トルコ軍はマンビジュ市制圧に向けて「平和の泉」作戦を拡大、シリア軍が新たに展開した地域でも戦闘が発生(2019年10月14日)

トルコ軍が反体制武装集団の国民軍とともに開始したシリア北東部への侵攻作戦「平和の泉」作戦は6日目に入り、トルコ軍はラッカ県タッル・アブヤド市および同市一帯、ハサカ県ラアス・アイン市および同市一帯、ダルバースィーヤ市一帯などへの攻撃を続け、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍と交戦する一方、ユーフラテス川西岸のアレッポ県マンビジュ市の制圧に向けて作戦を拡大した。

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国民軍の発表によると、ラッカ県、ハサカ県の国境地帯での戦闘により、トルコ軍と国民軍はタッル・アブヤド市南のアイン・アルース村、バディーア村、ジャースィム・アリー村、タッル・アンタル村、ラアス・アイン市一帯のサーリヒーヤ軍事キャンプ、リービーヤ村、バナート丘、科学研究センター、サーリヒーヤ村を制圧した。

シリア人権監視団によると、これによりトルコ軍と国民軍が制圧した市町村農場は52となった。

一方、シリア民主軍もラアス・アイン市一帯で反撃し、ハサカ県のタッル・ハラフ村、マナージール村一帯の拠点複数カ所を奪還した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、北・東シリア自治局の支配下にあるマンビジュ市北東のヤーシリー村一帯で、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の指揮下にあるマンビジュ軍事評議会が、同地北のトルコ占領地域(「ユーフラテスの盾」地域)で活動する反体制武装集団(国民軍)と交戦、砲撃し合った。

戦闘は、マンビジュ市上空をシリア軍ヘリコプター複数機が飛行するなかで行われた。

反体制武装集団の砲撃により、マンビジュ市北東部でシリア軍兵士1人が死亡、またマンビジュ軍事評議会の砲撃で反体制武装集団戦闘員4人が負傷した。

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シリア軍が展開したハサカ県の国境地帯では、トルコ軍戦闘機がハサカ市とラアス・アイン市の間に位置するライラーン村、マナージール村、ガイバシュ村などに爆撃と砲撃を加えた。

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シリア人権監視団によると、「平和の泉」作戦が開始されて以降の死者数は、シリア民主軍戦闘員が133人、トルコの支援を受ける国民軍の戦闘員が108人、トルコ軍兵士が8人。

また、民間人60人あまりが死亡、25万人が戦闘地域から避難したという。

AFP, October 14, 2019、ANHA, October 14, 2019、AP, October 14, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 14, 2019、Reuters, October 14, 2019、SANA, October 14, 2019、SOHR, October 14, 2019、UPI, October 14, 2019などをもとに作成。

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