イドリブ県でシリア・ロシア軍の爆撃は確認されず。シリア軍はトルコ軍監視所一帯を砲撃(2019年9月13日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が一方的停戦を宣言してから13日目(爆撃を激化させてから134日目)を迎えた9月13日、シリア・ロシア軍は爆撃を実施しなかったが、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団の散発的な戦闘は続き、シリア軍は180回にわたり砲撃を行った。

シリア・ロシア軍が緊張緩和地帯への攻撃を激化させた4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より5人(民間人2人(うち女性1人、子供1人)、シリア軍兵士は0人、反体制武装集団戦闘員0人)増えて4,138人となった。

内訳は、民間人1,055人(うち女性188人、子供263人)、シリア軍兵士1,406人、反体制武装集団戦闘員1,671人。

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イドリブ県では、イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がマアッラト・ヌウマーン市、カフルナブル市、ウンム・スィール村、カフルサジュナ村、マアッラト・ハルマ村、シャイフ・ムスタファー村、カンスフラ村、ラカーヤー村、マアッルズィーター村、マアッラト・マーティル村を砲撃し、マアッラト・ヌウマーン市では、女児1人を含む3人が死亡、カフルナブル市では女性1人を含む2人が死亡した。

シリア軍の砲撃は、トルコ軍部隊が留め置かれているマアッル・ハッタート村(マアッラト・ヌウマーン市南)にも及んだ。

この部隊は、ハマー県ムーリク市近郊のトルコ軍監視所(第9監視所)に支援物資を届けるはずだったが、シリア軍により進行を阻止されている。

これに対して、反体制武装集団はハーン・シャイフーン市のシリア軍検問所を砲撃した。

一方、ホワイト・ヘルメットは、バイニーン村近郊にある国内避難民(IDPs)収容キャンプがシリア軍の爆撃を受け、火災が発生したと主張した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がハラサ村を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を37件(アレッポ県11件、ラタキア県1件、ハマー県9件、イドリブ県13件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を25件(アレッポ県2件、ラタキア県1件、ハマー県9件、イドリブ県13件)確認した。

AFP, September 13, 2019、ANHA, September 13, 2019、AP, September 13, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 13, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, September 13, 2019、Reuters, September 13, 2019、SANA, September 13, 2019、SOHR, September 13, 2019、UPI, September 13, 2019などをもとに作成。

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