イドリブ県でシリア軍戦闘機が墜落し30人以上が死亡、フライカ村一帯で戦闘続く(2015年8月3日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ファトフ軍の制圧下にあるアリーハー市中心街を空爆していたシリア軍戦闘機1機(MiG-21)が「技術的な問題」で墜落し、子供2人を含む31人が死亡、40人あまりが負傷した(その後死者数は増加し子供3人、女性1人を含む37人に)。

死傷者約70人は、戦闘機の墜落に巻き込まれるか、墜落前の空爆によって被害にあった。

なお、クッルナー・シュラカー(8月4日付)によると、墜落した戦闘機を操縦していたパイロットはファトフ軍に捕捉されたという。

シリア軍はアリーハー市以外にも、フバイト村、ビンニシュ市などに対しても「樽爆弾」で空爆を行った。

またラタキア県・アリーハー市を結ぶ戦略的要衝のフライカ村一帯では、シリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員、アジア系・アラブ系外国人戦闘員が、ハック旅団、ジュンド・アクサー機構、シャームの民のヌスラ戦線、スンナ軍、アンサール・ディーン戦線、トルキスターン・イスラーム党、アンサール・シャーム、アジュナード・シャーム・イスラーム連合、シャーム軍団、第111歩兵師団、第101歩兵師団、山地の鷹旅団、ガーブの鷹、ジュヌード・シャーム(チェチェン人)、シャーム自由人イスラーム運動などと交戦を続けた。

戦闘はフールー村(ハマー県北部)、ジューリーン村一帯で激しく行われ、同地をシリア軍が制圧したという情報や、アアワル丘、フライカ村からシリア軍が撤退したといった情報が錯綜しているという。

この戦闘により、シリア軍兵士・国防隊隊員28人、ジハード主義武装集団16人(うちシリア人7人)が死亡したという。

これに関して、ARA News(8月3日付)は、ワーイル・ムハンマドを名乗る活動家の話として、ファトフ軍がガーブ平原のカルクーズ橋、フールー村検問所などを奪還し、ザイズーン発電所一帯でシリア軍と交戦していると報じた。

しかし、SANA(8月3日付)は、シリア軍が、ジスル・シュグール市東部に位置するハムカ丘で反体制武装集団と交戦し、ファトフ軍戦闘員を殺傷、同地を制圧したと伝えた。

また、SANA(8月3日付)によると、シリア軍はまた、タッル・サラムー村、ハシール村、マサーキン村、トゥルア村、ウンム・ジャリーン村、アブー・ズフール町一帯、サッラト・ズフール村、ジャンアト・クラー村、アリーハー市、フライカ村、ジスル・シュグール市、マシュラファ村、サルマーニーヤ村、ガザール村、サリーリーフ村、サフン丘、ハッターブ丘、トゥウーム村、クファイル町、ミンタール村で重点的に作戦を遂行し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

このほか、シリア政府支配下のフーア市、カファルヤー町一帯で、国防隊や地元の民兵が、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

他方、ヌスラ戦線はザーウィヤ山で、ジハード主義武装集団元司令官を窃盗の罪で処刑した。

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ハマー県では、SANA(8月3日付)によると、シリア軍がフールー村でシャームの民のヌスラ戦線などと交戦し、同地を制圧した。

シリア軍はまた、カフルズィーター、ザジュラム丘、ザクーム村、クライディーン村、カストゥーン村、アンカーウィー村、ハミーディーヤ村、ハミーミーマート村、カルアト・マディーク町一帯で反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がダーライヤー市を地対地ミサイルで攻撃するとともに、戦闘機で爆撃を行った。

シリア軍はまた、国防隊とともに同市一帯でジハード主義武装集団と交戦、ジハード主義武装集団戦闘員4人が死亡した。

シリア軍はさらに、アルバイン市、ナシャービーヤを砲撃した。

ザバダーニー市一帯では、シリア軍第4師団、ヒズブッラー戦闘員とジハード主義武装集団、地元の武装集団の交戦が続き、反体制武装集団が第4師団の戦車を破壊したという。

これに対して、シリア軍は同市一帯を激しく空爆した。

このほか、東カラムーン地方のナースィリーヤ村で、ジハード主義武装集団の司令官と随行者複数名が殺害された。

一方、SANA(8月3日付)によると、シリア軍がレバノンのレジスタンス(ヒズブッラー戦闘員)とともに、ザバダーニー市で反体制武装集団に対して重点的に作戦を継続、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム軍と交戦の末に市内西部ジャムイーヤート地区の8つのブロックの建物群を制圧した。

他方、SLN(8月3日付)は、ザバダーニー市でのシリア軍第4師団、ヒズブッラー戦闘員とシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動、地元武装集団との攻防線をめぐって、イランの複数の高官がシャーム自由人イスラーム運動と、同市からの民間人、戦闘員の退去に関する交渉を行ったと伝えた。

交渉では、イドリブ県フーア市、カファルヤー町へのファトフ軍の包囲解除が、ザバダーニー市の住民、戦闘員退去の条件として示されたという。

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クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、ハドル村一帯で、シリア軍、国防隊がジハード主義武装集団と交戦した。

一方、SANA(8月3日付)によると、ハミーディーヤ村、西サムダーニーヤ村、クナイトラ市中心の広場一帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ハンダラート・キャンプ一帯、バーシュカウィー村で、シリア軍、国防隊、アジア系外国人戦闘員らが、シャームの民のヌスラ戦線、アンサール・ディーン戦線などジハード主義武装集団と交戦した。

シリア軍、国防隊はまた、アレッポ市ハーリディーヤ地区一帯でアレッポ・ファトフ作戦司令室と交戦したほか、マアーッラト・アルティーク村一帯を砲撃した。

一方、SANA(8月3日付)によると、アレッポ市バニー・ザイド地区、ハトブ広場、ハーリディーヤ地区、ブスターン・バーシャー地区、ライラムーン地区、旧市街、シャイフ・サイード地区、カルム・カスル地区、ラーシディーン地区、サーリヒーン交差点一帯、シャイフ・ルトフィー村、アーミリーヤ村、ナイラブ航空基地西部、マンスーラ村、ハーン・アサル村などで、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

このほか、クッルナー・シュラカー(8月3日付)によると、シャーム戦線戦闘員が何者かに殺害され、この戦闘員が乗っていた車が盗まれた。

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ダルアー県では、SANA(8月3日付)によると、西ガーリヤ村、ヤードゥーダ村、ダルアー市Syriatelビル一帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、SANA(8月3日付)によると、ファルラク森一帯、アズル山で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, August 3, 2015、AP, August 3, 2015、ARA News, August 3, 2015、Champress, August 3, 2015、al-Hayat, August 4, 2015、Iraqi News, August 3, 2015、Kull-na Shuraka’, August 3, 2015、August 4, 2015、al-Mada Press, August 3, 2015、Naharnet, August 3, 2015、NNA, August 3, 2015、Reuters, August 3, 2015、SANA, August 3, 2015、SLN, August 3, 2015、UPI, August 3, 2015などをもとに作成。

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