イスラエル政府は、ロシア・シリア両政府への「善意のしるし」としてシリア人捕虜2人を釈放(2020年1月10日)

イスラエル政府は、占領下ゴラン高原出身のシリア人捕虜2人を釈放した。

釈放されたのは、スィドキー・マカト氏(53歳)とアマル・アブー・サーリフ氏(26歳)で、いずれも占領下のクナイトラ県マジュダル・シャムス村出身。

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このうちマカト氏は、シリア政府支持者として知られており、1988年にスパイ罪、反逆罪で逮捕され、32年にわたり獄中生活を余儀なくされていた。

イスラエル当局は2012年8月にマカト氏を一端釈放したが、2025年2月に再逮捕、2017年5月に禁固14年の有罪判決を下していた。

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アブー・サーリフ氏は2015年にシリア人1人を殺害、イスラエル軍兵士2人を負傷させたとして、禁固7年8ヶ月の有罪判決を受け、服役していた。

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2人の釈放に関して、イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相の事務所は、昨年4月にシリア領内に埋葬されていたイスラエル軍兵士のザハリア・バウメル氏がロシアの仲介で返還されたことに対する「善意のしるし」として、シリア人捕虜2人を釈放することを決定したと伝えた。

バウメル氏は、1982年のレバノン侵攻時にシリア軍との間で行われた「スルターン・ヤアクーブの戦い」で行方不明となった兵士で、2019年4月にロシアの仲介により、その遺体がイスラエル側に返還されていた。

なお、イスラエル政府は、マジュダル・シャムス村に帰還したないことを条件にマカト氏、アブー・サーリフ氏の釈放を認めようとしていたが、両氏はこれを拒否したために、釈放が実現しないでいた。

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マカト氏の釈放については、シリア国営のSANA(1月10日付)などが大きく伝えた。

同通信社によると、釈放されたマカト氏は故郷である占領下のクナイトラ県マジュダル・シャムス村に帰還し、住民らの熱烈な出迎えを受けた。

マカト氏はまた、解放に合わせて声明を出し、「私が無条件で解放されたように、ゴラン高原も無条件で解放されるだろう。占領下のゴラン高原が解放されるまで、私は闘争の道を進み続ける」と表明した。

また、アサド大統領とシリア国民に向けて「我々がテロに対して勝利した通り、我々の意志も今日勝利した」と述べる一方、占領下ゴラン高原の住民に対しては「私は自由なるシリアの意志のもとにゴラン高原に戻り、解放に向けた道を貫徹する。ゴラン高原の人々は獄中にあっても私の心のなかにいた。我々はすべてのシリア人のため、解放をめざす」と呼びかけた。

AFP, January 10, 2020、ANHA, January 10, 2020、AP, January 10, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 10, 2020、Reuters, January 10, 2020、SANA, January 10, 2020、SOHR, January 10, 2020、UPI, January 10, 2020などをもとに作成。

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