アジア系・アラブ系民兵が、ハック旅団、シャーム軍団、スンナ軍、第101歩兵師団、第111歩兵 … 続きを読む
■YPGは負傷した隊員6人をトルコ当局がアル=カーイダ系組織のヌスラ戦線に引き渡したと非難(2015年8月8日) 西クルディスタン移行期民政局コバネの人民防衛隊総司令部は声明を出し、アレッポ県アイン・アラブ(コバネ)市からミュルシトプナル国境通行所を通ってトルコ領内の病院に搬送された人民防衛隊の負傷兵6人が、トルコ領
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■シリア軍がハマー県北部で敗退する一方、アレッポ市スライマーン・ハラビー地区の建物群を制圧(2015年8月9日) ハマー県では、シリア人権監視団によると、ファトフ軍を構成するシャームの民のヌスラ戦線、ジュンド・アクサー機構、トルキスターン・イスラーム党、シャーム自由人イスラーム運動、ハック旅団、シャーム軍団、スンナ軍、第101歩兵師団、
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■ファトフ軍がイドリブ県にあるシーア派の町フーア市地下でトンネルを爆破、また「地獄の大砲」など1,000発以上で無差別砲撃(2015年8月10日) イドリブ県では、クッルナー・シュラカー(8月10日付)によると、ファトフ軍がシリア政府支配下にあるフーア市に向かって掘削した地下トンネル内で爆弾を爆発させ、ヒズブッラー戦闘員、国防隊隊員数十人を殺害した。 この地下トンネ … 続きを読む

3. シリア軍、YPGがハサカ市からダーイシュを放逐するも、シリア政府はカルヤタイン市を喪失

ハサカ県の県庁所在地で、シリア政府と西クルディスタン移行期民政局ジャズィーラ地区が共同支配(分割統治)を行うハサカ市では、7月に侵入したダーイシュ(イスラーム国)戦闘員を、シリア軍、人民防衛隊がそれぞれ放逐することに成功した。

両者によるダーイシュ掃討に対して、有志連合は空爆により支援を行った。

シリア軍と西クルディスタン移行期民政局、そしてシリア軍と有志連合は対立関係にあるが、ハサカ市での戦闘において事実上の(消極的)連携を行っている。

ハサカ市からのダーイシュ放逐後、ハサカ県の主戦場はハサカ市郊外に写り、人民防衛隊が有志連合の航空支援にもかかわらず苦戦を強いられる一方、ヒムス県では、キリスト教徒が多く住むカルヤタイン市一帯にダーイシュが進軍、シリア政府は同地を放棄した。

(主な関連記事)

■ハサカ市から撤退したダーイシュ(イスラーム国)は、同市西部のアブドゥルアズィーズ山にある放送塔をYPGから奪取(2015年8月2日) ハサカ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(8月2日付)によると、ハサカ市から撤退したダーイシュ(イスラーム国)が、同市西部郊外にあるアブドゥルアズィーズ山一帯で西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊と交戦し、放送塔を制圧し
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■ハサカ市西部アブドゥルアズィーズ山一帯でダーイシュ(イスラーム国)とYPGが交戦(2015年8月3日) ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ハサカ市西部のアブドゥルアズィーズ山の放送塔一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)が西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊と交戦、人民防衛隊隊員2人が死亡した。 クッルナー・シュラカ … 続きを読む
■シャンマル族の民兵組織「サナーディード軍」カーミシュリー市内で祝賀パレード(2015年8月3日) ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(8月3日付)によると、カーミシュリー市内でシャンマル族の民兵組織「サナーディード軍」が、ハサカ市からのダーイシュ(イスラーム国)放逐を祝う祝賀行進を行った。
行進を行ったサナーディー … 続きを読む
■ダーイシュ(イスラーム国)がシリア軍との戦闘の末にヒムス県のカルヤタイン市を制圧か(2015年8月5日) ヒムス県では、シリア人権監視団によると、カルヤタイン市一帯でシリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、同地一帯を空爆した。 これに関して、ダーイシュ(イスラーム国)ヒムス州広報局はまた、シリア軍との戦闘の末に、カルヤ
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■シリア領内での有志連合の空爆で「カリフ制の幼獣」8人を含むダーイシュ(イスラーム国)戦闘員51人が死亡(2015年8月6日) シリア人権監視団は、有志連合戦闘機がラッカ県、ダイル・ザウル県、ハサカ県各所のダーイシュ(イスラーム国)に対して空爆を行い、過去48時間で戦闘員51人を殺害したと発表した。 空爆の標的となったダイル・ザウル県マヤーディー … 続きを読む

4. 大統領の甥スライマーン・アサド氏逮捕

アサド大統領の甥のスライマーン・アサド氏が、ラタキア市で空軍大佐を射殺した。

事件を受け、ラタキア市ではスライマーン氏への極刑を求めるデモが発生、当局はスライマーン氏を殺人の罪で逮捕した。

(主な関連記事)

■ラタキア市内で大統領の甥スライマーン・アサド氏が空軍大佐を射殺(2015年8月7日) シリア人権監視団は、アサド大統領の甥のスライマーン・アサド氏がラタキア市内でハッサーン・シャイフ空軍大佐を殺害したと発表した。 シャイフ空軍大佐が運転する車が、ラタキア市内のアズハリー交差点で、スライマーン氏の車を追い越 … 続きを読む
■アサド大統領の甥のスライマーン氏への極刑を求めるデモがラタキア市で発生し、1,000人以上が参加(2015年8月9日) ラタキア県では、シリア人権監視団などによると、アサド大統領の甥のスライマーン・アサド氏が7日ラタキア市内でハッサーン・シャイフ空軍大佐を射殺したとされる事件に抗議する座り込みデモが8日晩から9日にかけてズィラーア交差点で
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■アサド大統領の甥のスライマーン・アサド容疑者逮捕/スライマーン容疑者「ラッカ、イドリブ、タドムルを売った連中が処罰されたら、自分が処罰されることも受け入れる」(2015年8月10日)
SANA(8月10日付)は、アサド大統領の甥で7日にラタキア市内でハッサーン・シャイフ空軍大佐を射殺したとされるスライマーン・アサド容疑者を関係当局が逮捕・拘束したと伝えた。
ラタキア県のイブラーヒーム・ハドル・サーリム … 続きを読む

5. 国連はシリアでの化学兵器の使用に対する責任を追及するための安保理決議を採択

ダマスカス郊外県東西グータ地方で2013年8月に発生した化学兵器使用事件から2年を迎えようとしていた8月7日、国連安保理は、シリアでの化学兵器の使用に対する責任追及にあたるため、国連と化学兵器禁止機関(OPWC)による合同査察機構を創設することを定めた決議第2235号を採択した。

(主な関連記事)

■米露、シリアでの塩素ガスの使用に関する国連安保理決議案をめぐって合意(2015年8月6日) 米国のジョン・ケリー国務長官とロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は訪問先のマレーシアの首都クアラルンプールで会談し、シリア情勢などへの対応について意見を交わした。
会談後、ケリー国務長官は、シリアでの塩素ガスの使用に関し … 続きを読む
■シリアでの化学兵器の使用に対する責任追及にあたるための国連とOPWCによる合同査察機構の設置を定めた国連安保理決議第2235号が採択(2015年8月7日) 国連安保理は、シリアでの化学兵器の使用に対する責任追及にあたるため、国連と化学兵器禁止機関(OPWC)による合同査察機構を創設することを定めた決議第2235号を採択した。
米国が決議案を作成し、マレーシアの首都クアラルン … 続きを読む

6. サウジアラビアとシリアが秘密交渉

サウジアラビア首脳が7月に、同国内でシリアの国民安全保障会議議長と会談し、反体制派への支援の是非をめぐって交渉していたことを、サウジ高官が認めた。

この秘密交渉では、サウジアラビアは、シリアの反体制派への支援を停止する見返りとして、イラン、ヒズブッラーのシリアからの撤退が求めた。

交渉は結実せずに終わったが、サウジアラビアの政府がシリアの反体制派を支援していることが改めて浮き彫りとなった。

(主な関連記事)

■サウジアラビア首脳とシリアのマムルーク国民安全保障会議議長がサウジアラビアで会談:サウジアラビアは、イラン、ヒズブッラーのシリアからの撤退を反体制派支援停止の条件として提示(2015年8月8日) 『ハヤート』(8月8日付)は、サウジアラビアの複数の高官筋の話として、サウジアラビア首脳が7月7日、シリアのアリー・マムルーク国民安全保障会議議長をジェッダに招いていたと報じた。
この「奇跡の会談」は、ロシアのヴラジミー … 続きを読む

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